JP6332582B1 - 組成物、並びに、該組成物を用いた膜及び発光素子の製造方法 - Google Patents

組成物、並びに、該組成物を用いた膜及び発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

インクジェット法での吐出性に優れ、インクジェット装置の詰まりが発生し難い組成物を提供する。式(1)で表され沸点が50℃以上150℃未満であるフッ素化アルコールA、式(1)で表され沸点が150℃以上300℃未満であるフッ素化アルコールB、及び、電荷輸送性化合物を含み、前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBの合計100質量部に対する前記フッ素化アルコールBの割合が、10質量部〜90質量部である組成物。CnFH2nF+1-mFFmFOH (1)(式(1)中、nFは1〜12の整数であり、mFは1〜25の整数である。但し、2nF+1≧mFである。)

Description

本発明は、組成物、並びに、該組成物を用いた膜及び発光素子の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子の特性を向上させるために、発光層と電極との間に様々な層を挿入する検討がなされている。例えば、発光層と電極との間に、電子輸送材料を沸点120℃未満のフッ素化アルコールに溶解させた溶液を用いて、スピンコート法により形成された電子輸送層を挿入する方法が知られている(特許文献1)。
国際公開第2009/063850号
しかしながら、上記溶液を用いてインクジェット法により成膜する場合、上記溶液の吐出性は必ずしも十分ではなく、インクジェット装置の詰まりが発生する場合がある。
そこで、本発明は、インクジェット法での吐出性に優れ、インクジェット装置の詰まりが発生し難い組成物、並びに、該組成物を用いた膜及び発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[11]を提供する。
[1]式(1)で表され沸点が50℃以上150℃未満であるフッ素化アルコールA、式(1)で表され沸点が150℃以上300℃未満であるフッ素化アルコールB、及び、電荷輸送性化合物を含み、
前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBの合計100質量部に対する前記フッ素化アルコールBの割合が、10質量部〜90質量部である組成物。

nF2nF+1-mFmFOH (1)

(式(1)中、nFは1〜12の整数であり、mFは1〜25の整数である。但し、2nF+1≧mFである。)
[2]前記フッ素化アルコールAの沸点と前記フッ素化アルコールBの沸点との差が、50℃以内である、[1]に記載の組成物。
[3]前記フッ素化アルコールAにおけるnFが1〜10の整数であり、前記フッ素化アルコールBにおけるnFが4〜10の整数である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記フッ素化アルコールAにおけるmFが4〜12の整数であり、前記フッ素化アルコールBにおけるmFが4〜12の整数である、[3]に記載の組成物。
[5]前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBが、直鎖のアルコールである、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]前記電荷輸送性化合物が、
芳香族炭化水素化合物、芳香族複素環式化合物、有機シラン化合物、芳香族炭化水素化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、芳香族複素環式化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、有機シラン化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、
アルカリ金属のハロゲン化物、酸化物塩及び炭酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物塩及び炭酸塩、並びに、金属錯体
からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]前記電荷輸送性化合物が高分子化合物である、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]更に水を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]更に、前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBより表面張力が高く、前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBより沸点が高い溶媒を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の組成物を用いて塗布法により膜を形成する工程を含む、膜の製造方法。
[11][1]〜[9]のいずれかに記載の組成物を用いて塗布法により層を形成する工程を含む、発光素子の製造方法。
本発明によれば、インクジェット法での吐出性に優れ、インクジェット装置の詰まりが発生し難い組成物、並びに、該組成物を用いた有機膜及び発光素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108である重合体を意味する。
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合、発光特性又は輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。高分子化合物の末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素−炭素結合を介して高分子化合物の主鎖と結合するアリール基又は1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、ドデシル基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基、6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば6〜60であり、好ましくは6〜48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、及び、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば2〜60であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、例えば2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、例えば4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、例えば4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、式(A−1)〜式(A−20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
Figure 0006332582
Figure 0006332582
Figure 0006332582
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[式中、R及びRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。複数存在するR及びRaは、各々、同一でも異なっていてもよく、Ra同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、例えば2〜60であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜15である。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−38)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
Figure 0006332582
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Figure 0006332582
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[式中、R及びRaは、前記と同じ意味を表す。]
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(B−1)−式(B−17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
Figure 0006332582
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基であってもよい。
<組成物>
本発明の組成物は、
前記式(1)で表され沸点が50℃以上150℃未満であるフッ素化アルコールA、前記式(1)で表され沸点が150℃以上300℃未満であるフッ素化アルコールB、及び、電荷輸送性化合物を含み、
前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBの合計100質量部に対する前記フッ素化アルコールBの割合が、10質量部〜90質量部である組成物である。
ここで、フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBの沸点は、標準気圧下における値である。
フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBはそれぞれ、本発明の組成物中に、1種単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
・フッ素化アルコール
フッ素化アルコールとは、アルコールにおいて、ヒドロキシル基を構成する水素原子以外の水素原子の一つ以上がフッ素原子に置換された化合物であり、前記式(1)で表される。
フッ素化アルコールAにおいて、nFは、粘度が良好になるので、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは2〜8の整数である。
フッ素化アルコールBにおいて、nFは、本発明の組成物の乾燥を抑制できるので、好ましくは4〜10の整数であり、より好ましくは5〜8の整数である。
フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBの双方において、nFが上記の好ましい範囲を満たすことが特に好ましい。
フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBにおいて、mFは、本発明の組成物の成膜性が優れるので、好ましくは4〜12の整数であり、より好ましくは6〜12の整数であり、更に好ましくは8〜12の整数である。
フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBの双方において、mFが上記の好ましい範囲を満たすことが特に好ましい。
フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBにおいて、nF及びmFは、好ましくは2≦2nF+1−mF≦10を満たし、より好ましくは2≦2nF+1−mF≦6を満たし、更に好ましくは3≦2nF+1−mF≦6を満たし、特に好ましくは2nF+1−mF=3を満たす。
式(1)で表されるフッ素化アルコールとしては、1級アルコール、2級アルコール、及び3級アルコールが挙げられ、好ましくは1級アルコールである。
式(1)で表されるフッ素化アルコールは、直鎖のアルコール(即ち、直鎖状の構造を有するアルコール)であっても分岐のアルコール(即ち、分岐状の構造を有するアルコール)であってもよいが、式(1)で表されるフッ素化アルコールの入手が容易であるので、好ましくは直鎖のアルコールである。即ち、フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBの双方が、直鎖のアルコールであることが好ましい。
フッ素化アルコールAとしては、例えば、
1H,1H−トリフルオロエタノール(沸点:74〜75℃)、
1H,1H−ペンタフルオロプロパノール(沸点:81〜83℃)、
1H,1H−ヘプタフルオロブタノール(沸点:95℃)、
2−(パーフルオロブチル)エタノール(沸点:140〜143℃)、
1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール(沸点:109〜110℃)、
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール(沸点:140〜141℃)、
2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(沸点:58.6℃)、
1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール(沸点:108〜113℃)、
が挙げられる。
フッ素化アルコールBとしては、例えば、
6−(パーフルオロエチル)ヘキサノール(沸点:173℃)、
3−(パーフルオロブチル)プロパノール(沸点:179〜182℃)、
6−(パーフルオロブチル)ヘキサノール(沸点:203〜210℃)、
2−(パーフルオロヘキシル)エタノール(沸点:195〜200℃)、
3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール(沸点:208℃)、
6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール(沸点:250〜253℃)、
6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノール(沸点:155〜156℃)、
1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール(沸点:169〜170℃)、
が挙げられる。
フッ素化アルコールAは、本発明の組成物の粘度を低減することができ、かつ、インクジェット法での吐出性がより優れるので、沸点が80℃〜145℃であることが好ましく、90℃〜145℃であることがより好ましく、110℃〜145℃であることが更に好ましく、135℃〜145℃が特に好ましい。
フッ素化アルコールBは、本発明の組成物のインクジェット装置の詰まりがより発生し難く、かつ、インクジェット法での吐出性がより優れるので、沸点が160℃〜300℃であることが好ましく、165℃〜250℃であることがより好ましく、165℃〜200℃であることが更に好ましく、165℃〜185℃であることが特に好ましい。
フッ素化アルコールAとフッ素化アルコールBとの沸点の差は、50℃以内であることが好ましく、5℃〜45℃であることがより好ましく、10℃〜40℃であることがより好ましく、20℃〜35℃であることが更に好ましく、25℃〜35℃であることが特に好ましい。
本発明の組成物に含まれるフッ素化アルコールBの割合は、本発明の組成物のインクジェット装置の詰まりがより発生し難く、インクジェット法での吐出性がより優れるので、フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBの合計100質量部に対して、20質量部〜80質量部であることが好ましく、30質量部〜70質量部であることがより好ましい。
・電荷輸送性化合物
電荷輸送性化合物としては、例えば、
フェニレン及びその誘導体、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、フェナントレン及びその誘導体、ジヒドロフェナントレン及びその誘導体、ナフタセン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、ピレン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、クリセン及びその誘導体、並びに、これらから誘導される構成単位を含む高分子化合物に代表される芳香族炭化水素化合物;
オキサジアゾール及びその誘導体、チアジアゾール及びその誘導体、チアゾール及びその誘導体、オキサゾール及びその誘導体、チオフェン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、ホスホール及びその誘導体、フラン及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、ピラジン及びその誘導体、ピリミジン及びその誘導体、トリアジン及びその誘導体、ピリダジン及びその誘導体、キノリン及びその誘導体、イソキノリン及びその誘導体、アゾール及びその誘導体、ジアゾール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体、カルバゾール及びその誘導体、アザカルバゾール及びその誘導体、ジアザカルバゾール及びその誘導体、ジベンゾホスホール及びその誘導体、フェノキサジン及びその誘導体、フェノチアジン及びその誘導体、ジベンゾボロール及びその誘導体、ジベンゾシロール及びその誘導体、ベンゾピラン及びその誘導体等、並びに、これらから誘導される構成単位を含む高分子化合物に代表される芳香族複素環式化合物;
有機シラン化合物及びこれらから誘導される構成単位を含む高分子化合物;
芳香族炭化水素化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、芳香族複素環式化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、並びに、有機シラン化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩;
アルカリ金属のハロゲン化物、酸化物塩及び炭酸塩、並びに、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物塩及び炭酸塩;
金属錯体が挙げられる。
これらの中でも、
好ましくは芳香族炭化水素化合物、芳香族複素環式化合物、芳香族炭化水素化合物のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、又は、芳香族複素環式化合物のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩であり、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の輝度寿命が優れるので、
より好ましくは芳香族炭化水素化合物のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、又は、芳香族複素環式化合物のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩であり、
更に好ましくは芳香族炭化水素化合物におけるカルボン酸イオンと、アルカリ金属イオン若しくはアルカリ土類金属イオンとから構成されるアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、又は、芳香族複素環式化合物におけるカルボン酸イオンと、アルカリ金属イオン若しくはアルカリ土類金属イオンとから構成されるアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩である。
電荷輸送性化合物は、本発明の組成物中に、1種単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
電荷輸送性化合物が高分子化合物である場合、該高分子化合物としては、式(ET−1)で表される構成単位を含む高分子化合物、又は、ポリアニリンが好ましく、式(ET−1)で表される構成単位を含む高分子化合物がより好ましい。式(ET−1)で表される構成単位は、高分子化合物中に1種単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
Figure 0006332582
[式中、
nE1は、0以上の整数を表す。
ArE1は、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基はRE1以外の置換基を有していてもよい。
E1は、式(ES−1)で表される基を表す。RE1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
−RE2−{(QE1nE2−YE1(ME1aE1(ZE1bE1mE1 (ES−1)
[式中、
nE2は0以上の整数を表し、aE1は1以上の整数を表し、bE1は0以上の整数を表し、mE1は1以上の整数を表す。nE2、aE1及びbE1が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、RE2が単結合である場合、mE1は1である。また、aE1及びbE1は、式(ES−1)で表される基の電荷が0となるように選択される。
E2は、単結合、炭化水素基、複素環基又は−O−RE2’を表し(RE2’は、炭化水素基又は複素環基を表す。)、これらの基は置換基を有していてもよい。
E1は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。QE1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E1は、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -又は−PO3 2-を表す。YE1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E1は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表し、このアンモニウムカチオンは置換基を有していてもよい。ME1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E1は、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、B(RE44 -、RE4SO3 -、RE4COO-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表す。RE4は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ZE1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
「炭化水素基」とは、炭化水素から1以上の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
「芳香族炭化水素基」とは、「炭化水素基」の中でも、芳香族化合物から1以上の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
nE1は、例えば0〜4の整数であり、好ましくは1又は2である。
ArE1で表される芳香族炭化水素基又は複素環基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、2、7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、2,7−カルバゾールジイル基又はチオフェンジイル基から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nE1個を除いた基が好ましく、2,7−フルオレンジイル基又は3,6−フルオレンジイル基から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nE1個を除いた基がより好ましく、RE1以外の置換基を有していてもよい。
ArE1が有していてもよいRE1以外の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、カルボキシル基及び式(ES−3)で表される基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
−O−(Cn'2n'O)nx−Cm'2m'+1 (ES−3)
[式中、n’、m’及びnxは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。]
n’は、例えば1〜10の整数であり、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは2又は3である。
m’は、例えば1〜10の整数であり、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは1又は2である。
nxは、例えば1〜10の整数であり、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは2〜4の整数である。
nE2は、例えば0〜10の整数であり、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
aE1は、例えば1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは1又は2である。
bE1は、例えば0〜10の整数であり、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0又は1である。
mE1は、例えば1〜5の整数であり、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
E2が−O−RE2’の場合、式(ES−1)で表される基は、下記式で表される基である。
−O−RE2’−{(QE1nE2−YE1(ME1aE1(ZE1bE1mE1
E2としては、炭化水素基又は複素環基が好ましく、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基がより好ましく、芳香族炭化水素基が更に好ましい。
E2が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基及び式(ES−3)で表される基が挙げられ、式(ES−3)で表される基が好ましい。
E1としては、アルキレン基、アリーレン基又は酸素原子が好ましく、アルキレン基又は酸素原子がより好ましい。
E1としては、−CO2 -、−SO3 -又は−PO3 2-が好ましく、−CO2 -がより好ましい。
E1で表されるアルカリ金属カチオンとしては、例えば、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+が挙げられ、K+、Rb+又はCs+が好ましく、Cs+がより好ましい。
E1で表されるアルカリ土類金属カチオンとしては、例えば、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+が挙げられ、Mg2+、Ca2+、Sr2+又はBa2+が好ましく、Ba2+がより好ましい。
E1としては、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンが好ましく、アルカリ金属カチオンがより好ましい。
E1としては、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、B(RE44 -、RE4SO3 -、RE4COO-又はNO3 -が好ましく、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、RE4SO3 -又はRE4COO-が好ましい。RE4としては、アルキル基が好ましい。
式(ES−1)で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006332582
Figure 0006332582
[式中、M+は、Li+、Na+、K+、Cs+又はN(CH34 +を表す。M+が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
式(ET−1)で表される構成単位としては、例えば、式(ET−31)〜式(ET−38)で表される構成単位が挙げられ、式(ET−31)又は式(ET−33)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0006332582
Figure 0006332582
Figure 0006332582
電荷輸送性化合物が高分子化合物である場合、該高分子化合物は、例えば、特開2009−239279号公報、特開2012−033845号公報、特開2012−216821号公報、特開2012−216822号公報、特開2012−216815号公報に記載の方法に従って合成することができる。
電荷輸送性化合物が低分子化合物である場合、該低分子化合物としては、式(H−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006332582
[式中、
H3は、0以上の整数を表す。
H1は、0又は1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H2は、0又は1を表す。複数存在するnH2は、同一でも異なっていてもよい。
H1は、アリーレン基もしくは2価の複素環基からnE3個の水素原子を除いた基、−[C(RH112]nH11−で表される基、又は、−[P(=O)(RH12)]nH12−で表される基を表し、これらの基はRE3以外の置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H11及びnH12は、それぞれ独立に、1以上10以下の整数を表す。RH11及びRH12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するRH12は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
nE3は0以上の整数を表す。但し、LH1が−[C(RH112]nH11−で表される基、又は、−[P(=O)(RH12)]nH12−で表される基である場合、nE3は0を表す。nE3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E3は、前述の式(ES−1)で表される基を表す。RE3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H2は、−N(−LH21−RH21)−で表される基を表す。LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H21は、単結合、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RH21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArH1はアリール基又は1価の複素環基からnE4個の水素原子を除いた基を表し、これらの基はRE4以外の置換基を有していてもよい。
ArH2は、アリール基又は1価の複素環基からnE5個の水素原子を除いた基を表し、これらの基はRE5以外の置換基を有していてもよい。
nE4及びnE5は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
E4、及びRE5は、それぞれ独立に、前述の式(ES−1)で表される基を表す。複数存在するRE4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRE5は、同一でも異なっていてもよい。]
H3は、例えば、0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上5以下の整数であり、更に好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは1である。
H1は、好ましくは1である。
H2は、好ましくは0である。
H11は、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、更に好ましくは1である。
H12は、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、更に好ましくは1である。
H1は、低分子化合物の電荷輸送性の観点からは、アリーレン基又は2価の複素環基からnE3個の水素原子を除いた基であることが好ましく、フッ素化アルコールに対する溶解性の観点からは、−[P(=O)(RH12)]nH12−で表される基であることが好ましい。
H1がアリーレン基又は2価の複素環基からnE3個の水素原子を除いた基である場合、LH1は、式(A−1)〜式(A−3)、式(A−8)〜式(A−10)、式(AA−1)〜式(AA−6)、式(AA−10)〜式(AA−21)又は式(AA−24)〜式(AA−38)で表される基からnE3個の水素原子を除いた基であることが好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(AA−2)、式(AA−4)又は式(AA−14)で表される基からnE3個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
H1が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
H21は、単結合又はアリーレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましく、このアリーレン基は置換基を有していてもよい。
H21で表されるアリーレン基又は2価の複素環基は、式(A−1)〜式(A−3)、式(A−8)〜式(A−10)、式(AA−1)〜式(AA−6)、式(AA−10)〜式(AA−21)又は式(AA−24)〜式(AA−38)で表される基であることが好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(AA−2)、式(AA−4)又は式(AA−14)で表される基であることがより好ましい。
H21は、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
H21で表されるアリール基又は1価の複素環基は、フェニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基であることが好ましく、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基であることがより好ましい。
H21が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルコキシ基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基、アルキル基又はシクロアルコキシ基が好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArH1で表されるアリール基又は1価の複素環基からnE4個の水素原子を除いた基は、フェニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基からnE4個の水素原子を除いた基であることが好ましく、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基からnE4個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
ArH2で表されるアリール基又は1価の複素環基からnE5個の水素原子を除いた基は、フェニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基からnE5個の水素原子を除いた基であることが好ましく、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基からnE5個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の定義及び例は、RH21が有していてもよい置換基の定義及び例と同様である。
式(H−1)で表される化合物は、式(H−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006332582
[式中、nH3、LH1、nE3、RE3、ArH1、ArH2、nE4、nE5、RE4及びRE5は、前記と同じ意味を表す。]
nE3、nE4及びnE5の少なくとも1つは、1以上の整数であることが好ましい。
式(H−1)で表される化合物としては、式(H−101)〜式(H−116)で表される化合物が例示される。
Figure 0006332582
Figure 0006332582
Figure 0006332582
Figure 0006332582
Figure 0006332582
[式中、M+は、Li+、Na+、K+、Cs+又はN(CH34 +を表す。M+が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
本発明の組成物に含まれる電荷輸送性化合物の割合は、インクジェット法での吐出性がより優れるので、組成物100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.05質量部〜5質量部であることがより好ましく、0.05質量部〜2質量部であることが更に好ましい。
本発明の組成物に含まれる電荷輸送性化合物は、本発明の組成物を用いて成膜される膜の平坦性の観点からは、高分子化合物であることが好ましく、インクジェット法での吐出性の観点からは、低分子化合物であることが好ましい。
本発明の組成物は、フッ素化アルコールA、フッ素化アルコールB、及び、電荷輸送性化合物以外の任意成分を含んでいてもよい。
任意成分としては、フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBより表面張力が高く、フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBよりも沸点が高い溶媒(以下、「溶媒C」とも言う。)、並びに、水が挙げられる。
溶媒Cは、本発明の組成物中に、1種単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
本発明の組成物は、組成物を成膜する際のシュリンク(即ち、塗布成膜された組成物を乾燥する際、膜が収縮し、乾燥後の膜の面積が、乾燥前の膜の面積よりも縮小する現象)を抑制できるので、任意成分として、更に、溶媒Cを含むことが好ましい。
フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBのうちの表面張力が最も高いものと、溶媒Cのうちの表面張力が最も低いものとの表面張力の差は、10mN/m〜70mN/mであることが好ましく、15mN/m〜70mN/mであることがより好ましく、20mN/m〜65mN/mであることが更に好ましい。
フッ素化アルコールBのうちの沸点が最も高いものの沸点と、溶媒Cのうちの沸点が最も低いものとの差は、5℃〜50℃であることが好ましく、10℃〜40℃であることがより好ましい。
溶媒Cとしては、例えば、o−ジクロロベンゼン等の塩素溶媒;アニソール、4−メチルアニソール等のエーテル溶媒;メシチレン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素溶媒;シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン溶媒;エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル溶媒;グリセリン等の多価アルコール溶媒;シクロヘキサノール等の非フッ素化アルコール溶媒、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等のジオール溶媒;エチルカルビトール、メチルカルビトール等のアルコキシアルコール溶媒;2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール等のフッ素化ジオール溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒;ブタン酸等のカルボン酸系溶媒;ヘキサンニトリル等のニトリル溶媒が挙げられる。
これらの中でも、フッ素化アルコールA及びフッ素化アルコールBとの親和性が良好であるので、ケトン溶媒、エステル溶媒、非フッ素化アルコール溶媒、ジオール溶媒、フッ素化ジオール溶媒、スルホキシド溶媒、アミド溶媒、又は、カルボン酸溶媒が好ましく、エステル溶媒、非フッ素化アルコール溶媒、ジオール溶媒、又は、フッ素化ジオール溶媒がより好ましく、フッ素化ジオール溶媒、又は、ジオール溶媒が更に好ましい。
本発明の組成物に含まれる溶媒Cの割合は、組成物を塗布成膜する際の濡れ性が優れるので、組成物100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部であることが好ましく、0.5質量部〜10質量部であることがより好ましい。
本発明の組成物は、組成物の粘度を下げることができるので、任意成分として、更に、水を含むことが好ましい。
本発明の組成物に含まれる水の割合は、組成物の粘度を低減し、組成物の均一性を保つことができるので、組成物100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部であることが好ましく、1質量部〜5質量部であることがより好ましい。
<膜の製造方法>
本発明の膜の製造方法は、本発明の組成物を用いて塗布法により膜を形成する工程を含む。
塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、グラビア印刷法、バーコート法、スリットコート法、インクジェット法、ノズルコート法が挙げられ、インクジェット法が好ましい。
本発明の製造方法により製造される膜の厚さは、通常1nm〜1μmである。
<発光素子の製造方法>
本発明の発光素子の製造方法は、本発明の組成物を用いて塗布法により層を形成する工程を含む。
本発明の発光素子の製造方法は、通常、発光層を形成する工程と、本発明の組成物を用いて塗布法により層を形成する工程を含む。本発明の組成物を用いて塗布法により形成さえる層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層及び電子輸送層からなる群から選ばれる1種以上の層であることが好ましく、電子注入層及び電子輸送層からなる群から選ばれる1種以上の層であることがより好ましい。
塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、グラビア印刷法、バーコート法、スリットコート法、インクジェット法、ノズルコート法が挙げられ、インクジェット法が好ましい。
本発明の発光素子の製造方法において、本発明の組成物を用いてインクジェット法により層を形成する場合、インクジェット装置のノズルは、本発明の組成物を微細液滴状にして供給できるノズルであればよい。インクジェット法を採用することにより、後処理工程なしに所望のパターンの膜を容易に形成することができるので、時間的・コスト的な観点から非常に生産性に優れ、かつ、非常に正確なパターンを形成することができる。
インクジェット装置の噴射ノズルから供給させる組成物の液滴の大きさは、該ノズルの管径(内口径)、組成物の粘度、表面張力、及び、組成物の供給速度等に依存するが、最大直径が2000μm以下であることが好ましい。
インクジェット装置の噴射ノズルから基板表面に供給する組成物の速度は、噴射ノズル1つ当たり、1pl/分〜10ml/分とすることが好ましい。組成物の供給速度を調整することにより、得られる膜の厚さを制御することができる。
インクジェット装置の噴射ノズルからの組成物の供給は、通常、一定間隔で吐出(噴射)を繰り返す、いわゆるパルス供給により行う。パルス供給においては、パルス幅は、好ましくは1μs〜1msであり、より好ましくは20μs〜50μsであり、パルス間隔は、好ましくは1μs〜1msであり、より好ましくは40μs〜100μsである。
本発明の製造方法により製造される発光素子は、通常、陽極と、陰極と、発光層と、本発明の組成物を用いて塗布法により形成される層とを有する。本発明の製造方法により製造される発光素子は、保護層、バッファー層、反射層、封止層、絶縁層等を更に備えていてもよい。
本発明の発光素子の製造方法において、各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法(例えば、スピンコート法、キャスティング法、グラビア法、バーコート法、スリットコート法、インクジェット法、ノズルコート法等の塗布法)が挙げられる。これらの中でも、各層の形成方法としては、溶液からの成膜による方法が好ましい。
積層する層の順番、数及び厚さは、発光効率及び素子寿命を勘案して調整すればよい。
[基板]
本発明の製造方法により製造される発光素子が有し得る基板は、電極及び有機層を形成する際に化学的に変化しないもの、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、金属フィルム、シリコン等の基板である。
[正孔注入層、正孔輸送層]
正孔注入層及び正孔輸送層は、各々、例えば、上述の電荷輸送性化合物の1種又は2種以上を用いて形成することができる。
正孔注入層及び正孔輸送層の厚さは、各々、例えば、1nm〜1μmである。
[発光層]
発光層は、発光材料を用いて形成することができる。発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とし、かつ、フェニルピリジン、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾールフェニルキノリン、フェナントロリン、アセチルアセトン、ポルフィリン等を配位子とする金属錯体等の三重項発光錯体が挙げられる。これらの低分子化合物は、架橋基を有していてもよい。
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。これらの高分子化合物は、架橋基を有していてもよい。
発光材料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
発光層は、発光材料及びホスト材料を用いて形成してもよい。ホスト材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。
ホスト材料に用いられる低分子化合物としては、例えば、カルバゾール構造を有する化合物、トリアリールアミン構造を有する化合物、フェナントロリン構造を有する化合物、トリアリールトリアジン構造を有する化合物、アゾール構造を有する化合物、ベンゾチオフェン構造を有する化合物、ベンゾフラン構造を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物、スピロフルオレン構造を有する化合物が挙げられる。
ホスト材料に用いられる高分子化合物としては、例えば、アリーレン基、2価の複素環基及び2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上を構成単位として含む高分子化合物が挙げられる。
発光層の厚さは、例えば、5nm〜1μmである。
[電子注入層、電子輸送層]
電子注入層及び電子輸送層は、各々、例えば、上述の電荷輸送性化合物の1種又は2種以上を用いて形成することができる。
電子注入層及び電子輸送層の厚さは、各々、例えば、1nm〜1μmである。
[陽極]
陽極の材料は、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属であってよく、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陽極の作製方法としては、公知の方法が利用でき、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)等が挙げられる。
陽極の厚さは、例えば、10nm〜10μmである。
[陰極]
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。
陰極の作製方法としては、公知の方法が利用でき、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)が例示される。陰極が金属ナノ粒子、金属ナノワイヤー、導電性金属酸化物ナノ粒子である場合には、溶液からの成膜による方法が用いられる。
陰極の厚さは、例えば1〜1000nmである。
[用途]
本発明の製造方法により製造される発光素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイ、液晶表示装置のバックライト用の面状光源又は面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源及び表示装置としても使用できる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、移動相にテトラヒドロフランを用い、下記のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)の測定条件により求めた。
<測定条件>
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、1.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(東ソー製、商品名:UV−8320GPC)を用いた。
NMRは、下記の方法で測定した。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl3)、重テトラヒドロフラン、重ジメチルスルホキシド、重アセトン、重N,N−ジメチルホルムアミド、重トルエン、重メタノール、重エタノール、重2−プロパノール又は重塩化メチレンに溶解させ、NMR装置(Agilent製、商品名:INOVA300又はMERCURY 400VX)を用いて測定した。
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特にことわらない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC−20A)でのUV=254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2質量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン又はクロロホルムに溶解させ、濃度に応じて1〜10μLの溶液をHPLCに注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル/テトラヒドロフランの混合物を、比率を100/0〜0/100(容積比)で変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)又は同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
組成物の粘度は、粘度測定装置(米国ブルックフィールド社製、商品名:LVDV-II+Pro CP)を用いて測定した。
組成物のインクジェット法での吐出性、及び、インクジェット装置の詰まりは、インクジェット塗布装置(富士フィルム社製、商品名:ダイマティックス マテリアルプリンター、DMP-2831;カートリッジ:DMCLCP-11610)を用いて評価した。
<合成例1> 単量体CM1及びCM2の合成
単量体CM1及びCM2は、下記文献に記載された方法に従って合成し、99.5%以上のHPLC面積百分率値を示したものを用いた。
単量体CM1は、特開2012−033845号公報記載の方法に従って合成した。
単量体CM2は、特開2010−189630号公報記載の方法に従って合成した。
Figure 0006332582
<合成例2> 高分子化合物1の合成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、単量体CM1(9.23g)、単量体CM2(4.58g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(8.6mg)及びトルエン(175mL)を加え、105℃に加熱した。
その後、そこに、12質量%炭酸ナトリウム水溶液(40.3mL)を滴下し、29時間還流させた。
その後、そこに、フェニルボロン酸(0.47g)及びジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(8.7mg)を加え、14時間還流させた。
その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた反応液を冷却後、メタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。得られた沈殿物をろ取し、メタノール及び水のそれぞれで洗浄した後、乾燥させることにより固体を得た。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、予めクロロホルムを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。得られた精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じた。得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P1(7.15g)を得た。高分子化合物P1のMnは3.2×104 Mwは6.0×104であった。
高分子化合物P1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM1から誘導される構成単位と、単量体CM2から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
反応容器内をアルゴンガス雰囲気下とした後、高分子化合物P1(3.1g)、テトラヒドロフラン(130mL)、メタノール(66mL)、水酸化セシウム一水和物(2.1g)及び水(12.5mL)を加え、60℃で3時間撹拌した。
その後、そこに、メタノール(220mL)を加え、2時間攪拌した。得られた反応混合物を濃縮した後、イソプロピルアルコールに滴下し、攪拌したところ、沈殿が生じた。得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物1(3.5g)を得た。高分子化合物1の1H−NMR解析により、高分子化合物P1中のエチルエステル部位のシグナルが消失し、反応が完結したことを確認した。
高分子化合物1は、高分子化合物P1の仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式で表される構成単位と、単量体CM2から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
Figure 0006332582
<実施例1> 組成物1の調製
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール(沸点:140〜141℃、表面張力:22.1mN/m)及び1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール(沸点:169〜170℃、表面張力:18.2mN/m)の混合溶媒(質量比70:30)に、高分子化合物1を0.05質量%で溶解させることにより、組成物1(粘度:0.0177Pa・s)を調製した。
<実施例2> 組成物2の調製
実施例1において、混合溶媒の質量比を50:50としたこと以外は、実施例1と同様にして、組成物2(粘度:0.0221Pa・s)を調製した。
<実施例3> 組成物3の調製
実施例1において、混合溶媒の質量比を30:70としたこと以外は、実施例1と同様にして、組成物3(粘度:0.0247Pa・s)を調製した。
<実施例4> 組成物4の調製
実施例1において、混合溶媒を1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール及び水の混合溶媒(質量比27:70:3)としたこと以外は、実施例1と同様にして、組成物4(粘度:0.0111Pa・s)を調製した。
<実施例5> 組成物5の調製
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール及び1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノールの混合溶媒(質量比60:40)に、高分子化合物1と同様の方法で合成した高分子化合物2(ArE1が2,7−フルオレンジイル基であり、nE1が1である、式(ET−1)で表される構成単位を含む高分子化合物)を0.2質量%で溶解させることにより、組成物5(粘度:0.020Pa・s)を調製した。
<実施例6> 組成物6の調製
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、プロピレングリコール(沸点:188〜189℃、表面張力72.0mN/m)及び水の混合溶媒の混合液媒(質量比53:38.5:4.8:3.7)に、
高分子化合物2と、高分子化合物1と同様の方法で合成した高分子化合物3(ArE1が2,7−フルオレンジイル基であり、nE1が1である、式(ET−1)で表される構成単位からなる高分子化合物)との混合物(質量比50:50)を、
濃度0.2質量%で溶解させることにより、組成物6(粘度:0.016Pa・s)を調製した。
<比較例1> 組成物C1の調製
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノールに、高分子化合物1を0.05質量%で溶解させることにより、組成物C1(粘度:0.0143Pa・s)を調製した。
<比較例2> 組成物C2の調製
1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノールに、高分子化合物1を0.05質量%で溶解させることにより、組成物C2(粘度:0.0329Pa・s)を調製した。
<合成例3> 高分子化合物4の合成
高分子化合物4は、「Chemistry of Materials、2004年、16巻、708頁」記載の方法に従って合成した。高分子化合物4のMnは2.5×10 Mwは3.1×10であった。
高分子化合物4は、下記式で表される構成単位からなる高分子化合物である。
Figure 0006332582
<実施例7> 組成物7の調製
1H,1H−ペンタフルオロプロパノール(沸点:81〜83℃、表面張力:17.3mN/m)及び1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノールの混合溶媒(質量比60:40)に、高分子化合物1を0.05質量%で溶解させることにより、組成物7(粘度:0.0090Pa・s)を調製した。
<実施例8> 組成物8の調製
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール及び1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノールの混合溶媒(質量比60:40)に、高分子化合物4を0.05質量%で溶解させることにより、組成物8(粘度:0.0200Pa・s)を調製した。
<比較例3> 組成物C3の調製
1H,1H−ペンタフルオロプロパノールに、高分子化合物1を0.05質量%で溶解させることにより、組成物C3(粘度:0.0041Pa・s)を調製した。
<比較例4> 組成物C4の調製
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノールに高分子化合物4を濃度0.05質量%で溶解させ、組成物C4(粘度:0.0170Pa・s)を調製した。
<比較例5> 組成物C5の調製
1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノールに高分子化合物4を濃度0.05質量%で溶解させ、組成物C5(粘度:0.0315Pa・s)を調製した。
<インクジェット吐出性の評価>
各組成物の液滴をインクジェット法で吐出させ、吐出性を以下の基準でによって評価した。結果を表1に示す。

○:吐出開始から5分間以上連続的に、液滴としての吐出が得られた。
×:液滴としての吐出が得られないか、又は、吐出開始から5分間未満で、液滴としての吐出が得られなくなった。
<インクジェット詰まり発生の評価>
各組成物の液滴をインクジェット法で1分間吐出させた後、吐出を停止し、吐出停止中のインクジェットヘッドの詰まり発生を、以下の基準で評価した。得られた結果を表1に示す。

○:1分間吐出後、23℃、湿度60%の環境下で1時間放置した時点で、詰まりが発生しなかった。
×:1分間吐出後、23℃、湿度60%の環境下で1時間放置した時点で、詰まりが発生した。
Figure 0006332582
<成膜性の評価>
4−メトキシトルエン及びシクロへキシルベンゼンの混合溶媒(質量比20:80)に、固形分としてりん光発光材料を1.5質量%となるように溶解させることにより、溶液を調製した。ガラス基板上に、調製された溶液をインクジェット法で塗布した後、10Paで真空乾燥し、次いで、標準気圧下で130℃、10分間焼成を行うことにより、厚さ100nmのりん光発光材料層を形成した。りん光発光材料層上に、組成物5をインクジェット法で縦幅30mm、横幅50mmの矩形に塗布した後、10Paで真空乾燥し、次いで、標準気圧下で130℃、10分間焼成を行うことにより、厚さ10nmの膜1を形成した。
組成物の種類、及び、膜の厚さを表2に示す内容に変更した以外は、膜1と同様にして、膜2〜8を形成した。
膜1〜8の各々について、インクジェット塗布時の横幅(50mm)と、真空乾燥及び焼成を行った後の各膜の横幅との差をシュリンク量(成膜性評価の指標)として測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0006332582
本発明によれば、インクジェット法での吐出性に優れ、インクジェット装置の詰まりが発生し難い組成物、並びに、該組成物を用いた膜及び発光素子の製造方法を提供することができる。

Claims (11)

  1. 式(1)で表され沸点が50℃以上150℃未満であるフッ素化アルコールA、式(1)で表され沸点が150℃以上300℃未満であるフッ素化アルコールB、及び、電荷輸送性化合物を含み、
    前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBの合計100質量部に対する前記フッ素化アルコールBの割合が、10質量部〜90質量部である組成物。

    nF2nF+1-mFmFOH (1)

    (式(1)中、nFは1〜12の整数であり、mFは1〜25の整数である。但し、2nF+1≧mFである。)
  2. 前記フッ素化アルコールAの沸点と前記フッ素化アルコールBの沸点との差が、50℃以内である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記フッ素化アルコールAにおけるnFが1〜10の整数であり、前記フッ素化アルコールBにおけるnFが4〜10の整数である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記フッ素化アルコールAにおけるmFが4〜12の整数であり、前記フッ素化アルコールBにおけるmFが4〜12の整数である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBが、直鎖のアルコールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記電荷輸送性化合物が、
    芳香族炭化水素化合物、芳香族複素環式化合物、有機シラン化合物、芳香族炭化水素化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、芳香族複素環式化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、有機シラン化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、
    アルカリ金属のハロゲン化物、酸化物塩及び炭酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物塩及び炭酸塩、並びに、金属錯体
    からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記電荷輸送性化合物が高分子化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 更に水を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 更に、前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBより表面張力が高く、前記フッ素化アルコールA及び前記フッ素化アルコールBより沸点が高い溶媒を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を用いて塗布法により膜を形成する工程を含む、膜の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を用いて塗布法により層を形成する工程を含む、発光素子の製造方法。
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