JP2011162850A - アルミニウム合金のめっき前処理方法 - Google Patents

アルミニウム合金のめっき前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】平滑性と密着性の両方が良好なめっき皮膜を得ることができるアルミニウム合金のめっき前処理方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金部材からなる被処理物のめっき前処理方法10は、前記被処理物を、アルカリエッチング液を用いてエッチングするエッチング処理工程12と、前記エッチング処理された被処理物の表面を、リン酸と過酸化水素を含むデスマット処理液を用いて清浄するデスマット処理工程13と、前記デスマット処理された被処理物を、亜鉛置換液に浸漬する亜鉛置換処理工程14、16とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金のめっき前処理方法に関する。
アルミニウム合金のめっき前処理方法の代表的なものとしては、亜鉛置換処理を2回実施するダブルジンケート法が主流である。また、めっき前処理方法では、亜鉛置換処理の前に、アルミニウム合金の表面に付着した油分及び自然酸化膜を除去するためのエッチング処理工程、エッチング処理工程で生じたスマットを除去するためのデスマット処理工程が行われている。また、前述のダブルジンケート法では、亜鉛粒子を析出させるための第1の亜鉛置換処理工程、第1の亜鉛置換処理工程で生じた亜鉛粒子を溶解剥離するための酸浸漬処理工程、亜鉛粒子を再度析出させるための第2の亜鉛置換処理工程が行われている。
エッチング処理工程には、酸によるエッチング処理又はアルカリによるエッチング処理がある。例えば、特許文献1では、硝酸10重量%、酸性ふっ化アンモン20〜60g/L及び硫酸35〜50重量%を含む酸性エッチング液を用いたエッチング処理について開示されている。しかし、得られた被めっき物の表面は平滑ではあるものの、めっきの密着性は不十分であった。
特許文献2及び3では、アルカリ溶液を用いた電解エッチングについて開示されている。この電解エッチングは工程が複雑である。また、デスマット処理工程では、混酸(フッ化水素+硝酸)が用いられており、アルミニウム合金中のSiを溶解する。そのため、被めっき物の表面を著しく浸食し、めっき界面の凹凸が大きくなり、めっき皮膜の平滑性とめっきの密着性を同時に得ることはできなかった。さらに、フッ化水素を使用する際は、作業環境上の問題がある。
特許文献4では、水酸化アルカリを用いたエッチング処理及び硝酸水溶液への2度の浸漬処理(デスマット処理、酸浸漬処理)を行っている。しかし、硝酸によるデスマット処理が不十分であり、その後の硝酸浸漬処理を経ても十分なめっきの密着性は得られなかった。また、めっき前処理後の排水中に含まれる硝酸性窒素の処理には環境問題上多くの時間とコストがかかる。
特許第3297860号公報 特許第2826755号公報 特開2004−285452号公報 特許第3033455号公報
本発明は上記事情に鑑み、平滑性と密着性の両方が良好なめっき皮膜を得ることができるアルミニウム合金のめっき前処理方法を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、本発明においては、アルミニウム合金部材からなる被処理物のめっき前処理方法であって、前記被処理物を、アルカリエッチング液を用いてエッチングするエッチング処理工程と、前記エッチング処理された被処理物の表面を、リン酸と過酸化水素を含むデスマット処理液を用いて清浄するデスマット処理工程と、前記デスマット処理された被処理物を、亜鉛置換液に浸漬する亜鉛置換処理工程とを含む、めっき前処理方法とした。
前記亜鉛置換処理工程は、2回繰り返し行うことが好ましい。この2回の亜鉛置換処理工程の間に、前記第1の亜鉛置換処理工程後の被処理物を、酸浸漬処理液に浸漬する酸浸漬処理工程を更に含むことが好ましい。前記酸浸漬処理液は、硫酸と過硫酸水素カリウムを含む水溶液であることが好ましい。
本発明におけるアルミニウム合金のめっき前処理方法によれば、平滑性と密着性の両方が良好なめっき皮膜を得ることができる。
本発明に係るめっき前処理方法を示すフローチャートである。 試験例1におけるエッチング処理工程の処理時間の変化による表面粗さへの影響を示す曲線である。 実施例2におけるアルミニウム合金とめっき皮膜との界面写真である。参考として、従来法による界面写真(参考例1)についても合わせて示す。 実施例2のデスマット処理工程後におけるテストピース(シリコン相)の表面写真である。 実施例2及び比較例1、2のめっき前処理後におけるテストピースの表面写真である。 実施例2のめっき前処理後におけるテストピースの表面に析出した亜鉛粒子の電子顕微鏡写真である。参考として、従来法による亜鉛粒子の電子顕微鏡写真(参考例2)についても合わせて示す。
以下に、本発明に係るめっき前処理方法について説明する。
本発明におけるめっき前処理の対象(被処理物)となるのは、アルミニウム合金部材である。アルミニウム合金には、例えば、AC4B材、AC4C材等がある。また、アルミニウム合金の部材としては、アルミニウム合金製シリンダ等が挙げられる。
本発明におけるアルカリエッチング液は、水酸化ナトリウムを含む水溶液であることが好ましい。水酸化ナトリウムを用いるのは、汚れ、自然酸化膜が速やかに除去され、良好な亜鉛置換処理及びめっき処理を実施することができるからである。また、必要に応じて、有機酸/界面活性剤、例えば、グルコン酸ナトリウム等を混合することができる。アルカリエッチング液としては、市販の薬品を使用することができ、例えば60〜70%水酸化ナトリウムが含まれるヘンケルジャパン製エッチング剤P3T651−7等を用いることができる。
水酸化ナトリウムの濃度は、10〜400g/Lの範囲であることが好ましい。低くとも10g/L以上であれば、エッチング処理がスムーズに行われ、エッチング処理後の被処理物の表面が不均質となることはない。また、高くとも400g/L以下であれば、エッチング処理が適度に促進され、その制御が容易である。
本発明では、リン酸と過酸化水素を含むデスマット処理液を用いる。
デスマット処理液中に含まれるリン酸の濃度は、100〜400ml/Lの範囲であることが好ましく、過酸化水素の濃度は、40〜300ml/Lの範囲であることが好ましい。この範囲であれば、スマットを適正に除去することができ、薬品コスト及び作業環境の面からも好適だからである。
本発明における第1亜鉛置換液は、特に限定されるものではなく、アルミニウム材のめっき前処理として一般に使用されているものを用いることができる。例えば、キザイ株式会社製スーパージンケートプロセスSZII等が挙げられる。
本発明における酸浸漬処理液は、硫酸と過硫酸水素カリウムを含む水溶液であることが好ましい。これは、被処理物の表面を浸食するエッチング反応を抑制し、良好な密着性が得られるからである。
酸浸漬処理液中に含まれる硫酸の濃度は、5〜100ml/Lの範囲であることが好ましく、過硫酸水素カリウムの濃度は、5〜100g/Lの範囲であることが好ましい。この範囲であれば、非常に良好な密着性が得られるからである。
本発明における第2亜鉛置換液は、上記の第1亜鉛置換液と同様のものを用いることができる。
次に、本発明に係るめっき前処理方法の各工程について図1を用いて説明する。
まず、エッチング処理工程12では、被処理物を、アルカリエッチング液を用いてエッチングを行い、被処理物の表面に付着した油分及び自然酸化膜を除去する。
シリコンを含有するアルミニウム合金(被処理物)のエッチング処理工程では、エッチング処理で溶解できないシリコン相が表面に残留し、この残留シリコン等によるアンカー効果によって良好なめっき密着性が引き出される。このシリコン相はめっき皮膜の基準面とすることができ、シリコン相を除去する従来技術に比べて、被処理物の表面の粗さを適度に低下させ、平滑なめっき皮膜を形成することができる。特に、アルミニウム合金製シリンダ等へのめっき処理後におけるホーニング代を狭めることができ、めっき処理後の加工代及び研磨代を低減することが可能である。その他めっき処理、例えば装飾めっき処理を施す際にも好適である。さらに、鋳造時におけるシリコンの析出方向はランダムであるため、めっき皮膜の密着性に等方性を持たせることができる。
被処理物の表面の汚れが著しくひどい場合やアルミニウム合金表面の自然酸化膜が強固である場合があるが、この良好なめっき密着性を引き出すためには、被処理物の機械加工面がなくなることが必要である。また、エッチング処理工程は、シリコン相が遊離又は脱離しない程度で終了することが好ましい。これは、エッチング処理工程後のデスマット処理工程で用いられる過酸化水素の寿命とも関係しており、シリコン相による過酸化水素の自然消費を抑えるためである。エッチング処理を必要以上に行うと、薬液使用量の増加を招くだけでなく、薬液寿命の低下を引き起こす。
エッチング処理工程における処理温度は、30〜80℃の範囲であることが好ましい。低くとも30℃以上であれば、生産性の点から適切であり、高くとも80℃以下であれば、過剰なエッチング処理とはならず、また、生産コスト及び作業者への負担の点からも適切である。
エッチング処理工程における処理時間は、1.5〜10分の範囲であることが好ましい。短くとも1.5分以上であれば、適度な表面粗さを付与することができ、長くとも10分以下であれば、過剰なエッチング処理とはならず、また、生産コストの点からも適切である。
エッチング処理工程12の前に、機械加工等によって被処理物に付着した油分を除去するための脱脂工程11を行うことができる。脱脂工程11では、例えば、キザイ株式会社製の中性脱脂剤マックスクリーンNG−30を、濃度40g/L、温度50℃に調整した水溶液に被処理物を浸漬し、揺動又は超音波洗浄を行う。脱脂工程における処理時間は、被処理物の汚れ具合によって調整することができるが、1〜10分の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、被処理物の汚れ度合いによる適度な調整が可能だからである。また、エッチング処理条件によっては、エッチング処理のみで脱脂/エッチング処理を行うこともできる。
デスマット処理工程13では、エッチング処理された被処理物の表面を、リン酸と過酸化水素を含むデスマット処理液を用いて清浄することによって、エッチング処理工程12で生じたスマットを除去する。従来のような硫酸や塩酸及びフッ酸を混合した場合は、被処理物の表面を浸食するエッチング反応が起こるため、スマットが増加してしまう。
本発明におけるデスマット処理では、アルミニウム合金中に含まれるシリコン相が表面に残留した状態となり、この残留したシリコン相がめっき皮膜とのアンカー(橋掛け)の役割をするため、良好なめっき密着性を得ることができる。一方、従来のデスマット処理である混酸処理(硝酸+フッ酸)では、アルミニウム成分だけでなく、アルミニウム合金中に含まれるシリコン相をも溶解するため、表面の粗さが非常に大きくなる。また、シリコン相の晶出具合によっては、過剰なエッチング処理によって、めっき皮膜の膜厚が不均一となり易い。この点からも、本発明におけるデスマット処理により、均一な膜厚のめっき皮膜を得ることができる。
デスマット処理工程における処理温度は、20〜40℃の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、適度にスマットが除去され、かつ、過酸化水素の分解が起こり難いからである。
デスマット処理工程における処理時間は、0.5〜8分の範囲であることが好ましい。短くとも0.5分以上であれば、十分スマットを除去することができ、長くとも8分以下であれば、生産性の点から適切である。
亜鉛置換処理工程では、デスマット処理された被処理物を、亜鉛置換液に浸漬する。この亜鉛置換処理工程は、2回繰り返し行われ、この間に、第1亜鉛置換処理工程後の被処理物を、酸浸漬処理液に浸漬する酸浸漬処理工程を更に含むことができる。
第1亜鉛置換処理工程14では、デスマット処理された被処理物を、第1亜鉛置換液に浸漬することにより、デスマット処理された被処理物の表面に亜鉛粒子を析出させる。
第1亜鉛置換処理工程における処理温度は、20〜35℃の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、被処理物の表面に均質な亜鉛粒子を析出することができるからである。
第1亜鉛置換処理工程における処理時間は、5秒〜3分の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、被処理物の表面に適量の亜鉛粒子を析出することができるからである。
酸浸漬処理工程15では、第1亜鉛置換処理工程14後の被処理物を、酸浸漬処理液に浸漬することにより、第1亜鉛置換処理工程14で生じた亜鉛粒子を溶解剥離する。このとき、亜鉛粒子のみを溶解剥離し、被処理物の表面を浸食しないことが重要である。被処理物の表面を浸食するとエッチング反応が起こり、スマットが発生するため、めっき皮膜の密着性が低下するからである。
酸浸漬処理工程における処理温度は、25〜70℃の範囲であることが好ましい。また、酸浸漬処理工程における処理時間は、0.5〜8分の範囲であることが好ましい。これらの範囲であれば、亜鉛粒子を優先的に剥離溶解することにより良好なめっき密着性が得られるからである。
第2亜鉛置換処理工程16では、酸浸漬処理工程15後の被処理物を、第2亜鉛置換液に浸漬することにより、酸浸漬処理された被処理物の表面に再度亜鉛粒子を析出させる。
第2亜鉛置換処理工程における処理温度は、20〜35℃の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、被処理物の表面に均質な亜鉛粒子を析出することができるからである。
第2亜鉛置換処理工程における処理時間は、5秒〜3分の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、被処理物の表面に適量の亜鉛粒子を析出することができるからである。
第1及び第2亜鉛置換処理工程(14、16)を行うことによって、被処理物の表面電位が均一になるため、微細な亜鉛粒子を均一に析出させることができる。また、一般に、アルミニウム合金鋳物は製品の肉厚や金型温度分布等の影響により、一つの被処理物内においても金属組織の大きい箇所と小さい箇所を有している場合が多い。従来技術では、被処理物の表面を浸食する反応が大きいために、金属組織の影響を受け易く、凹凸が多かった。すなわち、金属組織の大きい箇所では亜鉛置換処理で形成される亜鉛粒子のサイズが粗大化(凝集)し易く、金属組織の小さい箇所では亜鉛粒子のサイズが微細になる傾向があり、金属組織の大きい箇所では密着性が低下し、めっきが剥離するという問題があった。これに対し、本発明に係るめっき前処理方法では、シリコン相をほとんど浸食せず、金属組織の大小による影響を無視できるため、被処理物内のどの箇所においても均一な亜鉛粒子を形成させることができる。これにより、被処理物内のどの箇所においても良好な密着性を有するめっき皮膜を形成させることができる。
以上の工程により、めっき前処理工程10が完了する。引き続き、めっき前処理された被処理物についてめっき処理20を行う。めっき処理には様々な種類があるが、例えば、電気ニッケルめっき処理を行うことができる。電気ニッケルめっき処理に用いる代表的なめっき液としては、ワット浴等が挙げられる。このワット浴の組成は、例えば、硫酸ニッケルが200〜600g/L、ほう酸が33〜55g/L、50%次亜リン酸が1〜5g/L、サッカリンナトリウムが1〜5g/Lである。めっき液のpHは、1〜5の範囲であることが好ましい。めっき処理温度は、40〜80℃の範囲であることが好ましい。被処理物を−極、電極を+極として、電流密度を5〜100A/dm、通電時間を5〜50分間という条件で処理することにより、被処理物にニッケルめっきを施すことができる。エンジン用シリンダへ適用する場合には、耐摩耗性を向上させるために、炭化ケイ素(SiC)粒子を添加することが好ましい。
以下、実施例等を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(試験例1:エッチング処理工程の最適化)
アルミニウム合金AC4Bをテストピースとして、エッチング処理条件の最適化のための試験を行った。エッチング処理工程では、50g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いた。処理温度は50〜60℃、処理時間は2〜10分の間で変化させた。デスマット処理工程では、85%リン酸を濃度200ml/L、35%過酸化水素を濃度40ml/Lとなるように混合した水溶液を用いた。処理温度は30℃、処理時間は2分とした。
デスマット処理後のテストピースについて表面粗さ(Ra)を測定した。表面粗さは非接触法であるレーザー表面粗さ測定により行った。Raは、JIS B 0601−1994に準拠して算出した。
また、得られたテストピースについて、密着性の評価を行った。評価は、JIS H 8504 押出し試験方法によって行い、×を不可、△を可、○を良、◎を優とした。
試験例1の結果を表1及び図2に示す。
表1及び図2より、処理時間が2分の場合、密着性は可となり、表面粗さは108μmであった(図2(A))。処理時間が3分の場合、密着性は良好となり、表面粗さは110μmを超えた(図2(B))。処理時間が4分を超えた場合、優れた密着性が示された(図2(C)〜(F))。
表1及び図2の結果は、水酸化ナトリウムの濃度が50g/L、処理温度が50〜60℃、処理時間が2〜10分のとき、めっき皮膜の良好な密着性を得ることができることを示している。
(試験例2:デスマット処理工程の最適化)
アルミニウム合金AC4Bをテストピースとして、デスマット処理条件の最適化のための試験を行った。エッチング処理工程では、50g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いた。処理温度は55℃、処理時間は3分とした。デスマット処理工程では、85%リン酸を濃度100〜400ml/L、35%過酸化水素を濃度0〜300ml/Lとなるようにそれぞれ変化させて混合した水溶液を用いた。処理温度は30℃、処理時間は0.5〜8分の間で変化させた。
得られたテストピースについて、スマット除去性能の評価を行った。スマット除去性能は、SEM観察及びEDS分析によって行い、×を不可、△を可、○を良、◎を優とした。
試験例2の結果を表2及び表3に示す。
表2及び表3の結果は、リン酸の濃度が100〜400ml/L、過酸化水素の濃度が40〜300ml/Lであるとき、良好なスマット除去性能を得ることができることを示している。また、処理温度が20〜40℃、処理時間が0.5〜8分であるとき、良好なスマット除去性能を得ることができることが了解される。
(実施例1:酸浸漬処理工程の最適化)
アルミニウム合金AC4Bをテストピースとして、本発明に係るめっき前処理方法によりめっき前処理を行い、酸浸漬処理条件の最適化のための試験を行った。エッチング処理工程では、50g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いた。処理温度は55℃、処理時間は3分とした。デスマット処理工程では、85%リン酸を濃度200ml/L、35%過酸化水素水を濃度40ml/Lとなるように混合した水溶液を用いた。処理温度は30℃、処理時間は2分とした。第1亜鉛置換処理工程では、キザイ株式会社製スーパージンケートプロセスSZIIを用い、処理温度を25℃、処理時間を0.5分とした。酸浸漬処理工程では、市販の濃硫酸を濃度5〜100ml/L、過硫酸水素カリウムを濃度5〜100g/Lとなるように変化させて混合した水溶液を用いた。なお、比較として硫酸のみの水溶液についても用いた。処理温度は25〜70℃、処理時間は0.5〜8分の間で変化させた。第2亜鉛置換処理工程では、第1亜鉛置換処理工程と同様の処理液を用い、処理温度を25℃、処理時間を0.25分とした。その後、めっき前処理されたテストピースに、電気ニッケルめっき処理を施した。
得られたテストピースについて、密着性の評価を行った。評価は、JIS H 8504 押出し試験方法によって行い、×を不可、△を可、○を良、◎を優とした。
実施例1の結果を表4〜7に示す。
表4の結果は、硫酸のみの水溶液の場合、亜鉛粒子の溶解とともに、テストピースの表面を浸食するエッチング反応が起こるため、良好な密着性を得ることができなかったことを示している。
表5〜7の結果は、硫酸の濃度が5〜100ml/L、過硫酸水素カリウムの濃度が5〜100g/L、処理温度が25〜70℃、処理時間が0.5〜8分のとき、めっき皮膜の良好な密着性を得ることができることを示している。
(実施例2)
アルミニウム合金AC4Bをテストピースとして、本発明に係るめっき前処理方法によりめっき前処理を行った。エッチング処理工程では、ヘンケルジャパン製エッチング剤P3T651−7を、水酸化ナトリウムの濃度が50g/Lとなるように調整して用いた。処理温度は55℃、処理時間は3分とした。デスマット処理工程では、85%リン酸を濃度200ml/L、35%過酸化水素水を濃度40ml/Lとなるように混合した水溶液を用いた。処理温度は30℃、処理時間は2分とした。第1亜鉛置換処理工程では、キザイ株式会社製スーパージンケートプロセスSZIIを用い、処理温度を25℃、処理時間を0.5分とした。酸浸漬処理工程では、市販の濃硫酸を濃度15ml/L、過硫酸水素カリウムを濃度45g/Lとなるように混合した水溶液を用いた。処理温度は25℃、処理時間は30秒とした。第2亜鉛置換処理工程では、第1亜鉛置換処理工程と同様の処理液を用い、処理温度を25℃、処理時間を0.25分とした。その後、めっき前処理されたテストピースに、電気ニッケルめっき処理を施した。
得られたテストピースにおけるアルミニウム合金とめっき皮膜との界面写真を撮影し観察した。
デスマット処理工程後におけるテストピースの表面写真及びめっき前処理後におけるテストピースの表面写真を撮影し観察した。
めっき前処理後におけるテストピースについて、成分分析(EDS)を行い、密着性の評価を行った。評価は、JIS H 8504 押出し試験方法によって行い、×を不可、△を可、○を良、◎を優とした。
めっき前処理後におけるテストピースの表面に析出した亜鉛粒子の電子顕微鏡写真を撮影し観察した。
(比較例1)
デスマット処理工程において、67%濃硝酸を用い、処理温度を25℃、処理時間を30秒とした以外は、実施例2と同様に行った。
(比較例2)
デスマット処理工程において、33.5%硝酸を用い、処理温度を25℃、処理時間を30秒とした以外は、実施例2と同様に行った。
実施例2におけるアルミニウム合金とめっき皮膜との界面写真を図3に示す。参考として、従来法による界面写真(参考例1)についても合わせて示す。
実施例2のデスマット処理工程後におけるテストピース(シリコン相)の表面写真を図4に示す。
実施例2及び比較例1、2のめっき前処理後におけるテストピースの表面写真を図5に示す。
実施例2及び比較例1、2のめっき前処理後におけるテストピースについての成分分析結果及び密着性の評価を表8に示す。
実施例2のめっき前処理後におけるテストピースの表面に析出した亜鉛粒子の電子顕微鏡写真を図6に示す。参考として、従来法による亜鉛粒子の電子顕微鏡写真(参考例2)についても合わせて示す。
図3より、実施例2におけるアルミニウム合金とめっき皮膜との界面は、シリコン相が溶解していないため、極度の凹凸がなく、平滑性が良好であり、その結果得られためっき皮膜の膜厚は均一であった(図3(A))。一方、従来法(参考例1)では、アルミニウム合金とめっき皮膜との界面にシリコン相が存在せず溶解しているため、アルミニウム合金とめっき皮膜の表面は平滑でなかった(図3(B))。また、図4より、実施例2におけるシリコン相はめっき皮膜の基準面とすることができることが確認された。
図5より、実施例2ではシリコン相が残存し、アルミニウム合金の表面は均質的な微構造であることが確認され、良好な亜鉛置換が行われていることが示された(図5(A))。一方、比較例1及び2では、シリコンと共に細かい粉末状の残留物が存在しており、不均質な構造であることが確認され、良好な亜鉛置換が行われていないことが示された(図5(B、C))。
表8より、実施例2におけるテストピースの表面成分は、比較例1及び2よりも、Al、Si以外の金属成分Mg、Fe、Cu(スマット)が少ないことが確認された。したがって、実施例2では、亜鉛置換処理で形成される亜鉛粒子のサイズが、比較例1及び2よりも、均一であることが示された。また、実施例2におけるテストピースの密着性は、比較例1及び2よりも、良好であることが確認された。
図6より、実施例2における亜鉛粒子は均一であり、金属組織にムラがないことが確認された(図6(A))。一方、従来法(参考例2)における亜鉛粒子は粗大化(凝集)し不均一であり、金属組織に空洞等のムラが見られた(図6(B))。
10 めっき前処理工程
11 脱脂工程
12 エッチング処理工程
13 デスマット処理工程
14 第1亜鉛置換処理工程
15 酸浸漬処理工程
16 第2亜鉛置換処理工程
20 めっき処理

Claims (6)

  1. アルミニウム合金部材からなる被処理物のめっき前処理方法であって、
    前記被処理物を、アルカリエッチング液を用いてエッチングするエッチング処理工程と、
    前記エッチング処理された被処理物の表面を、リン酸と過酸化水素を含むデスマット処理液を用いて清浄するデスマット処理工程と、
    前記デスマット処理された被処理物を、亜鉛置換液に浸漬する亜鉛置換処理工程と
    を含む、めっき前処理方法。
  2. 前記亜鉛置換処理工程が、2回繰り返し行われ、この2回の亜鉛置換処理工程の間に、前記第1の亜鉛置換処理工程後の被処理物を、酸浸漬処理液に浸漬する酸浸漬処理工程を更に含み、
    前記酸浸漬処理液が、硫酸と過硫酸水素カリウムを含む水溶液である請求項1に記載のめっき前処理方法。
  3. 前記アルカリエッチング液が、水酸化ナトリウムを含む水溶液である請求項1又は2に記載のめっき前処理方法。
  4. 前記デスマット処理液中に含まれるリン酸の濃度が100〜400ml/Lの範囲であり、過酸化水素の濃度が40〜300ml/Lの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のめっき前処理方法。
  5. 前記酸浸漬処理液中に含まれる硫酸の濃度が5〜100ml/Lの範囲であり、過硫酸水素カリウムの濃度が5〜100g/Lの範囲である請求項2に記載のめっき前処理方法。
  6. 前記アルカリエッチング液中に含まれる水酸化ナトリウムの濃度が10〜400g/Lの範囲である請求項1〜5のいずれかに記載のめっき前処理方法。
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