JPH10237694A - 樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法 - Google Patents
樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法Info
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- JPH10237694A JPH10237694A JP3928097A JP3928097A JPH10237694A JP H10237694 A JPH10237694 A JP H10237694A JP 3928097 A JP3928097 A JP 3928097A JP 3928097 A JP3928097 A JP 3928097A JP H10237694 A JPH10237694 A JP H10237694A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 樹脂との密着性に優れ、半導体装置に加工し
たときにパッケージクラックの発生の懸念のない銅合金
リードフレーム材を提供し得る樹脂密着性に優れるリー
ドフレーム用銅合金材の製造方法を提供する。 【解決手段】 リードフレーム用銅合金材の製造最終工
程で最終研磨処理を行った後、陽極電解を行うリードフ
レーム用銅合金材の製造方法において、陽極電解を電気
伝導度が3000μS/cm以上の水溶液中で行うとともに、そ
の陽極電解量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係に
おいて式0.1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行う。
たときにパッケージクラックの発生の懸念のない銅合金
リードフレーム材を提供し得る樹脂密着性に優れるリー
ドフレーム用銅合金材の製造方法を提供する。 【解決手段】 リードフレーム用銅合金材の製造最終工
程で最終研磨処理を行った後、陽極電解を行うリードフ
レーム用銅合金材の製造方法において、陽極電解を電気
伝導度が3000μS/cm以上の水溶液中で行うとともに、そ
の陽極電解量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係に
おいて式0.1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂密着性に優れ
るリードフレーム用銅合金材の製造方法に関するもので
ある。
るリードフレーム用銅合金材の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】半導体装置のパッケージは、一般に、所
定のパターンに打抜いたリードフレーム上にシリコンチ
ップ(半導体素子)を搭載・接着させるダイボンディン
グ工程、リードフレームとシリコンチップを電気的に接
続するワイヤーボンディング工程、シリコンチップを保
護するため樹脂により封止するパッケージング工程など
を経て製造される。
定のパターンに打抜いたリードフレーム上にシリコンチ
ップ(半導体素子)を搭載・接着させるダイボンディン
グ工程、リードフレームとシリコンチップを電気的に接
続するワイヤーボンディング工程、シリコンチップを保
護するため樹脂により封止するパッケージング工程など
を経て製造される。
【0003】上記半導体装置のリードフレームには強
度、導電率の点からFe-Ni 合金である42アロイが従来よ
り用いられてきた。しかし、近年素子の高集積化が進ん
だことから、半導体装置の放熱特性と言うものが重要視
されるようになり、42アロイに比べて格段の高導電性
(高熱伝導性)を有する銅合金が注目され、価格もNiを
高濃度に含有する42アロイに比べて安価であることから
銅合金が使用されるようになってきた。
度、導電率の点からFe-Ni 合金である42アロイが従来よ
り用いられてきた。しかし、近年素子の高集積化が進ん
だことから、半導体装置の放熱特性と言うものが重要視
されるようになり、42アロイに比べて格段の高導電性
(高熱伝導性)を有する銅合金が注目され、価格もNiを
高濃度に含有する42アロイに比べて安価であることから
銅合金が使用されるようになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
にして製造した半導体装置のパッケージはその後のハン
ドリング中に水分を吸湿することがあり、パッケージを
基盤に実装する際のはんだリフロー時の熱により水分が
膨張しパッケージにクラックが発生することがあった。
これまでは、パッケージ自体が大きく厚かったため樹脂
強度が高く、起こるとしても確率的に非常に微々たるも
のであったが、近年、素子のさらなる高集積化とともに
パッケージの小型化、薄肉化が加速度的に進み、パッケ
ージの形は小さく、薄くなり、パッケージが薄くなると
パッケージクラックの問題が顕在化するようになってき
た。
にして製造した半導体装置のパッケージはその後のハン
ドリング中に水分を吸湿することがあり、パッケージを
基盤に実装する際のはんだリフロー時の熱により水分が
膨張しパッケージにクラックが発生することがあった。
これまでは、パッケージ自体が大きく厚かったため樹脂
強度が高く、起こるとしても確率的に非常に微々たるも
のであったが、近年、素子のさらなる高集積化とともに
パッケージの小型化、薄肉化が加速度的に進み、パッケ
ージの形は小さく、薄くなり、パッケージが薄くなると
パッケージクラックの問題が顕在化するようになってき
た。
【0005】上記パッケージクラックは、一般に、ダイ
ボンディング工程、ワイヤーボンディング工程で発生す
る熱によりリードフレーム表面に厚い酸化被膜が形成さ
れ、この酸化被膜と母材の密着性が悪い銅合金をリード
フレーム用材料として用いると、樹脂とリードフレーム
の密着性が低下し(樹脂と酸化被膜の密着性は良いが、
酸化被膜と母材の密着性が劣るため酸化被膜と母材の界
面で剥離が起こる)、発生すると言われている。このた
め、逆に樹脂とリードフレームの密着性が強固なリード
フレーム材料、すなわち酸化被膜の密着性の優れるリー
ドフレーム材料であれば、水分が膨張しても、それに十
分耐えることができクラックが発生しないとされ、これ
までにも樹脂密着性を向上させる方法がいろいろと試み
られており、例えば、銅合金上に純銅めっきを施し、冷
間圧延と焼鈍を施してリードフレームを製造する方法
(特許第 2564633号公報)や、リードフレームの表面を
粗面化するもの(特開昭60− 37152号公報)などが提案
されている。
ボンディング工程、ワイヤーボンディング工程で発生す
る熱によりリードフレーム表面に厚い酸化被膜が形成さ
れ、この酸化被膜と母材の密着性が悪い銅合金をリード
フレーム用材料として用いると、樹脂とリードフレーム
の密着性が低下し(樹脂と酸化被膜の密着性は良いが、
酸化被膜と母材の密着性が劣るため酸化被膜と母材の界
面で剥離が起こる)、発生すると言われている。このた
め、逆に樹脂とリードフレームの密着性が強固なリード
フレーム材料、すなわち酸化被膜の密着性の優れるリー
ドフレーム材料であれば、水分が膨張しても、それに十
分耐えることができクラックが発生しないとされ、これ
までにも樹脂密着性を向上させる方法がいろいろと試み
られており、例えば、銅合金上に純銅めっきを施し、冷
間圧延と焼鈍を施してリードフレームを製造する方法
(特許第 2564633号公報)や、リードフレームの表面を
粗面化するもの(特開昭60− 37152号公報)などが提案
されている。
【0006】しかしながら、前者の特許第 2564633号公
報に提案のものでは、銅系のリードフレーム材に対して
パッケージクラックを防止する確かな効果はあるもの
の、コストが大きく膨れ上ってしまう。また、後者の特
開昭60− 37152号公報に提案のものでは、比較的簡単に
製造できるものの、パッケージクラックを防止する効果
が十分ではない。これは表面を粗面化しても、銅合金の
場合には酸化被膜の密着性を改善し得るものではないた
めと考えられる。
報に提案のものでは、銅系のリードフレーム材に対して
パッケージクラックを防止する確かな効果はあるもの
の、コストが大きく膨れ上ってしまう。また、後者の特
開昭60− 37152号公報に提案のものでは、比較的簡単に
製造できるものの、パッケージクラックを防止する効果
が十分ではない。これは表面を粗面化しても、銅合金の
場合には酸化被膜の密着性を改善し得るものではないた
めと考えられる。
【0007】本発明は、上記事情に基づいてなされたも
のであって、その目的は、樹脂との密着性に優れ、半導
体装置に加工したときにパッケージクラックの発生の懸
念のない銅合金リードフレーム材を提供し得る樹脂密着
性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法を提供
するものである。
のであって、その目的は、樹脂との密着性に優れ、半導
体装置に加工したときにパッケージクラックの発生の懸
念のない銅合金リードフレーム材を提供し得る樹脂密着
性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法を提供
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者が種々研究を行
なった結果、銅合金の酸化被膜の密着性は、銅合金製作
の最終工程で最終研磨処理を行い、その研磨量に対して
一定の比率で、電気伝導度3000μS/cm以上の水溶液中で
電解することにより格段に向上することを見い出し、本
発明を完成するに至ったものである。すなわち本発明の
要旨は、リードフレーム用銅合金材の製造最終工程で最
終研磨処理を行った後、陽極電解を行うリードフレーム
用銅合金材の製造方法において、陽極電解を電気伝導度
が3000μS/cm以上の水溶液中で行うとともに、その陽極
電解量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係において
式0.1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行うことを特徴とす
る樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造
方法にある。
なった結果、銅合金の酸化被膜の密着性は、銅合金製作
の最終工程で最終研磨処理を行い、その研磨量に対して
一定の比率で、電気伝導度3000μS/cm以上の水溶液中で
電解することにより格段に向上することを見い出し、本
発明を完成するに至ったものである。すなわち本発明の
要旨は、リードフレーム用銅合金材の製造最終工程で最
終研磨処理を行った後、陽極電解を行うリードフレーム
用銅合金材の製造方法において、陽極電解を電気伝導度
が3000μS/cm以上の水溶液中で行うとともに、その陽極
電解量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係において
式0.1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行うことを特徴とす
る樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造
方法にある。
【0009】以下に本発明の作用を構成とともに詳細に
説明する。通常、リードフレーム用銅合金材は溶解鋳造
のあと、圧延、焼鈍、酸洗研磨を繰り返して製造され
る。焼鈍工程では銅合金表面に酸化被膜が形成され、こ
れを取りのぞくために酸洗研磨が行われる。酸洗研磨と
しては硫酸+過酸化水素、硫酸+過硫酸塩、硝酸、硝酸
+硫酸、硝酸+りん酸、硫酸+過酸化水素+フッ化物、
硫酸+過硫酸塩+フッ化物などの酸化性の酸を用いた化
学エッチングや化学研磨、バフやナイロンブラシによる
機械研磨などが行われる。通常は最終工程で最終酸洗研
磨が行われた後もしくはその後最終圧延が行われた後リ
ードフレームへと加工されるが、このままではリードフ
レームに成形された時に生成する熱に起因してできる酸
化被膜の密着性が悪いため、パッケージクラックの発生
率が高くなってしまう。
説明する。通常、リードフレーム用銅合金材は溶解鋳造
のあと、圧延、焼鈍、酸洗研磨を繰り返して製造され
る。焼鈍工程では銅合金表面に酸化被膜が形成され、こ
れを取りのぞくために酸洗研磨が行われる。酸洗研磨と
しては硫酸+過酸化水素、硫酸+過硫酸塩、硝酸、硝酸
+硫酸、硝酸+りん酸、硫酸+過酸化水素+フッ化物、
硫酸+過硫酸塩+フッ化物などの酸化性の酸を用いた化
学エッチングや化学研磨、バフやナイロンブラシによる
機械研磨などが行われる。通常は最終工程で最終酸洗研
磨が行われた後もしくはその後最終圧延が行われた後リ
ードフレームへと加工されるが、このままではリードフ
レームに成形された時に生成する熱に起因してできる酸
化被膜の密着性が悪いため、パッケージクラックの発生
率が高くなってしまう。
【0010】しかし、上記最終工程で最終酸洗研磨が行
われた後に電気伝導度が3000μS/cm以上の水溶液中で銅
合金材を陽極として電解を行うとともに、その陽極電解
量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係において式0.
1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行うと、その後圧延を行
っても行わなくても酸化被膜の密着性が格段に向上する
ことを見い出し本発明を完成するに至った。そして、そ
の結果パッケージクラックの発生率が大きく低減するこ
とになる。これは最終酸洗研磨を行った表面に生成する
酸化被膜は非常に粗でクラックなどが入りやすいのに対
して、その後陽極電解を行った後の表面に生成する酸化
皮膜は緻密でクラックなどが入りにくく、その後にリー
ドフレームに成形する過程及び半導体装置に組立る過程
での熱によって更に酸化被膜が生成されてもその特性は
変わらず、前者では酸化被膜の密着性が悪く樹脂密着性
に問題があるのに対して、後者の本発明のものでは、酸
化被膜の密着性が良く樹脂密着性に優れるものと考えら
れる。
われた後に電気伝導度が3000μS/cm以上の水溶液中で銅
合金材を陽極として電解を行うとともに、その陽極電解
量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係において式0.
1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行うと、その後圧延を行
っても行わなくても酸化被膜の密着性が格段に向上する
ことを見い出し本発明を完成するに至った。そして、そ
の結果パッケージクラックの発生率が大きく低減するこ
とになる。これは最終酸洗研磨を行った表面に生成する
酸化被膜は非常に粗でクラックなどが入りやすいのに対
して、その後陽極電解を行った後の表面に生成する酸化
皮膜は緻密でクラックなどが入りにくく、その後にリー
ドフレームに成形する過程及び半導体装置に組立る過程
での熱によって更に酸化被膜が生成されてもその特性は
変わらず、前者では酸化被膜の密着性が悪く樹脂密着性
に問題があるのに対して、後者の本発明のものでは、酸
化被膜の密着性が良く樹脂密着性に優れるものと考えら
れる。
【0011】ここで電解を行う水溶液の電気伝導度を30
00μS/cm以上に限定する理由は、陽極電解を電気伝導度
3000μS/cm未満の水溶液で行うと、銅合金材が電解溶解
されるときに表面が非常に荒れ、電解条件ではこの荒れ
はカバーできない。このため陽極電解は電気伝導度3000
μS/cm以上の水溶液で行う必要がある。また、電解を行
う水溶液は、電気伝導度が3000μS/cm以上の水溶液であ
れば酸でもアルカリでも混合物でもいずれでもよく、例
えば硫酸イオン、亜硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イ
オン、りん酸イオン、亜りん酸イオン、次亜りん酸イオ
ン、ホウ酸イオン、酢酸イオン、有機スルホン酸イオ
ン、ギ酸イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、
リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオ
ン、水素イオン、水酸化物イオンなどの一種以上の混合
物などが上げられる。また必要に応じて界面活性剤など
の添加を行ってもよい。また溶液と陽極電解条件によっ
ては電解後表面に酸化被膜を形成している場合があるの
で、必要に応じて酸化性の無い酸で酸洗を行ってもよ
い。このとき酸化性のある酸を用いると、陽極電解の効
果が消えてしまう。酸化性の無い酸としては、硫酸、り
ん酸、塩酸、フッ酸、硫酸+ フッ化物などが用いられ
る。
00μS/cm以上に限定する理由は、陽極電解を電気伝導度
3000μS/cm未満の水溶液で行うと、銅合金材が電解溶解
されるときに表面が非常に荒れ、電解条件ではこの荒れ
はカバーできない。このため陽極電解は電気伝導度3000
μS/cm以上の水溶液で行う必要がある。また、電解を行
う水溶液は、電気伝導度が3000μS/cm以上の水溶液であ
れば酸でもアルカリでも混合物でもいずれでもよく、例
えば硫酸イオン、亜硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イ
オン、りん酸イオン、亜りん酸イオン、次亜りん酸イオ
ン、ホウ酸イオン、酢酸イオン、有機スルホン酸イオ
ン、ギ酸イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、
リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオ
ン、水素イオン、水酸化物イオンなどの一種以上の混合
物などが上げられる。また必要に応じて界面活性剤など
の添加を行ってもよい。また溶液と陽極電解条件によっ
ては電解後表面に酸化被膜を形成している場合があるの
で、必要に応じて酸化性の無い酸で酸洗を行ってもよ
い。このとき酸化性のある酸を用いると、陽極電解の効
果が消えてしまう。酸化性の無い酸としては、硫酸、り
ん酸、塩酸、フッ酸、硫酸+ フッ化物などが用いられ
る。
【0012】また、陽極電解は電流密度の大小、電解時
間の長短は問題とならず、最終研磨処理量X(μm)に対し
て陽極電解量Y(μm)が 0.1≦X/Y ≦500 になりさえすれ
ばよい。その理由は、X/Y が0.1 未満になると酸化膜の
密着性を向上させる効果が飽和してしまうだけでなく、
表面が荒れることがあるためX/Y は0.1 以上でなければ
ならない。またX/Y が500 を超えると最終酸洗研磨の影
響が残り顕著な酸化被膜の密着性向上すなわち樹脂密着
性向上が期待できなくなるためX/Y は500 以下でなけれ
ばならない。このような理由から陽極電解量Y(μm)と最
終研磨処理量X(μm)との関係を0.1 ≦X/Y ≦500 の範囲
とするが、望ましくは0.2 ≦X/Y ≦450、より望ましく
は0.3 ≦X/Y ≦420 が良く、その理由は、上述した作用
効果がより効果的に得られるためである。
間の長短は問題とならず、最終研磨処理量X(μm)に対し
て陽極電解量Y(μm)が 0.1≦X/Y ≦500 になりさえすれ
ばよい。その理由は、X/Y が0.1 未満になると酸化膜の
密着性を向上させる効果が飽和してしまうだけでなく、
表面が荒れることがあるためX/Y は0.1 以上でなければ
ならない。またX/Y が500 を超えると最終酸洗研磨の影
響が残り顕著な酸化被膜の密着性向上すなわち樹脂密着
性向上が期待できなくなるためX/Y は500 以下でなけれ
ばならない。このような理由から陽極電解量Y(μm)と最
終研磨処理量X(μm)との関係を0.1 ≦X/Y ≦500 の範囲
とするが、望ましくは0.2 ≦X/Y ≦450、より望ましく
は0.3 ≦X/Y ≦420 が良く、その理由は、上述した作用
効果がより効果的に得られるためである。
【0013】また、陽極電解は、リードフレーム用銅合
金材の製造最終工程での最終研磨処理を行った後あれば
よく、例えば、リードフレームへの加工途中で行っても
よい。但しこの場合は陽極電解前に表面の異物や酸化防
止剤などの付着物を落とす必要がある。
金材の製造最終工程での最終研磨処理を行った後あれば
よく、例えば、リードフレームへの加工途中で行っても
よい。但しこの場合は陽極電解前に表面の異物や酸化防
止剤などの付着物を落とす必要がある。
【0014】また更に、銅合金材には強度、耐食性、耐
マイグレーション性やはんだ耐侯性等々の諸特性を向上
させるために様々な元素を添加することができ、例え
ば、特公昭63− 32855号公報に説明されているようにN
i、Si、Fe、Zn、Sn、Mg、P 、Cr、Mn、Zr、Ti、Sb等の
元素を1種又は2種以上組み合わせて添加することがで
きる。
マイグレーション性やはんだ耐侯性等々の諸特性を向上
させるために様々な元素を添加することができ、例え
ば、特公昭63− 32855号公報に説明されているようにN
i、Si、Fe、Zn、Sn、Mg、P 、Cr、Mn、Zr、Ti、Sb等の
元素を1種又は2種以上組み合わせて添加することがで
きる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を挙げ、比
較例と対比しながら詳細に説明する。表1に示す 3種の
組成の銅合金板条(厚さ0.25mm)を、溶解鋳造後、熱間
圧延、冷間圧延、焼鈍を含む量産規模での製造工程によ
り作製した。
較例と対比しながら詳細に説明する。表1に示す 3種の
組成の銅合金板条(厚さ0.25mm)を、溶解鋳造後、熱間
圧延、冷間圧延、焼鈍を含む量産規模での製造工程によ
り作製した。
【0016】
【表1】
【0017】上記それぞれの合金について表2に示す最
終製造工程での処理を行い、供試材とした。なお、表2
中の化学エッチング量や、バフ研磨量や陽極電解量は、
処理前後の重量変化と銅合金の密度と面積から換算した
値である。
終製造工程での処理を行い、供試材とした。なお、表2
中の化学エッチング量や、バフ研磨量や陽極電解量は、
処理前後の重量変化と銅合金の密度と面積から換算した
値である。
【0018】
【表2】
【0019】上記表2に示す最終製造工程での処理を行
なって得た供試材を用い樹脂密着試験を実施した。樹脂
密着試験方法および評価方法は下記のとおりである。 〔樹脂密着試験方法〕各供試材から 100×100mm の板を
切りだし、大気中で 300℃× 3分加熱し、供試材表面に
酸化被膜を形成させた後、図1に示すように、供試材1
の表面に樹脂(MP−8000B)2を表3に示す樹脂接着
条件で同図に示す寸法にモールドして接着させ、モール
ド樹脂2を図1に示す矢印A方向から剪断するように剥
がし、その接着強度を測定し接着面積と接着強度から樹
脂密着強度を算出した。
なって得た供試材を用い樹脂密着試験を実施した。樹脂
密着試験方法および評価方法は下記のとおりである。 〔樹脂密着試験方法〕各供試材から 100×100mm の板を
切りだし、大気中で 300℃× 3分加熱し、供試材表面に
酸化被膜を形成させた後、図1に示すように、供試材1
の表面に樹脂(MP−8000B)2を表3に示す樹脂接着
条件で同図に示す寸法にモールドして接着させ、モール
ド樹脂2を図1に示す矢印A方向から剪断するように剥
がし、その接着強度を測定し接着面積と接着強度から樹
脂密着強度を算出した。
【0020】
【表3】
【0021】上記算出した樹脂密着強度を表4に示す。
なお、表4の合金欄の符号は表1に示す合金の符号、工
程欄の符号は表2に示す処理工程の符号をそれぞれ示
す。
なお、表4の合金欄の符号は表1に示す合金の符号、工
程欄の符号は表2に示す処理工程の符号をそれぞれ示
す。
【0022】
【表4】
【0023】上記表4から明らかなように、本発明に係
る実施例No.1〜12は、いずれの合金材においても高い樹
脂密着強度を有しているのに対して、比較例No.13, 16,
19は、表2に示す比較例 No.eの従来工程のままで製
造された銅合金材の場合、また比較例No.14, 17, 20
は、表2に示す比較例 No.fの工程で製造された銅合金
材で最終研磨処理量X(μm)/陽極電解量Y(μm)の比率が
600と大きかった場合、また比較例No.15, 18, 21 は、
表2に示す比較例 No.gの工程で製造された銅合金材で
最終研磨処理量X(μm)/陽極電解量Y(μm)の比率が 800
と大きかった場合のそれぞれ例であり、いずれも非常に
低い樹脂密着強度であり、また銅合金の種類にも関係な
いことが分かる。比較例22は、表2に示す比較例 No.h
の工程で製造された銅合金材で最終研磨処理量X(μm)/
陽極電解量Y(μm)の比率が 5となり、樹脂密着強度も5.
8MPaと高い値を示すが、表面が非常に荒れ光沢が無いた
め、素材の光の反射を利用してオートメーションシステ
ムが組まれているICパッケージの製造ラインでは大きな
支障を来すことになる。
る実施例No.1〜12は、いずれの合金材においても高い樹
脂密着強度を有しているのに対して、比較例No.13, 16,
19は、表2に示す比較例 No.eの従来工程のままで製
造された銅合金材の場合、また比較例No.14, 17, 20
は、表2に示す比較例 No.fの工程で製造された銅合金
材で最終研磨処理量X(μm)/陽極電解量Y(μm)の比率が
600と大きかった場合、また比較例No.15, 18, 21 は、
表2に示す比較例 No.gの工程で製造された銅合金材で
最終研磨処理量X(μm)/陽極電解量Y(μm)の比率が 800
と大きかった場合のそれぞれ例であり、いずれも非常に
低い樹脂密着強度であり、また銅合金の種類にも関係な
いことが分かる。比較例22は、表2に示す比較例 No.h
の工程で製造された銅合金材で最終研磨処理量X(μm)/
陽極電解量Y(μm)の比率が 5となり、樹脂密着強度も5.
8MPaと高い値を示すが、表面が非常に荒れ光沢が無いた
め、素材の光の反射を利用してオートメーションシステ
ムが組まれているICパッケージの製造ラインでは大きな
支障を来すことになる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る樹脂
密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法に
よれば、リードフレームの放熱性向上のために必要な高
導電性を有する銅合金を用いて、樹脂との密着性に優
れ、半導体装置に加工したときにパッケージクラックの
発生の懸念のない銅合金リードフレーム材を得ることが
でき、産業上極めて有用な発明といえる。
密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法に
よれば、リードフレームの放熱性向上のために必要な高
導電性を有する銅合金を用いて、樹脂との密着性に優
れ、半導体装置に加工したときにパッケージクラックの
発生の懸念のない銅合金リードフレーム材を得ることが
でき、産業上極めて有用な発明といえる。
【図1】銅合金材と樹脂との樹脂密着試験方法および評
価方法を説明するための説明図である。
価方法を説明するための説明図である。
1:供試材(銅合金材) 2:モールド樹
脂 A:剪断する方向を示す矢印
脂 A:剪断する方向を示す矢印
Claims (3)
- 【請求項1】 リードフレーム用銅合金材の製造最終工
程で最終研磨処理を行った後、陽極電解を行うリードフ
レーム用銅合金材の製造方法において、陽極電解を電気
伝導度が3000μS/cm以上の水溶液中で行うとともに、そ
の陽極電解量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係に
おいて式0.1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行うことを特
徴とする樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材
の製造方法。 - 【請求項2】 リードフレーム用銅合金材の製造最終工
程で最終研磨処理を行った後、陽極電解を行うリードフ
レーム用銅合金材の製造方法において、陽極電解を電気
伝導度が3000μS/cm以上の水溶液中で行うとともに、そ
の陽極電解量Y(μm)を最終研磨処理量X(μm)との関係に
おいて式0.1 ≦X/Y ≦500 を満たすように行った後、更
に圧延を行うことを特徴とする樹脂密着性に優れるリー
ドフレーム用銅合金材の製造方法。 - 【請求項3】 最終研磨処理が、化学研磨、化学エッチ
ング、機械研磨のうちの1種又は組合せである請求項1
記載の樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3928097A JPH10237694A (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | 樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3928097A JPH10237694A (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | 樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10237694A true JPH10237694A (ja) | 1998-09-08 |
Family
ID=12548765
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3928097A Pending JPH10237694A (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | 樹脂密着性に優れるリードフレーム用銅合金材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10237694A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6475646B2 (en) * | 2000-08-17 | 2002-11-05 | Samsung Techwin Co., Ltd. | Lead frame and method of manufacturing the lead frame |
MY120645A (en) * | 2000-08-17 | 2005-11-30 | Samsung Techwin Co Ltd | Lead frame and method of manufacturing the lead frame |
JP2006222406A (ja) * | 2004-08-06 | 2006-08-24 | Denso Corp | 半導体装置 |
GB2460756A (en) * | 2008-06-10 | 2009-12-16 | Nippon Paint Co Ltd | Electrolytic metal treatment using zirconium |
-
1997
- 1997-02-24 JP JP3928097A patent/JPH10237694A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6475646B2 (en) * | 2000-08-17 | 2002-11-05 | Samsung Techwin Co., Ltd. | Lead frame and method of manufacturing the lead frame |
MY120645A (en) * | 2000-08-17 | 2005-11-30 | Samsung Techwin Co Ltd | Lead frame and method of manufacturing the lead frame |
JP2006222406A (ja) * | 2004-08-06 | 2006-08-24 | Denso Corp | 半導体装置 |
GB2460756A (en) * | 2008-06-10 | 2009-12-16 | Nippon Paint Co Ltd | Electrolytic metal treatment using zirconium |
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