JP2024010351A - 医療用具 - Google Patents

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力也 小俣
Rikiya Omata
一樹 仲宗根
Kazuki Nakasone
健司 梅田
Kenji Umeda
拓哉 黒木
Takuya Kuroki
晶生 久野
Akio Kuno
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Abstract

【課題】機能性と操作性とを両立する医療用具を提供する。【解決手段】基材層と、前記基材層の少なくとも一部に形成された表面潤滑層と、を備える医療用具であって、前記表面潤滑層は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体を含み、前記温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成され、この際、前記構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%以上75モル%以下であり、前記構成単位(Y)は、ブロック状に配置される、医療用具【選択図】なし

Description

本発明は、医療用具に関する。
カテーテル、ガイドワイヤ等の生体内に挿入される医療用具は、血管などの組織損傷を低減させ、かつ術者の操作性を向上させるため、優れた潤滑性を示すことが要求される。このため、医療用具の基材層表面に潤滑性を有する親水性高分子を被覆する方法は、開発され実用化されている。一方、このような医療用具は、術者の操作性を保つため、術者の使用時に基材層表面に潤滑性を有する親水性高分子を維持できることも重要である。このため、親水性高分子によるコーティングには、優れた潤滑性のみならず磨耗や擦過等の負荷に対する耐久性も要求される。
このような観点から、特許文献1には、水溶性または水膨潤性重合体を、医療用具の基材が膨潤する溶媒に溶解させて重合体溶液を作製し、この重合体溶液に医療用具の基材を浸漬して膨潤させ、さらに基材層表面でこの重合体を架橋または高分子化させることによって、基材層表面に表面潤滑層を形成した医療用具が開示されている。
特開平8-33704号公報
特許文献1に開示された技術によれば、良好な潤滑性を示す表面潤滑層を基材に固定することができる。一方、医療用具の潤滑性が高い場合には、術者が操作する際に医療用具が滑って掴みにくくなり、操作性に課題がある場合がある。このため、生体外での挿入操作時の潤滑性は抑えつつ、術中接触する組織(例えば、生体管腔壁)に対しては良好な潤滑性を示す医療用具の開発が望まれている。しかし、ガイドワイヤ等の長尺な医療用具を血管等の生体管腔内に挿入する場合には、術者は生体外に位置する医療用具を把持し、生体管腔内に少しずつ押し進めていく。すなわち、上述したように術者が操作するためにつかむ部分は、体内に挿入される(即ち、操作中に潤滑性が求められる)部分でもあることが多いため、機能性(潤滑性)と操作性とを両立させることは難しかった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、機能性と操作性とを両立する医療用具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、特定の温度応答性高分子由来の構成単位を使用することによって、上記目的を達成できることを知得して、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的は、基材層と、前記基材層の少なくとも一部に形成された表面潤滑層と、を備える医療用具であって、前記表面潤滑層は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体を含み、前記温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成され、この際、前記構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%以上75モル%以下であり、前記構成単位(Y)は、ブロック状に配置される、医療用具によって達成される。
本発明によれば、機能性と操作性とを両立する医療用具を提供できる。
図1は、各実施例及び比較例で用いた潤滑温度依存性の評価に使用される装置(摩擦測定機)の模式図である。 図2は、本発明に係る方法により製造される医療用具の代表的な実施形態の表面の積層構成を模式的に表した部分断面図である。 図3は、図2の実施形態の応用例として、表面の積層構成の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。
本発明の一形態に係る医療用具は、基材層と、前記基材層の少なくとも一部に形成された表面潤滑層と、を備える医療用具であって、前記表面潤滑層は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体を含み、前記温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成され、この際、前記構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%以上75モル%以下であり、前記構成単位(Y)は、ブロック状に配置される。上記構成を有する医療用具は、機能性と操作性と(特に生体温度環境下での優れた潤滑性と生体外温度環での潤滑性の低下と)を両立できる。
本明細書において、「温度応答性高分子由来の構成単位(X)」を、単に「構成単位(X)」または「本発明に係る構成単位(X)」とも称する。「反応性官能基を有する構成単位(Y)」を、単に「構成単位(Y)」または「本発明に係る構成単位(Y)」とも称する。「温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体」を、単に「共重合体」または「本発明に係る共重合体」とも称する。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。本明細書において、「Aおよび/またはB」は、AおよびBの少なくとも一方を意味し、AおよびBの両方、または、AもしくはBのいずれか一方を包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」との語は、アクリルおよびメタクリルの双方を包含する。よって、例えば、「(メタ)アクリル酸」との語は、アクリル酸およびメタクリル酸の双方を包含する。同様に、「(メタ)アクリロイル」との語は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方を包含する。よって、例えば、「(メタ)アクリロイル基」との語は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の双方を包含する。
本明細書において、ある構成単位がある単量体に「由来する」と規定される場合には、当該構成単位が、対応する単量体の有する重合性不飽和二重結合の一方の結合の切断により生じる2価の構成単位であることを意味する。
特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~60%の条件で測定する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<医療用具>
本発明の一態様に係る医療用具は、基材層と、上記基材層の少なくとも一部に形成された表面潤滑層と、を備える。ここで、上記表面潤滑層は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体を含む。上記温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成され、この際、前記構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%以上75モル%以下である。また、上記構成単位(Y)は、ブロック状に配置される。上記構成を有する共重合体は、上限臨界溶液温度(Upper Critical Solution Temperature、UCST)を有する重合体(UCST型ポリマー)であり、生体温度環境(例えば、40℃)では良好な潤滑性を示しつつ、生体外温度環境(例えば、5℃)では低い潤滑性を示す。このような共重合体を含む表面潤滑層を備える本発明に係る医療用具によれば、血管などの生体管腔(生体内)に挿入した場合には、潤滑性を発揮する。このため、接触する生体組織(例えば、血管壁)を損傷することをなく、医療用具を容易に所望の位置まで挿入できる。また、本発明に係る医療用具は、温度を下げることにより任意のタイミングで潤滑性を消失または低下させることができる。このため、例えば、生体管腔に挿入する前に医療用具を所定温度に下げられた生理食塩水に漬けるなどにより術者が把持する基端側(生体外)の温度を下げることにより、潤滑性が低下する。このため、術者は医療用具をしっかりと把持した状態で生体管腔内に挿入できる。また、医療用具を所定位置に留置した後、所定温度に下げられた生理食塩水等を当該位置に供給して医療用具の温度を下げることにより、潤滑性が低下する。または、医療用具を足や腕の末梢血管等の体表に近い位置に留置した場合には、体表を濡れたガーゼ等で冷やすことにより、潤滑性が低下する。このため、これらの処置を行うことにより、医療用具を所定の位置に安定して維持(留置)できる。
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る医療用具の好ましい実施形態について説明する。
図2は、本発明に係る医療用具(以下、単に「医療用具」とも称する)の代表的な実施形態の表面の積層構造を模式的に表した部分断面図である。図3は、本実施形態の応用例として、表面の積層構造の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。
図2および図3に示されるように、本実施形態の医療用具100では、基材層101と、基材層101の少なくとも一部に形成された(図中では、図面内の基材層101表面の全体(全面)に固定化された例を示す)親水性共重合体を含む表面潤滑層102と、を備える。
以下、本実施形態の医療用具の各構成について説明する。
[基材層(基材)]
本発明で用いられる基材層は、いずれの材料から構成されてもよく、用途に応じて適切に選択できる。具体的には、基材層101を構成(形成)する材料は、金属材料、高分子材料、セラミックス等が挙げられる。ここで、基材層101は、図2に示されるように、基材層101全体(全部)が上記いずれかの材料で構成(形成)されても、または、図3に示されるように、上記いずれかの材料で構成(形成)された基材層コア部101aの表面に他の上記いずれかの材料を適当な方法で被覆(コーティング)して、基材表面層101bを構成(形成)した構造を有していてもよい。後者の場合の例としては、樹脂材料等で形成された基材層コア部101aの表面に金属材料が適当な方法(メッキ、金属蒸着、スパッタ等従来公知の方法)で被覆(コーティング)されて、基材表面層101bを形成してなるもの;金属材料やセラミックス材料等の硬い補強材料で形成された基材層コア部101aの表面に、金属材料等の補強材料に比して柔軟な高分子材料が適当な方法(浸漬(ディッピング)、噴霧(スプレー)、塗布・印刷等の従来公知の方法)で被覆(コーティング)あるいは基材層コア部101aの補強材料と基材表面層101bの高分子材料とが複合化(適当な反応処理)されて、基材表面層101bを形成してなるもの等が挙げられる。よって、基材層コア部101aが、異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。また、基材層コア部101aと基材表面層101bとの間に、さらに別のミドル層(図示せず)が形成されていてもよい。さらに、基材表面層101bに関しても異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。
上記基材層101を構成(形成)する材料のうち、金属材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ステント、ガイドワイヤ等の医療用具に一般的に使用される金属材料が使用される。具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS420J2、SUS630等の各種ステンレス鋼(SUS)、金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、アルミニウム、スズあるいはニッケル-チタン(Ni-Ti)合金、ニッケル-コバルト(Ni-Co)合金、コバルト-クロム(Co-Cr)合金、亜鉛-タングステン(Zn-W)合金等の各種合金が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記金属材料には、使用用途であるカテーテル、ステント、ガイドワイヤ等の基材層として最適な金属材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層101を構成(形成)する材料のうち、高分子材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ステント、ガイドワイヤ等の医療用具に一般的に使用される高分子材料が使用される。具体的には、ポリアミド系エラストマー等のポリアミド樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、変性ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン等のスチロール樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル(PVC))、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記高分子材料には、使用用途であるカテーテル、ステント、ガイドワイヤ等の基材層として最適な高分子材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層の形状は、特に制限されることはなく、シート状、線状(ワイヤ)、管状など使用態様により適宜選択される。
[表面潤滑層]
表面潤滑層102は、上記基材層(基材)101の少なくとも一部に形成(担持)される。ここで、表面潤滑層102が、基材層101表面の少なくとも一部に形成(担持)されているとしたのは、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具において、必ずしもこれらの医療用具の全ての表面(表面全体)が湿潤時に潤滑性を有する必要はなく、湿潤時に表面が潤滑性を有することが求められる表面部分(一部の場合もあれば全部の場合もある)のみに表面潤滑層が担持されていればよいためである。このため、上述したように、表面潤滑層は、図2、図3に示されるような基材層の両面全体を被覆するように形成される形態;基材層の片面全体のみを被覆するように形成される形態;基材層の両面の一部を同じまたは異なる形態で被覆するように形成される形態;基材層の片面の一部を被覆するように形成される形態などを包含する。
(共重合体)
表面潤滑層に含まれる共重合体は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体を含む。この際、温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成され、この際、構成単位(X-1)の含有量は、構成単位(X)に対して、55モル%以上75モル%以下である。また、前記構成単位(Y)は、ブロック状に配置される。
本発明者らは、術中接触する組織に対しては良好な潤滑性を示しつつ、挿入操作時に把持する基端側(生体外)の潤滑性は抑えた医療用具につき、鋭意検討を行った。Macromolecules (2012), 45, 3910には、アクリルアミドとアクリロニトリルとの共重合体においてこれらの組成を変化させることにより、上限臨界溶解温度(upper critical solution temperature;UCST)を制御できることが報告されている。当該文献によると、UCSTを0~40℃にするためには、アクリロニトリルの含有量は6~15モル%程度(アクリルアミドの含有量=94~85モル%)である。本発明者らが上記報告を追試したところ、アクリロニトリルの含有量が15モル%(アクリルアミドの含有量=85モル%)である共重合体は確かに水中で20℃付近で相転移することを確認した。しかし、本発明者らがこの共重合体を基材層にコートしたところ、コート層は20℃で相転移しなかった。本発明者らは、上記結果の相違は溶液の状態と固体の状態とでは同じ組成の共重合体であっても相転移温度が異なるためであると推定し、共重合体組成につき、さらに検討を行った。その結果、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)の含有量が55モル%以上75モル%以下(アクリロニトリル由来の構成単位(X-2)の含有量を25モル%以上45モル%以下)である共重合体を含む層は所望の温度で潤滑層を切り替えられる(相転移を示す)ことを見出した。また、上記アクリルアミド-アクリロニトリルの2元共重合体では基材層に強固に固定できない。このため、基材層への固定化を目的として、反応性官能基を有する単量体をさらに共重合させることにつき、鋭意検討を行った。その結果、反応性官能基を有する単量体をブロック状に配置することによって、共重合体の潤滑層を切り替える温度(相転移)を変化させないことを見出した。
ゆえに、本発明に係る共重合体を含む表面潤滑層を有する医療用具は、室温環境等の生体外温度環境では潤滑性を発現しないまたは低い潤滑性を発現する。このため、挿入時に把持する生体外部分の温度を下げて潤滑性を低くすることにより、術者は医療用具をしっかりと把持した状態で生体管腔内に挿入できる。一方、医療用具を生体管腔内に挿入した後は、共重合体は、挿入時より高温な生体温度環境におかれるため、優れた潤滑性を発現する。このため、医療用具と接触する生体組織(例えば、血管壁)を損傷することをなく、医療用具を容易に挿入できる。また、本発明の医療用具は、生体温度環境下にあっても、冷生理食塩水等の供給などによって温度を下げることにより、任意のタイミングで潤滑性を消失または低下させることができる。このため、医療用具を所定位置に留置した後、所定温度に下げられた生理食塩水等を当該位置に供給して、または、医療用具の留置箇所に近い体表を濡れたガーゼ等で冷やして、医療用具の温度を下げて潤滑性を低下させることによって、医療用具を所定の位置により安定して維持(留置)することが可能である。
(構成単位(X))
本発明に係る共重合体は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む。ここで、温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)のみから構成される、すなわち、アクリルアミドとアクリロニトリルとの2元共重合体である。このうち、構成単位(X-1)は、体液や水性溶媒との接触時に膨潤性を示す。すなわち、構成単位(X-1)は、表面潤滑層(ゆえに医療用具)に潤滑性(表面潤滑性)を付与するよう作用する。したがって、構成単位(X-1)を有する共重合体を表面潤滑層に使用することにより、医療用具の潤滑性(表面潤滑性)が向上し、医療用具が血管壁などの生体管腔と接触した際の摩擦を低減できる。また、構成単位(X-2)が存在することにより、共重合体は温度応答性を発揮できる。構成単位(X-2)の含有量により、生体温度環境では潤滑性を発揮しかつ生体外温度環境では潤滑性をあまりまたは全く示さないとの特性を制御できる。
構成単位(X-1)の含有量は、構成単位(X)(すなわち、構成単位(X-1)および構成単位(X-2)の合計100モル%)に対して、55モル%以上75モル%以下である。ここで、構成単位(X-1)の含有量が55モル%未満であると、生体温度環境で潤滑性を発現できない。逆に、構成単位(X-1)の含有量が75モル%を超えると、生体外温度環境でも潤滑性を発現してしまう。本発明のよる効果のさらなる向上(例えば、生体温度環境でのさらなる潤滑性の向上、生体外温度環境でのさらなる潤滑性の低下、およびこれらのバランス;以下同様)の観点から、構成単位(X-1)の含有量は、構成単位(X)に対して、55モル%を超えて71モル%未満であることが好ましく、58モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
構成単位(X)では、構成単位(X-1)および構成単位(X-2)はブロック状に配置されてもまたはランダムに配置されてもよい。
(構成単位(Y))
本発明に係る共重合体は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む。構成単位(Y)に存在する反応性官能基は、相互に反応して、共重合体が架橋構造を形成する。これにより、表面潤滑層の膜強度が高まる。ゆえに、構成単位(Y)が存在することによって、耐久性を向上できる。また、構成単位(Y)は、ブロック状に配置される。この場合には、構成単位(X)の構造や組成はほとんどまたは全く変化しない。このため、共重合体の潤滑性、親水性・疎水性バランス、相転移(潤滑性が切り替わる温度)には影響が少ないまたはない。このため、このような共重合体を含む表面潤滑層を有する医療用具は、室温環境等の生体外温度環境では潤滑性を発現せずまたは低い潤滑性を発現しかつ生体内温度環境では優れた潤滑性を発現すると同時に、耐久性にも優れる。一方、構成単位(Y)がランダムに配置される場合には、構成単位(Y)が構成単位(X)中に存在し、共重合体の潤滑性、親水性・疎水性バランスが変化してしまう。また、構成単位(X-2)の組成のみでは、相転移(潤滑性が切り替わる温度)を制御できない。なお、上記は推定であり、本発明は上記推定によって限定されない。
本明細書において、「構成単位(Y)がブロック状に配置される」とは、構成単位(Y)のみからなるブロックが共重合体鎖中に存在している、すなわち、-[構成単位(Y)]-または-[構成単位(Y)](nは2以上の整数である)が共重合体鎖中に存在することを意図する。
反応性官能基は、特に制限されず、基材層を構成する材料の種類、共重合体の所望の架橋度合(膜強度)などに応じて適切に選択されうる。具体的には、エポキシ基、酸ハライド基、アルデヒド基、イソシアネート基、酸無水物基などの官能基でありうる。共重合体(ゆえに、表面潤滑層)の基材層へのより強固な固定化、表面潤滑層の膜強度のさらなる向上などの観点から、反応性官能基は、エポキシ基、アルデヒド基、イソシアネート基であることが好ましく、エポキシ基であることがより好ましい。この際、構成単位(Y)に存在する反応性官能基は、1種であっても、または2種以上が共存してもよい。なお、後者の場合、例えば、構成単位(Y)が反応性官能基(y1)を有する構成単位(Y-1)および反応性官能基(y1)とは異なる反応性官能基(y2)を有する構成単位(Y-2)から構成される場合には、-[構成単位(Y-1)m1-構成単位(Y-2)m2-または-[構成単位(Y-1)m1-構成単位(Y-2)m2(m1およびm2は、それぞれ独立して、1以上の整数であり、mは2以上の整数であり、構成単位(Y-1)および構成単位(Y-2)は、ブロック状に配置されてもまたはランダム状に配置されてもよい)が共重合体鎖中に存在する。すなわち、本発明の一実施形態では、反応性官能基は、エポキシ基、酸ハライド基、アルデヒド基、イソシアネート基および酸無水物基からなる群より選択される少なくとも一種である。本発明の好ましい形態では、反応性官能基は、エポキシ基、アルデヒド基およびイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも一種である。本発明のより好ましい形態では、反応性官能基は、エポキシ基である。
このような反応性官能基を有する構成単位(Y)は、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルグリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を分子内に有する単量体;(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、(メタ)アクリル酸アイオダイドなどの酸ハライド基を分子内に有する単量体;(メタ)アクリルアルデヒドなどのアルデヒド基を分子内に有する単量体;アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基を分子内に有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基を分子内に有する単量体;由来でありうる。これらのうち、構成単位(Y)は、エポキシ基、アルデヒド基、イソシアネート基の少なくとも1種を有する単量体由来であることが好ましく、エポキシ基を有する単量体由来であることがより好ましい。反応が熱等により促進され、取り扱いも比較的容易であるグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートが特に好ましい。
構成単位(Y)の組成は、特に制限されず、潤滑性、耐久性(基材層への所望の固定化度、所望の膜強度)などを考慮して適切に選択されうる。構成単位(X)および前記構成単位(Y)の組成は、好ましくは10:1以上50:1未満であり、より好ましくは20:1~40:1である。このような組成であれば、構成単位(X)による十分な潤滑性および構成単位(Y)による耐久性をバランスよく達成できる。
本明細書において、各構成単位(構成単位(X-1)、(X-2)、(X)および(Y))の組成は、公知の方法によって測定できる。例えば、共重合体溶液のH-NMRスペクトルの各シグナルの強度の積分比を測定することによって、構成単位の組成(質量比)を測定できる。共重合体がアクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成される構成単位(X)と、構成単位(Y)としてのグリシジルメタクリレートと、から構成される場合には、構成単位組成(共重合組成)は、実施例に記載される方法によって測定される。
(他の構成単位)
本発明に係る共重合体は、構成単位(X)および構成単位(Y)を必須に含むが、これらの構成単位に加えて、他の構成単位を有していてもよい。共重合体が他の構成単位を有する場合の、他の構成単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)、アクリロイルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2-メタクリロイルオキシエチル-D-グリコシド、2-メタクリロイルオキシエチル-D-マンノシド、ビニルメチルエーテル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、アジピン酸、グルタル酸、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。他の構成単位は、1種単独の構成単位のみから構成されても、または2種以上の構成単位から構成されてもよい。なお、複数の構成単位が存在する場合には、他の構成単位はブロック状に存在しても、ランダム状に存在してもよい。
共重合体が他の構成単位を有する場合の、他の構成単位の含有量は、共重合体を構成する全構成単位に対して、0モル%を超えて10モル%未満であることが好ましい。特に好ましくは、共重合体は、構成単位(X)および構成単位(Y)から実質的に構成される(他の構成単位の含有量=0モル%を超えて5モル%未満)。当該形態であれば、共重合体(ゆえに、当該共重合体を含む表面潤滑層を有する医療用具)は、生体温度環境と生体外温度環境とで潤滑性を容易に切り替えることができる。また、当該形態であれば、共重合体(ゆえに、当該共重合体を含む表面潤滑層を有する医療用具)は、耐久性に優れる。
共重合体の重量平均分子量は、数千~数百万、好ましくは1万から500万である。本明細書中、「重量平均分子量」は、ポリスチレンを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定した値を採用するものとする。なお、共重合体の分子量は、繰り返し単位の種類およびその繰り返し単位数により算出することもできる。
また、共重合体の製造方法は、特に制限されず、例えば、リビングラジカル重合法、マクロ開始剤を用いた重合法、重縮合法など、従来公知の重合法を適用して作製可能である。これらのうち、構成単位(Y)をブロック状に配置させられるとの点で、リビングラジカル重合法またはマクロ開始剤を用いた重合法が好ましく使用される。リビングラジカル重合法としては、特に制限されないが、例えば特開平11-263819号公報、特開2002-145971号公報、特開2006-316169号公報等に記載される方法、ならびに原子移動ラジカル重合(ATRP)法などが、同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。また、マクロ開始剤を用いた重合法では、例えば、反応性官能基を有する反応性部位(構成単位(Y))とパーオキサイド基等のラジカル重合性基とを有するマクロ開始剤を作製した後、そのマクロ開始剤と構成単位(X)を形成するための単量体を重合溶媒中で重合させることで、共重合体を作製することができる。
上記重合において、構成単位(X-1)を構成する単量体と、構成単位(X-2)を構成する単量体と、の混合比は、本発明に係る構成単位(X-1)と構成単位(X-2)との組成が得られるよう、制御できる。構成単位(X-1)を構成する単量体と、構成単位(X-2)を構成する単量体と、の混合比(モル比)は、70:30を超えて85:15未満であることが好ましく、71:29以上75:25以下であることがより好ましく、71:29以上75:25未満であることが特に好ましい。また、構成単位(X)を構成する単量体と、構成単位(Y)を構成する単量体と、の混合比は、特に制限されない。上記構成単位(X)と構成単位(Y)との組成が得られるとの観点から、構成単位(X)を構成する単量体と、構成単位(Y)を構成する単量体と、の混合比(モル比)は、好ましくは10:1以上50:1未満であり、より好ましくは20:1~40:1である。
重合溶媒としては、構成単位(X)及び(Y)が溶解できる溶媒から適切に選択される。例えば、水、ジメチルスルホキシドが使用され、構成単位(X)、(Y)の溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドが好ましく使用される。
上記重合において、重合条件もまた、上記共重合が進行すれば特に制限されない。例えば、重合温度は、好ましくは30~150℃、より好ましくは40~100℃とするのが好ましい。また、重合時間は、好ましくは30分~30時間、より好ましくは3~24時間である。重合は、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気中で行う。
さらに、共重合体を製造する際に、必要に応じて、連鎖移動剤、重合速度調整剤、界面活性剤、水溶性高分子、水溶性無機化合物(アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、多価金属塩、および非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤など)、無機酸、無機酸塩、有機酸及び有機酸塩およびその他の添加剤を適宜使用してもよい。
共重合後の共重合体は、再沈澱法、透析法、限外濾過法、抽出法など一般的な精製法により精製することが好ましい。
(他の成分)
表面潤滑層は、共重合体を必須に含む。表面潤滑層は、共重合体に加えて、他の成分を含んでもよい。ここで、他の成分としては、特に制限されない。例えば、医療用具がカテーテルなどの体腔や管腔内への挿入を目的とする場合には、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ薬、抗血栓薬、HMG-CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症薬、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症薬、生体由来材料、インターフェロン、およびNO産生促進物質等の薬剤(生理活性物質)などが挙げられる。ここで、他の成分の添加量は、特に制限されず、通常使用される量が同様にして適用される。最終的には、他の成分の添加量は、適用される疾患の重篤度、患者の体重等を考慮して適切に選択される。好ましくは、表面潤滑層は、他の成分を含まない。すなわち、本発明の好ましい形態では、表面潤滑層は、前記共重合体から構成される。
(医療用具の製造方法)
本発明に係る医療用具の製造方法は、本発明に係る共重合体および溶媒を含む溶液(コート液)を基材層上に塗布すること((I)溶液塗布工程)を含む。また、必要に応じて、上記工程(I)の後に、塗布層の熱処理を行ってもよい((II)熱処理工程)。さらに、上記工程(II)の後に、基材上に形成された表面潤滑層を洗浄すること((III)洗浄工程)を行ってもよい。以下、各工程について説明する。なお、本発明は、本発明に係る共重合体を使用する以外は公知の医療用具の製造方法が同様にしてまたは適宜修飾して適用でき、下記形態に限定されない。
(I)溶液塗布工程(塗布層形成工程)
本工程では、まず、上記共重合体および溶媒、ならびに必要であれば他の成分を含む溶液(本明細書中、単に「共重合体溶液」または「コート液」とも称する)を調製し、当該コート液を基材層上に塗布する((I)溶液塗布工程、塗布層形成工程)。溶液塗布工程は、基材層表面の少なくとも一部に、共重合体を含む表面潤滑層を担持(または被覆)させる目的で行われる。なお、「担持」とは、表面潤滑層が基材層表面から容易に遊離しない状態に固定化された状態を意味し、基材層の表面全体が表面潤滑層により完全に覆われている形態のみならず、基材表面の一部のみが表面潤滑層により覆われている形態、すなわち、基材表面の一部のみに表面潤滑層が付着した形態をも含むものとする。したがって、溶液を塗布する方法は、共重合体および溶媒を含む溶液を使用する以外は特に制限されず、公知の方法と同様にしてあるいはこれを適宜修飾して適用できる。なお、コート液が他の成分を含む場合の他の成分は、上記したのと同様であるため、ここでは説明を省略する。
溶液塗布工程において、具体的には、上記共重合体および必要であれば他の成分を溶媒に溶解させて溶液(コート液)を調製し、当該溶液(コート液)を基材上にコートして塗布層を形成する。
本発明に係る共重合体を溶解するのに使用される溶媒としては、本発明に係る共重合体(および他の成分を使用する場合には、他の成分)を溶解できるものであれば特に制限されない。より高い溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドが好ましく使用される。
コート液(共重合体溶液)中の共重合体の濃度は、特に限定されない。例えば、コート液中の共重合体の濃度は、0.01~20質量%であると好ましく、0.05~15質量%であるとより好ましく、1~10質量%であると特に好ましい。共重合体の濃度が上記範囲であれば、得られる表面潤滑層は、十分な潤滑性を発揮できる。また、得られる表面潤滑層は、適切な相転移を発揮できる。また、1回のコーティングで所望の厚みの均一な表面潤滑層を容易に得ることができ、また、溶液の粘度が適切な範囲内となり、操作性(例えば、コーティングのしやすさ)、生産効率の点で好ましい。但し、上記範囲を外れても、本発明の作用効果に影響を及ぼさない範囲であれば、十分に利用可能である。
次に、上記にて調製されたコート液を基材層上に塗布する。ここで、基材層は、上記したのと同様であるため、ここでは説明を省略する。
基材層表面に共重合体溶液(コート液)を塗布(コーティング)する方法は、特に制限されず、塗布・印刷法、浸漬法(ディッピング法、ディップコート法)、噴霧法(スプレー法)、スピンコート法、混合溶液含浸スポンジコート法、バーコート法、ダイコート法、リバースコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ドクターナイフ法など、従来公知の方法を適用することができる。これらのうち、浸漬法(ディッピング法、ディップコート法)を用いるのが好ましい。
なお、カテーテル、注射針等の細く狭い内面に表面潤滑層を形成させる場合、コート液中に基材層を浸漬して、系内を減圧にして脱泡させてもよい。減圧にして脱泡させることにより、細く狭い内面に素早く溶液を浸透させ、表面潤滑層の形成を促進できる。
また、基材層の一部にのみ表面潤滑層を形成させる場合には、基材層の一部のみをコート液中に浸漬して、コート液を基材層の一部にコーティングすることで、基材層の所望の表面部位に、表面潤滑層を形成することができる。
基材層の一部のみをコート液中に浸漬するのが困難な場合には、予め表面潤滑層を形成する必要のない基材層の表面部分を着脱(装脱着)可能な適当な部材や材料で保護(被覆等)した上で、基材層をコート液中に浸漬して、コート液を基材層にコーティングした後、表面潤滑層を形成する必要のない基材層の表面部分の保護部材(材料)を取り外し、その後、加熱処理等により反応させることで、基材層の所望の表面部位に表面潤滑層を形成することができる。ただし、本発明では、これらの形成法に何ら制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用して、表面潤滑層を形成することができる。例えば、基材層の一部のみをコート液中に浸漬するのが困難な場合には、浸漬法に代えて、他のコーティング手法(例えば、医療用具の所定の表面部分に、コート液を、スプレー装置、バーコーター、ダイコーター、リバースコーター、コンマコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ドクターナイフなどの塗布装置を用いて、塗布する方法など)を適用してもよい。なお、医療用具の構造上、円筒状の用具の外表面と内表面の双方が、表面潤滑層を有する必要があるような場合には、一度に外表面と内表面の双方をコーティングすることができる点で、浸漬法(ディッピング法)が好ましく使用される。
コート液(共重合体溶液)の塗布量は、得られる表面潤滑層の厚み(乾燥膜厚)が0.1~10μmとなるような量であることが好ましく、0.5~5μmとなるような量であることがより好ましく、1~3μmとなるような量であることがさらに好ましい。
(II)熱処理工程
本工程では、必要であれば、上記工程(I)で形成された塗布層を熱処理する。これにより、共重合体の反応性官能基が基材層を構成する材料と反応して表面潤滑層を基材層に強固に固定化できる。また、共重合体の反応性官能基同士が反応して、表面潤滑層の膜強度を高めることができる。ゆえに、医療用具の耐久性を向上できる。このため、上記工程(I)で形成された塗布層を熱処理することが好ましい。
熱処理時の条件は、基材層上に共重合体を含む表面潤滑層が形成できる条件であれば、特に制限されない。例えば、熱処理温度は、好ましくは40~200℃、より好ましくは50~150℃である。また、熱処理時間は、好ましくは30分~30時間、より好ましくは3~15時間、特に好ましくは5~10時間である。上記のような条件であれば、塗布層内の共重合体の反応性官能基が基材層を構成する材料とより効果的に反応して表面潤滑層を基材層に十分強固に固定化できる。また、塗布層内の共重合体の反応性官能基同士がより効率よく反応して、表面潤滑層の膜強度をさらに高めることができる。ゆえに、基材層から容易に剥離することのない、高強度の表面潤滑層を形成することができる。
また、熱処理工程での圧力条件も何ら制限されるものではなく、常圧(大気圧)下で行うことができるほか、加圧ないし減圧下で行ってもよい。
乾燥または加熱手段(装置)としては、例えば、オーブン、減圧乾燥機などを利用することができるが、自然乾燥の場合には、特に乾燥手段(装置)は不要である。
(III)洗浄工程
本工程では、必要であれば、上記工程(I)で形成された塗布層または上記工程(II)で得られた表面潤滑層を洗浄する。
洗浄方法は特に限定されないが、共重合体を含む層(塗布層または表面潤滑層;以下同様)を洗浄溶媒に浸漬する方法、共重合体を含む層に洗浄溶媒をかけ流す方法、またはこれらを組合せてもよい。このとき使用される洗浄溶媒は、共重合体を含む層を溶解しないものであれば特に限定されないが、水または温水が好ましく用いられる。洗浄水の温度は特に制限されないが、好ましくは20℃~100℃であり、より好ましくは25~80℃である。また、洗浄時間(洗浄溶媒を共重合体を含む層と接触させる時間)は特に制限されないが、好ましくは1~60分、より好ましくは5~30分である。
上記洗浄工程の後、さらに、乾燥工程を行ってもよい。乾燥方法および乾燥条件(温度、時間等)は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
[医療用具の用途]
本発明に係る医療用具は、体液や血液などと接触して用いられ、体液や生理食塩水などの水性液体中において表面が潤滑性を有し、操作性の向上や組織粘膜の損傷の低減をなしうる。具体的には、血管内で使用されるカテーテル、ステント、ガイドワイヤ等が挙げられる。すなわち、本発明の一実施形態に係る医療用具は、カテーテルまたはガイドワイヤである。その他にも以下の医療用具が示される。
(a)胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用チューブなどの経口もしくは経鼻的に消化器官内に挿入ないし留置されるカテーテル類;
(b)酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブのチューブやカフ、気管切開チューブのチューブやカフ、気管内吸引カテーテルなどの経口または経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類;
(c)尿道カテーテル、導尿カテーテル、尿道バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるカテーテル類;
(d)吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテルなどの各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類;
(e)留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテルおよびダイレーターあるいはイントロデューサーなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ、スタイレットなど;
(f)人工気管、人工気管支など;
(g)体外循環治療用の医療用具(人工肺、人工心臓、人工腎臓など)やその回路類。
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明らかである。
本発明は、下記態様および形態を包含する。
1.基材層と、前記基材層の少なくとも一部に形成された表面潤滑層と、を備える医療用具であって、
前記表面潤滑層は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体を含み、
前記温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成され、この際、前記構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%以上75モル%以下であり、
前記構成単位(Y)は、ブロック状に配置される、医療用具。
2.前記アクリルアミド由来の構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%を超えて71モル%未満である、上記1.に記載の医療用具。
3.前記構成単位(X)および前記構成単位(Y)の組成は、10:1以上50:1未満である、上記1.または2.に記載の医療用具。
4.前記反応性官能基は、エポキシ基、酸ハライド基、アルデヒド基、イソシアネート基および酸無水物基からなる群より選択される少なくとも一種である、上記1.~3.のいずれかに記載の医療用具。
5.前記医療用具は、カテーテルまたはガイドワイヤである、上記1.~4.のいずれかに記載の医療用具。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
実施例1
アジピン酸2塩化物72.3g中に50℃でトリエチレングリコール29.7gを滴下した後、50℃で3時間反応させ、塩酸を減圧除去して、オリゴエステルを得た。次に、得られたオリゴエステル22.5gにメチルエチルケトン4.5gを加え、これを、水酸化ナトリウム5g、31質量%過酸化水素6.93g、界面活性剤としてのジオクチルホスフェート0.44g及び水120gよりなる溶液中に滴下し、-5℃で20分間反応させた。得られた生成物は、水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、乾燥させて、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物(PPO)を得た。
次に、このPPOを0.5g、グリシジルメタクリレート(GMA)を9.5g、さらにベンゼン(溶媒)を30g混合して、65℃2時間、減圧下で撹拌しながら重合した。重合後に得られた反応物をジエチルエーテルで再沈殿して、分子内にパーオキサイド基を有するポリグリシジルメタクリレート(PPO-GMA)を得た。
続いて、得られたPPO-GMA0.769g(C)を重合開始剤として、アクリルアミド5.527g(A)、アクリロニトリル1.614g(B)をジメチルスルホキシド30gに仕込み、80℃で5時間、窒素雰囲気下で重合させた。重合後に得られた反応物をアセトンで再沈殿して回収し、アクリルアミドおよびアクリロニトリルからなる温度応答性高分子由来の構成単位(X1)(温度応答性ドメイン)と、グリシジルメタクリレート由来の構成単位がブロック状に存在する構成単位(Y1)(反応性ドメイン)とを有する共重合体(1)を得た。また、得られた共重合体(1)における構成単位(X)および構成単位(Y)の合計含有量は、共重合体を構成する全構成単位に対して、95モル%を超える。
また、得られた共重合体(1)の、アクリルアミド:アクリロニトリルの組成、および構成単位(X1):構成単位(Y1)の組成を、下記方法に従って、H-NMR法により測定して、ケミカルシフトの積分比から求めた。結果を下記表1に示す。
(各構成単位組成の測定方法)
下記条件にしたがって、共重合体溶液のH-NMRスペクトルの各シグナルの強度の積分比を測定することで、各構成単位の組成(共重合体組成)(質量比)を定量する。
(測定条件)
装置名:FT NMR装置 JNM ECA400((株)JEOL RESONANCE(日本電子株式会社))
共鳴周波数:H;400MHz
測定モード:H NMR
溶解溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
基準物質:テトラメチルシラン(TMS):0ppm
積算回数:16回
測定温度:24.0~24.9℃
試料調製法:共重合体(試料)10mgを溶解溶媒0.75mLに溶解
フリップ角:45度
パルス間隔:5秒。
得られたH-NMRスペクトルにおいて、δ=2.3ppm付近のシグナル(シグナルAA)は、アクリルアミドの下記構造が存在することを示す。
また、δ=2.8ppm付近のシグナル(シグナルAN)は、アクリロニトリルの下記構造が存在することを示す。
δ=3.2ppm付近のシグナル(シグナルY)は、グリシジルメタクリレートの下記構造における矢印の構造が存在することを示す。
上記を用いて、各構成単位の組成(共重合体組成)(質量比)をケミカルシフトの積分比から求めた。すなわち、シグナルAAとシグナルANとの積分比(面積比)が共重合体におけるアクリルアミドとアクリロニトリルとの組成(質量比)を表わす。また、シグナルAAおよびシグナルANの合計とシグナルYとの積分比(面積比)が共重合体における構成単位(X)と構成単位(Y)との組成(質量比)を表わす。
上記にて得られた共重合体(1)を5質量%の濃度になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解して、コート液を調製した。このコート液に、ポリアミド系エラストマー(グリルフレックス(登録商標)ELG5660、エムスケミー・ジャパン株式会社製)のプレスシート(大きさ:15mm×50mm、膜厚:1mm)(基材層)をディップコートし、塗膜を形成した後、シートを80℃で8時間加熱することにより、シート上に共重合体(1)を固定化して、共重合体(1)を含む表面潤滑層を有するシート(1)を作製した。
実施例2~7および比較例1~3
実施例1において、アクリルアミド(A)、アクリロニトリル(B)およびPPO-GMA(C)の仕込量を、それぞれ、下記表1に示される量に変更した以外は、実施例1と同様にして、共重合体(2)~(7)および比較共重合体(1)~(3)を得た。また、得られた共重合体(2)~(7)および比較共重合体(1)~(3)における構成単位(X)および構成単位(Y)の合計含有量はすべて、共重合体を構成する全構成単位に対して、95モル%を超える。
また、得られた共重合体(2)~(7)および比較共重合体(1)~(3)の、アクリルアミド:アクリロニトリルの組成、および構成単位(X):構成単位(Y)の組成を、実施例1に記載の方法と同様にして測定した。結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、アクリルアミド(A)、アクリロニトリル(B)およびPPO-GMA(C)の仕込量を、それぞれ、「A:AA仕込量[g]」「B:AN仕込量[g]」および「C:PPO-GMA仕込量[g]」と表す。また、各共重合体の、アクリルアミド:アクリロニトリルの組成、および構成単位(X):構成単位(Y)の組成を、それぞれ、「AA:AN組成」および「X:Y組成」と表す。
実施例1において、共重合体(1)の代わりに、上記で得られた共重合体(2)~(7)および比較共重合体(1)~(3)をそれぞれ使用する以外は、実施例1と同様にしてポリアミド系エラストマーシート上に各共重合体を固定化して、共重合体(2)~(7)および比較共重合体(1)~(3)をそれぞれ含む表面潤滑層を有するシート(2)~(7)および比較シート(1)~(3)を作製した。
<各種潤滑コートサンプルの潤滑温度依存性評価>
実施例1~7および比較例1~3で得られたシート(1)~(7)および比較シート(1)~(3)について、下記方法に従って、潤滑温度依存性を評価した。
各シートの表面潤滑層(各共重合体をコーティングした表面)の5℃および40℃での潤滑性を、図1に示される摩擦測定機(トライボマスターTL201Ts、株式会社トリニティーラボ製)10にて評価した。この際、5℃および40℃をそれぞれ生体外温度および生体外温度環境を想定した。
具体的には、各シート3(サンプル)を、表面潤滑層(各共重合体をコーティングした15mm×50mmの面)が上になるように、水1を満たした温調機能付きテーブル2に固定し、円柱状ゴム端子(φ6mm)4をシート3の表面潤滑層に接触させ、端子4上に50gの荷重5をかけた。温調機能を使用して、5℃および40℃(水温)に設定した。各温度において、速度10mm/sec、移動距離15mmの設定で、端子4を水平に移動させた際の摺動抵抗値(gf)を測定した。結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、5℃での摺動抵抗値を「摺動抵抗値(5℃)[gf]」と、40℃での摺動抵抗値を「摺動抵抗値(40℃)[gf]」と、5℃での摺動抵抗値と40℃での摺動抵抗値との差[=5℃での摺動抵抗値(gf)-40℃での摺動抵抗値(gf)]を、「摺動抵抗値差[gf]」と、それぞれ、表す。摺動抵抗値が10gf以下の場合、ぬるぬるとした触感の良好な潤滑性を示すと判断する。一方、摺動抵抗値が10gfより増大する場合には、潤滑性は悪化したと判断し、30gf以上の場合にはプレスシート(基材層)と変わらない程度の触感であると判断する。このため、下記表1において、5℃での摺動抵抗値は、10gfを超えれば許容でき、30gf以上であることが好ましく、40gf以上であることがより好ましい。40℃での摺動抵抗値は、10gf以下であれば許容でき、9gf以下であることが好ましい。5℃での摺動抵抗値と40℃での摺動抵抗値との差は、20gfを超えれば許容でき、30gf以上であることが好ましく、60gf以上であることがより好ましい。5℃での摺動抵抗値と40℃での摺動抵抗値との差は、30gfを超えれば許容でき、50gf以上であることが好ましく、60gf以上であることがより好ましい。
表1の結果から、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)の含有量が55モル%以上75モル%以下(アクリルアミドとアクリロニトリルの比率が75:25~55:45)の範囲にある共重合体を表面潤滑層に用いた実施例1~7は、低温では潤滑性が発現せず、体温付近の温度環境で潤滑性を発現することが分かる。
これに対して、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)の含有量が下限を下回る比較例1は低温、体温付近双方共潤滑性を発現しなかった。また、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)の含有量が上限を超える比較例2及び3は、低温、体温付近双方共潤滑性を発現した。
<各種潤滑コートサンプルの耐久性評価>
実施例1~7で得られたシート(1)~(7)について、下記方法に従って、潤滑状態でのコートの耐久性(摺動耐久性)を評価した。具体的には、上記<各種潤滑コートサンプルの潤滑温度依存性評価>と同じ条件にて、40℃で50往復、端子を水平に移動させ、繰り返し摺動を行った。その結果、実施例1~6で得られたシート(1)~(6)は、50回摺動(往復移動)中、初回の摺動抵抗を維持して、良好な耐久性を示した。一方、実施例7で得られたシート(7)は、50回摺動(往復移動)中、徐々に摺動抵抗が上昇し、シート(1)~(6)に比して耐久性(摺動耐久性)が低かった。
1…水、
2…温調機能付きテーブル、
3…シート(サンプル)、
4…端子、
5…荷重、
10…摩擦測定機、
101…基材層、
101a…基材層コア部、
101b…基材表面層、
102…表面潤滑層、
100…医療用具。

Claims (5)

  1. 基材層と、前記基材層の少なくとも一部に形成された表面潤滑層と、を備える医療用具であって、
    前記表面潤滑層は、温度応答性高分子由来の構成単位(X)と、反応性官能基を有する構成単位(Y)と、を含む共重合体を含み、
    前記温度応答性高分子は、アクリルアミド由来の構成単位(X-1)およびアクリロニトリル由来の構成単位(X-2)から構成され、この際、前記構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%以上75モル%以下であり、
    前記構成単位(Y)は、ブロック状に配置される、医療用具。
  2. 前記アクリルアミド由来の構成単位(X-1)の含有量は、前記構成単位(X)に対して、55モル%を超えて71モル%未満である、請求項1に記載の医療用具。
  3. 前記構成単位(X)および前記構成単位(Y)の組成は、10:1以上50:1未満である、請求項1に記載の医療用具。
  4. 前記反応性官能基は、エポキシ基、酸ハライド基、アルデヒド基、イソシアネート基および酸無水物基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の医療用具。
  5. 前記医療用具は、カテーテルまたはガイドワイヤである、請求項1に記載の医療用具。
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