JP6665471B2 - 積層シート及び発泡積層シート並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層シート及び発泡積層シート並びにそれらの製造方法に関する。
前記発泡積層シートは、発泡樹脂層を有しており、発泡壁紙、各種装飾材等として有用である。また、前記積層シートは、前記発泡積層シートの発泡前の状態(いわゆる未発泡原反)を意味する。
従来、基材上に少なくとも発泡樹脂層を設けた発泡積層シートが発泡壁紙、各種装飾材等として使用されている。発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成されており、発泡剤含有樹脂層は、コンマコートなどのコート法、樹脂組成物をシート状に引き延ばして積層するカレンダー法、Tダイなどの押出し機を使用した押出し製膜等により成形することが知られている。
壁紙等の積層シートの発泡剤含有樹脂層に用いられる発泡剤として、主にアゾジカルボンアミドが使用されている。例えば、特許文献1には、少なくとも繊維質基材上に無機充填剤と発泡剤とを含有する樹脂からなる層を有する壁紙において、発泡剤としてアゾジカルボンアミド系発泡剤等を含む壁紙が開示されている(請求項1参照)。
しかしながら、アゾジカルボンアミドは欧州において高懸念物質(SVHC)の候補リストに挙げられる等、取扱いに注意を要する物質として将来的に使用に制限が加えられたり認可が必要になったりする可能性が生じてきている。このため、発泡剤として、アゾジカルボンアミドの代替品を準備しておくことが求められている。このような代替品の発泡剤としては重曹(炭酸水素ナトリウム)を含む発泡剤(重曹系発泡剤)が挙げられる。重曹系発泡剤の発泡温度の中心値は、金属化合物で調整されたアゾジカルボンアミドの発泡温度と同程度であるが、発泡温度巾はアゾジカルボンアミドと比較してブロードである。本発明者等は、鋭意検討の結果、重曹系発泡剤を用いると、ゾルコート法や、押出し同時発泡法では特に問題なく使用することが可能であるが、一旦押出製膜して発泡剤含有樹脂層を形成し、その後で当該発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させて発泡樹脂層とする押出製膜法により発泡積層シートを製造する場合には、重曹系発泡剤の発泡温度領域と押出製膜の際の樹脂溶融温度領域が重なり、以下の問題を生じることを見出した。
上述の問題としては、非発泡状態の樹脂層である発泡剤含有樹脂層を形成する際、ゾルコート法では可塑剤、希釈剤などで流動性を持たせたゾル状の樹脂を比較的低温で形成するため特に問題にならないものの、上述の押出製膜法では樹脂を加熱して溶融させておいて製膜を行うため、重曹系発泡剤の一部が、当該加熱により製膜前に低温度で発泡してしまうという問題が挙げられる。
特に、樹脂中に白色顔料や無機充填剤等の無機物が含まれる場合、溶融混練の際に樹脂と無機物との間で摩擦が生じ、発熱して発泡し易くなるという問題がある。射出成型等により製膜を行う場合、製膜時に発泡していても問題とならないが、押出製膜法では押出製膜時に発泡していると、製膜ライン上で張力がかけ難く、製膜切れを生じ易くなり生産性が低下するという問題がある。
また、発泡させながら押出し製膜することも可能であるが、ライン速度が低下してしまい、且つ、製膜後に発泡積層シートを巻き取ると、非発泡の積層シートと比較して厚みが厚いため、少ない巻数で巻き取り設備を切替えねばならず、生産効率が悪いという問題がある。
よって、重曹系発泡剤を含有していても、発泡剤含有樹脂層が非発泡状態であり、押出製膜の際に製膜切れを生じ難く、巻き取りの際の厚みが厚くなることが抑制されており、生産効率に優れた積層シート及びその製造方法の開発が求められている。
特開2013-204211号公報
本発明は、重曹系発泡剤を含有していても、発泡剤含有樹脂層が非発泡状態であり、押出し製膜の際に製膜切れを生じ難く、巻き取りの際の厚みが厚くなることが抑制されており、生産効率に優れた積層シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートにおいて、上記発泡剤含有樹脂層が、マスターバッチ由来の重曹系発泡剤を含有する積層シートとすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の積層シート、発泡積層シート及びそれらの製造方法に関する。1.基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートであって、
前記発泡剤含有樹脂層は、マスターバッチ由来の重曹系発泡剤を含有する、
ことを特徴とする積層シート。
2.前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分100質量部に対して、前記重曹系発泡剤を10〜150質量部含有する、項1に記載の積層シート。
3.前記発泡剤含有樹脂層は、片面又は両面に非発泡樹脂層を有する、項1又は2に記載の積層シート。
4.前記発泡剤含有樹脂層が押出製膜により形成されている、項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
5.基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートの製造方法であって、樹脂組成物と、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとの混合物を押出製膜して、前記基材上に前記発泡剤含有樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする積層シートの製造方法。
6.前記発泡剤含有樹脂層を形成する工程の前に、前記重曹系発泡剤と、マスターバッチ形成用樹脂とを混合して、前記マスターバッチを調製するマスターバッチ調製工程を有する、項5に記載の積層シートの製造方法。
7.前記マスターバッチ調製工程において、前記重曹系発泡剤と、前記マスターバッチ形成用樹脂とを混合する際の混合温度は、前記発泡剤含有樹脂層を形成する工程の押出製膜の温度以上であり、且つ、前記重曹系発泡剤100質量%のうち5質量%が分解する温度以下である、項6に記載の積層シートの製造方法。
8.項1〜4のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる発泡積層シート。
9.項1〜4のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させることを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
本発明の積層シートは、発泡剤含有樹脂層がマスターバッチ由来の重曹系発泡剤を含有するので、重曹系発泡剤のうち、低温度で分解して発泡する成分がマスターバッチを調製する際に分解済みであり、上記発泡剤含有樹脂層に含有されているマスターバッチ由来の重曹系発泡剤は、低温度での発泡が抑制されている。このため、本発明の積層シートは、重曹系発泡剤を含有していても、発泡剤含有樹脂層が非発泡状態であり、押出し製膜の際に製膜切れを生じ難く、巻き取りの際の厚みが厚くなることが抑制されており、生産効率に優れている。
また、本発明の積層シートの製造方法は、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチを用いており、重曹系発泡剤のうち、低温度で分解して発泡する成分がマスターバッチを調製する際に分解済みであり、マスターバッチを混合した樹脂組成物を押出製膜して発泡剤含有樹脂層を形成しても、重曹系発泡剤の発泡が抑制される。
本発明の積層シートの層構成の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の積層シート及び発泡積層シートについて詳細に説明する。
≪積層シート≫
本発明の積層シートは、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートであって、上記発泡剤含有樹脂層は、マスターバッチ由来の重曹系発泡剤を含有することを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の積層シートは、発泡剤含有樹脂層がマスターバッチ由来の重曹系発泡剤を含有するので、重曹系発泡剤のうち、低温度で分解して発泡する成分がマスターバッチを調製する際に分解済みであり、上記発泡剤含有樹脂層に含有されているマスターバッチ由来の重曹系発泡剤は、低温度での発泡が抑制されている。このため、本発明の積層シートは、重曹系発泡剤を含有していても、発泡剤含有樹脂層が非発泡状態であり、押出し製膜の際に製膜切れを生じ難く、巻き取りの際の厚みが厚くなることが抑制されており、生産効率に優れている。
また、本発明の積層シートの製造方法は、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有し、樹脂組成物と、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとの混合物を押出製膜して、前記基材上に前記発泡剤含有樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の積層シートの製造方法は、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチを用いており、上述のように、重曹系発泡剤のうち、低温度で分解して発泡する成分がマスターバッチを調製する際に分解済みであり、マスターバッチを混合した樹脂組成物を押出製膜して発泡剤含有樹脂層を形成しても、重曹系発泡剤の発泡が抑制される。
また、樹脂組成物を、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとは別途に調製するため、樹脂組成物中に白色顔料や無機充填剤等の無機物が含まれ、樹脂成分と無機物との間で摩擦が生じて発熱しても、重曹系発泡剤が当該発熱により発泡されない。
このため、本発明の製造方法によれば、押出製膜の際に発泡剤含有樹脂層を非発泡状態とすることができ、押出製膜の際に製膜切れを生じ難く、巻き取りの際の厚みが厚くなることが抑制されており、生産効率に優れている。
以下、積層シートを構成する各層について説明する。なお、本明細書では、基材から見て発泡剤含有樹脂層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材から見て発泡剤含有樹脂層が積層されている方向とは逆側を「下」又は「裏面」と称する。
基材(繊維質シート)
基材としては限定されず、公知の繊維質シート(裏打紙)などが利用できる。
具体的には、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの)などが挙げられる。なお、本発明に使用される繊維質シートには、分類上、不織布に該当しているものも包含される。
基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m2程度が好ましく、50〜130 g/m2程度がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層
本発明の積層シートは、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する。
本発明で用いる発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分としては、従来から壁装材に用いられている塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂等が広く採用できるが、塩化ビニル樹脂は可塑剤が経時的にブリードするおそれがあることから、積層シートの耐久性を高める観点では塩化ビニル樹脂よりもオレフィン系樹脂が好ましい。また、エンボス賦型が容易である点からも、塩化ビニル樹脂よりもオレフィン系樹脂が好ましく、特にエチレン系樹脂を含有することが好ましい。
エチレン系樹脂としては、特に1)ポリエチレン及び2)エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体(以下、「エチレン共重合体」と略記する)の少なくとも1種を含有することが好ましい。
ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が広く使用できるが、この中でも低密度ポリエチレンが好ましい。
エチレン共重合体は融点及びMFRの観点で押出し製膜に適している。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
これらのエチレン共重合体は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらのエチレン共重合体の中でも特にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種が好ましく、これらと他の樹脂とを併用する場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
また、エチレン共重合体は、エチレン以外のモノマーの含有量としては、5〜25質量%が好ましく、9〜20質量%がより好ましい。このような共重合比率を採用することにより、押出し製膜性がより高まる。具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの共重合比率(VA量)としては9〜25質量%が好ましく、9〜20質量%がより好ましい。エチレン−メチルメタクリレート共重合体は、メチルメタクリレートの共重合比率(MMA量)としては5〜25質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。また、エチレン−メタクリル酸共重合体は、メタクリル酸の共重合比率(MAA量)としては2〜15質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分は、JIS K 6922に記載の190℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFR(メルトフローレート)が10〜25g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内の場合には、発泡剤含有樹脂層を押出製膜により形成する際の温度上昇が少なく、非発泡状態で製膜できるため、後に絵柄模様層を形成する場合に平滑な面に印刷処理することができて柄抜け等が少ない。MFRが大きすぎる場合は、樹脂が軟らかすぎることにより、形成される発泡樹脂層の耐傷性が不十分となるおそれがある。
発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物としては、例えば、上記樹脂成分、ワックス、無機充填剤、顔料、架橋助剤等を含む樹脂組成物を好適に使用できる。その他にも、安定剤、滑剤等を添加剤として使用できる。
ワックスとしては特に限定されず、従来公知のワックスを用いることができる。このようなワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が使用できるが、中でも、ポリエチレンワックスが好ましい。
ワックスの重量平均分子量(Mw)は、1,000〜10,000であることが好ましく、1,500〜5,000であることがより好ましい。なお、当該ワックスは、上記樹脂成分として用いられる樹脂とは、MFR及び重量平均分子量により区別される。即ち、ワックスは極めて低分子量のものであり、MFRが測定できない程流動性が高い。このため、上記樹脂成分として用いられる樹脂と、上記ワックスとは異なるものを示している。
ワックスの含有量は、樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部程度が好ましく、0.5〜5質量部程度がより好ましい。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0〜100質量部程度が好ましく、20〜70質量部程度がより好ましい。
顔料については、無機顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料として、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して10〜50質量部程度が好ましく、15〜30質量部程度がより好ましい。
本発明の積層シートにおいて、発泡剤含有樹脂層は、マスターバッチ由来の重曹系発泡剤を含有する。マスターバッチ由来の重曹系発泡剤とは、発泡剤含有樹脂層を、上記樹脂組成物と、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとを混合して調製することにより、発泡剤含有樹脂層に含まれることとなる重曹系発泡剤である。
マスターバッチに含まれるマスターバッチ形成用樹脂としては特に限定されないが、上述の発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分に用いられる樹脂と同様に、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂等が広く採用でき、オレフィン系樹脂が好ましく、エチレン系樹脂がより好ましい。特に、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物との相溶性に優れる点で、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分に用いる樹脂と同一の樹脂を用いることが好ましい。
マスターバッチ形成用樹脂は、JIS K 6922に記載の190℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFR(メルトフローレート)が20〜100g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内の場合には、混練適性に優れる。MFRが小さ過ぎると発熱により分解(発泡)するおそれがあり、大き過ぎるとペレット化し難くなるためマスターバッチを形成し難いおそれがある。
重曹系発泡剤は、炭酸水素ナトリウムを含む発泡剤である。重曹系発泡剤としては炭酸水素ナトリウムを含んでいれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
なお、上記マスターバッチ形成用樹脂は、本発明の積層シートにおいては製膜の際に発泡剤含有樹脂層中に溶解しており、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分に含まれている。
発泡剤含有樹脂層中の重曹系発泡剤の含有量は、発泡倍率等に応じて適宜設定すればよい。発泡倍率の観点からは、3倍以上、好ましくは5〜10倍程度であり、重曹系発泡剤の含有量は、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分100質量部に対して、10〜150質量部程度とすることが好ましい。
マスターバッチには、マスターバッチ形成用樹脂、及び重曹系発泡剤の他に、ワックスを含有していてもよい。ワックスとしては、特に限定されず、上述の発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に用いられるワックスと同様のものを用いることができる。
マスターバッチ中のワックスの含有量は、マスターバッチ形成用樹脂100質量部に対して0.5〜30質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
本発明では、発泡剤含有樹脂層は、押出製膜により形成されていることが好ましい。発泡剤含有樹脂層を押出製膜により形成することで、基材上に発泡剤含有樹脂層を容易に形成することができる。また、後述のように発泡剤含有樹脂層がその片面又は両面に非発泡樹脂層を有する場合には、発泡剤含有樹脂層と、非発泡樹脂層B及び/又は非発泡樹脂層Aとを、同時押出製膜により形成することにより、基材上にこれらの層を容易に形成することができる。
本発明では、発泡剤含有樹脂層は電子線照射により樹脂架橋されていてもよい。発泡剤含有樹脂層に電子線を照射する方法及び発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すればよい。なお、発泡剤含有樹脂層の厚さは40〜100μm程度が好ましく、発泡後の発泡樹脂層の厚さは300〜700μm程度が好ましい。
非発泡樹脂層A及びB
発泡剤含有樹脂層は、その片面又は両面に非発泡樹脂層を有していてもよい。
例えば、発泡剤含有樹脂層の裏面(繊維質シートが積層される面)には、繊維質シートとの接着力を向上させる目的で非発泡樹脂層B(接着樹脂層)を有してもよい。
接着樹脂層の樹脂成分としては、特に限定はないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。EVAは公知又は市販のものを使用することができる。特に、酢酸ビニル成分(VA成分)が10〜46質量%であるものが好ましく、15〜41質量%であるものがより好ましい。
接着樹脂層の厚さは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層の上面には、絵柄模様層を形成する際の絵柄模様を鮮明にしたり発泡樹脂層の耐傷性を向上させたりする目的で非発泡樹脂層Aを形成してもよい。
非発泡樹脂層Aの樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、その中でもポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE))、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の樹脂単体、エチレンと炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン(LLDPE))、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー等の少なくとも1種が挙げられる。本発明では、特に発泡剤含有樹脂層中の樹脂として塩化ビニル樹脂を用いる場合には、積層シートの耐久性を得るために、非発泡樹脂層A(特にエチレン−ビニルアルコール共重合体層)を形成することが好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
非発泡樹脂層Aの厚さは限定的ではないが、2〜50μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
本発明では、後記製造上の観点からも、非発泡樹脂層B、発泡剤含有樹脂層及び非泡樹脂層Aが順に形成された態様が好ましい。
絵柄模様層
本発明の積層シートは、樹脂層(発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A等)又は後述のプライマー層の上には、必要に応じて絵柄模様層を形成してもよい。
絵柄模様層は、積層シート及び発泡積層シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様等が挙げられ、目的に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、絵柄模様を印刷することで形成できる。印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
結着材樹脂は、基材シートの種類に応じて設定できる。例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は混合物の状態で使用できる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
プライマー層
樹脂層(発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A等)又は絵柄模様層の上には、必要に応じてプライマー層を形成してもよい。
プライマー層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができるが、特にアクリル、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
アクリルとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂が挙げられる。
ポリウレタンとはポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする組成物である。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2−4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4−4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μm程度がより好ましい。
表面保護層
樹脂層(発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A等)、絵柄模様層又はプライマー層の表面には艶調整及び/又は絵柄模様層の保護を意図して表面保護層を有してもよい。
表面保護層の種類は限定的ではない。艶調整を目的とする表面保護層であれば、例えば、シリカなどの既知フィラーを含む表面保護層がある。表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷などの公知の方法が採用できる。
積層シートの表面強度(耐スクラッチ性など)、耐汚染性、絵柄模様層の保護等を目的として表面保護層を形成する場合には、電離放射線硬化型樹脂を樹脂成分として含有するものが好適である。電離放射線硬化型樹脂としては、電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
エンボス
積層シート又は発泡積層シートのおもて面にはエンボス模様を付してもよい。この場合、最表面層(繊維質シートと反対側)の上からエンボス加工すれば良い。エンボス加工は、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が表面保護層である場合は、そのおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、幾何学模様、万線条溝、輪郭模様等がある。
≪発泡積層シート≫
本発明の発泡積層シートは、上記積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる。
≪積層シート及び発泡積層シートの製造方法≫
本発明の積層シートの製造方法は、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートの製造方法であって、樹脂組成物と、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとの混合物を押出製膜して、上記基材上に上記発泡剤含有樹脂層を形成する工程を有する積層シートの製造方法である。
上記工程において用いられる樹脂組成物、及び重曹系発泡剤を含有するマスターバッチは、上述のものを用いればよい。
樹脂組成物とマスターバッチとを混合する方法としては特に限定されず、ペレット化された上記樹脂組成物と、上記重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとを混合する、いわゆるドライブレンド等の従来公知の方法により混合することができる。なお、樹脂組成物とマスターバッチとを予め混合せず、後述の押出製膜に用いる押出機に樹脂組成物とマスターバッチとを個別に投入し、押出機内で製膜直前に混合を行っても良いが、生産の安定性の観点からは予め樹脂組成物とマスターバッチとをドライブレンドにより混合してから押出機に投入し、製膜することが好ましい。また、押出機に投入する前に樹脂組成物とマスターバッチとを溶解して混練する、いわゆるメルトブレンドを行い、その混練物を押出機に投入して製膜を行うことも可能であるが、工程が増えるとともに樹脂組成物の熱履歴を増やすことになり好ましくなく、通常は上記ドライブレンドによる混合物を製膜の直前に押出機内で混練すれば十分である。
樹脂組成物と、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとの混合物を押出製膜する方法としては特に限定されず、従来公知の押出機を用いて押出製膜することができる。
押出製膜の際のシリンダー及びTダイの温度は、100〜120℃が好ましい。シリンダー及びTダイの温度が低過ぎると製膜不良になるおそれがあり、高過ぎると重曹系発泡剤が発泡するおそれがある。また、積層シートの引取ライン速度は特に限定されないが、30〜200m/minであることが好ましい。引取ライン速度が遅すぎると生産性に劣るおそれがあり、速過ぎると発泡剤含有樹脂層が破断するおそれがある。
本発明の製造方法によれば、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチと混合する前に樹脂組成物を調製するので、樹脂組成物中に白色顔料や無機充填剤等の無機物が含まれ、樹脂成分と無機物との間で摩擦が生じて発熱しても、重曹系発泡剤が当該発熱により発泡されない。そのため、無機物を樹脂組成物に混練する際の剪断力を大きくすることができるので、無機物の分散性が良好となる。
本発明の製造方法に用いられる上記マスターバッチは、上記発泡剤含有樹脂層を形成する工程の前に、上記重曹系発泡剤と、マスターバッチ形成用樹脂とを混合する、マスターバッチ調製工程を行うことにより調製できる。マスターバッチ調製工程により、重曹系発泡剤のうち、低温度で分解して発泡する成分がマスターバッチを調製する際に分解済みとなるので、当該重曹系発泡剤を含有するマスターバッチと、樹脂組成物との混合物を押出製膜して発泡剤含有樹脂層を形成しても、重曹系発泡剤の発泡を抑制することができる。このため、押出製膜の際の発泡剤含有樹脂層の発泡を抑制することができ、押出製膜の際に製膜切れを生じ難く、巻き取りの際の厚みが厚くなることが抑制されており、生産効率に優れた製造方法とすることができる。
マスターバッチ調製工程に用いるマスターバッチ形成用樹脂、及び重曹系発泡剤は、上述のものを用いることができる。
上記マスターバッチ形成用樹脂、及び重曹系発泡剤を混合する方法としては特に限定されないが、例えば、二軸押出機内にマスターバッチ形成用樹脂と重曹系発泡剤とを投入し、溶融混練して混合する方法が挙げられる。混合後、シリンダー途中のダイス直前の箇所から混合物をベント引きすることにより、マスターバッチを調製することができる。
上記マスターバッチ調製工程において、重曹系発泡剤と、マスターバッチ形成用樹脂とを混合する際の混合温度は、上記発泡剤含有樹脂層を形成する工程の押出製膜の温度以上であり、且つ、重曹系発泡剤100質量%のうち5質量%が分解する温度以下であることが好ましい。
上記混合温度が上記発泡剤含有樹脂層を形成する工程の押出製膜の温度以上であることにより、マスターバッチ調製工程により重曹系発泡剤のうち、低温度で分解して発泡する成分がマスターバッチを調製する際に十分に分解され、発泡剤含有樹脂層の発泡を十分に抑制することができる。
また、上記混合温度が重曹系発泡剤100質量%のうち5質量%が分解する温度以下であることにより、発泡剤含有樹脂層に含まれる重曹系発泡剤が事前に発泡され過ぎず、発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡積層シートを得る際に、十分な発泡倍率を示すことが可能となる。
本発明の積層シートの製造方法においては、基材上に、上記発泡剤含有樹脂層を形成する工程により樹脂組成物と、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとの混合物を押出製膜することにより、基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートを製造することができる。
発泡剤含有樹脂層がその片面又は両面に非発泡樹脂層を有する場合には、非発泡樹脂層B及び/又は非発泡樹脂層Aを、押出製膜により形成しても良いし、各フィルムを熱ラミネートすることにより形成してもよいが、Tダイ押出し機による同時押出製膜が好適である。例えば、両面に非発泡樹脂層を有する場合には、3つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより3層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。
なお、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に顔料等の無機物が含まれている場合、発泡剤含有樹脂層を押出製膜により形成する際に、押出機の押出し口(いわゆるダイリップ)に無機物の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これが発泡剤含有樹脂層表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に顔料等の無機物が含まれる場合、上記のように3層同時押出製膜し、非発泡樹脂層に無機物を含有しないようにすることが好ましい。即ち、発泡剤含有樹脂層を無機物非含有の非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出製膜することにより、上記目やにの発生を抑制することができる。
発泡剤含有樹脂層を製膜後は、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋して発泡樹脂層の表面強度、発泡特性等を調整することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましく、175〜200kV程度がより好ましい。照射量は、10〜100kGy程度が好ましく、10〜50kGy程度がより好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。
発泡剤含有樹脂層上には、必要に応じて、絵柄模様層及びプライマー層を任意の順序で形成した後、必要に応じて、表面保護層を形成して積層シートとし、次に熱処理して発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層にすることで発泡積層シートが得られる。図1に、繊維質シート上に、非発泡樹脂層B、発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層A、絵柄模様層、プライマー層及び表面保護層を順に形成した積層シートの層構成を例示する。これらの各層は、印刷、塗布などのコーティング、押出し製膜等を組み合わせることにより積層でき、印刷、塗布等のコーティングは常法に従って行うことができる。
また、発泡積層シートの製造方法としては、積層シートの製造方法において、前記発泡剤含有樹脂層を積層した後、熱処理により前記発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡樹脂層とする製造方法が挙げられる。
熱処理条件は、重曹系発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件であればよく、加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は25〜80秒程度が好ましい。また、エンボス模様を付す場合には、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施する。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(ペレット及びマスターバッチの調製)
エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(MFR:20g/10分)100質量部に対して、二酸化チタン30質量部、炭酸カルシウム20質量部、ワックス5質量部を添加した。2軸押出機を用いて120℃で混練し、シリンダー途中(ダイス直前)からベント引きしてペレット化し、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物のペレット(a)を調製した。
また、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(MFR:150 g/10分)100質量部に対して、重曹系発泡剤100質量部、ワックス20質量部を添加して混練した。2軸押出機を用いて120℃で混練し、シリンダー途中(ダイス直前)からベント引きして、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチ(b)を調製した。
なお、重曹系発泡剤は、大塚化学株式会社製「P-4」(商品名)を用いた。当該重曹系発泡剤の分解温度及び分解量は、170℃で100%であり、5%分解時の温度は153℃であった。上記分解温度及び分解量は、永和化成工業株式会社製「ガストレーサー250」(商品名)を用い、試料温度を上昇させていき、発生ガスの増加が停止したときのガス量を分解量100%として、各分解量に対応する分解温度を決定する測定方法により測定した値である。
(発泡積層シートの作製)
得られたペレット(a)と、マスターバッチ(b)とを質量比(a):(b)=2:1の割合で混合して、発泡剤含有樹脂層を形成するための混合ペレットを得た。また、以下の非発泡樹脂A及びBを用意し、混合ペレット及びこれらの樹脂を、それぞれ3種3層の製膜可能なTダイ押出機に、非発泡樹脂A/混合ペレット/非発泡樹脂Bの順序となるように投入した。次いで、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bを5μm/80μm/5μmの厚さになるように押出製膜した。押出加工温度は110℃であった。
・非発泡樹脂A:カーネルKJ640:エチレンαオレフィン共重合体(日本ポリエチレン製)・非発泡樹脂B:エバフレックスEV150:EVA(三井デュポンポリケミカル製)
65g/m2の裏打紙:WK-665DO( KJ特殊紙製)上に非発泡樹脂層Bがくるように裏打紙を熱ラミネートすることにより積層して、3種3層の樹脂層を有する積層シートを得た。
次いで、積層シートの非発泡樹脂層A面上に電子線(195KV、30KGy)を照射した。
次いで、非発泡樹脂層Aの表面に、絵柄用水性インキ(「ハイドリック」、大日精化工業株式会社製)を用いてグラビア印刷機により布目模様を印刷して絵柄模様層を形成した。
次いで、絵柄模様層上にグラビア印刷機によりアクリル系水性エマルジョン(「ALTOP」、大日精化工業株式会社製)をコートすることにより表面保護層を形成した。
最後に、220℃で40秒加熱して発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とした後、織物調の凹凸パターンを有する金属ロール(エンボス版)を押し当ててエンボス凹凸模様を賦型して、発泡積層シートを調製した。
比較例1
エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(MFR:20 g/10分)100質量部に対して、二酸化チタン30質量部、炭酸カルシウム20質量部、ワックス10質量部、重曹系発泡剤25質量部を添加した。2軸押し出し機を用いて120℃で混練し、シリンダー途中(ダイス直前)からベント引きしてペレット化してペレット(c)を調製した。
得られたペレット(c)と、実施例1と同様の非発泡樹脂A及びBを用い、それぞれ3種3層の製膜可能なTダイ押出機に、非発泡樹脂A/ペレット(c)/非発泡樹脂Bの順序となるように投入した。次いで、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bを5μm/80μm/5μmの厚さになるように押出製膜した。押出加工温度は110℃であった。なお、比較例1では、製膜の際に発泡剤含有樹脂層が発泡して、製膜加工ができなかった。
上記実施例及び比較例について、下記評価を行った。
製膜性(原反生産性)
上記実施例及び比較例により製膜加工を実施する際の引取ライン速度を測定し、下記評価基準に従って評価した。
○ :引取ライン速度50m/min以上
× :引取ライン速度50m/min未満
××:製膜表面に穴が開き製膜できない状態
製品エンボス意匠(凹凸形成性)
製造された発泡積層シートのエンボス凹凸パターンを目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、比較例1では、製膜の際に発泡剤含有樹脂層が発泡しており、製膜加工ができなかったため、本評価を行うことができなかった。
○:凹凸パターンがよく賦型されており、パターン再現性が良い
△:凹凸パターンが途中までしか賦型されていない
×:凹凸パターンがほとんど賦型されていない
ペレット及びマスターバッチ断面評価
実施例及び比較例で調製されたペレット及びマスターバッチをカットして、断面をルーペを用いて観察し、下記評価基準に従って評価した。
○:気泡が全く見られない
△:部分的に僅かに気泡が見られる
×:多くの気泡が確認できる
結果を表1に示す。
Figure 0006665471
1. 基材(繊維質シート)
2. 非発泡樹脂層B
3. 発泡剤含有樹脂層
4. 非発泡樹脂層A
5. 絵柄模様層
6. プライマー層
7. 表面保護層

Claims (7)

  1. 基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートであって、
    前記発泡剤含有樹脂層は、マスターバッチ由来の重曹系発泡剤を含有
    前記発泡剤含有樹脂層は、エチレン系樹脂を含み、且つ、前記マスターバッチを形成するマスターバッチ形成用樹脂は、エチレン系樹脂である、
    ことを特徴とする積層シート。
  2. 前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分100質量部に対して、前記重曹系発泡剤を10〜150質量部含有する、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記発泡剤含有樹脂層は、片面又は両面に非発泡樹脂層を有する、請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 前記発泡剤含有樹脂層が押出製膜により形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 基材上に少なくとも発泡剤含有樹脂層を有する積層シートの製造方法であって、樹脂組成物と、重曹系発泡剤を含有するマスターバッチとの混合物を押出製膜して、前記基材上に前記発泡剤含有樹脂層を形成する工程を有し、
    前記発泡剤含有樹脂層を形成する工程の前に、前記重曹系発泡剤と、マスターバッチ形成用樹脂とを混合して、前記マスターバッチを調製するマスターバッチ調製工程を有し、
    前記マスターバッチ調製工程において、前記重曹系発泡剤と、前記マスターバッチ形成用樹脂とを混合する際の混合温度は、前記発泡剤含有樹脂層を形成する工程の押出製膜の温度以上であり、且つ、前記重曹系発泡剤100質量%のうち5質量%が分解する温度以下である、
    ことを特徴とする積層シートの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる発泡積層シート。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させることを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
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