JP2019157744A - エンジン構成部品 - Google Patents

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勝哉 高岡
拓也 品川
Takuya Shinagawa
拓也 品川
邦治 田中
Kuniharu Tanaka
邦治 田中
雄史 津田
Yushi Tsuda
雄史 津田
容始久 丹羽
Yoshihisa Niwa
容始久 丹羽
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Abstract

【課題】遮熱層の遮熱性が高く、基材に対する遮熱層の密着性が良好であるエンジン構成部品を提供すること。【解決手段】エンジン構成部品は、凸部が複数形成された表面を有する金属製の基材と、前記基材の前記表面に設けられた遮熱層とを備える。前記遮熱層は、ガラス及び無機繊維を含み、前記遮熱層を厚み方向に貫通する連続気孔を有する多孔質体からなる。前記表面を平面視したときの平面方向を幅方向としたとき、前記厚み方向における前記基材の断面のうち、前記表面を含み、前記幅方向の長さが15mmである視野において、前記表面の形状に沿って測定した前記表面の長さが前記幅方向の長さの1.4倍以上である。前記視野内に、前記凸部の頂部から裾部にわたる高低差が0.12mm以上である箇所が5箇所以上ある。【選択図】図2

Description

本開示はエンジン構成部品に関する。
従来、エンジン構成部品の表面に遮熱層を設ける技術が知られている。エンジン構成部品として、例えば、燃焼室に臨む部材等が挙げられる。特許文献1には、無機酸化物から成る中空粒子と、フィラー材と、ガラス質材とを含む遮熱層が記載されている。
特開2015−68302号公報
遮熱層は、遮熱性が高い必要がある。また、遮熱層は、エンジンを構成する部材に対する密着性が良好である必要がある。従来の遮熱層は、遮熱性と密着性とを両立させることが困難であった。本開示の一局面は、遮熱層の遮熱性が高く、基材に対する遮熱層の密着性が良好であるエンジン構成部品を提供することを目的とする。
本開示の一局面は、凸部が複数形成された表面を有する金属製の基材と、前記基材の前記表面に設けられた遮熱層と、を備え、前記遮熱層は、ガラス及び無機繊維を含み、前記遮熱層を厚み方向に貫通する連続気孔を有する多孔質体からなり、前記表面を平面視したときの平面方向を幅方向としたとき、前記厚み方向における前記基材の断面のうち、前記表面を含み、前記幅方向の長さが15mmである視野において、前記表面の形状に沿って測定した前記表面の長さが前記幅方向の長さの1.4倍以上であり、前記視野内に、前記凸部の頂部から裾部にわたる高低差が0.12mm以上である箇所が5箇所以上あるエンジン構成部品である。
本開示の一局面であるエンジン構成部品は遮熱層を備える。その遮熱層は、ガラス及び無機繊維を含む多孔質体により構成され、熱伝導率が低く、遮熱性に優れる。そのため、本開示の一局面であるエンジン構成部品は、基材への熱伝導を遮熱層によって抑制できる。
遮熱層を形成するとき、一般的に、遮熱層を加熱し、その後、冷却する。加熱されるとき、遮熱層は、基材に引っ張られて膨張する。その後、遮熱層が冷却されるとき、一般的に、遮熱層の収縮量は基材の収縮量より小さいので、遮熱層と基材との界面に応力が生じる。応力によって遮熱層が割れると、遮熱層が基材から剥がれてしまう。
本開示の一局面であるエンジン構成部品では、遮熱層を加熱し、その後冷却しても、遮熱層が基材から剥がれ難い。その理由は以下のように推測される。遮熱層は多孔質体により構成され、気孔を含む。冷却時に遮熱層に応力が加わると、気孔がつぶれることで、遮熱層は縮むことができる。そのため、冷却時に遮熱層は割れ難く、基材から剥がれ難い。また、遮熱層は無機繊維を含むので、界面の応力が、遮熱層において界面から離れた部位にまで伝わり易い。そのため、界面付近に応力が集中し難いので、冷却時に遮熱層は割れ難く、基材から剥がれ難い。
本開示の一局面であるエンジン構成部品において、遮熱層は、遮熱層の厚み方向に貫通する連続気孔を有する。そのため、本開示の一局面であるエンジン構成部品は、連続気孔を通じて、適度に熱を基材に伝導させることができる。
本開示の一局面であるエンジン構成部品において、基材の表面であって、遮熱層が設けられている面(以下では基材表面とする)には、凸部が複数形成されている。また、基材表面の形状は、以下の条件1、2を充足する。
条件1:基材表面を平面視したときの平面方向を幅方向としたとき、前記厚み方向における前記基材の断面のうち、基材表面を含み、前記幅方向の長さが15mmである視野において、基材表面の形状に沿って測定した基材表面の長さが前記幅方向の長さの1.4倍以上である。
条件2:前記視野内に、前記凸部の頂部から裾部にわたる高低差が0.12mm以上である箇所が5箇所以上ある。
なお、以下では、「前記表面の形状に沿って測定した前記表面の長さ」をLとする。15mmに対する長さLの比をL/Wとする。また、「前記凸部の頂部から裾部にわたる高低差が0.12mm以上である箇所」を、以下では0.12mm箇所とする。
基材表面の形状が上記の条件1、2を充足することにより、本開示の一局面であるエンジン構成部品において、基材と遮熱層との密着性が良好である。その理由は以下のように推測される。
基材表面が上記の条件1、2を充足する形状を有する場合、基材表面の比表面積が増加し、基材と遮熱層との界面の面積が増加する。さらに、凸部のアンカー効果により、基材と遮熱層との密着性が良好になる。
エンジンの構成を表す全体構成図である。 基材1の断面を観察するための視野201を表す説明図である。 エンジン構成部品の製造方法を表す説明図である。 エンジン構成部材の断面を表す写真である。
本開示の例示的な実施形態を説明する。
1.エンジン構成部品
エンジン構成部品について、図1を参照して説明する。図1において、符号101はエンジンである。エンジン101は、熱エネルギーを利用する駆動源であって、例えばガソリンエンジンである。エンジン101は、エンジン本体101aと、それに接続される給排気系とから構成される。エンジン本体101aは、シリンダヘッド102と、シリンダブロック104とを備える。シリンダブロック104は、気筒ごとのシリンダボア103を形成する。シリンダヘッド102には、各気筒に連通する吸気ポート102aと、各気筒に連通する排気ポート102bとが形成される。シリンダボア103内には、ピストン105が収容される。
ピストン105は、コネクティングロッド106を介してクランク軸107に連結される。エンジン101の燃焼室108は、ピストン105の頂面、シリンダボア103の壁面、及びシリンダヘッド102の下面によって形成される。また、吸気ポート102aにおいて燃焼室108に臨む位置には、吸気バルブ109aが設けられている。また、排気ポート102bにおいて燃焼室108に臨む位置には、排気バルブ109bが設けられている。また、燃焼室108には点火プラグ110が設けられる。
吸気ポート102aには吸気マニホルド111が接続される。吸気マニホルド111にはインジェクタ112が設けられる。なお、インジェクタ112は燃焼室108に臨む位置に設けてもよい。吸気マニホルド111よりも上流側の吸気通路114には、スロットル弁115aが介装される。スロットル弁115aの上流側にはインタークーラー116が介装される。また、インタークーラー116の上流側にはターボ過給機117のコンプレッサ117aが介装される。また、吸気通路114にはバイパス通路118が設けられる。バイパス通路118はコンプレッサ117aをバイパスする。バイパス通路118にはエアバイパスバルブ119が設けられる。エアバイパスバルブ119はバイパス通路118を開閉する。
各排気ポート102bには排気マニホルド120が接続される。排気マニホルド120よりも下流側の排気通路121にはターボ過給機117のタービン117bが介装される。タービン117bの下流側には触媒122とマフラ123とが設けられる。また、排気通路121にはバイパス通路124が設けられる。バイパス通路124はタービン117bをバイパスする。バイパス通路124にはウエストゲートバルブ125が設けられる。ウエストゲートバルブ125はバイパス通路124を開閉する。
上述した各部品は、その全部又は一部が金属により形成される。本開示のエンジン構成部品は、上述した各部品のいずれであってもよいが、特に、燃焼室108に臨む部品であるピストン105、シリンダブロック104、シリンダヘッド102、吸気バルブ109a、排気バルブ109b等の燃焼室構成部品が好適である。加えて、燃焼室108に連通する吸気ポート102a及び排気ポート102b、さらには、排気系を構成する排気マニホルド120、排気通路121、ターボ過給機117、バイパス通路124、ウエストゲートバルブ125、触媒122等の高温に晒される部品も、本開示のエンジン構成部品として好適である。以下、本開示のエンジン構成部品について、燃焼室構成部品を例に説明する。
本開示の燃焼室構成部品は、金属製の基材を備える。基材は、例えば、燃焼室構成部品の主要部を構成する。基材を構成する金属は、純金属であってもよいし、合金であってもよい。純金属として、例えば、Fe、Ti、Al等が挙げられる。合金として、例えば、Fe合金、Ti合金、Al−Si合金等が挙げられる。
基材表面の形状は、上記の条件1、2を充足する形状である。条件1、2を図2に基づき説明する。201は、基材1の断面を観察する視野である。この断面は、遮熱層の厚み方向に平行な断面である。視野201は基材1の表面203を含む。表面203は、遮熱層が形成される表面である。表面201を平面視したときの平面方向を幅方向とする。図2において幅方向は左右方向である。幅方向において、視野201の幅方向の長さはWである。Wは15mmである。視野201において、表面203の形状に沿って測定した表面203の長さはLである。条件1は、L/Wが1.4以上であるという条件である。
図2において、表面203の凸部を205とする。凸部205の裾部を207とする。裾部207は凹形状を有する。任意の凸部205の頂部と、それに隣接する裾部207との高低差をHとする。条件2は、Hが0.12mmを超える箇所が、視野201内に5箇所以上あるという条件である。ここで、凸部205の頂部と、その凸部205の両側に隣接する裾部207のうち少なくとも一方側との高低差Hが0.12mmを超えれば1箇所とカウントする。換言すると、凸部205の頂部と、その両側に隣接する裾部207のいずれにおいても高低差Hが0.12mmを超える場合であっても、1箇所とカウントする。なお、凸部205の頂部と、その両側に隣接する裾部207のうち少なくとも一方側との高低差Hが0.12mmを超えればよいが、凸部205の頂部と、その両側に隣接する裾部207との高低差Hが、いずれも0.12mmを超えることが一層望ましい。
基材表面の形状が上記の条件1、2を充足することにより、基材と遮熱層との密着性が良好である。
本開示の燃焼室構成部品は、遮熱層を備える。遮熱層は、基材の表面に設けられている。遮熱層は、基材の表面のうち一部に設けられていてもよいし、基材の全表面に設けられていてもよい。遮熱層は、ガラス及び無機繊維を含む多孔質体からなる。多孔質体は、例えば、主にガラスと無機繊維との骨格からなる多孔質体である。遮熱層は、多孔質体により構成されるため、熱伝導率が小さく、遮熱性が高い。遮熱層は、例えば、基材よりも熱伝導率が小さい。
本開示の燃焼室構成部品では、遮熱層を加熱し、その後冷却しても、遮熱層が基材から剥がれ難い。その理由は上述したとおりである。
遮熱層は、ガラス及び無機繊維以外の成分をさらに含んでもよいし、含まなくてもよい。遮熱層は、例えば、無機繊維同士が絡み合う構造を有する。ガラスは、例えば、無機繊維と接合している。ガラスの少なくとも一部は、例えば、絡み合う無機繊維同士の接点に接合している。
遮熱層における気孔は、例えば、ガラス及び無機繊維のいずれにも占められていない空間である。遮熱層は、遮熱層を厚み方向に貫通する連続気孔を有する。本開示の燃焼室構成部品は、連続気孔を通じて、適度に熱を基材に伝導させることができる。遮熱層は、連続気孔に加えて、独立気孔をさらに有していてもよい。
ガラスは、公知のガラスの中から適宜選択することができる。ガラスは、Te及びBiの少なくとも一方を含むことが好ましい。Te及びBiの少なくとも一方を含むガラスは、それらを含まないガラスより熱膨張係数が大きい。そのため、ガラスがTe及びBiの少なくとも一方を含む場合、遮熱層の熱膨張係数は一層大きくなり、遮熱層の熱膨張係数と、基材の熱膨張係数との差は一層小さくなる。その結果、ガラスがTe及びBiの少なくとも一方を含む場合、遮熱層と基材との密着性が一層良好である。
ガラスとして、例えば、(a)P及びBの少なくとも一方と、(b)RO及びR’Oと、を含み、(a)及び(b)の合計モル数に対する、(b)のモル数の比率(%)(以下ではb/(a+b)とする)が40〜60%であるガラスが挙げられる。RはLi、Na、及びKから成る群から選択される1以上であり、R’は、Mg、Ca、及びCuから成る群から選択される1以上である。
b/(a+b)が40%以上である場合、遮熱層の熱膨張係数は一層大きくなり、遮熱層の熱膨張係数と、基材の熱膨張係数との差は一層小さくなる。その結果、遮熱層と基材との界面における界面応力が緩和され、遮熱層と基材との密着性が一層良好である。b/(a+b)が60%以下である場合、遮熱層と、基材を構成する金属との濡れ性が良くなる。
無機繊維は、公知の無機繊維から適宜選択することができる。無機繊維として、例えば、セラミック繊維、金属繊維等が挙げられる。無機繊維の具体例として、Al繊維、SiO繊維、ZrO繊維、BN繊維、SiC繊維、TiO繊維、CNF繊維、グラスウール等が挙げられる。無機繊維は、Al繊維、SiO繊維、及びZrO繊維から成る群から選択される1以上を含むことが好ましい。無機繊維が、Al繊維、SiO繊維、及びZrO繊維から成る群から選択される1以上を含む場合、遮熱層を構成する多孔質体の状態を制御することが容易である。また、遮熱層の強度が高い。
無機繊維として、例えば、結晶質酸化物繊維が挙げられる。結晶質酸化物繊維として、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維等が挙げられる。無機繊維が結晶質酸化物繊維である場合、遮熱層に熱衝撃が加えられても、遮熱層が破損し難い。
遮熱層の断面において、ガラスの面積と無機繊維の面積との合計面積に対する、無機繊維の面積の比率(以下では繊維面積比とする)は、20〜60%であることが好ましい。繊維面積比が20〜60%である場合、遮熱層を構成する多孔質体の状態を制御することが容易である。また、遮熱層の強度が高い。無機繊維が結晶質酸化物繊維であり、繊維面積比が20〜60%である場合、遮熱層に熱衝撃が加えられても、遮熱層が破損し難い。
繊維面積比の測定方法は以下のとおりである。遮熱層を切断し、断面を形成する。EPMAを用いて断面のうち、200μm×100μmの範囲を組成分析し、ガラスの部分と、無機繊維の部分とをそれぞれ同定する。ガラスの部分の面積を測定し、測定値をS1とする。無機繊維の部分の面積を測定し、測定値をS2とする。以下の式(1)で表されるSfを、繊維面積比(%)とする。
式(1) Sf=(S2/(S1+S2))×100
無機繊維の平均アスペクト比は10以上であることが好ましい。平均アスペクト比が10以上である場合、遮熱層において無機繊維同士が絡み易い。そのため、遮熱層の強度が高い。
平均アスペクト比の測定方法は以下のとおりである。遮熱層を切断し、断面を形成する。断面のうち、後述の「測定対象外の無機繊維」を除く、200μm×200μmの領域に存在する全ての無機繊維について、アスペクト比を測定する。アスペクト比は、無機繊維の直径に対する無機繊維の長さの比である。アスペクト比の算出に用いる直径は、1本の無機繊維のうち、最も直径が小さい部分での値である。長さは、無機繊維の形状に沿って測定した長さである。なお、長さが110μm未満の無機繊維は「測定対象外の無機繊維」とする。「測定対象外の無機繊維」を除く、200μm×200μmの領域に存在する全ての無機繊維におけるアスペクト比の平均値を、平均アスペクト比とする。
遮熱層の平均厚みは、80〜400μmであることが好ましい。遮熱層の平均厚みが80μm以上である場合、基材への熱伝導を遮熱層によって一層抑制できる。遮熱層の平均厚みが400μm以下である場合、遮熱層にクラックが生じ難く、遮熱層が基材から剥がれ難い。
遮熱層の平均厚みの測定方法は以下のとおりである。遮熱層を切断し、断面を形成する。断面のうち、長さ500μmの範囲における複数の場所でそれぞれ遮熱層の厚みを測定する。遮熱層の厚みを測定する複数の場所は、いずれも、遮熱層の端部以外の場所である。複数の場所における遮熱層の厚みの平均値を遮熱層の平均厚みとする。
遮熱層の断面での幅1mmの範囲における遮熱層の厚みの最大値と最小値との差(以下では厚み差とする)が70μm以下であることが好ましい。上記の遮熱層の断面とは、遮熱層の厚み方向と平行な断面(以下では厚み方向における断面とする)を意味する。厚み差が70μm以下である場合、遮熱層に熱衝撃が加えられても、遮熱層が破損し難い。その理由は、厚み差が小さいと、面方向において遮熱層に温度ムラが生じ難いためであると推測される。
遮熱層の平均気孔率は25〜50%であることが好ましい。平均気孔率が25%以上である場合、基材への熱伝導を遮熱層によって一層抑制できる。遮熱層の平均気孔率が50%以下である場合、遮熱層にクラックが生じ難く、遮熱層が基材から剥がれ難い。
遮熱層の平均気孔率の測定方法は以下のとおりである。厚み方向に沿って遮熱層を切断し、厚み方向における断面を形成する。SEMを用いて断面の反射電子像を取得する。反射電子像内の10の視野において、それぞれ、ガラスの部分、無機繊維の部分、及び気孔の部分をそれぞれ同定する。それぞれの視野は、200μm×50μmの大きさを有する。なお、反射電子像において、ガラスの部分、無機繊維の部分、及び気孔の部分は、コントラストの濃淡により区別することができる。
10の視野に含まれるガラスの部分の面積を測定し、測定値をS1とする。また、10の視野に含まれる無機繊維の部分の面積を測定し、測定値をS2とする。また、10の視野に含まれる気孔の部分の面積を測定し、測定値をS3とする。以下の式(2)で表されるSpを、平均気孔率(%)とする。
式(2) Sp=(S3/(S1+S2+S3))×100
遮熱層の表面における表面粗さRaは4〜25μmであることが好ましい。遮熱層の表面における表面粗さRzは12.5〜50μmであることが好ましい。ここで、表面粗さRaはJIS−B0601:2001に規定される算術平均粗さを意味し、表面粗さRzはJIS−B0601:2001に規定される最大高さを意味する。遮熱層の表面における表面粗さRaが上記の範囲内である場合、遮熱層は、耐熱衝撃性と熱引き性とが良好である。
表面粗さRaが25μmを超えると、耐熱衝撃性が低下する。その理由は、表面粗さRaが過度に大きいと、遮熱層の厚みが不均一となり、面方向において遮熱層に温度ムラが生じるためであると推測される。なお、表面粗さRaが25μmを超えても、熱引き性は低下し難い。
表面粗さRaが4μm未満であると、耐熱衝撃性と熱引き性とが低下する。熱引き性が低下する理由は、表面粗さRaが過度に小さいと、遮熱層の表面積が小さくなるためであると推測される。耐熱衝撃性が低下する理由は、遮熱層の表面近傍と、基材近傍との間での温度差が大きくなるためであると推測される。
遮熱層の表面における表面粗さRa、表面粗さRzの測定方法は以下のとおりである。厚み方向における任意の断面を遮熱層の表面に沿って3mmの長さにわたって観察し、遮熱層の表面上に0.05mm間隔で測定点をプロットする。プロットした点を結ぶことで得られた線を遮熱層の表面形状とみなす。この表面形状から表面粗さRaを算出する。0.05mm間隔で測定点をプロットする際、測定点が気孔部分にある場合には、プロットすることができない。この場合は、気孔部分にある測定点ではプロットせず、0.05mm離れた次の測定点をプロットする。なお、プロットできない測定点が4点続いた場合はその断面での測定は行わず、別の断面で測定を行う。
遮熱層における表面の気孔率(以下では表面気孔率とする)の測定方法は以下のとおりである。遮熱層の表面のうち、任意の300μm×300μmの視野を10視野観察し、画像解析にて気孔率を算出する。
遮熱層における断面の気孔率(以下では内部気孔率とする)の測定方法は以下のとおりである。任意の厚み方向における断面のうち、300μm×300μmの視野を10視野観察し、画像解析にて気孔率を算出する。
内部気孔率は、30〜65%が好ましい。表面気孔率は、15〜40%が好ましい。内部気孔率が65%以下である場合、遮熱層の強度が一層高い。内部気孔率が30%以上である場合、遮熱層の遮熱性が一層高い。その理由は、熱伝導率が低い空気を多く含むことができるからであると推測される。
表面気孔率が40%以下である場合、遮熱層の遮熱性が一層高い。その理由は、遮熱層の表面における開口が減少し、外気を内部気孔に取り込み難くなるためであると推測される。また、表面気孔率が40%以下である場合、遮熱層の強度が一層高い。
表面気孔率が15%以上である場合、遮熱層の熱引き性が一層高くなる。その理由は、気孔が多くなり、遮熱層内に外気を取り込み易くなるためであると推測される。
2.燃焼室構成部品の製造方法
本開示の燃焼室構成部品は、例えば、以下のように製造できる。ガラス粉末と、無機繊維と、水とを含むスラリーを調製する。スラリーは、さらに他の成分を含んでもよいし、含まなくてもよい。
基材表面を加工し、基材表面における形状を、上記の条件1、2を充足する形状とする。そのための加工方法として、例えば、ショットピーニング、スパイニー加工等が挙げられる。ショットピーニングやスパイニー加工を施した場合、通常の加工面より大きな応力が基材表面に付与される。そのため、基材表面は活性状態となり、反応性に富む。その結果、基材と遮熱層との密着性が良好になる。
次に、図3のSTEP1に示すように、基材1の基材表面にスラリーを塗布し、塗布層3を形成する。
次に、STEP2において、60〜120℃の温度で1〜2時間保持して塗布層3を乾燥させ、遮熱層5を形成する。次に、STEP3において、400〜600℃の温度で0.5〜2時間保持し、遮熱層5を焼き付ける。以上の工程により、燃焼室構成部品7が完成する。
燃焼室構成部材の断面を図4に示す。基材の表面に遮熱層が形成されている。遮熱層は、ガラス及び無機繊維を含む多孔質体により構成されている。遮熱層は、遮熱層を厚み方向に貫通する連続気孔を有する。
3.実施例
(3−1)燃焼室構成部品の製造
実施例1〜17、及び比較例1〜5の燃焼室構成部品を以下のようにして製造した。ガラス粉末と、無機繊維と、水とを含むスラリーを調製した。ガラス粉末の組成は、以下の表1における「ガラス組成」の列に記載したものである。無機繊維の種類は、表1における「無機繊維」のうち「種類」の列に記載したものである。スラリーにおけるガラス粉末と無機繊維との配合比は、繊維面積比が表1における「繊維面積比」の列に記載した値となる配合比である。
次に、基材を用意した。基材の材質は、上記表1における「基材の材質」の列に記載したものである。次に、基材の表面を、ショットピーニングを用いて加工した。加工後の表面におけるL/W、及び0.12mm箇所の数を表1における「L/W」、「0.12mm箇所」の列に示す。
次に、基材のうち、加工した表面にスラリーを塗布し、塗布層を形成した。次に、100℃の温度で1時間保持して塗布層を乾燥させ、遮熱層を形成した。次に、300〜500℃の温度で1〜60分間保持し、遮熱層を焼き付けた。以上の工程により、燃焼室構成部品が完成した。
(3−2)燃焼室構成部品の評価
実施例1〜17、及び比較例1〜5の燃焼室構成部品の評価を以下のように行った。
無機繊維の平均アスペクト比を測定した。測定方法は上述した方法である。無機繊維の平均アスペクト比の測定結果を上記表1における「無機繊維」のうち「平均アスペクト比」の列に示す。
X線CTにより作成した3次元モデリングを画像解析することで、遮熱層が連続気孔を有するか否かを確認した。なお、水銀圧入法により、遮熱層が連続気孔を有するか否かを確認してもよい。連続気孔とは、遮熱層を厚み方向に貫通する連続気孔である。遮熱層が連続気孔を有する場合は、上記表1における「連続気孔の有無」の列に「有」と記載し、連続気孔を有さない場合は「無」と記載した。
基材と遮熱層との接合強度を以下の方法で測定した。燃焼室構成部品を水中に入れ、水圧を所定値まで増加させ、10分間保持する。その後、遮熱層が基材から剥離しているか否かを確認する。この工程を、上記の所定値の値を少しずつ大きくしながら、遮熱層が基材から剥離するまで繰り返す。遮熱層が基材から剥離したときの上記の所定値を接合強度とする。接合強度の測定結果を上記表1における「評価」における「強度」の列に示す。ここで、剥離とは、遮熱層と基材とが、それらの境界付近で剥離する場合と、遮熱層自体が破壊される場合との両方を含む。
実施例1〜17の燃焼室構成部品では、基材と遮熱層との接合強度が高かった。比較例1〜5の燃焼室構成部品では、基材と遮熱層との接合強度が低かった。
4.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
(2)上述した燃焼室構成部品の他、当該を構成要素とするエンジンシステム、遮熱層、エンジン構成部品の製造方法、遮熱層の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。上述の実施形態ではエンジン構成部品としてガソリンエンジンの構成部品を例示したが、本開示のエンジン構成部品は、ディーゼルエンジンやガスタービンエンジンの構成部品であってもよい。
1…基材、3…塗布層、5…遮熱層、7…燃焼室構成部品、201…視野、203…表面
205…凸部、207…裾部

Claims (4)

  1. 凸部が複数形成された表面を有する金属製の基材と、
    前記基材の前記表面に設けられた遮熱層と、
    を備え、
    前記遮熱層は、ガラス及び無機繊維を含み、前記遮熱層を厚み方向に貫通する連続気孔を有する多孔質体からなり、
    前記表面を平面視したときの平面方向を幅方向としたとき、前記厚み方向における前記基材の断面のうち、前記表面を含み、前記幅方向の長さが15mmである視野において、前記表面の形状に沿って測定した前記表面の長さが前記幅方向の長さの1.4倍以上であり、
    前記視野内に、前記凸部の頂部から裾部にわたる高低差が0.12mm以上である箇所が5箇所以上あるエンジン構成部品。
  2. 請求項1に記載のエンジン構成部品であって、
    前記無機繊維の平均アスペクト比は10以上であるエンジン構成部品。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジン構成部品であって、
    前記遮熱層の断面において、前記ガラスの面積と前記無機繊維の面積との合計面積に対し、前記無機繊維の面積の比率は、20〜60%であるエンジン構成部品。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン構成部品であって、
    前記ガラスはTe及びBiの少なくとも一方を含むエンジン構成部品。
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