JP2014105619A - ピストン - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストンの頂面に形成された遮熱膜の有する効果を享受しながら、ボア内をピストンが摺動する際にピストン頂面に付着する潤滑油の焼き付けを解消することのできるピストンを提供する。
【解決手段】内燃機関10を構成するピストン3であり、ピストン3の頂面の外周部3bの内側に凹溝3aが形成され、凹溝3a内に低熱伝導率で低熱容量の遮熱膜4が形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】内燃機関10を構成するピストン3であり、ピストン3の頂面の外周部3bの内側に凹溝3aが形成され、凹溝3a内に低熱伝導率で低熱容量の遮熱膜4が形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関を構成するピストンに関するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関は、図5の縦断面図で示すように、主にシリンダブロックSBとシリンダヘッドSHから構成されており、その燃焼室は、シリンダブロックSBのボア面Bと、このボアBに組み込まれたピストンPの頂面と、シリンダヘッドSHの底面と、シリンダヘッドSHに開設された吸気ポートと排気ポートに配設された吸気バルブIおよび排気バルブOの底面から画成されている(シリンダヘッドSHの底面中央位置で点火プラグTが燃焼室に臨んでいる)。昨今の内燃機関に要求される高出力化にともなってその冷却損失を低減することが重要になってくるが、この冷却損失を低減する方策の一つとして、燃焼室の内壁にセラミックスからなる遮熱膜を形成する方法を挙げることができる。なお、図6は、図5のVI−VI矢視図であってピストンPの頂面の全面に設けられた遮熱膜HBの平面図とピストンPの一部の縦断面図を示している。
しかし、上記するセラミックスは一般に低い熱伝導率を有し、かつ高い熱容量を有することから、定常的な表面温度上昇による吸気効率の低下やノッキング(燃焼室内に熱が篭ることに起因する異常燃焼)が発生するために燃焼室の内壁への被膜素材として普及していないのが現状である。
このことから、燃焼室の壁面に形成される遮熱膜は、耐熱性と断熱性は勿論のこと、低熱伝導率と低熱容量の素材から形成されるのが望ましい。さらに、この低熱伝導率および低熱容量であることに加えて、燃焼室内での燃焼時の爆発圧や噴射圧、熱膨張と熱収縮の繰り返し応力に耐え得る素材から遮熱膜が形成されること、およびシリンダブロック等の母材への密着性が高い素材から遮熱膜が形成されることが望ましい。
このように低熱伝導率かつ低熱容量の遮熱膜を備えたエンジン燃焼室構造が特許文献1,2に開示されている。ここで開示される遮熱膜は、低熱伝導率かつ低熱容量に加えて、壁面からの剥離や脱落がなく、耐久性や信頼性に優れたものとするべく、膜厚が20μmより大きくて500μm以下であり、かつ気孔率が20%以上の陽極酸化被膜となっている。
ところで、燃焼室内に送り込まれる燃料ガス(ガソリンエンジンの場合にはガソリンと空気の混合ガスであり、ディーゼルエンジンの場合には燃焼室内に別途のタイミングで送り込まれる空気とガソリン)は、1サイクルにおける燃焼工程(着火)や排気工程(膨張)の際には高温を保ち、吸気・圧縮工程の際には早期に冷却されることで燃費や出力効率が向上する。中でも、ピストンの頂面の一部には燃料ガスが直接噴射されることから、上記する燃焼室を構成する各種壁面の中でも特にピストンの頂面には低熱伝導率でかつ低熱容量の遮熱膜が形成されているのが望ましい。
すなわち、ピストンの頂面に低熱伝導率でかつ低熱容量の遮熱膜が形成されていることにより、車両の定常走行時には高燃費かつ高効率なエンジン性能が期待できる。なお、この「熱容量」は、体積比熱(密度×比熱)で示すこともでき、したがって、「低熱伝導率かつ低体積比熱の遮熱膜」が定常走行時に優れた効果を発揮すると言い換えることができる。
そこで現在、図5,6で示すように、ピストンPの頂面の全面に低熱伝導率でかつ低熱容量の遮熱膜HBを設ける試みがおこなわれている。
ところで、ボア面Bには、ピストンの摺動性を良好にするために潤滑油が提供されているが、図7で示すようにピストンPが上方に摺動した際に(X方向)、ピストンPの頂面の外周部で潤滑油Lが掻き揚げられ、ピストンPの外周部で潤滑油LがピストンPの外周輪郭状に付着した状態となり易い。
ピストンPの頂面の全面には上記するように低熱伝導率でかつ低熱容量の遮熱膜HBが形成されているが、この遮熱膜HBによってピストンPの表面が燃焼ガスの温度に追随して表面が非常に高温となり、この熱で遮熱膜HBの外周に形成された潤滑油Lが劣化して焼き付き、煤などの原因となるとともにエミッションの悪化の懸念材料ともなり得る。
図8は、本発明者等による解析結果を示したものであり、図5〜7で示す従来の内燃機関におけるクランク角と遮熱膜表面温度の関係を示したグラフである。より具体的には、潤滑油が付着し易い遮熱膜の外周部を解析対象としている。同図で示すように、潤滑油が付着している遮熱膜の外周部では温度が大きく上昇し、潤滑油の焼き付き温度300℃程度に対してその倍以上の650℃程度の温度になる結果が得られている。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、ピストンの頂面に形成された遮熱膜の有する効果を享受しながら、ボア内をピストンが摺動する際にピストン頂面に付着する潤滑油の焼き付きを解消することのできるピストンを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるピストンは、内燃機関を構成するピストンであって、前記ピストンの頂面の外周部の内側に凹溝が形成され、該凹溝内に低熱伝導率で低熱容量の遮熱膜が形成されているものである。
本発明のピストンを具備する内燃機関はガソリンエンジンやディーゼルエンジンのいずれを対象としたものであってもよく、その構成は既述するように、シリンダブロックとシリンダヘッドから主として構成され、その燃焼室は、シリンダブロックのボア面と、このボアに組み込まれた本発明にかかるピストンの頂面と、シリンダヘッドの底面と、シリンダヘッド内に配設された吸気バルブおよび排気バルブの底面から画成されている。
また、内燃機関の燃焼室を構成する母材は、アルミニウムや、鋼、チタン、ニッケル、銅やそれらの合金を挙げることができ、遮熱膜を陽極酸化被膜から形成することができる。たとえばアルミニウムやその合金を母材とする壁面に陽極酸化被膜からなる遮熱膜が形成される場合に、この陽極酸化被膜はアルマイトとなる。
上記するピストンは、車両の定常走行時において高燃費かつ高効率なエンジン性能に寄与するべく、その頂面の全面に低熱伝導率でかつ低熱容量の遮熱膜が形成されている。
この遮熱膜としては、陽極酸化被膜のほか、多数の中空ビーズをたとえばシリカ系の接着剤で繋いで層状に構成した被膜などを挙げることができる。いずれにせよ、被膜がその内部に多数の空隙を有する構造が望ましく、このように多数の空隙を具備することで、低熱伝導率かつ低熱容量を有し、さらに、スイング特性(断熱性能を具備しながらも、燃焼室内のガス温度に被膜の温度が追随する特性)を有する遮熱膜となる。
ここで、本明細書において「低熱伝導率」とは、0.10(W/mK)以下の熱伝導率のことを意味しており、望ましくは0.02(W/mK)以下の熱伝導率のことである。また、同様に本明細書において「低体積比熱」とは、3.8×105(J/m3K)以下の体積比熱のことを意味している。
このように、本発明にかかるピストンはその頂面において低熱伝導率かつ低熱容量を有することにより、車両の定常走行時において高燃費かつ高効率なエンジン性能に寄与するものであることに加えて、ピストンの頂面のたとえば環状を呈した外周部の内側に凹溝を形成しておき、この凹溝内に低熱伝導率で低熱容量の遮熱膜が形成されている構成を適用している。
このようにピストンの頂面の外周部に遮熱膜を設けない構成としたこと(ピストンの母材によってたとえば環状の外周部が形成されている)により、この外周部の温度上昇をピストンの一般部(遮熱膜のない部分)と同程度にすることができ、潤滑油が付着し易い外周部において、付着した潤滑油の焼き付きを効果的に解消することができる。
なお、遮熱膜による遮熱効果の減少を最小限とするべく、遮熱膜の存在しない外周部の占める範囲は可及的に小さいことが望ましく、たとえば、環状の外周部の幅を1mm程度に設定するのがよい。なお、この1mm程度の範囲は、燃焼室内が負圧になって潤滑油の吸い上げが大きくなり、外周部における潤滑油の付着範囲が最大となるエンジンブレーキの際に想定される潤滑油付着範囲をカバーしており、潤滑油の焼き付き解消効果を享受できる範囲である。
以上の説明から理解できるように、本発明のピストンによれば、ピストンの頂面の全面ではなく、その外周部の内側に形成された凹溝内に低熱伝導率で低熱容量の遮熱膜を備えた構成としたことにより、高燃費かつ高効率な内燃機関の形成に寄与できるとともに、潤滑油の焼き付きを効果的に解消することができる。
以下、図面を参照して本発明のピストンの実施の形態とこのピストンを具備する内燃機関を説明する。
(内燃機関およびピストンの実施の形態1)
図1は内燃機関の一実施の形態の縦断面図を示すものであり、図2は図1のII−II矢視図であって、ピストンの実施の形態1の頂面の平面図とその一部の縦断面図をともに示した図である。
図1は内燃機関の一実施の形態の縦断面図を示すものであり、図2は図1のII−II矢視図であって、ピストンの実施の形態1の頂面の平面図とその一部の縦断面図をともに示した図である。
図示する内燃機関10はガソリンエンジンをその対象としたものであり、その内部に不図示の冷却水ジャケットが形成されたシリンダブロック2と、シリンダブロック2上に配設されたシリンダヘッド1と、シリンダヘッド1内に画成された吸気ポートと排気ポートにそれぞれ配設された吸気バルブ1aおよび排気バルブ1bと、シリンダヘッド1の底面の中央位置もしくは略中央位置で燃焼室に臨む点火プラグ1cと、シリンダブロック2の下方開口から昇降自在に形成されたピストン3とから大略構成されている。なお、本発明の内燃機関がディーゼルエンジンを対象としたものであってもよいことは勿論のことである。
この内燃機関10を構成する各構成部材はともにアルミニウムもしくはその合金から形成されている。なお、構成部材がアルミニウムもしくはその合金以外の素材で形成され、かつ、構成部材の表面がアルミニウムもしくはその合金にてアルミ化されている形態であってもよい。
内燃機関10を構成する、シリンダブロック2のボア面2aと、シリンダヘッド1の底面と、ピストン3の頂面から燃焼室が画成される。
同図で示す内燃機関10においては、ピストン3の頂面と、シリンダヘッド1の底面、吸気バルブ1aおよび排気バルブ1bの底面のそれぞれに、アルマイト被膜等からなる遮熱膜が形成されているが、本発明の特徴のみを説明するべく、図1ではピストン3の頂面に形成された遮熱膜4のみを図示している。
なお、遮熱膜4としては、陽極酸化被膜のほか、多数の中空ビーズをたとえばシリカ系の接着剤で繋いで層状に構成した被膜などを挙げることができる。いずれの形態であっても、遮熱膜4の内部に多数の空隙を有する構造が望ましく、このように多数の空隙を具備することで、低熱伝導率かつ低熱容量を有し、さらに、スイング特性(断熱性能を具備しながらも、燃焼室内のガス温度に被膜の温度が追随する特性)を有する遮熱膜となる。
ここで、遮熱膜4がアルマイト被膜である場合は、その厚みが100〜500μmの範囲であるのが好ましい。断熱性能を有する陽極酸化被膜の厚みを100μm以上とすることで燃焼サイクル中の被膜表面の温度上昇が十分となって断熱性能も良好となり、十分な燃費改善効果を期待できるし、陽極酸化被膜の厚みを500μm以下とすることで熱容量が大きくなるのを抑制でき、陽極酸化被膜自体が熱を溜め易くなることを防止して良好なスイング特性を保証することができる。
このように、図示するピストン3は、その頂面において低熱伝導率かつ低熱容量を有する遮熱膜4を具備することにより、車両の定常走行時において高燃費かつ高効率なエンジン性能に寄与するものとなる。
図示するピストン3において、その頂面に形成されている遮熱膜4は、頂面の全面ではなく、環状の外周部3bの内側に開設された凹溝3a内に設けられている。
すなわち、ピストン頂面における環状の外周部3bはピストンの母材で形成されていることから、この外周部3bの温度上昇をピストン3の一般部(遮熱膜4のない部分)と同程度にすることができ、遮熱膜による温度追随性に起因した高い温度上昇を回避できることから、この温度上昇に起因した潤滑油の焼き付きの問題を解消することができる。
遮熱膜4がアルマイトからなる場合は、ピストン3の外周部3bにマスキングをおこなって陽極酸化処理を実行することにより、図示する遮熱膜4を凹溝3a内に形成することができる。
また、外周部3bの幅sは1mm程度に設定するのが好ましい。遮熱膜4による遮熱効果の減少を最小限とするべく、遮熱膜4の存在しない外周部3bの占める範囲は可及的に小さいことが望ましく、その一方で潤滑油が付着する範囲をカバーする必要がある。本発明者等によれば、外周部3bの幅sを1mm程度に設定した場合に、燃焼室内が負圧になって潤滑油の吸い上げが大きくなり、外周部における潤滑油の付着範囲が最大となるエンジンブレーキの際に想定される潤滑油付着範囲をカバーできることが特定されており、潤滑油の焼き付き解消効果を享受できる範囲であることが分っている。
(ピストンの実施の形態2)
図3はピストンの実施の形態2を説明した図であって、図3aはピストンの上部の縦断面図であり、図3bは図3aのb部の拡大図である。
図3はピストンの実施の形態2を説明した図であって、図3aはピストンの上部の縦断面図であり、図3bは図3aのb部の拡大図である。
図示するピストン3Aは、管状の外周部3bの内側において、円盤状でその外周に深い溝を備えた凹溝3a’を有し、この凹溝3a’に遮熱膜4Aが形成されたものである。
環状の深い溝には遮熱膜4Aの外周に位置するアンカー部4A’が形成されており、このアンカー部4A’によってアンカー効果が期待でき、ピストン頂面と遮熱膜4Aとの接続強度を高めることができる。
ピストン頂面に形成された凹溝3a’に遮熱膜4Aが形成され、その上に遮熱膜を保護するコート層5が形成されており、遮熱膜4Aとコート層5の厚みt2は凹溝3a’の深さt1よりも薄く、したがって、コート層5の上面が溝内に落ち込んだ構成となっている。
たとえば、中空粒子をバインダ中に混ぜて凹溝3a’内に塗布し、焼き付けて遮熱膜4Aを形成後、コート層形成材料を塗り固めてコート層5を形成することができる。
遮熱膜4Aは勿論のこと、コート層5がピストン3Aの最上面にある外周部3bから若干落ち込んだ位置にあることで、加工時やエンジン動作によるピストン摺動時における遮熱膜の破損をより一層確実に回避することができる。
[実施例]
ここで、図3で示す遮熱膜4Aの形成材料やその寸法等の具体的な実施例を示す。まず、遮熱膜の形成材料として、オキツモ社製の耐熱塗料(チラノ系)を使用し、中空粒子としてグランデックス社製のナノバルーン(シリカ系で粒子径は100nm)を使用し、混合比(質量%)でバインダ:中空粒子=80:20もしくは70:30で遮熱膜形成材料を製作する。
ここで、図3で示す遮熱膜4Aの形成材料やその寸法等の具体的な実施例を示す。まず、遮熱膜の形成材料として、オキツモ社製の耐熱塗料(チラノ系)を使用し、中空粒子としてグランデックス社製のナノバルーン(シリカ系で粒子径は100nm)を使用し、混合比(質量%)でバインダ:中空粒子=80:20もしくは70:30で遮熱膜形成材料を製作する。
成膜方法は、まず、仮硬化として180℃で30分処理し、次いで本硬化として350℃で1時間処理する。
遮熱膜の上のコート層は、AZ Electromaterial社製のトレスマイルANL120A-20を使用し、これが硬化することでSiO2の三次元結晶構造のコート層が形成される。
上記製作方法により、図3bにおけるt1は100μm、t2は60μmで、コート層の厚み2μm程度が形成される。なお、遮熱膜の機能発揮のためにコート層の厚みは可及的に薄い方が好ましい。
さらに、凹溝の外周の深い溝部分の深さはピストンの頂面から200μm、この深い溝部分の幅も200μmに設定し、遮熱膜のないピストン頂面の外周部の幅は1mmで、ピストン径80mmのピストンを製作できる。
[本発明のピストンを備えた内燃機関におけるクランク角と遮熱膜表面温度の関係を特定した解析とその結果]
本発明者等は、エンジンのシミュレーション条件に基づき、内燃機関におけるクランク角と遮熱膜表面温度の関係を特定する解析をおこなった。
本発明者等は、エンジンのシミュレーション条件に基づき、内燃機関におけるクランク角と遮熱膜表面温度の関係を特定する解析をおこなった。
このシミュレーションにおいて、遮熱膜の熱物性値として、体積比熱は1122kJ/m3K、熱伝導率は0.221595W/mK、材料混合比は質量%でバインダ:中空粒子=80:20とした。また、潤滑油(焼き付き温度が300℃)に関し、エンジンオイルク゛レート゛は0W-20 GF-5、ベースオイルは化学合成油系のPAO(ポリαオレフィン)を適用している。なお、図8で示す従来構造のピストンを具備する解析結果は、ピストンの頂面に遮熱膜の存在しない外周部がなく、ピストンの頂面全面に遮熱膜が存在すること以外は、本解析と同じ条件での解析結果である。解析結果を図4に示す。
図4で示すグラフは、潤滑油の付着するピストン頂面の外周部におけるクランク角ごとの表面温度を示したものであり、図8で示す従来構造のピストンの解析結果を実線グラフで示しており、本発明のピストンの解析結果を一点鎖線グラフで示している。すなわち、実線グラフは外周部にある遮熱膜表面の温度履歴であり、一点鎖線グラフは外周部のピストン母材表面の温度履歴である。
同図より、潤滑油の焼き付き温度が300℃に対し、潤滑油の付着する外周部において従来構造のピストンでは650℃程度の高温になっており、潤滑油が焼き付くことが特定される。これに対して、本発明のピストンは250℃程度と300℃を大きく下回っており、ピストン頂面の外周部に潤滑油が付着した場合でもその焼き付きを解消することができ、潤滑油の劣化を防止できることが分った。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…シリンダヘッド、1a…吸気バルブ、1b…排気バルブ、1c…点火プラグ、2…シリンダブロック、2a…ボア面、3,3A…ピストン、3a,3a’…凹溝、3b…外周部、4,4A…遮熱膜、4A’…アンカー部、5…コート層、10…内燃機関
Claims (1)
- 内燃機関を構成するピストンであって、
前記ピストンの頂面の外周部の内側に凹溝が形成され、該凹溝内に低熱伝導率で低熱容量の遮熱膜が形成されているピストン。
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- 2012-11-27 JP JP2012258702A patent/JP2014105619A/ja active Pending
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