JP6331420B2 - 断熱層構造及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、断熱層構造及びその製造方法に関する。
近年、エンジンの熱効率を向上するために熱損失を低減することが重要視されており、この熱損失の低減のためにエンジンの燃焼室を形成するシリンダヘッド、ピストン、バルブ等に断熱層を設けることが検討されている。
例えば、特許文献1には、噴霧された燃料が衝突するピストン面に、燃料を特定の方向に導くための複数の溝が放射状に設けられ、それらの溝の表面に溝の窪みを保つように断熱層が設けられた構造が開示されている。具体的に、特許文献1の図2及び図3に示されているように、ピストン面に断面三角形状の複数の溝が隣り合って設けられており、また、断熱層の材料としてはアルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素等のセラミックが用いられている。特許文献1では、このような構造とすることで、上記溝の機能を維持しつつ、上記断熱層によって熱損失を低減でき、燃費の悪化を抑制できるとしている。
特許文献2には、断熱層が設けられる母材よりも低い熱伝導率及び母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有する中空状の材料である第1の断熱材と、母材以下の熱伝導率を有し、第1の断熱材を燃焼室内の燃焼ガスから保護するための第2の断熱材とを含む内燃機関の断熱層が開示されている。特許文献2では、第1の断熱材は、第2の断熱材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有しており、その第1の断熱材として、中空のセラミックビーズ、ガラスビーズ、シリカを主成分とする微細多孔構造の断熱材、又はシリカエアロゾル等が例示されている。また、第2の断熱材としては、ジルコニア、シリコン、チタン若しくはジルコニウム等の中実のセラミックや、炭素、酸素、ケイ素等を含んだ有機ケイ素化合物、又は高強度且つ高耐熱性のセラミック繊維等が例示されている。特許文献2では、このようにすることで熱伝導率が低い断熱層を得ることができるとしている。
特開2011−174389号公報 再公表特許WO2009/020206号
しかしながら、上記特許文献1のような構造では、熱損失の低減のためにピストン面に形成された溝の表面に断熱層が設けられているものの、溝が形成されていない平坦なピストン面と比較すると受熱面積が大きく、その結果、熱損失を十分に低減することができないと考えられる。
また、上記特許文献2の断熱層では、内部に空気を含む中空粒子である第1断熱材を断熱層に含有させることで熱伝導率を低減できるが、断熱層の表面に中空粒子が露出する等の中空粒子に起因した断熱層の表面粗さの問題が生じるおそれがある。表面粗さが大きいと、断熱層の表面における局所的な温度上昇が生じるおそれがあって好ましくない。例えば、断熱層を設ける基材の表面側に中空粒子を塗布した後に、その上を覆うようにセラミックや樹脂等の材料を塗布することで上記表面粗さの問題を解決することも考えられる。しかしながら、このようにすると、主に中空粒子で構成された下層と、その上を覆うセラミックや樹脂からなる層との間における熱膨張率の差により生じる熱応力によってそれらの層間における剥離やクラックが生じるおそれがある。また、溝等が形成されていない平坦なピストン面等に断熱層を設ける場合、断熱層と基材との間で熱応力に起因した剥離が生じるおそれも考えられる。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、断熱層の表面粗さが小さく、剥離が生じ難く、断熱性能が高い断熱層構造を得られるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明の断熱層構造では、基材に複数の凹部を設け、凹部の開口を塞いで且つ凹部内に空間部が生じるように基材表面に断熱層を形成した。
具体的に、本発明に係る断熱層構造は、エンジン部材を構成する基材の表面に断熱層が形成された断熱層構造であって、基材の表面には複数の凹部が設けられており、基材の表面上に、該基材よりも熱伝導率が低い断熱層が複数の凹部に跨がって設けられており、断熱層は、複数の凹部の開口を塞いで且つ複数の凹部内に空間部が形成されるように設けられており、前記断熱層は複数の層からなる部分を含み、前記断熱層は、前記複数の凹部が形成されている領域では前記複数の層からなるとともに、前記複数の凹部が形成されていない領域では前記複数の層よりも一層少ない層数の層構造からなり、前記断熱層の前記複数の層のうち最下層は、前記複数の凹部が形成されていない領域における前記基材の表面と同一の高さ位置まで設けられていることを特徴とする。
本発明に係る断熱層構造によると、複数の凹部が設けられた基材の上に、凹部の開口を塞ぐように断熱層が形成されているので、上記特許文献1のような凹部の窪みを保って断熱層が形成された構造と比較して受熱面積を低減することができる。また、断熱層は凹部内に空間部が形成されるように設けられているため、凹部内の熱伝導率を極めて低くすることができ、また、断熱層を伝わる熱が空間部を避けるように伝導すると考えられるので基材までの熱伝導パスが長くなり、それらの結果、断熱性能が高い断熱層構造を得ることができる。さらに、上記のように凹部内に空間部を形成することで空気層による断熱効果を得ており、特許文献2のように断熱層に中空粒子を混合して断熱層内に空気層を含有した構成でないため、中空粒子に起因した断熱層の表面粗さの増大が生じることもない。また、断熱層は、基材表面の複数の凹部に跨がって形成されているので、アンカー効果によって、断熱層が基材から剥離することを防止することができる。
本発明に係る断熱層構造において、空間部には、中空粒子が含まれていることが好ましい。
このようにすると、空間部上の断熱層を中空粒子が支持するため、燃焼荷重により空間部上の断熱層が沈むことを防止できる。また、空気を内部に含み、熱伝導率が低い中空粒子により断熱層を支持するため、凹部内の熱伝導率の増大幅を小さくすることができる。
本発明に係る断熱層構造において、前記複数の層は、前記最下層としての第1断熱層と該第1断熱層を覆う第2断熱層とからなり、前記断熱層は、前記複数の凹部が形成されている領域では前記第1断熱層及び前記第2断熱層の二層構造となるとともに、前記複数の凹部が形成されていない領域では前記第2断熱層のみからなる一層構造からなり、前記第1断熱層は、前記複数の凹部が形成されていない領域における前記基材の表面と同一の高さ位置まで設けられている構成としてもよい。
このようにすると、断熱層の表面粗さの増大を防止することができる。
本発明に係る断熱層構造の製造方法は、T6処理されたアルミニウム合金製であり且つエンジン部材を構成する基材の表面に断熱層が形成された断熱層構造の製造方法であって、基材の表面に複数の凹部を設ける凹部形成工程と、凹部内に熱分解消失性樹脂材及び中空粒子の少なくとも一方を配置する材料配置工程と、基材の表面上に、前記基材よりも熱伝導率が低い低熱伝導性材料を、複数の凹部を跨ぎ、凹部の開口を塞いで且つ凹部内に空間部が形成されるように設ける基材被覆工程と、低熱伝導性材料が硬化可能な温度以上且つ180℃以下で焼成して断熱層を得る焼成工程とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る断熱層構造の製造方法によると、基材の上に複数の凹部を設け、凹部の開口を塞ぐように断熱層が形成するので、上記特許文献1のような凹部の窪みを保って断熱層が形成された構造と比較して受熱面積を低減することができる。また、凹部内に空間部が形成されるように断熱層を設けるため、凹部内の熱伝導率を極めて低くすることができる。その結果、断熱性能が高い断熱層構造を得ることができる。さらに、凹部内に空間部を形成することで空気層による断熱効果を得ており、断熱層に中空粒子を混合して断熱層内に空気層を含有した構成にしていないため、中空粒子に起因した断熱層の表面粗さの増大が生じることもない。また、基材表面の複数の凹部に跨がって断熱層を形成しているので、アンカー効果によって、断熱層が基材から剥離することを防止することができる。
本発明に係る断熱層構造の製造方法では、材料配置工程において凹部内に熱分解消失性樹脂材を配置する場合、焼成工程において熱分解消失性樹脂材が分解消失する温度以上で焼成することが好ましい。また、本発明に係る断熱層構造の製造方法において、熱分解消失性樹脂材としてポリスチレンビーズを用いることができる。
本発明に係る断熱層構造及びその製造方法によると、断熱層の表面粗さが小さく、剥離が生じ難く、断熱性能が高い断熱層構造を得ることができる。
本発明の第1の実施形態に係るエンジン構造を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るエンジン部材表面に設けられた断熱層を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態の一変形例に係るエンジン部材表面に設けられた断熱層を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るエンジン部材表面に設けられた断熱層を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態の一変形例に係るエンジン部材表面に設けられた断熱層を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものでない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態は、断熱層構造を図1に示すエンジンの燃焼室を構成する部材に採用したものである。
<エンジンの特徴>
図1に示す直噴エンジンEにおいて、符号1はピストン、符号3はシリンダブロック、符号5はシリンダヘッド、符号7はシリンダヘッド5の吸気ポート9を開閉する吸気バルブ、符号11は排気ポート13を開閉する排気バルブ、符号15は燃料噴射弁である。エンジンの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック3、シリンダヘッド5、吸排気バルブ7,11のバルブヘッド面で形成される。ピストン1の頂面には、キャビティ17が形成されている。図1では、点火プラグ、及びシリンダライナの図示は省略している。
ところで、エンジンの熱効率は、理論的に幾何学的圧縮比を高めるほど、また、作動ガスの空気過剰率を大きくする(比熱比を高める)ほど、高くなることが知られている。しかし、実際には、圧縮比を大きくするほど、また、空気過剰率を大きくするほど、冷却損失が大きくなるため、圧縮比及び空気過剰率の増大による熱効率の改善は頭打ちになる。
すなわち、冷却損失は、作動ガスからエンジン燃焼室壁への熱伝達率、その伝熱面積、及びガス温と壁温との温度差に依存する。このため、エンジン燃焼室において、エンジン部品の金属製母材よりも熱伝導率が低い材料からなる断熱層が該金属製母材の表面に形成されている。
<断熱層構造について>
次に、エンジン部品の金属製母材(基材)表面に断熱層が形成されてなる本実施形態の断熱層構造について図2を参照しながら説明する。本実施形態においては、エンジン部品の金属製母材として、エンジン燃焼室に臨む部材である上記ピストンの頂面に断熱層が形成された構成について説明するが、シリンダブロック等の他のエンジン燃焼室に臨む部材表面に断熱層が形成された構成とすることもできる。また、エンジン燃焼室に臨む部材の他に、吸気ポート面又は排気ポート面に断熱層を形成した構成を採用することもできる。なお、本実施形態のピストンは、例えば180℃程度で熱処理をするT6処理を施してなるアルミ合金製である。
図2に示すように、エンジン部材としてのピストン(基材)1の頂面1aには、複数の凹部19が形成されている。凹部19としては、例えば溝であってもよく、ピストン1の頂面1aに互いに平行な複数の溝が形成されていてもよく、この他に、同心円状又は格子状に複数の溝が形成されていてもよい。また、本実施形態では、図2に示すようにピストン1の頂面1aと垂直方向における凹部19の断面形状を三角形状としているが、これに限られず、矩形状や円弧状、或いは頂面1aと略平行な底面を有する台形状であっても構わない。凹部19の深さ及び幅の大きさは、特に限定されないが、後に説明する中空粒子23を収容できる大きさであればよく、例えば深さが75μm〜200μm程度であり、幅が75μm〜200μm程度であることが好ましい。
また、ピストン1の頂面1aには、複数の凹部19に跨がって断熱層21が形成されている。断熱層21は複数の凹部19の開口を塞ぐように設けられており、また、断熱層21は凹部19内に空間部19aが形成されるように設けられている。本実施形態において、断熱層21はシリコーン樹脂からなる。但し、これに限られず、断熱層21は上記ピストン1の材料であるアルミ合金よりも熱伝導率が低い材料で構成されていればよく、例えばケイ酸ガラス等であってもよい。
空間部19aには、例えば無機酸化物を主体とする中空粒子23が配設されている。中空粒子23は、凹部19内に収まる量が配設されており、すなわち、凹部19が形成されていない領域のピストン1の頂面1aの位置よりも上方に中空粒子23が位置しない。また、空間部19a内に配設された中空粒子23のうちの一部が断熱層21の下面に接触するように構成されており、中空粒子23は空間部19a上の断熱層21を下方から支持している。これにより、空間部19a上の断熱層21が燃焼荷重によって沈むことを防止できる。
本実施形態において、無機酸化物を主体とする中空粒子23としては、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、エアロゲルバルーン等のSi系酸化物成分(例えば、シリカ(SiO))又はAl系酸化物成分(例えば、アルミナ(Al))を含有するセラミック系中空粒子を採用することが好ましい。各々の材質及び粒径は表1の通りである。
Figure 0006331420
例えば、フライアッシュバルーンの化学組成は、SiO;40.1〜74.4%、Al;15.7〜35.2%、Fe;1.4〜17.5%、MgO;0.2〜7.4%、CaO;0.3〜10.1%(以上は質量%)である。シラスバルーンの化学組成は、SiO;75〜77%、Al;12〜14%、Fe;1〜2%、NaO;3〜4%、KO;2〜4%、IgLoss;2〜5%(以上は質量%)である。なお、中空粒子23のメディアン径(D50)は、上記凹部19内に収まる大きさで且つ高い断熱性能を得るのに必要な空気量を含有できる大きさであればよく、例えば5μm以上50μm以下程度であることが好ましい。そのため、表1のフライアッシュバルーンやシラスバルーンを用いる際には、分級操作によって、例えば5μm以上50μm以下の粒径の粒子を得るようにする。
本実施形態では、上記の通り、凹部19の空間部19a内に中空粒子23が収容された構成について説明したが、一変形例として図3に示すように空間部19a内に中空粒子23が収容されていなくてもよい。このようにすると、空間部19aにはガスのみが含まれることとなり、この空間部19aにおける熱伝導率を極めて低くすることができるため、低熱伝導性の断熱層構造を得ることができる。
第1の実施形態及びその一変形例に係る断熱層構造によると、複数の凹部19が設けられたピストン1の頂面1aに、凹部19の開口を塞ぐように断熱層21が形成されているので、受熱面積を低減することができる。さらに、断熱層21は凹部19内に空間部19aが形成されるように設けられているため、凹部19内の熱伝導率を極めて低くすることができ、また、断熱層21を伝わる熱が空間部19aを避けるように伝導すると考えられるのでピストン1までの熱伝導パスが長くなり、それらの結果、断熱性能が高い断熱層構造を得ることができる。さらに、中空粒子23を混合して断熱層21に含有させた構成でないため、中空粒子23に起因した断熱層21の表面粗さの増大が生じることもない。また、断熱層21は、ピストン1の頂面1aにおける複数の凹部19に跨がって形成されているので、アンカー効果によって、断熱層21がピストン1の頂面1aから剥離することを防止することができる。
<断熱層構造の製造方法>
次に、第1の実施形態及びその一変形例に係る断熱層構造の製造方法について説明する。まず、T6処理されたアルミ合金からなるピストン(基材)1を準備し、その頂面1aに複数の凹部19を形成する。複数の凹部19を形成することができれば、その方法は特に限定されず、例えば切削加工等の機械加工、又はフォトレジストを用いたエッチング等の方法を利用することができる。凹部19としては、以下のものに限定されないが、例えば上記のように互いに平行な複数の溝、同心円状に形成された複数の溝又は格子状に形成された複数の溝を形成することができ、また、ピストン1の頂面1aと垂直方向におけるその溝の断面形状としては、三角形状、矩形状又は円弧状等にすることができる。その凹部19のサイズについても、上記のように中空粒子23を収容できるサイズであればよく、例えば深さが75μm〜200μm程度、幅が75μm〜200μm程度とすることができる。
次に、形成した複数の凹部19のそれぞれに上記中空粒子23及び熱分解消失性樹脂材を収容する。ここで、中空粒子23を含まない上記変形例の構造を製造する場合は、熱分解消失性樹脂材のみを凹部19に収容する。熱分解消失性樹脂材は、加熱することで分解消失する樹脂からなり、例えばスチレン樹脂からなるポリスチレンビーズである。中空粒子23及び熱分解消失性樹脂材は、凹部19が形成されていない領域におけるピストン1の頂面1aの高さ位置よりも上方に位置しないように凹部19内に収容する。
次に、ピストン1の材料であるアルミ合金よりも熱伝導率が低い低熱伝導性材料を用いて、複数の凹部19を跨ぐようにピストン1の頂面1aを被覆する。本実施形態では低熱伝導性材料としてシリコーン樹脂材を用いるが、これに限られない。また、低熱伝導性材料をピストン1の頂面1aを被覆する方法は、特に限定されないが、例えばスプレーや刷毛を用いて低熱伝導性材料を塗布することができる。
次に、用いた熱分解消失性樹脂材が分解消失する温度以上で且つ上記低熱伝導性材料が硬化可能な温度以上で焼成する。本実施形態では、エンジン部材としてT6処理が施されたアルミ合金製のピストン1を用いており、T6処理はピストン1に対して180℃程度の熱処理を施すものである。このため、このピストン1に対して180℃を超える温度で熱処理をすると、ピストン1の硬さや強度が低減し、耐久性が低くなるおそれがある。このため、焼成温度は180℃以下であることが好ましい。よって、用いる熱分解消失性樹脂材としては、180℃以下で分解消失するものが好ましく、例えば上記ポリスチレンビーズのうち、特に分子量が約20000以下であって180℃以下で分解消失するものを用いることが好ましい。また、用いる低熱伝導性材料も、180℃以下で硬化可能であることが好ましく、シリコーン樹脂としては例えばポリアルキルフェニルシロキサンを用いることができる。
上記焼成工程によって、熱分解消失樹脂材が分解消失してガスとなり、熱分解消失性樹脂材が存在した領域に空間部19aが形成されると共に、低熱伝導性材料が硬化して断熱層21が形成される。これにより、図2又は図3に示すような第1の実施形態又はその一変形例に係る断熱層構造を形成することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る断熱層構造について図4を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一部材については同一の符号を付けてその詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
<断熱層構造について>
図4に示すように、本実施形態の断熱層構造は、第1の実施形態の断熱層構造と比較して、断熱層31が二層構造となっている部分を含んでいることのみ異なる。具体的に、本実施形態の断熱層構造は、ピストン1の頂面1aに形成された複数の凹部19の空間部19aに中空粒子23が配設され、凹部19内における中空粒子23が配設された領域の上に第1断熱層31aが設けられている。第1断熱層31aは、凹部19が設けられていない領域におけるピストン1の頂面1aとほぼ同一の高さ位置まで設けられている。第1断熱層31aはシリコーン樹脂からなる。但し、これに限られず、第1断熱層31aは上記ピストン1の材料であるアルミ合金よりも熱伝導率が低い材料で構成されていればよく、例えばケイ酸ガラス等であってもよい。さらに、第1断熱層31aは中空粒子を含んでおり、第1断熱層31aに含まれる中空粒子は、上記空間部19aに配設された中空粒子23と同一であってもよく、また、異なるものを用いても構わない。
ピストン1の頂面1a、及び複数の第1断熱層31aを跨いでそれらを覆うように第2断熱層31bが形成されている。これら第1断熱層31aと第2断熱層31bとにより、ピストン1の頂面1aにおける複数の凹部19を跨ぐ断熱層31が構成されている。断熱層31は、凹部19が形成された領域においては、第1断熱層31aと第2断熱層31bの二層構造となり、凹部19が形成されていない領域においては、第2断熱層31bのみからなる一層構造となる。第2断熱層31bは、第1断熱層31aと同一の材料で構成されているが、中空粒子は含まない。第1断熱層31aと第2断熱層31bとを同一の材料で構成することにより、熱応力に起因した第1断熱層31aと第2断熱層31bとの間の剥離の発生を抑制することができる。また、第1断熱層31aを覆う第2断熱層31bは中空粒子を含まないため、中空粒子が断熱層31の表面に露出することに起因する断熱層31の表面粗さの増大を防止することができる。
また、上記第1の実施形態の一変形例と同様に、本実施形態においても、一変形例として図5に示すように空間部19a内に中空粒子23が収容されていない構成であってもよい。このようにすると、空間部19aにはガスのみが含まれることとなり、この空間部19aにおける熱伝導率を極めて低くすることができるため、低熱伝導性の断熱層構造を得ることができる。
なお、本実施形態では、断熱層31が一層構造の部分と二層構造の部分とを有するように形成されているが、これに限られず、3層構造以上の層構造を含む構成であっても構わない。
<断熱層構造の製造方法>
次に、第2の実施形態及びその一変形例に係る断熱層構造の製造方法について説明する。本実施形態の断熱層構造の製造方法は、第1の実施形態と比較して、断熱層の形成方法のみが異なり、他の工程は同一である。ここでは、第1の実施形態に係る断熱層構造の製造方法と同一工程については詳細な説明を省略し、異なる工程についてのみ詳細に説明する。
まず、第1の実施形態と同様に、ピストン1の頂面1aに複数の凹部19を形成し、複数の凹部19のそれぞれに上記中空粒子23及び熱分解消失性樹脂材を収容する。このとき、中空粒子23及び熱分解消失性樹脂材は、凹部19が形成されていない領域におけるピストン1の頂面1aの高さ位置よりも上方に位置しないように凹部19内に収容する。なお、中空粒子23を含まない上記変形例の構造を製造する場合は、熱分解消失性樹脂材のみを凹部19に収容する。その後、シリコーン樹脂等の低熱伝導性材料と中空粒子とを混合し、その混合物を複数の凹部19内における上記中空粒子23及び熱分解消失性樹脂材の上にスプレー等を用いて配設する。このとき、その混合物の上面が、凹部19が設けられていない領域におけるピストン1の頂面1aとほぼ同一の高さ位置となるようにする。
次に、用いた熱分解消失性樹脂材が分解消失する温度以上で且つ上記低熱伝導性材料が硬化可能な温度以上で焼成する。これにより、熱分解消失樹脂材が分解消失してガスとなり、熱分解消失性樹脂材が存在した領域に空間部19aが形成されると共に、低熱伝導性材料が硬化して第1断熱層31aが形成される。ここで、第1の実施形態と同一の理由から、焼成温度は180℃以下であることが好ましく、用いる熱分解消失性樹脂材としては、180℃以下で分解消失するものが好ましく、例えば上記ポリスチレンビーズのうち、特に分子量が約20000以下であって180℃以下で分解消失するものを用いることが好ましい。また、用いる低熱伝導性材料も、180℃以下で硬化可能であることが好ましく、シリコーン樹脂としては例えばポリアルキルフェニルシロキサンを用いることができる。
次に、ピストン1の頂面1a、及び第1断熱層31aを覆うように、上記低熱伝導性材料をスプレー又は刷毛等を用いて配設する。ここで用いる低熱伝導性材料は、上記第1断熱層31aの形成に用いた材料と同一であり、但し、中空粒子を含まないものを用いる。その後、上記低熱伝導性材料が硬化可能な温度以上で焼成して、第2断熱層31bを形成する。ここでも、上記理由から、焼成温度は180℃以下であることが好ましい。これにより、図4又は図5に示すような第2の実施形態又はその一変形例に係る断熱層構造を形成することができる。
1 ピストン
1a 頂面
3 シリンダブロック
5 シリンダヘッド
7 吸気バルブ
11 排気バルブ
19 凹部
19a 空間部
21,31 断熱層
23 中空粒子
31a 第1断熱層
31b 第2断熱層

Claims (6)

  1. エンジン部材を構成する基材の表面に断熱層が形成された断熱層構造であって、
    前記基材の表面には複数の凹部が設けられており、
    前記基材の表面上に、該基材よりも熱伝導率が低い断熱層が前記複数の凹部に跨がって設けられており、
    前記断熱層は、前記複数の凹部の開口を塞いで且つ前記複数の凹部内に空間部が形成されるように設けられており、
    前記断熱層は複数の層からなる部分を含み、
    前記断熱層は、前記複数の凹部が形成されている領域では前記複数の層からなるとともに、前記複数の凹部が形成されていない領域では前記複数の層よりも一層少ない層数の層構造からなり、
    前記断熱層の前記複数の層のうち最下層は、前記複数の凹部が形成されていない領域における前記基材の表面と同一の高さ位置まで設けられている
    ことを特徴とする断熱層構造。
  2. 前記空間部には、中空粒子が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の断熱層構造。
  3. 前記複数の層は、前記最下層としての第1断熱層と該第1断熱層を覆う第2断熱層とからなり、
    前記断熱層は、前記複数の凹部が形成されている領域では前記第1断熱層及び前記第2断熱層の二層構造となるとともに、前記複数の凹部が形成されていない領域では前記第2断熱層のみからなる一層構造からなり、
    前記第1断熱層は、前記複数の凹部が形成されていない領域における前記基材の表面と同一の高さ位置まで設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱層構造。
  4. T6処理されたアルミニウム合金製であり且つエンジン部材を構成する基材の表面に断熱層が形成された断熱層構造の製造方法であって、
    基材の表面に複数の凹部を設ける凹部形成工程と、
    前記凹部内に熱分解消失性樹脂材及び中空粒子の少なくとも一方を配置する材料配置工程と、
    前記基材の表面上に、前記基材よりも熱伝導率が低い低熱伝導性材料を、前記複数の凹部を跨ぎ、前記凹部の開口を塞いで且つ前記凹部内に空間部が形成されるように設ける基材被覆工程と、
    前記低熱伝導性材料が硬化可能な温度以上且つ180℃以下で焼成して断熱層を得る焼成工程とを備えていることを特徴とする断熱層構造の製造方法。
  5. 前記材料配置工程において、前記凹部内に熱分解消失性樹脂材を配置し、
    前記焼成工程において、前記熱分解消失性樹脂材が分解消失する温度以上で焼成することを特徴とする請求項4に記載の断熱層構造の製造方法。
  6. 前記熱分解消失性樹脂材としてポリスチレンビーズを用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の断熱層構造の製造方法。

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