JP2010236259A - 発泡壁紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡樹脂層を高倍率化した場合でも表面物性(耐傷性、耐へこみ性)及び耐カール性が良好な発泡壁紙を提供する。
【解決手段】基材上に少なくとも発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aとを順に有する発泡壁紙であって、前記非発泡樹脂層Aは、樹脂成分として、密度が0.88〜0.93g/cmであり、融点が80〜110℃であるエチレン−αオレフィン共重合体からなることを特徴とする発泡壁紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、壁面等の装飾に有用な、発泡壁紙に関する。
従来、発泡壁紙としては、基材上に接着剤層(非発泡樹脂層B)、発泡樹脂層及び保護樹脂層(非発泡樹脂層A)を順に積層したものが知られている。そして、発泡壁紙の表面物性を向上させるために、保護樹脂層(非発泡樹脂層A)の改良が試みられている。
例えば、特許文献1には、「紙基材上に、エチレン系樹脂からなる発泡層、保護層が順に積層された発泡壁紙において、前記保護層が0.935g/cm以上0.950g/cm以下の密度からなるポリエチレンで構成されると共に、当該保護層の厚さが5μm以上20μm以下であることを特徴とする発泡壁紙。」が記載されている。
また、特許文献2には、「繊維質基材シート上に、エチレン系樹脂からなる発泡層とオレフィン系樹脂からなる第1被覆樹脂層とが順に積層された化粧シートにおいて、前記発泡層と前記第1被覆樹脂層とが架橋された層であると共に前記第1被覆樹脂層が前記発泡層より高い架橋度であることを特徴とする化粧シート。」が記載されている。
また、特許文献3には、「紙質基材上に少なくとも発泡樹脂層及び非発泡樹脂層が順に形成されている壁装用化粧シートであって、
(1)発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成されており、
(2)非発泡樹脂層は、線状低密度ポリエチレン樹脂及びエチレン−αオレフィン共重合体を含有している、ことを特徴とする壁装用化粧シート。」が記載されている。
以上のように、非発泡樹脂層Aの改良により表面物性を向上させる試みがなされている。近年では、省資源化や生産コストの低減の要請により、発泡樹脂層の高倍率化が進められているが、上記非発泡樹脂層Aの改良策では、発泡樹脂層を高倍率化した場合にまで表面物性を良好に維持するには不十分である。近年では、発泡樹脂層を高倍率化した場合でも表面物性(耐傷性、耐へこみ性)が良好であり耐カール性も兼ね備えた発泡壁紙の開発が求められており、このような要請に応え得る技術開発が望まれている。
特開2004−52371号公報 特開2004−358717号公報 特開2007−100297号公報
本発明は、発泡樹脂層を高倍率化した場合でも表面物性(耐傷性、耐へこみ性)及び耐カール性が良好な発泡壁紙を提供することを主な目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、非発泡樹脂層Aが特定の樹脂成分からなる場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の発泡壁紙に関する。
1.基材上に少なくとも発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aとを順に有する発泡壁紙であって、
前記非発泡樹脂層Aは、樹脂成分として、密度が0.88〜0.93g/cmであり、融点が80〜110℃であるエチレン−αオレフィン共重合体からなる
ことを特徴とする発泡壁紙。
2.前記発泡樹脂層は、樹脂成分として、前記エチレン−αオレフィン共重合体からなる、上記項1に記載の発泡壁紙。
3.前記エチレン−αオレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いて重合された、上記項1又は2に記載の発泡壁紙。
4.前記エチレン−αオレフィン共重合体は、メルトフローレートが10〜50g/10分である、上記項1〜3のいずれかに記載の発泡壁紙。
5.前記発泡樹脂層は、見かけ比重が0.05〜0.2g/cmである、上記項1〜4のいずれかに記載の発泡壁紙。
6.前記発泡樹脂層は、電子線照射により樹脂架橋されている、上記項1〜5のいずれかに記載の発泡壁紙。
7.前記発泡樹脂層は発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、前記発泡剤含有樹脂層は架橋剤を含有する、上記項1〜6のいずれかに記載の発泡壁紙。
8.前記基材と前記発泡樹脂層との間に更に非発泡樹脂層Bが形成されている、上記項1〜7のいずれかに記載の発泡壁紙。
9.最表面層の上からエンボス加工が施されている、上記項1〜8のいずれかに記載の発泡壁紙。
以下、本発明の発泡壁紙について詳細に説明する。
本発明の発泡壁紙は、基材上に少なくとも発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aとを順に有する発泡壁紙であって、前記非発泡樹脂層Aは、樹脂成分として、密度が0.88〜0.93g/cmであり、融点が80〜110℃であるエチレン−αオレフィン共重合体からなることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の発泡壁紙は、非発泡樹脂層Aが上記特定のエチレン−αオレフィン共重合体からなることにより、発泡樹脂層を高倍率化(例えば8倍以上)した場合であっても優れた表面物性(耐傷性、耐へこみ性)及び耐カール性が得られる。かかる効果は、発泡樹脂層に含まれる樹脂成分としても上記特定のエチレン−αオレフィン共重合体からなることにより更に確実に得られる。なお、非発泡樹脂層A及び発泡樹脂層の両方で上記特定のエチレン−αオレフィン共重合体からなる場合には、壁紙樹脂のリサイクル化を容易化する点でも望ましい。
以下、各要件に分けて説明する。
基材
基材は、発泡壁紙の基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、例えば、樹脂シート、繊維質シート(紙等)などが一般に使用できる。
上記の中でも紙等の繊維質シートが好ましく、具体的には、難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙などが挙げられる。
基材の坪量は限定的ではないが、30〜300g/m程度が好ましく、50〜80g/m程度がより好ましい。
非発泡樹脂層B
本発明では、必要に応じて基材と発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)が形成されていてもよい。特に、非発泡樹脂層Bが接着剤層として形成される場合は、優れた密着性を得ることができる。非発泡樹脂層Bとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等を好適に用いることができる。なお、前記EVAの他、非発泡樹脂層Bにも後述する非発泡樹脂層Aと同じエチレン−αオレフィン共重合体を用いてもよい。特に非発泡樹脂層A、発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Bの全ての樹脂成分をエチレン−αオレフィン共重合体とすることにより、樹脂のリサイクル性を高めることができる。
非発泡樹脂層Bは樹脂成分以外に公知の添加剤を含んでもよいが、樹脂成分の含有量が70〜100重量%となるように配合することが好ましい。
非発泡樹脂層Bの厚みは限定的ではないが、5〜50μm程度が好ましく、特に8〜20μm程度がより好ましい。
発泡樹脂層
発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層が発泡することにより形成された層である。発泡剤含有樹脂層は、発泡剤の作用により発泡するもの(例えば加熱された際に発泡するもの)であれば限定されないが、当該樹脂層に水素結合が含まれないようなモノマーの組み合わせから得られる樹脂を用いることが好ましい。従って、例えばエチレンとOH基又はCOOH基を有しないモノマーとの組み合わせから得られるエチレン共重合体を好適に用いることができる。かかる見地より、エチレン共重合体としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)等が使用できる。
なお、本発明では、発泡樹脂層に含まれる樹脂成分として、後述する非発泡樹脂Aで用いるエチレン−αオレフィン共重合体(特にメタロセン触媒を用いて重合されたもの)を非発泡樹脂層Aと共に発泡樹脂層でも用いることが好ましい。このように、非発泡樹脂層Aと発泡樹脂層で上記エチレン−αオレフィン共重合体を併用することにより、発泡壁紙の表面物性(耐傷性、耐へこみ性)及び耐カール性をより高めることができる。エチレン−αオレフィン共重合体については、非発泡樹脂層Aの欄で説明する。
発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物としては、例えば、熱分解型発泡剤、無機充填剤、顔料、発泡助剤(亜鉛化合物)及びセル調整剤を含む樹脂組成物を好適に用いることができる。その他、架橋剤、安定剤、滑剤等を添加剤として用いることができる。
熱分解型発泡剤としては公知の発泡剤から選択することができる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のビドラジド系などが挙げられる。熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類や発泡倍率に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、1.5倍以上、好ましくは6〜20倍であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100重量部に対して、1〜20重量部程度とすることが好ましい。特に本発明では8倍以上の高発泡倍率の発泡樹脂層を有する発泡壁紙も包含する。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、二酸化チタン、タルク等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して0〜100重量部程度が好ましく、20〜70重量部程度がより好ましい。
顔料については、例えば酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等の無機顔料;例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等の有機顔料が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100重量部に対して10〜50重量部程度が好ましく、15〜30重量部程度がより好ましい。
発泡助剤(亜鉛化合物)としては、例えば、亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜燐酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。かかる亜鉛化合物は、発泡速度向上の観点から添加することが好ましい。上記カルボン酸塩としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘニン酸等の脂肪族酸や、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ナフテン酸等の芳香族酸が挙げられる。これらのカルボン酸を用いた亜鉛のカルボン酸塩は正塩、酸性塩、塩基性塩のいずれの形態であってもよい。亜鉛のカルボン酸塩を構成するカルボン酸としては上記のものが使用できるが、VOCを低減する観点からは、炭素数12以上の脂肪酸を用いた常温で粉体であるもの、例えば、ステアリン酸亜鉛やラウリン酸亜鉛が好ましい。他のカルボン酸を用いた場合には、液状であったり、ハンドリング性を良くするために有機溶媒に溶かす作業が必要であったりする場合がある。
亜鉛化合物の含有量は樹脂組成分100重量部に対して、0.001〜20重量部程度が好ましく、0.001〜10重量部程度がより好ましい。
セル調整剤は、例えばステアリン酸亜鉛等の金属石鹸等を使用することができる。セル調整剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.3〜10重量部程度が好ましく、1〜5重量部程度がより好ましい。
電子線照射を行う場合には、前記組成物中に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、電子線照射による架橋を促進するものであればよい。例えば、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能性モノマー、オリゴマーなどが挙げられる。架橋剤は、樹脂成分100重量部に対して0〜10重量部程度とすることが好ましく、特に1〜4重量部とすることがより好ましい。
発泡樹脂層の厚みは限定的ではないが、400〜800μm程度が好ましく、特に500〜700μm程度がより好ましい。
発泡樹脂層の見かけ比重は限定的ではないが、0.05〜0.2g/cm程度が好ましく、0.05〜0.12g/cm程度がより好ましい。なお、本明細書における見かけ比重は、発泡前の発泡剤含有樹脂層の比重(発泡前比重)をJIS K 7122に準じて測定し、マイクロメーターで発泡前後の発泡樹脂層の厚みを測定して求めた体積増加率で発泡前比重を割ることにより算出した値である。
発泡剤含有樹脂層を発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すれば良い。
非発泡樹脂層A
発泡樹脂層のおもて面には、更に非発泡樹脂層Aが形成される。
非発泡樹脂層Aは、主として発泡樹脂層を保護するものであり、特に樹脂成分として、密度が0.88〜0.93g/cmであり、融点が80〜110℃であるエチレン−αオレフィン共重合体からなるものを用いる。
エチレン−αオレフィン共重合体としては、例えば、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1、オクテン−1等のC〜C20のαオレフィンとの共重合体が挙げられる。エチレン−αオレフィン共重合体の具体例としては、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。
コモノマーとして用いられる上記α−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も使用できる。具体的には、エチレン−プロピレン−1−ブテン3元共重合体等が挙げられる。上記共重合体は、単独又は2種以上の混合物として用いることもできる。
本発明では、特に密度が0.88〜0.93g/cmであり、融点が80〜110℃であるエチレン−αオレフィン共重合体を用いる。
密度は0.89〜0.92g/cmが好ましい。密度が低すぎると発泡壁紙の表面強度や、施工時に必要なコシが十分に得られないおそれがある。また、密度が高すぎると発泡壁紙がカールするおそれがある。
融点は90〜100℃が好ましい。本明細書の融点は、JIS K 7121(DSC法)により測定した値である。融点が低すぎると、発泡壁紙として使用する際夏場などの高温環境下においての耐性が低くなるおそれがある。また、融点が高すぎると押出し成形により製膜する際に加工温度を高く設定する必要があり、発泡剤等が押出しシリンダー内で発泡し易くなる。
また、エチレン−αオレフィン共重合体のメルトフローレート値(MFR)は限定されないが、10〜50g/10分程度が好ましく、10〜30g/10分程度がより好ましい。本明細書のMFRは、JIS K 6922に準じて測定した値である。
本発明で用いるエチレン−αオレフィン共重合体は、特にメタロセン触媒を用いて重合されたものが好ましい。かかるメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−αオレフィン共重合体は、他の触媒(例えば従来のチーグラーナッタ触媒)を用いて重合されたエチレン−αオレフィン共重合体と比べて分子量分布や組成分布が均一で優れた機械的強度と柔軟性を有する。
よって、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−αオレフィン共重合体を非発泡樹脂層Aの樹脂成分として用いた場合、発泡壁紙に要求される表面性能を有するとともに耐カール性や柔軟性にも優れるという長所がある。この効果は、発泡樹脂層に含まれる樹脂成分にもメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−αオレフィン共重合体を用いることにより更に確実に得られる。また、発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aで同じ樹脂成分を用いることにより、樹脂のリサイクル性も向上させることができる。非発泡樹脂層Bでも同じ樹脂を用いることにより、更にリサイクル性を向上させることができる。また従来、非発泡樹脂層Aに機械強度の優れたEMAAが使用されているが、EMAAは発泡剤や発泡助剤に含まれ得る金属成分と反応して黄変すると共にそれが経時的に退色して変色の原因になるという問題があるが、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−αオレフィン共重合体にはそのような問題がないという点でも好ましい。さらに、必要に応じて酸化チタンを含有させることにより隠蔽性を向上させたり、その他必要な物性を得るために無機物等の添加剤を、発泡壁紙に要求される表面性能を損なわない程度に含有させても構わないものである。
非発泡樹脂層Aの厚みは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、特に3〜10μm程度がより好ましい。
絵柄模様層
本発明では、非発泡樹脂層Aのおもて面に必要に応じて絵柄模様層を有してもよい。
絵柄模様層は、発泡壁紙に意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡壁紙の種類に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、非発泡樹脂層Aのおもて面に絵柄模様を印刷することで形成できる。なお、絵柄模様層を形成する際には、必要に応じてあらかじめプライマー層を形成しても良い。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤(又は分散媒)を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用しても良い。
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
結着材樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
表面保護層(オーバーコート層)
本発明では、絵柄模様層の表面に艶調整及び/又は絵柄模様層の保護を意図して表面保護層を有してもよい。表面保護層の種類は限定的ではない。艶調整を目的とする表面保護層であれば、例えば、シリカなどの既知フィラーを含む表面保護層がある。表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷などの公知の方法が採用できる。なお、絵柄模様層と表面保護層との密着性が十分に得られない場合には、絵柄模様層の表面を易接着処理(プライマー処理)した後に表面保護層を設けることもできる。
発泡壁紙の表面強度(耐スクラッチ性など)、耐汚染性、絵柄模様層の保護等を目的として表面保護層を形成する場合には、電離放射線硬化型樹脂を樹脂成分として含有するものが好適である。電離放射線硬化型樹脂としては、電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
表面保護層の厚みは限定的ではないが、0.1〜15μm程度が好ましい。
エンボス
本発明では、適宜エンボス模様を付してもよい。この場合、発泡壁紙の最表面層(基材と反対側)の上からエンボス加工すれば良い。エンボス加工は、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が表面保護層である場合は、そのおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
<発泡壁紙の製造方法>
発泡壁紙の製造方法は特に限定されない。例えば、紙等の基材上に発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aとを有する発泡壁紙を製造するには、Tダイ押出し機による同時押出しが好適である。2つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより2層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。この場合、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物及び非発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、2種2層を同時に押出し成膜・積層すればよい。この方法では、同時押出し積層体は、基材上に同時積層(成膜)する。基材上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため基材と接着される。
なお、予め2種2層を同時成膜した積層体を用意して、それを基材上に載せて、熱ラミネートすることにより基材と接着してもよい。
なお、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、押出し成形機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これがシート表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、無機充填材等を含んでいない非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bを、発泡剤含有樹脂層とともに同時押出し成形することが好ましい。同時押出し成形は、例えば、マルチマニホールドタイプのTダイを用いることにより行える。このように発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し成形することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。
基材上に同時積層後は、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
前記加熱処理の前に、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋できるため、発泡壁紙の表面強度、発泡程度等を制御することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましい。照射量は、10〜70kGy程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。なお、架橋は、化学架橋剤(架橋剤又は架橋助剤ともいう)を用いて実施することもできる。
電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を形成した場合には、電子線照射によって表面保護層を硬化させることができる。このような電子線照射は、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋させるために行う電子線照射と同時(同処理)とできる。つまり、発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層、絵柄模様層及び電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を順に形成後、電子線照射を行って、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋するとともに表面保護層に含まれる樹脂を硬化させることができる。
絵柄模様層を有する発泡壁紙を製造する場合には、上記加熱処理前に非発泡樹脂層の表面に絵柄模様層を形成することが好ましい。絵柄模様層の形成方法は、前記の通りとすれば良い。
本発明の発泡壁紙は、非発泡樹脂層Aが上記特定のエチレン−αオレフィン共重合体からなることにより、優れた表面物性(耐傷性、耐へこみ性)及び耐カール性が得られる。
実施例及び比較例で作製した発泡壁紙の模式図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用いて、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に厚み10μm/50μm/10μmになるように基材(裏打紙)に押出し製膜した。これにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層B/基材からなる積層体を得た。
基材としては、裏打紙「NI−65A(日本製紙製)」を用意し、これを90℃に加熱した後、上記3層を押出し製膜した。
押出し条件は、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は115℃とし、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物を収容したシリンダー温度は110℃とし、非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は100℃とした。また、ダイス温度はいずれも110℃とした。
上記積層体に対して、非発泡樹脂層Aの側から電子線(200kV,30kGy)を照射して特に発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋した。また、非発泡樹脂層A上にコロナ放電処理を行った。
次に、非発泡樹脂層A上に水性インキ「ハイドリック」(大日精化工業製)により布目絵柄を印刷した。
次に、布目絵柄を印刷した積層体をギアオーブンで加熱(220℃で35秒)し、発泡剤含有樹脂層を発泡させた。
最後に、上記発泡体に対して布目パターンのエンボスを施して発泡壁紙を得た。
各層は、それぞれ以下の成分を用いて形成した。
非発泡樹脂層Aは、エチレン−αオレフィン共重合体「カーネルKS571(密度:0.907g/m、MFR:12g/10分、融点:100℃)、日本ポリエチレン製」により形成した。
発泡剤含有樹脂層は、EVA「エバテートH4011(VA含有量:20重量%)、住友化学製」100重量部、二酸化チタン「R−108、デュポン製」40重量部、ADCA発泡剤「ビニホールAC♯3、永和化成工業製」5重量部、分散剤「MFX50−E、大協化成製」6重量部、及び電子線架橋助剤「オプスターJUA−702、JSR製」2部により形成した。
非発泡樹脂層Bは、EVA「エバフレックスEV150(VA含有量:33重量%、融点:61℃)、三井・デュポン ポリケミカル製」により形成した。
実施例2
発泡剤含有樹脂層を、エチレン−αオレフィン共重合体「カーネルKS560T(密度:0.898g/m、MFR:16.5g/10分、融点:90℃)、日本ポリエチレン製」により形成した以外は実施例1と同様にして発泡壁紙を得た。
実施例3
非発泡樹脂層Aを、エチレン−αオレフィン共重合体「カーネルKS560T(密度:0.898g/m、MFR:16.5g/10分、融点:90℃)、日本ポリエチレン製」、発泡剤含有樹脂層をエチレン−αオレフィン共重合体「カーネルKS571(密度:0.907g/m、MFR:12g/10分、融点:100℃)、日本ポリエチレン製」とした以外は実施例1と同様にして発泡壁紙を得た。
比較例1
非発泡樹脂層A及び発泡剤含有樹脂層を以下の成分から形成した以外は実施例1と同様にして発泡壁紙を得た。
非発泡樹脂層A:EMAA「ニュクレルN1560(MAA含有量:15重量%、MFR:60g/10分)、三井・デュポン ポリケミカル製」により形成した。
発泡剤含有樹脂層:EVA「エバテートH4011(VA含有量:20重量%、MFR20g/10分)、住友化学製」100重量部、二酸化チタン「R−108、デュポン製」40重量部、ADCA発泡剤「ビニホールAC♯3、永和化成工業製」5重量部、分散剤「MFX50−E、大協化成製」6重量部により形成した。及び電子線架橋助剤「オプスターJUA−702、JSR製」2部により形成した。
比較例2
非発泡樹脂層Aを、HDPE(高密度ポリエチレン)「HJ490(密度0.958g/m、MFR:20g/10分、融点:133℃)、日本ポリエチレン製」より形成し、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は140℃、ダイス温度を140℃としたこと以外は比較例1と同様にして発泡壁紙を得た。
試験例1
実施例及び比較例で得られた発泡壁紙について、製膜時の異常発泡、発泡壁紙の表面物性(耐傷性、耐へこみ性)、耐カール性を調べた。各試験方法及び評価基準は、次の通りとした。
(異常発泡)
上記温度条件で押し出した積層体のうち、発泡剤含有樹脂層に微発泡(シリンダー、ダイス通過時の異常発泡によるムラ状の欠点)が認められないものを○、認められるものを×と評価した。上記微発泡は、製膜時の温度(シリンダー、ダイス通過時の温度)により本来意図しない異常発泡が若干生じることを意味する。この微発泡はムラ状の欠点となる。

(耐傷性)
日本ビニル工業会建装部会制定「表面強化商品性能表示規定」に準拠して評価し、4級以上のものを○と評価し、3級を△と評価し、2級以下を×と評価した。
(耐へこみ性)
発泡壁紙の表面に50g/cmの荷重をかけて40℃で24時間放置した後、荷重を取り去り、25℃で24時間経過後の発泡樹脂層の厚さをシックネスゲージで測定し、初期厚さに対して80%以上復元したものを○と評価し、80%未満60%以上を△評価し、60%以下を×と評価した。
(カール性)
10cm角のサンプルを10分間水中に浸漬して取り出した後、表面の水分を拭き取り5分放置し、角部の浮き上がりが1cm以下のものを○と評価し、1〜2cmのものを△と評価し、2cm以上のものを×と評価した。
(耐侯変色)
JIS L 0842に準拠し、FOM(フェードメーター)を用いて40時間投入前後の色差(ΔE)を測定し、ΔEが1.5以下のものを○と評価し、1.5〜2のものを△と評価し、2以上を×と評価した。
評価結果を下記表1に示す。
Figure 2010236259
〔表中、「カーネル」はメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−αオレフィン共重合体を示す。〕
1.裏打紙
2.非発泡樹脂層B
3.発泡樹脂層
4.非発泡樹脂層A

Claims (9)

  1. 基材上に少なくとも発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aとを順に有する発泡壁紙であって、
    前記非発泡樹脂層Aは、樹脂成分として、密度が0.88〜0.93g/cmであり、融点が80〜110℃であるエチレン−αオレフィン共重合体からなる
    ことを特徴とする発泡壁紙。
  2. 前記発泡樹脂層は、樹脂成分として、前記エチレン−αオレフィン共重合体からなる、請求項1に記載の発泡壁紙。
  3. 前記エチレン−αオレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いて重合された、請求項1又は2に記載の発泡壁紙。
  4. 前記エチレン−αオレフィン共重合体は、メルトフローレートが10〜50g/10分である、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡壁紙。
  5. 前記発泡樹脂層は、見かけ比重が0.05〜0.2g/cmである、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡壁紙。
  6. 前記発泡樹脂層は、電子線照射により樹脂架橋されている、請求項1〜5のいずれかに記載の発泡壁紙。
  7. 前記発泡樹脂層は発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、前記発泡剤含有樹脂層は架橋剤を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の発泡壁紙。
  8. 前記基材と前記発泡樹脂層との間に更に非発泡樹脂層Bが形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の発泡壁紙。
  9. 最表面層の上からエンボス加工が施されている、請求項1〜8のいずれかに記載の発泡壁紙。
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