JPH07216588A - 硬質陽極酸化皮膜を有するアルミニウムシリンダーチューブの製造方法 - Google Patents

硬質陽極酸化皮膜を有するアルミニウムシリンダーチューブの製造方法

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JPH07216588A
JPH07216588A JP657294A JP657294A JPH07216588A JP H07216588 A JPH07216588 A JP H07216588A JP 657294 A JP657294 A JP 657294A JP 657294 A JP657294 A JP 657294A JP H07216588 A JPH07216588 A JP H07216588A
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sealing treatment
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Takashi Kajiyama
隆 梶山
Sadanobu Ishikawa
定宣 石川
Kayako Hiei
香弥子 日江井
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Nikkei Techno Research Co Ltd
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Nikkei Techno Research Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬さ,平滑度及び耐食性に優れたシリンダー
チューブを得る。 【構成】 製品形状に成形したアルミ材に硬質の陽極酸
化皮膜2を形成した後(b)、一次封孔処理を施し
(c)、陽極酸化皮膜を平滑化処理し(d)、表面に残
留する異物を除去する洗浄工程及び活性化工程を経て、
二次封孔処理を施す(e)。 【効果】 封孔処理を2段に分けることにより、トータ
ルの処理時間が短縮され、面精度が良く、高耐食性を付
与することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬質で平滑な陽極酸化
皮膜を有するアルミニウムシリンダーチューブを製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリンダーチューブは、油圧シリンダ
ー,空圧シリンダー,水圧シリンダー等の軽量化を図る
ため、ステンレス鋼等の鋼製からアルミニウムに材質が
切り換えられている。アルミニウム製のシリンダーチュ
ーブには、100〜300kgf/cm2 の圧力に耐え
る押出し材も使用されており、内面の硬度が高いことが
要求される。また、水を媒体とする雰囲気に曝される場
合、良好な耐食性も要求される。硬質の内面は、アルミ
押出し材をシリンダーチューブ形状に成形した後、陽極
酸化することにより得られる。陽極酸化皮膜は、たとえ
ば硫酸系又は蓚酸系の電解浴を使用した陽極電解によっ
て形成され、400HV以上の硬度を持つ。形成された
皮膜は、ポア,クラック等が潤滑油等を保持する多孔質
構造をもち、油圧シリンダーチューブに要求される特性
を満足する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】陽極酸化によって膜厚
50μm以上の硬質皮膜を成長させると、皮膜表面が粗
くなる。そのため、素管の表面粗さを小さくしても、陽
極酸化処理後に2〜5倍程度の粗面化が生じる。また、
硬質皮膜は、小さな内径のシリンダーチューブに形成さ
れたものほど大きな応力が作用し、クラックが発生し易
い。従来のアルミ製シリンダーチューブは、空圧用又は
油圧用に使用されることが多い。このような使用形態で
は、表面精度に対する要求も苛酷ではなく、却ってポア
やクラックに潤滑油が滲み込み潤滑性を改善する作用を
呈することを活用し、油圧用シリンダーでは硬質皮膜が
形成されたままの状態で使用されることもある。
【0004】これに対し、水を媒体とする高圧用シリン
ダーチューブでは、表面精度に対する要求が厳しく、ホ
ーニング等による内面の平滑仕上げが要求される。この
ときに発生した研削屑や研削油,異物等が硬質皮膜の微
細孔に入り込み易く、そこを起点として腐食が発生する
ことがある。これに関連し、特開平3−138394号
公報では、冷却水を供給しながら砥粒加工することが紹
介されている。冷却水は、加工によって生じた遊離砥粒
や研削屑等を皮膜表面から洗い流すと共に、発生した熱
を除去することにより皮膜の損傷を防止する。砥粒加工
された陽極酸化皮膜は、封孔層が除去され、多数のポア
が表面に開口した状態になる。その結果、耐食性が劣化
する。砥粒加工した後でも残存するように封孔層を厚く
すると、皮膜表面に開口したポアが無くなる。しかし、
厚い封孔層は、封孔処理に長時間を要し、生産性を低下
させる原因となる。本発明は、このような問題を解消す
べく案出されたものであり、封孔処理を二段階で行うこ
とにより、ポアが陽極酸化皮膜の表面に開口しておら
ず、硬質特性を効果的に活かし、耐摩耗性及び耐食性に
優れたアルミ製シリンダーチューブを得ることを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウムシ
リンダーチューブ製造方法は、その目的を達成するた
め、シリンダーチューブ形状に成形したアルミ材に硬質
の陽極酸化皮膜を形成した後、一次封孔処理を施し、前
記陽極酸化皮膜を平滑化処理し、表面に残留する異物を
除去する洗浄工程及び活性化工程を経て二次封孔処理を
施すことを特徴とする。シリンダーチューブとして使用
されるアルミ材には、5000系,6000系,700
0系等の陽極酸化可能なアルミ合金がある。図1(a)
は、このアルミ材の表面状態を概念的に表したものであ
り、下地アルミ1の表面にある酸化皮膜を省略してい
る。
【0006】陽極酸化に先立って、アルミ材の表面に均
一な陽極酸化皮膜が形成されるように表面調整すること
が好ましい。表面調整としては、アルミ材の表面に自然
発生的に生じた酸化物や汚れ等を除去するため、侵食型
のエッチングが通常採用されている。エッチングでは、
アルミ材の表層部を数μm〜数十μmの深さで溶解す
る。その結果、エッチングされたアルミ材の表面は、凹
凸が生じた肌荒れた面となる。本発明が対象とするシリ
ンダーチューブでは、平滑性が重視されることから、表
面を肌荒れさせる侵食型の表面調整に代え、平滑性を損
なわない非侵食型の洗浄,脱脂等が採用される。しか
し、非侵食型の表面調整によるとき、洗浄,脱脂等に由
来する不純物が陽極酸化皮膜の表層部に残存することが
ある。また、予め平滑化加工を施したものでも、陽極酸
化処理中に電解液に長時間曝されることから、皮膜表層
部が溶解し、平滑性が低下する。たとえば、陽極酸化処
理前に表面粗さをRmax ≦1μmとしたものでも、陽極
酸化処理後に2〜5倍程度の荒れた表面になり易い。こ
のことから、陽極酸化処理後の皮膜に研削,切削等を施
し、表層に埋め込まれた異物等を除去すると共に、平滑
度を向上させることが必要である。
【0007】シリンダーチューブ形状に成形されたアル
ミ材を、電解液に浸漬し陽極酸化処理する。陽極酸化
は、研磨,研削等で欠落や肌荒れを起こさない良好な均
一皮膜が形成されるものである限り、種々の条件下で行
うことができる。たとえば、硫酸系,蓚酸系の電解液が
使用され、電解液に浸漬したアルミ材を陽極として直流
法,交流法,交直法,波形制御法等で電解する。電解液
には、適宜の有機酸を添加しても良い。陽極酸化処理さ
れたアルミ材は、図1(b)に示すように、表面に開口
したポア3をもつ陽極酸化皮膜2が下地アルミ1の上に
成長している。陽極酸化後のアルミ材は、水和封孔,含
浸封孔等で一次封孔処理される。水和封孔には、金属塩
等の封孔助剤を添加した温度80〜100℃の熱水にア
ルミ材を浸漬する高温水和型,蒸気によって陽極酸化皮
膜を封孔する蒸気封孔型,封孔助剤を添加した温度30
〜50℃の温水にアルミ材を浸漬する低温水和型等があ
る。含浸封孔では、陽極酸化皮膜のポアやクラックに樹
脂,ワックス等を滲み込ませる。また、陽極酸化皮膜の
表面に塗装を施す封孔処理も採用可能である。
【0008】たとえば、水和封孔では、陽極酸化処理に
よってできたAl23 がべーマイトに変化する。この
ときの反応は、Al23 +H2 O→2AlO(OH)
・・・→Al23 ・H2 Oである。生成したべーマイ
トが結晶水を含むため、体積が膨張する。その結果、図
1(c)に示すように、ポア3が閉塞された封孔層4が
形成され、Al合金の耐食性が向上する。このとき、ポ
ア3の内部は、べーマイト5の生成によって小径化して
いる。一次封孔処理は、陽極酸化皮膜2の表面を粗面化
させることなく、後続する平滑化工程における研削屑,
異物等の硬質皮膜の微細孔への侵入を防止するために行
われる。一次封孔処理で生成する封孔層4の厚みは、具
体的には3〜6μmの範囲に設定することが好ましい。
厚み3〜6μmの封孔層4は、封孔処理にそれほど長時
間を必要としない。平滑化工程で封孔層4が除去された
場合でも、開口するポア径は、べーマイト5の生成によ
って、未封孔状態に比較してかなり小径化している。ま
た、ポア3の開口部も半封孔状態であるため、研削屑,
研削油,異物等が微細孔に入り込み難い。一次封孔処理
で厚み10μmを超える封孔層4を形成しようとする
と、長時間の封孔処理が必要となることから生産性を低
下させるばかりでなく、陽極酸化皮膜2の表面が粗面化
する虞れがある。また、封孔処理で形成された封孔層4
は、結晶化する傾向をもっており、皮膜強度を低下させ
る原因となる。そのため、柔らかい皮膜が平滑化工程で
悪影響を及ぼし、必要とする表面粗さを得るための研削
量が多くなり、研削精度のバラツキも大きくなる。逆
に、厚みが3μmを下回る封孔層4では、平滑化工程で
所望の表面粗さになる前に封孔層4自体が完全に除去さ
れる虞れがある。しかも、べーマイト5の成長が少ない
ことから内部のポア径も十分小さくなっておらず、未封
孔状態に近い口径のポア3が出現する。その結果、研削
屑,研削油,異物等が微細孔に入り易くなり、耐食性低
下等の悪影響が現れる。
【0009】封孔処理後、陽極酸化皮膜2は、所定深さ
まで、すなわち研削代6で研削することにより平滑化さ
れる(図1d)。封孔層4を研削によって全て除去した
場合、図2に示すように、ポア3が表面に開口した状態
になる。しかし、ポア3は、べーマイト5の生成によっ
て小径化しているので、陽極酸化したままのポア3(図
1b)の開口状態とは異なっている。平滑化手段は、洗
浄,活性化,二次封孔等を阻害しない程度に残存付着物
が少ないものである限り、ホーニング法,エメリー法,
ブラスト法,バフ法等の研削加工、旋盤のような切削加
工等を採用することができる。このとき、ポア3が半封
孔状態(図1d)に又は小径化されている(図2)の
で、ポア3に研削屑,研削油等がポア酸化皮膜2に入り
込むことがなく、陽極酸化皮膜2の劣化が防止される。
封孔層4は、平滑化によって薄くなり、或いは除去され
る。しかし、当初の厚みを3〜10μm,好ましくは3
〜6μmの範囲に調整しておくとき、平滑化後の陽極酸
化皮膜2の表面には、小径化された或いは半封孔状態の
ポア3が臨むことになる。平滑化は、シリンダーチュー
ブの要求特性を満足させるため、たとえば真円度0.0
2mm以下,円筒度0.04mm以下及び表面粗さR
max ≦0.8μmに設定することが好ましい。表面粗さ
をRmax ≦0.8μmとするためには、素材の表面状
態,陽極酸化条件等により研削条件も変動するが、一般
的に10μm程度の研削量が必要となることが多い。
【0010】平滑化されたアルミ材は、研削油,研削粉
等を洗浄除去した後、希硝酸溶液等を使用して活性化処
理される。活性化処理は、二次封孔処理工程における水
和反応を促進させる。活性化表面をもつアルミ材を封孔
処理液に浸漬し、図1(e)に示すように封孔層4を厚
くすると共に、ポア3を更に小径化或いは半封孔状態に
する。封孔処理は、たとえばニッケル塩を封孔助剤とし
て添加した溶液を使用するとき、高温タイプでは85〜
98℃の液中に10〜100分,好ましくは20〜40
分浸漬し、低温タイプでは30〜50℃の溶液に5〜3
0分,好ましくは10〜20分浸漬する。低温タイプで
は、時効効果を促進させるため封孔処理液に浸漬処理し
た後、更に40〜60℃に保持した脱イオン水のみの液
中に5〜30分,好ましくは10〜20分浸漬し、エー
ジングさせても良い。平滑化工程の前後に二段に分けて
封孔処理することにより、良質の封孔層4をもつ陽極酸
化皮膜2が形成される(図1e)。二段封孔処理は、必
要とする封孔層4が形成される時間をトータルで短くす
ると共に、製品間のバラツキも小さくする。一般的に、
研削による平滑化工程後でも十分な耐食性を呈する程度
にポア3がべーマイト層に置換され、図1(f)に示す
ように厚い良質の封孔層4を一段の封孔処理で形成する
ためには、極めて長時間にわたる処理が必要になる。
【0011】たとえば、通常使用されているニッケル塩
系の封孔助剤を添加した95±2℃の脱イオン水を封孔
液として使用し、硫酸系硬質陽極酸化皮膜50μm仕様
のものを高温水和型の封孔処理すると、良質封孔層は、
図3に示すように封孔時間に応じて成長する。べーマイ
トからなる良質封孔層は、10μm程度までは封孔時間
に応じてほぼ直線的に厚くなっているが、それ以降の成
長が緩やかになる。したがって、平滑化工程後でも十分
な厚みで残留する良質封孔層を1段で形成しようとする
と、極めて長時間の封孔処理となる。この点、本発明に
おいては、平滑化工程を間に挟んで一次封孔処理及び二
次封孔処理することにより、封孔処理にかかるトータル
の時間が短縮されると共に、面精度が良く、高耐食性を
付与することができる。
【0012】封孔処理時間の短縮を具体的に検討する。
研削処理後の表面粗さをRmax 0.8μm以下,残存膜
厚50μm,皮膜硬度380HV以上で十分な耐食性を
もつことを条件とすると、研削代を最低でも10μm程
度とることが必要である。また、陽極酸化処理前又は後
における表面粗さの程度如何によっては、更に多くの研
削代が必要になる。また、耐食性の観点から、残存膜厚
の表層部3μm前後は、べーマイトからなる良質封孔層
になっていることが必要である。研削後にこのような厚
みの良質封孔層を1段の封孔処理で残存させようとする
と、最低13μmの厚みが必要になる。厚み13μmの
封孔層を形成するためには、図3から180分の封孔処
理時間が必要であるが、研削代,封孔度のバラツキ等を
考慮した安全策から場合によっては数時間を要すること
になる。
【0013】他方、2段階の封孔処理では、厚み3μm
程度の良質封孔層を一次封孔処理で形成することによ
り、ポア3等に研削油,研削屑等が侵入し難くなること
により研削等による平滑化が可能になる。これは、図1
の(b)と(c)との対比から明らかなように、ポア3
の開口面積が陽極酸化処理後に比較して一次封孔処理後
では大幅に狭くなっていること及び半べーマイト化して
いることに起因する。そのため、研削時にポア3への研
削油,研削屑等の侵入が抑制される。厚み3μm程度の
封孔層は、30分程度の短時間封孔処理によって形成さ
れることが図3から判る。また、研削後の二次封孔処理
は、陽極酸化皮膜2の表面に3μm程度の良質なべーマ
イトからなる封孔層4を形成すればよいことから、30
分程度の処理時間で十分である。したがって、封孔処理
時間は、トータルで30分+30分=60分程度とな
り、封孔層を1段の封孔処理で形成する場合の180分
に比較して大幅に短縮されている。このようにして、短
時間で、平滑性,硬度,耐摩耗性,耐食性等に優れた表
面層を持つシリンダーチューブが得られる。
【0014】
【実施例】内径50mm,外径62mm及び全長480
mmの6061−T8 引抜き管を試験材として使用し
た。この引抜き管は、引抜き方向に関して表面粗さがR
max4.4μmであった。非侵食型脱脂剤で洗浄した
後、種々の陽極酸化処理−封孔処理を施した。 実施例1:ジカルボン酸を添加した5℃の硫酸系電解浴
に試験片を浸漬し、引抜き管の内部に補助陰極を挿入し
た。目標皮膜厚み60μmに応じ直流電流密度及び電解
時間をそれぞれ4A/dm2 及び50分間に設定し、引
抜き管の全面に陽極酸化皮膜を形成した。酢酸ニッケル
5g/lを脱イオン水で調製した封孔液を93℃に保持
し、陽極処理後の試験片を30分間浸漬した。一次封孔
された試験片を水洗,乾燥した後で表面粗さを測定した
ところ、Rmax =12.0μmであった。
【0015】一次封孔された試験片を、研削油として軽
油を使用し、砥石を円周方向速度30m/分及び軸方向
速度5m/分で移動させながらホーニング研削した。研
削代は、10μmに設定した。研削仕上りの真円度は1
/100mm以下,円筒度は4/100mm以下で、残
存膜厚は50μmであった。研削後の皮膜表面は、R
max =0.72μmと平滑度が向上していた。研削後の
試験片を非侵食型脱脂剤で洗浄し、水洗後に、浴温30
℃の20%硝酸溶液に5分間浸漬し、皮膜を再活性化し
た。次いで、十分に水洗した後、一次封孔処理と同じ封
孔液に30分間浸漬し、二次封孔処理した。二次封孔処
理後の試験片は、表面粗さがRmax =0.75μmであ
った。この試験片の耐食性を、JIS H8681のキ
ャス法を72時間、また35℃及びpH3.5の3.5
%NaCl溶液に240時間浸漬した後のレイティング
・ナンバー(R.N)に基づいて判定した。
【0016】実施例2:蓚酸系電解液を使用する他は、
一次封孔処理,研削処理,活性化処理及び二次封孔処理
共に実施例1と同様な条件を採用した。 実施例3:アルミ合金5056の引抜き管を実施例1と
同様に陽極酸化処理した後、酢酸ニッケル5g/l及び
フッ化ジルコニウム0.2g/lを添加した温度33℃
の低温封孔液に15分間浸漬した。次いで、55℃の脱
イオン水に10分浸漬し、エージングによりべーマイト
化を促進させた。そして、実施例1と同じ研削処理をし
た後、再度低温封孔処理液を使用して二次封孔処理し
た。
【0017】比較例1:陽極酸化皮膜を形成した後の封
孔処理を省略した他は、実施例1と同様に処理した。比
較例2:研削後の封孔処理を省略した他は、実施例1と
同様に処理した。以上の条件下で処理された皮膜の特性
を、表1に対比して示す。キャス試験及び食塩水浸漬試
験の何れにおいても、R.N9以上を合格とした。研削
後に二次封孔処理を施さなかった比較例1,2の試験片
は、キャス72時間試験においてR.Nが6〜7となっ
ており、食塩水浸漬試験においてR.Nが8であった。
これに対し、二次封孔処理を施した実施例1〜3の試験
片では、R.N=9.3〜10となっており、明らかに
耐食性の向上がみられた。また、実施例1〜3の試験片
は、陽極酸化処理時の表面劣化層を研削除去しているの
で、肌荒れを起こすことなく封孔処理前の平滑度を十分
に維持していた。
【0018】
【表1】
【0019】使用するアルミ材の種類を変え、T8 処理
を施した引抜き管について、二段封孔処理の効果を調査
した。この場合、硫酸系電解浴を使用して硬質陽極酸化
処理し、ホーニング処理後の陽極酸化皮膜の目標厚さを
50μmに設定した。封孔処理には、pH6.5及び温
度95±2℃の硫酸ニッケル系封孔液を使用した。調査
結果を示す表2の試験番号のうち、Aグループは陽極酸
化皮膜を形成した後の1段封孔処理,Bグループは2段
封孔処理,Cグループは短時間の1段封孔処理を施した
例である。Cグループのうち、C1,C2は陽極酸化皮
膜を形成した後の1段封孔処理を、C3は研削後のみに
施した封孔処理を、C4は封孔処理を施さない場合を示
す。耐食性評価は、キャス法で72時間試験し、レイテ
ィングナンバー(R.N)で表示した。R.N≧9.0
が合格である。表2から明らかなように、必要な耐食性
を得るためには1段の封孔処理では150分以上の処理
時間が必要であったが、研削の前後で2段に分けた封孔
処理では、Bグループのキャス法試験結果にみられるよ
うに、60分のトータル処理時間で十分な特性をもつ皮
膜が得られた。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、研削等によってシリンダーチューブの表面を平滑化
する前及び後の二段に分けて、陽極酸化皮膜に封孔処理
を施している。2段封孔処理は、トータルの処理時間を
短縮し、シリンダーチューブに要求される平滑度,硬
さ,耐食性等の特性の全てを、1段封孔処理に比較して
容易に満足させることができる。そのため、得られたシ
リンダーチューブは、たとえば水を封入した腐食性雰囲
気においても十分に使用可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った皮膜の処理工程
【図2】 封孔層を研削除去した陽極酸化皮膜
【図3】 封孔処理時間と良質封孔層の厚みとの関係を
表すグラフ
【符号の説明】
1:下地アルミ 2:陽極酸化皮膜 3:ポア
4:封孔層 5:べーマイト 6:研削代
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日江井 香弥子 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 株式会社日軽技研内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダーチューブ形状に成形したアル
    ミ材に硬質の陽極酸化皮膜を形成した後、一次封孔処理
    を施し、前記陽極酸化皮膜を平滑化処理し、表面に残留
    する異物を除去する洗浄工程及び活性化工程を経て二次
    封孔処理を施すことを特徴とするアルミニウムシリンダ
    ーチューブの製造方法。
JP657294A 1994-01-25 1994-01-25 硬質陽極酸化皮膜を有するアルミニウムシリンダーチューブの製造方法 Pending JPH07216588A (ja)

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