本発明の一実施形態に係る現金管理装置を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る現金管理装置10は、店舗の係員側スペースに設置されて係員により取り扱われるものであり、より窓口カウンタに近い位置で主に小束紙幣および棒金を入出庫可能に収納するものである。
現金管理装置10は、箱型の現金管理装置本体11と、この現金管理装置本体11に上下方向に複数段具体的には8段設けられた収納庫12とを有している。これら収納庫12は、その左右側壁に設けられたスライドレール13を介して現金管理装置本体11に対して水平方向に沿ってスライド開閉可能となっている。これら収納庫12は、前方に引き出されて開状態となり、後方に押し込まれて閉状態となり、このように前後方向にのみ所定範囲で移動可能となるように現金管理装置本体11に連結されている。これら収納庫12は、開状態で現金が出し入れ可能となる一方、閉状態では現金の出し入れが不可となる。
複数段の収納庫12のうち、最も上側のものは、バラ貨幣収納庫12(a)となっており、結束されていないバラ紙幣、包装されていないバラ硬貨、汚損紙幣や汚損硬貨、金券等を収納する。また、残りの収納庫12は、上側4段が小束紙幣を収納する小束収納庫12(b)となっており、下側3段が棒金を収納する棒金収納庫12(c)となっている。勿論、収納庫12の全体の数や、そのうちの小束収納庫12(b)および棒金収納庫12(c)の個々の数等は任意に設定可能であり、例えば、バラ貨幣収納庫12(a)以外の全てを、小束収納庫12(b)としたり、棒金収納庫12(c)としたりすることも勿論可能である。
現金管理装置本体11の上部には、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う操作表示部15と、データを印字により出力するプリンタ16とが設けられている。操作表示部15は、操作者に対して操作ガイダンス等の情報やアラームを表示する表示部17(表示手段)と、操作者のIDカードを走査するカードリーダ18と、操作者により操作される操作キーボード19(操作手段)と、操作者に対して操作ガイダンス等の音声やアラーム音を出力する音声発生部20とを有している。
現金管理装置本体11には、全ての収納庫12のそれぞれに対して、収納庫12を閉状態で個別にロックする図2に示すロック機構22が設けられている。言い換えれば、ロック機構22は、複数の収納庫12のそれぞれに設けられて収納庫12を現金管理装置本体11に閉状態でロックする。現金管理装置本体11には、図1に示す複数の収納庫12のそれぞれの側方に、ロック機構22のロック解除時のみ点灯する表示灯23が設けられている。
現金管理装置本体11には、図2に示すように、操作表示部15、プリンタ16、ロック機構22および表示灯23に接続されてこれらを制御する制御部25(制御手段)と、収納しているバラ紙幣、バラ硬貨、棒金および小束紙幣のそれぞれの数量情報および種類情報や処理関連のデータ等を記憶する記憶部26とが設けられている。制御部25は、複数のロック機構22のロックを個別に解除可能となっており、記憶部26を用いて複数の収納庫12の現金の収納量つまり在り高を個別に管理する。
収納庫12は、図3に示すように、取っ手30が中央に設けられた前板部31と、前板部31の左右両側から後方に延出する一対の側板部32と、一対の側板部32の後端部同士を連結する後板部33とを有する枠体34を有している。この枠体34は、図3に示す小束収納庫12(b)と図4に示す棒金収納庫12(c)とで共通となっている。
図3に示すように、小束収納庫12(b)は、結束された小束紙幣Tを入出庫可能に収納するもので、上記した枠体34内に固定される複数、具体的には前後に5つ左右に2列の合成樹脂製の小束トレイ40を有している。小束紙幣Tは、単一金種の紙幣(貨幣)を所定枚数(100枚)集積し、規定位置に結束テープtを巻回して、この結束テープtを接着することで形成されるものである。
各小束トレイ40は、機体前後方向に対し直交して立設された前壁部41と、機体前後方向に対し直交して立設された後壁部42と、機体左右方向に対し直交して立設された左右一対の側壁部43と、これらで囲まれた部分の下部を閉塞する水平に沿う底部44とを有し、上方に開口し下方に凹む形状をなすトレイ本体45と、トレイ本体45の底部44に、前壁部41および後壁部42と平行を維持しつつ前後移動可能に設けられた札押さえ板46と、札押さえ板46を後壁部42に向けて付勢する図示略の付勢部材とを有している。トレイ本体45の底部44には、札押さえ板46のスライドを案内するスライド溝47と、小束紙幣Tのセット検知用のセンサ溝48とが、前後方向に延在し上下方向に貫通するように形成されている。
各小束トレイ40には、小束紙幣Tが、その長辺方向を左右にし短辺方向を上下にし厚さ方向を前後にした立位状態で、上方から挿入されることになり、小束紙幣Tは、この立位状態のまま、底部44に載置され、後壁部42と札押さえ板46とに挟持されて収納されることになる。小束トレイ40には、小束紙幣Tが1束から10束まで収納可能であり、複数の小束紙幣Tは、上記立位状態のまま前後方向に重ねられて後壁部42と札押さえ板46とに挟持されることになる。つまり、小束トレイ40には、後壁部42と、札押さえ板46と、一対の側壁部43と、底部44とで、下方に凹む上方開口形状の束収納凹部49が形成されることになり、小束紙幣Tは、束収納凹部49にその上部開口を介して上方から挿入されて収納される。
なお、各小束トレイ40は、それぞれ予め設定された単一金種の小束紙幣Tのみが束収納凹部49に収納されるように決められており、よって、小束収納庫12(b)には、小束紙幣Tの収納位置である束収納凹部49が金種毎に規定されている。
各小束トレイ40の束収納凹部49を構成する一対の側壁部43間の幅は、収納対象金種の小束紙幣Tの長さよりも若干広い幅となっている。また、各小束トレイ40の束収納凹部49を構成する底部44の高さは、いずれの小束トレイ40においても収納対象金種の小束紙幣Tを載置した場合にその上端部の小束収納庫12(b)での上端部の高さ位置が一定するように設定されている。つまり、高さ(短辺方向長さ)が低い小束紙幣Tを収納する小束トレイ40は、これが配置された小束収納庫12(b)での底部44の高さ位置が高くなっており、高さが高い小束紙幣Tを収納する小束トレイ40は、これが配置された小束収納庫12(b)での底部44の高さ位置が低くなっている。ただし、各束収納凹部49の底部44までの深さは、収納した小束紙幣Tを取り出し容易とすべく上方に突出させるように設定されている。各束収納凹部49には、それぞれの側壁部43の上面に、収納対象の金種を目視可能に明示する金種明示部50が設けられている。なお、日本国内で流通する紙幣の場合は、全種類、高さが一定であることから、全ての小束トレイ40の小束収納庫12(b)における底部44の高さ位置も一定となる。各小束トレイ40に収納すべき設定金種を示す収納金種データは、予め設定されて記憶部26に記憶されることになる。
図4に示すように、棒金収納庫12(c)は、単一金種の硬貨(貨幣)が所定枚数(50枚)集積されて包装紙で包装されてなる棒金Bを入出庫可能に収納するもので、上記した枠体34内に固定される複数、具体的には、前後に金種径に応じて6つまたは5つ、左右に4列の合成樹脂製の棒金トレイ55を有している。
棒金トレイ55は、棒金Bが中心軸線を上下にした立位状態で収納されるものである。棒金トレイ55は、円筒を一部切り取った形状の湾曲面56を、複数具体的には左側の3カ所と右側の3カ所と前端1カ所と後端1カ所の8カ所に有する鉛直方向に沿う壁部57と、壁部57の下部を閉塞する水平方向に沿う底部58とを有している。壁部57および底部58は、下方に凹む上方開口形状の棒金収納凹部59を構成している。湾曲面56は左側の3カ所が左右方向の位置を合わせており、右側の3カ所も左右方向の位置を合わせている。左右前端の湾曲面56は前後方向の位置を合わせており、中央前端の湾曲面56はこれらよりも前側に配置されている。左右後端の湾曲面56は前後方向の位置を合わせており、中央後端の湾曲面56はこれらよりも後側に配置されている。
これにより、棒金トレイ55の棒金収納凹部59には、左側に3本の棒金Bが左右方向の位置を合わせて前後1列に並べられ、右側に3本の棒金Bが左右方向の位置を合わせて前後1列に並べられ、左右方向の中央に4本の棒金Bが左右方向の位置を合わせて前後1列に並べられ、合計10本の棒金Bが収納されるようになっている。左右の棒金Bは前後方向の位置を互いに合わせており、中央の棒金Bは、これらに対して前後方向の位置をずらしている。棒金Bは、棒金収納凹部59に、その上部開口を介して上方から挿入されることになり、棒金収納凹部59の壁部57および他の棒金Bで支持されて中心軸線を鉛直配置した立位状態に維持される。
底部58には、各湾曲面56と同心をなす8カ所と、これらの内側の前後2カ所とに、各棒金Bを載置させる円筒状の載置台部60が上方に突出するように形成されている。載置台部60の外径は、棒金Bの包装紙の加締部の内径よりも小さくされており、載置台部60の突出高さは加締部の硬貨からの突出高さよりも高くなっている。これにより、載置台部60は、棒金Bの加締部を逃げて硬貨部分を直接支持するようになっている。載置台部60の内側は、棒金Bのセット検知用の、上下に貫通する貫通孔61となっている。載置台部60およびその内側の貫通孔61も、左側の3カ所が左右方向の位置を合わせて前後1列に並べられており、中央の4カ所が左右方向の位置を合わせて前後1列に並べられていて、右側の3カ所が左右方向の位置を合わせて前後1列に並べられている。
なお、各棒金トレイ55の棒金収納凹部59は、それぞれ予め設定された単一金種の棒金Bのみが収納されるように決められている。言い換えれば、棒金収納庫12(c)には、金種毎に棒金Bの収納位置である棒金収納凹部59が規定されている。各棒金トレイ55の棒金収納凹部59の湾曲面56の径は、収納対象金種の棒金Bの外径よりも若干大径となっている。また、載置台部60の外径は、収納対象金種の棒金Bの加締部の内径よりも若干小さくされており、載置台部60の突出高さは収納対象金種の棒金Bの加締部の硬貨からの突出高さよりも若干高くなっている。加えて、載置台部60の高さ位置は、いずれの棒金トレイ55においても収納対象金種の棒金Bを載置した場合にその上端部の棒金収納庫12(c)での高さ位置が一定するように設定されている。つまり、長さが短い棒金Bを収納する棒金トレイ55は、これが配置された棒金収納庫12(c)での載置台部60の高さ位置が高く、長さが長い棒金Bを収納する棒金トレイ55は、これが配置された棒金収納庫12(c)での載置台部60の高さ位置が低くなっている。ただし、各棒金収納凹部59の載置台部60までの深さは、収納した棒金Bを取り出し容易とすべく上方に突出させるように設定されている。各棒金トレイ55には、それぞれの棒金収納凹部59より外側の上面に、収納対象の金種を目視可能に明示する金種明示部62が設けられている。各棒金トレイ55に収納すべき設定金種を示す収納金種データは、予め設定されて記憶部26に記憶されることになる。
ここで、左右方向における同列に配置されて前後に並ぶ棒金トレイ55は、全て収納対象金種が同一金種となっており、各列の最も前側の棒金トレイ55は、収納本数が不足した状態でも棒金Bを倒さずに収納可能な端数用となっている。そして、端数用の棒金トレイ55には、図5に示すように、棒金Bの転倒防止用の複数具体的には10本の補助棒63が隣り合う載置台部60の間位置に立設されており、端数用であることを明示する端数明示部64が棒金収納凹部59より外側に形成されている。10本の補助棒63は、棒金収納凹部59の中央の前後の載置台部60を、2本共通でそれぞれを6本が囲むように配置されている。これにより、各湾曲面56の内側に同軸に配置される棒金Bは、湾曲面56とこれに対向する2本あるいは3本の補助棒63とで単独でも立位状態に維持されることになり、棒金収納凹部59の中央位置に配置される棒金Bは、それぞれ6本の補助棒63で単独でも立位状態に維持されることになる。その結果、最も前側の棒金トレイ55の棒金Bは、他の棒金Bがなくても転倒が防止され立位状態に維持されるようになっている。
ここで、最も前側を除く棒金トレイ55には必ず棒金Bを満杯状態つまり10本収納し、棒金Bを満杯状態以外で収納する場合には、最も前側の棒金トレイ55に収納することがルール化されており、操作者である係員は、最も前側の棒金トレイ55から棒金Bを必要数だけ取り出し、最も前側の棒金トレイ55が空になり、その後側の棒金トレイ55から棒金Bを取り出す場合には、この後側の棒金トレイ55の残りの端数の棒金Bを、最も前側の棒金トレイ55に移載するようになっている。
図6に示すように、現金管理装置本体11の各小束収納庫12(b)が挿入される小束収納庫挿入空間形成部65の下部の前端部には、図3に示す小束収納庫12(b)の左右2列の小束トレイ40のそれぞれのセンサ溝48の直ぐ下側となる位置に、センサ溝48を介して小束紙幣Tのセット検知を行う光学反射型の小束セット検知センサ66が位置固定で設けられている。なお、各センサ溝48は、束収納凹部49における小束紙幣Tの結束テープtが所定の一側(左側)にあるときの、結束テープtの位置に合わせて形成されており、よって、各小束セット検知センサ66も、図7(A)に示すように、束収納凹部49における小束紙幣Tの結束テープtが所定の一側(左側)にあるときの、結束テープtの位置に合わせて配置されている。なお、センサ溝48は他側である右側にあっても、左右両側にあっても良く、いずれの場合であっても、小束セット検知センサ66はセット検知だけではなく、帯である結束テープtの検出センサの補助としても機能する。例えば、左側に小束セット検知センサ66があったときに、結束テープtも左側にあれば、小束セット検知センサ66がその結束テープtも検出でき、逆に結束テープtが右側であれば、小束セット検知センサ66が左側に結束テープtがないことを検出できる。
また、図6に示すように、現金管理装置本体11の各小束収納庫12(b)が挿入される小束収納庫挿入空間形成部65の上部の前端部には、小束収納庫12(b)の左右2列の小束トレイ40のそれぞれの上方近接位置に、図7(B)にも示すように、小束紙幣Tの左端位置を検出する左端検出ラインセンサ67、小束紙幣Tの左側に結束テープtつまり帯がある場合にこれを検出する左側帯検出ラインセンサ68、小束紙幣Tの右側に結束テープtがある場合にこれを検出する右側帯検出ラインセンサ69および小束紙幣Tの右端位置を検出する右端検出ラインセンサ70の4つのセンサが位置固定で設けられている。左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70は検出素子を左右方向に並べた光学反射型のラインセンサとなっている。
小束セット検知センサ66は、1つの小束収納庫12(b)に対し左右方向に並べられて2個設けられ、また、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70の組が、1つの小束収納庫12(b)に対し左右方向に並べられて2組設けられている。
小束セット検知センサ66は、発光素子が検出方向を上方に向けており、上方に発光した光の上方からの反射光を対応する受光素子で受光するようになっている。その結果、各小束収納庫12(b)のそれぞれの直ぐ下に設けられた小束セット検知センサ66が、これらの直ぐ上で前後にスライドする小束収納庫12(b)の各束収納凹部49に収納された小束紙幣Tの下端部の反射光データである貨幣検出反射データをセンサ溝48を介して取得することになる。
左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70は、各発光素子が検出方向を下方に向けており、下方に発光した光の下方からの反射光を対応する受光素子で受光するようになっている。その結果、各小束収納庫12(b)のそれぞれの直ぐ上に設けられた左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70が、これらの直ぐ下で前後にスライドする小束収納庫12(b)の各束収納凹部49に収納された小束紙幣Tの上端部の反射光データである貨幣検出反射データを取得することになる。
なお、検出対象となる小束収納庫12(b)が最も現金管理装置本体11から引き出されて図示略の前端位置ストッパに当接し停止する前端位置から最も現金管理装置本体11に押し込まれて図示略の後端位置ストッパに当接し停止する後端位置まで移動すると、小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70は、検出対象となる小束収納庫12(b)の各束収納凹部49の前後方向の全範囲を検出できるようになっている。小束セット検知センサ66は、小束収納庫12(b)の開閉に伴って通過する、この小束収納庫12(b)内の小束紙幣Tの下端部から貨幣検出反射データを取得することになり、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70は、小束収納庫12(b)の開閉に伴って通過する、この小束収納庫12(b)内の小束紙幣Tの上端部から貨幣検出反射データを取得することになる。
ここで、制御部25は、小束セット検知センサ66の貨幣検出反射データから、反射光量が多いセンサ溝48上の紙幣あるいは結束テープtと、紙幣がなく反射光量が少なくなる他の部分(センサ溝48上の空間、センサ溝48以外の部分)とを区別することで、小束紙幣Tが収納されている範囲を検出する。
小束紙幣Tには、一束ずつに結束テープtが巻回されており、この結束テープtが上端部にも存在することから、制御部25は、左側帯検出ラインセンサ68および右側帯検出ラインセンサ69の貨幣検出反射データから、反射光量が多い結束テープtと、結束テープtが巻回されず反射光量が少なくなる紙幣部分と、紙幣がなく反射光量がさらに少なくなる他の部分(束収納凹部49内外の空間)とを区別することになる。
また、制御部25は、左側帯検出ラインセンサ68および右側帯検出ラインセンサ69の貨幣検出反射データから、隣り合う小束紙幣Tの結束テープtと結束テープtとの間の反射光量が少なくなる部分や、隣り合う小束紙幣Tの結束テープtと紙幣との間の反射光量が少なくなる部分を検出することで、隣り合う小束紙幣Tの間部分を検出する。
さらに、制御部25は、左端検出ラインセンサ67および右端検出ラインセンサ70の貨幣検出反射データから、反射光量が多い紙幣部分と、紙幣がなく反射光量が少なくなる他の部分(束収納凹部49内外の空間)とを区別することで、紙幣部分の端部を検出した各受光素子の位置から小束紙幣Tの長さ方向の両端部の位置を検出する。
制御部25は、後述するロータリエンコーダ88で検知ディスク87のスリットを検知する毎に小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70のそれぞれの貨幣検出反射データを取り込むことになり、取り込んだそれぞれの貨幣検出反射データを、後述するロータリエンコーダ88の開閉位相データに基づいて、例えば所定の一定開閉速度での貨幣検出反射データに補正する。
そして、制御部25は、小束セット検知センサ66で小束紙幣Tが検出されている範囲を基準として検出範囲を設定し、この検出範囲における、左側帯検出ラインセンサ68および右側帯検出ラインセンサ69の補正後の貨幣検出反射データと、記憶部26に記憶された小束紙幣T用の数量マスタデータとを照合することで、小束収納庫12(b)内の小束紙幣Tの数量である数量検出データを取得する。例えば、補正後の貨幣検出反射データの中で、一つの結束テープtと判断できる、数量マスタデータの結束テープ判断基準光量データ以上の光量があり且つ数量マスタデータの結束テープ判断基準面積データ以上の纏まった面積を有する結束テープ部分を数えて、これを小束紙幣Tの数量である数量検出データとする。勿論、制御部25は、小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70の左側の組と、小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70の右側の組とのそれぞれについて、別々に、小束紙幣Tの数量検出データを取得する。
また、制御部25は、上記検出範囲における、左端検出ラインセンサ67および右端検出ラインセンサ70の補正後の貨幣検出反射データと、記憶部26に記憶された金種マスタデータとを照合することで、小束収納庫12(b)内の小束紙幣Tの金種である金種検出データを取得する。例えば、左端検出ラインセンサ67および右端検出ラインセンサ70の補正後の貨幣検出反射データの中で、上記のように検出した結束テープ部分と前後方向位置が同じ部分のデータから、光量が金種マスタデータの紙幣判断基準光量データ以上となる部分と未満となる部分との境界位置を割り出し、左右両側の境界位置間の長さを、金種マスタデータの金種基準長さデータと比較して、許容範囲内で一致する金種基準長さデータに対応する金種を、この結束テープ部分に対応する小束紙幣Tの金種とする金種検出データを取得する金種判断を行う。勿論、制御部25は、小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70の左側の組と、小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70の右側の組とのそれぞれについて、別々に、小束紙幣Tの金種検出データを取得する。
図8に示すように、現金管理装置本体11の各棒金収納庫12(c)が挿入される棒金収納庫挿入空間形成部75の下部の前端部には、棒金収納庫12(c)の左右4列の棒金トレイ55のそれぞれの3列の貫通孔61の直ぐ下側となる位置に、左右方向に同列で前後方向に並ぶ貫通孔61を介して棒金Bのセット検知を行う光学反射型の棒金セット検知センサ76が位置固定で設けられている。
また、現金管理装置本体11の各棒金収納庫12(c)が挿入される棒金収納庫挿入空間形成部75の上部の前端部には、棒金収納庫12(c)の左右4列の棒金トレイ55のそれぞれの3列の載置台部60の上方近接位置に、左右方向に同列で前後方向に並ぶ棒金Bの上端部を検出する、検出素子を左右方向に並べた光学反射型の棒金検出ラインセンサ77が、それぞれ位置固定で設けられている。
つまり、棒金セット検知センサ76は、図9(A)にも示すように、1つの棒金収納庫12(c)に対し左右方向に並べられて12カ所設けられ、棒金検出ラインセンサ77は、図9(B)にも示すように、1つの棒金収納庫12(c)に対し左右方向に並べられて12カ所設けられている。
棒金セット検知センサ76は、発光素子が検出方向を上方に向けており、上方に発光した光の上方からの反射光を対応する受光素子で受光するようになっている。その結果、各棒金収納庫12(c)のそれぞれの直ぐ下に設けられた棒金セット検知センサ76が、これらの直ぐ上で前後にスライドする棒金収納庫12(c)の各棒金収納凹部59に収納された棒金Bの下端部の反射光データである貨幣検出反射データを貫通孔61を介して取得することになる。
棒金検出ラインセンサ77は、各発光素子が検出方向を下方に向けており、下方に発光した光の下方からの反射光を対応する受光素子で受光するようになっている。その結果、各棒金収納庫12(c)のそれぞれの直ぐ上に設けられた棒金検出ラインセンサ77が、これらの直ぐ下で前後にスライドする棒金収納庫12(c)の各棒金収納凹部59に収納された棒金Bの上端部の反射光データである貨幣検出反射データを取得することになる。
なお、検出対象となる棒金収納庫12(c)が最も現金管理装置本体11から引き出されて図示略の前端位置ストッパに当接し停止する前端位置から最も現金管理装置本体11に押し込まれて図示略の後端位置ストッパに当接し停止する後端位置まで移動すると、棒金セット検知センサ76および棒金検出ラインセンサ77は、検出対象となる棒金収納庫12(c)の各棒金収納凹部59の前後方向の全範囲を検出できるようになっている。棒金セット検知センサ76は、棒金収納庫12(c)の開閉に伴って通過する、この棒金収納庫12(c)内の棒金Bの下端部から貨幣検出反射データを取得することになり、棒金検出ラインセンサ77は、棒金収納庫12(c)の開閉に伴って通過する、この棒金収納庫12(c)内の棒金Bの上端部から貨幣検出反射データを取得することになる。
ここで、制御部25は、棒金セット検知センサ76の貨幣検出反射データから、反射光量が多い貫通孔61上の棒金Bと、棒金Bがなく反射光量が少なくなる他の部分(貫通孔61上の空間、貫通孔61以外の部分)とを区別することで、棒金Bが収納されている範囲を検出する。
また、制御部25は、棒金検出ラインセンサ77の貨幣検出反射データから、反射光量が多い棒金Bと、反射光量が少なくなる他の部分(棒金収納凹部59内外の空間)とを区別することになり、棒金Bの他の部分との境界位置である外周部を検出した各受光素子の位置から棒金Bの外周部の位置を検出する。また、棒金Bの反射光量から金種を識別することになり、反射光量が少なくなる他の部分のうち、形状、大きさおよび外周部に対する位置から棒金B内の孔であるか否かを識別することになる。
制御部25は、後述するロータリエンコーダ88で検知ディスク87のスリットを検知する毎に棒金セット検知センサ76および棒金検出ラインセンサ77のそれぞれの貨幣検出反射データを取り込むことになり、取り込んだそれぞれの貨幣検出反射データを、後述するロータリエンコーダ88の開閉位相データに基づいて、例えば所定の一定開閉速度での貨幣検出反射データに補正する。
そして、制御部25は、棒金セット検知センサ76で棒金Bが検出されている範囲を基準として検出範囲を設定し、この検出範囲における、棒金検出ラインセンサ77の補正後の貨幣検出反射データと、記憶部26に記憶された棒金B用の数量マスタデータとを照合することで、棒金収納庫12(c)内の棒金Bの数量である数量検出データを取得する。例えば、棒金検出ラインセンサ77の補正後の貨幣検出反射データの中で、一つの棒金Bと判断できる、数量マスタデータの棒金判断基準光量データ以上の光量があり且つ数量マスタデータの棒金判断基準面積データ以上の纏まった面積を有する棒金部分を数えて、これを棒金Bの数量である数量検出データとする。勿論、制御部25は、棒金セット検知センサ76および棒金検出ラインセンサ77の各組それぞれについて、別々に、棒金Bの数量検出データを取得する。
また、制御部25は、上記検出範囲における、棒金検出ラインセンサ77の補正後の貨幣検出反射データと、記憶部26に記憶された金種マスタデータとを照合することで、棒金収納庫12(c)内の棒金Bの金種である金種検出データを取得する。例えば、棒金検出ラインセンサ77の補正後の貨幣検出反射データの中で、上記のように検出し棒金部分と前後方向位置が同じ部分のデータから、光量が金種マスタデータの棒金判断基準光量データ以上となる部分と未満となる部分との境界位置を割り出して、棒金Bの外径および孔の有無を求め、これらと棒金部分の貨幣検出反射データの反射光量とを金種マスタデータの金種基準データと比較して、許容範囲内で一致する金種基準データに対応する金種を、この棒金部分に対応する棒金Bの金種とする金種検出データを取得する金種判断を行う。勿論、制御部25は、左右方向の位置が合う棒金セット検知センサ76および棒金検出ラインセンサ77の各組それぞれについて、別々に、棒金Bの金種検出データを取得する。
制御部25は、一の小束収納庫12(b)内に収納された小束紙幣Tに関する数量検出データおよび金種検出データを総合して、この小束収納庫12(b)内の在り高(小束紙幣Tの各金種別の束数、合計金額等)を管理する。また、制御部25は、一の棒金収納庫12(c)内に収納された棒金Bに関する数量検出データおよび金種検出データを総合して、この棒金収納庫12(c)内の在り高(棒金Bの各金種別の本数、合計金額等)を管理する。バラ貨幣収納庫12(a)の在り高については、バラ貨幣収納庫12(a)へのバラ紙幣、バラ硬貨の入出庫を含む入出庫取引の際に、操作キーボード19を介して入力される、バラ紙幣の入庫数、バラ紙幣の出庫数、バラ硬貨の入庫数およびバラ硬貨の出庫数等に基づいて管理する。
現金管理装置本体11には、全ての小束収納庫挿入空間形成部65および全ての棒金収納庫挿入空間形成部75のそれぞれの前端位置と後端位置とに、図10に示すように、支持軸81,82を介して歯付プーリ83,84が位置固定で回転可能に設けられており、後端の歯付プーリ84の上側にも、支持軸85を介して歯付プーリ86が位置固定で回転可能に設けられている。支持軸85には、所定の等間隔でスリットが形成された検知ディスク87が歯付プーリ86と一体回転するように設けられており、現金管理装置本体11には、検知ディスク87の上側に検知ディスク87の回転を検知するロータリエンコーダ88が位置固定で設けられている。なお、ロータリエンコーダ88は、検知ディスク87のスリットの検知数から検知ディスク87の回転量を検知することになり、単位時間当たりのスリットの検知数から検知ディスク87の回転速度を検知することになる。
そして、三つの歯付プーリ83,84,86にはタイミングベルト91が巻回されており、このタイミングベルト91には、収納庫12のうちの挿入されたものの後端部が固定されている。これにより、収納庫12が開閉されるとこれに連動してタイミングベルト91が回転して三つの歯付プーリ83,84,86および検知ディスク87を回転させることになり、よって、ロータリエンコーダ88が、検知ディスク87の回転データである個別の収納庫12の開閉位相データを取得することになる。制御部25は、この開閉位相データから収納庫12の開閉方向およびその位置を割り出すことになり、移動量を時間で除算することで収納庫12の開閉速度を割り出すことになる。なお、検知ディスク87と一体回転する歯付プーリ86の前方にはタイミングベルト91の弛みをとるテンションプーリ92が設けられている。
また、現金管理装置本体11には、全ての小束収納庫挿入空間形成部65および全ての棒金収納庫挿入空間形成部75のそれぞれの後端位置に、収納庫12のうちの挿入されたものの後端部の検知片95を検知することで、この収納庫12が現金管理装置本体11に最も押し込まれた後端位置である全閉位置にあることを示す開閉位相データを取得する全閉検知センサ96が位置固定で設けられている。現金管理装置本体11には、小束収納庫挿入空間形成部65および棒金収納庫挿入空間形成部75のそれぞれの前端位置に、収納庫12のうちの挿入されたものの後端部の検知片95を検知することで、この収納庫12が現金管理装置本体11から最も引き出された前端位置である全開位置にあることを示す開閉位相データを取得する全開検知センサ97が位置固定で設けられている。つまり、全閉検知センサ96および全開検知センサ97は、収納庫12の開閉位相情報を取得する。
加えて、現金管理装置本体11には、全ての小束収納庫挿入空間形成部65および全ての棒金収納庫挿入空間形成部75のそれぞれの前部位置に、図11に示すように、収納庫12のうちの挿入されたものの側板部32から突出する係合ピン101に係合することでこの収納庫12を全閉位置でロックするロック機構22が設けられている。つまり、全ての収納庫12のそれぞれに対して、収納庫12を閉状態で個別にロックするロック機構22が設けられている。
各ロック機構22は、ソレノイド102と、ソレノイド102の駆動で支持軸103を中心に回動する鉤形のロック部材104とを有している。ロック部材104は、前端の爪部105が下降状態にあるとき係合ピン101に係合して収納庫12を引き出し不可にロックする一方、ソレノイド102が電気的に駆動され、爪部105が上昇状態となると係合ピン101への係合を解除して収納庫12を引き出し可能とし開作動を許容する状態となる。また、収納庫12の引き出し後にソレノイド102の駆動が解除されると、ロック部材104は、爪部105が下降状態となり、この状態で、収納庫12が全閉位置の戻されると、係合ピン101が爪部105を押し上げた後に下降させることになり、爪部105が係合ピン101に係合して収納庫12を引き出し不可に自動的かつ機械的にロックする。
以上の構成の本実施形態に係る現金管理装置10は、操作者が、例えば、他の入出金機に現金を補充したり、顧客に現金を渡したり、顧客から預かった現金を収納したり、顧客から受け取った現金貨幣を同額の異金種の貨幣へ両替する際等に使用される。つまり、現金管理装置10は、操作者が、バラ硬貨、バラ紙幣、棒金Bおよび小束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一つを現金管理装置10から取り出す出庫時、現金管理装置10にバラ硬貨、バラ紙幣、棒金Bおよび小束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一つを収納する入庫時、および入庫と出庫とを同時並行で行う入庫・出庫時のいずれかからなる入出庫取引時に使用される。
まず、一の入出庫取引の開始にあたって、操作者が、現金管理装置10のカードリーダ18にIDカードのカード識別データを読み取らせ操作キーボード19に操作者識別データを入力する。すると、制御部25が、入力されたこれらのカード識別データおよび操作者識別データと一致するデータが記憶部26に予め記憶されたカード識別のマスタデータおよび操作者識別のマスタデータにあるか否かを判定し、いずれか一方でもマスタデータにない場合、表示部17にその旨のアラームを表示させるとともに音声発生部20にアラーム音を発生させる。
入力されたカード識別データおよび操作者識別データと一致するカード識別および操作者識別のマスタデータがある場合、制御部25は、日時情報を含むこの一の入出庫取引の取引識別データを設定するとともに、この一の入出庫取引に必要な種類入力データ、区別データおよび数量入力データの入力を促す表示を、表示部17に表示させる。ここで、種類入力データは、金種およびその状態(バラ、棒金、小束)を示すものであり、区別データは、種類入力データが入庫であるか出庫であるかを示すものであり、数量入力データは、種類入力データの数量を示すものである。一の入出庫取引で入力される種類入力データ、区別データおよび数量入力データの組は、一組および複数組の両方の場合がある。操作者が、操作キーボード19に、これらの情報を入力すると、制御部25は、入力データを確定する確定操作を促す表示を表示部17に表示させる。
これを見た操作者によって確定操作が操作キーボード19に入力されると、制御部25は、この一の入出庫取引の上記した種類入力データ、区別データおよび数量入力データを表示部17に表示させるとともに、先に設定したこの一の入出庫取引の取引識別データに関連付けて、この一の入出庫取引で入力された操作者識別データと、この一の入出庫取引にて入力された上記の種類入力データ、区別データおよび数量入力データとを記憶部26に記憶する。
制御部25は、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データ、区別データおよび数量入力データに基づいて、バラ貨幣収納庫12(a)、全ての小束収納庫12(b)および全ての棒金収納庫12(c)の中から、この一の入出庫取引にて現金が入出庫される対象収納庫12を割り出す。そして、割り出した対象収納庫12をロックするロック機構22のロックを解除して、割り出した対象収納庫12を現金管理装置本体11から引き出し可能とする。
例えば、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データに、バラ紙幣およびバラ硬貨の少なくともいずれか一方が含まれる場合、制御部25は、バラ貨幣収納庫12(a)を対象収納庫12とし、このバラ貨幣収納庫12(a)をロックしているロック機構22のロックを解除する。これにより、このバラ貨幣収納庫12(a)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それとともに、制御部25は、このバラ貨幣収納庫12(a)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
また、例えば、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データに小束紙幣Tが含まれる場合、制御部25は、含まれる金種の小束紙幣Tを収納している小束収納庫12(b)を対象収納庫12とし、この小束収納庫12(b)をロックしているロック機構22のロックを解除する。これにより、この小束収納庫12(b)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それとともに、制御部25は、この小束収納庫12(b)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
また、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データに棒金Bが含まれる場合、制御部25は、含まれる金種の棒金Bを収納している棒金収納庫12(c)を対象収納庫12とし、この棒金収納庫12(c)をロックしているロック機構22のロックを解除する。これにより、この棒金収納庫12(c)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それとともに、制御部25は、この棒金収納庫12(c)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
ここで、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データ、区別データおよび数量入力データに基づいて、割り出した対象収納庫12が複数ある場合に、制御部25は、割り出した全ての対象収納庫12のロック機構22を共にロックが解除された状態とする。これにより、全ての対象収納庫12のそれぞれが、他の対象収納庫12の引き出し状態によらずに現金管理装置本体11から引き出し可能となる。言い換えれば、全ての対象収納庫12は、現金管理装置本体11から共に引き出された状態になることが可能となる。これに対して、バラ貨幣収納庫12(a)、全ての小束収納庫12(b)および全ての棒金収納庫12(c)のうち、対象収納庫12以外の収納庫12については、制御部25が、いずれもロック機構22のロックを解除せず、引き出し不可とする。これにより、操作者は、複数の対象収納庫12を共に現金管理装置本体11から引き出した状態として、それぞれの入出庫を並行して行うことが可能となる。
例えば、操作者が一の入出庫取引で、一万円のバラ紙幣一枚を、二本の100円の棒金Bに両替する場合には、一万円のバラ紙幣を示す種類入力データ、入庫を示す区別データおよび一枚を示す数量入力データを入力し、100円の棒金を示す種類入力データ、出庫を示す区別データおよび二本を示す数量入力データを入力する。すると、制御部25は、バラ貨幣収納庫12(a)および100円の棒金Bを収納している棒金収納庫12(c)を、現金が入出庫される対象収納庫12として割り出し、共にロック機構22のロックを解除する。すると、操作者は、これらを共に開いた状態として、一万円のバラ紙幣一枚をバラ貨幣収納庫12(a)に収納し、100円の棒金B二本を棒金収納庫12(c)から取り出すという入出庫作業を行う。勿論、一万円のバラ紙幣一枚をバラ貨幣収納庫12(a)に収納しバラ貨幣収納庫12(a)を閉じてから、100円の棒金Bを収納している棒金収納庫12(c)を引き出してこの棒金収納庫12(c)から100円の棒金B二本を取り出すという入出庫作業も可能であり、逆の手順での入出庫作業も可能である。
この一の入出庫取引において、制御部25は、バラ貨幣収納庫12(a)、全ての小束収納庫12(b)および全ての棒金収納庫12(c)の中から、この一の入出庫取引の対象収納庫12のみについて、この一の入出庫取引直前の在り高を表示部17に表示させる。
具体的に、制御部25は、現金管理装置本体11からの引き出しが開始されたことを全閉検知センサ96およびロータリエンコーダ88の検知結果から認識した対象収納庫12のみの、引き出し直前の在り高を表示部17に表示させる。複数の対象収納庫12が現金管理装置本体11から共に引き出された場合、制御部25は、これらの引き出された対象収納庫12の、それぞれの引き出し直前の在り高を表示部17に切替表示により表示させる。つまり、引き出されている一の対象収納庫12の引き出し直前の在り高を表示部17に表示させ、操作キーボード19の表示切替ボタンが一回操作されると、引き出されている他の対象収納庫12の引き出し直前の在り高を表示部17に表示させるというように、操作キーボード19の表示切替ボタンが操作される度に、各対象収納庫12の引き出し直前の在り高を切り替えて表示部17に表示させる。なお、引き出されている全ての対象収納庫12の引き出し直前の在り高を同時に表示部17に表示させても良い。また、この一の入出庫取引の対象収納庫12の、この一の入出庫取引直前の在り高を、対象収納庫12の引き出し状態によらずに全て表示部17に表示させても良く、その場合、同時に表示部17に表示させたり、上記と同様に切替表示により表示させることが可能である。
制御部25は、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データに、一の小束収納庫12(b)に収納されている小束紙幣Tが含まれる場合、この一の小束収納庫12(b)を対象収納庫12として、これをロックしているロック機構22のロックを解除するとともにその表示灯23を点灯させることになる。すると、この一の小束収納庫12(b)の現金管理装置本体11からの引き出しが開始されることになる。制御部25は、この一の小束収納庫12(b)用の全閉検知センサ96およびロータリエンコーダ88および全開検知センサ97の開閉位相データからこの一の小束収納庫12(b)の引き出し開始および開閉位置を検出することになり、これらの開閉位相データからこの一の小束収納庫12(b)が後端位置から前端位置まで移動したか否かを判断する。
つまり、制御部25は、全閉検知センサ96、ロータリエンコーダ88および全開検知センサ97の開閉位相データに基づき、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を開始し且つ全閉検知センサ96が検知片95を検知しない状態となると、引き出しが開始されたことを検出することになる。その後、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を停止し且つ全開検知センサ97が検知片95を検知する状態となると、制御部25は、この一の小束収納庫12(b)が後端位置から前端位置まで開庫された正常開動作を検出する。
なお、この一の小束収納庫12(b)が、後端位置にある全閉状態から引き出しが開始された後、前端位置に位置する全開状態とならずに後端位置に戻ったことを、全閉検知センサ96、ロータリエンコーダ88および全開検知センサ97の開閉位相データに基づいて検出すると、制御部25は、正常開動作と判断せず、表示部17にアラームを表示させるとともに音声発生部20でアラーム音を発生させ、再びこの一の小束収納庫12(b)をロックしているロック機構22のロックを解除するとともに、その表示灯23を点灯させる。これにより、この一の小束収納庫12(b)が引き出し可能となる。アラームを受けて、操作者は、この一の小束収納庫12(b)についての入出庫をやり直す。
ここで、この一の小束収納庫12(b)の現金管理装置本体11からの引き出しが開始されたことを全閉検知センサ96およびロータリエンコーダ88の検知結果から検出すると、制御部25は、この一の小束収納庫12(b)の引き出し直前の在り高を表示部17に表示させる。操作者は、表示部17に表示された在り高を必要により参照しつつこの一の小束収納庫12(b)に対する小束紙幣Tの入出庫を行う。
この一の小束収納庫12(b)のみが現金管理装置本体11から引き出された状態では、制御部25は、全ての収納庫12のそれぞれの在り高のうち、この一の小束収納庫12(b)の在り高のみを表示部17に表示させる。また、この一の入出庫取引の対象収納庫12に、この一の小束収納庫12(b)以外の、バラ貨幣収納庫12(a)、小束収納庫12(b)および棒金収納庫12(c)のいずれか一つが含まれていて、他の対象収納庫12が、この一の小束収納庫12(b)と共に現金管理装置本体11から引き出されていると、制御部25は、この一の小束収納庫12(b)の在り高と、引き出された他の対象収納庫12の在り高とを表示部17に切替表示により表示させる。
前端位置に位置する全開状態になった後、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を開始し且つ全開検知センサ97が検知片95を検知しない状態となることで、この一の小束収納庫12(b)の閉方向の移動開始を検出すると、制御部25は、この一の小束収納庫12(b)に対して設けられた小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70の組の左右二組について、これらを駆動して、閉庫時の貨幣検出反射データの取り込みを開始させる。そして、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を停止し且つ全閉検知センサ96が検知片95を検知する状態となることで、この一の小束収納庫12(b)が後端位置に位置する全閉状態になったことが検出されると、貨幣検出反射データの取り込みを終了させる。
そして、この一の小束収納庫12(b)の前端位置から後端位置に閉庫されたことが検出されると、制御部25は、この一の小束収納庫12(b)の表示灯23を消灯し、この一の小束収納庫12(b)に対して設けられた小束セット検知センサ66、左端検出ラインセンサ67、左側帯検出ラインセンサ68、右側帯検出ラインセンサ69および右端検出ラインセンサ70の組の左右二組についての閉庫時の貨幣検出反射データから、上記のようにして、この一の小束収納庫12(b)の各束収納凹部49に収納された小束紙幣Tの数量検出データおよび個々の小束紙幣Tの金種検出データを取得する。
取得後、制御部25は、今回取得した金種別の数量検出データと、前回の入出庫取引時に記憶部26に記憶されたこの一の小束収納庫12(b)の金種別の数量検出データとから、この一の小束収納庫12(b)における増減分となる、今回の一の入出庫取引での、実取引の数量である数量実取引データおよび実取引の金種である金種実取引データを総合した金種別の数量実取引データを割り出す。そして、制御部25は、この金種別の数量実取引データを、今回の一の入出庫取引に対して入力された、種類入力データ、区別データおよび数量入力データを総合した金種別の数量入力データと照合し、差異が存在したか否かを判定する。つまり、この一の小束収納庫12(b)に関する入出庫の金種別の数量実取引データと、この一の小束収納庫12(b)に関する入出庫の金種別の数量入力データとが一致すれば、差異は存在しないと判定し、それ以外は、差異が発生したと判定する。このように、制御部25は、対象収納庫12であるこの一の小束収納庫12(b)が引き出された後に押し込まれると、この一の小束収納庫12(b)に対して、現金が、操作キーボード19に入力された種類入力データ、区別データおよび数量入力データにしたがって入出庫されたか否かを精査する。
この一の小束収納庫12(b)において、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとに差異が存在すると、制御部25は、表示部17にアラームを表示させるとともに音声発生部20でアラーム音を発生させて、再びこの一の小束収納庫12(b)をロックしているロック機構22のロックを解除するとともに、その表示灯23を点灯させる。これにより、この一の小束収納庫12(b)が引き出し可能となる。アラームを受けて、操作者は、この一の小束収納庫12(b)についての入出庫をやり直す。
なお、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに他の小束収納庫12(b)に収納されている小束紙幣Tの金種が含まれている場合、制御部25は、上記した一の小束収納庫12(b)と同様の処理を他の小束収納庫12(b)に対しても行うことになる。
また、制御部25は、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データに、一の棒金収納庫12(c)に収納されている棒金Bが含まれる場合、この一の棒金収納庫12(c)を対象収納庫12としてこれをロックしているロック機構22のロックを解除するとともにその表示灯23を点灯させることになる。すると、この一の棒金収納庫12(c)の現金管理装置本体11からの引き出しが開始されることになる。制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)用の全閉検知センサ96、ロータリエンコーダ88および全開検知センサ97の開閉位相データからこの一の棒金収納庫12(c)の引き出し開始および開閉位置を検出することになり、これらの開閉位相データからこの一の棒金収納庫12(c)が後端位置から前端位置まで移動したか否かを判断する。
つまり、制御部25は、全閉検知センサ96、ロータリエンコーダ88および全開検知センサ97の開閉位相データに基づき、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を開始し且つ全閉検知センサ96が検知片95を検知しない状態となると、引き出しが開始されたことを検出することになる。その後、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を停止し且つ全開検知センサ97が検知片95を検知する状態となると、制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)が後端位置から前端位置まで開庫された正常開動作を検出する。
なお、この一の棒金収納庫12(c)が、後端位置にある全閉状態から引き出しが開始された後、前端位置に位置する全開状態とならずに後端位置に戻ったことを、全閉検知センサ96、ロータリエンコーダ88および全開検知センサ97の開閉位相データに基づいて検出すると、制御部25は、正常開動作と判断せず、表示部17にアラームを表示させるとともに音声発生部20でアラーム音を発生させ、再びこの一の棒金収納庫12(c)をロックしているロック機構22のロックを解除するとともに、その表示灯23を点灯させる。これにより、この一の棒金収納庫12(c)が引き出し可能となる。アラームを受けて、操作者は、この一の棒金収納庫12(c)についての入出庫をやり直す。
ここで、この一の棒金収納庫12(c)の現金管理装置本体11からの引き出しが開始されたことを全閉検知センサ96およびロータリエンコーダ88の検知結果から検出すると、制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)の引き出し直前の在り高を表示部17に表示させる。操作者は、表示部17に表示された在り高を必要により参照しつつこの一の棒金収納庫12(c)に対する棒金Bの入出庫を行う。
この一の棒金収納庫12(c)のみが現金管理装置本体11から引き出された状態では、制御部25は、全ての収納庫12のそれぞれの在り高のうち、この一の棒金収納庫12(c)の在り高のみを表示部17に表示させる。また、この一の入出庫取引の対象収納庫12に、この一の棒金収納庫12(c)以外の、バラ貨幣収納庫12(a)、小束収納庫12(b)および棒金収納庫12(c)のいずれか一つが含まれていて、他の対象収納庫12が、この一の棒金収納庫12(c)と共に現金管理装置本体11から引き出されていると、制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)の在り高と、引き出された他の対象収納庫12の在り高とを表示部17に切替表示により表示させる。
この一の棒金収納庫12(c)が、前端位置に位置する全開状態になった後、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を開始し且つ全開検知センサ97が検知片95を検知しない状態となることで、この一の棒金収納庫12(c)の閉方向の移動開始を検出すると、制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)に対して設けられた全ての棒金セット検知センサ76および全ての棒金検出ラインセンサ77を駆動して、閉庫時の貨幣検出反射データの取り込みを開始させる。そして、ロータリエンコーダ88が検知ディスク87の回転の検知を停止し且つ全閉検知センサ96が検知片95を検知する状態となることで、この一の棒金収納庫12(c)が後端位置に閉庫されたことが検出されると、貨幣検出反射データの取り込みを終了させる。
そして、この一の棒金収納庫12(c)の前端位置から後端位置に閉庫された正常開閉動作が検出されると、制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)の表示灯23を消灯し、この一の棒金収納庫12(c)に対して設けられた全ての棒金セット検知センサ76および全ての棒金検出ラインセンサ77についての閉庫時の貨幣検出反射データから、上記のようにして、この一の棒金収納庫12(c)の各棒金収納凹部59に収納された棒金Bの数量検出データおよび個々の棒金Bの金種検出データを取得する。
取得後、制御部25は、今回取得した金種別の数量検出データと、前回の入出庫取引時に記憶部26に記憶されたこの一の棒金収納庫12(c)の金種別の数量検出データとから、この一の棒金収納庫12(c)における増減分となる、今回の一の入出庫取引での、実取引の数量である数量実取引データおよび実取引の金種である金種実取引データを総合した金種別の数量実取引データを割り出す。そして、制御部25は、この金種別の数量実取引データを、今回の一の入出庫取引で入力された種類入力データ、区別データおよび数量入力データを総合した金種別の数量入力データと照合し、差異が存在したか否かを判定する。つまり、この一の棒金収納庫12(c)についての金種別の数量実取引データと、この一の棒金収納庫12(c)についての金種別の数量入力データとが一致すれば、差異は存在しないと判定し、それ以外は、差異が発生したと判定する。このように、制御部25は、対象収納庫12であるこの一の棒金収納庫12(c)が引き出された後に押し込まれると、この一の棒金収納庫12(c)に対して、現金が、操作キーボード19に入力された種類入力データ、区別データおよび数量入力データにしたがって入出庫されたか否かを精査する。
この一の棒金収納庫12(c)において、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとに差異が存在すると、制御部25は、表示部17にアラームを表示させるとともに音声発生部20でアラーム音を発生させて、再びこの一の棒金収納庫12(c)をロックしているロック機構22のロックを解除するとともに、その表示灯23を点灯させる。これにより、この一の棒金収納庫12(c)が引き出し可能となる。アラームを受けて、操作者は、この一の棒金収納庫12(c)についての入出庫をやり直す。
なお、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに他の棒金収納庫12(c)に収納されている棒金Bの金種が含まれている場合、制御部25は、上記した一の棒金収納庫12(c)と同様の処理を他の棒金収納庫12(c)に対しても行うことになる。
最後に、制御部25は、バラ貨幣収納庫12(a)、全ての小束収納庫12(b)および全ての棒金収納庫12(c)のうち、この一の入出庫取引にて入力された種類入力データに含まれる貨幣を収納しているもの全てについて、正常に入出庫取引が終了したと判断すると、今回の一の入出庫取引が終了したと判断する。
以上に述べた本実施形態に係る現金管理装置10によれば、制御部25は、操作キーボード19に入力された入出庫される貨幣の種類および数量に基づいて複数の収納庫12の中から現金が入出庫される対象収納庫12を割り出し、対象収納庫12が複数ある場合に、複数の対象収納庫12のロック機構22を共にロックが解除された状態として、複数の対象収納庫12のそれぞれを他の対象収納庫12の引き出し状態によらずに引き出し可能とする。よって、操作者は、複数の対象収納庫12を共に現金管理装置本体11から引き出した状態としてそれぞれに対して現金の入出庫を行うことができる。したがって、一の対象収納庫12を開けて入出庫を行い、これを閉じてから、他の対象収納庫12を開けて入出庫を行うといった作業が必要ではなく、処理効率の向上を図ることができる。
また、制御部25は、複数の収納庫12の現金の在り高を個別に管理しており、対象収納庫12の在り高を表示部17に表示させるため、複数の収納庫12の中から現金が入出庫される対象収納庫12を割り出すと、対象収納庫12の在り高が自動的に表示部17に表示されることになる。したがって、操作者は在り高を表示させるための専用の操作が不要となり、操作効率の一層の向上を図ることができる。
また、制御部25は、引き出された対象収納庫12の在り高を表示部17に表示させるため、操作者が対象収納庫12を引き出せば、この対象収納庫12の在り高が自動的に表示部17に表示されることになる。したがって、操作者は在り高を表示させるための専用の操作が不要となり、操作効率の一層の向上を図ることができる。加えて、引き出していない対象収納庫12の在り高を表示部17に表示させることがないため、操作者の在り高の認識ミスを防止することができる。
また、複数の対象収納庫12が引き出されると、制御部25は表示部17に在り高を表示させる対象収納庫12を画面切替で切り替えるため、複数の対象収納庫12が引き出されても、これらの在り高を画面切替で表示させることができる。
また、制御部25は、対象収納庫12が引き出された後に押し込まれると、当該対象収納庫12に対して、現金が、操作キーボード19に入力された貨幣の種類および数量にしたがって入出庫されたか否かを精査することになる。よって、現金が、操作キーボード19に入力された貨幣の種類および数量にしたがって入出庫されていない場合にアラームを発生させることによって、操作者に入出庫のミスを報知することが可能となる。