JP2009131312A - 医療器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分に湿潤している体腔内のみならず湿潤していない体腔内への挿入性にも優れた医療器具を提供する。
【解決手段】本発明の医療器具10は、基材11と、基材11の表面に形成された潤滑層12とを有し、潤滑層12は撥水性樹脂製の微粒子と親水性樹脂とを含む。本発明の医療器具10は、微粒子を構成する撥水性樹脂がポリ四フッ化エチレンであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、体腔内等に挿入される医療器具に関する。
気管、消化管、尿道、その他の体腔あるいは組織中に医療器具を挿入することがある。その際に用いる医療器具としては、組織を損傷せずに、また、目的部位までに確実に挿入することを可能にする挿入性や、滑らかさが要求される。さらには、組織内に留置している間に摩擦によって組織の損傷、炎症を引き起こすことを防止するため、表面の潤滑性に優れることが要求される。
そこで、内視鏡の体腔内挿入部の表面に、シリコーンオイル、オリーブオイル、グリセリン、キシロカインゼリー、ポリエチレングリコール等の潤滑剤を塗布して、潤滑性を向上させることがある。しかし、前記潤滑剤は医療器具に固定化されていないため、一時的に潤滑性を高めることはできるものの、潤滑剤の流出等によって潤滑性が低下することがあった。すなわち、潤滑性の持続性に乏しかった。
また、大腸等の下部消化管に内視鏡の体腔内挿入部を挿入する場合には、多量のポリエチレングリコール水溶液を患者が飲み、大腸粘膜をポリエチレングリコールで被覆して潤滑性を確保することがある。しかし、多量のポリエチレングリコール水溶液を飲むことは、患者にとって大きな苦痛である。
これらの問題を解決するものとして、例えば、特許文献1には、医療器具を構成する基材の表面を親水化し、体腔内に存在する体液等により湿潤させて潤滑性を発現させるガイドワイヤが提案されている。具体的に、特許文献1には、基材表面の親水化方法として、無水マレイン酸系高分子とポリウレタンとの混合溶液に浸漬させて皮膜を形成させた後、加熱処理して潤滑層を形成し、さらに潤滑層をアンモニアやアミンで処理する方法が記載されている。
特開平9−276392号公報
しかしながら、体腔内はどの部位でも常に水分を有しているとは限らないから、湿潤時に表面潤滑性を発現するだけでは必ずしも挿入性が良いとは言えなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、充分に湿潤している体腔内のみならず湿潤していない体腔内への挿入性にも優れた医療器具を提供することを目的とする。
[1] 基材と、該基材の表面に形成された潤滑層とを有し、潤滑層は撥水性樹脂製の微粒子と親水性樹脂とを含むことを特徴とする医療器具。
[2] 微粒子を構成する撥水性樹脂がポリ四フッ化エチレンであることを特徴とする[1]に記載の医療器具。
[3] 内視鏡の体腔内挿入部に使用されることを特徴とする[1]または[2]に記載の医療器具。
[4] ガイドワイヤであることを特徴とする[1]または[2]に記載の医療器具。
[5] カテーテルであることを特徴とする[1]または[2]に記載の医療器具。
本発明の医療器具は、充分に湿潤している体腔内のみならず湿潤していない体腔内への挿入性にも優れている。
本発明の医療器具の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の医療器具を示す。本実施形態例の医療器具10は、長手方向に垂直な断面が円形状の管状の基材11と、基材11の内周面及び外周面に形成された潤滑層12とを有する。
(基材)
基材11の材質としては、例えば、金属(例えば、ステンレス等)、樹脂(ナイロン、ポリオレフィン、ポリウレタン、シリコーン樹脂等)、セラミックスなどが挙げられる。
医療器具10として好適に用いられる点では、基材11の外径は0.3〜15mmであることが好ましく、孔径は0.15〜10mmであることが好ましい。
(潤滑層)
潤滑層12は、撥水性樹脂製の微粒子と親水性樹脂とを含有する層である。
潤滑層12に含まれる撥水性樹脂製の微粒子は、平均粒子径が0.1〜30μm、好ましくは1〜10μmの粒子である。平均粒子径が0.1μm未満の微粒子は、製造が困難である上に、潤滑層12中に均一に分散させ難くなる。また、平均粒子径が30μmを超える微粒子は、潤滑層12の厚さよりも大きくなることが多く、脱落しやすくなる。
微粒子を構成する撥水性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、オレフィン樹脂等の非極性樹脂が挙げられる。これらの中でも、撥水性により優れることから、フッ素樹脂が好ましく、フッ素樹脂の中でも、ポリ四フッ化エチレンが特に好ましい。
微粒子の表面には、プライマ処理、薬液処理、プラズマ処理、イオン照射処理等の表面処理を施しておくことが好ましい。撥水性樹脂製の微粒子は親水性樹脂との接着性が低いが、表面処理を施すことにより接着性を向上させることができる。その結果、微粒子の剥離を防止できる。
微粒子がポリ四フッ化エチレン製の場合には、表面処理の中でも、金属ナトリウム溶液による薬液処理、プラズマ処理、イオン照射処理が好ましい。
潤滑層12における微粒子の含有量は、潤滑層12を構成する全成分を100質量%とした際の5〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。微粒子の含有量が5質量%以上であれば、非湿潤時での潤滑性をより高くでき、60質量%以下であれば、微粒子の剥離を防止できる。
親水性樹脂は、水溶性の樹脂、または、通常使用温度範囲(30〜40℃)での吸水率が10質量%以上、好ましくは100質量%以上の樹脂である。ここで、吸水率は、[(吸収した水の質量)/(親水性樹脂の質量)]×100(%)で求められる値である。吸水率が高い程、潤滑層12の表面潤滑性が高くなる。
親水性樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAという。)、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体(以下、VEMAという。)、ポリビニルピロリドン(以下、PVPという。)、ポリビニルアルコール(以下、PVAという。)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(以下、DMAAという。)、ポリビニルアセトアミド、ポリアクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(2−メタクロイルオキシエチルフォスフォリルコリン)、ポリ(2−メタクロイルオキシエチル−D−グリコシド)、ポリ(2−メタクロイルオキシエチル−D−マンノシド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)などの親水基を有する重合体が挙げられる。
また、親水性樹脂としては、前記親水基を有する重合体を形成するモノマー(以下、親水性モノマーという。)と反応性官能基を有するモノマー(以下、反応性モノマーという。)とが共重合した共重合体(以下、親水性共重合体という。)であってもよい。
ここで、反応性モノマーにおける反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、酸クロリド基、アルデヒド基、イソシアネート基などが挙げられる。
具体的に、反応性モノマーとしては、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を分子内に有するモノマー、アクリル酸クロライドやメタクリル酸クロライド等の酸クロライド基を分子内に有するモノマー、アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を分子内に有するモノマーなどが挙げられる。
反応性モノマーの中でも、エポキシ基とアクリロイル基またはメタクリロイル基とを有して、光または熱により重合するグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートが好ましい。グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートは取り扱いが容易であるという利点も有する。
親水性共重合体の中でも、親水性モノマー単位のユニットが凝集して親水性ドメインを形成すると共に反応性モノマー単位のユニットが凝集して反応性ドメインを形成するブロック共重合体またはグラフト共重合体が好ましい。親水性共重合体が、このようなブロック共重合体またはグラフト共重合体であると、潤滑層12の強度が向上し、また、潤滑性がより高くなる。
なお、反応性ドメインは、反応性モノマーと非反応性モノマーとの共重合体により形成されても構わない。
反応性官能基を有する親水性樹脂は、潤滑層12中にて、反応性官能基同士が反応して架橋している。親水性樹脂が架橋していると、潤滑層12が剥離しにくく、耐久性に優れる。
反応性官能基を有する親水性樹脂は2種以上を用いても構わないが、その場合には、互いに反応可能な反応性官能基を有する樹脂を選択することが好ましい。例えば、エポキシ基を有する親水性樹脂を含む場合には、他の親水性樹脂として、エポキシ基と反応可能な反応性官能基(例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、無水カルボン酸基、チオール基等)を有するものを選択することが好ましい。
また、潤滑層12には、バインダ樹脂が含まれていてもよい。バインダ樹脂は熱可塑性樹脂であってもよいし、硬化性樹脂(例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル等)であってもよい。ただし、バインダ樹脂は親水性樹脂との相溶性に優れ、かつ、微粒子の分散性を高くできるものを選択することが好ましい。
潤滑層12の厚さは1〜30μmであることが好ましい。潤滑層12の厚さが1μm以上であれば、潤滑性を充分に付与でき、30μm以下であれば、潤滑層12の剥離を防止できる。
(製造方法)
上記医療器具10を製造する方法としては、例えば、基材11の表面に、潤滑層形成用塗布液を塗布し、これにより形成された塗膜を硬化させる方法が挙げられる。
ここで、潤滑層形成用塗布液は、親水性樹脂と、微粒子と、必要に応じて、溶媒、バインダ樹脂、触媒、重合開始剤等を含有する液である。潤滑層形成用塗布液の調製方法としては、例えば、親水性樹脂を溶媒中に溶解した溶液に微粒子及びその他の成分を添加する方法などが挙げられる。
潤滑層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、ブレードコート、カーテンコート等を適用することができる。
硬化方法としては、例えば、塗膜を加熱する方法、塗膜に紫外線または電子線を照射する方法などが挙げられる。
塗膜を加熱する場合、短時間に硬化できることから、その温度は40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることが特に好ましい。また、加熱により塗膜を硬化させる場合には、触媒を添加することが好ましい。親水性樹脂がエポキシ基を有する場合には、触媒として、例えば、トリアルキルアミン、ピリジン等の3級アミンを使用できる。
紫外線を照射する場合に用いられる光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、アーク灯、ガリウムランプ等が挙げられる。
親水性樹脂が反応性官能基を有する場合には、親水性樹脂が硬化時に熱や光によって架橋して、潤滑層12を形成する。
バインダとして硬化性樹脂を含有する場合には、硬化性樹脂が硬化時に熱や光によって架橋して、潤滑層12を形成する。
また、上記医療器具10を製造する他の方法として、親水性樹脂と微粒子とを混合した混合物を溶融しながら基材表面に供給して成膜する方法が挙げられる。
(作用効果)
上述した医療器具10では、潤滑層12が親水性樹脂を含有しているため、体液や生理食塩水、緩衝液等の水を含む液体を吸収し、保持して、流体潤滑による湿潤性を発現する。しかも、潤滑層12に撥水性樹脂製の微粒子が含まれる。撥水性樹脂は摩擦係数が小さいため、水分の乏しい環境下でも潤滑機能を発揮する。したがって、医療器具10は、充分に湿潤している体腔内のみならず湿潤していない体腔内への挿入性にも優れている。
(他の実施形態例)
なお、本発明は上述した実施形態例に限定されない。例えば、上記実施形態例における基材11は管状、すなわち中空であったが、中実であっても構わない。また、上記実施形態例の基材11は長手方向に垂直な断面が円形状であったが、断面が、例えば、三角形状、四角形状等の多角形状であってもよいし、星型状であってもよい。
また、上述した実施形態例では、基材11の表面に潤滑層12を直接形成したが、変性樹脂を含む接着層を介して潤滑層12を形成してもよい。変性樹脂としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
接着層は、例えば、共押出、塗布などによって形成できる。基材が樹脂製である場合には、接着性が高くなることから、変性樹脂と基材が膨潤する溶媒を含む塗布液を基材に塗布して接着層を形成することが好ましい。
(用途)
本発明の医療器具は、例えば、気管支用内視鏡や大腸用内視鏡等の内視鏡を構成する体腔内挿入部に好適に使用される。
図2に、体腔内挿入部に医療器具を用いた内視鏡の一例を示す。この内視鏡20は、操作部本体21と、体腔内挿入部22とを備えている。体腔内挿入部22は、操作部本体21側から順に、可撓性を有して自在に屈曲する可撓管22aと、操作によって湾曲する湾曲部22bと、可撓性を有さず、湾曲もしない先端構成部22cとを有している。この可撓管22a、湾曲部22b、先端構成部22cの全部または一部に本発明の医療器具を用いることができる。ただし、それぞれの機能に応じて基材及び潤滑層の材質を選択することが好ましい。
また、本発明の医療器具は、ガイドワイヤ、カテーテル、各種器官挿入用の検査器具や治療器具、人工気管や人工気管支、人工肺等の体外循環治療用医療器やその回路類等として使用される。とりわけ、本発明の効果が発揮される点では、ガイドワイヤ、カテーテルとして好適に使用される。
(実施例1)
カルボキシ基含有ポリビニルピロリドン((株)日本触媒製PX4−VAAG−1)と、水溶性エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製デナコールEX810)を質量比率76:24の割合で混合し、これにより得た混合物を蒸留水に充分に溶解させて、固形分濃度15%の親水性樹脂組成物を調製した。
また、平均粒子径約2μmのポリ四フッ化エチレン(以下、PTFEという。)製微粒子の表面を、金属ナトリウム処理液((株)潤工社製テトラエッチA)で処理し、PTFE微粒子表面を極性化して、表面改質PTFE微粒子を得た。
前記親水性樹脂組成物と前記表面改質PTFE微粒子とを、固形分の質量比率1:1の割合で混合し、充分に攪拌した。その後、親水性樹脂組成物の固形分と表面改質PTFE微粒子との合計を100質量%とした際の0.5質量%の界面活性剤(ユニオンカーバイド社製タージトール15−S−9)を添加して、潤滑層形成用塗布液を得た。
次いで、この潤滑層形成用塗布液に、内視鏡20の体腔内挿入部22の先端構成部22c(図2参照)になるステンレス製の管状の基材を浸漬し、80℃の乾燥炉で揮発分を除去した後、200℃で30分加熱した。これにより、厚さ約20μmの潤滑層を形成して、器具(1)を得た。
(実施例2)
アジピン酸二塩化物72.3g中に50℃でトリエチレングリコール29.7gを滴下して反応させた後、この反応によって生成した塩酸を50℃で3時間減圧除去して、オリゴエステルを得た。
次いで、得られたオリゴエステル22.5gにメチルエチルケトン4.5gを添加して、オリゴエステルのメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、オリゴエステルのメチルエチルケトン溶液を、水酸化ナトリウム5gと31質量%過酸化水素6.93gと界面活性剤であるジオクチルホスフェート0.44gと水120gとを含む溶液中に滴下し、−5℃で20分間反応させた。この反応により得た生成物を水及びメタノールにより繰り返し洗浄した後、乾燥させて、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物(以下、PPOと表記する。)を得た。
次いで、前記PPOの0.5gを重合開始剤とし、グリシジルメタクリレート(以下、GMAと表記する。)9.5gを、ベンゼン溶媒30g中、80℃、2時間、減圧下で撹拌しながら重合させた。得られた反応物をジエチルエーテル中で再沈殿させて、分子内にパーオキサイド基を有するポリGMAを得た。
次いで、前記ポリGMAの1gを重合開始剤とし、親水性モノマーであるジメチルアクリルアミド8gをジメチルスルホキシド中に添加し、80℃で18時間重合させることにより、ポリGMAのユニットとポリDMAAのユニットを有するブロック共重合体を得た。このブロック共重合体におけるDMAAとGMAとのモル比(DMAA:GMA)は6:1であった。また、このブロック共重合体では、ポリGMAのユニットが反応性ドメインを形成し、ポリDMAAのユニットが親水性ドメインを形成する。
また、平均粒子径が約2μmのPTFEの微粒子の表面を、金属ナトリウム処理液(潤工社製テトラエッチA)で処理して、微粒子表面を極性化した表面改質PTFE微粒子を得た。
次いで、クロロホルム/トルエン(質量比1:1)の溶媒中に、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元共重合体(アルケマ社製ボンダインAX−8390)を1質量%、前記ブロック共重合体を2質量%、触媒であるピリジンを1質量%、前記表面改質PTFE微粒子を4質量%含む潤滑層形成用塗布液を調製した。
次いで、この潤滑層形成用塗布液に、内視鏡20の体腔内挿入部22の湾曲部22b(図2参照)になるスチレン系エラストマー((株)クラレ製セプトン)製の管状の基材を1分間浸漬した後、60℃のオーブン中で18時間乾燥させて、器具(2)を得た。
(実施例3)
ポリビニルピロリドン((株)日本触媒製K−90)と水溶性メラミン((株)三和ケミカル製ニカラックMX035)とを質量比率8:2の割合で混合し、硬化促進触媒として硝酸ジルコニウムを、ポリビニルピロリドンと水溶性メラミンとの合計を100質量%とした際の1質量%添加して、親水性樹脂組成物を調製した。
次いで、この親水性樹脂組成物と、実施例1で作製した表面改質PTFE微粒子とを、質量比率1:1の割合で混合し、充分に撹拌した。さらに、親水性樹脂組成物の固形分と表面改質PTFE微粒子の合計を100質量%とした際の0.5質量%の界面活性剤(ユニオンカーバイド社製タージトール15−S−9)を添加し、充分に撹拌して、潤滑層形成用塗布液を得た。
次いで、この潤滑層形成用塗布液に、内視鏡20の体腔内挿入部22の湾曲部22b(図2参照)になるポリウレタン製の管状の基材を浸漬した後、80℃の乾燥炉で揮発分を除去し、さらに150℃で20分間加熱した。これにより、厚さ約20μmの潤滑層を形成して、器具(3)を得た。
(比較例1)
実施例1にて用いたステンレス製の管状の基材である(器具(4))。
(比較例2)
実施例1における親水性樹脂組成物に、実施例1と同様のステンレス製の管状の基材を浸漬し、80℃の乾燥炉で揮発分を除去した後、200℃で30分加熱した。これにより、厚さ約15μmの潤滑層を形成して、器具(5)を得た。
(比較例3)
実施例2にて用いたスチレン系エラストマー製の管状の基材である(器具(6))。
(比較例4)
実施例3にて用いたポリウレタン製の管状の基材である(器具(7))。
実施例1〜3及び比較例1〜4の器具の潤滑性を評価した。
潤滑性の評価では、図3に示す動摩擦係数測定装置を用いた。この動摩擦係数測定装置は、測定試料Aが固定されると共に一方向に沿って往復動する移動台31と、測定試料Aに接するポリウレタン製の圧子32と、圧子32に垂直荷重を負荷する錘33と、圧子32にかかった移動方向と反対方向の水平荷重を検出して摩擦係数を測定する荷重変換機34とで構成されている。
この動摩擦係数測定装置では、測定試料Aを移動台31に固定すると共に、測定試料Aに圧子32を接触させる。このとき、圧子32に錘33によって垂直荷重の負荷をかける。次いで、移動台31を往復動させて、測定試料Aと圧子32とを摩擦させ、このときに生じた水平荷重を荷重変換機34によって測定して、摩擦係数を求めた。その際、錘33として100gの分銅を用い、移動台31の移動速度を600mm/分、移動距離を30mmとした。
実施例1〜3及び比較例1〜4の器具の動摩擦係数は、以下の条件で測定した。測定結果を表1〜3に示す。
(1)器具を湿潤させずに、初期(移動台31を1往復させたとき)の動摩擦係数を測定した。
(2)器具を水中に1分間放置し、湿潤させて、初期の動摩擦係数を測定した。
(3)器具を水中に1分間放置して湿潤させた後、空気中で30分間放置して、初期の動摩擦係数を測定した。空気中に放置することにより、水分の一部が蒸発した状態での潤滑性を調べることができる。
(4)器具を水中に10分間放置し、湿潤させて、初期の動摩擦係数を測定した。
(5)器具を水中に20分間放置し、湿潤させて、初期の動摩擦係数を測定した。
(6)器具を水中に1分間放置し、湿潤させて、移動台31を10往復させたときの動摩擦係数を測定した。
(7)器具を水中に1分間放置し、湿潤させて、移動台31を20往復させたときの動摩擦係数を測定した。
Figure 2009131312
Figure 2009131312
Figure 2009131312
潤滑層が撥水性樹脂製微粒子と親水性樹脂とを含む実施例1〜3の器具は、表1に示すように、非湿潤時で潤滑性に優れていた。また、表2に示すように、湿潤時の潤滑性にも優れていた。しかも、表3に示すように、潤滑性の耐久性にも優れていた。
潤滑層を有していなかった比較例1,3,4の器具では、湿潤させても潤滑性を発現しなかった。
潤滑層が撥水性樹脂製微粒子を含んでいなかった比較例2の器具では、湿潤状態では潤滑性を発現するものの、非湿潤状態では潤滑性を発現しなかった。
本発明の医療器具の一実施形態例を示す断面図である。 本発明の医療器具が使用される内視鏡を示す模式図である。 実施例及び比較例において潤滑性を評価するために用いた動摩擦係数測定装置を示す模式図である。
符号の説明
10 医療器具
11 基材
12 潤滑層
20 内視鏡
21 操作部本体
22 体腔内挿入部
22a 可撓管
22b 湾曲部
22c 先端構成部
31 移動台
32 圧子
33 錘
34 荷重変換機

Claims (5)

  1. 基材と、該基材の表面に形成された潤滑層とを有し、潤滑層は撥水性樹脂製の微粒子と親水性樹脂とを含むことを特徴とする医療器具。
  2. 微粒子を構成する撥水性樹脂がポリ四フッ化エチレンであることを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
  3. 内視鏡の体腔内挿入部に使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の医療器具。
  4. ガイドワイヤであることを特徴とする請求項1または2に記載の医療器具。
  5. カテーテルであることを特徴とする請求項1または2に記載の医療器具。
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