JP6331569B2 - 積層シート及び発泡積層シート並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層シート及び発泡積層シート並びにそれらの製造方法に関する。
前記発泡積層シートは、発泡樹脂層を有しており、発泡壁紙、各種装飾材等として有用である。また、前記積層シートは、前記発泡積層シートの発泡前の状態(いわゆる未発泡原反)を意味する。
従来、基材上に少なくとも発泡樹脂層を設けた発泡積層シートが発泡壁紙、各種装飾材等として使用されている。発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成されており、発泡剤含有樹脂層は、コンマコートなどのコート法、樹脂組成物をシート状に引き延ばして積層するカレンダー法、Tダイなどの押出し機を使用した押出し製膜等により成形することが知られている。
発泡剤含有樹脂層の形成方法としては、上記の中でも押出し製膜が製造効率の観点から優れている。また、押出し製膜の例として、発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層で挟持した3層同時押出し製膜が知られている。ここで、押出し製膜をする場合には、押出し前後で発泡剤が意図せず発泡することを防止するために、押出し時の温度、圧力、シートの引取速度、無機フィラーの種類や含有量等を調整することが求められる。
上記に関連し、発泡積層シートの具体例としては、例えば、特許文献1がある。
特許文献1には、発泡壁紙が開示されており、その請求項1には、「紙質基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡壁紙であって、(1)前記発泡樹脂層は、押出し製膜によって発泡剤含有樹脂層を製膜後、前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、(2)前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分としてエチレン共重合体を含有し、前記樹脂成分100重量部に対して、脂肪酸により表面処理された平均粒子径が1〜10μmである炭酸カルシウムを10〜100重量部含有することを特徴とする発泡壁紙。」が開示されている。そして、特許文献1には、比較的メルトフローレート(以下、「MFR」ともいう)の高いエチレン共重合体を含む発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物(発泡剤含有樹脂層形成用樹脂組成物)に対して上記特定の炭酸カルシウムを特定量使用することにより、押出特性を損なわずに発泡状態が改善された発泡壁紙を提供することができる、とされている([0009]段落、[0010]段落、[0062]段落等)。
近年、発泡剤含有樹脂層形成用樹脂組成物中の樹脂成分として、コストや発泡壁紙としての耐傷性等の観点から、上述のエチレン共重合体に代えてポリエチレン系樹脂を使用することが求められている。
特開2009-256862号公報
しかしながら、ポリエチレン系樹脂は、一般的にエチレン共重合体と比べて溶融張力が低いため、発泡剤含有樹脂層を発泡させる際に、(1)発泡セルが破泡して発泡樹脂層を得ることができない、(2)発泡セルが破泡しないとしても高い発泡倍率を得ることができない、という問題がある。
よって、発泡剤含有樹脂層を製膜する際の樹脂組成物の良好な製造効率と、発泡積層シートの発泡樹脂層が破泡することなく高い発泡倍率と、当該発泡樹脂層の良好な強度と、発泡積層シートとしての良好な耐傷性とを全て兼ね備えた発泡積層シート及びその製造方法の開発が求められている。
本発明は、発泡剤含有樹脂層を製膜する際の樹脂組成物の良好な製造効率と、発泡積層シートの発泡樹脂層が破泡することなく高い発泡倍率と、当該発泡樹脂層の良好な強度と、発泡積層シートとしての良好な耐傷性とを全て兼ね備えた発泡積層シート及びその製造方法を提供することを目的とする。また、当該発泡積層シートの製造に適した原反(積層シート)及びその製造方法を提供することも目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、発泡剤含有樹脂層形成用樹脂組成物中にポリエチレン系樹脂を含む樹脂成分及び脂肪酸処理された特定の平均粒径の炭酸カルシウムを含有した上で、さらに、上記樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレート(以下、「MVR」ともいう)を特定の範囲とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。特に、本発明者は、発泡剤含有樹脂層形成用樹脂組成物中の樹脂成分のMFRではなく上記樹脂組成物全体のMVRに着目して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の積層シート、発泡積層シート及びそれらの製造方法に関する。
1. 基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートであって、
(1) 前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分及び炭酸カルシウムを含有し、
(2) 前記樹脂成分がポリエチレン系樹脂を含み、
(3) 前記炭酸カルシウムは、脂肪酸処理されており、
(4) 前記炭酸カルシウムの平均粒径が1〜10μmであり、
(5) 前記発泡剤含有樹脂層は、当該層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレートが15〜30cm3/10分である、
ことを特徴とする、積層シート。
2. 前記ポリエチレン系樹脂が、低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−αオレフィン共重合体とを混合した樹脂である、上記項1に記載の積層シート。
3. 前記低密度ポリエチレン樹脂と前記エチレン−αオレフィン共重合体との質量比率が、前記低密度ポリエチレン樹脂:前記エチレン−αオレフィン共重合体=10:90〜29:71である、上記項2に記載の積層シート。
4. 前記発泡剤含有樹脂層は、片面又は両面に非発泡樹脂層を有する、上記項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
5. 最表面に表面保護層を有する、上記項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
6. 基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を積層する工程を有する積層シートの製造方法であって、
(1) 前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分及び炭酸カルシウムを含有し、
(2) 前記樹脂成分がポリエチレン系樹脂を含み、
(3) 前記炭酸カルシウムは、脂肪酸処理されており、
(4) 前記炭酸カルシウムの平均粒径が1〜10μmであり、
(5) 前記発泡剤含有樹脂層は、当該層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレートが15〜30cm3/10分である、
ことを特徴とする、積層シートの製造方法。
7. 前記発泡剤含有樹脂層を押出し製膜により積層する、上記項6に記載の製造方法。
8. 前記発泡剤含有樹脂層及びその片面又は両面に積層される非発泡樹脂層を押出し製膜により積層する、上記項6に記載の製造方法。
9. 上記項1〜5のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる発泡積層シート。
10. 上記項1〜5のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させることを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
11. おもて面にエンボス凹凸模様を有する、上記項9に記載の発泡積層シート。
以下、本発明の積層シート及び発泡積層シートについて詳細に説明する。
≪積層シート≫
本発明の積層シートは、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートであって、
(1) 前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分及び炭酸カルシウムを含有し、
(2) 前記樹脂成分がポリエチレン系樹脂を含み、
(3) 前記炭酸カルシウムは、脂肪酸処理されており、
(4) 前記炭酸カルシウムの平均粒径が1〜10μmであり、
(5) 前記発泡剤含有樹脂層は、当該層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレートが15〜30cm3/10分である、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の積層シートは、発泡剤含有樹脂層はポリエチレン系樹脂を含む樹脂成分及び脂肪酸処理された平均粒径が1〜10μmの炭酸カルシウムを含有しているため、発泡積層シートの発泡樹脂層が破泡することなく高い発泡倍率と、当該発泡樹脂層の良好な強度と、発泡積層シートとしての良好な耐傷性とを兼ね備えることができる。また、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるMVRが15〜30cm3/10分であるため、樹脂組成物として高い流動性を有しており、発泡剤を分解させずに押出し製膜によって好適に発泡剤含有樹脂層を製造効率良く形成することができる。しかも、発泡剤含有樹脂層を発泡して得られる発泡樹脂層の高い発泡倍率及び良好な強度、並びに発泡積層シートとしての良好な耐傷性を保持することも可能となる。本発明の発泡積層シートは、発泡壁紙をはじめとする各種装飾材として幅広く利用することができる。
以下、積層シートを構成する各層について説明する。本発明の積層シートは、基材から見て発泡剤含有樹脂層が積層されている方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する。
基材(繊維質シート)
基材としては限定されず、公知の繊維質シート(裏打紙)などが利用できる。
具体的には、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの)などが挙げられる。なお、本発明に使用される繊維質シートには、分類上、不織布に該当しているものも包含される。
基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m2程度が好ましく、50〜130 g/m2程度がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層
本発明の積層シートは、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する。当該発泡剤含有樹脂層は樹脂成分を含有し、当該樹脂成分はポリエチレン系樹脂(PE系樹脂)を含む。発泡剤含有樹脂層の樹脂成分がポリエチレン系樹脂を含むため、発泡積層シートとしての良好な耐傷性(例:耐スクラッチ性)が得られる。
ポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE、密度:0.880 g/cm3以上0.910 g/cm3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度:0.910 g/cm3以上0.930 g/cm3未満)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度:0.930 g/cm3以上0.942 g/cm3未満)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度:0.942 g/cm3以上)、エチレン−αオレフィン共重合体(線状(直鎖状)低密度ポリエチレン(LLDPE))等が挙げられる。本明細書において、エチレン−αオレフィン共重合体は、実質的に長鎖分岐を持たず短い分枝だけを直鎖状ポリエチレンに付加したポリマーであって、エチレンと炭素4以上のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。なお、上記エチレン−αオレフィン共重合体は、メタロセン触媒系LLDPE(mLLDPE)も包含する。ポリエチレン系樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−αオレフィン共重合体とを混合した樹脂であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂が当該混合した樹脂である場合、発泡積層シートとしてのカール性の低減と優れた剛性とを兼ね備えることがより可能となる。
ポリエチレン系樹脂が低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−αオレフィン共重合体とを混合した樹脂である場合、低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−αオレフィン共重合体との質量比率は、低密度ポリエチレン樹脂:エチレン−αオレフィン共重合体=10:90〜29:71であることが好ましく、10:90〜21:79であることがより好ましい。上記質量比率が当該範囲内であることにより、発泡積層シートとしてのカール性の低減と優れた剛性とを兼ね備えることがより可能となる。
発泡剤含有樹脂層は、本発明の目的を阻害しない範囲において、樹脂成分としてポリエチレン系樹脂以外の樹脂を含んでもよい。ポリエチレン系樹脂以外の樹脂としては、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の樹脂単体、エチレンとエチレン以外の成分をモノマーとするエチレン共重合体(以下、「エチレン共重合体」と略記する)、アイオノマー等から選択される少なくとも1種が挙げられる。
エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。
樹脂成分としてポリエチレン系樹脂以外の樹脂を含有する場合、当該ポリエチレン系樹脂以外の樹脂の含有量は樹脂成分全体の30質量%以下であることが好ましい。なお、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分は実質的にポリエチレン系樹脂のみであることがより好ましい。
本発明では、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物は、上記樹脂成分の他、脂肪酸処理された炭酸カルシウムを少なくとも含有する。具体的には、上記樹脂成分、脂肪酸処理された炭酸カルシウム、顔料、熱分解型発泡剤、発泡助剤、架橋助剤等を含む樹脂組成物を好適に使用できる。その他にも、安定剤、滑剤等を添加剤として使用できる。
本発明では、脂肪酸処理された炭酸カルシウムを使用することにより、発泡積層シートの発泡樹脂層が破泡することなく高い発泡倍率と、当該発泡樹脂層の良好な強度が得られる。
脂肪酸処理とは、脂肪酸、脂肪酸の塩及び脂肪酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種(以下、「脂肪酸処理剤」ともいう)によって、炭酸カルシウムの表面の一部又は全部が表面処理されていることをいう。脂肪酸処理剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪酸としては、特に限定されない。例えば、炭素数6〜31の飽和脂肪酸、炭素数6〜31の不飽和脂肪酸等が挙げられる。炭素数6〜31の飽和脂肪酸の具体的な例としては、カプロン酸、エナンチック酸、カプリル酸、ペラゴニン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。また、炭素数6〜31の不飽和脂肪酸の具体的な例としては、カプロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ネルボニン酸等の二重結合を1個有する不飽和脂肪酸;リノール酸、リノレライジン酸等の二重結合を2個有する不飽和脂肪酸;ヒラゴニン酸、リノレン酸等の二重結合を3個有する不飽和脂肪酸;アラキドン酸等の二重結合を4個有する不飽和脂肪酸;イコサペンタエン酸等の二重結合を5個有する不飽和脂肪酸;タリリン酸、ステアロール酸等の三重結合を有する不飽和脂肪酸;などが挙げられる。脂肪酸は、分岐していてもよい。また、脂肪酸は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪酸の塩としては、特に限定されない。例えば、前述の脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;などが挙げられる。具体的な飽和脂肪酸の塩としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。具体的な不飽和脂肪酸の塩としては、オレイン酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム等が挙げられる。脂肪酸の塩は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪酸誘導体としては、特に限定されない。例えば、前述の脂肪酸に関する誘導体であって、(1)脂肪酸エステル、(2)ヒドロキシ脂肪酸、(3)脂肪酸無水物、(4)脂肪酸アミド、(5)脂肪酸アルコール、(6)脂肪酸ニトリル、及び(7)それらの組み合わせ、等が挙げられる。脂肪酸誘導体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、RCOOR’(Rは脂肪酸残基、R’はアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルケニル基、メタクリル基等)で表される化合物が挙げられる。具体的な脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸シクロヘキシル、ステアリン酸フェニル、ステアリン酸ビニル、ステアリン酸アリル、ステアリン酸メタリル等が挙げられる。
ヒドロキシ脂肪酸としては、例えば、2-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
脂肪酸無水物としては、ラウリン酸無水物、ステアリン酸無水物等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、ドデカンアミド、オクタデカンアミド等が挙げられる。
脂肪酸アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
脂肪酸ニトリルとしては、ドデカンニトリル、オクタデカンニトリル等が挙げられる。
脂肪酸処理の方法は、特に限定されない。例えば、以下のような方法が挙げられる。
(i)脂肪酸処理される炭酸カルシウムが乾燥状態である場合、まず、上記脂肪酸処理剤を乾燥した炭酸カルシウムに加える。次に、当該脂肪酸処理剤と炭酸カルシウムとを加熱しながら撹拌混合及び/又は粉砕混合する。これにより、脂肪酸処理された炭酸カルシウムが得られる。
(ii)脂肪酸処理される炭酸カルシウムがスラリー状態(水、有機溶媒等の懸濁液)である場合、まず、当該スラリーに上記脂肪酸処理剤を加える。次に、当該スラリーを撹拌して炭酸カルシウム表面に脂肪酸処理の被覆層を形成する。ここで、撹拌に際しては、必要に応じて加熱してもよい。次に、当該スラリーを遠心脱水機、フィルタープレス等の機械を用いて脱水(又は脱溶媒)する。次に、脱水して得られた濾過ケーキを熱風にさらして当該濾過ケーキを乾燥する。これにより、脂肪酸処理された炭酸カルシウムが得られる。ここで、乾燥機としては、乾燥機としては熱風箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等が挙げられる。また、得られた脂肪酸処理された炭酸カルシウムは、必要に応じて粉砕してもよい。なお、脂肪酸処理剤として脂肪酸アルカリ金属塩を使用する場合は、当該スラリーに当該脂肪酸アルカリ金属塩の水溶液を添加して撹拌させることで、脂肪酸処理された炭酸カルシウムが得られる。
なお、上記(i)、(ii)のいずれの場合も脂肪酸処理剤の使用量は特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムは、市販品を使用してもよい。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムの平均粒径は、1〜10μmである。当該炭酸カルシウムの平均粒径が上記範囲であることにより、優れた押出し製膜性を有しつつ、発泡樹脂層が破泡することなく高い発泡倍率と、当該発泡樹脂層の良好な強度とを併せ持つことができる。上記炭酸カルシウムの平均粒径が1μm未満である場合、流動性が低下し、高い発泡倍率が得られない虞があり、平均粒径が10μmを超える場合、薄膜で製膜した際に製膜表面に穴が開きやすくなる虞がある。上記炭酸カルシウムの平均粒径は、2〜5μmが好ましい。ここで、上記炭酸カルシウムの上記平均粒径は、マイクロトラック粒度分析(レーザー回析・散乱法)によって測定された値であり、体積基準による平均粒径である。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムの含有量は、後述する発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるMVRが15〜30cm3/10分となるように含有すれば限定されないが、樹脂成分100質量部に対して15〜100質量部とすることが好ましい。
熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系などが挙げられる。熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、5倍以上、好ましくは7〜10倍程度であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部程度とすることが好ましい。
発泡助剤は、金属酸化物及び/又は脂肪酸金属塩が好ましく、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等を使用することができる。これらの発泡助剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.3〜10質量部程度が好ましく、1〜5質量部程度がより好ましい。
顔料については、無機顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料として、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。これらは混合あるいは単独で用いられる。顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して1〜50質量部程度が好ましく、2〜30質量部程度がより好ましい。
本発明では、発泡剤含有樹脂層は樹脂架橋されていてもよい。樹脂架橋させる方法としては、過酸化物架橋、電子線架橋など既知の方法を用いてもよい。発泡剤含有樹脂層に電子線を照射する方法及び発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すればよい。
本発明では、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物(コンパウンド)の130℃におけるメルトボリュームフローレート(MVR)を15〜30 cm3/10分に設定する。これにより、樹脂組成物としては高い流動性を有しており、押出し製膜によって好適に発泡剤含有樹脂層を形成することができる。しかも、発泡剤含有樹脂層を発泡して得られる発泡樹脂層の高い発泡倍率及び良好な強度、並びに発泡積層シートとしての良好な耐傷性を保持することも可能となる。MVRが15 cm3/10分未満である場合は、良好な製造効率が得られない虞があり、MVRが30 cm3/10分を超える場合は、発泡積層シートの発泡樹脂層が破泡するか又は良好な強度が得られない虞がある。上記MVRは、この中でも17〜26 cm3/10分がさらに好ましい。なお、本明細書において、上記MVRはJIS K7210B法に記載の130℃、荷重21.18Nの条件で測定した値である。
発泡剤含有樹脂層の厚さは40〜200μm程度が好ましい。
非発泡樹脂層A及びB
発泡剤含有樹脂層は、その片面又は両面に非発泡樹脂層を有していてもよい。
例えば、発泡剤含有樹脂層の裏面(繊維質シートが積層される面)には、繊維質シートとの接着力を向上させる目的で非発泡樹脂層B(接着樹脂層)を有してもよい。
接着樹脂層の樹脂成分としては、特に限定はないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。EVAは公知又は市販のものを使用することができる。特に、酢酸ビニル成分(VA成分)が10〜46質量%であるものが好ましく、15〜41質量%であるものがより好ましい。
接着樹脂層の厚さは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層の上面には、絵柄模様層を形成する際の絵柄模様を鮮明にしたり発泡樹脂層の耐傷性を向上させたりする目的で非発泡樹脂層Aを形成してもよい。
非発泡樹脂層Aの樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、その中でもポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE))、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の樹脂単体、エチレンと炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン(LLDPE))、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー等の少なくとも1種が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
非発泡樹脂層Aの厚さは限定的ではないが、2〜50μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
本発明では、後記製造上の観点からも、非発泡樹脂層B、発泡剤含有樹脂層及び非泡樹脂層Aが順に形成された態様が好ましい。
絵柄模様層
本発明の積層シートは、樹脂層(発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A等)又は後述のプライマー層の上には、必要に応じて絵柄模様層を形成してもよい。
絵柄模様層は、積層シート及び発泡積層シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様等が挙げられ、目的に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、絵柄模様を印刷することで形成できる。印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
結着材樹脂は、基材シートの種類に応じて設定できる。例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は混合物の状態で使用できる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
プライマー層
樹脂層(発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A等)又は絵柄模様層の上には、必要に応じてプライマー層を形成してもよい。
プライマー層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができるが、特にアクリル、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
アクリルとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂が挙げられる。
ポリウレタンとはポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする組成物である。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2−4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4−4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μm程度がより好ましい。
表面保護層
樹脂層(発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A等)、絵柄模様層又はプライマー層の表面には艶調整及び/又は絵柄模様層の保護を意図して表面保護層を有してもよい。
表面保護層の種類は限定的ではない。艶調整を目的とする表面保護層であれば、例えば、シリカなどの既知フィラーを含む表面保護層がある。表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷などの公知の方法が採用できる。
積層シートの表面強度(耐スクラッチ性など)、耐汚染性、絵柄模様層の保護等を目的として表面保護層を形成する場合には、電離放射線硬化型樹脂を樹脂成分として含有するものが好適である。電離放射線硬化型樹脂としては、電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
エンボス
積層シート又は発泡積層シートのおもて面にはエンボス模様を付してもよい。この場合、最表面層(繊維質シートと反対側)の上からエンボス加工すれば良い。エンボス加工は、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が表面保護層である場合は、そのおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、幾何学模様、万線条溝、輪郭模様等がある。
≪発泡積層シート≫
本発明の発泡積層シートは、上記積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる。
≪積層シート及び発泡積層シートの製造方法≫
積層シートの製造方法としては、例えば、基材上に少なくとも前記発泡剤含有樹脂層を積層する製造方法が挙げられる。
また、発泡積層シートの製造方法としては、積層シートの製造方法において、前記発泡剤含有樹脂層を積層した後、熱処理により前記発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡樹脂層とする製造方法が挙げられる。
発泡剤含有樹脂層がその片面又は両面に非発泡樹脂層を有する場合には、非発泡樹脂層B及び/又は非発泡樹脂層Aを、押出し製膜により形成しても良いし、各フィルムを熱ラミネートすることにより形成してもよいが、Tダイ押出し機による同時押出し製膜が好適である。例えば、両面に非発泡樹脂層を有する場合には、3つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより3層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。
なお、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物には脂肪酸処理された炭酸カルシウムが含まれているため、発泡剤含有樹脂層を押出し製膜により形成する場合には、押出し機の押出し口(いわゆるダイリップ)に上記炭酸カルシウムの残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これが発泡剤含有樹脂層表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に上記炭酸カルシウムが含まれるため、上記のように3層同時押出し製膜し、非発泡樹脂層に無機物を含有しないようにすることが好ましい。即ち、発泡剤含有樹脂層を無機物非含有の非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し製膜することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。
発泡剤含有樹脂層を製膜後は、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋して発泡樹脂層の表面強度、発泡特性等を調整することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましく、175〜200kV程度がより好ましい。照射量は、10〜100kGy程度が好ましく、10〜50kGy程度がより好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。
発泡剤含有樹脂層上には、必要に応じて、絵柄模様層及びプライマー層を任意の順序で形成した後、必要に応じて、表面保護層を形成して積層シートとし、次に熱処理して発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層にすることで発泡積層シートが得られる。図1に、繊維質シート上に、非発泡樹脂層B、発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A、絵柄模様層、プライマー層及び表面保護層を順に形成した積層シートの層構成を例示する。これらの各層は、印刷、塗布などのコーティング、押出し製膜等を組み合わせることにより積層でき、印刷、塗布等のコーティングは常法に従って行うことができる。
熱処理条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件であればよく、加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は25〜80秒程度が好ましい。また、エンボス模様を付す場合には、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施する。
本発明の積層シートは、発泡剤含有樹脂層はポリエチレン系樹脂を含む樹脂成分及び脂肪酸処理された平均粒径が1〜10μmの炭酸カルシウムを含有しているため、発泡積層シートの発泡樹脂層が破泡することなく高い発泡倍率と、当該発泡樹脂層の良好な強度と、発泡積層シートとしての良好な耐傷性とを兼ね備えることができる。また、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるMVRが15〜30cm3/10分であるため、樹脂組成物として高い流動性を有しており、発泡剤を分解させずに押出し製膜によって好適に発泡剤含有樹脂層を製造効率良く形成することができる。しかも、発泡剤含有樹脂層を発泡して得られる発泡樹脂層の高い発泡倍率及び良好な強度、並びに発泡積層シートとしての良好な耐傷性を保持することも可能となる。本発明の発泡積層シートは、発泡壁紙をはじめとする各種装飾材として幅広く利用することができる。
本発明の積層シートの層構成の一例を示す断面模式図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
実施例1及び2、並びに比較例1〜5
≪発泡剤を含む樹脂組成物の調製≫
下記表1に示す7種類の樹脂組成物を混練により調製した。
Figure 0006331569
≪発泡積層シートの作製:押出し製膜≫
各樹脂組成物を3種3層の製膜可能なTダイ押し出し機を用いて、非発泡樹脂A、発泡剤含有樹脂及び非発泡樹脂Bの順序で5μm、80μm及び5μmの厚さになるように押出し製膜した。押出しシリンダー温度:130℃、Tダイ温度130℃にて製膜した。65g/m2の裏打紙(WK-665 KJ特殊紙製)上に非発泡樹脂層Bがくるように積層して、3種3層の樹脂層を有する積層シートを得た。
非発泡樹脂A:ノバテックLC701:LDPE(日本ポリエチレン製)
非発泡樹脂B:エバフレックスEV150:EVA(三井デュポンポリケミカル製)
更に、積層シートを220℃で30秒間加熱して、発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡積層シートを得た。
≪各発泡積層シートの評価≫
各実施例及び比較例で用いた、発泡剤を含有する樹脂組成物のMVR(130℃)を表2に示すとともに、各樹脂組成物に関する押出し製膜性、並びに各発泡積層シートに関する発泡倍率、発泡セル形状、発泡体表面及び耐スクラッチ性の評価結果を表2に示した。
評価方法及び評価基準は下記の通りとした。
押出し製膜性
各実施例及び比較例ごとに、上記所定の厚みになるように押出し機のスクリュー回転数を設定して上記3種3層の樹脂層を押出し製膜し、その回転数を固定したまま引取速度を変化させ、引き取れる速度で評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:引取速度30m/min以上。
△:引取速度20m/min以上30m/min未満。
×:引取速度20m/min未満。
発泡セル形状
発泡樹脂層の断面を肉眼観察した。評価基準は以下の通りとした。
○:発泡セルが均一で細かく、厚み方向に複数のセルが存在する。
△:発泡セルの厚み方向に複数のセルが存在しないが、セル自体が細かい。
×:発泡セルが連結して大きな空洞となり、厚み方向に複数のセルが存在しない。
発泡体表面
発泡樹脂層の表面を肉眼観察した。評価基準は以下の通りとした。
○:表面が平坦で、発泡セルの破泡による穴がない。
×:発泡セルの破泡による穴がある。
耐スクラッチ性
実施例及び比較例で作製した各発泡積層シートについて、壁紙工業会制定の表面強化壁紙の性能評価方法に準じて試験を行い、下記評価基準に基づいて評価した。
○:表面に僅な変化が認められる。
△:表層が僅かに破れて発泡樹脂層まで達した。
×:表層が大きく破れ発泡樹脂層まで傷付いた。
Figure 0006331569
1. 基材
2. 非発泡樹脂層B
3. 発泡剤含有樹脂層
4. 非発泡樹脂層A
5. 絵柄模様層
6. プライマー層
7. 表面保護層

Claims (13)

  1. 基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートであって、
    (1) 前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分及び炭酸カルシウムを含有し、
    (2) 前記樹脂成分がポリエチレン系樹脂を含み、
    (3) 前記炭酸カルシウムは、脂肪酸処理されており、
    (4) 前記炭酸カルシウムの平均粒径が1〜10μmであり、
    (5) 前記発泡剤含有樹脂層は、当該層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレートが15〜30cm3/10分である、
    ことを特徴とする、積層シート。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂が、低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−αオレフィン共重合体とを混合した樹脂である、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記低密度ポリエチレン樹脂と前記エチレン−αオレフィン共重合体との質量比率が、前記低密度ポリエチレン樹脂:前記エチレン−αオレフィン共重合体=10:90〜29:71である、請求項2に記載の積層シート。
  4. 前記発泡剤含有樹脂層は、片面又は両面に非発泡樹脂層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 最表面に表面保護層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
  6. 前記発泡剤含有樹脂層は、当該層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレートが17〜26cm 3 /10分である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
  7. 基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を積層する工程を有する積層シートの製造方法であって、
    (1) 前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分及び炭酸カルシウムを含有し、
    (2) 前記樹脂成分がポリエチレン系樹脂を含み、
    (3) 前記炭酸カルシウムは、脂肪酸処理されており、
    (4) 前記炭酸カルシウムの平均粒径が1〜10μmであり、
    (5) 前記発泡剤含有樹脂層は、当該層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレートが15〜30cm3/10分である、
    ことを特徴とする、積層シートの製造方法。
  8. 前記発泡剤含有樹脂層を押出し製膜により積層する、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記発泡剤含有樹脂層及びその片面又は両面に積層される非発泡樹脂層を押出し製膜により積層する、請求項7に記載の製造方法。
  10. 前記発泡剤含有樹脂層は、当該層を形成するための樹脂組成物の130℃におけるメルトボリュームフローレートが17〜26cm 3 /10分である、
    ことを特徴とする、請求項7又は8に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる発泡積層シート。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させることを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
  13. おもて面にエンボス凹凸模様を有する、請求項11に記載の発泡積層シート。
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