JP6739912B2 - 硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置 - Google Patents

硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置 Download PDF

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Description

この発明は、自動販売機、両替機、精算機、券売機、サービス機器等(以下、「自動販売機等」という。)に搭載される硬貨処理装置に関し、特に、コインチューブに収納されている硬貨の枚数を計測する硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置に関する。
従来から、自動販売機等の内部には、投入硬貨の正偽を判別するとともに、正貨とみなされた投入硬貨を金種毎に選別収納し、さらに選別収納された硬貨を釣銭等の額に応じて払い出す硬貨処理装置が搭載されている。図14は、このような硬貨処理装置の概略図である。
この硬貨処理装置1は、大別すると、投入硬貨の正偽を判別するとともに投入硬貨を金種別に振り分けるための硬貨選別装置2と、硬貨選別装置2により振り分けられた投入硬貨を金種毎に収納してそこから釣銭等の額に応じた硬貨を選択して払い出すための硬貨払出装置3とから構成されている。そして、硬貨選別装置2は、投入硬貨の正偽及び金種を判別するための硬貨識別手段4と、この硬貨識別手段4が真正硬貨とみなした硬貨を金種別に振り分ける硬貨振分手段5とを有している。また、硬貨払出装置3は、硬貨選別装置2により金種毎に振り分けられた硬貨をそれぞれ金種毎に積層して収納する複数のコインチューブ6からなる硬貨収納部と、この複数のコインチューブ6からなる硬貨収納部から釣銭等の額に応じた硬貨を選択して払い出すための硬貨払出手段7とを有している。この硬貨払出手段7としては、コインチューブ6に収納された硬貨を、コインチューブ6の最下部に開口したスリット状の孔から、ペイアウトスライドと称されているスライド部材(図示せず)によって一枚ずつ引き出すことにより硬貨を払い出すものが広く採用されている。このペイアウトスライドには、それぞれのコインチューブ6の最下部に対応する部分に、硬貨収容孔が設けられており、この硬貨収容孔に収まった硬貨が引き出されるものとなっている。そして、この硬貨払出手段7は、チェンジスライドと称されているスライド部材(図示せず)によって、ペイアウトスライドの硬貨収容孔に収まった硬貨の下面支持とその解除とを選択的に行うことによって、引き出された硬貨の払い出しと非払い出しとを制御している。また、硬貨払出装置3において、硬貨払出装置3内の硬貨を売上として回収する際に硬貨を取り出しやすくするために、その硬貨収容部6は硬貨処理装置1本体から取り外し可能なカセットになっているのが通常である。
また、従来の硬貨処理装置1では、そのコインチューブの周側壁に、一定枚数(例えば、10枚)以上の硬貨が収納されているか否かを検知するエンプティセンサ(図示せず)と、コインチューブが満杯になったことを検知する満杯検知センサ(図示せず)が備えられており、これによりコインチューブ内に収納されている硬貨のおおよその枚数を把握して、釣銭払い出しの可否を判断するようにしている。しかし、これらのセンサは、硬貨が一定枚数以上積載されているか否かを検知するものであるため、一定の枚数以上収納されているか否かは把握できるが、正確な収納枚数を把握することはできない。そのため、エンプティセンサ及び満杯センサの検出結果のみで釣銭払い出しの可否を判断した場合、エンプティセンサにより硬貨が一定枚数以上積載されていないと判断されると直ちに当該金種は払い出しが不可能であると判断され、実際には釣銭の払い出しが可能であるにもかかわらず、釣銭が必要な購入者に対しての販売が停止されてしまい、商品の販売機会を逃すことになる。そこで、硬貨の収納枚数を把握するために、硬貨処理装置1の制御部において、最低限保障される硬貨の収容枚数が分かっている初期状態(例えば、エンプティセンサにより硬貨が一定レベル以上積載されていると判断される場合において、このときに保証される枚数)から硬貨の受け入れと払い出しをカウントすることにより硬貨の収容枚数を把握することも行われており、これについては特許文献1(特開平11−232521号公報)に開示されている。
しかし、このような従来のエンプティセンサ及び満杯センサを用いた構成では、硬貨収納部を硬貨処理装置1本体から脱着させた場合や、停電等によって硬貨処理装置の電源が切られた後に再起動された場合は、硬貨が一定の枚数以上収納されているか否かしか把握することができなくなり、釣銭が必要な購入者に対しての販売機会を逃すことにつながってしまう。そこで、硬貨収納部に収納されている硬貨の枚数を1枚単位で検知することが可能となれば、硬貨収納部を硬貨処理装置から脱着させた場合や、停電等によって硬貨処理装置の電源が切られた後に再起動された場合などにおいても硬貨収納部に収納されている硬貨の枚数を正確に把握することができるため、釣銭が必要な購入者に対しての販売機会を逃す事態が避けられる。
そこで、硬貨収納部に収納されている硬貨を1枚単位で検知する手段として、コインチューブの側面にプリントコイル(平面状コイル)を配置して、そのプリントコイル(平面状コイル)を含む発振回路の発振周波数を測定することによって硬貨の枚数を検知するものが考えられており、これについては特許文献2(特開2011−175307号公報)及び特許文献3(特開2013−239030号公報)に開示されている。
特開平11−232521号公報 特開2011−175307号公報 特開2013−239030号公報
上述のコインチューブの側面にプリントコイルを配置する手段については、主に、次の3つの問題が存在する。
1つめの問題は、プリントコイルの中央部と上下端部とで検出特性が異なることである。中央部の検出特性は線形であるが、上下端部においてはその線形性から外れ、硬貨1枚当たりの検出精度が劣ってしまう。そのため、プリントコイル下端部をコインチューブ底部に対応するように配置した場合、硬貨が残り少ないときの計数精度が落ちてしまう。この点、プリントコイルの中央部をコインチューブ底部に対応するように配置することも考えられるが、コインチューブの下方に前述の硬貨払出手段が設けられていることから、このような構成とすることは不可能である。2つめの問題は、コインチューブ内で硬貨詰まりが発生しないようにコインチューブの直径が硬貨の直径よりも大きくなっていることから、コインチューブ内における硬貨の水平方向の位置にばらつきが生じ(つまり、各硬貨とプリントコイルとの距離の違いが生じ)、その結果、硬貨1枚あたりのセンサの出力値もばらついてしまうことである。3つめの問題は、隣接するコインチューブに硬貨が収納されていると、その硬貨の影響で正確に硬貨枚数を計数できないことがあることである。
本発明は、上記の問題点を解決することなどを課題とする。具体的には、本発明は、コインチューブに収容された硬貨の枚数を正確に計測することができる硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1の硬貨処理装置は、硬貨を積層して収納するコインチューブと前記コインチューブに収納されている硬貨の枚数を計測するための硬貨枚数計測手段とを有する硬貨処理装置であって、前記硬貨枚数計測手段は、前記コインチューブの周側壁の外側に配置されるプリントコイルと、前記プリントコイルと合わせて共振回路を構成するための発振手段と、前記共振回路の共振周波数を測定するための共振周波数測定手段と、前記共振周波数測定手段によって測定された共振周波数に基づいて前記コインチューブに収納されている硬貨の枚数を算出するための硬貨枚数算出手段と、を備え、前記プリントコイルは、その下端部がコインチューブの底部付近に対応するように配置されるとともに、その下端部の導電領域の幅が前記コインチューブに収納される硬貨の厚さの2枚分以下となっていることを特徴とする。
請求項2の硬貨処理装置は、請求項1に記載の硬貨処理装置であって、前記硬貨枚数計測手段は、前記プリントコイルが前記コインチューブの周側壁の外側に対向して2つ配置され、この対向して配置された2つの前記プリントコイルが同相並列、逆相並列、同相直列又は逆相直列のいずれかの方法で接続されているものであることを特徴とする。
請求項3の硬貨処理装置は、請求項2に記載の硬貨処理装置であって、直線状に並んだ2つ以上の前記コインチューブを有し、前記硬貨枚数計測手段は、前記プリントコイルが前記コインチューブの並びの直線上に配置され、前記プリントコイルが形成されているプリントコイル基板の背面に磁性シートと遮磁板とがこの順番で設けられているものである ことを特徴とする。
請求項4の硬貨処理装置は、請求項1又は2に記載の硬貨処理装置であって、前記コインチューブに収納された硬貨を払い出す硬貨払出手段と、誤った金種の硬貨が前記コインチューブに入金されたこと又は誤った金種の硬貨が前記コインチューブから払い出されたことを検知する誤振分等検知手段と、を有し、前記誤振分等検知手段は、前記共振周波数測定手段によって測定される共振周波数の変化量によって誤振分等の有無を判断するものであることを特徴とする。
本発明によれば、コインチューブに収納された硬貨の枚数を正確に測定することができる。
本発明の第一の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。 本発明の実施形態におけるプリントコイルの形状の一例(角型)を示す図である。 本発明の実施形態におけるプリントコイルの形状の別の例(U型)を示す図である。 10円硬貨(厚さ1.5mm)の収納硬貨枚数と共振周波数の関係を示すグラフであり、(a)は下端部を角型で幅2mmとしたもの(実施例)、(b)は下端部をU型で幅2.5mmとしたもの(実施例)である。 10円硬貨(厚さ1.5mm)の収納硬貨枚数と共振周波数の関係を示すグラフであり、(a)は下端部をU型で幅4mmとしたもの(比較例)、(b)は下端部をU型で幅5.5mmとしたもの(比較例)である。 本発明の第二の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。 本発明の第一の実施形態において、硬貨を意図的に水平方向に大きくばらつかせて配置して硬貨枚数と共振周波数との関係を測定した結果を示す図であり、(a)はその測定結果を示すグラフであり、(b)は硬貨の配置の模式図である。 本発明の第二の実施形態において、硬貨を意図的に水平方向に大きくばらつかせて配置して硬貨枚数と共振周波数との関係を測定した結果を示すグラフであり、(a)は同相並列としたもの、(b)は同相直列としたものである。 本発明の第二の実施形態において、硬貨を意図的に水平方向に大きくばらつかせて配置して硬貨枚数と共振周波数との関係を測定した結果を示すグラフであり、(a)は逆相並列としたもの、(b)は逆相直列としたものである。 本発明の第三の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。 本発明の第三の実施形態におけるプリントコイル基板が配置されたコインチューブの水平断面概略図である。 本発明の第四の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。 本発明の第四の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置において、誤った金種の硬貨の振り分け又は払い出しを検知する処理の一例を説明するフロー図である。 従来の硬貨処理装置の概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。この硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置は、硬貨を積層して収納するコインチューブ6とこのコインチューブ6に収納されている硬貨の枚数を計測する硬貨枚数計測手段8とを有している。そして、その硬貨枚数計測手段8は、そのコインチューブ6の周側壁の外側に配置されたプリントコイル10と、そのプリントコイル10と合わせてLC共振回路を構成するための発振手段12と、そのLC共振回路の共振周波数を測定するための共振周波数測定手段13と、その共振周波数測定手段13によって測定された共振周波数に基づいてそのコインチューブ6に収納されている硬貨の枚数を算出するための硬貨枚数算出手段14とを有している。
プリントコイル10はプリントコイル基板11上に形成されている。発振手段12はコンデンサなどを含む回路によって構成され、共振周波数測定手段13は周波数カウンタなどによって構成されている。硬貨枚数算出手段14は、共振周波数と硬貨枚数の関係を示すデータを記憶している記憶部14bと、この記憶部14bに記憶された共振周波数と硬貨枚数の関係を示すデータと共振周波数測定手段13によって測定された共振周波数とからコインチューブ6に収納されている硬貨の枚数を算出する演算部14aとを有している。共振周波数と硬貨枚数の関係を示すデータは、算出式の係数、または、共振周波数に対応する硬貨枚数を表す換算テーブルなどである。
図2は、この実施形態におけるプリントコイル10の形状の一例を示す図である。プリントコイル基板11上に上下方向に長い長尺状のプリントコイル10が配置されている。このプリントコイル10は、通常のプリントコイルとは異なり、その下端部の導電領域の幅tが狭くなっている。具体的には、プリントコイル10の下端部の導電領域の幅tが検知する硬貨の厚さの2枚分以下となっている。このプリントコイル10は、その下端部がコインチューブ6の底部付近に対応するように配置される。より具体的には、このプリントコイル10は、その下端部の導電領域の幅tに対応する部分の上端がコインチューブ6内で2枚目に積層される硬貨の上面の高さ以下になるように配置される。
なお、この実施形態ではプリントコイル10の下端部の形状が角型となっているが、プリントコイル10の下端部の形状は、下端部の導電領域の幅tが硬貨の厚さの2枚分以下であれば、U型となっていてもかまわない。図3は、下端部をU型としたプリントコイル10の形状を示す図である。
図4及び図5は、10円硬貨(厚さ1.5mm)の収納硬貨枚数と共振周波数との関係を示すグラフであり、図4(a)は下端部を角型で幅2mmとしたもの(実施例)、図4(b)は下端部をU型で幅2.5mmとしたもの(実施例)、図5(a)は下端部をU型で幅4mmとしたもの(比較例)、図5(b)は下端部をU型で幅5.5mmとしたもの(比較例)である。これらのグラフからは、10円硬貨2枚分未満の幅である2mm及び2.5mmでは、硬貨枚数が1枚の部分でも線形性が得られており、10円硬貨2枚分より大きく3枚分未満の幅である4mmでは、収納枚数が1枚の部分で非線形となっており、10円硬貨3枚分より大きく4枚分未満の幅である5.5mmでは、収納枚数が1枚及び2枚の部分で非線形となっていることが見て取れる。このことから、プリントコイル10の下端部の導電領域の幅tを検知する硬貨の厚さの2枚分以下とすることによって、硬貨枚数が1枚の部分でも線形性が得られるようになることが理解できる。また、他の金種の硬貨でも同様の結果が確認されている。
図6は、本発明の第二の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。この実施形態では、コインチューブ6の周側壁の外側に2つのプリントコイル基板11が対向して配置されている。2つのプリントコイル基板11上のプリントコイル10は、同相並列、逆相並列、同相直列又は逆相直列に接続されている。ここで、同相接続とは、2つのプリントコイルから発生する磁界の方向が同じ向きになるような接続のことであり、逆相接続とは、2つのプリントコイルから発生する磁界の方向が逆の向きになるような接続のことである。その他の構成は、第一の実施形態と同じである。
図7は、1つのプリントコイル10を配置した第一の実施形態において、硬貨を意図的に水平方向に大きくばらつかせて配置して硬貨枚数と共振周波数との関係を測定した結果を示す図であり、(a)はその測定結果を示すグラフであり、(b)は硬貨の配置の模式図である。一方、図8及び図9は、対向する2つのプリントコイル10を配置した第二の実施形態において、硬貨を意図的に水平方向に大きくばらつかせて配置して硬貨枚数と共振周波数との関係を測定した結果を示すグラフであり、図8(a)は同相並列としたもの、図8(b)は同相直列としたもの、図9(a)は逆相並列としたもの、図9(b)は逆相直列としたものである。これらのグラフから、対向する2つのプリントコイル10を配置することによって、硬貨位置の水平方向のばらつきによる共振周波数のばらつきが抑えられていることが確認できる。
また、コインチューブ6を傾けて硬貨を一方向へ偏在させて配置して硬貨枚数と共振周波数との関係を測定したところ、2つのプリントコイル10に垂直な2つの方向及び2つのプリントコイル10に平行な2つ方向の計4つの方向のすべてにおいて、その測定結果に有意な差が見られなかった。この理由を探るために、硬貨をプリントコイル10に垂直な方向と平行な方向とに動かして、プリントコイル10と硬貨の間の距離による共振周波数の変化を計測したところ、硬貨をプリントコイル10に垂直な方向へ動かした場合は、急激に共振周波数が変化したが、硬貨をプリントコイル10に平行な方向へ動かした場合は、基準点から数mmの距離においては周波数変化が非常に緩やかであることが確認できた。このことから、2つのプリントコイル10を対向させて配置した場合に硬貨を4方向のいずれに偏在させても測定結果に有意な差が見られなかったのは、2つのプリントコイル10に垂直な方向への偏りについては、2つのプリントコイル10どうしで補完し合っており、2つのプリントコイル10に平行な方向への偏りについては、コインチューブ6内で生じうる1mm程度の変化では出力の変化も少ないためであると考えられる。
これらのことから、コインチューブ6の周側壁の外側に対向する2つのプリントコイル10を配置することによって、硬貨位置の水平方向のばらつきによる共振周波数のばらつきや、硬貨の一方方向への偏在による共振周波数の変化が抑えられることが理解できる。
また、2つのプリントコイル10の接続方法の違いについてみてみると、同相接続と逆相接続との比較では、同相接続の方が硬貨枚数の多い領域における線形性に優れている一方で、硬貨1枚当たりの共振周波数の変化量は逆相接続の方が大きくなっている。また、並列接続と直列接続との比較では、線形性についての違いは見られないが、並列接続の方が共振周波数の変化量が大きくなっている。同相並列、逆相並列、同相直列及び逆相直列の全ての接続方法において硬貨枚数の検知の精度は向上するが、特に、同相並列接続が、硬貨枚数に対する周波数変化の線形性が優れ硬貨1枚当たりの周波数変化が大きいため、好ましい。
図10は、本発明の第三の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。この実施形態では、3つのコインチューブ6が直線状に並んでおり、それぞれのコインチューブ6の周側壁の外側に2つのプリントコイル基板11が対向して配置されている。そして、隣接する2つコインチューブ6の間にプリントコイル基板11が配置されるようになっている。つまり、プリントコイル10は、コインチューブ6の並びの直線上に配置されている。2つのプリントコイル基板11が対向して配置されたコインチューブ6それぞれの構成は、第二の実施形態と同様である。この実施形態においては、発振手段12、共振周波数測定手段13及び硬貨枚数算出手段14は、スイッチング回路などのスイッチング手段15を用いて、順次、LC共振回路の発振、共振周波数の測定又は硬貨枚数の算出を行うコインチューブ6を切り替えるように構成している。この発振手段12、共振周波数測定手段13及び硬貨枚数算出手段14については、その全部又は一部をそれぞれのコインチューブ6に独立させて設けてもよい。
図11は、この実施形態におけるプリントコイル基板11が配置されたコインチューブ6の水平断面概略図である。プリントコイル基板11の背面に磁性シート16と遮磁板17とが設けられている。磁性シート16はフェライトなどの磁性体をシート状にしたものであり、遮磁板17はアルミなどの磁気を遮蔽する性質を有する物質を板状にしたものである。この実施形態では、プリントコイル基板11の背面にフェライトをシート状にした磁性シート16を貼り付け、その磁性シートにアルミ板17を貼り付けている。磁性シート16は、プリントコイル基板11裏面に発生する磁界を収束させ、遮磁板17は、磁界が周囲に漏れないように遮磁する。これによって、隣接するコインチューブ6の硬貨の影響を受けることなく、正確に硬貨枚数を計数できるようになっている。また、隣接するコインチューブ6がないプリントコイル基板11においても、対になるプリントコイル基板11との感度差をなくすために、プリントコイル基板11の背面に磁性シート16と遮磁板17とが設けられている。
なお、この実施形態の硬貨処理装置は3つのコインチューブを有するものであるが、本発明の硬貨処理装置は、コインチューブが3つの場合に限定されず、コインチューブを2つ有するものであってもよいし、4つ以上有するものであってもよい。
上述の各実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置によれば、コインチューブ6に収納された硬貨の枚数を正確に測定することが可能である。
図12は、本発明の第四の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置の模式図である。この実施形態の硬貨処理装置の構造は、硬貨枚数計測手段8と誤振分等検知手段9とを有する点を除いて、前述した従来の硬貨処理装置1の構造と同様である。
この誤振分等検知手段9は、コインチューブ6に誤った金種が振り分けられたこと、または、コインチューブ6から誤った金種が払い出されたことを検知する手段である。硬貨処理装置が運用される場合において、入金の際にコインチューブ6に誤った金種の硬貨が振り分けられてしまったり、硬貨の補充の際に誤った金種の硬貨が収納されてしまったりすることがある。このようなことが起こるのは非常にまれなことではあるが、実際に起こってしまった場合にその事態を検知できるようになると非常に有用である。この硬貨処理装置では、次の段落で説明する原理に従って、硬貨の振り分け及び払い出しの前後の共振周波数の変化を監視することによって、コインチューブ6に誤った金種の硬貨が振り分けられたこと、または、コインチューブ6から誤った金種の硬貨が払い出されたことを検知することが可能となっている。
本発明では硬貨の厚さを共振周波数で検知しており、また、硬貨1枚当たりの共振周波数の変化量は硬貨の素材にも依存する。そのため、厚さ及び素材によって硬貨を分類することが可能となる。日本国の硬貨においては、1円硬貨(厚さ1.5mmのアルミニウム)、5円硬貨(厚さ1.5mmの黄銅)及び10円硬貨(厚さ1.5mmの青銅)からなるグループAと、50円硬貨(厚さ1.7mmの白銅)及び100円硬貨(厚さ1.7mmの白銅)からなるグループBと、500円硬貨(厚さ1.8mmのニッケル黄銅)からなるグループCとの3つのグループに分類できる。例えば、ある特定の構成の硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブ6を用いた場合の硬貨1枚当たりの共振周波数の変化量は、グループAでは約4.5kHzとなり、グループBでは約3.75kHzとなり、グループCでは約5kHzとなる。この性質を利用することによって、コインチューブ6に誤った金種の硬貨が振り分けられたことと、コインチューブ6から誤った金種の硬貨が払い出されたこととを検知すること可能となる。例えば、10円硬貨のコインチューブ6に硬貨が振り分けられた場合、正常であれば硬貨が振り分けられる前後での共振周波数の変化量は約4.5kHzであるはずだが、それ以外であればグループB又はCの硬貨が誤って振り分けられたことが検知できる。また、10円硬貨のコインチューブ6から硬貨を1枚払い出した場合、正常であれば硬貨を払い出す前後での共振周波数の変化量は約4.5kHzであるはずだが、それ以外であればグループB又はCの硬貨が誤って収納されており、その硬貨が払い出されたことが検知できる。
図13は、本発明の第四の実施形態の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置において、誤った金種の硬貨の振り分け又は払い出しを検知する処理の一例を説明するフロー図である。この処理においては、最初に、共振周波数測定手段13によってコインチューブ6の共振周波数の測定を行い、その測定データ(F0)を記憶部9bに記憶する(S1)。次に、コインチューブ6への硬貨の振り分け及びコインチューブからの払い出しの監視を始める(S2、S3)。そして、コインチューブ6からの払い出しが確認されると、共振周波数測定手段13によって払い出し後の共振周波数を測定し、その測定データ(F1)を記憶部9bに記憶する(S4)。次に、演算部9aにおいて、記憶部9bに記憶されている測定データ(F0、F1)を用いて、払い出しの前後での共振周波数差分(X)を算出する(S5)。その後、共振周波数差分(X)がコインチューブ6に収納されているべき硬貨の共振周波数の変化量と同じであるか否かの判断を行い(S7)、共振周波数差分(X)がコインチューブに収納されているべき硬貨の共振周波数の変化量と異なる場合は、硬貨処理装置1の主制御に対して、コインチューブ6から誤った金種が払い出されたことを通知する(S10)。また、コインチューブ6への硬貨の振り分け及びコインチューブ6からの払い出しの監視を始めている段階において(S2、S3)、コインチューブ6への振り分けが確認されると、共振周波数測定手段13によって振り分け後の共振周波数を測定し、その測定データ(F2)を記憶部9bに記憶し(S8)、演算部9aにおいて振り分けの前後での共振周波数差分(X)を算出する(S9)。次に、演算部9aにおいて、記憶部9bに記憶されている測定データ(F0、F2)を用いて、振り分けの前後での共振周波数差分(X)を算出する(S5)。その後、共振周波数差分(X)がコインチューブ6に収納されているべき硬貨の共振周波数の変化量と同じであるか否かの判断を行い(S7)、共振周波数差分(X)がコインチューブ6に収納されているべき硬貨の共振周波数の変化量と異なる場合は、硬貨処理装置1の主制御に対して、コインチューブ6に誤った金種が入金されたことを通知する(S10)。
この実施形態の硬貨処理装置によれば、コインチューブ6に収納されている硬貨の枚数を正確に測定することが可能であるとともに、コインチューブ6に誤った金種が振り分けられたことと、コインチューブ6から誤った金種が払い出されたこととを検知することが可能である。
なお、この実施形態の硬貨処理装置は硬貨の振り分け及び払い出しの両方の場面において硬貨の誤振分等を検知するものであるが、本発明の硬貨処理装置は、これに限定されず、硬貨の振り分けのときのみに誤振分を検知するものであってもよいし、硬貨の払い出しのときのみに誤払出を検知するものであってもよい。
また、この実施形態の硬貨処理装置は5つのコインチューブを有するものであるが、本発明の硬貨処理装置は、コインチューブが5つの場合に限定されず、コインチューブを1つだけ有するものであってもよいし、2から4つ又は6つ以上有するものであってもよい。コインチューブを1つだけ有するものである場合においては、硬貨振分手段を有さない構成とすることも可能であり、その場合には、硬貨がコインチューブに入金されたことを検知する硬貨入金検知手段を設け、その硬貨入金検知手段によって硬貨の入金が検知された際の共振周波数差分から誤入金を検知することになる。
以上、本発明の実施形態のいくつかについて説明したが、本発明の硬貨枚数計測手段を備えた硬貨処理装置はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成の中で種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1 硬貨処理装置
2 硬貨選別装置
3 硬貨払出装置
4 硬貨識別手段
5 硬貨振分手段
6 コインチューブ
7 硬貨払出手段
8 硬貨枚数計測手段
9 誤振分等検知手段
10 プリントコイル
11 プリントコイル基板
12 発振手段
13 共振周波数測定手段
14 硬貨枚数算出手段
15 スイッチング手段
16 磁性シート
17 遮磁板
C 硬貨

Claims (4)

  1. 硬貨を積層して収納するコインチューブと前記コインチューブに収納されている硬貨の枚数を計測するための硬貨枚数計測手段とを有する硬貨処理装置であって、
    前記硬貨枚数計測手段は、
    前記コインチューブの周側壁の外側に配置されるプリントコイルと、
    前記プリントコイルと合わせて共振回路を構成するための発振手段と、
    前記共振回路の共振周波数を測定するための共振周波数測定手段と、
    前記共振周波数測定手段によって測定された共振周波数に基づいて前記コインチューブに収納されている硬貨の枚数を算出するための硬貨枚数算出手段と、を備え、
    前記プリントコイルは、その下端部がコインチューブの底部付近に対応するように配置されるとともに、その下端部の導電領域の幅前記コインチューブに収納される硬貨の厚さの2枚分以下とし、その下端部の導電領域の幅に対応する部分の上端が前記コインチューブ内で2枚目に積層される硬貨の上面の高さ以下になるように配置される
    ことを特徴とする硬貨処理装置。
  2. 請求項1に記載の硬貨処理装置であって、
    前記硬貨枚数計測手段は、前記プリントコイルが前記コインチューブの周側壁の外側に対向して2つ配置され、この対向して配置された2つの前記プリントコイルが同相並列、逆相並列、同相直列又は逆相直列のいずれかの方法で接続されているものである
    ことを特徴とする硬貨処理装置。
  3. 請求項2に記載の硬貨処理装置であって、
    直線状に並んだ2つ以上の前記コインチューブを有し、
    前記硬貨枚数計測手段は、前記プリントコイルが前記コインチューブの並びの直線上に配置され、前記プリントコイルが形成されているプリントコイル基板の背面に磁性シートと遮磁板とがこの順番で設けられているものである
    ことを特徴とする硬貨処理装置。
  4. 請求項1又は2に記載の硬貨処理装置であって、
    前記コインチューブに収納された硬貨を払い出す硬貨払出手段と、
    誤った金種の硬貨が前記コインチューブに入金されたこと又は誤った金種の硬貨が前記コインチューブから払い出されたことを検知する誤振分等検知手段と、
    を有し、
    前記誤振分等検知手段は、前記共振周波数測定手段によって測定される共振周波数の変化量によって誤振分等の有無を判断するものである
    ことを特徴とする硬貨処理装置。
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