JP6332230B2 - 内燃機関用ピストンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はアルミニウム合金を母材とし、頂面にキャビティが形成された内燃機関用ピストンの製造方法に関する。
従来から、アルミニウム合金を母材とし、頂面にキャビティが形成された内燃機関用ピストンの製造方法が知られている。この種の内燃機関用ピストンの製造方法の例としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載された内燃機関用ピストンの製造方法では、母材の表面のうちのピストンの頂面(および頂面に形成されたキャビティの壁面)に対応する部分に陽極酸化皮膜(ポーラス層)が成膜され、次いで、陽極酸化皮膜(ポーラス層)の表面の上に被覆層を形成することにより、陽極酸化皮膜(ポーラス層)の細孔が塞がれ(つまり、封孔剤による封孔処理が実行され)、次いで、被覆層(封孔剤層)の凹凸状の表面を平滑化する仕上げ加工が実行される。
また、特許文献2には、エンジン燃焼室の内面に形成される陽極酸化皮膜の膜厚および空孔率について記載されている。
さらに、特許文献3の図6には、陽極酸化皮膜が形成されていないピストンのキャビティ面およびテーパ面の表面粗さを、陽極酸化皮膜が形成されたピストンのスキッシュ面の表面粗さよりも小さくする旨が記載されている。
特開2012−072745号公報 特開2010−249008号公報 特開2015−094292号公報
ところで、特許文献1に記載された内燃機関用ピストンの製造方法では、アンカリング効果による陽極酸化皮膜(ポーラス層)と被覆層(封孔剤層)との密着性を高めるために、母材の表面に凹凸パターンが形成され、それに伴って、母材の表面の上に形成される陽極酸化皮膜(ポーラス層)の表面も凹凸状になる。
さらに、特許文献1に記載された内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜(ポーラス層)の凹凸状の表面の上に形成される被覆層(封孔剤層)の凹凸状の表面が、仕上げ加工によって平滑化される。
そのため、特許文献1に記載された内燃機関用ピストンの製造方法では、被覆層(封孔剤層)の表面の平滑化後に、陽極酸化皮膜(ポーラス層)の表面のうちの凸状の部分の上に位置する被覆層(封孔剤層)の厚さは大きくならないものの、陽極酸化皮膜(ポーラス層)の表面のうちの凹状の部分の上に位置する被覆層(封孔剤層)の厚さが大きくなってしまう。
つまり、特許文献1に記載された内燃機関用ピストンの製造方法では、厚い部分を有する被覆層(封孔剤層)が形成されてしまう。その結果、特許文献1に記載された内燃機関用ピストンの製造方法では、均一かつ小さい厚さを有する被覆層(封孔剤層)の熱容量よりも、被覆層(封孔剤層)の熱容量が大きくなってしまう可能性がある。
前記問題点に鑑み、本発明は、封孔剤層の表面の面粗度(平滑性)を向上させつつ、封孔剤層の熱容量を低減することができる内燃機関用ピストンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究において、封孔剤層の熱容量を小さくするために、封孔剤による封孔処理が実行される前に多孔性の陽極酸化皮膜の表面を研磨して平滑化することを試みた。ところが、多孔性の陽極酸化皮膜は非常に脆いため、研磨処理の実行中に陽極酸化皮膜が破損してしまうことが、本発明者等の鋭意研究において見い出された。つまり、研磨処理の実行中に、陽極酸化皮膜の破損により、陽極酸化皮膜の表面に凹部が形成されてしまうことが、本発明者等の鋭意研究において見い出された。
さらに、本発明者等の鋭意研究において、陽極酸化皮膜の表面の研磨処理の前に陽極酸化皮膜の補強処理を実行することにより、陽極酸化皮膜の補強処理が実行されない場合よりも、研磨処理の実行中における陽極酸化皮膜の破損を抑制できることが見い出された。
つまり、本発明者等の鋭意研究において、陽極酸化皮膜の表面の研磨処理の前に陽極酸化皮膜の補強処理を実行することにより、陽極酸化皮膜の補強処理が実行されない場合よりも、研磨処理の実行中に陽極酸化皮膜の表面に凹部が形成されてしまうおそれを抑制できることが見い出された。
この点に鑑み、第1の発明によれば、アルミニウム合金を母材とし、頂面にキャビティが形成された内燃機関用ピストンの製造方法において、
前記母材の表面のうちの前記キャビティの壁面に対応する部分に、多孔性の陽極酸化皮膜を成膜する成膜ステップと、
前記成膜ステップにより成膜された陽極酸化皮膜の表面の上に堆積するまで封孔剤を塗布し、前記封孔剤を硬化させることによって陽極酸化皮膜を補強する補強ステップと、
前記補強ステップにより陽極酸化皮膜の表面の上で硬化した封孔剤を研磨して除去することによって、陽極酸化皮膜の平滑化された表面を形成する研磨ステップと、
前記研磨ステップにより形成された陽極酸化皮膜の平滑化された表面に封孔剤を塗布する封孔ステップとを備えることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法が提供される。
つまり、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、多孔性の陽極酸化皮膜の表面を研磨する陽極酸化皮膜の研磨処理の実行前に、陽極酸化皮膜を補強する陽極酸化皮膜の補強処理が実行される。
そのため、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の補強処理が実行されない場合よりも、陽極酸化皮膜の研磨処理の実行中に陽極酸化皮膜が破損してしまうおそれを低減することができる。
すなわち、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の補強処理が実行されない場合よりも、陽極酸化皮膜の研磨処理の実行後における陽極酸化皮膜の表面の面粗度(平滑性)を向上させることができる。
さらに、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の封孔処理において、陽極酸化皮膜の平滑化された表面に対して封孔剤が塗布され、封孔剤層が形成される。
そのため、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層に対する平滑化処理(仕上げ加工)を実行することなく、封孔剤層の平滑な表面を形成することができる。
詳細には、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の平滑な表面が形成されると共に、封孔剤層の平滑な表面が形成される。
そのため、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層の厚さを均一に、かつ、小さくすることができ、封孔剤層の熱容量を低減することができる。
つまり、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層の表面の面粗度(平滑性)を向上させつつ、封孔剤層の熱容量を低減することができる。
第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層の表面を平滑化することができるため、封孔剤層の表面により構成される、内燃機関用ピストンの頂面に形成されたキャビティの壁面を、平滑化することができる。その結果、キャビティの壁面などにより画定される燃焼室内の燃焼速度の低下を抑制することができる。
さらに、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層の厚さを小さくすることができるため、封孔剤層の熱容量を低減することができる。その結果、封孔剤層の熱容量が大きい場合よりも、スイング特性(断熱特性を有しつつ、燃焼室内のガス温度に陽極酸化皮膜の温度が追随する特性)を向上させることができる。
さらに、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤が陽極酸化皮膜の補強処理および陽極酸化皮膜の封孔処理に用いられる。さらに、陽極酸化皮膜の補強処理において、封孔剤が、多孔性の陽極酸化皮膜の表面の上に堆積するまで塗布され、硬化させられる。その結果、陽極酸化皮膜の細孔(ナノポアおよびミクロポア)の内壁面の全体が、補強処理用封孔剤によって補強される。
そのため、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、補強されていない部分が陽極酸化皮膜の細孔(ナノポアおよびミクロポア)の内壁面に存在する場合よりも、陽極酸化皮膜の補強処理の実行後の陽極酸化皮膜の剛性を向上させることができ、それにより、陽極酸化皮膜の研磨処理の実行後の陽極酸化皮膜の表面の面粗度(平滑性)を向上させることができる。
補強処理により陽極酸化皮膜の表面の上に堆積された封孔剤を、研磨処理によって完全に除去しない場合には、研磨処理の実行後に、陽極酸化皮膜の細孔(特にナノポア)の上側に封孔剤が残っている部分と、陽極酸化皮膜の細孔(特にナノポア)の上側に封孔剤が残っていない部分とが存在することになる。
陽極酸化皮膜の細孔(特にナノポア)の上側に封孔剤が残っている部分に対して封孔処理が実行されると、封孔処理において塗布される封孔剤がその細孔の内部に入っていかないため、封孔処理の実行後にその細孔の上側に堆積した封孔剤により形成される封孔剤層が比較的厚くなる。
一方、陽極酸化皮膜の細孔(特にナノポア)の上側に封孔剤が残っていない部分に対して封孔処理が実行されると、封孔処理において塗布される封孔剤がその細孔の内部に入っていくため、封孔処理の実行後にその細孔の上側に堆積した封孔剤により形成される封孔剤層が比較的薄くなる。
つまり、研磨処理の実行後に、陽極酸化皮膜の細孔(特にナノポア)の上側に封孔剤が残っている部分と、陽極酸化皮膜の細孔(特にナノポア)の上側に封孔剤が残っていない部分とが存在する場合には、封孔処理の実行後に封孔剤層の表面の平滑性が低下するおそれがある。
さらに、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の補強処理により陽極酸化皮膜の表面の上で硬化した封孔剤が、陽極酸化皮膜の研磨処理の実行中に、研磨により除去される。
そのため、第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔処理の実行後に封孔剤層の表面の平滑性が低下するおそれを抑制することができる。
第2の発明によれば、前記補強ステップと前記封孔ステップとで同一の封孔剤を用いることを特徴とする第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法が提供される。
封孔剤が陽極酸化皮膜の補強処理および陽極酸化皮膜の封孔処理に用いられる場合には、内燃機関用ピストンの完成後に、陽極酸化皮膜の補強処理に用いられた封孔剤と、陽極酸化皮膜の封孔処理に用いられた封孔剤とが陽極酸化皮膜の細孔内に残存する。
この点、第2の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の補強処理と陽極酸化皮膜の封孔処理とで異なる封孔剤が用いられる場合よりも、内燃機関用ピストンの完成後に陽極酸化皮膜の細孔内に残存する補強処理用封孔剤と封孔処理用封孔剤との密着性を向上させることができる。
また、第2の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、内燃機関用ピストンの完成後に陽極酸化皮膜の細孔内に残存する補強処理用封孔剤の熱膨張率と、内燃機関用ピストンの完成後に陽極酸化皮膜の細孔内に残存する封孔処理用封孔剤の熱膨張率とを同一にすることができる。
第3の発明によれば、前記補強ステップにおいて用いられる封孔剤の粘度を、前記封孔ステップにおいて用いられる封孔剤の粘度よりも小さくすることを特徴とする第1の発明の内燃機関用ピストンの製造方法が提供される。
つまり、第3の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の補強処理において用いられる封孔剤の粘度が、陽極酸化皮膜の封孔処理において用いられる封孔剤の粘度よりも小さくされる。
そのため、第3の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、粘度が大きい封孔剤が陽極酸化皮膜の補強処理に用いられる場合よりも、陽極酸化皮膜の補強処理の実行中に陽極酸化皮膜の細孔(ナノポアおよびミクロポア)の深い部分(陽極酸化皮膜の表面からの距離が大きい部分)まで補強処理用封孔剤を確実に含浸させることができ、それにより、陽極酸化皮膜の補強処理の実行後の陽極酸化皮膜の剛性を向上させることができる。
さらに、第3の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜の封孔処理において用いられる封孔剤の粘度が、陽極酸化皮膜の補強処理において用いられる封孔剤の粘度よりも大きくされる。
そのため、第3の発明の内燃機関用ピストンの製造方法では、粘度が小さい封孔剤が陽極酸化皮膜の封孔処理に用いられる場合よりも、陽極酸化皮膜の封孔処理の実行中に封孔処理用封孔剤が陽極酸化皮膜の細孔(ナノポアおよびミクロポア)の深い部分(陽極酸化皮膜の表面からの距離が大きい部分)まで含浸しづらくなり、その結果、内燃機関用ピストンの完成後に陽極酸化皮膜の細孔内に残存する空間(空気層)を大きくすることができ、それにより、内燃機関用ピストンの断熱特性を向上させることができる。
本発明によれば、封孔剤層の表面の面粗度(平滑性)を向上させつつ、封孔剤層の熱容量を低減することができる。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の概略的な断面図である。 第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法において内燃機関用ピストン10の母材10bに対して実行される処理を説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法において内燃機関用ピストン10の母材10bに対して実行される処理を説明するための図である。 図3(A)に示す封孔剤層10e1、10e2を形成する補強処理などを説明するための図であって、図2(B)に示すナノポア10c2aを拡大して示した図である。 比較例の内燃機関用ピストンの製造方法において内燃機関用ピストン10の母材10bに対して実行される処理を説明するための図である。 算術平均粗さRaなどを説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法におけるキャビティ10a1の壁面10a1aの面粗度と、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法におけるキャビティ10a1の壁面10a1aの面粗度とを比較して説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10によって達成される燃費改善率を説明するための図である。
以下、本発明の内燃機関用ピストンの製造方法の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の概略的な断面図である。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10は、アルミニウム合金を母材としている。また、図1に示すように、内燃機関用ピストン10の頂面10aには、キャビティ10a1が形成されている。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、キャビティ10a1の壁面10a1aの平滑性を向上させるために、内燃機関用ピストン10の母材に対して後述する処理が実行される。
図2および図3は第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法において内燃機関用ピストン10の母材10bに対して実行される処理を説明するための図である。詳細には、図2(A)、図2(B)、図3(A)、図3(B)および図3(C)は各処理の実行中におけるキャビティ10a1の壁面10a1aの一部の拡大断面図である。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、最初に、図2(A)に示すように、平滑な表面10b1を有するアルミニウム合金製の母材10bが準備される。後述する図7(A)に示す例では、母材10bの表面10b1のうちのキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)に対応する部分の算術平均粗さRa(図7(A)中の「ベース」の算術平均粗さRaに相当する。)が、例えば約0.9〜1μmに設定される。
次いで、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図2(B)に示すように、母材10bの表面10b1のうちのキャビティ10a1の壁面10a1aに対応する部分に対し、多孔性の陽極酸化皮膜10cを成膜する成膜処理(陽極酸化処理、アルマイト)が実行される。後述する図7(A)に示す例では、成膜処理の実行後の陽極酸化皮膜10cの表面10c1の算術平均粗さRa(図7(A)中の「未研磨」の算術平均粗さRaに相当する。)が、例えば約4〜5μmになる。
図2(B)に示す成膜処理により成膜される陽極酸化皮膜10cは、多数のナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよび多数のミクロポア10c3a、10c3b、10c3cを有する。そのため、図2(B)に示す成膜処理により成膜された陽極酸化皮膜10cは、後述する研磨処理に対して脆さを有する。
そこで、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、次いで、図2(B)に示す成膜処理により成膜された陽極酸化皮膜10cを補強する補強処理が実行される。具体的には、図3(A)に示す補強処理において、図2(B)に示す成膜処理により成膜された陽極酸化皮膜10cに、封孔剤層10e1、10e2が形成される。
図4は図3(A)に示す封孔剤層10e1、10e2を形成する補強処理などを説明するための図であって、図2(B)に示すナノポア10c2aを拡大して示した図である。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す封孔剤層10e1、10e2を形成するために、最初に、図4(A)および図4(B)に示すように、溶液状の封孔剤10dが陽極酸化皮膜10cに塗布され、その結果、溶液状の封孔剤10dが、内壁面10c2a1を有するナノポア10c2a内に注入されると共に、陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に堆積する。
詳細には、溶液状の封孔剤10dが陽極酸化皮膜10cに塗布され、その結果、溶液状の封孔剤10dが、ナノポア10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)内にも注入されると共に、キャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)に対応する陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に堆積する。
溶液状の封孔剤10dの供給中、ナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cから出てくる気泡が陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に存在しなくなり、光沢が出てきた時に、ナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c内への封孔剤10dの注入が完了し、封孔剤10dが陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に堆積し始めたと判断することができる。実際には、表面まで堆積する封孔剤10dの塗付量が、下記のように決定され、次いで、その塗付量の封孔剤10dが塗付される。
封孔剤10dの供給量(塗布量)は、例えば、陽極酸化皮膜10c内の平均的な空孔の体積に基づいて算出される。
次いで、図4(B)および図4(C)に示すように、溶液状の封孔剤10dが硬化することにより(詳細には、後述する反応および有機溶媒の気化により)、ナノポア10c2a(図4(A)参照)の内壁面10c2a1(図4(A)参照)の上に封孔剤層10e2が形成されると共に、陽極酸化皮膜10cの表面10c1(図4(A)参照)の上に封孔剤層10e1が形成される。
同様に、図3(A)に示すように、ナノポア10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内壁面の上にも封孔剤層10e2が形成され、キャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)に対応する陽極酸化皮膜10c(図2(B)参照)の表面10c1(図2(B)参照)の上に封孔剤層10e1が形成される。
その結果、陽極酸化皮膜10cが補強され、後述する研磨処理の実行中に陽極酸化皮膜10cが破損してしまうことが回避される。
次いで、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(B)に示すように、図3(A)に示す補強処理により補強された陽極酸化皮膜10cを研磨することによって、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4を形成する研磨処理が実行される。後述する図7(A)に示す例では、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の算術平均粗さRa(図7(A)中の「研磨B」の算術平均粗さRaに相当する。)が、例えば約1μmになる。
詳細には、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、溶液状の封孔剤10d(図4(B)参照)を陽極酸化皮膜10c(図4(A)参照)の表面10c1(図4(A)参照)の上に堆積させることにより、陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に形成された封孔剤層10e1(図4(C)参照)が、図3(B)および図4(D)に示す研磨処理において、研磨により除去される。
同様に、溶液状の封孔剤10d(図4(B)参照)を陽極酸化皮膜10c(図2(B)参照)の表面10c1(図2(B)参照)の上に堆積させることにより、陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に形成された封孔剤層10e1(図3(A)参照)が、図3(B)に示す研磨処理において、研磨により除去される。
次いで、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(B)に示す研磨処理により形成された陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4に封孔剤10f(図4(E)参照)を塗布する封孔処理が実行される。具体的には、図3(C)に示す封孔処理において、図3(B)に示す研磨処理により形成された陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の上に、封孔剤層10g1が形成される。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(C)に示す封孔剤層10g1を形成するために、最初に、図4(E)に示すように、溶液状の封孔剤10fが陽極酸化皮膜10cに塗布され、その結果、溶液状の封孔剤10fが、ナノポア10c2a(図4(A)参照)内に注入されると共に、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4(図4(D)参照)の上に堆積する。
詳細には、溶液状の封孔剤10fが陽極酸化皮膜10cに塗布され、その結果、溶液状の封孔剤10fが、ナノポア10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)内にも注入されると共に、キャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)に対応する陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4(図3(B)参照)の上に堆積する。
溶液状の封孔剤10fの供給中、ナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cから出てくる気泡が陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に存在しなくなり、光沢が出てきた時に、ナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c内への封孔剤10fの注入が完了し、封孔剤10fが陽極酸化皮膜10cの表面10c1の上に堆積し始めたと判断することができる。
封孔剤10fの供給量は、例えば、陽極酸化皮膜10c内の平均的な空孔の体積に基づいて算出される。
次いで、図4(E)および図4(F)に示すように、溶液状の封孔剤10fが硬化することにより(詳細には、後述する反応および有機溶媒の気化により)、ナノポア10c2a(図4(A)参照)の内壁面10c2a1(図4(A)参照)の上に封孔剤層10g2が形成されると共に、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4(図4(D)参照)の上に封孔剤層10g1が形成され、封孔剤層10g1によってナノポア10c2aの入口部分が塞がれる。
同様に、図3(C)に示すように、ナノポア10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内壁面の上にも封孔剤層が形成され、キャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)に対応する陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4(図3(B)参照)の上に封孔剤層10g1が形成され、封孔剤層10g1によってナノポア10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fの入口部分が塞がれる。
換言すれば、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、多孔性の陽極酸化皮膜10cの表面を研磨する図3(B)に示す研磨処理の実行前に、陽極酸化皮膜10cを補強する図3(A)に示す補強処理が実行される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理が実行されない場合よりも、図3(B)に示す研磨処理の実行中に陽極酸化皮膜10cが破損してしまうおそれを低減することができる。
すなわち、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理が実行されない場合よりも、図3(B)に示す研磨処理の実行後における陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の面粗度(平滑性)を向上させることができる。
さらに、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(C)に示す封孔処理において、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4(図3(B)参照)に対して封孔剤10f(図4(E)参照)が塗布され、封孔剤層10g1が形成される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層10g1に対する平滑化処理(仕上げ加工)を実行することなく、封孔剤層10g1の平滑な表面10g1aを形成することができる。
詳細には、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(B)に示すように、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4が形成されると共に、図3(C)に示すように、封孔剤層10g1の平滑な表面10g1aが形成される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層10g1の厚さを均一に、かつ、小さくすることができ、封孔剤層10g1の熱容量を低減することができる。つまり、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤層10g1の表面10g1aの面粗度(平滑性)を向上させつつ、封孔剤層10g1の熱容量を低減することができる。後述する図7(A)に示す例では、封孔剤層10g1の表面10g1aの算術平均粗さRa(図7(A)中の「研磨B」の算術平均粗さRaに相当する。)が、例えば約1μmになる。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(C)に示す封孔剤層10g1の表面10g1aを平滑化することができるため、封孔剤層10g1の表面10g1aにより構成される、図1に示す内燃機関用ピストン10の頂面10aに形成されたキャビティ10a1の壁面10a1aを、平滑化することができる。その結果、キャビティ10a1の壁面10a1aなどにより画定される燃焼室(図示せず)内の燃焼速度の低下を抑制することができる。詳細には、キャビティ10a1の壁面10a1aを平滑化することにより、燃焼室内の火炎の成長を促進することができ、燃焼速度を向上させることができる。
さらに、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(C)に示す封孔剤層10g1の厚さを小さくすることができるため、封孔剤層10g1の熱容量を低減することができる。その結果、封孔剤層10g1の熱容量が大きい場合よりも、スイング特性(断熱特性を有しつつ、燃焼室内のガス温度に陽極酸化皮膜10cの温度が追随する特性)を向上させることができる。
また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図4(B)および図4(E)に示すように、封孔剤10d、10fが図3(A)に示す補強処理および図3(C)に示す封孔処理に用いられる。さらに、図3(A)に示す補強処理において、図4(B)に示すように、封孔剤10dが、多孔性の陽極酸化皮膜10cの表面10c1(図4(A)参照)の上に堆積するまで塗布される。その結果、陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内壁面の全体が、補強処理用の封孔剤10dによって補強される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、補強されていない部分が陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cの内壁面に存在する場合よりも、図3(A)に示す補強処理の実行後の陽極酸化皮膜10cの剛性を向上させることができ、それにより、図3(B)に示す研磨処理の実行後の陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の面粗度(平滑性)を向上させることができる。
仮に、図3(A)に示す補強処理により塗布された封孔剤10d(図4(B)参照)が、図3(C)に示す封孔処理の実行時に陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4(図3(B)および図4(D)参照)の上に残存している場合には、図3(C)に示す封孔処理により塗布される封孔剤10f(図4(E)参照)が、陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内部に含浸することなく、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の上に堆積し、その結果、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の上に形成される封孔剤層10g1(図3(C)および図4(F)参照)が厚くなり、封孔剤層10g1の熱容量が増加してしまうおそれがある。
この点に鑑み、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理により陽極酸化皮膜10cの表面10c1(図2(B)参照)の上に堆積された封孔剤10d(図4(B)参照)(詳細には、封孔剤10dが硬化した後に形成される封孔剤層10e1(図3(A)および図4(C)参照))が、図3(B)に示す研磨処理の実行中に、研磨により除去される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の上に形成される封孔剤層10g1が厚くなって封孔剤層10g1の熱容量が増加してしまうおそれを低減することができる。
上述したように、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤10d、10f(図4(B)および図4(E)参照)が、図3(A)に示す補強処理および図3(C)に示す封孔処理に用いられる。
ところで、封孔剤10d、10fが図3(A)に示す補強処理および図3(C)に示す封孔処理に用いられる場合には、内燃機関用ピストン10(図1参照)の完成後に、図3(A)に示す補強処理に用いられた封孔剤10dと、図3(C)に示す封孔処理に用いられた封孔剤10fとが、図4(E)および図4(F)に示すように、硬化して封孔剤層10e2、10g2となり、陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内部に残存する。
この点に鑑み、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理と図3(C)に示す封孔処理とで同一の封孔剤10d、10f(図4(B)および図4(E)参照)が用いられる(つまり、封孔剤10dと封孔剤10fとが同一種類(同一材質かつ同一粘度)の封孔剤である)。
そのため、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理と図3(C)に示す封孔処理とで異なる封孔剤が用いられる場合よりも、内燃機関用ピストン10(図1参照)の完成後に陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内部に残存する封孔剤10d(詳細には、封孔剤層10e2)と封孔剤10f(詳細には、封孔剤層10g2)との密着性を向上させることができる。
また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、内燃機関用ピストン10の完成後に陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cの内部に残存する封孔剤10d(詳細には、封孔剤層10e2)の熱膨張率と、内燃機関用ピストン10の完成後に陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cの内部に残存する封孔剤10f(詳細には、封孔剤層10g2)の熱膨張率とを同一にすることができる。
図5は比較例の内燃機関用ピストンの製造方法において内燃機関用ピストン10の母材10bに対して実行される処理を説明するための図である。詳細には、図5(A)、図5(B)および図5(C)は比較例の各処理の実行中におけるキャビティ10a1の壁面10a1aの一部の拡大断面図である。
比較例の内燃機関用ピストンの製造方法では、最初に、図2(A)に示すように、平滑な表面10b1を有するアルミニウム合金製の母材10bが準備される。母材10bの表面10b1のうちのキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)に対応する部分の算術平均粗さRaが、例えば約0.9〜1μmに設定される。
次いで、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法では、図5(A)に示すように、母材10bの表面10b1のうちのキャビティ10a1の壁面10a1aに対応する部分に対し、多孔性の陽極酸化皮膜10cを成膜する成膜処理が実行される。成膜処理の実行後の陽極酸化皮膜10cの表面10c1の算術平均粗さRaが、例えば約4〜5μmになる。
図5(A)に示す成膜処理により成膜される陽極酸化皮膜10cは、多数のナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよび多数のミクロポア10c3a、10c3b、10c3cを有する。そのため、図5(A)に示す成膜処理により成膜された陽極酸化皮膜10cは、図5(B)に示す研磨処理に対して脆さを有する。
次いで、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法では、図5(B)に示すように、陽極酸化皮膜10cを研磨する研磨処理が実行される。ところが、多孔性の陽極酸化皮膜10cは非常に脆いため、図5(B)に示す研磨処理の実行中に、陽極酸化皮膜10cが破損してしまい、陽極酸化皮膜10cの表面10c4’に凹部10c4a’が形成されてしまう。後述する図7(A)に示す例では、陽極酸化皮膜10cの表面10c4’の算術平均粗さRa(図7(A)中の「研磨A」の算術平均粗さRaに相当する。)が、例えば約2μmになる。
次いで、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法では、図5(B)に示す研磨処理により形成された陽極酸化皮膜10cの表面10c4’に封孔剤10f(図4(E)参照)を塗布する封孔処理が実行される。具体的には、図5(C)に示す封孔処理において、図5(B)に示す研磨処理により形成された陽極酸化皮膜10cの表面10c4’の上に、封孔剤層10g1’が形成される。
比較例の内燃機関用ピストンの製造方法では、図5(C)に示す封孔剤層10g1’を形成するために、最初に、図4(E)に示すように、溶液状の封孔剤10fが陽極酸化皮膜10cに塗布され、その結果、溶液状の封孔剤10fが、ナノポア10c2a(図4(A)参照)内に注入されると共に、陽極酸化皮膜10cの表面10c4’(図5(B)参照)の上に堆積する。
詳細には、溶液状の封孔剤10fが陽極酸化皮膜10cに塗布され、その結果、溶液状の封孔剤10fが、ナノポア10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図5(A)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図5(A)参照)内にも注入されると共に、キャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)に対応する陽極酸化皮膜10cの表面10c4’(図5(B)参照)の上に堆積する。
次いで、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法では、溶液状の封孔剤10f(図4(E)参照)が硬化することにより、図5(C)に示すように、陽極酸化皮膜10cの表面10c4’(図5(B)参照)の上に封孔剤層10g1’が形成される。
詳細には、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法では、図5(C)に示すように、封孔剤層10g1’の表面10g1a’に、凹部10c4a’(図5(B)参照)に対応する凹部が形成されてしまう。後述する図7(A)に示す例では、封孔剤層10g1’の表面10g1a’の算術平均粗さRa(図7(A)中の「研磨A」の算術平均粗さRaに相当する。)が、例えば約2μmになる。
図7は第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1の壁面10a1aの面粗度と、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1の壁面10a1aの面粗度とを比較して説明するための図である。詳細には、図7(A)は算術平均粗さRaを示した図、図7(B)は最大高さ粗さRpを示した図、図7(C)は十点平均粗さRzを示した図である。
図6(A)は算術平均粗さRaを説明するための図、図6(B)は最大高さ粗さRpを説明するための図、図6(C)は十点平均粗さRzを説明するための図である。
算術平均粗さRa、最大高さ粗さRpおよび十点平均粗さRzはJIS(Japanese Industrial Standards)(日本工業規格)により定義される面粗度である。
詳細には、算術平均粗さRaは、図6(A)に示すように、計測範囲(基準長さl)内の粗さ曲線のすべての山を中心線内にてまとめた状態で示される数値であり、大きなキズがあっても影響されにくい数値であり、下記の式1により算出される。
最大高さ粗さRpは、図6(B)に示すように、計測範囲(基準長さl)内の粗さ曲線の最大の山の高さの数値であり、下記の式2により算出される。
十点平均粗さRzは、図6(C)に示すように、計測範囲(基準長さl)内の粗さ曲線の高い山から10点を抽出し、その平均値を取った値であり、下記の式3により算出される。
Figure 0006332230

Figure 0006332230

Figure 0006332230
図7(A)に示す例では、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における母材10b(図2(A)参照)の表面10b1(図2(A)参照)の算術平均粗さRaが、「ベース」の数値に相当し、約0.9〜1μmになる。また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における成膜処理の実行後の陽極酸化皮膜10c(図2(B)参照)の表面10c1(図2(B)参照)の算術平均粗さRaが、「未研磨」の数値に相当し、約4〜5μmになる。さらに、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における陽極酸化皮膜10c(図3(B)参照)の平滑化された表面10c4(図3(B)参照)の算術平均粗さRaが、「研磨B」の数値に相当し、約1μmになる。また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における封孔剤層10g1(図3(C)参照)の表面10g1a(図3(C)参照)の算術平均粗さRaが、「研磨B」の数値に相当し、約1μmになる。つまり、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の算術平均粗さRaが、「研磨B」の数値に相当し、約1μmになる。
また、図7(A)に示す例では、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法における陽極酸化皮膜10c(図5(B)参照)の表面10c4’(図5(B)参照)の算術平均粗さRaが、「研磨A」の数値に相当し、約2μmになる。また、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法における封孔剤層10g1’(図5(C)参照)の表面10g1a’(図5(C)参照)の算術平均粗さRaが、「研磨A」の数値に相当し、約2μmになる。つまり、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の算術平均粗さRaが、「研磨A」の数値に相当し、約2μmになる。
図7(B)に示す例では、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における母材10b(図2(A)参照)の表面10b1(図2(A)参照)の最大高さ粗さRpが、「ベース」の数値に相当し、約7μmになる。また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における成膜処理の実行後の陽極酸化皮膜10c(図2(B)参照)の表面10c1(図2(B)参照)の最大高さ粗さRpが、「未研磨」の数値に相当し、約38μmになる。さらに、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における陽極酸化皮膜10c(図3(B)参照)の平滑化された表面10c4(図3(B)参照)の最大高さ粗さRpが、「研磨B」の数値に相当し、約7〜8μmになる。また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における封孔剤層10g1(図3(C)参照)の表面10g1a(図3(C)参照)の最大高さ粗さRpが、「研磨B」の数値に相当し、約7〜8μmになる。つまり、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の最大高さ粗さRpが、「研磨B」の数値に相当し、約7〜8μmになる。
また、図7(B)に示す例では、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法における陽極酸化皮膜10c(図5(B)参照)の表面10c4’(図5(B)参照)の最大高さ粗さRpが、「研磨A」の数値に相当し、約19〜20μmになる。また、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法における封孔剤層10g1’(図5(C)参照)の表面10g1a’(図5(C)参照)の最大高さ粗さRpが、「研磨A」の数値に相当し、約19〜20μmになる。つまり、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の最大高さ粗さRpが、「研磨A」の数値に相当し、約19〜20μmになる。
図7(C)に示す例では、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における母材10b(図2(A)参照)の表面10b1(図2(A)参照)の十点平均粗さRzが、「ベース」の数値に相当し、約13μmになる。また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における成膜処理の実行後の陽極酸化皮膜10c(図2(B)参照)の表面10c1(図2(B)参照)の十点平均粗さRzが、「未研磨」の数値に相当し、約58μmになる。さらに、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における陽極酸化皮膜10c(図3(B)参照)の平滑化された表面10c4(図3(B)参照)の十点平均粗さRzが、「研磨B」の数値に相当し、約16〜17μmになる。また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における封孔剤層10g1(図3(C)参照)の表面10g1a(図3(C)参照)の十点平均粗さRzが、「研磨B」の数値に相当し、約16〜17μmになる。つまり、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の十点平均粗さRzが、「研磨B」の数値に相当し、約16〜17μmになる。
また、図7(C)に示す例では、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法における陽極酸化皮膜10c(図5(B)参照)の表面10c4’(図5(B)参照)の十点平均粗さRzが、「研磨A」の数値に相当し、約27μmになる。また、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法における封孔剤層10g1’(図5(C)参照)の表面10g1a’(図5(C)参照)の十点平均粗さRzが、「研磨A」の数値に相当し、約27μmになる。つまり、比較例の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の十点平均粗さRzが、「研磨A」の数値に相当し、約27μmになる。
図8は第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10によって達成される燃費改善率を説明するための図である。図8において、縦軸は燃費改善率を示しており、横軸は、キャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の算術平均粗さRaであって、図7(A)中の「未研磨」、「研磨A」および「研磨B」の算術平均粗さRaを示している。
図8に示すように、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法によれば、図8中の「未研磨」の場合(つまり、図5(B)に示す研磨処理が実行されることなく、封孔剤層が形成される場合)と比較して、約0.2%燃費を改善することができる。
詳細には、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤10d、10f(図4(B)および図4(E)参照)として例えばポリシラザンが用いられ、その結果、封孔剤層10e1、10e2、10g1(図3(A)および図3(C)参照)がシリコン酸化物によって構成される。具体的には、封孔剤10d、10fとして、例えばAZエレクトロニックマテリアル(株)社製のアクアミカ(SiO成分のペルヒドロシラザン)とエーテル系の有機溶媒とを含む溶液を用いることができる。封孔剤10d、10fは、空気中の水分と反応してSiOに変性し(つまり、封孔剤層10e1、10e2、10g1を形成し)、封孔剤層10g1によってナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)の入口部分を塞ぐことができる。
図3(A)に示す補強処理および図3(C)に示す封孔処理を満足することができれば、封孔剤10d、10fとして、任意の封孔剤を用いることができる。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法は、ガソリンエンジン用ピストン、ディーゼルエンジン用ピストンなどの任意の内燃機関用ピストンに適用することができる。第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法が例えばディーゼルエンジン用ピストンに適用される場合には、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10(図1参照)の頂面10a(図1参照)のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)が、燃料噴霧衝突部に相当する。
また、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理および図3(C)に示す封孔処理において、例えばスプレー、ディッピング、刷毛塗りなどの任意の手法により、溶液状の封孔剤10d、10f(図4(B)および図4(E)参照)が陽極酸化皮膜10cに塗布される。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法により製造される内燃機関用ピストン10(図1参照)では、多数のナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)および多数のミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)を有する陽極酸化皮膜10c(図3(C)参照)が形成されており、多数のナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよび多数のミクロポア10c3a、10c3b、10c3c内に空気層が残されているため、燃焼室の内部と内燃機関用ピストン10の母材10b(図2(A)参照)とを遮熱することができ、燃焼室内のガスから内燃機関用ピストン10の母材10bへの伝熱量を低減することができる。
第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法が適用される図7に示す例では、内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1(図1参照)の壁面10a1a(図1参照)の算術平均粗さRa(図7(A)中の「研磨B」の数値)が約1μmになり、その最大高さ粗さRp(図7(B)中の「研磨B」の数値)が約7〜8μmになり、その十点平均粗さRz(図7(C)中の「研磨B」の数値)が約16〜17μmになるが、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法が適用される他の例では、代わりに、内燃機関用ピストン10の完成後のキャビティ10a1の壁面10a1aの算術平均粗さRaを約1.5μm以下にするか、あるいは、その最大高さ粗さRpまたは最大谷深さ(計測範囲(基準長さl)内の粗さ曲線の最大の谷の深さの数値)Rvを約10μm以下にするか、あるいは、十点平均粗さRzを約20μm以下にすることもできる。
以下、本発明の内燃機関用ピストンの製造方法の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、後述する処理を除き、上述した第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における処理と同様の処理が実行される。従って、第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法と同様の効果を奏することができる。
上述したように、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理と図3(C)に示す封孔処理とで同一の封孔剤10d、10f(図4(B)および図4(E)参照)が用いられる(つまり、封孔剤10dと封孔剤10fとが同一種類(同一材質かつ同一粘度)の封孔剤である)。
一方、第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔剤10d、10f(図4(B)および図4(E)参照)が図3(A)に示す補強処理および図3(C)に示す封孔処理に用いられるものの、図3(A)に示す補強処理において用いられる封孔剤10dの粘度が、図3(C)に示す封孔処理において用いられる封孔剤10fの粘度よりも小さくされる。
そのため、第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、粘度が大きい封孔剤10dが図3(A)に示す補強処理に用いられる場合よりも、図3(A)に示す補強処理の実行中に陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内部の深い部分(陽極酸化皮膜10cの表面10c1(図2(B)参照)からの距離が大きい部分)まで封孔剤10dを確実に含浸させることができ、それにより、図3(A)に示す補強処理の実行後の陽極酸化皮膜10cの剛性を向上させることができる。
さらに、第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(C)に示す封孔処理において用いられる封孔剤10f(図4(F)参照)の粘度が、図3(A)に示す補強処理において用いられる封孔剤10d(図4(B)参照)の粘度よりも大きくされる。
そのため、第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、粘度が小さい封孔剤10fが図3(C)に示す封孔処理に用いられる場合よりも、図3(C)に示す封孔処理の実行中に封孔剤10fが陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内部の深い部分(陽極酸化皮膜10cの表面10c4(図3(B)参照)からの距離が大きい部分)まで含浸しづらくなり、その結果、内燃機関用ピストン10の完成後に陽極酸化皮膜10cのナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cの内部に残存する空間(空気層)を大きくすることができ、それにより、内燃機関用ピストン10の断熱特性を向上させることができる。
詳細には、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、封孔処理において用いられる封孔剤10f(図4(F)参照)がナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2f(図2(B)参照)およびミクロポア10c3a、10c3b、10c3c(図2(B)参照)の内部に入り込むのに対し、第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法が適用される例では、封孔処理において用いられる封孔剤10fがナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cの内部に入り込まない程度に、粘度が大きい封孔剤10fを封孔処理に用いることもできる。
すなわち、第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法が適用され、封孔処理用の封孔剤10f(図4(E)参照)がナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cの内部に入り込まない例では、ナノポア10c2a、10c2b、10c2c、10c2d、10c2e、10c2fおよびミクロポア10c3a、10c3b、10c3cの内壁面の上に封孔剤層10g2(図4(F)参照)が形成されない。
つまり、この例では、図4(E)に示す処理の実行時に、封孔剤10fがナノポア10c2aの内部に存在せず、図4(F)に示す処理の実行時に、封孔剤層10g2がナノポア10c2aの内部に形成されない。
第2の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法において封孔剤10d(図4(B)参照)の粘度を小さくするためには、例えば封孔剤10dの一部を構成する有機溶媒として、粘度が小さいものを用いることができる。つまり、封孔剤10dと封孔剤10f(図4(F)参照)とで有機溶媒の種類を異ならせることにより、封孔剤10dの粘度を封孔剤10fの粘度よりも小さくすることができる。
あるいは、封孔剤10dと封孔剤10fとで同一種類の有機溶媒が用いられる場合であっても、封孔剤10fに含まれる有機溶媒の割合よりも、封孔剤10dに含まれる有機溶媒の割合を大きくすることによって、封孔剤10dの粘度を封孔剤10fの粘度より小さくすることができる。つまり、封孔剤10f中の有機溶媒の濃度よりも、封孔剤10d中の有機溶媒の濃度を高くすることによって、封孔剤10dの粘度を封孔剤10fの粘度より小さくすることができる。
以下、本発明の内燃機関用ピストンの製造方法の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、後述する処理を除き、上述した第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法における処理と同様の処理が実行される。従って、第3の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法と同様の効果を奏することができる。
上述したように、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図3(A)に示す補強処理において、図2(B)に示す成膜処理により成膜された陽極酸化皮膜10cに封孔剤層10e1、10e2が形成され、それにより、図2(B)に示す成膜処理によって成膜された陽極酸化皮膜10cが補強される。その結果、図3(B)に示す研磨処理において、平滑化された表面10c4を陽極酸化皮膜10cに形成することができる。
第3の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法では、図2(B)に示す成膜処理により成膜された陽極酸化皮膜10cを補強するために封孔剤10d(図4(B)参照)が用いられない。代わりに、図2(B)に示す成膜処理により成膜された陽極酸化皮膜10cを補強するために、例えば加圧水蒸気を用いた処理、沸騰水中における煮沸処理などの公知の補強処理が実行される。
第3の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法によっても、第1の実施形態の内燃機関用ピストンの製造方法と同様に、図3(B)に示す研磨処理の実行後における陽極酸化皮膜10cの平滑化された表面10c4の面粗度(平滑性)を向上させることができ、平滑化された表面10c4の上に形成される封孔剤層10g1(図3(C)参照)の熱容量を低減することができる。
第4の実施形態では、上述した第1から第3の実施形態および各例を適宜組み合わせることもできる。
10 内燃機関用ピストン
10a 頂面
10a1 キャビティ
10a1a 壁面
10b 母材
10b1 表面
10c 陽極酸化皮膜
10c1 表面
10c2a、10c2b、10c2c ナノポア
10c2d、10c2e、10c2f ナノポア
10c2a1 内壁面
10c3a、10c3b、10c3c ミクロポア
10c4、10c4’ 表面
10c4a’ 凹部
10d 封孔剤
10e1 封孔剤層
10e2 封孔剤層
10f 封孔剤
10g1、10g1’ 封孔剤層
10g1a、10g1a’ 表面
10g2 封孔剤層

Claims (3)

  1. アルミニウム合金を母材とし、頂面にキャビティが形成された内燃機関用ピストンの製造方法において、
    前記母材の表面のうちの前記キャビティの壁面に対応する部分に、多孔性の陽極酸化皮膜を成膜する成膜ステップと、
    前記成膜ステップにより成膜された陽極酸化皮膜の表面の上に堆積するまで封孔剤を塗布し、前記封孔剤を硬化させることによって陽極酸化皮膜を補強する補強ステップと、
    前記補強ステップにより陽極酸化皮膜の表面の上で硬化した封孔剤を研磨して除去することによって、陽極酸化皮膜の平滑化された表面を形成する研磨ステップと、
    前記研磨ステップにより形成された陽極酸化皮膜の平滑化された表面に封孔剤を塗布する封孔ステップとを備えることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  2. 前記補強ステップと前記封孔ステップとで同一の封孔剤を用いることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  3. 前記補強ステップにおいて用いられる封孔剤の粘度を、前記封孔ステップにおいて用いられる封孔剤の粘度よりも小さくすることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
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