しかしながら、上述したキャビネット50は、蹴込み板付き底板55の前端部を持ち上げて、底板55aの上面を配管カバー部54の前面に沿わせるような状態で固定しているだけなので、車椅子のフットレスト部分のキャビネット50内への進入空間を十分に確保しているとはいえず、車椅子に座った高齢者等と洗面化粧台のボウルとの間隔がある程度大きくなってしまうので、車椅子に座った高齢者等が洗面化粧台を使いにくいといった問題がある。
そこで、この発明の課題は、車椅子のフットレスト部分の進入空間を十分に確保することができる車椅子対応のキャビネットを提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、背板、左右一対の側板及び蹴込み板付き底板を有する、前面が開放されたキャビネット本体と、前記キャビネット本体の前面開口を開閉する扉とを備えた給排水設備を有するキャビネットにおいて、前記蹴込み板付き底板は、前記扉の内側に位置しており、排水管の縦配管スペースを、前記キャビネット本体の左側または右側の後方角部側に配置し、前記蹴込み板付き底板を、左右に分割可能かつ着脱可能に取り付け、前記キャビネット本体から取り外して分割したいずれか一方の蹴込み板付き底板を保護部材として、少なくとも排水管の縦配管スペースを区画可能に構成したことを特徴とするキャビネットを提供するものである。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のキャビネットにおいて、前記キャビネット本体は、前記背板に沿うように、その下端部に配設される横配管を隠蔽する、前記背板から前方側に張り出す水平板及びこの水平板の前端部に連設された垂下板からなる配管カバー部を有し、前記排水管の縦配管は、前記配管カバー部の水平板を貫通して立ち上がっており、前記蹴込み板付き底板は、前記配管カバー部の前方側に配設されており、分割された一方の前記蹴込み板付き底板を前記保護部材として使用する場合は、その底板部分の左右方向が上下方向を向くと共に、その底板部分の上面が前面側を向くように、前記蹴込み板部分を前記配管カバーの前記水平板の上面に載置した状態で固定するようになっていることを特徴としている。
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明のキャビネットにおいて、前記蹴込み板付き底板は、蹴込み板部分と底板部分とで左右方向の分割位置がそれぞれ異なっており、前記保護部材として使用される、分割された前記蹴込み板付き底板は、底板部分の左右方向の長さをLb、蹴込み板部分の左右方向の長さをLrとしたときに、Lb>Lrとなるように設定されており、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、底板部分における蹴込み板部分から突出している部分が前記配管カバー部の前方側で垂下するように、前記蹴込み板部分を前記配管カバーの前記水平板の上面に載置するようになっていることを特徴としている。
また、請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明のキャビネットにおいて、前記蹴込み板付き底板の蹴込み板部分は、その上部と下部で左右方向の分割位置がそれぞれ異なっており、前記保護部材として使用される、分割された前記蹴込み板付き底板は、底板部分の左右方向の長さをLb、蹴込み板部分の上部の左右方向の長さをLru、蹴込み板部分の下部の左右方向の長さをLrdとしたときに、Lb≧Lru>Lrdとなるように設定されており、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、蹴込み板部分の上部を前記配管カバー部の垂下板の前面に当接させることで、前記底板部分を前後方向に位置決めした状態で、蹴込み板部分の下部を前記配管カバーの前記水平板の上面に載置するようになっていることを特徴としている。
また、請求項5に係る発明は、請求項2に係る発明のキャビネットにおいて、前記蹴込み板付き底板は、左右に分割された状態で、底板の後端部に連設された後脚板を有しており、前記蹴込み板は、左右に分割されることなく、前記保護部材として使用されない、分割された前記蹴込み板付き底板の底板部分に連設されており、前記蹴込み板付き底板は、後脚板部分と底板部分とで左右方向の分割位置がそれぞれ異なっており、前記保護部材として使用される、分割された前記蹴込み板付き底板は、底板部分の左右方向の長さをLb、後脚板部分の左右方向の長さをLrとしたときに、Lb>Lrとなるように設定されており、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、底板部分における後脚板部分から突出している部分が前記配管カバー部の前方側で垂下するように、前記後脚板を前記配管カバーの前記水平板の上面に載置するようになっていることを特徴としている。
また、請求項6に係る発明は、請求項2に係る発明のキャビネットにおいて、前記蹴込み板付き底板は、左右に分割された状態で、底板の後端部に連設された後脚板を有しており、前記蹴込み板は、左右に分割されることなく、前記保護部材として使用されない、分割された前記蹴込み板付き底板の底板部分に連設されており、前記保護部材として使用される、分割された前記蹴込み板付き底板は、その後脚板部分が、底板部分の左右方向の長さをLb、後脚板部分の上部の左右方向の長さをLru、後脚板部分の下部の左右方向の長さをLrdとしたときに、Lb≧Lru>Lrdとなるように、左右方向の一端側が一部切り欠かれており、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、後脚板部分の上部を前記配管カバー部の垂下板の前面に当接させることで、前記底板部分を前後方向に位置決めした状態で、後脚板部分の下部を前記配管カバーの前記水平板の上面に載置するようになっていることを特徴としている。
また、請求項7に係る発明は、請求項2に係る発明のキャビネットにおいて、前記蹴込み板付き底板は、左右に分割された状態で、底板の後端部に連設された後脚板を有しており、前記蹴込み板は、左右に分割されることなく、前記保護部材として使用されない、分割された前記蹴込み板付き底板の底板部分に連設されており、前記蹴込み板付き底板の後脚板部分は、その上部と下部で左右方向の分割位置がそれぞれ異なっており、前記保護部材として使用される、分割された前記蹴込み板付き底板は、底板部分の左右方向の長さをLb、後脚板部分の上部の左右方向の長さをLru、蹴込み板部分の下部の左右方向の長さをLrdとしたときに、Lb≧Lru>Lrdとなるように設定されており、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、後脚板部分の上部を前記配管カバー部の垂下板の前面に当接させることで、前記底板部分を前後方向に位置決めした状態で、後脚板部分の下部を前記配管カバーの前記水平板の上面に載置するようになっていることを特徴としている。
また、請求項8に係る発明は、請求項3、4、5、6または7に係る発明のキャビネットにおいて、前記配管カバー部の垂下板の前面には、前記保護部材として使用する、分割された前記蹴込み板付き底板を、その底板部分を当接させることによって、前後方向に位置決めする位置決め部材が取り付けられていることを特徴としている。
また、請求項9に係る発明は、請求項2、3、4、5、6、7または8に係る発明のキャビネットにおいて、前記保護部材として使用される、分割された一方の前記蹴込み板付き底板の前記蹴込み板に着脱可能に取り付ける連結部材を備えており、前記連結部材を取り付けた前記保護部材によって、排水管の縦配管スペースを区画した状態では、前記連結部材が前記蹴込み板と前記背板との間の隙間を閉塞するようになっていることを特徴としている。
また、請求項10に係る発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に係る発明のキャビネットにおいて、前記扉は、前記側板に着脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
以上のように、請求項1に係る発明のキャビネットは、排水管の縦配管スペースを、キャビネット本体の左側または右側の後方角部側に配置し、扉の内側に位置している蹴込み板付き底板を、左右に分割可能かつ着脱可能に取り付け、キャビネット本体から取り外して分割したいずれか一方の蹴込み板付き底板を保護部材として、少なくとも排水管の縦配管スペースを区画可能に構成したので、蹴込み板付き底板を分割することなく、そのまま排水管の保護部材としてキャビネット本体内の後部に起立させた従来の車椅子対応のキャビネットとは異なり、キャビネット本体内の左右いずれか一方の奥行きを広く使用することができる。従って、従来の車椅子対応のキャビネットに比べて、車椅子のフットレスト部分の進入空間を十分に確保することができ、車椅子に座った高齢者等がこういったキャビネットを備えた洗面化粧台や流し台を使い易くなるという効果が得られる。
また、キャビネット本体が、背板に沿うように、その下端部に配設される横配管を隠蔽する、背板から前方側に張り出す水平板及びこの水平板の前端部に連設された垂下板からなる配管カバー部を有し、排水管の縦配管が、配管カバー部の水平板を貫通して立ち上がっている場合は、請求項2に係る発明のキャビネットのように、蹴込み板付き底板を、配管カバー部の前方側に配設し、保護部材として使用する、分割された一方の蹴込み板付き底板の底板部分の左右方向が上下方向を向くと共に、その底板部分の上面が前面側を向くように、蹴込み板部分を配管カバーの水平板の上面に載置した状態で固定すればよい。
特に、請求項3に係る発明のキャビネットのように、保護部材として使用される、分割された蹴込み板付き底板が、底板部分の左右方向の長さをLb、蹴込み板部分の左右方向の長さをLrとしたときに、Lb>Lrとなるように設定し、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、底板部分における蹴込み板部分から突出している部分が配管カバー部の前方側で垂下するように、蹴込み板を配管カバーの水平板の上面に載置するようにしておくと、保護部材を配管カバー部の前面側で固定することができるので、保持安定性が向上する。
また、請求項4に係る発明のキャビネットでは、保護部材として使用される、分割された蹴込み板付き底板は、底板部分の左右方向の長さをLb、蹴込み板部分の上部の左右方向の長さをLru、蹴込み板部分の下部の左右方向の長さをLrdとしたときに、Lb≧Lru>Lrdとなるように設定されており、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、蹴込み板部分の上部を配管カバー部の垂下板の前面に当接させることで、底板部分を前後方向に位置決めした状態で、蹴込み板部分の下部を配管カバーの水平板の上面に載置するようになっているので、位置決め部材を別途用意する必要がなく、蹴込み板部分の上部の高さを調整することによって、前後方向の区画位置を自由に設定することが可能になる。
また、請求項5〜7に係る発明のキャビネットでは、蹴込み板を、左右に分割することなく、保護部材として使用されない、分割された蹴込み板付き底板の底板部分に連設しているので、通常の使用状態において前面に位置する蹴込み板に切れ目が形成されることがなく、体裁がよい。
また、請求項5に係る発明のキャビネットでは、保護部材として使用される、分割された蹴込み板付き底板が、底板部分の左右方向の長さをLb、後脚板部分の左右方向の長さをLrとしたときに、Lb>Lrとなるように設定し、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、底板部分における後脚板部分から突出している部分が配管カバー部の前方側で垂下するように、後脚板部分を配管カバーの水平板の上面に載置するようにしたので、請求項3に係る発明と同様に、保護部材を配管カバー部の前面側で固定することができ、保持安定性が向上する。
また、請求項6、7に係る発明のキャビネットでは、保護部材として使用される、分割された蹴込み板付き底板は、底板部分の左右方向の長さをLb、後脚板部分の上部の左右方向の長さをLru、後脚板部分の下部の左右方向の長さをLrdとしたときに、Lb≧Lru>Lrdとなるように設定されており、その保護部材によって排水管の縦配管スペースを区画する場合は、後脚板部分の上部を配管カバー部の垂下板の前面に当接させることで、底板部分を前後方向に位置決めした状態で、後脚板部分の下部を配管カバーの水平板の上面に載置するようになっているので、請求項4に係る発明と同様に、位置決め部材を別途用意する必要がなく、後脚板部分の上部の高さを調整することによって、前後方向の区画位置を自由に設定することが可能になる。
また、請求項8に係る発明のキャビネットは、配管カバー部の垂下板の前面に、保護部材として使用する、分割された蹴込み板付き底板を、その底板部分を当接させることによって、前後方向に位置決めする位置決め部材が取り付けられているので、例えば、排水管の縦配管のみならず、背板から前方側に突出する給水管や給湯管に取り付けた止水栓部分までも覆うように区画したい場合には、その位置決め部材の前後方向の突出量を調整することによって、前後方向の区画位置を自由に設定することが可能になる。
また、請求項9に係る発明のキャビネットは、保護部材として使用される、分割された一方の蹴込み板付き底板の蹴込み板に着脱可能に取り付ける連結部材を備えており、連結部材を取り付けた保護部材によって、排水管の縦配管スペースを区画した状態では、連結部材が蹴込み板と背板との間の隙間を閉塞するようになっているので、排水管の縦配管スペースを完全に区画することができ、体裁がよい。
また、請求項10に係る発明のキャビネットは、扉が、側板に着脱自在に取り付けられているので、扉を簡単に取り外すことができ、作業性がよい。
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図5は、本発明の車椅子対応のキャビネット1の上部に洗面ボウルBを取り付けた洗面化粧台を示しており、このキャビネット1は、同図に示すように、前面が開放されたキャビネット本体10と、このキャビネット本体10の前面開口を開閉する扉20とを備えている。
前記キャビネット本体10は、背板11、左右一対の側板12、12、底板14の前端部に蹴込み板15が連設された蹴込み板付き底板13及び背板11に沿うように、その下端部に配設される横配管を隠蔽する配管カバー部16を備えており、配管カバー部16は、背板11から前方側に張り出す水平板16a及びこの水平板16aの前端部に連設された垂下板16bとから構成されている。
前記配管カバー部16の右端部において、その水平板16aを貫通するように、排水縦管DPが床面から立ち上がっており、この排水縦管DPが、排水トラップ及び上部横排水管を介して、洗面ボウルBの排水口に接続されている。また、背板11の右半部における中間高さ位置において、壁面から給水管WP及び給湯管HPがキャビネット本体10内に引き込まれており、それぞれ止水栓SV、SVを介して、洗面ボウルBに取り付けられた混合水栓に接続されている。
前記蹴込み板付き底板13は、配管カバー部16の前方側の全領域を覆う底板14と、この底板14の前端部に連設された蹴込み板15とから構成されており、底板14の上面が配管カバー部16の水平板16aの上面と同一高さになるように、蹴込み板15の高さが設定されている。
また、蹴込み板付き底板13は、その一部を、車椅子の使用態様において、排水縦管DPの保護部材として使用するようになっており、図6(a)、(b)に示すように、車椅子の使用態様状態において、排水縦管DPの保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aと、右側蹴込み板付き底板13Bとに分割することができるようになっている。
前記蹴込み板付き底板13は、蹴込み板15部分と底板14部分とで左右方向の分割位置がそれぞれ異なっており、保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aは、底板14部分の左右方向の長さLb>蹴込み板15部分の左右方向の長さLrとなるように設定されており、底板14部分が蹴込み板15部分の右端部から配管カバー部16の高さ分、即ち、蹴込み板付き底板13の高さH分だけ張り出している。
前記配管カバー部16の垂下板16bにおける右半部の前面には、図5(c)、図7及び図8に示すように、一対の桟木17、17が固定されていると共に、この一対の桟木17、17には、上端縁が一致するような状態で、車椅子の使用態様時に保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aの蹴込み板15部分の下端面に、ダボ18aを介して着脱自在に連結される連結部材18が、ダボ17aを介して着脱自在に取り付けられており、前記左側蹴込み板付き底板13Aは、底板14部分の左側縁後部を、左側の側板12の後部内面に着脱自在に取り付けた支持ピン19に、底板14部分の右側後部を、左側の支持桟木17及び連結部材18にそれぞれ載置することで、また、右側蹴込み板付き底板13Bは、底板14部分の後部を、右側の支持桟木17及び連結部材18にそれぞれ載置することで、底板14部分が水平になるようにそれぞれ支持されている。
前記扉20は、側板12にワンタッチで着脱することができる座金21及びこの座金21にワンタッチで着脱することができる蝶番22を介して、左右の側板12、12に開閉自在にそれぞれ取り付けられており、扉20を閉じた状態では、その下端部が蹴込み板付き底板13の底板14部分の前端面に当接することで、位置決めされるようになっている。
以上のように構成された洗面化粧台のキャビネット1を、車椅子の使用態様状態に改変するには、まず、図9に示すように、座金22から蝶番21を取りはずすことによって、扉20をキャビネット本体10から取り外した後、図10に示すように、蹴込み板付き底板13(左側蹴込み板付き底板13A、右側蹴込み板付き底板13B)を取り外し、図11に示すように、一対の桟木17、17から連結部材18を取り外し、図12(a)、(b)に示すように、連結部材18を左側蹴込み板付き底板13Aの蹴込み板15部分の下端面に取り付ける。
このようにして連結部材18を取り付けた左側蹴込み板付き底板13Aを、図13(a)、(b)及び図14に示すように、底板14部分における蹴込み板15部分から突出している部分が下方側を向くような状態で、蹴込み板15部分を配管カバー部16の水平板16aの上面に載置すると共に、底板14部分を一対の桟木17、17の前端面に当接させるように、ダボ17aを介して桟木17、17に連結した後、通常態様状態において左側蹴込み板付き底板13Aの左側縁後部が載置されていた支持ピン19を左側の側板12から取り外し、右側の側板12の対応する位置に取り付けることで、底板14部分を右側の桟木17と支持ピン19との間に挟み込んで固定すると、連結部材18が背板11に当接すると共に、底板14部分が右側の側板12に当接した状態に保持され、連結部材18を取り付けた左側蹴込み板付き底板13Aによって、排水縦管DPと、給水管WP、給湯管HP及びそれらに取り付けられた止水栓SV、SVとが取り囲まれる。
最後に、ワンタッチタイプの座金21を側板12から取り外すと、図15、図16及び図17(A)、(b)に示すように、キャビネット本体10の前面が完全に開放され、保護部材としての連結部材18付きの左側蹴込み板付き底板13Aによって、キャビネット本体10の後部側の右半部に配置された配管スペースだけが区画された車椅子の使用態様状態となる。
以上のように、このキャビネット1は、排水縦管DP、給水管WP及び給湯管HPの配管スペースをキャビネット本体10の右側の後方角部側に配置し、車椅子の使用態様時には、キャビネット本体10から取り外して分割した左側蹴込み板付き底板13Aを、保護部材として、キャビネット本体10の後部側の右半部に配置された配管スペースだけを区画するようにしたので、蹴込み板付き底板を分割することなく、そのまま排水管の保護部材としてキャビネット本体内の後部に起立させた従来の車椅子対応のキャビネットとは異なり、キャビネット本体10内の左側の奥行きを広く使用することができる。従って、従来の車椅子対応のキャビネットに比べて、車椅子のフットレスト部分の進入空間を十分に確保することができ、車椅子に座った高齢者等が洗面化粧台を使い易くなる。
また、このキャビネット1は、配管スペースを区画する保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aが、底板14部分の左右方向の長さLb>蹴込み板15部分の左右方向の長さLrとなるように設定されており、その保護部材によって配管スペースを区画する場合は、底板14部分における蹴込み板15部分から突出している部分を、配管カバー部16の前面に固定された一対の桟木17、17に、ダボ17aを介して連結することができるので、左側蹴込み板付き底板13Aを保護部材として使用する場合の保持安定性が向上する。
また、配管カバー部16の前面には、保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aを、その底板14部分を当接させることによって、前後方向に位置決めする位置決め部材としての桟木17、17が取り付けられているので、左側蹴込み板付き底板13Aによって、配管カバー部16上に立ち上がっている排水縦管DPだけでなく、配管カバー部16よりも前方側に張り出している給水管WP及び給湯管HPに取り付けられた止水栓SV、SV部分までも覆うように区画することができる。
また、このキャビネット1は、保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aに着脱可能に取り付ける連結部材18を備えており、この連結部材18を取り付けた左側蹴込み板付き底板13Aによって、配管スペースを区画した状態では、連結部材18が蹴込み板15部分と背板11との間の隙間を閉塞するようになっているので、配管スペースを完全に区画することができ、体裁がよいと共に、保護部材である左側蹴込み板付き底板13Aの保持安定性も向上する。
また、このキャビネット1は、一対の扉20、20が、側板12にワンタッチで着脱することができる座金21及びこの座金21にワンタッチで着脱することができる蝶番22を介して、左右の側板12、12に開閉自在にそれぞれ取り付けられているので、ドライバー等の工具を使用することなく、扉20を簡単に取り外すことができ、作業性がよい。
なお、上述した実施形態では、連結部材18を一対の桟木17、17に着脱自在に取り付けているが、これに限定されるものではなく、例えば、蹴込み板付き底板13(左側蹴込み板付き底板13Aまたは右側蹴込み板付き底板13B)における底板14または蹴込み板の内面側にダボを介して取り付けるといった具合に、通常態様時に視認することができない種々の部位に取り付けることも可能である。
また、上述した実施形態では、保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aに着脱可能に取り付ける連結部材18を備えているが、これに限定されるものではなく、例えば、図18(a)〜(c)及び図19(a)〜(c)に示すように、連結部材を省略することも可能である。ただし、連結部材を省略すると、通常態様時に右側蹴込み板付き底板13Bの左側後部を支持することができなくなるので、右側蹴込み板付き底板13Bの左側後部を載置するための新たな桟木17Aを、配管カバー部16の前面(垂下板16b)に固定しておく必要がある。この実施形態の場合も、上述した実施形態と同様に、車椅子の使用態様時には、左側蹴込み板付き底板13Aの底板14部分における蹴込み板15部分から突出している部分を、配管カバー部16の前面に固定された各桟木17、17、17Aに、ダボ17aを介して連結することになるが、支持ピン19については、右側の側板12における底板14部分の上端部付近の高さ位置に取り付けるようになっており、通常態様時には、左側蹴込み板付き底板13A及び右側蹴込み板付き底板13Bの各底板14の後端部を、各桟木17、17、17Aに載置すると共に、ダボ17aを介して、各桟木17、17、17Aに連結するようになっている。
また、上述した各実施形態では、位置決め部材として機能する桟木17を、配管カバー部16の前面(垂下板16b)に固定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図20(a)、(b)に示す蹴込み板付き底板13aのように、底板14の後端部に蹴込み板15と同様の後脚板15aを連設すると共に、配管スペースを区画する保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aaが、底板14部分の左右方向の長さLb≧蹴込み板15部分及び後脚板15a部分の上部の左右方向の長さLru>蹴込み板15部分及び後脚板15a部分の下部の左右方向の長さLrdとなるように、分割位置を設定することにより、蹴込み板15部分や後脚板15a部分に位置決め部材としての機能を持たせることも可能であり、蹴込み板15部分の上部の高さHaを調整することによって、前後方向の区画位置を自由に設定することができる。
こういった蹴込み板付き底板13aが採用されたキャビネット本体の場合、例えば、図21(a)〜(c)に示すように、通常態様状態では、左側蹴込み板付き底板13Aa及び右側蹴込み板付き底板13Baの後脚板15aの右端部分を、ダボ17aを介して、配管カバー部16の前面(垂下板16b)にそれぞれ着脱自在に連結すると共に、通常態様時に視認することができないように、左右一対の側板12、12の内面側における蹴込み板付き底板13aの底板14よりも下側の位置に一対の支持ピン19、19を着脱自在に取り付けておき、図22(a)〜(c)に示すように、車椅子の使用態様に改変した状態では、保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aaにおける蹴込み板15部分の上部端面を、配管カバー部16の前面(垂下板16b)に、ダボ17aを介して連結すると共に、左側の側板12に取り付けてあった支持ピン19を外して、右側の側板12における底板14部分の上端部付近の高さ位置に取り付けることによって、左側蹴込み板付き底板13Aaを固定すればよい。
また、上述した各実施形態では、配管カバー部16よりも前方側に張り出している給水管WP及び給湯管HPに取り付けられた止水栓SV、SV部分までも覆うように区画するために、保護部材として使用する左側蹴込み板付き底板13A、13Aaを、桟木17等を用いて配管カバー部16よりも前方側に位置決めしているが、これに限定されるものではなく、止水栓SV、SV部分を覆わないように区画する場合や、止水栓SV、SVが配管カバー部16よりも前方側に張り出していない場合は、例えば、図23(a)〜(c)及び図24(a)〜(c)に示すように、桟木17等の位置決め部材を設けずに、車椅子の使用態様に改変した状態では、蹴込み板付き底板13から分割された、保護部材として使用する左側蹴込み板付き底板13Aの張り出した底板14部分を配管カバー部16の前面(垂下板16b)に重ね合わせるようにして、左側蹴込み板付き底板13Aの蹴込み板15部分を配管カバー部16の水平板16aの上面に載置すればよい。
このように、桟木17を設けない場合は、通常態様状態において、左側蹴込み板付き底板13Aの右側後部や右側蹴込み板付き底板13Bの後部を支持することができないので、図23(a)〜(c)に示すように、配管カバー部16の前面(垂下板16b)に複数のダボ17aを取り付けて、それらのダボ17aに左側蹴込み板付き底板13Aの右側後部や右側蹴込み板付き底板13Bの後部を載置するようにし、車椅子の使用態様に改変した状態では、図24(a)〜(c)に示すように、保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Aにおける張り出した底板14部分を、複数のダボ17aを介して配管カバー部16の前面(垂下板16b)に連結すると共に、左側の側板12に取り付けてあった支持ピン19を外して、右側の側板12における底板14部分の上端部付近の高さ位置に取り付けることによって、左側蹴込み板付き底板13Aを固定すればよい。
また、桟木17を設けない場合は、例えば、図25(a)〜(c)及び図26(a)〜(c)に示すように、底板14の後端部に蹴込み板15と同様の後脚板15aを連設すると共に、上述した蹴込み板付き底板13における蹴込み板15の分割位置と同様の位置で後脚板15aを分割した蹴込み板付き底板13bを使用してもよい。
このように、底板14の後端部に後脚板15aを連設した蹴込み板付き底板13bを採用する場合、通常態様状態では、図25(a)〜(c)に示すように、保護部材として使用しない右側蹴込み板付き底板13Bbを、一対のダボ17aを介して、配管カバー部16の前面(垂下板16b)に着脱自在に連結すると共に、通常態様時に視認することができないように、左側の側板12の内面側における蹴込み板付き底板13bの底板14よりも下側の位置に支持ピン19を着脱自在に取り付けておき、図26(a)〜(c)に示すように、車椅子の使用態様に改変した状態では、保護部材として使用される左側蹴込み板付き底板13Abにおける張り出した底板14部分を、配管カバー部16の前面(垂下板16b)に、一対のダボ17aを介して連結すると共に、左側の側板12に取り付けてあった支持ピン19を外して、右側の側板12における底板14部分の上端部付近の高さ位置に取り付けることによって、左側蹴込み板付き底板13Abを固定すればよい。
また、上述した蹴込み板付き底板13bは、蹴込み板部分と底板部分とで左右方向の分割位置がそれぞれ異なっているが、これに限定されるものではなく、例えば、図27(a)、(b)に示すように、蹴込み板15部分と底板14部分とで左右方向の分割位置が一致するように、左側蹴込み板付き底板13Ac及び右側蹴込み板付き底板13Bcに2分割可能な蹴込み板付き底板13cを使用してもよい。
こういった蹴込み板付き底板13cが採用されたキャビネット本体の場合、例えば、図28(a)〜(c)に示すように、通常態様時に視認することができないように、左右一対の側板12、12の内面側における蹴込み板付き底板13cの底板14よりも下側の位置に一対の支持ピン19、19を着脱自在に取り付けておき、図29(a)〜(c)に示すように、車椅子の使用態様に改変した状態では、保護部材として使用される分割された左側蹴込み板付き底板13Ac(または右側蹴込み板付き底板13Bc)を、配管カバー部16の上面(水平板16a)に載置し、左右の側板12、12に取り付けてあった支持ピン19、19を外して、右側の側板12における底板14部分の上端部付近及び下端部付近の高さ位置にそれぞれ取り付けることによって、左側蹴込み板付き底板13Ac(または右側蹴込み板付き底板13Bc)を固定すればよい。
また、上述した各実施形態では、蹴込み板付き底板13、13a、13b、13cを分割する際、蹴込み板15についても分割しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図30(a)、(b)に示す蹴込み板付き底板13dのように、左右に分割される後脚板15aを底板14の後端部に連設すると共に、蹴込み板15を、左右に分割することなく、保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Bd側に張り出すような状態で、保護部材として使用されない左側蹴込み板付き底板13Adの底板14部分に連設し、左側蹴込み板付き底板13Adから張り出した蹴込み板15部分に、右側蹴込み板付き底板13Bdの底板14の前部を載置するようにしてもよい。
また、配管スペースを区画する保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Bdは、底板14部分の左右方向の長さLb≧後脚板15a部分の上部の左右方向の長さLru>後脚板15a部分の下部の左右方向の長さLrdとなるように、後脚板15a部分の左端側が一部切り欠かれており、後脚板15a部分が位置決め部材としての機能するようになっている。
こういった蹴込み板付き底板13dが採用されたキャビネット本体の場合は、例えば、図31(a)〜(c)に示すように、配管カバー部16の垂下板16bにおける右端の前面に、右側蹴込み板付き底板13Bdの後脚板15a部分の上部の高さHa(図30(b)参照)と同一の張出長さを有する桟木17を固定すると共に、通常態様時に視認することができないように、右側の側板12の内面側における蹴込み板付き底板13dの底板14よりも下側の位置に支持ピン19を着脱自在に取り付けておき、図32(a)〜(c)に示すように、車椅子の使用態様に改変した状態では、保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Bdにおける底板14部分(通常態様状態における前端部分)を桟木17に当接させると共に、後脚板15a部分の上部端面を、配管カバー部16の前面(垂下板16b)に、ダボ17aを介して連結し、右側の側板12に取り付けてあった支持ピン19によって、底板14部分(通常態様状態における前端部分)を桟木17との間に挟み込んで右側蹴込み板付き底板13Bdを固定すればよい。
この蹴込み板付き底板13dは、蹴込み板15を、左右に分割することなく、保護部材として使用されない左側蹴込み板付き底板13Adの底板14部分に連設しているので、通常の使用状態において前面に位置する蹴込み板15に切れ目が形成されることがなく、体裁がよい。
また、図31及び図32に示すキャビネット本体10では、車椅子の使用態様に改変した状態において、保護部材として使用される分割された右側蹴込み板付き底板13Bdの後脚板15a部分と背板11との間に隙間が形成されないように、配管カバー部16の高さや奥行き及びキャビネット本体10の奥行きが設定されているので、車椅子の使用態様に改変する際に、連結部材18等を取り付ける必要がなく、部品点数が少なくなると共に改変作業性もよい。
また、この蹴込み板付き底板13dでは、保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Bdにおける後脚板15a部分の左端側が一部切り欠かれているが、これに限定されるものではなく、図20に示す蹴込み板付き底板13aの蹴込み板15や後脚板15aのように、単に左右に分割することで、右側蹴込み板付き底板13Bdの後脚板15aの切り欠き部に相当する部分に、左側蹴込み板付き底板13Adにおける後脚板15aの張り出し部が嵌合するようにしてもよい。
前記蹴込み板付き底板13dでは、保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Bdにおける後脚板15a部分の左端側を一部切り欠くことによって、その後脚板15a部分に位置決め部材としての機能を付与しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図33(a)〜(c)に示すキャビネット本体10に採用されている蹴込み板付き底板13eのように、保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Beの後脚板15a部分に位置決め部材としての機能を付与することなく、後脚板15aの左端側を完全に切除することも可能である。なお、保護部材として使用されない左側蹴込み板付き底板13Aeは、上述した左側蹴込み板付き底板13Adと同様に、底板14と後脚板15aとが同一幅に設定されていると共に、蹴込み板15が、左右に分割されることなく、底板14の前部に連設されている。
こういった蹴込み板付き底板13eを採用する場合は、例えば、図33(a)〜(c)に示すキャビネット本体10のように、配管カバー部16の垂下板16bに、位置決め部材として機能する一対の桟木17、17を固定すると共に、この桟木17、17の前端面にダボ17aをそれぞれ取り付けておき、図34(a)〜(c)に示すように、車椅子の使用態様に改変した状態では、保護部材として使用される分割された右側蹴込み板付き底板13Beの底板14部分における後脚板15a部分から突出している部分が下方側を向くような状態で、後脚板15a部分を配管カバー部16の水平板16aの上面に載置すると共に、底板14部分に予め形成されている一対のダボ穴にダボ17a、17aを差し込むことによって、底板14部分を一対の桟木17、17の前端面に当接させた状態で、桟木17、17に連結すればよい。
なお、このキャビネット本体10の場合、図34(c)に示すように、車椅子の使用態様に改変した状態では、保護部材として使用される分割された右側蹴込み板付き底板13Beの後脚板15a部分と背板11との間に隙間が形成されるので、上述した連結部材18と同様の連結部材を、通常態様時に視認することができない位置に着脱自在に取り付けておき、車椅子の使用態様に改変する際に、それを取り外して後脚板15a部分に連結することにより、右側蹴込み板付き底板13Beの後脚板15a部分と背板11との間に形成される隙間を閉塞するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、保護部材として使用する右側蹴込み板付き底板13Beを、桟木17、17を用いて配管カバー部16よりも前方側に位置決めしているが、これに限定されるものではなく、止水栓SV、SV部分を覆わないように区画する場合や、止水栓SV、SVが配管カバー部16よりも前方側に張り出していない場合は、例えば、図35(a)〜(c)及び図36(a)〜(c)に示すように、桟木17等の位置決め部材を設けずに、車椅子の使用態様に改変した状態では、蹴込み板付き底板13fから分割された、保護部材として使用する右側蹴込み板付き底板13Bfの張り出した底板14部分を配管カバー部16の前面(垂下板16b)に重ね合わせるようにして、右側蹴込み板付き底板13Bfの後脚板15a部分を配管カバー部16の水平板16aの上面に載置すればよい。
この蹴込み板付き底板13fは、後脚板15aと底板14部分とで左右方向の分割位置がそれぞれ異なっており、保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Bfは、底板14部分の左右方向の長さ>後脚板15a部分の左右方向の長さとなるように設定されており、底板14部分が後脚板15a部分の左端部から配管カバー部16の高さ分だけ張り出しているが、保護部材として使用されない左側蹴込み板付き底板13Afは、逆に、後脚板15a部分が底板14部分の右端部から配管カバー部16の高さ分だけ張り出している。
この右側蹴込み板付き底板13Bfの底板14部分における後脚板15a部分から張り出した部分には、一対のダボ17a、17aが取り付けられており、35(a)〜(c)に示す通常態様状態では、このダボ17a、17aを介して、右側蹴込み板付き底板13Bfの底板14部分が左側蹴込み板付き底板13Afの後脚板15a部分及び蹴込み板15に着脱自在に連結されているので、車椅子の使用態様に改変した状態では、図36(a)〜(c)に示すように、保護部材として使用される右側蹴込み板付き底板13Bfにおける張り出した底板14部分を配管カバー部16の前面(垂下板16b)に重ね合わせる際、一対のダボ17a、17aを配管カバー部16の垂下板16bに予め形成されている一対のダボ穴に差し込むことによって、配管カバー部16に連結すればよい。
また、上述した各実施形態では、洗面化粧台に使用されるキャビネットについて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の車椅子対応のキャビネットは、例えば、流し台等、給排水設備を有する種々のキャビネットに適用することができる。