JP3808679B2 - Cvt用プーリーへのめっき方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材と他の金属(たとえばAl合金など)とからなるCVT用プーリーの表面にめっきを施す方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鋼材とAl合金などといった他の金属材とを溶接、嵌合あるいは鋳ぐるみなどにより一体化した異種材料のワーク、たとえばCVT用プーリーの表面にめっきを施す場合には、鋼材に対して行うめっき工程と、金属材に対して行うめっき工程とをそれぞれ別個に行っていた。たとえば、鋼材と、金属材としてのAl合金とからなるワークに対して、Niを施す場合には、次のようにして行われていた。
【0003】
まず、図3(a)に示したような異種材料からなるワークWに対して、図3(b)に示すように鋼材の部分2に樹脂などによりマスクM1 を形成し、Al合金部分1の脱脂処理、表面粗面化(エッチング)処理を施した後に、スマット(脱脂処理やエッチング処理によりワークWの表面に生じる黒色異物)の除去を行う。次いで、Al合金部分1に対して、Znイオンなどを含むアルカリ性溶液による置換処理、置換層の除去、および再度の置換処理を行った後に、Pdイオンを含む溶液により触媒化処理を行う。続いて、Niイオンを含むめっき浴内において無電解めっきを施すことにより、図3(c)に斜線のハッチングで示したようにワークWのAl合金部分1に対してNiめっき10が施される。
【0004】
さらに、鋼材部分2のマスクM1 を除去するとともに、図3(d)に示したように今度はNiめっき10を施したAl合金部分1にマスクM2 を形成した後に、鋼材部分2に対して、脱脂処理、表面粗面化処理、およびスマット除去処理を行う。次いで、鋼材部分2にPdなどによる触媒化処理を行い、図3(e)に斜線のハッチングで示したように無電解めっきによりワークWの鋼材部分2に対してNiめっき20を施した後に、図3(f)に示したようにマスクM2 を除去することにより、ワークWの全体にNiめっき10,20が施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなめっき方法では、Al合金部分と鋼材部分とに別個にめっきを施す方法であり、またAl合金と鋼材部分とに対して別個に前処理を行う必要があり、作業効率的に不利である。しかも、Al合金部分に対してめっきを施す際には、鋼材部分にマスクを形成し、鋼材部分にめっきを施す際には、Al合金部分に対してマスクを形成する必要があるばかりか、マスクを除去する処理を必要となり、この点においても作業効率的には不利である。したがって、各部分に対して別個にめっきを施す方法では、量産性に乏しく、コスト的に不利である。また、2回の無電解めっきにより、Al合金部分と鋼材部分とに別個にめっきを施すため、めっき層におけるAl合金部分と鋼材部分との界面では、そのめっき間の密着性が低いといった問題もある。
【0006】
そこで、Al合金部分と鋼材部分とに同時にめっきを施す方法も考えらえる。この場合、マスクを形成せずにAl合金部分および鋼材部分の双方に対して各種前処理を行う必要が生じる。しかしながら、1つの処理によりAl合金部分および鋼材部分の双方に対して適切な前処理を行うのが困難であるため、Al合金部分に主眼をおいた前処理、あるいは鋼材部分に主眼をおいた前処理の一方もしくは双方の前処理を行うこととなる。
【0007】
Al合金部分に主眼をおいて行われる前処理では、Al合金部分にZnイオンにより置換処理を行った後に置換層を除去する工程が必要となる。この置換層を除去する工程は、通常酸性溶液により行われるため、鋼部分が腐食されてスマットが生成するため、後においてめっきを施したとしても、鋼部分におけるめっきの密着性が低いといった問題がある。一方、鋼材部分に主眼をおいて行われる前処理では、置換処理を行わないため、Al合金部分にNiが十分に密着せず、Al合金部分におけるめっきの密着性が低いといった問題が生じる。したがって、従来では、ワークに対するめっきの密着性を高めるために、Al合金部分と鋼材部分とに別個にめっきを施す方法を採用せざるをえなかった。
【0008】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、鋼材と他の金属材とのからなるCVT用プーリーにめっきを施す場合に、コスト的に有利に実行でき、しかもめっき層とCVT用プーリーの密着性を十分に確保することができる技術を提供することをその課題とする。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。すなわち、本発明の第1の側面は、鋼材からなるシャフト部分と、アルミニウム合金からなるプーリー部分と、を含むCVT用プーリーに対してめっきを施す方法であって、上記CVT用プーリーに対して前処理を施す工程と、銅イオンを含むめっき液により下地めっき層を上記CVT用プーリーにおける上記シャフト部分および上記プーリー部分の双方にわたって同時に形成する工程と、上記下地めっき層上に目標とする表面めっき層を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする、CVT用プーリーへのめっき方法を提供する。
【0010】
上記めっき方法では、下地めっき層を形成する工程を含んでおり、この下地めっき層上に表面めっき層が形成される。下地めっき層は、鋼材からなるシャフト部分およびアルミニウム合金からなるプーリー部分の双方に対して、下地めっき処理の間において置換反応を起こしにくい銅イオンを含むめっき液により金属皮膜が同時に形成される。このため、ワークの表面に形成される下地めっき層は、シャフトおよびプーリー部分の双方に対して密着性が高くなり、しかもCVT用プーリー表面が均質化される。それゆえ、表面めっき層を構成する金属として、下地めっき層を構成する金属に対する密着性の高いものを選択すれば、下地めっき層上に形成される表面めっき層のワークに対する密着性も良好なものとなる。また、表面めっき層の形成を、シャフトおよびプーリー部分に対して別々に行う必要もなく、同時に行うことができる。
【0011】
したがって、上記めっき方法では、プーリー部分への表面めっき層の密着性を高めるべく、プーリー部分に対してZnイオンなどにより置換処理を施さずとも、密着性の高い表面めっき層を形成することができ、またマスクを形成して各部分に対して別々に金属めっきを施す必要がないことから、作業効率的にも有利である。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記前処理を施す工程は、電解溶液内に上記CVT用プーリーを電極として浸漬した状態で、電流の方向を周期的に変化させて電解を行うPR電解処理を含んでいる。
【0013】
上記めっき方法では、前処理工程としてPR電解処理を含んでいる。このPR電解処理では、CVT用プーリーが電極の一方として機能するため、電流の方向が周期的に変化させられた場合に、その電流方向に応じてCVT用プーリーが陰極とも陽極ともなる。このようにしてCVT用プーリーが陰極および陽極として繰り返し変化させられた場合には、CVT用プーリー表面に付着した不純物(スマット)が溶け落ち、また仮に酸性溶液により脱脂などを行ったためにプーリー部分の表面が不動態化していても、これが破壊される。このため、前処理工程としてPR電解処理を行えば、シャフト部分およびプーリー部分を問わずに、CVT用プーリーの表面が清浄化される。したがって、下地めっきを施す前にPR電解処理を行えば、CVT用プーリーに対する下地めっき層の密着性を高めることができる。
【0014】
ここで、表面めっき層を構成する金属としては、ニッケル、クロム、コバルト、銀、ロジウムなどが挙げられる。また、下地めっき層は、たとえばストライクと称される電解めっきにより形成され、表面めっき層は、たとえば電解または無電解めっきにより形成される。
【0015】
なお、表面めっき層を無電解めっきにより形成する場合には、めっき処理を施す前に、Pdなどの還元触媒をワーク表面に付着させるか、めっき液内に還元剤として次亜リン酸ナトリウムやホウ水素化ナトリウムなどを含ませる必要がある。
【0016】
また、前処理工程においては、PR電解処理に先立って、従来のめっき方法と同様な脱脂処理、粗面化処理、および金属材表面の不純物除去処理などを行ってもよい。
【0017】
本発明の第2の側面においては、鋼材からなるシャフト部分と、アルミニウム合金からなるプーリー部分と、を含むCVT用プーリーにめっきを施す際に前処理を施す方法であって、電解溶液内に上記CVT用プーリーを電極として浸漬した状態で、電流の方向を周期的に変化させて電解を行うPR電解処理を含むことを特徴とする、CVT用プーリーへのめっき方法における前処理方法が提供される。
【0018】
上記前処理方法は、先にも説明したPR電解処理を含んでいる。このPR電解処理では、シャフト部分およびプーリー部分を問わずに、CVT用プーリーの表面全体を同時に清浄化できる。このため、前処理工程としてPR電解処理を含むめっき方法では、CVT用プーリーの表面に直接的に、かつシャフトおよびプーリー部分の双方に対して同時に表面めっき層を形成することができる。また、CVT用プーリーの表面に下地めっき層を形成した後に、この下地めっき層上に表面めっき層を形成する場合であっても、CVT用プーリーの表面におけるシャフトおよびプーリー部分の双方に対して同時に下地めっき層を形成することができる。したがって、前処理工程としてPR電解処理を含むめっき方法では、作業効率的に有利に行え、しかもCVT用プーリーに対する表面めっき層の密着性を高いものとすることができる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1を参照して具体的に説明する。ここで、図1は、本発明のCVT用プーリーへのめっき方法を説明するための工程図であり、図2はCVT用プーリーの概略図である。
【0021】
本発明のCVT用プーリーへのめっき方法は、CVT用プーリーに対して前処理を行う第1の工程、CVT用プーリーに対して下地めっき層を形成する第2の工程、下地めっき層上に表面めっき層を形成する第3の工程により大略構成されている。
【0022】
第1の工程(前処理工程)は、たとえば脱脂処理、エッチング処理、活性化処理、およびPR電解処理からなる。
【0023】
脱脂処理は、CVT用プーリーの表面に付着した油脂性の汚れなどを除去するための処理であり、所定の脱脂液内にCVT用プーリーを浸漬し、あるいは脱脂液をCVT用プーリーに塗布することにより行われる。脱脂液としては、たとえば有機溶剤の他、エマルジョンまたは弱アルカリ性のものが使用される。有機溶剤としては、たとえばトリクロルエチレン、パークロルエチレンなどが挙げられ、エマルジョン脱脂液としては たとえばケロシンなどが挙げられ、弱アルカリ性脱脂液としては、たとえばケイ酸塩水溶液に界面活性剤を添加したものなどが挙げられるが、弱アルカリ性のものが最も好ましく使用される。また、脱脂処理時における脱脂液の温度(処理温度)や脱脂液とCVT用プーリーの接触時間は、CVT用プーリーの汚れの程度や使用する脱脂液の種類などにより決定されるが、たとえば処理温度は常温(25℃)〜80℃程度、接触時間は数秒〜数分程度とされる。
【0024】
なお、脱脂処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存する脱脂液を除去すべく、CVT用プーリーを水洗するのが好ましい。
【0025】
エッチング処理は、後においてCVT用プーリーの表面に形成される下地めっき層の密着性を良好なものとするためにCVT用プーリーの表面を粗面化する処理であり、たとえばエッチング液を用いたウェットエッチングにより行われる。ウエットエッチングは、エッチング液内にCVT用プーリーを浸漬することにより、あるいはCVT用プーリーにエッチング液を塗布することにより行われる。エッチング液としては、たとえば強アルカリ性水溶液(たとえば5〜100g/dm3 の濃度に調整された水酸化ナトリウム水溶液)が使用される。エッチング処理時におけるエッチング液の温度(処理温度)やエッチング液とCVT用プーリーとの接触時間は、金属材の組成や達成すべき粗面化状態に応じて設定すべき事項であるが、たとえば処理温度は常温(25℃)〜80℃程度、接触時間は数秒〜数十秒程度とされる。
【0026】
なお、エッチング処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存するエッチング液などを除去すべく、CVT用プーリーを水洗するのが好ましい。
【0027】
活性化処理は、脱脂処理やエッチング処理により、金属材(プーリー部分)の表面に付着したスマットの除去を主目的として行われる処理であり、たとえば活性化液内にCVT用プーリーを浸漬することにより、あるいは活性化液をCVT用プーリーに塗布することにより行われる。活性化液としては、フッ化物系の混酸の希釈液、たとえば硝酸と硫酸と水とを2:1:1程度で混合したものに、フッ化物を50〜200g/dm3 程度添加したものが挙げられる。活性化処理時における活性化液の温度(処理温度)および活性化液とCVT用プーリーとの接触時間は、金属材(プーリー部分)におけるスマットの発生量などに応じて設定すればよいが、たとえば処理温度は常温(25℃)程度、接触時間は数秒〜数十秒程度とされる。
【0028】
なお、活性化処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存する活性化液を除去すべく、CVT用プーリーを水洗するのが好ましい。
【0029】
PR電解処理は、鋼材(シャフト部分)の表面に付着したスマットを除去し、金属材表面に生じた不動態を破壊することを主目的とした処理である。このPR電解処理は、電解液内に、CVT用プーリーを一方の電極として浸漬した状態において、他方の電極との間に流れる電流の方向を、周期的に変化させることにより行われる。この場合、電解液としては、たとえば炭酸塩とグルコン酸塩およびEDTA塩の少なくとも一方との混合液、あるいはこの混合液にシアン化ナトリウムをさらに加えたアルカリ性溶液が使用される。また、PR電解処理での電解液温度(処理温度)、電解時間(CVT用プーリーが陽極とされる時間と陰極とされる時間の割り振り)などは、スマットの発生量などにより設定される事項であるが、たとえば処理温度は常温(25℃)〜60℃程度、電解時間はCVT用プーリーが陽極とされる時間が6〜10秒および陰極とされる時間が2〜5を1サイクルとして、計30秒〜5分程度とされる。このとき、CVT用プーリーを流れる電流の密度は、5〜10A/dm2 程度とされる。
【0030】
なお、PR電解処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存する電解液を除去すべく、CVT用プーリーを水洗するのが好ましい。
【0031】
第2の工程(下地めっき層の形成)は、後において形成される表面めっき層の密着性を良好なものとすべく、CVT用プーリーの表面を均質化するために行われる。すなわち、CVT用プーリー上に直接めっきすれば密着性の低い金属であっても、下地めっき層を銅で構成することにより、密着性高くめっきすることができるようになる。下地めっき処理は、たとえば電解めっきにより行われるが、下地めっき処理の間において、銅イオンは、鋼材(シャフト部分)および金属材(プーリー部分)の双方と置換反応を起こしにくい。電解めっきにより下地めっき層を形成する場合には、たとえば1〜20g/dm3 程度の銅イオンを含むめっき液内にCVT用プーリーを陰極として浸漬した状態で、通電することにより行われる。そうすれば、CVT用プーリーの表面に銅イオンが還元されて析出し、CVT用プーリーの表面に銅による下地めっき層が形成される。なお、下地めっき層の厚みは、下地めっき層や後において形成される表面めっき層を構成する金属の種類、CVT用プーリーの性状などにより設定すべき事項であるが、たとえば0.5〜10μmとされる。また、下地めっき処理条件は、形成すべき下地めっき層の厚みなどにより適宜設定されるが、厚みが5μm程度の銅めっき層を形成する場合には、たとえばめっき液の温度は数十℃程度、CVT用プーリーに流す電流の密度は0.5〜数A/dm2 程度、めっき時間は数十分程度に設定される。
【0032】
なお、下地めっき処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存するめっき液を除去すべく、CVT用プーリーを水洗するのが好ましい。
【0033】
第3の工程(表面めっき層の形成工程)は、たとえば触媒化処理および金属めっき処理を含んでいる。
【0034】
触媒化処理は、表面めっき層を無電解めっきにより形成する場合において、めっき成分を還元析出させるための触媒をCVT用プーリーの表面に付着させるために行われる。この処理は、たとえばPdなどの還元触媒を、静電気的な力によりCVT用プーリーの表面に付着させたり、置換反応によりCVT用プーリーの表面に付着させるなどして行われる。なお、めっき液中にジメチルアミンボランなどの還元剤を添加したり、CVT用プーリーの表面に直接Feなどを接触させることにより、触媒化処理を省略することもできる。もちろん、表面めっき層を電解めっきにより形成する場合にも、触媒化処理は省略される。
【0035】
金属めっき処理は、たとえば無電解めっきにより行われるが、この場合には、たとえばNiやCrなどのめっきすべき金属のイオンを含むめっき液内にCVT用プーリーを浸漬した状態において、めっき液を所定の温度に加熱することにより行われる。そうすれば、下地めっき層の表面に、Pdなどの還元触媒により還元されたNiやCrなどが析出・成長し、表面めっき層が形成される。なお、めっき液は、めっきすべき金属イオンを含む公知のめっき液を採用すればよく、その組成はとくに限定されない。また、表面めっき層の厚みは、CVT用プーリーに対して付与すべき特性に応じて設定されるが、たとえば5〜15μmとされる。金属めっき処理時におけるめっき液の温度や浸漬時間は、形成すべき表面めっき層の厚みなどにより決定されるが、たとえば10μmのニッケルめっき層を形成する場合には、4〜5g/dm3 程度のニッケルイオンを含むめっき液を80〜90℃程度に加熱し、このめっき液内にCVT用プーリーを40〜60分程度浸漬すればよい。
【0036】
次に、本発明者は、図1に示した各処理を行うことにより、CVT用プーリーの表面に5μmのCuめっき層(下地めっき層)を形成するとともに、Cuめっき層の表面に10μmのNiめっき層(表面めっき層)を形成し、このNiめっき層の密着性を確認した。ただし、脱脂処理、エッチング処理、活性化処理、PR処理、および下地めっき処理のそれぞれが終了した場合には、CVT用プーリーを十分に水洗した。また、具体的な処理条件は、次の通りとした。
【0037】
(CVT用プーリーの形状)
CVT用プーリーとしては、図2に示したものを使用した。具体的には、鋼材からなる長さ約250mm、最大径が30mmのシャフト部分に対して、直径が約200mmの円盤状であるAl合金製のプーリー部分を一体化させたCVT用プーリーを使用した。
【0038】
(脱脂処理)
脱脂処理は、アルミニウム用脱脂剤(商品名:「アルミニウム クリーナー NE−6」;メルテックス(株)製)を60g/dm3 の濃度となるように蒸留水により溶解させて得られた脱脂液を70℃に保持するとともに、この脱脂液内にCVT用プーリーを5分間浸漬することにより行った。
【0039】
(エッチング処理)
エッチング処理は、アルミニウム用エッチング剤(商品名:「エッチアルム14」;メルテックス(株)製)を75g/dm3 の濃度となるように蒸留水により溶解して得られたエッチング液を60℃に保持するとともに、このエッチング液内にCVT用プーリーを15秒分間浸漬することにより行った。
【0040】
(活性化処理)
活性化処理は、硝酸、硫酸、および蒸留水を、容積比で2:1:1で混合したものに、アルミニウム用活性化剤(商品名:「アクタン70」;メルテックス(株)製)を120g/dm3 の濃度で添加した水溶液を25℃に保持し、この水溶液内に、CVT用プーリーを15秒間浸漬することにより行った。
【0041】
(PR処理)
PR処理は、鉄用脱錆剤(商品名:「ダッセイ78」;メルテックス(株)製)および水酸化ナトリウムを蒸留水に溶解させ、それぞれの濃度が40g/dm3 および100g/dm3 、液温が25℃である電解液を調整するとともに、この電解液内にCVT用プーリーを浸漬してPR電解を行った。PR電解は、CVT用プーリーに流れる電流の密度を5A/dm2 とするとともに、CVT用プーリーを10秒間陽極とした後に5秒間陰極とするサイクルを16サイクル、計4分間行った。
【0042】
(下地めっき処理)
下地めっき処理は、Cuイオン濃度が4g/dm3 、液温が30℃となるように調整されたCu電解めっき液(商品名:「メルカパーCF−2100」;メルテックス(株)製)内にCVT用プーリーを陰極として浸漬し、当該CVT用プーリーに対して1A/dm2 の密度で電流を25分間流すことにより行った。
【0043】
(触媒化処理)
触媒化処理は、無電解Niめっき用触媒付与剤(商品名:「エンプレート イニシエーター852」;メルテックス(株)製)30cm3 、塩酸10cm3 、および蒸留水960cm3 を混合した得られた22℃の触媒化液内に、CVT用プーリーを4分間浸漬することにより行った。
【0044】
(金属めっき処理)
金属めっき処理は、Niイオン濃度が4.8g/dm3 、液温が90℃となるように調整されたNi−P無電解めっき液(商品名:「メルプレート NI−4990」;メルテックス(株)製)内に、CVT用プーリーを45分間浸漬することにより行った。
【0045】
(Niめっき層の密着性の評価)
以上に説明した各処理を施したCVT用プーリーについて、Niめっき層の形成状態を顕微鏡により確認したところ、CVT用プーリー全体に均一にNiめっき層が形成されていた。また、当該CVT用プーリーを200℃で1時間過熱後、水冷するといった剥離試験を行ったところ、ふくれやはがれが生じることなく良好な密着性を示した。
【0046】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係るCVT用プーリーのめっき方法は、以下の点において作業効率的に有利である。第1に、異種金属からなるシャフト部分とプーリー部分とを別個にめっきするのではなく、双方に対して同時にめっきを施すことができ、第2に、めっき前の前処理工程も各材に対して別々に行う必要がなく、第3に、前処理やめっきがシャフト部分とプーリー部分の双方に対して同時に行われるため、CVT用プーリーに対してマスクを形成する必要がないからである。したがって、本発明に係るCVT用プーリーのめっき方法は、量産性に優れるばかりか、コスト的にも有利である。
【0047】
また、下地めっき層は、PR処理により表面が清浄化されたCVT用プーリー上に形成されるため、鋼材であるシャフト部分であるかアルミニウム合金であるプーリー部分であるかを問わず、その密着性は高いものとされている。一方、表面めっき層は、当該下地めっき層上に形成されるものであるから、表面めっき層の密着性も高いものとされている。もちろん、CVT用プーリーの表面に直接的に表面めっき層を形成する場合においても、PR処理によりCVT用プーリーの表面が清浄化されているから、その表面めっき層の密着性は高いものとされる。結局、本発明に係るCVT用プーリーのめっき方法では、CVT用プーリーに対する表面めっき層の密着性は、鋼材であるシャフト部分であるか金属材であるプーリー部分であるかを問わず良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るCVT用プーリーへのめっき方法を説明するための工程図である。
【図2】 Niめっき層の密着性の確認を行う際に使用したCVT用プーリーの一例を示す図である。
【図3】 従来の異種材料ワークのめっき方法を説明するための概略工程図である。
Claims (2)
- 鋼材からなるシャフト部分と、アルミニウム合金からなるプーリー部分と、を含むCVT用プーリーに対してめっきを施す方法であって、
上記CVT用プーリーに対して前処理を施す工程と、
銅イオンを含むめっき液により下地めっき層を上記CVT用プーリーにおける上記シャフト部分および上記プーリー部分の双方にわたって同時に形成する工程と、
上記下地めっき層上に目標とする表面めっき層を形成する工程と、
を含んでいることを特徴とする、CVT用プーリーへのめっき方法。 - 上記前処理を施す工程は、アルカリ性脱脂剤による脱脂処理と、アルカリ性エッチング液によるエッチング処理と、酸性活性化液による活性化処理と、アルカリ性電解溶液内に上記CVT用プーリーを電極として浸漬した状態で、電流の方向を周期的に変化させて電解を行うPR電解処理と、を含んでいる、請求項1に記載のCVT用プーリーへのめっき方法。
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