以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<<1.従来の現金処理装置の課題>>
まず、従来の現金処理装置における課題を説明する。図1は、従来の現金処理装置200の側面図である。
図1に示したように、現金処理装置200は、操作部210、入金部220、硬貨収納部230、紙幣収納部240および棒金収納庫250を備える。
操作部210は、現金処理装置200に対するユーザの操作を受け付け、入金部220は、ユーザによって投入される硬貨または紙幣を処理する。硬貨収納部230および紙幣収納部240は、投入された硬貨および紙幣をそれぞれ収納する。棒金収納庫250は、硬貨が束にされた複数の棒金を立位状態で収納する。続いて、図2〜図4を参照して棒金収納庫250の内部について説明する。図2は、従来の現金処理装置200について正面から見た棒金収納庫250の内部構造を示す図である。また、図3は、従来の現金処理装置200について側面から見た収納状態の棒金収納庫250の内部構造を示す図であり、図4は、従来の現金処理装置200について側面から見た引き出された状態の棒金収納庫250の内部構造を示す図である。
図2に示したように、棒金収納庫250には、棒金トレイ252および検出センサ20が備えられる。棒金トレイ252は、棒金10を収納する凹部を有し、光を透過する半透明の樹脂等で形成される。検出センサ20は、発光センサ20Aおよび受光センサ20Bで構成され、受光センサ20Bは発光センサ20Aから出力される光の受光量に応じて出力値を変化させる。また、検出センサ20は、図2に示したように、現金処理装置200について正面から見た場合の棒金10の各々に対応して配置される。なお、受光センサ20Bの出力値は、受光量に対して負比例であるように設定され得る。
また、検出センサ20は、図3に示したように、棒金収納庫250が収納された状態において、棒金10よりも現金処理装置200の正面方向に配置される。なお、検出センサ20は、棒金収納庫250とは独立して現金処理装置200の筐体等に固定して設けられる。したがって、検出センサ20は、図4に示したように棒金収納庫250が引き出された際に、棒金収納庫250と共に引き出されることがなく検出位置が固定されるため、棒金10A〜10Eを検出することが可能である。
さらに、棒金トレイ252は、棒金10を収納する凹部に隣接して凸部(以下、モールドとも称する。)を有する。例えば、図3および図4に示したように、棒金トレイ252は、モールドM1〜M6を有する。棒金トレイ252の構成について、図5を参照して詳細に説明する。図5は、従来の現金処理装置200の棒金トレイ252の斜視図である。
例えば、図5に示したように、棒金トレイ252には、棒金10を収納する凹部および凹部に隣接するモールドM1〜M6が形成される。凹部は図5に示した引き出し方向Xと直交する方向Yに向かって延長された溝のように形成され、モールドM1〜M6は各凹部に隣接して、凹部と同様に方向Yに向かって延長されて形成される。
上記のような構造の現金処理装置200において棒金収納庫250が引き出される場合に、検出センサ20の検出結果を用いて検出位置を通過する棒金10が検出される。具体的には、現金処理装置200の別途備える判定部が、受光センサ20Bの出力値の高さに基づいて棒金10の有無を判定する。図6を参照して、棒金10の有無の判定処理について説明する。図6は、従来の現金処理装置200の検出センサ20を構成する受光センサ20Bの出力値の時間的推移を示すグラフである。
受光センサ20Bの出力値は、棒金収納庫250の引き出し程度によって変化する。検出位置における棒金トレイ252の厚さまたは棒金の有無によって発光センサ20Aの出力する光の透過率(以下、単に透過率とも称する。)が変化し、検出位置にある棒金トレイ152の位置は棒金収納庫250の引き出し度合によって変化するからである。例えば、図6に示したように、受光センサ20Bの出力値は、棒金10A〜10Eが検出位置にある場合はL2であり、モールドM1〜M6を検出位置にある場合はL1である。また、棒金10が収納されていない凹部が検出位置にある場合の出力値はL0である。
そのため、棒金トレイ252の位置に対応する出力値が記憶部等に予め記憶され、判定部は当該記憶される出力値と検出される出力値とを比較して、検出位置における棒金の有無を判定する。例えば、判定部は、予め記憶部等に記憶されるL0〜L2の値と受光センサ20Bの出力値とを比較し、棒金10の有無を判定する。
そして、棒金10が存在する旨の判定がされる回数がカウントされることにより、棒金収納庫250に収納される棒金10の数量をカウントすることが可能となる。
しかし、棒金収納庫250が引き出し途中で戻される場合、いずれの棒金10までを検出したのかを判別することができず、棒金10の数量を正確にカウントすることが困難となる。そこで、本発明では、棒金10の収納される棒金収納庫が引き出し方向の前後に動かされる場合にも棒金10の数量を正確に把握することが可能な現金処理装置を提供する。以下、本発明の一実施形態に係る現金処理装置の構成および処理について順次説明する。
<<2.本発明の一実施形態>>
以上、従来の現金処理装置200の課題について説明した。次に、本発明の一実施形態に係る現金処理装置100について説明する。
<2−1.現金処理装置の構成>
まず、図7を参照して、本発明の一実施形態に係る現金処理装置100の構成について説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る現金処理装置100について側面から見た棒金収納庫の内部構造を示す図である。
現金処理装置100は、図7に示したように、操作部110、入金部120、硬貨収納部130、紙幣収納部140および棒金収納庫150を備える。また、現金処理装置100は、判定部(図示せず。)を備える。なお、入金部120、硬貨収納部130、紙幣収納部140および棒金収納庫150は、現金処理装置100から引き出し可能に収納される。
操作部110は、現金処理装置100に対するユーザの操作の受付けを行う。具体的には、操作部110は、ユーザの操作を検出し、検出する操作内容を現金処理装置100の別途備える制御部に通知する。なお、制御部は操作内容に基づいて現金処理装置100の動作を制御する。
入金部120は、投入される硬貨および紙幣の処理を行う。具体的には、入金部120は、投入される硬貨を硬貨収納部130に搬送し、投入される紙幣を紙幣処理部140に搬送する。また、入金部120は、搬送途中において硬貨および紙幣の鑑別等も行う。
硬貨収納部130は、入金される硬貨を収納する。具体的には、硬貨収納部130は、入金部120によって搬送される硬貨を金種別に収納する。また、紙幣収納部140は、入金される紙幣を収納する。具体的には、紙幣収納部140は、入金部120によって搬送される紙幣を金種別に収納する。
棒金収納庫150は、棒金トレイ152および検出センサ20を備える。
棒金トレイ152は、棒金収納部として、棒金10を収納する凹部と当該凹部に隣接するモールドを有するように形成される。具体的には、棒金トレイ152は、複数の凹部が棒金収納庫150の引き出し方向に並んで形成され、当該凹部について棒金収納庫150の引き出し方向に隣接する、棒金トレイ152のモールドの各々の厚さは、それぞれ異なるように形成される。なお、棒金トレイ152は、光を透過する半透明の樹脂等で形成され得る。
例えば、図7に示したように、棒金トレイ152には、棒金10A〜10Eを収納する凹部が棒金収納庫150の引き出し方向に並んで形成され、その凹部に隣接して凸部、すなわちモールドM11〜M16が形成される。さらに、モールドM11〜M16の厚さ、すなわち高さは、M11〜M16の順に高くなるように形成される。なお、モールドM11〜M16の厚さは、凹部における厚さよりも厚く形成される。また、棒金10を収納する凹部の底は、いずれのモールドの厚さよりも薄く形成される。棒金トレイ152について、図8を参照して詳細に説明する。図8は、本実施形態に係る現金処理装置100の棒金トレイ152の上面図である。
棒金トレイ152の凹部は、棒金収納庫150の引き出し方向に直交する方向に向かって延長される。例えば、図8に示したように、棒金トレイ152の凹部は、棒金収納庫150の引き出し方向であるX方向に直交するY方向に向かって延長され、溝のような形状である。
なお、棒金10を収納する位置以外の凹部の幅は、棒金10が収納される位置よりも狭く形成され得る。この場合、収納される棒金10が固定されることにより、棒金収納庫150が引き出される場合等に発生する振動によって棒金10が片方に寄ること等を防止することが可能となる。
図7を参照して棒金収納庫150の説明に戻ると、検出センサ20は、検出部として、検出位置における、物体の厚さに応じて変化する値を検出する。具体的には、検出センサ20は、引き出し前の棒金収納庫150における凹部よりも棒金収納庫150の引き出し方向の位置を検出位置とし、当該検出位置における、物体の厚さに応じて変化する値を検出する。より具体的には、検出センサ20は、電磁波を出力する出力部および出力される電磁波を入力とする入力部を有し、入力される電磁波の強度を示す値を検出する。
例えば、検出センサ20は、赤外線または可視光線等を利用した光学センサであり得て、出力部としての発光センサ20Aおよび入力部としての受光センサ20Bで構成され得る。図7に示したように、発光センサ20Aおよび受光センサ20Bは、引き出される前の棒金収納庫150における複数の凹部のいずれよりも棒金収納庫150の引き出し方向に設けられ、垂直方向に対向するように設けられる。したがって、発光センサ20Aと受光センサ20Bとの間が検出位置となる。
また、発光センサ20Aは受光センサ20Bに向けて光を出力する。そのため、発光センサ20Aが受光センサ20Bに向けて出力する光は、棒金トレイ152または棒金10を透過して受光センサ20Bに到達する。例えば、図7に示したような発光センサ20Aから出力される光は、モールドM1を透過し、受光センサ20Bに到達する。さらに、検出センサ20の動作について図9〜図12を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る現金処理装置100の棒金収納庫150が引き出される場合における途中経過の一例を示す図であり、図10は、図9の状態から変化した棒金収納庫150の引き出し状態を示す図であり、図11は、棒金収納庫150の引き出しが完了した状態を示す図である。また、図12は、本実施形態に係る現金処理装置100の検出センサ20を構成する受光センサ20Bの出力値の時間的推移を示すグラフである。
(棒金収納庫150の引き出し)
まず、棒金収納庫150が引き出し完了位置に至らない位置まで引き出される。例えば、図9に示したように、棒金収納庫150は、モールドM13とM14との間の棒金トレイ152の凹部が検出センサ20の検出位置となる位置、すなわち発光センサ20Aおよび受光センサ20Bが直線で結ばれる位置に到達するまで引き出される。
棒金収納庫150が上記の位置まで引き出される間、検出センサ20は、検出位置における、物体の厚さに応じて変化する値を検出する。例えば、受光センサ20Bは、モールドM11、棒金10Aの収納される凹部、モールドM12、棒金10Bの収納される凹部、モールドM13および棒金未収納の凹部の各々における、発光センサ20Aからの受光量に基づく値を順に出力する。
例えば、図12に示したように、受光センサ20Bの出力値は、モールドM11ではL11であり、棒金10Aの収納される凹部が検出位置に差し掛かるとL17に変化する。
これは、棒金10Aにおける透過率がモールドM11における透過率よりも低いためである。次に、モールドM12が検出位置に差し掛かると、出力値はL11よりも高いL12に変化する。これは、モールドM12の厚さはモールドM11の厚さよりも厚いため、棒金トレイ152の透過率が低下し、M11における受光量よりもM12における受光量が低くなるからである。そして、棒金10Bの収納される凹部およびモールドM13が検出位置を通過し、棒金未収納の凹部が検出位置に到達すると、出力値はL17、L13およびL10に順に変化する。なお、凹部の厚さが棒金トレイ152のいずれの厚さよりも薄く形成されるため、L10は他の出力値よりも低い値となる。
(棒金収納庫150の押し戻し)
続いて、棒金収納庫150が現金処理装置100に収納されない位置まで押し戻される。例えば、図10に示したように、棒金収納庫150は、棒金10Bの収納される凹部が検出位置となる位置まで押し戻される。
棒金収納庫150が上記の位置まで押し戻される間、受光センサ20Bは、図10に示したような、検出位置を通過するモールドM13および棒金10Bの収納される凹部の各々における、発光センサ20Aからの受光量に基づく値を順に出力する。
例えば、図12に示したように、受光センサ20Bの出力値は、棒金未収納の凹部においてはL10であり、モールドM13が再び検出位置を通過し、棒金10Bの収納される凹部が検出位置に到達すると、L10からL13に変化した後にL17に変化する。
(棒金収納庫150の引き出し完了)
その後、棒金収納庫150が引き出し完了位置まで引き出される。例えば、図11に示したように、棒金収納庫150は、モールドM16が検出位置となる位置まで引き出される。
棒金収納庫150が上記の位置まで引き出される間、受光センサ20Bは、図11に示したような、検出位置を通過するモールドM13、棒金未収納の凹部、モールドM14、棒金10Dの収納される凹部、モールドM15、棒金10Eの収納される凹部およびモールドM16の各々における、発光センサ20Aからの受光量に基づく値を順に出力する。
例えば、図12に示したように、受光センサ20Bの出力値は、棒金10Bの収納される凹部においてはL17である。そして、モールドM13、棒金未収納の凹部、モールドM14、棒金10Dの収納される凹部、モールドM15、棒金10Eの収納される凹部、モールドM16の順に各々が検出位置を通過すると、出力値は、L13、L10、L14、L17、L15、L17、L16の順に変化する。
なお、上記では、検出センサ20が光学センサである例を説明したが、検出センサ20は、一般的な光学センサで用いられる赤外線および可視光線よりも波長の短い電磁波を用いるセンサであってもよく、指向性が担保できれば、赤外線よりも波長が長い電磁波を用いるセンサであってもよい。
以上、検出センサ20の動作について説明した。続いて、現金処理装置100の構成の説明に戻ると、判定部は、検出センサ20によって検出される値に基づいて、棒金10の有無およびモールドの別を判定する。具体的には、判定部は、検出センサ20の受光センサの出力値と予め記憶される所定の値とを比較し、棒金10の有無およびモールドの別の判定を行う。判定部の動作について図12および図13を参照して詳細に説明する。図13は、本実施形態に係る現金処理装置100の検出センサ20を構成する受光センサ20Bの出力値、判定部の判定結果および棒金検出状況の対応を示す表30を示す図である。
判定部は、検出センサ20の検出値が変化する際に、変化後の値と記憶される値とを比較して、棒金10の有無およびモールドの別を判定する。具体的には、判定部は、受光センサ20Bの出力値を監視し、出力値が変化する際に、変化後の出力値と記憶部に記憶される値とを比較する。
例えば、記憶部には予め図13に示したようなL11〜L16の値、すなわちモールドM11〜M16が検出位置にある場合における受光センサ20Bの出力値が記憶され得る。そして、例えば受光センサ20Bの出力値がL11からL12に変化された際に、判定部は、モールドM12が検出されたと判定する。すなわち、当該判定結果は、棒金検出状況として、1列目まで棒金検出が完了したことを意味する。
また、例えば受光センサ20Bの出力値が他の値からL10またはL17に変化された際に、判定部は、記憶される値L11〜L16と比較し、いずれの値とも一致しないため、棒金10の凹部が検出されたと判定する。さらに、出力値が記憶される値のいずれの値よりも大きい場合、判定部は、棒金10が検出されたと判定し、出力値が記憶される値のいずれの値よりも小さい場合、判定部は、棒金10は検出されなかったと判定する。
なお、判定部は棒金10の数量をカウントしてもよい。具体的には、棒金10が検出されたと判定される場合、判定部は棒金10の数量をインクリメントする。また、モールドM16が検出されたと判定される場合、判定部は棒金検出が完了したと判断して棒金10の数量のカウントを停止する。
<2−2.現金処理装置の処理>
次に、本実施形態における現金処理装置100の処理について図14を参照して説明する。図14は、本実施形態における現金処理装置100の処理を概念的に示すフローチャートである。
まず、現金処理装置100は、初期化処理を実行し、棒金検出を開始する(ステップS302)。具体的には、判定部は後述する棒金フラグおよび設定済みの値を初期化し、検出センサ20、すなわち発光センサ20Aおよび受光センサ20Bは動作を開始する。なお、検出センサ20は、常時動作を継続していてもよく、棒金収納庫150の解錠および施錠に応じて動作を開始および停止してもよい。また、判定部は棒金収納庫150の引き出しが開始された際または棒金収納庫150が解錠された際に初期化処理を実行してもよい。
次に、現金処理装置100は、検出センサ20の出力値が変化したかを判定する(ステップS304)。具体的には、受光センサ20Bは、発光センサ20Aから出力される光の受光量を検出し、検出される受光量に応じた値の出力を行う。そして、判定部は、受光センサ20Bの出力値を監視し、出力値が変化したかを判定する。
検出センサ20の出力値が変化したと判定される場合、現金処理装置100は、検出センサ20の出力値が予め記憶される値と一致するかを判定する(ステップS306)。具体的には、判定部は、受光センサ20Bの出力値が変化したと判定される場合、当該出力値が記憶部に記憶される値と一致するかを判定する。
検出センサ20の出力値が予め記憶される値と一致しないと判定される場合、現金処理装置100は、検出センサ20の出力値が予め記憶される値のいずれよりも高いかを判定する(ステップS308)。具体的には、受光センサ20Bの出力値が記憶部に記憶される値と一致しないと判定される場合、判定部は、当該出力値が記憶される値のうちのいずれの値よりも高いかを判定する。
検出センサ20の出力値が予め記憶される値のいずれよりも高いと判定される場合、現金処理装置100は、棒金フラグをオンにする(ステップS310)。具体的には、記憶部に記憶される値のうちのいずれの値よりも受光センサ20Bの出力値が高いと判定される場合、判定部は棒金フラグをオンにする。
なお、検出センサ20の出力値が予め記憶される値のいずれよりも高いと判定されず、当該出力値が記憶される値のいずれよりも低いと判定される場合(ステップS312)、現金処理装置100は、棒金フラグを初期化にする(ステップS314)。具体的には、記憶部に記憶される値のうちのいずれの値よりも受光センサ20Bの出力値が低いと判定される場合、判定部は棒金フラグをオフにする。
そして、処理がステップS304に戻され、ステップS306に処理が進められて、検出センサ20の出力値が予め記憶される値と一致すると判定される場合、現金処理装置100は、検出センサ20の出力値が判定済みの値と一致するかを判定する(ステップS316)。具体的には、受光センサ20Bの出力値が記憶部に記憶される値と一致すると判定される場合、判定部は、当該出力値が記憶部に一時的に記憶される判定済みの値と一致するかを判定する。
検出センサ20の出力値が判定済みの値と一致しないと判定される場合、現金処理装置100は、検出センサ20の出力値を判定済みの値として記憶する(ステップS318)。具体的には、判定部は受光センサ20Bの出力値を判定済みの値として記憶部に追加的に記憶させる。
次に、現金処理装置100は、棒金フラグに基づいて棒金10の数量を更新し、棒金フラグを初期化する(ステップS320)。具体的には、判定部は、棒金フラグがオンである場合、棒金10の数量をインクリメントし、棒金フラグを初期化する。なお、棒金フラグがオンでない場合、判定部は当ステップの処理を行わない。
次に、現金処理装置100は、検出センサ20の出力値が所定の値であるかを判定する(ステップS322)。具体的には、判定部は、受光センサ20Bの出力値が記憶部に記憶される値のうちの所定の値、例えば棒金収納庫150の引き出し方向と反対方向の端のモールドにおける出力値であるかを判定する。出力値が所定の値であると判定される場合、判定部は棒金検出が完了したと判断し、処理が終了される。また、出力値が所定の値でないと判定される場合、処理がステップS304に戻される。
このように、本発明の一実施形態によれば、現金処理装置100は、現金処理装置100から引き出される棒金収納庫150に設けられ、棒金10を収納する複数の凹部が棒金収納庫150の引き出し方向に並んで形成される棒金トレイ152を備える。また、現金処理装置100は、引き出し前の棒金収納庫150における凹部よりも棒金収納庫150の引き出し方向の位置を検出位置とし、当該検出位置における、物体の厚さに応じて変化する値を検出する検出センサ20を備える。さらに、凹部にとって棒金収納庫150の引き出し方向に隣接する、棒金トレイ152のモールドの各々の厚さは、それぞれ異なるように形成される。このため、いずれのモールドまで検出処理が完了したかが把握されることにより、棒金収納庫150が引き出し方向の前後に動かされる場合にも、検出済みのモールドまでの棒金10については再カウントされないようにすることができ、その結果、棒金10の数量を正確にカウントすることが可能となる。
また、棒金トレイ152の凹部は、棒金収納庫150の引き出し方向と水平に直交する方向に延長されて形成される。このため、収納される棒金10に隣接する部分が凹んでいることにより、ユーザは当該凹み部分に指を入り込ませることができ、棒金10の取り出しを容易化することが可能となる。
また、モールドの各々の厚さは、棒金トレイ152の底面からの高さに相当し、モールドは、棒金収納庫150の引き出し方向に向かって順に低くなるように形成される。このため、棒金収納庫150を引き出すユーザの手前側のモールドが奥側よりも低く形成されることにより、棒金10の取り出し作業等を円滑化することが可能となる。
また、検出センサ20は、電磁波を出力する出力部および出力される電磁波を入力とする入力部を有し、検出センサ20の検出値は、入力部に入力される電磁波の強度を示す値を含む。このため、機械的な検出器に比べて構造を簡素化することができ、製造コストおよび維持費用を低減することが可能となる。
また、棒金トレイ152は、光を透過する素材で形成され、上記出力部は、光を出力する発光センサ20Aを含み、上記入力部は、発光センサ20Aによって出力され、棒金トレイ152を透過する光を受光する受光センサ20Bを含み、検出センサ20の検出値は、受光センサ20Bによって受光される受光量を示す値を含む。このため、一般的な光学センサが利用可能にされることにより、製造コストの低減およびメンテナンスの容易化が可能となる。
また、現金処理装置100は、検出センサ20によって検出される値に基づいて、検出位置における棒金10の有無およびモールドの別を判定する判定部を備える。このため、いずれのモールドが検出位置に到達したかを把握されることにより、その到達までに検出位置を通過した棒金10の数量を把握することが可能となる。
また、判定部は、検出センサ20によって検出される値と記憶部に予め記憶される値との比較によって、棒金10の有無およびモールドの別を判定する。このため、各検出値を相対的に比較する場合よりも、棒金10の有無およびモールドの別に対する判定の正確性および処理速度を向上させることが可能となる。
<2−3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明した。なお、本実施形態は、上述の例に限定されない。以下に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態の変形例として、現金処理装置100は、棒金検出が正常に行われなかった場合にユーザにその旨を提示してもよい。例えば、棒金収納庫150が引き出し完了位置まで引き出されずに押し戻されて現金処理装置100に収納される場合、引き出された位置までの棒金10の数量はカウントされるが、棒金収納庫150に収納される棒金10の全てについてはカウントされていないことになる。そこで、現金処理装置100は、判定部によるモールドの別の判定結果に所定のモールドが含まれない場合、ユーザにその旨に係る情報を提示する提示部を備える。図9を参照して本変形例に係る現金処理装置100の動作を説明する。
まず、判定部は、棒金収納庫150の引き出しおよび押し戻しによって検出位置を通過するモールドの別を判定する。例えば、図9に示したように、棒金収納庫150が途中まで引き出された後、押し戻されて現金処理装置100に収納される場合、判定部は検出センサ20の各出力値に基づいてそれぞれモールドM11〜M13を判定する。
そして、判定部は、棒金収納庫150が現金処理装置100に収納された後、判定結果に所定のモールドが含まれているかを判定する。例えば、棒金収納庫150が現金処理装置100に収納され、モールドM11が検出位置に到達した際に、判定部は検出センサ20の出力値からモールドM11を判定し、棒金検出が終了したと判定する。そして、判定部は判定結果であるモールドM11〜M13に所定のモールド、例えばモールドM16が含まれているかを判定する。
判定結果に所定のモールドが含まれていないと判定される場合、判定部は提示部にその旨を通知し、提示部は通知されたその旨を示す情報をユーザに提示する。例えば、判定したモールドM11〜M13にモールドM16が含まれていない場合、判定部はその旨を示す情報を生成し、提示部に生成される情報を通知する。そして、提示部は通知される情報をユーザに提示する。
なお、提示部はユーザに対して情報を提示することができるものであれば、特に限定されない。例えば、提示部は、判定部から通知される情報をユーザに表示するディスプレイ等であってもよく、当該情報を音声によってユーザに伝えるスピーカ等であってもよい。
このように、本実施形態の変形例によれば、現金処理装置100は、ユーザに情報を提示する提示部をさらに備える。そして、判定部は、モールドの別の判定結果に所定のモールドが含まれるかを判定し、提示部は、モールドの別の判定結果に所定のモールドが含まれないと判定される場合、ユーザにその旨に係る情報を提示する。このため、ユーザに棒金検出が正常に行われなかった旨が伝達されることにより、棒金10の数量の誤認または把握漏れを防止することが可能となる。
<<3.むすび>>
以上、本発明の一実施形態によれば、いずれのモールドまで検出処理が完了したかが把握されることにより、棒金収納庫150が引き出し方向の前後に動かされる場合にも、検出済みのモールドまでの棒金10については再カウントされないようにすることができ、その結果、棒金10の数量を正確にカウントすることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、棒金収納庫150が引き出される場合に棒金10をカウントするとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、棒金10のカウントは棒金収納庫150が引き出し完了位置まで引き出された後、押し戻される場合に行われてもよい。
また、上記実施形態では、受光センサ20Bの出力値は、受光量に対して負比例である例を説明したが、当該出力値は、受光量に対して正比例であるように設定されてもよい。
また、上記実施形態では、棒金トレイ152の凹部は、棒金収納庫150の引き出し方向と直交する方向に延長され、溝のように形成される例を説明したが、棒金トレイ152の凹部は、延長されずに、それぞれが1つの棒金10に対応する穴のように形成されてもよい。
また、上記実施形態では、棒金トレイ152のモールドの厚さまたは高さがそれぞれ異なる例を示したが、モールドの厚さまたは高さは各モールドで同一にされ、各モールドがそれぞれ透過率の異なる材質または密度で形成されてもよい。なお、上記実施形態のようにモールドが実施的に同じ材質で形成される場合は、製造方法を簡素化することが可能となる。
また、上記実施形態では、検出センサ20は棒金トレイ152を透過する光を受光する例を説明したが、検出センサ20は棒金トレイ152で反射される光を受光してもよい。この場合、発光センサ20Aおよび受光センサ20Bを対向させることなく隣接させるなどして配置することができ、検出センサ20の配置に係る制約を緩和することが可能となる。
また、上記実施形態では、予め記憶される各モールドにおける受光センサ20Bの出力値との比較によって棒金10の有無が判定される例を説明したが、棒金10の有無に対応する受光センサ20Bの出力値が予め記憶され、当該記憶される値に基づいて棒金10の有無が判定されてもよい。なお、上記実施形態は、棒金10を構成する硬貨の金種によって透過率が変動する場合にも有効であり、また判定に用いる値を予め記憶部に記憶させることを要しない。
また、上記実施形態では、現金処理装置100の処理についてフローチャートを参照して説明したが、モールドの別に基づいて棒金10が正確にカウントできれば、説明した処理に限定されず、様々な処理が採用され得る。