JP6319039B2 - 粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 Download PDF

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本発明は、粘着シート、積層体及び積層体の製造方法に関する。具体的には、ポリカーボネート基材等に貼合した後に湿熱環境下においても気泡の発生を抑制し得る粘着シート、該粘着シートを含有する積層体及び積層体の製造方法に関する。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合せる用途に透明な粘着シートが使用されており、表示装置と入力装置との貼合にも透明な粘着シートが使用されている。
このような用途に用いられる粘着シートの形成には、従来、ベースポリマーを含有する活性エネルギー線硬化性粘着組成物又は熱硬化性粘着組成物が用いられている。ベースポリマーとしては、透明性等に優れることから、アルキル(メタ)アクリルレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどといったアクリル単量体単位を含むアクリル系のベースポリマーが用いられている。
また、粘着シートを形成するベースポリマーの重合方法としては、下記のような数通りの重合方法があることが知られている。具体的には、(1)熱による重合、(2)活性エネルギーによる重合、(3)熱(又は活性エネルギー線)による重合をした後に、活性エネルギー(又は熱)による重合を行う2段重合、(4)活性エネルギーによる重合をした後に、活性エネルギーによる重合を行う2段重合といった方法がある。
近年、上述したような用途に用いられる粘着シートを形成する方法としては、(3)熱(又は活性エネルギー線)による重合をした後に、活性エネルギー(又は熱)による重合を行う2段重合により硬化する方法が用いられる場合がある。このような粘着シートは、熱硬化性および活性エネルギー線硬化性の両方を備える粘着組成物(以下、「デュアル硬化型粘着組成物」ということがある。)から形成されるため、熱硬化性と活性エネルギー線硬化性を有している。このため、被着体との貼合前に、例えば熱硬化のみを行うことで仮接着させることができ、その後、さらに活性エネルギー線により硬化させることで被着体に強固に接着できる。すなわち、このような粘着シートは、初期粘着力と保持力とを両立したものであるとされている。
粘着シートに用いられるデュアル硬化型粘着組成物としては、熱硬化性を付与する成分として架橋剤、活性エネルギー線硬化性を付与する成分としてモノマーおよび光開始剤をベースポリマーに配合したものが提案されている。モノマーとしては通常、多官能モノマーが用いられている。
例えば特許文献1には、紫外線架橋可能な光架橋剤と加熱架橋可能な潜在型硬化剤の両方をベースポリマーに配合することで紫外線架橋と加熱架橋の二種類の架橋方式を兼ね備えた粘着剤が開示されている。ここでは、先にどちらか一方の架橋方式で架橋させて被着体を貼着した後、残った架橋方式で後架橋させる粘着剤および粘着体が開示されており、光架橋剤として多官能モノマーと光開始剤とを含むものが用いられている。
また、特許文献2には、マレイミド基を有する重合体を含有する活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物が開示されている。ここでは粘接着剤組成物が、さらに、有機溶剤、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、光重合開始剤、熱硬化型架橋剤等を含有してもよいことが記載されている。
特開2006−335840号公報 特開2010−261029号公報
上述したタッチパネルや液晶ディスプレイ等にはポリカーボネート基材が使用される場合があり、これにより耐衝撃性を持たせたり、部材を安価にすることが行われている。しかしながら、従来のデュアル硬化型粘着組成物から形成された粘着シートをポリカーボネート基材に貼合し、高湿熱環境下に曝した場合、ポリカーボネートに含まれる水分が気泡となり、外観不良等の問題が発生することがあった。このような気泡の発生を抑制する手段として、ポリカーボネート基材と粘着シートの粘着力を向上させる手法が考えられるが、その抑制効果は十分ではなく、現在までに気泡の発生を効果的に抑制する手段は開発されていない。
そこで本発明は、熱硬化性および活性エネルギー線硬化性の両方を備えるデュアル硬化型粘着組成物から形成された粘着シートをポリカーボネート基材に貼合した後、高湿熱環境下に曝した場合であっても、気泡の発生を抑制し得る粘着シート及び積層体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、ベースポリマー(A)と、単量体(B)と、架橋剤(C)と、重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有する粘着組成物(デュアル硬化型粘着組成物)において、単量体(B)にラウリルアクリレート(b1)を含有させることにより、ポリカーボネート基材からの気泡の発生を抑制し得る粘着シートを得ることができることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)及び架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含むベースポリマー(A)と、ラウリルアクリレート(b1)を含む単量体(B)と、熱によりベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)と、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有する粘着組成物を加熱により半硬化させてなる粘着剤層を含む粘着シート。
[2]単量体(B)は、ラウリルアクリレート(b1)と、重合性不飽和基を2つ以上有する多官能単量体(b2)とを含む[1]に記載の粘着シート。
[3]ベースポリマー(A)100質量部に対して、ラウリルアクリレート(b1)を5〜150質量部含む[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4]ポリカーボネート基材に貼合するために用いられる[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5]両面粘着シートである[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6]粘着シートをポリカーボネート基材に貼合して、活性エネルギー線を照射することにより完全硬化させた後に、85℃、相対湿度85%の条件下に24時間静置した場合、前記ポリカーボネート基材における気泡発生面積を、前記ポリカーボネート基材の全面積に対して1%以下とし得る[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の粘着シートの粘着剤層を被着体表面に接触させ、その状態で活性エネルギー線を照射して粘着剤層を完全硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
[8]被着体は、ポリカーボネート基材である[7]に記載の積層体の製造方法。
[9][1]〜[6]のいずれかに記載の粘着シートを介して、ポリカーボネート基材と、光学部材を貼合した積層体であって、粘着シートは、ポリカーボネート基材と、光学部材を貼合した状態で活性エネルギー線を照射されることで、完全硬化したものである積層体。
本発明によれば、デュアル硬化型粘着組成物から形成された粘着シートをポリカーボネート基材に貼合し、完全硬化させた後、高湿熱環境下に曝した場合であっても、気泡の発生を抑制し得る粘着シートを提供することができる。本発明の粘着シートは、少なくとも一方がポリカーボネート基材である光学部材同士の貼合、例えばタッチパネルモジュールの製造等に有用である。
図1は、本発明の粘着シートの構成の一例を表す断面図である。 図2は、本発明の積層体の構成の一例を表す断面図である。 図3は、本発明の積層体の構成の一例を表す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリル酸”はアクリル酸およびメタクリル酸の双方、または、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。
(粘着シート)
本発明は、粘着組成物を加熱により半硬化させてなる粘着剤層を含む粘着シートに関する。本発明の粘着シートの形成に用いられる粘着組成物は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)及び架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含むベースポリマー(A)と、ラウリルアクリレート(b1)を含む単量体(B)と、熱によりベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)と、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、溶剤(E)とを含む。本発明で用いられる粘着組成物は、デュアル硬化型粘着組成物である。
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。粘着シートは、粘着剤層のみから構成される単層の粘着シートであってもよい。また、本発明の粘着シートは、片面粘着シートでも両面粘着シートでもよい。
片面粘着シートとしては、支持体上に粘着剤層が積層した多層シートが挙げられる。また、支持体と粘着剤層との間には他の層が設けられていてもよい。
両面粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シート、支持体の片面に粘着剤層が積層し、他方の面に他の粘着剤層が積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは上述した中でも、ノンキャリアタイプが好ましく、粘着剤層からなる単層の粘着シート、又は粘着剤層を複数積層した多層の粘着シートが好ましく、粘着剤層からなる単層の両面粘着シートが特に好ましい。
本発明の粘着シートが支持体を有している場合、支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム;等が挙げられる。
本発明の粘着剤層の表面は剥離シートによって覆われていることが好ましい。すなわち、本発明は剥離シート付き粘着シートであってもよい。
図1は、本発明の粘着シート11の構成の一例を表す断面図である。図1に示された粘着シート11は剥離シート(12a、12b)を有しており、図1は、剥離シート付き粘着シート1の構成の一例を表すものである。また、図1の粘着シートは、ノンキャリアタイプの単層の粘着シートであり、両面粘着シートである。
剥離シートとしては、剥離シート用基材と該剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH33SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
剥離シート12においては、剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。つまり、一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シート12だけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離シート12の剥離性を調整すればよい。
粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10〜500μmの範囲内であることが好ましく、20〜350μmがより好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、ポリカーボネート基材等の被着体から気泡が発生することを十分に抑制することができる。また、凹凸追従性を十分に確保することができる。さらに、粘着剤層の厚さを上記範囲内とすることにより、両面粘着シートの製造が容易となる。
本発明の粘着シートは、ポリカーボネート基材に貼合し、完全硬化させた後、高湿熱環境下に曝した場合であっても、気泡の発生を抑制し得る点に特徴がある。すなわち、本発明の粘着シートは、ポリカーボネート基材に貼合する用途に用いられる粘着シートであることが好ましい。ポリカーボネート基材としては、例えば、帝人化成(株)製のPC−1151等を挙げることができる。
本発明の粘着シートは、ポリカーボネート基材に直接貼合する用途に用いられる粘着シートであることが好ましいが、ポリカーボネート基材に間接的に貼合する用途で用いられてもよい。例えば、ポリカーボネート基材を含む多層基材に貼合されてもよい。このような多層基材は、ポリカーボネート層とハードコート層を有する基材であることが好ましい。ハードコート層の組成はアクリル系、ウレタン系、シリコーン系、メラミン系、エポキシ系から選択されることが好ましく、アクリル系、シリコーン系がより好ましい。ハードコート層の組成は加工性と硬度の点からアクリル系がより好ましい。また、ハードコート層の鉛筆硬度は4H以上、スチールウールは2H以上が好ましい。なお、本明細書においては、ポリカーボネート基材を含む多層基材についてもポリカーボネート基材と呼ぶ。
ポリカーボネート基材を含む多層基材としては、例えば、三菱ガス化学(株)製のMR−58やIMR05等を用いることができる。ここで、MR−58の構成は、HC(ハードコート)/PMMA(ポリメチルメタクリレート)/PC(ポリカーボネート)/HC(ハードコート)である。MR−58の全体の厚みは0.3mm〜1.2mmであり、ハードコート層の1層の厚みは、0.0005mm〜0.02mmであることが好ましい。また、IMR05の構成は、HC(ハードコート)/PC(ポリカーボネート)である。
ポリカーボネート基材のポリカーボネートの吸水率は0.01〜0.5%であることが好ましく、0.05〜0.4%であることがより好ましく、0.1〜0.3%であることがさらに好ましい。ポリカーボネートの吸水率は、ISO62に準じた方法で測定することができる。
また、本発明の粘着シートは、偏光板に貼合し、完全硬化させた後、高湿熱環境下に曝した場合であっても、気泡の発生を抑制することができる。ここで、本発明の粘着シートを貼合する偏光板とは、偏光子と偏光子保護フィルムを含むものであり、本発明の粘着シートは偏光子保護フィルムに貼合される。偏光子保護フィルムとしては、シクロオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどの酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなどが挙げられる。特に、偏光子保護フィルムが酢酸セルロース系樹脂フィルムである場合、本発明の粘着シートを用いることによって、気泡発生抑制効果が発揮される。
本発明の粘着シートをポリカーボネート基材に貼合して、活性エネルギー線を照射することにより完全硬化させた後に、85℃、相対湿度85%の条件下に24時間静置した場合、本発明の粘着シートは、ポリカーボネート基材における気泡発生面積を、ポリカーボネート基材の全面積に対して1%以下、好ましくは、0.1%以下、より好ましくは0%とし得る。すなわち、本発明の粘着シートは、ポリカーボネート基材から気泡が発生することを抑制することができる。ここで、ポリカーボネート基材における気泡発生面積とは、ポリカーボネート基材と粘着シートの間に発生した気泡の面積(ポリカーボネート基材上の投影面積)であり、このような気泡発生面積は、キーエンス(株)製のVHX-5000で測定することができる。具体的には、マイクロスコープを使用して観察した際に、略円形の空気層を目視で確認できるものについて、その空気層の面積を測定することで、気泡発生面積を測定することが可能である。
また、本発明の粘着シートを偏光板に貼合して、活性エネルギー線を照射することにより完全硬化させた後に、85℃、相対湿度85%の条件下に24時間静置した場合、偏光板の気泡の発生量についても上記範囲内であることが好ましい。このように、本発明では、粘着シートの被着物の気泡の発生を抑制することができるため、粘着シートを表示装置等に組み込んだ場合、視認性の悪化を防ぐことができる。
また、本発明では、半硬化の粘着シートを被着体に貼合することで、凹凸に追従させることができる。また、活性エネルギー線の照射により粘着剤層を完全硬化させることで粘着力及び保持力を高めることができる。
本発明の粘着シートをポリカーボネート基材と貼合し、完全硬化した後に、23℃、相対湿度50%の環境下に24℃静置した場合の粘着力は、10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましく、20N/25mm以上であることがさらに好ましい。また、完全硬化した後に、85℃、相対湿度85%の環境下に24℃静置した場合の粘着力は、9N/25mm以上であることが好ましく、10N/25mm以上であることがより好ましい。粘着力は、ポリカーボネート基材に対する180°引きはがし粘着力であり、JIS Z0237に準じて測定することができる。このように、本発明の粘着シートは、湿熱環境下であってもポリカーボネート基材に対して優れた粘着性を発揮することができる。
(粘着組成物)
粘着組成物は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)及び架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含むベースポリマー(A)と、ラウリルアクリレート(b1)を含む単量体(B)と、熱によりベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)と、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、溶剤(E)とを含有する。
(ベースポリマー(A))
ベースポリマー(A)は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と、架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含有する。ベースポリマーは、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。なお、本明細書および特許請求の範囲において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、粘着性が高くなることから、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)としては、ヒドロキシ基含有単量体単位、アミノ基含有単量体単位、グリシジル基含有単量体単位、カルボキシ基含有単量体単位等が挙げられる。これら単量体単位は1種でもよいし、2種以上でもよい。
ヒドロキシ基含有単量体単位は、ヒドロキシ基含有単量体に由来する繰り返し単位である。ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有単量体単位は、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
グリシジル基含有単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
ベースポリマー(A)における架橋性アクリル単量体単位(a2)の含有量は0.01〜40質量%であることが好ましく、0.5〜35質量%がより好ましい。架橋性アクリル単量体単位(a2)の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、半硬化状態を維持するために必要な架橋性を十分に有しており、上記範囲の上限値以下であれば、必要な粘着物性を維持できる。
ベースポリマー(A)は、必要に応じて、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)および架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)以外の他の単量体単位を有してもよい。他の単量体は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルおよび架橋性官能基を有するアクリル単量体と共重合可能なものであればよく、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。ベースポリマー(A)における任意単量体単位の含有量は0〜20質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましい。
ベースポリマー(A)の重量平均分子量は、10〜200万が好ましく、30〜150万がより好ましい。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、粘着シートの半硬化状態を維持でき、かつ十分な凹凸追従性を確保することができる。なお、ベースポリマー(A)の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。ベースポリマー(A)としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
(単量体(B))
単量体(B)は、重合性不飽和基を少なくとも1つ有する単量体であり、単官能単量体(b1)として、ラウリルアクリレートを有する。単量体(B)がラウリルアクリレートを含有することで、粘着シートが完全硬化した後に、粘着シートはポリカーボネート基材等から気泡が発生することを抑制することができる。なお、本発明の粘着シートの粘着剤層は、粘着組成物を熱硬化させたときには、半硬化状態であって、活性エネルギー線硬化性を有する。
単量体(B)は、ラウリルアクリレート(b1)と、重合性不飽和基を2つ以上有する多官能単量体(b2)を含有することが好ましい。多官能単量体(b2)としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
粘着組成物中、単量体(B)の含有量は、ベースポリマー(A)の組成や分子量、架橋密度等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、ベースポリマー(A)100質量部に対し、5〜150質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましい。また、ラウリルアクリレート(b1)の含有量は、ベースポリマー(A)100質量部に対し、5〜150質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましく、5〜60質量部がさらに好ましく、5〜50質量部がよりさらに好ましい。
単量体(B)およびラウリルアクリレート(b1)の含有量が上記範囲の下限値に近づくほど、加工性に優れ、上記範囲の上限値に近づくほど、凹凸追従性の変形・歪み防止性能に優れる。さらに、ラウリルアクリレート(b1)の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着シートをポリカーボネート基材に貼合し完全硬化させた後に、より効果的にポリカーボネート基材から気泡が発生することを抑制できる。
また、単量体(B)の含有量は、粘着組成物の全質量に対し、5〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。単量体(B)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(架橋剤(C))
架橋剤(C)は、ベースポリマー(A)が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から選択できる。これらの中でも、架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を容易に架橋できることから、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が好ましい。例えば、架橋性官能基としてヒドロキシ基を含む場合は、ヒドロキシ基の反応性から、イソシアネート化合物を用いることがより好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
粘着組成物中の架橋剤(C)の含有量は、所望とする粘着物性等に応じて適宜選択されるが、ベースポリマー(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。架橋剤(C)の含有量が上記下限値以上であれば加工性や基材密着性に優れ、上記上限値以下であれば、凹凸追従性とフィルムの変形・歪み防止性能に優れる。
また、架橋剤(C)の含有量は、粘着組成物の全質量に対し、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.02〜2.0質量%であることがより好ましい。架橋剤(C)としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(重合開始剤(D))
重合開始剤(D)は、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させ得るものであればよく、光重合開始剤など公知のものを用いることができる。
ここで、「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
重合開始剤(D)としては、例えばアセトフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミン系開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
粘着組成物中の重合開始剤(D)の含有量は、単量体(B)の含有量や完全硬化させるときの活性エネルギー線の照射量等に応じて適宜選択される。具体的には、単量体(B)の全質量に対し、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましい。上記下限値以上であれば、完全硬化時の重合反応を容易に開始させることができ、上記上限値以下であれば、完全硬化時の重合反応熱の影響による基材の損傷が起きにくい。
また、重合開始剤(D)の含有量は、ベースポリマー(A)100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。重合開始剤(D)としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(溶剤(E))
溶剤(E)は、粘着組成物の塗工適性の向上のために用いられる。溶剤(E)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
溶剤(E)は、重合性不飽和基を有さず、単官能単量体(b1)よりも25℃における蒸気圧の高い溶剤が好ましい。重合性不飽和基を有さず、単官能単量体(b1)よりも25℃における蒸気圧の高い溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
また、単量体(B)と溶剤(E)の蒸気圧の差が大きいほど塗布欠陥が少なく製造が容易であることから、溶剤(E)の蒸気圧は、2000Pa以上が好ましく、5000Pa以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、実用上、50000Pa以下が好ましい。溶剤(E)の蒸気圧は、JIS−K2258−2「原油及び石油製品−蒸気圧の求め方−第2部:3回膨張法」などにより測定でき、また、例えばhttp://www.chemspider.com/といったWebサイトやACD/PhysChem Suiteといったソフトウェアにより予測することもできる。
溶剤(E)は、25℃における表面張力が、20mN/m以上40mN/m未満であることが好ましく、22mN/m以上36N/m未満であることがより好ましい。表面張力が上記範囲の下限値以上であればゆず肌(オレンジピール)といった塗布欠陥が起こりにくく、上記範囲の上限値未満であれば厚肉端部(フレーミング)といった塗布欠陥が起こりにくい。
溶剤(E)は、単官能単量体(b1)との溶解性パラメータの差が2〔(cal/cm31/2〕以内、好ましくは1.5〔(cal/cm31/2〕以内の溶剤を用いることが好ましい。これにより、溶剤(E)の蒸発が異常に促進されることによるゆず肌(オレンジピール)といった塗工欠陥を抑制することができる。
溶解性パラメータは溶解の指針となるものであり、次式の意味を持つ。
δ=(ΔE/V)1/2
ここで、δは溶解性パラメータであり、ΔEはモル蒸発エネルギー(cal/mol)であり、Vはモル体積(cm3/mol)である。溶解性パラメータδの値が近いもの同士はよく溶け、似たもの同士はよく溶けるという経験則に一致する。溶解性パラメータは様々な方法により求めることができるが、Fedorsの方法により化学組成から計算する方法が簡便である。
粘着組成物中の溶剤(E)の含有量は、特に限定されないが、ベースポリマー(A)100質量部に対し、25〜500質量部が好ましく、30〜400質量部がより好ましい。溶剤(E)の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、厚肉端部といった塗布欠陥が発生しにくく塗工適性に優れ、上記範囲の上限値以下であれば、厚塗り時のわき(ソルベントポッピング)といった塗布欠陥が発生しにくく塗工適性に優れる。
また、溶剤(E)の含有量は、粘着組成物の全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。溶剤(E)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(可塑剤)
粘着組成物は可塑剤をさらに含んでもよい。粘着組成物が可塑剤を含むことにより、粘着シートは、被着体に形成される段差を埋めることができ、凹凸追従性が高められる。可塑剤は、無官能基アクリル重合体であることが好ましい。無官能基アクリル重合体は、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位のみからなる重合体、又はアクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位と官能基を有しない非アクリル単量体単位とからなる重合体である。無官能基アクリル重合体はベースポリマー(A)とは架橋しないため、粘着物性に影響を与えずに凹凸追従性を高めることができる。
アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と同様のものが挙げられる。
官能基を有しない非アクリル単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
(任意成分)
粘着組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等のなかから必要に応じて選択できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾリアゾール系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。ただし、完全硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加する必要がある。
(粘着シートの製造方法)
粘着シートは、上述した粘着組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して硬化物とすることにより得られる粘着剤層を含む。例えば、剥離シート上に粘着組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して硬化物とすることにより得られる。塗膜の加熱により、ベースポリマー(A)および架橋剤(C)の反応が進行して硬化物(粘着剤層)が形成される。つまり、加熱の際、塗膜中では重合開始剤(D)による単量体(B)の重合反応が進行しないか、進行してもわずかであるため、粘着剤層中には、粘着組成物に含まれる単量体(B)および重合開始剤(D)の少なくとも一部が未反応の状態で含まれている。このため本発明の粘着シートは、活性エネルギー線硬化性を有している。粘着組成物を半硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施すことが好ましい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
本発明の粘着シートの粘着剤層は、ポリカーボネート基材等の被着体に貼合した後に活性エネルギー線を照射することで完全硬化する。本発明の粘着シートは、2段階硬化の粘着シートであり、貼合前は熱のみによって半硬化された粘着剤層を有し、貼合後に活性エネルギー線により粘着剤層は完全硬化される。
本明細書中において、「半硬化」とは、ゲル分率が20%未満であることを意味し、ゲル分率は好ましくは15%未満、さらに好ましくは10%未満である。また、「半硬化」とは、粘着剤層を始めに熱のみにより硬化させることを指し、「半硬化状態」とは熱硬化後であって、活性エネルギー線照射前の柔らかい粘着剤層であって、熱硬化後に動的粘弾性が熱硬化前の1.5倍以上になる状態を指す。当該動的粘弾性は、好ましくは1.5〜1000倍、より好ましくは2〜100倍である。本発明における半硬化状態において粘着剤層の動的粘弾性は、1.0×106Pa以下であることが好ましく、8.0×105Pa以下が更に好ましく、5.0×105Pa以下が特に好ましい。
また、本発明における「完全硬化」とは、熱によって半硬化させた後に活性エネルギー線によって粘着剤層を硬化することを指す。
粘着剤層を形成する粘着組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
粘着組成物を塗工して形成される塗膜の加熱には、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いることができる。
(粘着シートの使用方法)
本発明の粘着シートの使用方法は、粘着シートの粘着剤層が半硬化状態のときにポリカーボネート基材等の被着体と貼合し、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を完全硬化させる方法が好ましい。被着体としては、ポリカーボネート基材の他に偏光板を挙げることができるが、被着体はポリカーボネート基材であることが特に好ましい。
本発明の粘着シートの使用方法としては、本発明の粘着シートをポリカーボネート基材に貼合した後に、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を完全硬化させる使用方法が好ましい。
粘着シートをポリカーボネート基材と光学部材に貼合する場合、活性エネルギー線はポリカーボネート基材側からでも光学部材側からでも照射できるが、ポリカーボネート基材側から照射することが好ましい。
活性エネルギー線を照射する前は、粘着シートの粘着剤層は半硬化状態であることから、被着体が段差部を有していても、粘着剤層はその凹凸に追従することができる。このように、粘着シートを貼合し、凹凸に追従させた後、粘着剤層を活性エネルギー線で完全硬化させることで、粘着剤層の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。また、完全硬化した粘着剤層はポリカーボネート基材が変形したり、歪むことを防止することができる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられ、粘着剤層に含まれる重合開始剤(D)に応じて適宜選択できる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
(積層体)
本発明の積層体は、上述した粘着シートを介してポリカーボネート基材と、光学部材を貼合した積層体、又は上述した粘着シートを介して偏光板と、光学部材を貼合した積層体である。ここで、積層体に含まれる粘着シートは、ポリカーボネート基材と、光学部材を半硬化の粘着シートで貼合した状態で活性エネルギー線を照射することで、完全硬化したものである。
図2は、本発明の粘着シート21をポリカーボネート基材22と光学部材24に貼合した積層体20の構成の一例を表す断面図である。図2に示されているように、本発明の粘着シート21は、ポリカーボネート基材22に貼合するために用いられることが好ましく、ポリカーボネート基材22と他の光学部材24の貼合に用いられることが好ましい。なお、本発明の粘着シート21は、偏光板との貼合に用いられてもよい。
積層体に含まれる光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー,トリアセチルセルロース,ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合は、2つの被着体の貼合に用いることができる。この場合、本発明の粘着シートは、タッチパネルの内部におけるITOフィルム同士の貼合、ITOフィルムとITOガラスとの貼合、タッチパネルのITOフィルムと液晶パネルとの貼合、カバーガラスとITOフィルムとの貼合、カバーガラスと加飾フィルムとの貼合などに用いられ、いずれかの部材がポリカーボネート基材であることが好ましい。
図3に示されているように、被着体は段差部(27a、27b、27c、27d)を有していてもよい。図3では、ポリカーボネート基材は段差部(27a、27b)を有しており、光学部材が段差部(27c、27d)を有している。なお、段差部(27a、27b、27c、27d)の厚みは、通常5〜60μmである。このように本発明の粘着シート21は、段差部を有する部材にも貼合することができ、段差部から生じる凹凸に追従することができる。
(積層体の製造方法)
本発明は積層体の製造方法に関するものでもある。本発明の積層体の製造方法は、上述した半硬化状態の粘着シートを被着体表面に接触させ、その状態で活性エネルギー線を照射して粘着剤層を完全硬化させる工程を含む。被着体は、ポリカーボネート基材又は偏光板であることが好ましく、ポリカーボネート基材であることが特に好ましい。
活性エネルギー線としては、上述したエネルギー線を挙げることができ、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
紫外線の照射出力は、積算光量が100〜10000mJ/cm2となるようにすることが好ましく、500〜5000mJ/cm2となるようにすることがより好ましい。
積層体の製造方法において、活性エネルギー線を照射する前は、粘着シートの粘着剤層は半硬化状態であることから、被着体が段差部を有していても、粘着剤層はその凹凸に追従することができる。このように、粘着シートを貼合し、凹凸に追従させた後、粘着剤層を活性エネルギー線で完全硬化させることで、粘着剤層の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
(実施例1)
架橋性アクリル樹脂は酢酸エチル中での溶液重合により作製した。2-ヒドロキシエチルアクリレートモノマー及びn-ブチルアクリレートモノマーを質量比で1:3となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、アクリル酸エステル共重合体(A)を得た。この共重合体の35%溶液の23℃における溶液粘度は5500mPa・sであった。
アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、単量体(B)のうち単官能単量体(b1)として、ラウリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、LA)を10質量部、多官能単量体(b2)として、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM-360(EOTMPTA))を2質量部、架橋剤(C)としてトリレンジイソシアネート系化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)を0.15質量部、重合開始剤(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル-フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE184)を1.12質量部添加し、固形分濃度が30質量%となるように溶剤(E)として酢酸エチルを添加して粘着組成物を得た。
上記粘着組成物を、第1の剥離シート(帝人デュポンフィルム(株)製、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)上へ塗工した。塗工は、ヨシミツ精機株式会社製、ドクターブレードYD型を用いて、乾燥後の厚みが50μmとなるように行った。その後、熱風乾燥機にて100℃で3分間乾燥させて溶剤を除去し、半硬化状態の粘着シート(両面粘着シート)を形成した。
この粘着シートの片面に第1の剥離シートより剥離性の高い離型処理が施された第2の剥離シート(帝人デュポンフィルム(株)製)を貼り合わせ、剥離シート付き粘着シートを得た。
(積層体(1)の作製)
得られた粘着シートの一方の面を、厚み100μmPETフィルムに貼合し、他方の面を厚み0.5mmのポリカーボネート基材(帝人化成(株)製、PC−1151)に貼合した。なお、PC−1151は、PC(ポリカーボネート)の単層基材である。基材の面積は5×8=40cm2であった。その後、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分)を実施し、紫外線照射器(アイグラフィック社製、ECS−301G1)にて積算光量1000mJ/cm2を照射して積層体(1)を得た。
(積層体(2)の作製)
得られた粘着シートの一方の面を、厚み100μmPETフィルムに貼合し、他方の面を厚み1.0mmのポリカーボネート基材(三菱ガス化学(株)製、MR−58)のPMMA側の面に貼合した。なお、MR−58の構成はHC(ハードコート)/PMMA(ポリメチルメタクリレート)/PC(ポリカーボネート)/HC(ハードコート)である。基材の面積は5×8=40cm2であった。その後、積層体(1)と同様にオートクレーブ処理後、積算光量1000mJ/cm2を照射して積層体(2)を得た。
(実施例2)
単官能単量体(b1)を30質量部、多官能単量体(b2)を6質量部、重合開始剤(D)を1.36質量部に変更した他は実施例1と同様にして、粘着シート及び積層体を得た。
(実施例3)
単官能単量体(b1)を50質量部、多官能単量体(b2)を10質量部、重合開始剤(D)を1.6質量部に変更した他は実施例1と同様にして、粘着シート及び積層体を得た。
(比較例1)
単官能単量体(b1)、多官能単量体(b2)、重合開始剤(D)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。また、紫外線照射を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(比較例2)
単官能単量体(b1)をイソステアリルアクリレートにした以外は実施例1と同様にして、粘着シート及び積層体を得た。
(比較例3)
単官能単量体(b1)をイソオクチルアクリレートにした以外は実施例1と同様にして、粘着シート及び積層体を得た。
(比較例4)
単官能単量体(b1)をイソボルニルアクリレートにした以外は実施例1と同様にして、粘着シート及び積層体を得た。
(比較例5)
単官能単量体(b1)をイソノニルアクリレートにした以外は実施例1と同様にして、粘着シート及び積層体を得た。
(比較例6)
単官能単量体(b1)をノルマルオクチルアクリレートにした以外は実施例1と同様にして、粘着シート及び積層体を得た。
(評価)
(湿熱環境下における気泡発生評価)
実施例及び比較例で得た積層体(1)及び(2)を85℃、相対湿度85%の環境下で24時間静置して、ポリカーボネート基材における気泡発生面積をキーエンス(株)製、VHX-5000で面積を測定した。なお、マイクロスコープを使用して観察した際に、略円形の空気層を目視で確認できるものについて、その空気層の面積を気泡発生面積とした。気泡発生面積は、以下の基準で評価した。評価Aが実用上、合格レベルである。
A:気泡発生面積が、ポリカーボネート基材の全面積に対して1%以下(気泡の発生がない)。
B:気泡発生面積が、ポリカーボネート基材の全面積に対して1%より大きく5%以下(若干の気泡の発生がある)。
C:気泡発生面積が、ポリカーボネート基材の全面積に対して5%より大きい(気泡が多く発生している)。
(粘着物性(23℃、相対湿度50%環境下))
実施例及び比較例で得られた粘着シートの片面を厚み100μmの光学PETフィルムへ貼合し、粘着シートの他方の面を厚み1mmのポリカーボネート基材(帝人化成(株)製、PC-1151)に貼合した。さらにオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分)を実施した後、紫外線照射器(アイグラフィック社製、ECS−301G1)にて積算光量1000mJ/cm2となるように紫外線を照射して積層体(A)を得た。得られた積層体(A)を23℃、相対湿度50%環境下に24時間静置し、その環境下でポリカーボネート基材に対する180°引きはがし粘着力をJIS Z0237に準じて測定した。
(粘着物性(85℃、相対湿度85%環境下))
上記と同様の方法で積層体(A)を作製後、85℃、相対湿度85%環境下に24時間投入し、その環境下でポリカーボネート基材に対する180°引きはがし粘着力をJIS Z0237に準じて測定した。
(ヘーズ)
実施例及び比較例で得られた粘着シートの片面を厚み100μmの光学PETフィルムへ貼合し、粘着シートの他方の面を厚み1mmのソーダガラスへ貼合した。さらにオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分)を実施した後、紫外線照射器(アイグラフィック社製、ECS−301G1)にて積算光量1000mJ/cm2となるように紫外線を照射して積層体(B)を得た。積層体(B)のヘーズ(haze)をJIS K7136に準じて測定した。
ヘーズ(haze)は10%未満であれば合格とした。ヘーズが10%未満であれば、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置と組み合わせて用いられる入力装置などへ使用が可能であると判断できる。
(光学特性(b値))
実施例及び比較例で得られた粘着シートの片面を厚み100μmの光学PETフィルムへ貼合し、松浪ガラス(松浪ガラス工業(株)製、S9112)に貼合した。さらにオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分)を実施した後、紫外線照射器(アイグラフィック社製、ECS−301G1)にて積算光量1000mJ/cm2となるように紫外線を照射して積層体(C)を得た。積層体(C)のb値を測定し、下記の評価基準で評価した。測定には、分光色差計(日本電色(株)、SE-2000)を用いた。
○:0.5未満
△:0.5以上1.0未満
×:1.0以上
とした。
Figure 0006319039
上記結果に示すとおり、実施例の粘着シートを用いた場合では、積層体を湿熱環境下(85℃、相対湿度85%)に24時間静置後であっても、ポリカーボネート基材からの気泡の発生は確認されなかった。このように、単官能単量体(b1)としてラウリルアクリレートを用いた場合は、湿熱環境下においてもポリカーボネート基材から生ずる気泡発生を抑制することができる。
なお、実施例及び比較例において、粘着力には大きな差は見られなかった。また、全ての実施例及び比較例において粘着シートのへーズは良好であった。
また実施例では、紫外線照射後の完全硬化状態の粘着剤層の動的粘弾性は、いずれも照射前の半硬化状態の動的粘弾性の2〜100倍の範囲内であった。
さらに、本発明では、粘着シートを偏光板に貼合した積層体(3)についても気泡発生評価を行った。評価手法は、積層体(1)及び(2)と同様である。積層体(3)を構成する偏光板としては、TAC/偏光子(PVA)/TAC、又は、TAC/偏光子(PVA)/COPの構成のものを用いた。
この場合も、実施例の粘着シートを用いた積層体(3)においては、偏光板から気泡の発生は確認されなかった。このように、単官能単量体(b1)としてラウリルアクリレートを用いた場合は、湿熱環境下においても偏光板から生ずる気泡発生を抑制することができる。
1 剥離シート付き粘着シート
11 粘着シート(粘着剤層)
12a、12b 剥離シート
20 積層体
21 粘着シート(粘着剤層)
22 ポリカーボネート基材
24 光学部材
27a、27b、27c、27d 段差部

Claims (8)

  1. 非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)及び架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含むベースポリマー(A)と、
    ラウリルアクリレート(b1)を含む単量体(B)と、
    熱により前記ベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)であって、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、及びブチル化メラミン化合物から選択される架橋剤(C)と、
    活性エネルギー線の照射により前記単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、
    溶剤(E)と、を含有する粘着組成物であって、
    前記ベースポリマー(A)100質量部に対する前記ラウリルアクリレート(b1)の含有量が10〜50質量部である粘着組成物を加熱により半硬化させてなる粘着剤層を含む粘着シート。
  2. 前記単量体(B)は、ラウリルアクリレート(b1)と、重合性不飽和基を2つ以上有する多官能単量体(b2)とを含む請求項1に記載の粘着シート。
  3. ポリカーボネート基材に貼合するために用いられる請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 両面粘着シートである請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記粘着シートをポリカーボネート基材に貼合して、活性エネルギー線を照射することにより完全硬化させた後に、85℃、相対湿度85%の条件下に24時間静置した場合、前記ポリカーボネート基材における気泡発生面積を、前記ポリカーボネート基材の全面積に対して1%以下とし得る請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートの粘着剤層を被着体表面に接触させ、その状態で活性エネルギー線を照射して前記粘着剤層を完全硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
  7. 前記被着体は、ポリカーボネート基材である請求項に記載の積層体の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートを介して、ポリカーボネート基材と、光学部材を貼合した積層体であって、
    前記粘着シートは、ポリカーボネート基材と、光学部材を貼合した状態で活性エネルギー線を照射されることで、完全硬化したものである積層体。
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