JP2016150163A - 医療用具の製造方法 - Google Patents

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友恵 袴谷
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Abstract

【課題】 優れた耐久性を発揮する被覆層(潤滑層)を有する医療用具を提供する。
【解決手段】 基材層と、前記基材層の少なくとも一部に担持された潤滑層と、を備える医療用具の製造方法であって、パーオキサイド基を有するポリ過酸化物を、エポキシ基を有する反応性単量体と、65℃を超えて85℃未満の温度で15分を超えて120分未満の間、反応させることによって、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000であり、かつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を得;前記反応性重合体を、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の親水性単量体と反応させることによって、ブロック共重合体を製造し;さらに前記ブロック共重合体を前記基材層上に塗布することによって、潤滑層を前記基材上に形成することを有する、医療用具の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、医療用具の製造方法に関する。
カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等生体内に挿入される医療用具は、血管などの組織損傷を低減させ、かつ術者の操作性を向上させるため、優れた潤滑性を示すことが要求される。このため、潤滑性を有する親水性高分子を基材層表面に被覆する方法が開発され実用化されている。このような医療用具において、親水性高分子が基材層表面から溶出・剥離してしまうことは、安全性や操作性の維持といった点で問題である。このため、親水性高分子によるコーティングには、優れた潤滑性のみならず磨耗や擦過等の負荷に対する耐久性もまた要求される。
このような観点から、特許文献1には、水溶性または水膨潤性重合体を、医療用具の基材が膨潤する溶媒に溶解させて重合体溶液を作製し、この重合体溶液に医療用具の基材を浸漬して膨潤させ、さらに基材表面でこの重合体を架橋または高分子化させることによって、基材表面に表面潤滑層を形成した医療用具が開示されている。
特許文献1に開示された技術によれば、比較的良好な潤滑性を示す表面潤滑層を基材に固定することができる。
特開平8−33704号公報
特許文献1には、水溶性または水膨潤性重合体として、潤滑性を発現する親水性部位とエポキシ基を有する部位とからなるブロック共重合体を用いると好ましいことが開示されている。そして、このようなブロック共重合体を用いると、加熱操作によりエポキシ基を架橋させることができ、比較的剥離しにくい表面潤滑層を形成することができる。しかし、良好な潤滑性と優れた耐久性とはトレードオフの関係にあり、良好な潤滑性と優れた耐久性を両立させる技術が求められている。
特に、近年の医療用具の小型化・細径化は著しく、生体内において、より屈曲性が高く、狭い病変部位へと医療用具をアプローチする医療手技が広まりつつある。また、操作の複雑化に伴い、操作が長持間にわたる場合がある。したがって、複雑な病変部位であってもデバイスの操作性を良好に保つために、従来技術よりもさらにデバイス表面の潤滑維持性(耐久性)を高める技術が要求されている。
ゆえに、耐久性を向上させ、複雑高度化する医療手技をサポートすることができる技術が求められている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、優れた耐久性を発揮する潤滑層(被覆層)を有する医療用具の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、優れた潤滑性(摺動性)を発揮する潤滑層(被覆層)を有する医療用具の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、特定の重量平均分子量(Mw)及び結晶融解エンタルピー(ΔH)を有しかつエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を親水性単量体と反応させることによって、上記諸目的を達成できることを知得して、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記諸目的は、基材層と、前記基材層の少なくとも一部に担持された潤滑層と、を備える医療用具の製造方法であって、パーオキサイド基を有するポリ過酸化物を、エポキシ基を有する反応性単量体と、65℃を超えて85℃未満の温度で15分を超えて120分未満の間、反応させることによって、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000であり、かつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を得;前記反応性重合体を、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の親水性単量体と反応させることによって、ブロック共重合体を製造し;さらに前記ブロック共重合体を前記基材層上に塗布することによって、潤滑層を前記基材上に形成することを有する、医療用具の製造方法によって達成される。
本発明の方法によれば、優れた耐久性を発揮する潤滑層(被覆層)を有する医療用具を得ることができる。
本発明に係る医療用具の代表的な実施形態の表面の積層構成を模式的に表した部分断面図である。 図1の実施形態の応用例として、表面の積層構成の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。 各実施例及び比較例で用いた表面潤滑性および耐久性を評価するための試験装置(摩擦測定機)の模式図である。
本発明の第一は、基材層と、前記基材層の少なくとも一部に担持された潤滑層と、を備える医療用具の製造方法であって、パーオキサイド基を有するポリ過酸化物を、エポキシ基を有する反応性単量体と、65℃を超えて85℃未満の温度で15分を超えて120分未満の間、反応させることによって、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000であり、かつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を得(工程(i));前記反応性重合体を、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の親水性単量体と反応させることによって、ブロック共重合体を製造し(工程(ii));さらに前記ブロック共重合体を前記基材層上に塗布することによって、潤滑層を前記基材上に形成する(工程(iii))ことを有する、医療用具の製造方法を提供する。なお、本明細書では、パーオキサイド基を有するポリ過酸化物を単に「ポリ過酸化物」または「本発明に係るポリ過酸化物」とも、エポキシ基を有する反応性単量体を単に「反応性単量体」または「本発明に係る反応性単量体」とも、エポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を単に「反応性重合体」または「本発明に係る反応性重合体」とも、それぞれ、称する。
本発明の方法は、特定の重量平均分子量(Mw)及び結晶融解エンタルピー(ΔH)を有するエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を親水性単量体と反応させることを特徴とする。当該方法によって得られる医療用具は、優れた耐久性(表面潤滑維持性)を発揮できる。本発明に係る医療用具が優れた耐久性を呈することができるメカニズムは、以下のように考えられる。なお、本発明は、下記推定に限定されない。
本願発明者らは、医療用具の耐久性(表面潤滑維持性)の向上について鋭意検討を行った結果、潤滑層の熱水抽出物量と耐久性との間に負の相関関係があることを見出した。このため、熱水抽出物量の低減方法についてさらに鋭意検討を行った結果、潤滑層を構成するブロック共重合体を製造するにあたって、(i)特定の重量平均分子量(Mw)および(ii)特定の結晶融解エンタルピー(ΔH)を有する反応性重合体を使用すること、熱水抽出物量を有意に低減するのに重要であることを見出したのである。このうち、上記(i)は、反応性重合体内のエポキシ基の数を適切に制御することを意図している。詳細には、例えば、下記実施例1では、下記構造:
を有するブロック共重合体が製造される。ここで、反応性重合体(反応性ブロック)内に存在するエポキシ基は、潤滑層形成時の加熱(乾燥を含む)操作により架橋点として機能し、架橋または高分子化して網目構造(ネットワーク)を形成する。このため、上記したような架橋点の数を適切にすることによって、潤滑層の強度を適切な範囲に調節することができ、より強固な潤滑層(被覆層)が形成できる。
また、上記(ii)は、反応性重合体内のパーオキサイド基の数を適切に制御することを意図している。詳細には、例えば、下記実施例1では、ポリ過酸化物と反応性単量体との反応により、下記構造:
反応性重合体(PPO−GMA)が合成される。上記構造から明らかであるように、得られる反応性重合体には、親水性単量体との反応(共重合)時に重合開始剤として作用するパーオキサイド基(−O−O−基)が分子内に複数個存在する。この反応性重合体と親水性単量体とを反応させると、分子内に存在するパーオキサイド基が切断されて、反応性単量体由来の構成単位が連結したパーオキサイド基を有する部位を生成し、親水性単量体と反応して、本発明に係るブロック共重合体が生成する。このブロック共重合体は、親水性単量体由来の繰り返し単位数が相対的に少ない低分子量のブロック共重合体と、親水性単量体由来の繰り返し単位数が相対的に多い高分子量のブロック共重合体と、の混合物の形態として生成する。本発明では、反応重合体内のパーオキサイド基の数を制御することで、低分子量のブロック共重合体の生成量を低減できる。
上述したように、反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)は、加熱(乾燥を含む)操作によりエポキシ基を架橋点として架橋または高分子化して網目構造(ネットワーク)を形成する。本発明では、反応性重合体内のパーオキサイド基の数を制御することで、高分子量のブロック共重合体が多く存在するため、好適に親水性重合体由来の構成単位がブロック共重合体の反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)と相互に絡み合うため、被覆層の強度を上げることができ、より強固な被覆層が形成できる。そのため、ブロック共重合体の反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)により形成されたネットワークの網目内部に、ネットワークから脱離しやすい低分子量のブロック共重合体を効率的に絡め捕ることができる。これにより、本発明に係る医療用具(潤滑層)は、術中に血管壁などの管腔壁と接触しても、反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)によるネットワーク内に十分量の親水性単量体由来の構成単位(親水性ブロック)が存在するため、高い潤滑性(表面潤滑性)をより長期間にわたり維持できる(耐久性に優れる)。すなわち、低分子量のブロック共重合体由来の親水性単量体由来の構成単位(親水性ブロック)は、摺動(摩擦)が加えられてもブロック共重合体の反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)によるネットワークから脱離することが有効に抑制・防止される。また、親水性単量体由来の構成単位(親水性ブロック)は、溶媒による膨潤性を発揮し、ゆえに体液や水性溶媒との接触時に潤滑性(表面潤滑性)を付与して血管壁などの管腔壁との摩擦を低減する。そのため、医療用具の潤滑層は、潤滑性も向上する。ゆえに、本発明に係る医療用具は、熱水抽出物量を低減し、耐久性(表面潤滑維持性)を向上できる。加えて、本発明に係る医療用具(潤滑層)は、ブロック共重合体のみから構成された被覆層に比して、潤滑性(表面潤滑性)、膨潤性に優れる。
加えて、反応性重合体由来の構成単位(ブロック)のエポキシ基が架橋または高分子化し、強固な被覆層(潤滑層)を形成することができる。このため、本発明に係る医療用具は、高い強度を有し、摺動後もその形状を良好に維持できる。また、医療用具の基材層にエポキシ基と反応する官能基が存在する場合、反応性重合体由来の構成単位(ブロック)のエポキシ基は基材層にも結合(固定化)して基材層からの剥離を抑制・防止できる。このような場合、本発明に係る医療用具は耐久性(表面潤滑維持性)をさらに向上できる。
したがって、本発明に係る医療用具は、優れた耐久性(表面潤滑維持性)を発揮できる。また、本発明に係る医療用具は、潤滑性(表面潤滑性)にも優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[工程(i)]
本工程では、パーオキサイド基を有するポリ過酸化物を、エポキシ基を有する反応性単量体と、65℃を超えて85℃未満の温度で15分を超えて120分未満の間、反応させることによって、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000であり、かつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を得る。
パーオキサイド基を有するポリ過酸化物は、分子内に複数のパーオキサイド基(−O−O−基)を有するものであれば特に制限されない。具体的には、下記式(I):
で示される構造を有するものが挙げられる。上記式(I)において、XおよびX’は、炭素原子数3〜12の直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。ここで、XおよびX’は、同じであってもまたは異なるものであってもよい。炭素原子数3〜12の直鎖または分岐鎖のアルキレン基としては、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数4〜8の直鎖のアルキレン基が好ましい。また、上記式(I)において、Yは、炭素原子数2〜8のアルキレンオキシ基、より好ましくは炭素原子数2〜4のアルキレンオキシ基(−RO−:R=炭素原子数2〜8のアルキレン基、好ましくは炭素原子数2〜4のアルキレン基)である。このようなアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、イソブチレンオキシ基、1−ブテンオキシ基、2−ブテンオキシ基等が挙げられる。これらのうち、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基(−C−O−)、プロピレンオキシ基(−CH(CH)CHO−)がより好ましい。これらのアルキレンオキシ基は、1種のみが存在してもあるいは2種以上の混合物の形態で存在してもよい。アルキレンオキシ基が2種以上存在する場合には、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれに付加形態であってもよい。さらに、pは、アルキレンオキシ基(Y)の平均付加モル数を表し、好ましくは2〜10の数であり、より好ましくは3〜5である。また、mは、2以上の整数であり、反応性重合体の所望の結晶融解エンタルピー(ΔH)によって制御される。通常、mは、2〜40の整数である。上記ポリ過酸化物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、反応性単量体は、エポキシ基を有するものであれば特に制限されない。具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、網目構造の容易形成性の向上、製造の容易さなどを考慮すると、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。上記反応性単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリ過酸化物と反応性単量体との混合比は、得られる反応性重合体の重量平均分子量(Mw)が本発明で規定される範囲(30,000〜80,000)になる限り特に制限されない。具体的には、ポリ過酸化物と反応性単量体との混合比は、反応性単量体が、ポリ過酸化物1重量に対して、好ましくは5〜15重量部、より好ましくは8〜10重量部である。
ここで、ポリ過酸化物と反応性単量体との反応および以下に詳述する工程(ii)での反応性重合体と親水性単量体との反応は、マクロ開始剤を用いた重合法によって行われる。当該方法を使用することにより、反応性単量体に由来する構成単位(部位)の分子量(ゆえに、反応性重合体の重合平均分子量)および分子量分布を容易に制御できる。マクロ開始剤を用いた重合法では、例えば、反応性官能基を有する疎水性部位と、パーオキサイド基等のラジカル重合性基とを有するマクロ開始剤を作製した後、そのマクロ開始剤と親水性部位を形成するための単量体を重合させることで親水性部位と疎水性部位とを有するブロック共重合体を作製することができる。
ポリ過酸化物と反応性単量体との反応は、65℃を超えて85℃未満の温度でかつ15分を超えて120分未満の間行う。ここで、反応温度は、得られる反応性重合体の重量平均分子量(Mw)を制御する上で重要である。このため、ポリ過酸化物と反応性単量体との反応温度が上記範囲を外れると、反応性重合体の重量平均分子量が本発明で規定される範囲(30,000〜80,000)から外れる。反応性重合体の重量平均分子量の好ましい範囲を考慮すると、反応温度は、好ましくは70〜84℃であり、より好ましくは75〜83℃である。また、反応時間は、得られる反応性重合体の結晶融解エンタルピー(ΔH)を制御する上で重要である。このため、ポリ過酸化物と反応性単量体との反応時間が上記範囲を外れると、反応性重合体の結晶融解エンタルピー(ΔH)が本発明で規定される範囲(10〜30J/g)から外れる。反応性重合体の結晶融解エンタルピーの好ましい範囲を考慮すると、反応時間は、好ましくは20〜100分であり、より好ましくは25〜60分である。
ポリ過酸化物と反応性単量体との反応は、溶媒中で行われることが好ましい。使用できる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、流動パラフィン等の脂肪族系有機溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系有機溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性非プロトン性有機溶媒が使用できる。なお、前記溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して用いることもできる。溶媒中のポリ過酸化物及び反応性単量体の濃度(ポリ過酸化物及び反応性単量体の合計濃度)は、5〜90重量%であると好ましく、8〜80重量%であるとより好ましく、10〜50重量%であると特に好ましい。
上記したようにして、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000であり、かつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体が得られる。ここで、重量平均分子量(Mw)や結晶融解エンタルピー(ΔH)が上記範囲から外れると、耐久性(摺動耐久性)が低下してしまう。耐久性のより向上効果を考慮すると、反応性重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは35,000〜70,000であり、より好ましくは40,000〜60,000である。また、耐久性のより向上効果を考慮すると、結晶融解エンタルピー(ΔH)は、好ましくは12〜27J/gであり、より好ましくは15〜25J/gである。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、下記方法によって測定された値を採用する。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
反応性重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定する。詳細には、テトラヒドロフラン(THF)(HPLC用)を移動相とし、検出レベルが安定するまで、流速1.0ml/minでTHFを流しておき、安定したら測定を開始する。反応性重合体を1mg/mLの濃度になるようにテトラヒドロフラン(THF)(HPLC用)に溶解して、溶液を作製し、この溶液を0.45μmフィルターで前処理することによって、サンプルを調製する。標準物質として、EASICALポリスチレン(分子量:580〜7,500,000の内10種類)を用いて測定する。10種類のポリスチレンの保持時間と重量平均分子量(Mw)に基づいて較正曲線を作成し、上記較正曲線に基づいて反応性重合体の重量平均分子量(Mw)を算出する。
また、本明細書において、「結晶融解エンタルピー(ΔH)」とは、反応性重合体を70℃から140℃へ一定の速度で加熱した時に観測される、反応性重合体 1gあたりの含有熱容量(J/g)を意味する。含有熱容量(結晶融解エンタルピー(ΔH))は、下記方法によって測定された値を採用する。
(結晶融解エンタルピー(ΔH)の測定方法)
反応性重合体の結晶融解エンタルピー(含有熱量)は、示差走査熱量測定装置(DSC(Differential Scanning Calorimetry))で測定する。詳細には、反応性重合体をアルミニウム製サンプルパンに約5mgを秤量した後、そのサンプルパンに蓋をしてクリンプし、装置((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)内に導入する。リファレンスとして、試料が何も入っていないアルミニウム製サンプルパンに蓋をしてクリンプし、装置内に導入する。サンプルパンに配置したサンプルエリアには窒素を流量100mL/minで流し続け、常時窒素雰囲気下を維持させておく。サンプルエリアを加温し、サンプルエリアが70℃になった時点で発熱量の測定を開始する。そして、サンプルエリアを昇温速度10℃/minで加温し続け、サンプルエリアが140℃になった時点で測定を終了する。観測された熱エネルギー量より、結晶融解エンタルピー(ΔH)(J/g)を算出する。
[工程(ii)]
本工程では、上記工程(i)で得られた反応性重合体を、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の親水性単量体と反応させることによって、ブロック共重合体を製造する。
本発明に係る反応性重合体は、エポキシ基及びパーオキサイド基を有する。このうち、エポキシ基は、本発明に係るブロック共重合体を加熱(乾燥を含む)すると架橋点として機能し、架橋または高分子化して網目構造(ネットワーク)を形成する(潤滑層を形成する)。このため、潤滑層の強度を向上できる。ゆえに、本発明に係る医療用具は、摺動後もその形状を良好に維持できる。また、エポキシ基を有する単量体由来の反応性重合体由来の構成単位(ブロック)を有するブロック共重合体は、加熱・乾燥操作(加熱・乾燥処理)等により反応させる際の反応速度が穏やか(適切な速度)である。そのため、加熱・乾燥操作等によりエポキシ基同士を架橋反応させる際に、すぐに反応してゲル化したり、固まって被覆層(潤滑層)の架橋密度が上昇し潤滑性、潤滑維持性、血液適合性が低下するのを抑制・制御することができる程度に反応速度が穏やか(適切な速度)であることから、取り扱いが良好である。したがって、上記したように結晶融解エンタルピー(ゆえに架橋点の数)を適切に制御することによって、潤滑層の強度を適切な範囲に調節することができ、より強固な潤滑層(被覆層)が形成できる。なお、ブロック共重合体を構成する反応性単量体由来の構成単位(反応性ブロック)による網目構造(ネットワーク)の形成は、公知の方法によって確認できる。例えば、ATR−IRによるエポキシ基の消失およびエーテル結合の形成によって、上記網目構造(ネットワーク)の形成を確認している。
また、パーオキサイド基は、反応性重合体と親水性単量体との反応時に切断されて、反応性単量体由来の構成単位が連結したパーオキサイド基を有する部位を生成する。そして、その反応性単量体由来の構成単位が連結したパーオキサイド基を有する部位は、親水性単量体と反応して、ブロック共重合体を生成し、ブロック共重合体に膨潤性を付与する。また、上記したように結晶融解エンタルピー(ゆえに架橋点の数)を適切に制御することによって、潤滑層の強度を適切な範囲に調節することにより、ブロック共重合体に存在するエポキシ基を介して形成されたネットワークの網目内部に、ブロック共重合体を構成する反応性単量体由来の構成単位(反応性ブロック)によるネットワークから脱離しやすい低分子量のブロック共重合体等の親水性単量体由来の構成単位(親水性ブロック)を適当量絡め取ることができる。このため、本発明に係る医療用具(潤滑層)は、術中に血管壁などの管腔壁と接触しても、反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)によるネットワーク内に十分量の親水性単量体由来の構成単位(親水性ブロック)が存在するため、耐久性(潤滑維持性)をさらに向上できる。また、本発明に係る医療用具(潤滑層)は、潤滑性(表面潤滑性)にも優れる。
本工程で使用できる親水性単量体は、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される。親水性単量体(親水性単量体由来の構成単位(ブロック))は、溶媒による膨潤性、ゆえに体液や水性溶媒との接触時に潤滑性(表面潤滑性)を付与する。このため、本発明に係る医療用具は、血管壁などの管腔壁との接触時の摩擦を低減できる。ここで、アミド誘導体としては、体液または水性溶媒との接触により潤滑性を付与できるものであれば特に制限されない。具体的には、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミドなどが挙げられる。これらのうち、潤滑性の向上、モノマーの安全性などを考慮すると、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。ブロック共重合体において、親水性単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、反応性重合体と親水性単量体との反応(共重合)は、マクロ開始剤を用いた重合法によって行われる。ここで、反応性重合体と親水性単量体との反応(共重合)は、溶媒(重合溶媒)中で行われることが好ましい。ここで重合溶媒としては、特に制限されないが、例えば、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、流動パラフィン等の脂肪族系有機溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系有機溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性非プロトン性有機溶媒が使用できる。なお、前記溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して用いることもできる。重合溶媒中の単量体の濃度(反応性重合体及び親水性単量体の合計濃度)は、5〜90重量%であると好ましく、8〜80重量%であるとより好ましく、10〜50重量%であると特に好ましい。
上記反応(共重合)において、反応(共重合)条件もまた、上記反応(共重合)が進行すれば特に制限されない。例えば、反応(共重合)温度は、好ましくは30〜150℃、より好ましくは40〜100℃とするのが好ましい。また、反応(共重合)時間は、好ましくは30分〜30時間、より好ましくは3〜24時間である。反応(共重合)は、大気雰囲気中で行われてもよいが、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス)雰囲気中で行われることが好ましい。
さらに、反応(共重合)の際に、必要に応じて、連鎖移動剤、重合速度調整剤、界面活性剤、水溶性高分子、水溶性無機化合物(アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、多価金属塩、および非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤など)、無機酸、無機酸塩、有機酸及び有機酸塩およびその他の添加剤を適宜使用してもよい。
上記工程(ii)によって、ブロック共重合体が生成する。ここでブロック共重合体は、反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)及び親水性単量体由来の構成単位(親水性ブロック)を有する。ここで、反応性重合体由来の構成単位(ブロック)と親水性単量体由来の構成単位(ブロック)との比率は、上記効果を奏する限り特に制限されない。良好な潤滑性、潤滑維持性、被覆層の強度、基材層との結合性などを考慮すると、反応性重合体由来の構成単位(ブロック)と親水性単量体由来の構成単位(ブロック)の比率(反応性重合体由来の構成単位(ブロック):親水性単量体由来の構成単位(ブロック)のモル比)は、1:2〜100であることが好ましく、1:2〜50であることがより好ましい。このような範囲であれば、潤滑層は、親水性単量体由来の構成単位(ブロック)により潤滑性、潤滑維持性を十分発揮でき、また、反応性重合体由来の構成単位(ブロック)により十分な被覆層強度、基材層との結合性および耐久性を発揮できる。
上記で得られたブロック共重合体および親水性重合体は、再沈澱法、透析法、限外濾過法、抽出法など一般的な精製法により精製することが好ましい。
[工程(iii)]
本工程では、上記工程(ii)で得られた高分子量及び低分子量のブロック共重合体(以下、一括して「ブロック共重合体等」とも称する)を前記基材層上に塗布することによって、潤滑層を前記基材上に形成する。すなわち、本発明の一実施形態においては、潤滑層は、高分子量及び低分子量のブロック共重合体を主成分として含む親水性重合体を含む。
本工程(基材層上への潤滑層の形成)は、上記工程(ii)で製造されたブロック共重合体及び親水性重合体を使用する以外は特に制限されず、公知の方法と同様にしてあるいはこれを適宜修飾して適用できる。
ブロック共重合体および親水性重合体は、溶液(塗布液)の形態で基材層上に塗布されることが好ましい。ここで、塗布液に使用できる溶媒は、ブロック共重合体および親水性重合体を溶解できるものであれば特に制限されない。具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等のハロゲン化物、ヘキサン等のオレフィン類、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類などを例示することができるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
塗布液中のブロック共重合体等の濃度は、特に限定されないが、塗布性、所望の効果(潤滑性および耐久性の向上効果)などの観点からは、塗布液中のブロック共重合体等の濃度は、0.01〜20重量%、より好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記濃度が上記範囲であれば、得られる潤滑層の潤滑性、耐久性が十分発揮されうる。また、1回のコーティングで所望の厚みの均一な潤滑層を容易に得ることができ、操作性(例えば、コーティングのしやすさ)、生産効率の点で好ましい。但し、上記範囲を外れても、本発明の作用効果に影響を及ぼさない範囲であれば、十分に利用可能である。
塗布液(ゆえに潤滑層)は、ブロック共重合体等を必須に含む。塗布液(ゆえに潤滑層)は、ブロック共重合体等に加えて、親水性単量体から構成される親水性重合体を含んでもよい。これにより、ブロック共重合体等の反応性重合体由来の構成単位(反応性ブロック)により形成されたネットワークの網目内部に、ブロック共重合体由来の親水性単量体由来の構成単位(親水性ブロック)に加えて、膨潤性、潤滑性に優れる親水性重合体が含まれる。このため、潤滑層は、高い潤滑性を有し、かつ、高い潤滑性をより長時間にわたり維持できる。なお、塗布液は、ブロック共重合体に加えて、親水性重合体以外の他の成分を含んでいてもよい。
本工程で用いられる基材層としては、いずれの材料から構成されてもよく、その材料は特に制限されない。具体的には、基材層1を構成する材料は、金属材料、高分子材料、およびセラミックスなどが挙げられる。ここで、基材層1は、基材層1全体が上記いずれかの材料で構成されても、または、図2に示されるように、上記いずれかの材料で構成された基材層コア部1aの表面に他の上記いずれかの材料を適当な方法で被覆して、基材表面層1bを構成した構造を有していてもよい。後者の場合の例としては、樹脂材料等で形成された基材層コア部1aの表面に金属材料が適当な方法(メッキ、金属蒸着、スパッタ等従来公知の方法)で被覆されて、基材表面層1bを形成してなるもの;金属材料やセラミックス材料等の硬い補強材料で形成された基材層コア部1aの表面に、金属材料等の補強材料に比して柔軟な高分子材料が適当な方法(浸漬(ディッピング)、噴霧(スプレー)、塗布・印刷等の従来公知の方法)で被覆されて、あるいは基材層コア部1aを形成する補強材料と高分子材料とが複合化されて、基材表面層1bを形成してなるものなどが挙げられる。また、基材層コア部1aが、異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造などであってもよい。また、基材層コア部1aと基材表面層1bとの間に、さらに別のミドル層(図示せず)が形成されていてもよい。さらに、基材表面層1bに関しても異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造などであってもよい。
上記基材層1を構成する材料のうち、金属材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具に一般的に使用される金属材料が使用される。具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS420J2、SUS630などの各種ステンレス鋼、金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、アルミニウム、スズあるいはニッケル−チタン合金、ニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム合金、亜鉛−タングステン合金等の各種合金などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記金属材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材層として最適な金属材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層1を構成する材料のうち、高分子材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具に一般的に使用される高分子材料が使用される。具体的には、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(ポリウレタン)、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、ポリエステル樹脂、スチロール樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合物または上記いずれかの樹脂を構成する2種以上の単量体の共重合体として併用してもよい。上記高分子材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材層として最適な高分子材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層の形状は、特に制限されることはなく、シート状、線状(ワイヤ)、管状など使用態様により適宜選択される。
基材層表面に塗布液をコーティング(塗布)する方法としては、特に制限されるものではなく、塗布・印刷法、浸漬法(ディッピング法、ディップコート法)、噴霧法(スプレー法)、スピンコート法、混合溶液含浸スポンジコート法など、従来公知の方法を適用することができる。これらのうち、浸漬法(ディッピング法、ディップコート法)を用いるのが好ましい。
なお、カテーテル、ガイドワイヤ、注射針等の細く狭い内面に潤滑層を形成させる場合、塗布液中に基材層を浸漬して、系内を減圧にして脱泡させてもよい。減圧にして脱泡させることにより、細く狭い内面に素早く溶液を浸透させ、潤滑層の形成を促進できる。
また、基材層の一部にのみ潤滑層を形成させる場合には、基材層の一部のみを塗布液中に浸漬して、塗布液を基材層の一部にコーティングすることで、基材層の所望の表面部位に、潤滑層を形成することができる。
基材層の一部のみを塗布液中に浸漬するのが困難な場合には、予め潤滑層を形成する必要のない基材層の表面部分を着脱(装脱着)可能な適当な部材や材料で保護(被覆等)した上で、基材層を塗布液中に浸漬して、塗布液を基材層にコーティングした後、潤滑層を形成する必要のない基材層の表面部分の保護部材(材料)を取り外し、その後、加熱処理等により反応させることで、基材層の所望の表面部位に潤滑層を形成することができる。ただし、本発明では、これらの形成法に何ら制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用して、潤滑層を形成することができる。例えば、基材層の一部のみを混合溶液中に浸漬するのが困難な場合には、浸漬法に代えて、他のコーティング手法(例えば、医療用具の所定の表面部分に、塗布液を、スプレー装置、バーコーター、ダイコーター、リバースコーター、コンマコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ドクターナイフなどの塗布装置を用いて、塗布する方法など)を適用してもよい。なお、医療用具の構造上、円筒状の用具の外表面と内表面の双方が、潤滑層を有する必要があるような場合には、一度に外表面と内表面の双方をコーティングすることができる点で、浸漬法(ディッピング法)が好ましく使用される。
このようにブロック共重合体及び親水性重合体を所定の混合比で含む塗布液中に基材層を浸漬した後は、塗布液から基材層を取り出して、乾燥処理を行う。ここで、塗布液の乾燥条件(温度、時間等)は、基材層上にブロック共重合体等を含む潤滑層が形成できる条件であれば、特に制限されない。具体的には、乾燥温度は、好ましくは20〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。また、乾燥時間は、好ましくは30分〜30時間、より好ましくは1〜20時間である。このような条件であれば、基材層表面にブロック共重合体等を含む潤滑層(被覆層)を形成し、また、潤滑層中のブロック共重合体中のエポキシ基を介した架橋反応が起こり、基材層から容易に剥離することのない、高強度の潤滑層を形成することができる。また、上記乾燥工程により、基材層との結合(固定化)が起こり、基材層から剥離を有効に抑制・防止する。
なお、エポキシ基は上記乾燥(加熱)により自己架橋しうるが、架橋反応を促進するためにエポキシ反応触媒や、エポキシ基と反応しうる多官能架橋剤をコート溶液に含ませてもよい。
また、乾燥時の圧力条件も何ら制限されるものではなく、常圧(大気圧)下で行うことができるほか、加圧ないし減圧下で行ってもよい。
乾燥手段(装置)としては、例えば、オーブン、減圧乾燥機などを利用することができるが、自然乾燥の場合には、特に乾燥手段(装置)は不要である。
上記方法により、基材層表面に本発明に係るブロック共重合体及び親水性重合体を含む潤滑層(被覆層)を形成した後、エポキシ基を架橋させることで基材層から容易に剥離することのない、強固な潤滑コート層を形成させることができる。また、本発明による医療用具は、本発明に係るブロック共重合体による被覆層が表面に形成される。このため、本発明による医療用具は、優れた潤滑性、潤滑維持性を発揮できる。
<本発明に係る医療用具>
上述したように、本発明は、基材層と、前記基材層の少なくとも一部に担持された潤滑層と、を備える医療用具であって、前記潤滑層が、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000でありかつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体と、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の親水性単量体との反応物を含む、医療用具を包含する。
以下、添付した図面を参照して本発明に係る医療用具の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る医療用具(以下、本明細書中、「医療用具」とも略記する)の代表的な実施形態の表面の積層構造を模式的に表した部分断面図である。図2は、本実施形態の応用例として、表面の積層構造の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。なお、図1及び図2中の各符号は、それぞれ、下記を表わす。符号1は、基材層を;符号1aは、基材層コア部を;符号1bは、基材表面層を;符号2は、潤滑層を;および符号10は、本発明に係る医療用具を、それぞれ表わす。
図1、図2に示されるように、本実施形態の医療用具10では、基材層1と、基材層1の少なくとも一部に設けられた(図中では、図面内の基材層1表面の全体(全面)に設けられた例を示す)ブロック共重合体を含む潤滑層2と、を備える。なお、図1、図2では、潤滑層2は基材層1の両面に形成されているが、本発明は上記形態に限定されず、基材層1の片面に形成されている形態;基材層1の片面または両面の一部に形成される形態など、いずれの形態であってもよい。
(本発明に係る医療用具の用途)
本発明に係る医療用具は、体液や血液などと接触して用いるデバイスのことであり、体液や生理食塩水などの水系液体中において表面が潤滑性を有し、操作性の向上や組織粘膜の損傷の低減が可能なものである。具体的には、血管内で使用されるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等が挙げられるが、その他にも以下の医療用具が示される。
(a)胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用チューブなどの経口もしくは経鼻的に消化器官内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
(b)酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブのチューブやカフ、気管切開チューブのチューブやカフ、気管内吸引カテーテルなどの経口または経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
(c)尿道カテーテル、導尿カテーテル、尿道バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
(d)吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテルなどの各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
(e)留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテルおよびダイレーターあるいはイントロデューサーなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ、スタイレットなど。
(f)人工気管、人工気管支など。
(g)体外循環治療用の医療用具(人工肺、人工心臓、人工腎臓など)やその回路類。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
実施例1
下記反応を行い、ブロック共重合体(1)を製造した。
詳細には、セバシン酸2塩化物55g中に50℃でトリエチレングリコール17.3gを滴下した後、50℃で3時間、塩酸を減圧除去して、オリゴエステルを得た。次に、得られたオリゴエステル60.6gにメチルエチルケトン6.06gを加え、これを、水酸化ナトリウム11.3g、31%過酸化水素14.4g、界面活性剤としてのビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(城北化学工業(株)製、商品名:LB−58)0.61gおよび水273gよりなる溶液中に滴下し、−3℃で60分間反応させた。得られた生成物は、水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、乾燥させて、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物(PPO)(1)を得た。
次に、このPPO(1) 1g、エポキシ基を有する単量体としてのグリシジルメタクリレート(GMA)9gを合計濃度が25重量%になるようにジオキサンに溶解させて、82℃で45分、撹拌しながら重合した。重合後に得られた反応物をヘキサンで再沈殿して、分子内にパーオキサイド基を有するポリGMA(PPO−GMA)(1)を反応性重合体として得た。このようにして得られたPPO−GMA(1)の重量平均分子量(Mw)および結晶融解エンタルピー(ΔH)を測定したところ、それぞれ、40,000および15J/gであった。
続いて、得られたPPO−GMA(1) 1gを重合開始剤として、およびジメチルアクリルアミド20gを親水性単量体として、それぞれ、溶媒としてのクロロベンゼン160gに溶解し、75℃で5時間、窒素雰囲気下で重合させた。重合後に得られた反応物をシクロヘキサンで再沈殿して回収し、ブロック共重合体(1)(DMAA:GMA=40:1(モル比))を得た。なお、得られた回収物を分析したところ、上記ブロック共重合体(1)は、様々な重合平均分子量を有するブロック共重合体の混合物であることを確認した。
得られたブロック共重合体(1)を3重量%の濃度になるようにクロロホルムに溶解し、コート液(1)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(1)にディップコートした後、130℃で3時間加熱することにより、サンプル(1)を得た。
また、得られたブロック共重合体(1)を3重量%の濃度になるようにジメチルホルムアミドに溶解し、コート液(1’)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(1’)にディップコートした後、120℃で3時間加熱することにより、サンプル(1’)を得た。
実施例2
実施例1と同様にして、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物(PPO)(1)を得た。
次に、このPPO(1) 1g、エポキシ基を有する単量体としてのグリシジルメタクリレート(GMA)9gを合計濃度が25重量%になるようにジオキサンに溶解させて、80℃で30分、撹拌しながら重合した。重合後に得られた反応物をヘキサンで再沈殿して、分子内にパーオキサイド基を有するポリGMA(PPO−GMA)(2)を反応性重合体として得た。このようにして得られたPPO−GMA(2)の重量平均分子量(Mw)および結晶融解エンタルピー(ΔH)を測定したところ、それぞれ、50,000および25J/gであった。
実施例1において、PPO−GMA(1)の代わりに、上記で得られたPPO−GMA(2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ブロック共重合体(2)(DMAA:GMA=40:1(モル比))を得た。なお、得られた回収物を分析したところ、上記ブロック共重合体(1)は、様々な重合平均分子量を有するブロック共重合体の混合物であることを確認した。
得られたブロック共重合体(2)を3重量%の濃度になるようにクロロホルムに溶解し、コート液(2)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(2)にディップコートした後、130℃で3時間加熱することにより、サンプル(2)を得た。
また、得られたブロック共重合体(2)を3重量%の濃度になるようにジメチルホルムアミドに溶解し、コート液(2’)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(2’)にディップコートした後、120℃で3時間加熱することにより、サンプル(2’)を得た。
比較例1
実施例1と同様にして、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物(PPO)(1)を得た。
次に、このPPO(1) 1g、エポキシ基を有する単量体としてのグリシジルメタクリレート(GMA)9gをジオキサンに溶解させて、85℃で30分、撹拌しながら重合した。重合後に得られた反応物をヘキサンで再沈殿して、分子内にパーオキサイド基を有するポリGMA(PPO−GMA)(3)を反応性重合体として得た。このようにして得られたPPO−GMA(3)の重量平均分子量(Mw)および結晶融解エンタルピー(ΔH)を測定したところ、それぞれ、20,000および18J/gであった。
実施例1において、PPO−GMA(1)の代わりに、上記で得られたPPO−GMA(3)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ブロック共重合体(3)(DMAA:GMA=40:1(モル比))を得た。
得られたブロック共重合体(3)を3重量%の濃度になるようにクロロホルムに溶解し、コート液(3)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(3)にディップコートした後、130℃で3時間加熱することにより、サンプル(3)を得た。
また、得られたブロック共重合体(3)を3重量%の濃度になるようにジメチルホルムアミドに溶解し、コート液(3’)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(3’)にディップコートした後、120℃で3時間加熱することにより、サンプル(3’)を得た。
比較例2
実施例1と同様にして、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物(PPO)(1)を得た。
次に、このPPO(1) 1g、エポキシ基を有する単量体としてのグリシジルメタクリレート(GMA)9gをジオキサンに溶解させて、80℃で15分、撹拌しながら重合した。重合後に得られた反応物をヘキサンで再沈殿して、分子内にパーオキサイド基を有するポリGMA(PPO−GMA)(4)を反応性重合体として得た。このようにして得られたPPO−GMA(4)の重量平均分子量(Mw)および結晶融解エンタルピー(ΔH)を測定したところ、それぞれ、50,000および65J/gであった。
実施例1において、PPO−GMA(1)の代わりに、上記で得られたPPO−GMA(4)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ブロック共重合体(4)(DMAA:GMA=40:1(モル比))を得た。
得られたブロック共重合体(4)を3重量%の濃度になるようにクロロホルムに溶解し、コート液(4)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(4)にディップコートした後、130℃で3時間加熱することにより、サンプル(4)を得た。
また、得られたブロック共重合体(4)を3重量%の濃度になるようにジメチルホルムアミドに溶解し、コート液(4’)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(4’)にディップコートした後、120℃で3時間加熱することにより、サンプル(4’)を得た。
比較例3
実施例1と同様にして、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物(PPO)(1)を得た。
次に、このPPO(1) 1g、エポキシ基を有する単量体としてのグリシジルメタクリレート(GMA)9gをジオキサンに溶解させて、65℃で300分、撹拌しながら重合した。重合後に得られた反応物をヘキサンで再沈殿して、分子内にパーオキサイド基を有するポリGMA(PPO−GMA)(5)を反応性重合体として得た。このようにして得られたPPO−GMA(5)の重量平均分子量(Mw)および結晶融解エンタルピー(ΔH)を測定したところ、それぞれ、200,000および17J/gであった。
実施例1において、PPO−GMA(1)の代わりに、上記で得られたPPO−GMA(5)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ブロック共重合体(5)(DMAA:GMA=40:1(モル比))を得た。
得られたブロック共重合体(5)を3重量%の濃度になるようにクロロホルムに溶解し、コート液(5)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(5)にディップコートした後、130℃で3時間加熱することにより、サンプル(5)を得た。
また、得られたブロック共重合体(5)を3重量%の濃度になるようにジメチルホルムアミドに溶解し、コート液(5’)とした。ナイロン(登録商標)エラストマー(ELG5660、EMS社製)15mm×50mm×1mmのプレスシートを、上記で調製したコート液(5’)にディップコートした後、120℃で3時間加熱することにより、サンプル(5’)を得た。
上記実施例1〜2および比較例1〜3で得られたサンプル(1)〜(5)について、以下に記載の試験方法により熱水抽出物量を測定した。結果を下記表1に示す。
[熱水抽出物量の測定]
各サンプルを100℃のお湯に3時間浸漬させ、浸漬前後のサンプル重量差を求め、下記式から熱水抽出物量(重量%)を算出した。
また、上記実施例1〜2および比較例1〜3で得られたサンプル(1)〜(5)について、以下に記載の試験方法により耐久性(摺動耐久性)を評価した。結果を下記表1に示す。なお、下記表1には、ポリ過酸化物と反応性単量体との反応条件(反応温度及び時間)、反応性重合体の重量平均分子量(Mw)及び結晶融解エンタルピー(ΔH)(J/g)をあわせて示す。
[耐久性(摺動耐久性)の評価]
各医療用具(以下、単に「サンプル」とも略記する)について、下記方法にしたがって、図3に示される摩擦測定機(トリニティーラボ社製、ハンディートライボマスターTL201)20を用いて、被覆層(潤滑層)の摺動抵抗値(gf)を測定し、潤滑性を評価した。
すなわち、各サンプル16をシャーレ12中に固定し、サンプル16全体が浸る高さの水17中に浸漬した。このシャーレ12を、図3に示される摩擦測定機20の移動テーブル15に載置した。円柱状PE端子(φ=10mm、R=1mm)13をサンプル16に接触させ、端子上に450gの荷重14をかけた。速度100cm/分、移動距離2cmの設定で、移動テーブル15を水平に60回往復移動させた際の摺動抵抗値(下記表1中の摺動抵抗値)(gf)を摺動耐久性(表面潤滑維持性)の値とした。なお、摺動抵抗値(gf)は低いほど表面潤滑性に優れることを意味する。特に、摺動抵抗値が10gf未満であれば許容できると判断する。
上記表1の結果から、本発明に係る医療用具(サンプル)(1)〜(2)は、重量平均分子量(Mw)または結晶融解エンタルピー(ΔH)が本願発明に係る範囲を外れる反応性重合体を用いて作製されたサンプル(3)〜(5)(比較例1〜3)に比して、熱水抽出物量及び摺動抵抗値が有意に低いことが分かる。これから、本発明の方法によって製造される医療用具は、表面潤滑維持性が向上できることが分かる。
1 基材層、
1a 基材層コア部、
1b 基材表面層、
2 潤滑層、
10 医療用具、
12 シャーレ、
13 円柱状ポリエチレン端子、
14 荷重、
15 移動テーブル、
16 潤滑コートサンプル(サンプル)、
17 水、
20 摩擦測定機。

Claims (2)

  1. 基材層と、
    前記基材層の少なくとも一部に担持された潤滑層と、を備える医療用具の製造方法であって、
    パーオキサイド基を有するポリ過酸化物を、エポキシ基を有する反応性単量体と、65℃を超えて85℃未満の温度で15分を超えて120分未満の間、反応させることによって、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000であり、かつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体を得;
    前記反応性重合体を、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の親水性単量体と反応させることによって、ブロック共重合体を製造し;さらに
    前記ブロック共重合体を前記基材層上に塗布することによって、潤滑層を前記基材上に形成することを有する、製造方法。
  2. 基材層と、
    前記基材層の少なくとも一部に担持された潤滑層と、を備える医療用具であって、
    前記潤滑層が、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000でありかつ結晶融解エンタルピー(ΔH)が10〜30J/gであるエポキシ基及びパーオキサイド基を有する反応性重合体と、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の親水性単量体との反応物を含む、医療用具。
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