JP5932358B2 - 管腔挿入具およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面潤滑層に微細な空隙を有する管腔挿入具およびその製造方法に関する。
カテーテル・ガイドワイヤ等生体内に挿入される医療用具は、血管などの組織損傷を低減させ、かつ術者の操作性を向上させるため、優れた潤滑性を示すことが要求される。このため、潤滑性を有する親水性高分子を基材表面に被覆した、表面潤滑層を有するガイドワイヤやカテーテルが開発され、実用化されている。
ここで、親水性高分子が潤滑性を発揮するには、親水性高分子が水系液体(生理食塩水や血液など)で膨潤している必要がある。しかし、潤滑性の要求される医療用具は必ずしも常にウェットな環境で使用される訳ではない。例えば、消化器インターベンションや呼吸器インターベンションの領域では、消化管や気管内等の大気環境下において表面潤滑層が次第に乾燥していき、術中に操作が困難になることがある。また心血管インターベンションのように体内においてはウェットな環境におかれる医療用具であっても、体外での表面潤滑層の乾燥を防止するために頻繁に生理食塩水等で医療用具を湿らせるといった煩雑な作業が要求されている。このような表面潤滑層の乾燥は、医療用具と生体との摩擦力を増大させ、患者に苦痛および傷害を与える可能性がある。
このため、表面潤滑層は大気環境下において高い保水性(潤滑維持性)を有していることが望ましい。この要求を満足させるため、特許文献1には、基材の表面粗さを増加させることで、表面潤滑層を形成する親水性高分子と基材との接着を強固にし、表面潤滑層の保水性を向上させる医療機器が開示されている。
特表2011−516230号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、基材を変形させる必要があるため、カテーテルやガイドワイヤ等、薄肉かつ細径の管状挿入具に適用することは困難であり、適応できる医療機器の種類が制限されるという問題があった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、薄肉かつ細径の管腔挿入具であっても、優れた潤滑維持性を発揮する管腔挿入具の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、微細な空隙を有する表面潤滑層を簡便な手法で基材に固定化し、湿潤後、大気中においても優れた潤滑維持性を発揮する管腔挿入具の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、(1)親水性高分子と微細気泡とを含むコート溶液を基材層にコートする工程と、前記コート溶液がコートされた基材層を乾燥して、空隙を有する表面潤滑層を形成する工程と、を含む、管腔挿入具の製造方法である。
また、上記目的を達成するための本発明は、(2)前記微細気泡が、平均直径50〜5000nmであり、前記コート溶液中に10〜10個/mL含まれる、請求項1に記載の管腔挿入具の製造方法である。
さらに、上記目的を達成するための本発明は、(3)基材層と、前記基材層の少なくとも一部に担持された表面潤滑層と、を備え、前記表面潤滑層中に、平均直径50〜5000nmの空隙を1〜1,000個/mm有する、管腔挿入具である。
本発明は、表面潤滑層に微細な空隙を有し、優れた表面潤滑維持(保水性)を発揮する管腔挿入具の製造方法を提供する。また、本発明の製造方法によれば、微細な空隙を有する表面潤滑層を簡便な手法で基材に固定化し、湿潤後、大気中においても優れた潤滑維持性(保水性)を発揮する管腔挿入具が提供される。
本発明の表面潤滑層に微細な空隙を有する管腔挿入具(以下、単に管腔挿入具とも略記する)の実施形態の表面の積層構成を模式的に表した部分断面図である。 本実施形態の応用例として、表面の積層構成の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。 本発明の管腔挿入具の微細な空隙を有する表面潤滑層の電子顕微鏡写真である。 比較例の表面潤滑層の電子顕微鏡写真である。 実施例で用いた表面潤滑維持性の評価試験装置(摩擦測定機)の模式図である。 実施例1で得られた管腔挿入具(サンプル)の表面潤滑層の潤滑維持性評価の試験結果を示すグラフである。 比較例1で得られた管腔挿入具(サンプル)の表面潤滑層の潤滑維持性評価の試験結果を示すグラフである。
本発明は、親水性高分子と微細気泡とを含むコート溶液を基材層にコートする工程と、前記コート溶液がコートされた基材層を乾燥して、空隙を有する表面潤滑層を形成する工程と、を含む、管腔挿入具の製造方法に関する。マイクロオーダー以下(特に50μm以下)の微細気泡は、気泡の上昇速度が遅く、気泡表面が帯電しているため、気泡同士が凝集することなく、長期間安定して液中に分散することができる。本発明の製造方法によれば、微細気泡と親水性高分子とを含むコート溶液を用いて基材層をコートし、乾燥することで、空隙を有する親水性高分子を含む表面潤滑層が形成される。表面潤滑層を形成する過程で、コート溶液の微細気泡が鋳型となり、表面潤滑層中に空隙が形成される。本発明で用いられる微細気泡(好ましくは平均直径50〜5000nm)は、液中に安定した状態で分散して存在することができるため、所望のサイズおよび量(数)の空隙を表面潤滑層中に形成することができる。また、得られた空隙に水を保持することができるため、本発明の製造方法により得られる管腔挿入具は、湿潤時に優れた潤滑性を発揮できるとともに、湿潤後、大気環境下でも長時間潤滑性を維持することができる。また、このようにして、本発明によると、親水性高分子を含む表面潤滑層を、基材層表面に簡便な手法で固定化することができ、優れた表面潤滑性および潤滑維持性を発揮することができる。
また、本発明は、基材層と、前記基材層の少なくとも一部に担持された表面潤滑層と、を備え、前記表面潤滑層中に、平均直径50〜5000nmの空隙を1〜1,000個/mm有する、管腔挿入具を提供する。本発明の管腔挿入具によれば、表面潤滑層が微細な空隙を有するが、当該空隙が表面潤滑層の厚みより小さく微細なため、マクロ(巨視的)な視点では表面潤滑層の形状は変化しない。このため、空隙により表面潤滑性を悪化させることなく、また、当該空隙に水を保持することができるため、表面潤滑層の潤滑性が維持されうる。よって、本発明の管腔挿入具は、湿潤時に優れた潤滑性を発揮できるとともに、湿潤後、大気環境下でも長時間潤滑性を維持することができる。
また、本発明の好ましい実施形態では、親水性高分子が反応性官能基を有する。親水性高分子が反応性官能基を有することで、親水性高分子の反応性官能基部分が、基材層と結合するため、表面潤滑層は基材層に強固に固定化されうる。さらには、親水性高分子の反応性官能基部分は、隣接する反応性官能基と架橋し、架橋構造を形成させ、表面潤滑層の強度を高めることができる。すなわち、本発明の管腔挿入具は、親水性高分子の反応性官能基を介して、基材層と表面潤滑層とが強固に固定化でき、さらには、架橋構造を形成することで強固な表面潤滑層が形成される。ゆえに、本発明により形成された表面潤滑層は、基材表面からの溶出・剥離を効果的に抑制・防止できる。
したがって、本発明の管腔挿入具およびその製造方法は、基材、コート溶液を選ばず、溶液塗布(コーティング)で作製される全ての管腔挿入具に適用できる。なお、本明細書中、管腔挿入具とは、生体内の管腔において挿入して用いられる用具であれば、特に制限されない。生体内の管腔としては、たとえば、血管、胆管、消化器官、気管、気管支、尿管、膣がある。
以下、まず、添付した図面を参照しながら、本発明の製造方法により得られる管腔挿入具の全体構造を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1Aは、本発明の実施形態である空隙を含む表面潤滑層を有する管腔挿入具(以下、単に「管腔挿入具」ともいう)の表面の積層構成を模式的に表した部分断面図である。図1Bは、本実施形態の応用例として、表面の積層構成の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。図1Aおよび図1Bに示されるように、本実施形態の管腔挿入具10では、基材層1と、基材層1の少なくとも一部を覆う(図中では、図面内の基材層の全体を被覆した例を示す)表面潤滑層2と、を備え、表面潤滑層2中に、平均直径50〜5000nmの空隙3を1〜1,000個/mm有する。表面潤滑層2としては、微細気泡と親水性高分子とを含むコート溶液を基材層にコートし、該コート溶液がコートされた基材層を乾燥することで、空隙を有する、親水性高分子を含む表面潤滑層が形成される。この際、親水性高分子として、反応性官能基を有する親水性高分子を用いる場合、反応性官能基が基材層1と反応して強固に固定化され、さらに反応性官能基が隣接する反応性官能基と架橋構造を形成させ、表面潤滑層の強度を高めることができる。
以下、本実施形態の管腔挿入具を、構成部材ごとに詳しく説明する。
[基材層]
本実施形態で用いられる基材層としては、いずれの材料から構成されてもよく、その材料は特に制限されない。具体的には、基材層1を構成(形成)する材料は、金属材料、高分子材料、およびセラミックス材料などが挙げられる。ここで、基材層1は、基材層1全体(全部)が上記いずれかの材料で構成(形成)されても、または、図1Bに示されるように、上記いずれかの材料で構成(形成)された基材層コア部1aの表面に他の上記いずれかの材料を適当な方法で被覆(コーティング)して、表面層1bを構成(形成)した構造を有していてもよい。後者の場合の例としては、樹脂材料等で形成された基材層コア部1aの表面に金属材料が適当な方法(メッキ、金属蒸着、スパッタ等従来公知の方法)で被覆(コーティング)されて、表面層1bを形成してなるもの;金属材料やセラミックス材料等の硬い補強材料で形成された基材層コア部1aの表面に、金属材料等の補強材料に比して柔軟な高分子材料が適当な方法(浸漬(ディッピング)、噴霧(スプレー)、塗布・印刷等の従来公知の方法)で被覆(コーティング)あるいは基材層コア部1aの補強材料と表面層1bの高分子材料とが複合化(適当な反応処理)されて、表面層1bを形成してなるものなどが挙げられる。よって、基材層コア部1aが、異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは管腔挿入具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。また、基材層コア部1aと表面層1bとの間に、さらに別のミドル層(図示せず)が形成されていてもよい。さらに、表面層1bに関しても異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは管腔挿入具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。
上記基材層1を構成(形成)する材料のうち、金属材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、ステント、留置針等の用途に一般的に使用される金属材料が使用される。具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS420J2、SUS630などの各種ステンレス鋼(SUS)、金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、アルミニウム、スズあるいはニッケル−チタン(Ni−Ti)合金、ニッケル−コバルト(Ni−Co)合金、コバルト−クロム(Co−Cr)合金、亜鉛−タングステン(Zn−W)合金等の各種合金、金属−セラミックス複合体などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記金属材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、ステント、留置針等の基材として最適な金属材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層1を構成(形成)する材料のうち、高分子材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、ステント、留置針等の用途に一般的に使用される高分子材料が使用される。具体的には、ポリアミド樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(ポリウレタン)、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、ポリエステル樹脂、スチロール樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、およびそれらの共重合体などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記高分子材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、ステント、留置針等の基材として最適な高分子材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層の形状は、特に制限されることはなく、シート状、線状(ワイヤ)、管状など使用態様により適宜選択される。
また、上記ミドル層(図示せず)に用いることができる材料としては、特に制限されるものではなく、基材層コア部1aと表面層1bとの結合機能を十分に発現し得る材料を適宜選択すればよい。例えば、上記基材層1の材料と同様の材料が使用できるが、これらに何ら限定されるものではない。
[表面潤滑層]
本実施形態の管腔挿入具を構成する表面潤滑層2の厚さとしては、空隙3の大きさ(特に表面潤滑層2の厚さ方向における直径)より大きければ、特に制限されないが、表面潤滑層が基材層に強固に固定化され、かつ使用時の優れた表面潤滑性、および保水性(潤滑維持性)を発揮することができるだけの厚さを有することが好ましい。このような観点から、表面潤滑層の厚さ(未膨潤時の表面潤滑層の厚さ)は、好ましくは0.1〜15μm、より好ましくは0.3〜7μm、さらに好ましくは0.5〜5μmの範囲とするのが望ましい。このような厚みであれば、均一な被膜を容易に形成でき、表面の潤滑性、および保水性(潤滑維持性)を十分発揮できる。よって、本発明の管腔挿入具は、生体内のドライな環境下におかれた場合であっても、表面潤滑性を維持し、また、表面潤滑層が強固に固定化されているため、管腔挿入具と血管等の接触により表面潤滑層が剥離することがなく、表面潤滑性が維持される。
本実施形態の管腔挿入具を構成する表面潤滑層2は、吸水して潤滑性を示すものであればどのようなものであってもよい。例えば、親水性高分子などが挙げられる。以下に具体例を示す。
(親水性高分子)
本実施形態の表面潤滑層として用いられる親水性高分子は、吸水して潤滑性を示すものであればどのようなものであってもよい。具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、およびそれらの誘導体といった親水性高分子であれば、湿潤時に吸水して潤滑性を発現することができる。これら親水性高分子を基材層に強固に固定化するためには、適量の架橋剤を添加するか、表面潤滑層を形成する親水性高分子に反応性官能基を導入するなどにより、親水性高分子を架橋させることが好ましい。
親水性高分子に反応性官能基を導入する方法としては、反応性官能基を有する単量体(以下、「反応性単量体」とも称する。)と、親水性単量体とを共重合させる方法が挙げられる。ここで、反応性単量体とは、架橋反応等が可能な反応性官能基を有する単量体を意味する。反応性官能基は、特に制限されないが、エポキシ基、酸ハライド基、アルデヒド基、イソシアネート基、酸無水物基;などの官能基でありうる。そして、反応性単量体としては、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルグリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を分子内に有する単量体;(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、(メタ)アクリル酸アイオダイドなどの酸ハライド基を分子内に有する単量体;(メタ)アクリルアルデヒドなどのアルデヒド基を分子内に有する単量体;アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基を分子内に有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基を分子内に有する単量体;などを例示できる。これらのうち、反応性官能基を有する単量体としては、エポキシ基を有する単量体が好ましく、反応が熱等により促進され、取り扱いも比較的容易であるグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートがより好ましい。これらの単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合の重合体の形態は、ブロック共重合体でもよいしランダム共重合体でもよい。
また、親水性単量体としては、特に制限されないが、例えば、アクリルアミドやその誘導体、ビニルピロリドン、アクリル酸やメタクリル酸およびそれらの誘導体、ポリエチレングリコールアクリレートおよびその誘導体、糖やリン脂質を側鎖に有する単量体、無水マレイン酸などの水溶性の単量体などを例示できる。より具体的には、N−メチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン、2−メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド、2−メタクリロイルオキシエチル−D−マンノシド、ビニルメチルエーテル、ヒドロキシエチルメタクリレートなどを好適に例示できる。合成の容易性や操作性の観点から、好ましくは、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレートであり、より好ましくはN,N’−ジメチルアクリルアミドである。これらの親水性単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合の重合体の形態は、ブロック共重合体でもよいしランダム共重合体でもよい。
良好な潤滑性を発現するためには、親水性高分子が、反応性単量体と親水性単量体とが共重合された架橋反応可能な反応性官能基を有する重合体であることが好ましく、反応性官能基を有する単量体から形成されるブロックと、親水性単量体から形成されるブロックとを有するブロック共重合体であることがより好ましい。こうしたブロック共重合体であると、表面潤滑層の強度や潤滑性において良好な結果が得られる。
また、本発明のより好ましい実施形態では、親水性高分子が、エポキシ基を有する単量体を少なくとも一つの構成単位とした反応性ドメインと、親水性単量体を少なくとも一つの構成単位とした親水性ドメインと、を有するブロック共重合体である。反応性官能基であるエポキシ基が、基材層との反応に加えて、隣接するエポキシ基と反応することで、隣接する親水性高分子が架橋構造を形成させ、表面潤滑層の強度を高めることができる。
親水性高分子を重合させる親水性高分子の製造法(重合法)については、特に制限されるものではなく、公知の重合方法が使用できるが、一般的には、重合開始剤を用いて単量体を重合させればよい。単量体成分(たとえば、反応性単量体、親水性単量体)の重合方法は、特に制限されず、例えば、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行なうことができる。また、本実施形態の親水性高分子がブロック共重合体またはグラフト共重合体である場合には、例えば、リビング重合、マクロモノマーを用いた重合、高分子重合開始剤を用いた重合、重縮合などが例示できるが、特に限定されない。
本実施形態の親水性高分子(表面潤滑層)としては、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、グリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド共重合体が好ましく、グリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド共重合体(特にブロック共重合体)がより好ましい。
(空隙)
本実施形態における空隙とは、表面潤滑層中において親水性高分子が存在しない空間であり、気体(膨潤時は液体)が存在する。本発明の表面潤滑層は、平均直径50〜5000nmの空隙を1〜1,000個/mm有する。
本実施形態における空隙において、空隙の形状は特に制限されず、球形、ラグビーボール形、円盤形、不定形など、本発明の目的を損なわない範囲で任意の形状であってよい。本実施形態において、空隙は、平均直径(個数平均直径)50〜5000nmであり、好ましくは100〜3000nm、より好ましくは100〜2000nm、さらに好ましくは100〜1000nmである。空隙の平均直径が50nm未満の場合、大きな保水効果が認められず、平均直径が5000nmを超える場合、表面潤滑層表面の凹凸が大きくなりすぎて、触感に影響が出る可能性がある。空隙の平均直径が上記範囲内であれば、表面潤滑層の良好な潤滑性を維持し、空隙の中に水を十分に保持することができるため、大気中に放置されても、潤滑維持性(保水性)の効果が発揮される。なお、空隙の平均直径(個数平均直径)の測定方法は、特に制限されず、公知の測定方法がそのままあるいは適宜修飾を加えて適用できる。本明細書では、空隙の平均直径(個数平均直径)は、表面潤滑層を剃刀で切断し、その断面をSEM等の電子顕微鏡により観測し、断面積3500μmの領域(50μm×70μmの領域)に含まれる表面潤滑層断面の空隙の直径を、ひとつずつ、それぞれ測定し、それら全てを相加平均した平均値を意味する。なお、視野に含まれる空隙の形状が楕円形や不定形であった場合、空隙の一番長い距離(長軸)を空隙の直径として測定する。なお、表面潤滑層の切断は、基材層に対して平行方向であっても垂直方向であっても特に制限されない。また、SEMの一観測視野内における表面潤滑層の断面積が3500μmに満たない場合は、複数箇所で切断した表面潤滑層のトータルの断面積が3500μm以上となるようにすればよい。
本実施形態において、表面潤滑層は、空隙を1〜1,000個/mm、好ましくは10〜1,000個/mm、より好ましくは50〜1,000個/mm有する。なお、空隙の個数(単位面積当たり)の測定方法は、特に制限されず、公知の測定方法がそのままあるいは適宜修飾を加えて適用できる。本明細書では、空隙の個数(単位面積当たり)は、表面潤滑層を剃刀で切断し、その断面をSEM等の電子顕微鏡により観測し、断面積3500μmの領域(50μm×70μmの領域)に含まれる表面潤滑層断面の空隙の個数をカウントし、それら個数を単位面積当たりに換算した値を意味する。
[管腔挿入具の製造方法]
次に、本実施形態の管腔挿入具の製造方法について説明する。
本発明の管腔挿入具の製造方法は、親水性高分子と微細気泡とを含むコート溶液を基材層にコートする工程と、前記コート溶液がコートされた基材層を乾燥して、空隙を有する表面潤滑層を形成する工程と、を含む。
以下、工程順に、本発明の管腔挿入具の製造方法を説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
<親水性高分子と微細気泡とを含むコート溶液を基材層にコートする工程>
本工程では、まず、微細気泡と親水性高分子とを含むコート溶液を調製し、基材層に、当該コート溶液をコート(以下、「塗布」または「コーティング」とも称する)する。
本実施形態で用いられるコート溶液は、溶媒と微細気泡と親水性高分子とを含む。親水性高分子としては、上述した親水性高分子が用いられる。
(溶媒)
コート溶液に用いられる溶媒は、特に制限されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化物;ブタン、ヘキサン等のオレフィン類;テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド類;などを例示することができるが、これらに制限されるものではない。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
(微細気泡)
本実施形態において、コート溶液に含まれる微細気泡のガス種としては、特に制限されず、例えば、大気、水素、酸素、オゾン、二酸化炭素、窒素、アルゴン等が挙げられ、所望のコート溶液とするために適切なガス種を選択できる。
コート溶液に含まれる微細気泡としては、平均直径が、好ましくは50〜5000nmであり、より好ましくは100〜3000nmであり、さらに好ましくは100〜2000nmであり、特に好ましくは100〜1000nmである。微細気泡の平均直径が、上記範囲内であれば、微細気泡が長期間、液中で、気泡として、サイズを維持したまま安定して存在し、表面潤滑層が形成される際にも、気泡のサイズを反映した空隙を得ることができる。また、微細気泡のサイズが上記範囲内であれば、得られた空隙により、表面潤滑維持性の効果も発揮されうる。なお、微細気泡の平均直径(個数平均直径)の測定方法は、特に制限されず、レーザー光を用いた動的光散乱法、レーザー光を用いたレーザー回折・散乱法、デジタルマイクロスコープやCCDカメラによる可視化法、コールターカウンター法(細孔電気抵抗法)などの公知の測定方法がそのままあるいは適宜修飾を加えて適用できる。本明細書において、微細気泡の平均直径は、ナノ粒子のブラウン運動を測定し、その挙動からナノ粒子の粒径を算出する粒度分布測定装置であるNanoSight LM10(NanoSight社製)により測定している。
コート溶液に含まれる微細気泡の個数は、分散方法によりさまざまであり、特に制限されないが、好ましくは10〜10個/mL、より好ましくは10〜10個/mL、さらに好ましくは10〜10個/mLである。微細気泡の個数が上記範囲内であれば、形成される空隙により、表面潤滑層に保水性を付与することができる。さらに、表面潤滑層に高い保水性を持たせるためには10個/mL以上であることがより好ましい。なお、微細気泡の個数は、上記NanoSight LM10により観測される気泡の数を測定する。
コート溶液に、微細気泡を分散させる公知の方法としては、円筒型容器(装置)の下部から圧力水を送り、容器(装置)内部に液旋回流を形成させ、旋回流で生じた容器(装置)中心軸の減圧部に空気が自給されることにより、気体旋回流が発生し、該気体が容器(装置)出口付近で切断、粉砕されて、微細気泡を発生させる旋回液流式(特開2006−116365号公報など);螺旋状に誘導した気液2相流を、突起(カレントカッター)により破砕し、微細気泡を発生させるスタティックミキサー式(特開2002−85949号公報など);ノズルから液を高速に噴出させ、その出口付近に生じた負圧を利用して気体を吸引し、乱流混合およびせん断により微細気泡を発生させるエジェクター式;ベンチュリー管の絞り部に気液を同時に流し、液流速の急激な変化により生成した衝撃波で大気泡を破砕して微細気泡を発生させるベンチュリー式;水中に空気を加圧して溶解させ、ノズルを通して水中にフラッシュ操作することで、微細気泡を発生させる加圧溶解式(特開2009−72662号公報など);などの液を流動させる方法、およびシラスを原料とする多孔質ガラスなどを通過させることにより微細気泡を発生させる細孔式;焼結体からなるローターを外周部のステーターの中で高速回転させてガスを発生させて微細気泡を発生させる回転式;針状の細管から発生する気泡に超音波を照射することにより微細気泡を発生させる超音波式(特開2002−113340号公報など);窒素と水蒸気の混合蒸気を細いノズルから水中に吹き込み、水蒸気を凝縮させ、窒素の微細気泡を発生させる蒸気凝縮式;水の電気分解を行った後、低周波振動撹拌を行い、電極により発生する酸素の微細気泡を発生させる電気分解式;などの液を流動させない方法などの公知のマイクロバブルの発生方法があり、それらをそのままあるいは適宜修飾を加えて適用できる(マイクロバブル・ナノバブルの最新技術II、2010年、CMC出版)。
上記のコート溶液に微細気泡を分散させる装置としては、特に制限されず、マイクロバブル発生装置またはナノバブル発生装置等の微細気泡発生装置として市販されているものを使用することができ、具体的には、例えば、株式会社アスプ製「MA2」、「MA2−FS」、「MA3−FS」、「ASK3」、「SMX115」、「SMX554」、株式会社協和機設製バヴィタス「HYK25」、「HYK−32」、「HYK−20−SD」、IDEC社製nanoGALF、ナノプラネット社製「M2−LM」、「M2−MS」等を好ましく使用することができる。
(コート溶液の調製方法)
コート溶液の調製方法は、特に制限されず、(1)コート溶液を構成する溶媒に親水性高分子を溶解した溶液を調製した後、当該溶液に微細気泡を分散させてコート溶液としてもよいし、(2)コート溶液を構成する溶媒に微細気泡を分散させた後に、当該溶液に親水性高分子を溶解させコート溶液としてもよいが、分散した微細気泡の安定性という観点から、(1)が好ましい。
コート溶液中の親水性高分子の濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜15質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。親水性高分子の濃度が上記範囲であれば、1回のコーティングで所望の厚みの均一な表面潤滑層を容易に得ることができ、操作性(例えば、コーティングのしやすさ)、生産効率の点で好ましい。ただし、上記範囲を外れても、本発明の作用効果に影響を及ぼさない範囲であれば、十分に利用可能である。
コート溶液に、微細気泡を分散させる方法は上記した方法から、適宜選択して用いられる。
(基材層をコート溶液でコートする方法)
コート溶液を基材層にコートする方法としては、特に制限されるものではなく、浸漬法(ディッピング法)、塗布・印刷法、噴霧法(スプレー法)、スピンコート法、混合溶液含浸スポンジコート法など、従来公知の方法を適用することができるが、浸漬法(ディッピング法)を用いるのが好ましい。
また、基材層の一部にのみ表面潤滑層を形成させる場合には、基材層の一部のみをコート溶液中に浸漬して、該コート溶液を基材層の一部にコーティングすることで、基材層の所望の表面部位に、表面潤滑層を形成することができる。
基材層の一部のみをコート溶液中に浸漬するのが困難な場合には、予め表面潤滑層を形成する必要のない基材層の表面部分を着脱(装脱着)可能な適当な部材や材料で保護(被覆等)した上で、基材層をコート溶液中に浸漬して、該コート溶液を基材層にコートした後、表面潤滑層を形成する必要のない基材層の表面部分の保護部材(材料)を取り外し、その後、加熱操作等により反応させることで、基材層の所望の表面部位に表面潤滑層を形成することができる。ただし、本発明では、これらの形成法に何ら制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用して、表面潤滑層を形成することができる。例えば、基材層の一部のみをコート溶液中に浸漬するのが困難な場合には、浸漬法に代えて、他のコーティング手法(例えば、管腔挿入具の所定の表面部分に、コート溶液を、スプレー装置、バーコーター、ダイコーター、リバースコーター、コンマコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ドクターナイフなどの塗布装置を用いて、塗布する方法など)を適用してもよい。なお、管腔挿入具の構造上、円筒状の用具の外表面と内表面の双方が、表面潤滑層を有する必要があるような場合には、一度に外表面と内表面の双方をコーティングすることができる点で、浸漬法(ディッピング法)が好ましく使用される。
<空隙を有する表面潤滑層を形成する工程>
本工程では、コート溶液がコートされた基材層を乾燥して、空隙を有する表面潤滑層を形成する。当該工程により、コート溶液の溶媒が除去され、親水性高分子を含む表面潤滑層が形成される。この際、コート溶液に分散された微細気泡が、空隙として、表面潤滑層に存在することとなる。そのため、表面潤滑層に形成される空隙は分散された微細気泡のサイズをほぼ反映したものとなる。よって、本実施形態において、基材層を乾燥させることで、基材層上に、空隙を有する表面潤滑層が得られる。
コート溶液がコートされた基材層を乾燥させる方法は、特に制限されず、基材層を、常圧(大気圧)下、加圧下または減圧下で、常温に放置または加温(加熱)して、乾燥させればよい。加温する場合の温度としては、特に制限されないが、好ましくは20〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。加温する時間は、特に制限されないが、好ましくは15分〜24時間、より好ましくは30分〜15時間、さらに好ましくは1〜10時間である。加温する手段(装置)としては、例えば、オーブン、ドライヤー、マイクロ波加熱装置などを利用することができる。
本発明において、好ましい実施形態としては、親水性高分子として、反応性官能基を有する親水性高分子を用いる。その場合、コート溶液がコートされた基材層を乾燥させる際に、反応性官能基が、基材層と結合しうる。さらに、反応性官能基は、隣接する反応性官能基と架橋し、架橋構造を形成しうる。これにより、親水性高分子が反応性官能基を介して基材層に強固に固定化され、反応性官能基により形成される架橋構造により強度の優れた表面潤滑層が形成される。
加温温度、加温股間が上記範囲であれば、架橋反応が効率的に進行し、未架橋の親水性高分子の量を少なくすることができ、表面潤滑性を長期間維持することが可能となる。また、製造コストの面でも有利である。
また、親水性高分子の架橋反応可能な反応性官能基がエポキシ基の場合、架橋反応を促進することができるように、トリアルキルアミン系化合物やピリジン等の3級アミン系化合物などの反応触媒を、親水性高分子を溶解する溶媒に適時適量添加して用いてもよい。
また、加熱処理以外にも親水性高分子の架橋反応を促進させる方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、光照射、紫外線(UV)照射、電子線照射、放射線照射、プラズマ照射など、従来公知の方法を適用することができる。
以上のようにして表面潤滑層を形成させた後には、余剰の親水性高分子等を、適用な溶剤で洗浄し、表面潤滑層が直接基材層に強固に固定化されてなる、架橋構造体のみを残存させることも可能である。
こうして形成された表面潤滑層を構成する架橋構造体は、表面潤滑性および潤滑維持性(保水性)を発現するものである。
<管腔挿入具>
本発明の表面潤滑性および保水性を有する管腔挿入具としては、上記実施形態のいずれにおいても、体液や生理食塩水などの水系液体と接触して用いる器具のことであり、水系液体から離脱した際に潤滑維持性を確実に発揮することが可能なものである。具体的には、血管内で使用されるカテーテル、ガイドワイヤ、ステント、留置針等が挙げられるが、その他にも以下の管腔挿入具が示される。
(1)内視鏡用ガイドワイヤ、胃管挿入用ガイドワイヤ、胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用チューブなどの経口もしくは経鼻的に消化器官内に挿入ないし留置されるガイドワイヤやカテーテル類。
(2)酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブ、気管切開用ガイドワイヤ、気管切開チューブ、気管内吸引カテーテルなどの経口または経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
(3)尿道用ガイドワイヤ、尿道カテーテル、導尿カテーテル、尿道バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるガイドワイヤやカテーテル類。
(4)吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテルなどの各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ。
(5)留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテルおよびダイレーターあるいはイントロデューサーなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ、スタイレットなど。
(6)人工気管、人工気管支など。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<作製方法>
(実施例1)
ナイロンエラストマー(エムエスケー・ジャパン株式会社製、グリルアミドELG5660グレード)を定法により押出成形し、長さ100mm、外径0.88mm、内径0.76mmの単層チューブを作製した。
親水性ドメインとしてポリジメチルアクリルアミド(DMAA)を、反応性ドメインとしてポリグリシジルメタクリレート(GMA)を有するブロックコポリマー[p(DMAA−b−GMA)](DMAA:GMA(モル比)=12:1)を3.5重量%の割合で溶解したTHF溶液中に、微細気泡発生装置(株式会社アスプ製、MA3FS)により、エアゲージ圧力0.4〜1.5MPaで、10分間微細気泡(大気ガス)を発生させ、コート液とした。作製したコート液中に含まれる微細気泡の粒度分布をナノ粒子解析装置NanoSightLM10(NanoSight社製)により解析したところ、平均直径約300nmの微細気泡が約10個/mL存在していた。作製したコート液に、上記単層チューブを浸漬し、30mm/secの速度で引き上げた後、130℃のオーブン中で3時間加熱することで表面潤滑層(厚さ:3μm)を形成した。
(実施例2)
実施例1で作製したコート液をPFA製シャーレ(直径50mm、アスワン社製)上に展開し、130℃のオーブン中で3時間加熱することで実施例1の表面潤滑層と同等のキャストフィルムを作製した(厚さ:200μm)。作製したキャストフィルムの断面SEM観察像を図2に示す。表面潤滑層中の空隙は、平均直径630nmであった。なお、平均直径は、表面潤滑層の断面積3500μmの領域(50μm×70μmの領域)に含まれる空隙の直径を、ひとつずつ、それぞれSEM観測によって測定し、それら全てを相加平均した平均値を用いている。なお、表面潤滑層は、基材層に対して垂直方向に切断し、その切断面をSEM観測に用いている。
また、表面潤滑層中に70個/mmの空隙が存在した。なお、空隙の個数は、表面潤滑層の断面積3500μmの領域(50μm×70μmの領域)に含まれる表面潤滑層断面の空隙の個数を、SEM観測によってカウントし、その個数を単位面積当たりに換算した値を用いている。
(比較例1)
コート液中に微細気泡を発生させなかった以外は、実施例1と同様の操作で比較例1を作製した。
(比較例2)
微細気泡を発生させない比較例1のコート液を実施例2と同様のシャーレ上に展開し、130℃のオーブン中で3時間加熱することで比較例1の表面潤滑層と同等のキャストフィルムを作製した。作製したキャストフィルムの断面SEM観察像を図3に示す。フィルム中に空隙は確認できなかった。
<潤滑維持性(潤滑持続性)の評価>
実施例1、比較例1で作製したチューブを用いて、大気中での表面潤滑維持性評価を行った。
図4に示すように、ガラスシャーレ31に両面テープを貼り付け、その接着面に、芯金に挿入したサンプル34(実施例1、比較例1で作製したチューブ)を固定した。シャーレ31中にPBSを満たし、試料を1分間浸漬した後、PBSを除去した。その後、速やかに摩擦測定機30(トリニティーラボ社製、ハンディートライボマスターTL201)の試料台にセットし、重り33によりSUS製球状接触子32に荷重を印加して、繰り返し往復運動させた際の摺動抵抗値を経時的に測定した。なお、評価は実施例1、比較例1共にn=2で行った。
実施例1、比較例1で作製したチューブの潤滑維持性評価結果を、図5、図6にぞれぞれ示す。比較例1では、試験開始直後から、表面潤滑層が乾いていくのに従い速やかに摺動抵抗値が上昇した。一方、実施例1では、摺動抵抗値が低い値で長時間維持された。これは、実施例1のチューブは、表面潤滑層の空隙に水を保水(維持)することができるためと考えられる。
以上の結果より、本発明によって大気中においても潤滑性が長時間維持される潤滑維持性(保水性)の高い表面潤滑層を、管腔挿入具表面に簡便に付与することができる。
1 基材層、
1a 基材層コア部、
1b 表面層、
2 表面潤滑層、
3 空隙、
10 管腔挿入具、
30 摩擦測定機、
31 シャーレ、
32 SUS製球状接触子、
33 重り、
34 サンプル。

Claims (2)

  1. 親水性高分子と、平均直径が50〜1000nmである微細気泡とを含むコート溶液を基材層にコートする工程と、
    前記コート溶液がコートされた基材層を乾燥して、空隙を有する表面潤滑層を形成する工程と、
    を含み、
    前記微細気泡が、前記コート溶液中に10 〜10 個/mL含まれる、管腔挿入具の製造方法。
  2. 基材層と、
    前記基材層の少なくとも一部に担持された表面潤滑層と、を備え、
    前記表面潤滑層中に、平均直径50〜1000nmの空隙を50〜1,000個/mm有する、管腔挿入具。
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