JP3550482B2 - 連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば対向する長片とその間に対向して配置された短片とを備えた連続鋳造の製造及び補修に適用可能な鋳型片のめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造に用いる鋳型長片(広面銅板と呼ばれる)には、製造する鋳片の品質向上や、使用する銅板の寿命延長を目的として、従来からニッケル(Ni)めっきが行われている。このような、ニッケルめっきを銅板の表面に行う連続鋳造に用いる鋳型長片においては、銅母材とニッケルめっきの密着力が十分に強固であることが必要であり、このため、銅母材の表面をアルカリ洗浄した後、活性化処理を含む酸洗処理を行って表面を清浄にした後めっきを行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例の表面処理では、切削加工時に銅母材の表面に形成された加工変質層までは除去することができないので、ニッケルめっきは加工変質層の表面に形成されていることになり、加工変質層が使用中に変質して表面のめっき層との剥離が生じるという問題があった。
特に、電磁攪拌を行う連続鋳造鋳型においては、比較的電気伝導度の小さいアルミニウムを合金元素として加えた銅母材が使用されているが、アルミニウム合金からなる銅母材は、ニッケルめっきの接合性が良くなく、更に銅母材の表面に前記した加工変質層があると、更に接合性が悪くなるという問題があった。なお、以上の問題は鋳型短片においても共通に発生する問題であった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、銅母材とその表面のニッケルめっき層との密着性を向上させた連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う請求項1記載の連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法は、母材にアルミニウムを含む銅合金が用いられ、内側表面にニッケルめっきが施された連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法であって、
前記鋳型片の母材をアルカリ水溶液中での電解エッチング処理によって切削加工時に形成された表面の加工変質層を30〜40μm除去し、しかる後に前記ニッケルめっきを行っている。
請求項2記載の連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法は、請求項1記載の方法において、前記ニッケルめっきは、前記鋳型片の下部から上部まで全面に施されている。
【0005】
請求項1、2記載の連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法は、鋳型片の母材を電解エッチング処理によって表面の加工変質層を除去しているので、短時間の内に表面の加工変質層の除去ができる。そして、加工変質層が除去された銅合金母材の表面にニッケルめっきを行っているので、銅合金母材の表面が加熱によって変形や変質することがなく、結果として密着力の大きいニッケルめっき層を形成することができる。
そして、母材がアルミニウムを含む銅合金であっても、表面の加工変質層を除去することによってニッケルめっき層の接合性を向上することができる。
特に、請求項2記載の連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法においては、ニッケルめっきが鋳型の内側表面の全面に行われているので、表面に形成された密着力の高いニッケルめっき層によって銅合金母材の露出をより効率的に防止できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法の工程図、図2は同方法に用いる銅母材の断面図、図3は従来方法と本実施の形態に係る方法とのエッチング力を比較したグラフである。
【0007】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法は、鋳型片の一例である鋳型長片を構成するアルミニウムを含む合金からなる銅母材を切削加工によって製造する銅母材の製造工程10と、製造された銅母材の脱脂を行うアルカリ脱脂工程11と、脱脂された銅母材の酸洗工程12と、酸洗された銅母材を電解槽に入れてエッチングする電解エッチング工程13と、電解エッチングした銅母材を酸洗する酸洗工程14と、酸洗した銅母材の内側表面にニッケルめっきを行うニッケルめっき工程15とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0008】
前記銅母材の製造工程10は、銅母材16より厚い銅合金板から切削加工によって連続鋳造に用いる鋳型長片の銅母材16を製造する工程であって、図2に示すように、切削した内側表面には加工変質層17が形成されている。この加工変質層17は、切削刃が無理に表面を擦ることによってその表面層に残留応力が発生したり、あるいは加工硬化を生じることによって発生するもので、刃物の種類にもよるが、通常は30〜40μm程度の厚みを有している。
【0009】
次にアルカリ脱脂工程は11は、苛性ソーダ水からなる温度60℃以上のアルカリ液に浸漬又はアルカリ液を掛け流した状態で、ブラッシングを行い切削過程で付着した表面の油や汚れ等を除去するものである。この後、適当に水洗を行ってアルカリ液を除去し、酸洗工程12にて酸洗処理を行う。この酸洗液には約25℃の希硫酸を使用し、これによって銅母材16の表面に形成された酸化膜を除去する。
【0010】
次いで、表面が活性化された銅母材16を、電解エッチング工程13によって表面のエッチングを行うが、この電解エッチングに使用する電解液にはアルカリ水溶液を用い、例えば、苛性ソーダ液にキレート剤を入れたものを使用する。銅母材16の内側表面以外の部分は合成樹脂等の絶縁材をコーティングして、電流が流れないようにした後、電解槽に入れて銅母材16を陽極にして通電する。これによって、銅母材16の内側表面の金属がイオンとなって溶出して、電解研磨が行われる。電解エッチングの処理時間は7〜8分程度である。これによって加工変質層17が除去されて、銅母材16が露出する。なお、電解エッチング処理の電流密度は10A/dm2 で電解液の温度は40℃であった。
【0011】
この後、水洗して表面に付着した電解液を除去した後、酸洗工程14によって表面を酸洗する。これは、銅母材16の表面を活性化して、この後、ニッケルめっき工程15によって形成されるニッケルめっき層の接合性を向上するためである。なお、ニッケルめっき工程15は従来から使用するめっき液を使用し、電気めっきによってニッケルめっき層を鋳型長片の下部から上部まで全面に形成する。
【0012】
図3には、電解エッチング処理における銅母材16の表面のエッチング量(研磨代)と時間の関係を示している。比較のために、(1)苛性ソーダ液によるアルカリ脱脂、(2)希硫酸による酸洗、(3)硫酸と過酸化水素水とによる強活性化処理、(4)希硫酸による酸洗を行い、以下(3)と(4)を繰り返す従来法による表面処理を示しているが、電解エッチング法による研磨の方が約8倍の処理能力を有することが分かる。表1には、前記した従来方法によって銅母材を処理した場合と、前記実施の形態に係るアルカリ水溶液中での電解エッチング法によって銅母材の表面処理を行った場合の、表面に形成されるニッケルめっき層の物理的性質の相違を示す。
【0013】
【表1】
【0014】
表1に示すように、本発明の実施の形態に係る方法によって製造した連続鋳造に用いる鋳型長片の方が、ニッケルめっき層の付着強度が大きいことが分かる。また、従来方法によって製造された連続鋳造に用いる鋳型長片においては、3〜9件/年のニッケルめっき層の剥離事故が発生していたが、本発明の実施の形態に係る方法を用いて製造した連続鋳造に用いる鋳型長片においては、現在の所ニッケルめっき層の剥離事故は0件であることが確認されている。
【0015】
これは、従来の方法によって銅母材の表面を研磨してもその表面層の研磨層が極めて薄く、加工変質層が残った状態で、しかも、研磨された表面層の面粗度が小さく滑らかな銅母材の表面にニッケルめっき層を形成しているので、ニッケルめっき層との付着力が小さくなるからと解される。一方、本発明の実施の形態に係る方法においては、ニッケルめっき層と馴染みの悪い加工変質層を除去し、更には電解エッチング処理された銅母材の表面は面粗度が大きいので、ニッケルめっき層の接合状態が良いからであると解される。
なお、前記実施の形態においては、鋳型長片について説明したが、鋳型短片又はその他の鋳型片の製造又は補修に適用することもできる。
【0016】
【発明の効果】
請求項1、2記載の連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法においては、鋳型片の母材であるアルミニウムを含む銅合金の加工変質層を電解エッチング処理によって除去しているので、表面のニッケルめっきの接合性が高まり、使用中の銅母材の露出が防止できて、結果的には長期の寿命を有する連続鋳造に用いる鋳型片を提供できることになった。
また、鋳型片の母材がアルミニウムを含む銅合金からなっているので、母材表面の加工変質面とニッケルめっきとの馴染みが特に悪かったのを改善して、ニッケルめっきとの馴染みを向上させて、電磁攪拌を行う連続鋳造に用いる鋳型片においても更に長期の寿命を有 する鋳型片を提供できることになった。
そして、請求項2記載の連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法においてはは、鋳型片の下部から上部まで、電解エッチング処理をしてニッケルめっきをしているので、使用中の銅合金母材の露出を更に効率的に防止でき、これによって更に長期の寿命を有する連続鋳造に用いる鋳型片を提供できることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法の工程図である。
【図2】同方法に用いる銅母材の断面図である。
【図3】従来方法と本実施の形態に係る方法とのエッチング力を比較したグラフである。
【符号の説明】
10 銅母材の製造工程 11 アルカリ脱脂工程
12 酸洗工程 13 電解エッチング工程
14 酸洗工程 15 ニッケルめっき工程
16 銅母材(母材) 17 加工変質層
Claims (2)
- 母材にアルミニウムを含む銅合金が用いられ、内側表面にニッケルめっきが施された連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法であって、
前記鋳型片の母材をアルカリ水溶液中での電解エッチング処理によって切削加工時に形成された表面の加工変質層を30〜40μm除去し、しかる後に前記ニッケルめっきを行うことを特徴とする連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法。 - 前記ニッケルめっきは、前記鋳型片の下部から上部まで全面に施されている請求項1記載の連続鋳造に用いる鋳型片のめっき方法。
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