JP6333144B2 - 便器設置構造 - Google Patents
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Description
このような状況にあってライニングを有するトイレユニットでは、車椅子に乗った利用者がトイレユニットに進入後便器への乗り換え等のために車椅子ごと旋回動作を行うことができるように、便器周囲に十分な空間が確保されることが望まれている。この要請に応えるために、便器の後部構造部である導水部、及び、給水口等をライニングの内部に収納するようにした便器の設置構造も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前記床置き式便器の後部側の部分である挿入部分が前記ライニングの内方に入り込んだ配置を許容するように、前記挿入部分の両側方に分割離隔して形成された前記ライニングの分割前板部と、
前記床置き式便器の前記配置を許容するように形成された前記ライニングのフレーム部材と、
を備えた便器設置構造。
前記床置き式便器本体と前記サイドカバーとの隙間及び前記サイドカバーと前記ライニングとの間隙に対応する位置に配され、前記両間隙を隠蔽する隠蔽部材と、が設けられることが好ましい。
図1は、本発明の実施形態としての便器設置構造を有する多目的トイレとしてのトイレユニットの斜視図である。
多目的トイレとしてのトイレユニット1は、車いすに乗った状態で出入りが可能なトイレルームに設置される。このトイレユニット1は、図示の便器10と、後方ライニング30と、側方ライニング40と、この側方ライニング40の上面に設けられる手洗器50及び洗面器60と、側方ライニング40の前面40aに配置される操作部70と、可動手すり32と、固定手すり33と、を備える。また、側方ライニング40の内部には、図1では見えない給水部及び排水部が配置される。
尚、本明細書における以下の表記では、前後左右の向きは、便座12に座った使用者の視座で見た場合のものとして表している。また、縦及び横は、鉛直方向であること及び水平方向であることと略同義の慣習的表記である。
側方ライニング40の上面はカウンター46として構成される。また、側方ライニング40の前面40aは、複数の前板42で構成され、側面は側板43で構成され、下部には床面103との間に巾木44が張りめぐらされている。更に、側方ライニング40の下部には、ダストボックス45が収納される区画である収納部が設けられ、この区画の前面側は部分的に蓋部である前板42で覆われている。蓋部である前板42の上方には廃棄物が投入される投入口としての投入用開口450が開口している。
また、洗面器60は、底部に排水開口61aが形成された洗面ボウル部61と、洗面側水栓62と、液体せっけん収容容器63とを有する。
また、操作部70には、便座12の温水の吐出操作を行う操作部71と、ボタンを押すことにより便器10の洗浄操作を行うタッチ操作部72とが備えられている。
タッチ操作部72の下部には、前板42に紙巻器115が取り付けられる。
尚、図2では、フレームの構造を明瞭に表すために、前板34については透視にて二点鎖線で表し、左右の分割前板部についてのみ実線図示している。
図2において、便器本体11は、後方側の部分である挿入部分14が、後方ライニング30の内方に入り込んで挿入される如く配置される。本例では、この挿入部分14に、排水管(図2では不図示)に接続される排水フランジ15や洗浄用の水の供給を受ける給水路16等が通常の如く形成されている。
また、便器10の後方側の左側方部分が、左サイドカバー121で覆われ、左サイドカバー121で覆いきれない隙間が左隠蔽部材123で隠蔽されている。このため、便器本体11後方の凹凸の多い複雑な外観の機能部が隠蔽されて、美観が向上し、更に、便器本体11後方下部の複雑な形状の部位への塵埃の堆積が予防されて清掃もし易い。
また、横フレーム132も、この配置における便器本体11の挿入部分14と干渉する位置には設けられていない。
即ち、本実施形態では、縦横に設けられたフレーム部材(縦フレーム及び横フレーム)は、床置き式便器の便器本体11の上記配置を許容しつつ、縦横のフレームが特定の部位で機械強度的結合が途切れないようにして所要の剛性を確保するように形成されている。
図2の実施形態では、便器本体11の後方左側の、左分割前板部301と、便器本体11の後方右側の、右分割前板部302とがこの分割前板部である。特に、この例では、左分割前板部301と、便器本体11の後方左側の部位との間隙を覆う左調整板311が、左分割前板部301に取付けられて設けられている。便器本体11の後方右側の部位についても同様の右調整板312が右分割前板部302に取付けられて設けられているが、これらの細部については、適宜、図3を併せ参照して更に詳述する。
図3において、図2との対応部には同一の符号を附して示し、それら各部の説明は適宜省略する。
左分割前板部301の裏面には、例えば、金属板等でなる被係止部材303及び被係止部材305が上下に離隔して設けられている。これらの被係止部材303及び被係止部材305は、縦フレーム133に横方向に突設されている係止部材135及び係止部材137に対応するものである。係止部材135及び係止部材137に、被係止部材303及び被係止部材305が引っ掛けられて係止されることにより、左分割前板部301が取付けられる。
即ち、右分割前板部302の裏面には、例えば、金属板等でなる被係止部材304及び被係止部材306が上下に離隔して設けられている。これらの被係止部材302及び被係止部材306は、縦フレーム134に横方向に突設されている係止部材136及び係止部材138に対応するものである。係止部材136及び係止部材138に、被係止部材304及び被係止部材306が引っ掛けられて係止されることにより、右分割前板部302が取付けられる。
即ち、最下段の横フレームについては、床置き式便器本体11の挿入部分14が前板34よりも後方ライニング30内方に入り込んでいる部分を回避する形状を採るべく、当該入り込んでいる部分は、左右の短い横フレーム132L及び132Rに分断されている。そして、これら分断された左右の短い横フレーム132L及び132Rが、連結部材160によって連結されている。左右の短い横フレーム132L及び132Rは、便器本体11の挿入部分14が入り込んでいる部分の両側の2本の縦フレーム133及び134ともそれぞれ連結されている。
左分割前板部301裏面上側の、例えば、金属板でなる被係止部材303は、縦フレーム133(図3)に突設されている係止部材135に対し、上から下に向けて引っ掛かるように係止した状態で、締緩自在に位置固定する位置固定具としてのユリアねじ307を備えている。被係止部材303は、左分割前板部301裏面に沿う取付部303aでねじ(不図示)によってこの裏面に止め付けられる。被係止部材303は、取付部303aから段を成して起立した肩部303bと、この肩部303bから下方に降下して係止部材に引っ掛かる引掛け部303cを有する形に形成されている。
ユリアねじ307を緩めた状態で、位置調整ねじ308を廻して肩部303bから下方への突出を調整することによって、左分割前板部301の鉛直方向の位置や傾きを調整したうえで、ユリアねじ307を締めるという簡単な操作で、左分割前板部301の位置調整ができる。
一方、位置固定具をねじとする場合は、軸が横方向(水平方向)となるために、ドライバーで操作するについては、ドライバーの全長を収容するだけの作業空間を確保し難い。後方ライニング30の奥行寸法が限られているからである。本実施形態では、この位置固定具としてのねじがユリアねじ307であるため、ドライバー等の軸方向に長い工具を要さず、作業者が奥行の狭い作業空間の中で、指で容易に緩めたり締めたりする操作を行って、適切な位置固定を行うことができる。
図5の、(a)部には、サイドカバー(図2の、左サイドカバー121)と床置き式便器本体11との隙間を隠蔽する左隠蔽部材123を正面視した様子が表され、(b)部には、左隠蔽部材123を側面視した様子が表されている。
左隠蔽部材123は、左サイドカバー121の後端縁近傍裏面に上下に沿って、この後端縁から若干後方に張り出すように配される下部隠蔽部123aと、この下部隠蔽部123aから便器本体側に折り曲げられるようにして短く延出した上部隠蔽部123bとを含む形状に成形されている。下部隠蔽部123aに対して上部隠蔽部123bが折り曲げられてなす角度は、劣角側で見て、例えば、156度程度であり、このとき、上部隠蔽部123bの延長方向の長さが20mmであるとすると、上部隠蔽部123bは鉛直方向下向きの視線に対して、略10mmの隙間を隠蔽できる。
即ち、このような左右のサイドカバー121、122と、左右の隠蔽部材123、124によって、便器本体11後方の凹凸の多い複雑な外観の機能部が隠蔽されて、側方視からも、上方視からも、有効に隠蔽されて、美観が向上すると共に、便器本体11後方下部の複雑な形状の部位への塵埃の堆積が予防されて清掃もし易くなる。
尚、本例では、左サイドカバー121の後端縁に臨む裏面に左隠蔽部材123が接着されて一つの組立体を構成し、この組立体を便器本体11左側後方に適宜の手段で取付けた状態で、左分割前板部301の左調整板311を左隠蔽部材123の表面側に当接させて、間隙が極小となるように位置調整するといった施工手順が採られる。
この点は、便器本体11の右側についても同様である。即ち、右サイドカバー122の後端縁に臨む裏面に右隠蔽部材124が接着されて一つの組立体を構成し、この組立体を便器本体11右側後方に適宜の手段で取付けた状態で、右分割前板部302の右調整板312を右隠蔽部材124の表面側に当接させて、間隙が極小となるように位置調整するといった施工手順が採られる。
連結部材160の前縁部161は、床置き式便器本体11の既述の挿入部分14との干渉を回避するために、左右両側を除く中央の大部分の領域が後方に、左右両側から弧を描くように後退した形状になされている。
連結部材160の平面視で直線状の後縁には後縁起立部162が形成されて、曲げ応力に抗する所要の剛性が得られるように成形されている。
更に、前縁部161の左右側端近傍の、円弧を対向する向きに描いた左後退縁部161L及び右後退縁部161Rよりも外側の部位には、それら部位の前端に、それぞれ、左前端起立部164L及び右側縁起立部164Rが形成されている。
連結部材160は、図6を参照して説明したように、それ自体が十分な剛性を有するものであるため、可動手すり32に使用者が略全体重をかけて掴まるような状況があっても、そのような状況に十分に耐え得るだけの後方ライニング30(そのフレーム)の剛性が得られる。
また、本例における連結部材160は、図6の(a)部を参照して特に明らかなように、その前後方向の寸法が短く、左右方向の寸法が長い形状が採られている。このため、便器本体11後方の排水管111(図7)と平行に、更に他の配管が配設されるような状況下でも、このような配管との干渉が有効に回避される。更に、連結部材160は、後方向の寸法が短いだけでなく、前縁部161の中央部の大部分は左右両端から円弧を描いて後退した左右の後退縁部161L及び161Rに連なって大きく後退している。このため、便器本体11の挿入部分14との干渉を避け得る限りで、連結部材160を前方に寄せて(即ち、便器本体11に近接させて)配置することがでる。従って、上述のような配管との干渉が一層有効に回避される。
この図7において、既述の各図との対応部は同一の符号を附して示し、それら対応部の説明は適宜省略する。
尚、図7は、トイレユニット1における便器本体11周りの内部構造を右側から側面視したものであるため、図2では現れない部分についても一部図示されている
この配置を可能にすべく、図3を参照して詳述したように、最下段の横フレームは、便器本体11の挿入部分14が入り込んでいる部分では、左右の短い横フレーム132L及び132Rに分断されている。そして、これら分断された左右の短い横フレーム132L及び132Rが、連結部材160によって連結されている。左右の短い横フレーム132L及び132Rは、便器本体11の挿入部分14が入り込んでいる部分の両側の2本の縦フレーム133及び134ともそれぞれ連結されている。この図7では、この連結部材160と右の短い横フレーム132Rが表されている。
便器本体11の後方側における既述の排水フランジ15(図2)は排水管111に接続され、また、既述の給水路16(図2)はロータンク112に接続される。
このため、床置き式便器本体11は、その挿入部分14がライニング30内方に入り込むように配置されるについて、この配置を阻害するものがない。
従って、床置き式便器本体11は、その前方に、利用者が車椅子に乗ったまま旋回等を行うについて十分な空間が確保されるような配置をとることができる。
この場合は、分割前板部(左分割前板部301、右分割前板部302)の鉛直方向の位置や傾きを調整したうえで、位置固定具(ユリアねじ307)を締めるという簡単な操作で、分割前板部の位置調整ができ、施工時における作業性が良好である。
この場合は、塵埃が後方ライニング30内に入り込むことが予防され、更には、美観上も優れたものとなる。
この場合は、床置き式便器本体11を、その挿入部分14がライニング30内方に入り込むように配置するについて、便器本体11に干渉してこの配置を阻害するものがない。
更に、連結部材(連結部材160)によって、縦横のフレームが特定の部位で機械強度的結合が途切れないように協働して、ライニング30(そのフレーム)の所要の剛性を確保することができる。
この場合は、サイドカバー(左右のサイドカバー121、122)と隠蔽部材(左右の隠蔽部材123、124)によって、便器本体11後方の凹凸の多い複雑な外観の機能部が隠蔽されて、美観が向上すると共に、便器本体11後方下部の複雑な形状の部位への塵埃の堆積が予防されて清掃もし易くなる。
10 便器
11 便器本体
14 挿入部分
34 前板
121 左サイドカバー
122 右サイドカバー
123 左隠蔽部材
124 右隠蔽部材
131 縦フレーム
132 横フレーム
132L、132R 短い横フレーム
133、134 縦フレーム
135、136、137、138 係止部材
160 連結部材
301 左分割前板部
302 右分割前板部
303、304、305、306 被係止部材
307 ユリアねじ(位置固定具)
311 左調整板
312 右調整板
Claims (5)
- ライニングの前方に床置き式便器を設置するための便器設置構造であって、
前記床置き式便器の後部側の部分である挿入部分が前記ライニングの内方に入り込んだ配置を許容するように、前記挿入部分の両側方に分割離隔して形成された前記ライニングの分割前板部と、
前記床置き式便器の前記配置を許容するように形成された前記ライニングのフレーム部材と、を備え、
前記分割前板部は、前記フレーム部材側の各対応する係止部材に係止されて前記分割前板部を前記フレーム部材に取付けるための被係止部材がそれぞれ裏面に設けられ、前記各被係止部材のうち少なくとも所定の被係止部材は対応する前記係止部材に係止された状態で締緩自在に位置固定する位置固定具を備えている便器設置構造。 - 前記フレーム部材は、前記床置き式便器の前記挿入部分を回避して、前記挿入部分の両側のフレーム構造部材を連結する連結部材を有する請求項1に記載の便器設置構造。
- 前記床置き式便器後部の前記分割前板部から外方に露呈している部分の側方に設けられたサイドカバーと、
前記床置き式便器本体と前記サイドカバーとの隙間及び前記サイドカバーと前記ライニングとの間隙に対応する位置に配され、前記両間隙を隠蔽する隠蔽部材と、
が設けられた請求項1又は2に記載の便器設置構造。 - ライニングの前方に床置き式便器を設置するための便器設置構造であって、
前記床置き式便器の後部側の部分である挿入部分が前記ライニングの内方に入り込んだ配置を許容するように、前記挿入部分の両側方に分割離隔して形成された前記ライニングの分割前板部と、
前記床置き式便器の前記配置を許容するように形成された前記ライニングのフレーム部材と、を備え、
前記フレーム部材は、前記床置き式便器の前記挿入部分を回避して、前記挿入部分の両側のフレーム構造部材を連結する連結部材を有する便器設置構造。 - ライニングの前方に床置き式便器を設置するための便器設置構造であって、
前記床置き式便器の後部側の部分である挿入部分が前記ライニングの内方に入り込んだ配置を許容するように、前記挿入部分の両側方に分割離隔して形成された前記ライニングの分割前板部と、
前記床置き式便器の前記配置を許容するように形成された前記ライニングのフレーム部材と、を備え、
前記床置き式便器後部の前記分割前板部から外方に露呈している部分の側方に設けられたサイドカバーと、
前記床置き式便器本体と前記サイドカバーとの隙間及び前記サイドカバーと前記ライニングとの間隙に対応する位置に配され、前記両間隙を隠蔽する隠蔽部材と、
が設けられた便器設置構造。
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