JP6318491B2 - 車両用トラクション制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクション制御装置と無段階変速機の協調制御に関する。
車両が低摩擦係数の路面にて加速するような場合に駆動輪のスリップ速度が大きくなると、変速機の出力回転数や駆動輪の回転速度が増大することに起因して推定車速が高くなるので、車両の実際の車速は上昇していないにもかかわらず、駆動力制御装置は増大した推定車速に基づいて変速機の目標変速比を決定し、そのため変速機を不必要にアップ変速してしまうことがある。
一方で、トラクション制御の実行により駆動輪のスリップ速度が低下すると、トランスミッションの出力回転数や駆動輪の回転速度が低下することに起因して推定車速が低くなるので、車両の実際の車速は低下していないにもかかわらず、駆動力制御装置は低下した推定車速に基づいてトランスミッションの目標変速段を決定し、そのためトランスミッションを不必要にダウン変速してしまうことがある。
そこで、特許文献1には、無段階変速機を備えた車両がトラクション制御を実行する状況において、無段階変速機の変速比の変更を停止することにより、無段階変速機の変速比が不必要に変更されることを防止する技術が提案されている。
特開2007−168695号公報
しかしながら、特許文献1に示されるように、トラクション制御が実行される状況において、無段階変速機の変速比が固定されてしまうと、エンジン回転速度がレブリミットに達してしまい、車両が加速しないという問題が生じてしまう。
一方で、トラクション制御が実行される状況において、無段階変速機の変速比の変更を許容すると、上述の問題に加えて、以下に示すようなトラクション制御と無段階変速機の制御の干渉による問題が発生してしまう。
1.無段階変速機の変速比が小さくなるアップ変速が実行される。
2.無段階変速機のアップ変速により、エンジン回転速度が低下し、当該回転速度の低下分のエンジンイナーシャトルク等の正のイナーシャトルクが無段階変速機に入力される。
3.駆動輪のスリップ速度が目標エンジンスリップ速度を下回っていた場合には、トラクション制御において、エンジンにトルクアップ指令が出力される。
4.エンジンへのトルクアップ指令により、エンジントルクが増大する。
5.無段階変速機に入力される正のイナーシャトルクやエンジントルクの増大によって、無段階変速機の変速比が、目標変速比を越えてアップ側にオーバーシュートする。
6.無段階変速機に入力される正のイナーシャトルクやエンジントルクの増大によって、駆動力が増大し、駆動輪のスリップ速度が増大する。
7.アップ側にオーバーシュートした無段階変速機の変速比を、目標変速比に戻すダウン変速が実行される。駆動輪のスリップ速度が増大しているため、トラクション制御において、エンジンにトルクダウン指令が出力される。駆動輪のスリップ速度が目標ブレーキスリップ速度を越えると、トラクション制御にいて、ブレーキ装置に制動力の増大指令が出力される。
8.エンジントルクの減少により、無段階変速機の変速比が、目標変速比を下回ってダウン側にオーバーシュートする。無段階変速機のダウン変速により、エンジン回転速度が上昇し、当該回転速度の上昇分のエンジンイナーシャトルク等の負のイナーシャトルクが無段階変速機に入力される。
9.ダウン側にオーバーシュートした無段階変速機の変速比を、目標変速比に戻すアップ変速が実行される。負のイナーシャトルクの無段階変速機への入力や制動力の増大により、駆動輪のスリップ速度が減少し、駆動輪のスリップ速度が目標エンジンスリップ速度を下回ると、トラクション制御において、エンジンにトルクアップ指令が出力される。
このように、駆動輪のスリップ速度の増大又は減少に起因して、トラクション制御と無段階変速機の制御の干渉が発生し、上記2〜9の現象が繰り返されて、駆動輪のスリップ速度の増減が繰り返されてしてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、無段階変速機を備えた車両において、トラクション制御中にトラクション制御と無段階変速機の制御の干渉を抑制しつつ、過度に車両が加速されない状況を回避することができる車両用トラクション制御装置を提供する。
上述した課題を解決するためになされた、請求項1に係る発明の車両用トラクション制御装置は、駆動軸に駆動トルクを出力するエンジンと、前記駆動軸と回転連結された入力部材と、駆動輪に回転連結された出力部材を有し、前記入力部材の回転速度を前記出力部材の回転速度で除した変速比を連続的に可変する無段階変速機と、前記駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記駆動輪の路面とのスリップ速度を検出するスリップ速度検出部と、前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度がトラクション制御の開始スリップ速度以上となった場合に、前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方を制御することにより、前記駆動輪に伝達される前記駆動トルクを低下させて、前記スリップ速度の増大を抑制するトラクション制御部と、前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度が規定の速度以上である場合に、前記無段階変速機における変速を禁止し、前記スリップ速度が前記規定の速度未満である場合に、前記無段階変速機における変速を許容する変速禁止許容部と、前記変速禁止許容部によって変速が許容されている場合には、前記トラクション制御における前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を、前記変速禁止許容部が前記変速を禁止している場合に比べて低下させる制御量演算部と、を有する。
さらに、請求項1に係る発明の車両用トラクション制御装置は、前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力されるトルクの変化を取得するトルク変化取得部を、更に有し、前記制御量演算部は、前記変速禁止許容部によって前記変速が許容されており、前記無段階変速機が変速中であると判断された場合に、前記トルク変化取得部が取得した前記トルクの変化に基づいて、前記トラクション制御の制御量を演算する。
請求項2に係る発明の車両用トラクション制御装置は、請求項1に記載の発明において、前記制御量演算部は、前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力される前記トルクの変化が正である場合に、前記トルクの変化の絶対値が大きくなるに従って、前記トラクション制御において、前記駆動輪に伝達される駆動トルクの低下量を増大させ、前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力される前記トルクの変化が負である場合に、前記トルクの変化の絶対値が大きくなるに従って、前記トラクション制御において、前記駆動輪に伝達される駆動トルクの低下量を低減させる。
請求項3に係る発明の車両用トラクション制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記制御量演算部は、前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力される前記トルクの変化が負である場合には、前記トラクション制御における前記エンジンの制御量の調整に優先して、前記トルクの変化の絶対値が大きくなるに従って、前記トラクション制御における前記ブレーキ装置の制御量を低下させる。
請求項4に係る発明の車両用トラクション制御装置は、駆動軸に駆動トルクを出力するエンジンと、前記駆動軸と回転連結された入力部材と、駆動輪に回転連結された出力部材を有し、前記入力部材の回転速度を前記出力部材の回転速度で除した変速比を連続的に可変する無段階変速機と、前記駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記駆動輪の路面とのスリップ速度を検出するスリップ速度検出部と、前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度がトラクション制御の開始スリップ速度以上となった場合に、前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方を制御することにより、前記駆動輪に伝達される前記駆動トルクを低下させて、前記スリップ速度の増大を抑制するトラクション制御部と、前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度が規定の速度以上である場合に、前記無段階変速機における変速を禁止し、前記スリップ速度が前記規定の速度未満である場合に、前記無段階変速機における変速を許容する変速禁止許容部と、前記変速禁止許容部によって変速が許容されている場合には、前記トラクション制御における前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を、前記変速禁止許容部が前記変速を禁止している場合に比べて低下させる制御量演算部と、を有し、前記制御量演算部は、前記変速禁止許容部によって前記変速が許容されている場合に、前記スリップ速度が変化しなくても、前記無段階変速機の変速比が大きくなるに従って、前記トラクション制御における前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を低下させる。
請求項1に係る発明によると、駆動輪のスリップ速度が規定の速度未満である場合に、無段階変速機における変速が許容される。これにより、過度に車両が加速されない状況を回避することができる。
また、制御量演算部は、変速が許容されている場合には、トラクション制御におけるエンジン及びブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を、変速が禁止されている場合に比べて低下させる。これにより、トラクション制御において、エンジントルクの増減や、制動力の増減が抑制され、駆動輪のスリップ速度の増大や減少が抑制される。このため、トラクション制御と無段階変速機の制御の干渉を抑制することができ、駆動輪のスリップ速度の増減が繰り返されてしまうことを抑制することができる。
請求項1に係る発明によると、制御量演算部は、変速禁止許容部によって変速が許容されており、無段階変速機が変速中であると判断された場合に、無段階変速機の変速に起因して、入力部材に入力されるトルクの変化に基づいて、トラクション制御の制御量を演算する。これにより、変速時に入力部材に入力されるトルク変化を抑制することができ、駆動輪のスリップ速度の増大や減少がより抑制される。このため、トラクション制御と無段階変速機の制御の干渉をより抑制することができる。
請求項2に係る発明によると、制御量演算部は、入力部材に入力されるトルクの変化が正である場合に、前記トルクの変化の絶対値が大きくなるに従って、トラクション制御において、駆動輪に伝達される駆動トルクの低下量を増大させる。これにより、無段階変速機のアップ変速によるエンジン回転速度の減少に起因して入力部材に入力される正のイナーシャトルクの増大による駆動輪のスリップ速度の増大をより好適に抑制することができる。このため、より確実にトラクション制御と無段階変速機の制御の干渉をより抑制することができる。
また、制御量演算部は、入力部材に入力されるトルク変化が負である場合に、前記トルク変化の絶対値が大きくなるに従って、トラクション制御において、駆動輪に伝達される駆動トルクの低下量を低減させる。これにより、無段階変速機のダウン変速によるエンジン回転速度の増大に起因して入力部材に入力される負のイナーシャトルクの増大による駆動輪のスリップ速度の減速を好適に抑制することができる。このため、より確実にトラクション制御と無段階変速機の制御の干渉をより抑制することができる。
請求項3に係る発明によると、制御量演算部は、無段階変速機の変速に起因して、入力部材に入力されるトルク変化が負である場合には、トラクション制御において、エンジンの制御量の調整に優先して、前記トルク変化の絶対値が大きくなるに従って、トラクション制御におけるブレーキ装置の制御量を低下させる。これにより、ブレーキ装置の制動力を低下させることにより、入力部材に入力される負のイナーシャトルクの増大による駆動輪のスリップ速度の減速を抑制することができる。このため、駆動輪のスリップ速度の減速を抑制するためのエンジンの燃料噴射が抑制され、車両用トラクション制御装置の燃費が向上する。
請求項4に係る発明によると、制御量演算部は、変速禁止許容部によって変速が許容されている場合に、スリップ速度が変化しなくても、無段階変速機の変速比が大きくなるに従って、トラクション制御におけるエンジン及びブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を低下させる。これにより、無段階変速機の変速比が小さい場合と比較して駆動輪に伝達されるエンジンからのトルク変動が大きい無段階変速機の変速比が大きい場合において、より駆動輪のスリップ速度の増速又は減速を抑制することができ、より確実にトラクション制御中におけるトラクション制御と無段階変速機の制御の干渉を抑制することができる。
本実形態に係る車両用トラクション制御装置の説明図である。 ブレーキ装置の説明図である。 「スリップ抑制制御」のフローチャートである。 「スリップ抑制制御」のフローチャートである。 「エンジン制御ゲイン設定マップ」を表した図である。 「ブレーキ制御ゲイン設定マップ」を表した図である。 車速V、アクセル開度Ac、目標プライマリ回転速度NPriとの関係を表した「変速マップ」を表した図である。 経過時間と、車速及び車輪速との関係を表したグラフである。
(車両用トラクション制御装置)
以下に、図1を用いて、本実施形態の車両用トラクション制御装置1について説明する。図1に示すように、車両用トラクション制御装置1は、エンジン2、無段階変速機3(以下、CVT3と略す)、制御部10、デファレンシャル17、アクセルペダル71、アクセルセンサ72、ブレーキ装置200(図2示)、駆動輪Wrr、Wrl、従動輪Wfr、Wfl、車輪速センサSfr、Sfl、Srr、Srlを有している。
エンジン2は、ガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を使用するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等である。エンジン2は、駆動軸21、スロットルバルブ22、燃料噴射装置28を有している。駆動軸21は、ピストンにより回転駆動されるクランクシャフトと一体的に回転する。このように、エンジン2は、駆動軸21にエンジントルクTe(駆動トルク)を出力し、駆動輪Wrr、Wrlを駆動する。なお、エンジン2がガソリンエンジンである場合には、エンジン2のシリンダヘッドには、シリンダ内の混合気を点火するための点火装置(不図示)が設けられている。
スロットルバルブ22は、エンジン2のシリンダに空気を取り込む経路の途中に設けられている。スロットルバルブ22は、エンジン2のシリンダに取り込まれる空気量(混合気量)を調整するものである。燃料噴射装置28は、エンジン2の内部に空気を取り込む経路の途中やエンジン2のシリンダヘッドに設けられている。燃料噴射装置28は、ガソリンや軽油等の燃料を噴射する装置である。
アクセルペダル71は、エンジン2が出力するエンジントルクTeを可変に操作するものである。アクセルセンサ72は、アクセルペダル71の操作量であるアクセル開度Acを検出し、制御部10に出力する。
CVT3は、駆動軸21と駆動輪Wrr、Wrlの間に設けられている。CVT3は、プライマリプーリ31、セカンダリプーリ32、ベルト33、プライマリ側アクチュエータ34、セカンダリ側アクチュエータ35、プライマリ回転速度検出センサ38、セカンダリ回転速度検出センサ39を有している。
プライマリプーリ31は、相対的に近接又は離間する一対のプーリ部材31a、31bとから構成されている。プライマリプーリ31は、駆動軸21と回転連結している。なお、駆動軸21とプライマリプーリ31との間にトルクコンバータが設けられていても差し支え無い。プライマリ回転速度検出センサ38は、プライマリプーリ31の回転速度(以下、プライマリ回転速度Npと略す)を検出して、制御部10に検出信号を出力するセンサである。
セカンダリプーリ32は、相対的に近接又は離間する一対のプーリ部材32a、32bを有している。セカンダリプーリ32は、デファレンシャル17と回転連結している。なお、セカンダリプーリ32とデファレンシャル17との間に、カウンタギヤが設けられていても差し支え無い。セカンダリ回転速度検出センサ39は、セカンダリプーリ32の回転速度(以下、セカンダリ回転速度Nsと略す)を検出して、制御部10に検出信号を出力するセンサである。
ベルト33は、プライマリプーリ31とセカンダリプーリ32の間に掛け渡されている。プライマリ側アクチュエータ34は、制御部10によって制御され、プーリ部材31bをプーリ部材31aに近接させるとともに離間させる。セカンダリ側アクチュエータ35は、制御部10によって制御され、プーリ部材32aをプーリ部材32bに近接させるとともに離間させる。
プライマリ側アクチュエータ34及びセカンダリ側アクチュエータ35によって、プーリ部材31a、31bが近接されるとともに、プーリ部材32a、32bが離間されると、変速比が大きくなる。なお、変速比とは、プライマリプーリ31の回転速度をセカンダリプーリ32の回転速度で除した値である。プライマリ側アクチュエータ34及びセカンダリ側アクチュエータ35によって、プーリ部材31a、31bが離間されるとともに、プーリ部材32a、32bが近接されると、変速比が小さくなる。このように、CVT3は、変速比を連続に可変にする装置である。
デファレンシャル17には、駆動輪Wrr、Wrlが回転連結されている。デファレンシャル17は、左右の駆動輪Wrr、Wrlの車輪速度差を吸収する装置である。
従動輪Wfr、Wflには、エンジン2の駆動力が伝達されない。車輪速センサSrr、Srl、Sfr、Sflは、それぞれ、駆動輪Wrr、Wrl及び従動輪Wfr、Wflの速度(以下、車輪速と略す)を検出し、制御部10に出力する。
制御部10は、車両100を統括制御するものである。制御部10は、CPU、RAM、ROMや不揮発性メモリー等で構成された記憶部(いずれも不図示)を有している。CPUは、図3に示すフローチャート対応したプログラムを実行する。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものである。記憶部は上記プログラムや図4〜図6に示すマッピングデータを記憶している。
制御部10は、ドライバのアクセルペダル71の操作に基づくアクセルセンサ72のアクセル開度Acに基づいて、運転者が要求しているエンジン2のトルクである要求エンジントルクTerを演算する。そして、制御部10は、要求エンジントルクTerに基づいて、スロットルバルブ22の開度Sを調整し、吸気量を調整するとともに、燃料噴射装置28の燃料噴射量を調整し、点火装置を制御する。これにより、燃料を含んだ混合気の供給量が調整され、エンジン2が出力するエンジントルクTeが要求エンジントルクTerに調整される。
制御部10は、従動輪Wfr、Wflの車輪速を検出する車輪速センサSfr、Sflからの検出信号に基づいて、車両100の速度(以下、車速Vと略す)を演算する。制御部10は、駆動輪Wrr、Wrlの車輪速度を検出する車輪速センサSrr、Srlからの検出信号から、駆動輪Wrr、Wrlの車輪速度を取得し、当該駆動輪Wrr、Wrlの車輪速のそれぞれから、車速Vを減算することにより、それぞれの駆動輪Wrr、Wrlの路面とのスリップ速度(以下、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlと略す)を演算する。
制御部10は、図6に示す「変速マップ」を参照して、車速V、アクセル開度Acに基づいて、目標プライマリ回転速度NPriを演算する。次に、制御部10は、目標プライマリ回転速度NPriからセカンダリ回転速度Nsを除算することにより、目標変速比Grを演算する。そして、制御部10は、目標変速比Grとなるように、プライマリ側アクチュエータ34及びセカンダリ側アクチュエータ35を制御して、CVT3において変速する。制御部10は、プライマリ回転速度Npからセカンダリ回転速度Nsを除算することにより、CVT3の変速比を演算する。
(ブレーキ装置)
以下に、図1及び図2を用いて、ブレーキ装置200について説明する。ブレーキ装置200は、ブレーキBfr、Bfl、Brr、Brl、調圧装置50、ブースタ装置68、マスタシリンダ69、ブレーキペダル75を有している。
ブレーキBfr、Bfl、Brr、Brlは、ブレーキディスクDfr、Dfl、Drr、Drlと、キャリパーCfr、Cfl、Crr、Crlとから構成されている。ブレーキディスクDfr、Dfl、Drr、Drlは、各車輪Wfr、Wfl、Wrr、Wrlと一体回転する。キャリパーCfr、Cfl、Crr、Crlには、ホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrlが設けられている。ホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrlは、マスタシリンダ69により生成される「マスタ圧」により「ホイールシリンダ圧」を発生させ、当該「ホイールシリンダ圧」によってブレーキパッド(不図示)をDfr、Dfl、Drr、Drlに押し付けて制動力を発生させる。
ブレーキペダル75は、ブレーキBfr、Bfl、Brr、Brlが発生する制動力を可変に操作するものである。ブースタ装置68は、ブレーキペダル75に入力された操作力を増幅して、マスタシリンダ69に出力する装置である。ブースタ装置68には、周知のバキュームブースタ、ハイドロブースタが含まれる。マスタシリンダ69は、入力された操作力からマスタ室69a、69bにおいて「マスタ圧」を発生させる装置である。
調圧装置50は、マスタシリンダ69のマスタ室69a、69bから供給されるブレーキフルードの「マスタ圧」を増圧又は減圧して、ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrに「ホイールシリンダ圧」を供給するものであり、周知のアンチロックブレーキ制御、トラクション制御、横滑り防止制御を実現するものである。マスタ室69aには、配管51、調圧装置50を介してホイールシリンダWCrr、WCrlが連通されている。また、マスタ室69bには、配管52、調圧装置50を介してホイールシリンダWCfr、WCflが連通されている。
ここで、調圧装置50について、4つのホイールシリンダのうち1つ(WCfr)に「ホイールシリンダ圧」を供給する構成について説明し、他の構成については同様であるため説明を省略する。調圧装置50は、保持弁531、減圧弁532、調圧リザーバ533、ポンプ534、モータ535、液圧制御弁536を備えている。保持弁531は、常開型の電磁弁であり、制御部10により開閉が制御される。保持弁531は、一方が液圧制御弁536に接続され、他方がホイールシリンダWCfr及び減圧弁532に接続されるように設けられている。
減圧弁532は、常閉型の電磁弁であり、制御部10により開閉が制御される。減圧弁532は、一方がホイールシリンダWCfr及び保持弁531に接続され、他方が第一流路157によって調圧リザーバ533の貯留室533eに接続されている。減圧弁532が開状態となると、ホイールシリンダWCfrと調圧リザーバ533の貯留室533eが連通し、ホイールシリンダWCfrの「ホイールシリンダ圧」が低下する。
液圧制御弁536は、常開型の電磁弁であり、制御部10により制御される。液圧制御弁536は、一方がマスタ室69bに接続され、他方が保持弁531に接続されている。液圧制御弁536が通電されると、差圧状態となり、「ホイールシリンダ圧」が「マスタ圧」よりも所定圧以上高くなった場合にのみ、ホイールシリンダWCfr側からマスタ室69b側へのブレーキフルードの流通が許容される。
調圧リザーバ533は、シリンダ533a、ピストン533b、スプリング533c、流路調整弁533dとから構成されている。シリンダ533a内には、ピストン533bが摺動可能に設けられている。シリンダ533aとピストン533bによって囲まれた空間によって貯留室533eが形成されている。ピストン533bが摺動することにより、貯留室533eの容積が変化する。貯留室533e内にはブレーキフルードが貯留されている。スプリング533cは、シリンダ533aの底部とピストン533bの間の空間に設けられていて、貯留室533eの容積を減少させる方向にピストン533bを付勢している。
配管52の液圧制御弁536よりもマスタ室69b側は、第二流路158及び流路調整弁533dを介して貯留室533eに接続している。貯留室533e内の圧力が高まるに従って、つまり貯留室533eの容積が増大する方向にピストン533bが摺動するに従って、流路調整弁533dによって貯留室533eと第二流路158の間の流路が絞られる。
ポンプ534は、制御部10の指令に応じたモータ535の作動によって駆動される。ポンプ534の吸込口は、第三流路159を介して貯留室533eに接続されている。ポンプ534の吐出口は、逆止弁zを介して、液圧制御弁536と保持弁531の間の配管52に接続されている。ここでの逆止弁zは、ポンプ534から配管52(マスタ室69b)への流れを許容し、その逆方向の流れを規制する。なお、ポンプ534が吐出したブレーキフルードの脈動を緩和するために、ポンプ534の上流側にはダンパ(図示せず)が設けられていてもよい。
マスタ室69bにおいて「マスタ圧」が発生していない状態では、第二流路158を介してマスタ室69bと接続している貯留室533e内の圧力が高くないので、流路調整弁533dによって第二流路158と貯留室533e間の流路が絞られていない。このため、ポンプ534はマスタ室69bから第二流路158及び貯留室533eを介してブレーキフルードを吸入することができる。
一方で、マスタ室69bにおいて「マスタ圧」が上昇すると、当該「マスタ圧」が第二流路158を介してピストン533bに作用する力によって、流路調整弁533dが作動して、流路調整弁533dによって貯留室533eと第二流路158の間の流路が絞られて閉塞される。
この状態で、ポンプ534が駆動されると、貯留室533e内のブレーキフルードがポンプ534によって吐出される。そして、所定量以上のブレーキフルードが貯留室533eからポンプ534に供給されると、流路調整弁533dによって閉塞されている貯留室533eと第二流路158の間の流路が微少に開き、ブレーキフルードがマスタ室69bから第二流路158を介して貯留室533eに供給され、次いで、ポンプ534に供給される。
調圧装置50の減圧モード時においては、減圧弁532が開状態とされ、ホイールシリンダWCfrの「ホイールシリンダ圧」が低下する。そして、液圧制御弁536が開状態とされ、ポンプ534はホイールシリンダWCfr内のブレーキフルード又は貯留室533e内に貯留されているブレーキフルードを吸い込んでマスタ室69bに戻す。
調圧装置50の増圧モード時においては、保持弁531が開状態、液圧制御弁536が差圧状態とされ、ポンプ534はマスタ室69b内のブレーキフルード及び貯留室533e内に貯留されているブレーキフルードをホイールシリンダWCfrに供給し、ホイールシリンダWCfrにおいて「ホイールシリンダ圧」を発生させる。
調圧装置50の保持モード時においては、保持弁531が閉状態、又は液圧制御弁536が差圧状態とされ、ホイールシリンダWCfrの「ホイールシリンダ圧」が保持される。
このように、調圧装置50によって、ブレーキペダル75の操作に関わらず、「ホイールシリンダ圧」を調整することがきる、制動力を調整することができる。制御部10は、「マスタ圧」、車輪速度の状態、及び前後加速度に基づき、各電磁弁531、532の開閉を切り換え制御し、モータ535を必要に応じて作動してホイールシリンダWCfrに付与する「ホイールシリンダ圧」を調整し、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、横滑り防止制御を実行する。
(スリップ抑制制御)
以下に、図3のフローチャート及び図7に示すタイムチャートを用いて、「スリップ抑制制御」について説明する。車両100のイグニッションがONとされ、車両100が走行可能な状態となると、「スリップ抑制制御」が開始し、プログラムはS111に進む。
S111において、制御部10が、トラクション制御開始条件が成立したと判断した場合には(S111:YES)、プログラムをS112に進め、トラクション制御開始条件が成立していないと判断した場合には(S111:NO)、S111の処理を繰り返す。なお、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlのいずれかが、トラクション制御開始スリップ速度Vst(例えば6km/h、図7示)以上であり、且つアクセル開度Acが0で無い場合には、トラクション制御開始条件が成立したと判断される。
S112において、制御部10は、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlのいずれかが、第一基準スリップ速度Vs1(例えば15km/h、図7示)以上であると判断した場合には(S112:YES)、プログラムをS113に進め、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlのいずれもが、第一基準スリップ速度Vs1未満であると判断した場合には(S112:NO)、プログラムをS114に進める。
S113において、制御部10は、「過大スリップフラグ」をONにして、プログラムをS114に進める。
S114において、制御部10が、「過大スリップフラグ」がOFFであると判断した場合には(S114:YES)、プログラムをS121に進め、「過大スリップフラグ」がONであると判断した場合には(S114:NO)、プログラムをS115に進める。
S115において、制御部10が、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlのいずれもが、第二基準スリップ速度Vs2(例えば3km/h、図7示)未満であると判断した場合には(S115:YES)、プログラムをS116に進め、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlのいずれかが、第二基準スリップ速度Vs2以上であると判断した場合には(S115:NO)、プログラムをS131に進める。なお、第二基準スリップ速度Vs2は、第一基準スリップ速度Vs1よりも低い速度である。
S116において、制御部10は、「過大スリップフラグ」をOFFにして、プログラムをS121に進める。
S121において、制御部10は、CVT3の変速を許可し、プログラムをS122に進める。
S122において、制御部10は、「エンジン制御ゲイン設定マップ」(図4示)を参照して、CVT3の変速比に基づき、エンジン制御ゲインKeを演算して設定する。なお、図4に示すように、「エンジン制御ゲイン設定マップ」は、変速比が大きくなるに従ってエンジン制御ゲインKeが小さくなるように設定されているマップである。また、変速比が最小である場合であっても、エンジン制御ゲインKeは1未満である。S122の処理によって、エンジン制御ゲインKeは、1未満に設定される。S122が終了すると、プログラムはS123に進む。
S123において、制御部10は、「ブレーキ制御ゲイン設定マップ」(図5示)を参照して、CVT3の変速比に基づき、ブレーキ制御ゲインKbを演算して設定する。なお、図5に示すように、「ブレーキ制御ゲイン設定マップ」は、変速比が大きくなるに従ってブレーキ制御ゲインKbが小さくなるように設定されているマップである。また、変速比が最小である場合であっても、ブレーキ制御ゲインKbは1未満である。S123の処理によって、ブレーキ制御ゲインKbは、1未満に設定される。S123が終了すると、プログラムはS141に進む。
S131において、制御部10(変速禁止許容部)は、CVT3の変速を禁止して、CVT3の変速比を現在の変速比に固定する。これにより、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlが過大な場合における、CVT3の消耗や損傷が防止される。S131が終了すると、プログラムはS132に進む。
S132において、制御部10は、エンジン制御ゲインKeを1に設定し、プログラムをS133に進める。
S133において、制御部10は、ブレーキ制御ゲインKbを1に設定し、プログラムをS143に進める。
S141において、制御部10が、CVT3が変速中であると判断した場合には(S141:YES)、プログラムをS142に進め、CVT3が変速中でないと判断した場合には(S141:NO)、プログラムをS143に進める。
S142において、制御部10は、プライマリ回転速度Npに基づいて、変速起因変化トルクTsを演算して設定する。なお、変速起因変化トルクTsとは、CVT3の変速比の変化に伴うプライマリプーリ31と一体回転する部材のイナーシャトルクの変化トルクである。つまり、CVT3が変速すると、プライマリプーリ31や駆動軸21の回転速度が変化し、プライマリプーリ31と一体回転する部材のイナーシャトルクが変化する。例えば、CVT3がLOW側からHI側に変速すると(変速比が小さくなると)、プライマリプーリ31や駆動軸21の回転速度が低くなり、正の変速起因変化トルクTsがプライマリプーリ31に入力される。一方で、CVT3がHI側からLOW側に変速すると(変速比が大きくなると)、プライマリプーリ31や駆動軸21の回転速度が高くなり、負の変速起因変化トルクTsがプライマリプーリ31に入力される。なお、プライマリプーリ31と一体回転する部材には、プライマリプーリ31、駆動軸21、エンジン2のフライホイールやクランクシャフト等が含まれる。S142が終了すると、プログラムはS151に進む。
S143において、制御部10は、変速起因変化トルクTsを0に設定し、プログラムをS151に進める。
S151において、制御部10が、トラクション制御においてブレーキ制御が必要であると判断した場合には(S151:YES)、プログラムをS161に進め、トラクション制御においてブレーキ制御が必要でないと判断した場合には(S151:NO)、プログラムをS191に進める。なお、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlのいずかが、ブレーキ目標スリップ速度Vsb(例えば6km/h、図7示)以上である場合には、トラクション制御においてブレーキ制御が必要であると判断される。一方で、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlのいずれもが、ブレーキ目標スリップ速度Vsb以下である場合には、トラクション制御においてブレーキ制御が必要でないと判断される。
S161において、制御部10は、変速起因変化トルクTsが正であると判断した場合には(S161:YES)、プログラムをS171に進め、変速起因変化トルクTsが負であると判断した場合には(S161:NO)、プログラムをS181に進める。
S171において、制御部10は、下式(1)に基づいて、トラクション制御におけるエンジントルクTeを演算する。
Te=Te(n−1)−{(SWr−Vse)×a+※SWr’×b}×Ke−Ts…(1)
Te:エンジントルク
Te(n−1):前回演算されたエンジントルクTe
Vse:エンジン目標スリップ速度
SWr:駆動輪スリップ速度
SWr’:駆動輪スリップ速度の変化量(駆動輪スリップ速度の時間微分値)
a:係数
b:係数
※:SWr−Vseが正の場合には1、SWr−Vseが負の場合には−1
Ke:エンジン制御ゲイン
Ts:変速起因変化トルク
なお、駆動輪スリップ速度SWrは、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの平均速度である。また、エンジン目標スリップ速度Vse(図7示)は、例えば3km/hであり、ブレーキ目標スリップ速度Vsbよりも低い速度である。初めて、エンジントルクTeが演算される場合には、Te(n−1)として、S111においてトラクション制御開始条件が成立した時点において、エンジン2が出力しているエンジントルクTeが設定される。S171が終了すると、プログラムはS172に進む。
S172において、制御部10は、下式(2)に基づいて、トラクション制御における制動力変更量Cbをそれぞれの駆動輪Wrr、Wrlについて演算する。
Cb={(SWr−Vsb)×c+※SWr’×d}×Kb…(2)
Cb:制動力変更量
SWr:駆動輪スリップ速度
SWr’:駆動輪スリップ速度の変化量(駆動輪スリップ速度の時間微分値)
c:係数
d:係数
※:(SWr−Vsb)が正の場合には1、(SWr−Vsb)が負の場合には−1
Kb:ブレーキ制御ゲイン
S172が終了すると、プログラムはS201に進む。
S181において、制御部10は、上式(2)に基づいて、トラクション制御における制動力変更量Cbを演算する。S181が終了すると、プログラムはS182に進む。
S182において、制御部10は、下式(11)を満たすと判断した場合には(S182:YES)、プログラムをS183に進め、下式(11)を満たさないと判断した場合には(S182:NO)、プログラムをS186に進める。
Tb(n−1)+Cb×n+Ts≦0…(11)
Tb(n−1):前回値のトータル制動力
Cb:S181で演算された制動力変更量
n:駆動輪の数
Ts:変速起因変化トルク
なお、前回値のトータル制動力Tb(n−1)とは、S201において変更される前の両駆動輪Wrr、Wrlに付与された制動力の合計値である。
つまり、S182において、前回値のトータル制動力Tb(n−1)と制動力変更量Cbに駆動輪の数を乗算した値の合計値よりも変速起因変化トルクTsの絶対値の方が大きい時、若しくは等しい時には、プログラムはS183に進む。一方で、前回値のトータル制動力Tb(n−1)と制動力変更量Cbに駆動輪の数を乗算した値の合計値よりも変速起因変化トルクTsの絶対値の方が小さい時には、プログラムはS186に進む。
S183において、制御部10は、下式(3)に基づいて、トラクション制御における制動力変更量Cbをそれぞれの駆動輪Wrr、Wrlについて演算する。
Cb=−Wb…(3)
Cb:制動力変更量
Wb:前回駆動輪Wrr、Wrlに付与されていた制動力
つまり、S183において、S201でそれぞれの駆動輪Wrr、Wrlの制動力が0となる制動力変更量Cbが演算される。
S183が終了すると、プログラムはS184に進む。
S184において、制御部10は、下式(12)に基づいて、変速起因変化トルクの残量Ts1を演算する。
Ts1=−{Tb(n−1)+Cb×n+Ts}…(12)
なお、変速起因変化トルクの残量Ts1とは、駆動輪Wrr、Wrlに作用する制動力を0としても吸収できない負の変速起因変化トルクTsである。S184が終了すると、プログラムはS185に進む。
S185において、制御部10は、下式(4)に基づいて、トラクション制御におけるエンジントルクTeを演算する。
Te=Te(n−1)−{(SWr−Vse)×a+※SWr’×b}×Ke+Ts1…(4)
Te:エンジントルク
Te(n−1):前回演算されたエンジントルクTe
Vse:エンジン目標スリップ速度
SWr:駆動輪スリップ速度
SWr’:駆動輪スリップ速度の変化量(駆動輪スリップ速度の時間微分値)
a:係数
b:係数
※:(SWr−Vse)が正の場合には1、(SWr−Vse)が負の場合には−1
Ke:エンジン制御ゲイン
Ts1:変速起因変化トルクの残量
初めて、エンジントルクTeが演算される場合には、Te(n−1)として、S111においてトラクション制御開始条件が成立した時点において、エンジン2が出力しているエンジントルクTeが設定される。S185が終了すると、プログラムはS201に進む。
S186において、制御部10は、下式(5)に基づいて、トラクション制御における制動力変更量Cbをそれぞれの駆動輪Wrr、Wrlについて演算する。
Cb={(SWr−Vsb)×c+※SWr’×d}×Kb−Ts/n…(5)
Cb:制動力変更量
SWr:駆動輪スリップ速度
SWr’:駆動輪スリップ速度の変化量(駆動輪スリップ速度の時間微分値)
c:係数
d:係数
※:(SWr−Vsb)が正の場合には1、(SWr−Vsb)が負の場合には−1
Kb:ブレーキ制御ゲイン
Ts:変速起因変化トルク
n:駆動輪の数
S186が終了すると、プログラムはS187に進む。
S187において、下式(6)に基づいて、トラクション制御におけるエンジントルクTeを演算する。
Te=Te(n−1)−{(SWr−Vse)×a+※SWr’×b}×Ke…(6)
Te:エンジントルク
Te(n−1):前回演算されたエンジントルクTe
Vse:エンジン目標スリップ速度
SWr:駆動輪スリップ速度
SWr’:駆動輪スリップ速度の変化量(駆動輪スリップ速度の時間微分値)
a:係数
b:係数
※:(SWr−Vse)が正の場合には1、(SWr−Vse)が負の場合には−1
Ke:エンジン制御ゲイン
初めて、エンジントルクTeが演算される場合には、Te(n−1)として、S111においてトラクション制御開始条件が成立した時点において、エンジン2が出力しているエンジントルクTeが設定される。S187が終了すると、プログラムはS201に進む。
S191において、制御部10は、上式(1)に基づいて、トラクション制御におけるエンジントルクTeを演算する。S191が終了すると、プログラムはS192に進む。
S192において、制御部10は、制動力変更量Cbを0と設定し、プログラムをS201に進める。
S201において、制御部10は、エンジン2が出力するトルクが、演算されたエンジントルクTeとなるようにエンジン2を制御する。そして、制御部10は、駆動輪Wrr、Wrlを制動するブレーキBrr、Brlの制動力が、制動力変更量Cbだけ変化するように、調圧装置50を制御する。このS201の処理によって、駆動輪Wrr、Wrlに伝達される駆動トルクが、トラクション制御が実行されていない時と比較して低下する。S201が終了すると、プログラムはS211に進む。
S211において、制御部10が、トラクション制御終了条件が成立したと判断した場合には(S211:YES)、プログラムをS212に進め、トラクション制御終了条件が成立していないと判断した場合には(S211:NO)、プログラムをS112に戻す。なお、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlが0の場合や、アクセル開度Acが0の場合には、トラクション制御終了条件が成立したと判断される。
S212において、制御部10は、上述のトラクション制御を停止する。つまり、エンジン2はアクセル開度Acに基づいて制御され、ブレーキBrr、Brlにおいてブレーキペダル75の操作量によって制動力が発生する。S212が終了すると、プログラムはS111に戻る。
(本実施形態の効果)
以上の説明から明らかなように、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlが規定の速度未満である場合に(S114又はS115がYES)、CVT3における変速が許容される。これにより、過度に車両100が加速されない状況を回避することができる。
また、制御部10(制御量演算部)は、CVT3における変速が許容されている場合には(S114又はS115がYES)、S171、S172、S183、S185、S186、S187、S191において、トラクション制御におけるエンジン2及びブレーキ装置200の少なくとも一方の制御量を、上式(1)〜(6)に基づいて、CVT3における変速が禁止されている場合に比べて低下させる。これにより、トラクション制御において、エンジントルクの増減や、制動力の増減が抑制され、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの増大や減少が抑制される。このため、トラクション制御とCVT3の制御の干渉を抑制することができ、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの増減が繰り返されてしまうことを抑制することができ、トラクション制御時における車両100の挙動を安定化させることができる。
また、制御部10(制御量演算部)は、S171、S183、S185、S186において、変速起因変化トルクTs及び上式(1)、(3)、(4)、(5)に基づいて、トラクション制御の制御量を演算する。これにより、CVT3の変速時にプライマリプーリ31に入力されるトルク変化を抑制することができ、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの増大や減少がより抑制される。このため、トラクション制御とCVT3の制御の干渉をより抑制することができる。
また、制御部10(制御量演算部)は、変速起因変化トルクTsが正である場合に(S161がYES)、S171において、上式(1)に基づいて、変速起因変化トルクTsの絶対値が大きくなるに従って、トラクション制御において、駆動輪Wrr、Wrlに伝達される駆動トルクの低下量を増大させる。これにより、CVT3のアップ変速によるエンジン2の回転速度の減少に起因してプライマリプーリ31に入力される正のイナーシャトルクの増大による駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの増大をより好適に抑制することができる。このため、より確実にトラクション制御とCVT3の制御の干渉をより抑制することができる。
また、制御部10(制御量演算部)は、変速起因変化トルクTsが負である場合に(S161がNO)、S183、S185、S186において、上式(3)、(4)、(5)に基づいて、変速起因変化トルクTsの絶対値が大きくなるに従って、トラクション制御において、駆動輪Wrr、Wrlに伝達される駆動トルクの低下量を低減させる。これにより、CVT3のダウン変速によるエンジン回転速度の増大に起因してプライマリプーリ31に入力される負のイナーシャトルクの増大による駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの減速を好適に抑制することができる。このため、より確実にトラクション制御とCVT3の制御の干渉をより抑制することができる。
また、制御部10(制御量演算部)は、CVT3の変速に起因して、プライマリプーリ31に入力される変速起因変化トルクTsが負である場合には(S161がNO)、S181〜S187において、トラクション制御におけるエンジン2の制御量の調整に優先して、変速起因変化トルクTsの絶対値が大きくなるに従って、トラクション制御におけるブレーキ装置200の制御量を低下させる。これにより、ブレーキ装置200の制動力を低下させることにより、プライマリプーリ31に入力される負のイナーシャトルクの増大による駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの減速を抑制することができる。このため、駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの減速を抑制するためのエンジン2の燃料噴射が抑制され、車両用トラクション制御装置1の燃費が向上する。
また、制御部10(制御量演算部)は、S122やS123において、図4や図5に示すマップを用いて、エンジン制御ゲインKeやブレーキ制御ゲインKbを設定することにより、CVT3の変速比が大きくなるに従って、トラクション制御におけるエンジン2及びブレーキ装置200の少なくとも一方の制御量を低下させる。これにより、CVT3の変速比が小さい場合と比較して駆動輪Wrr、Wrlに伝達されるエンジン2からのトルク変動が大きいCVT3の変速比が大きい場合において、より駆動輪スリップ速度SWrr、SWrlの増減を抑制することができ、より確実にトラクション制御中におけるトラクション制御と無段階変速機の制御の干渉を抑制することができる。
(別の実施形態)
エンジン2、CVT3、調圧装置50をそれぞれ制御するエンジンECU、CVTECU、ブレーキECUが、協調して、図3に示す「スリップ抑制制御」を実行する実施形態であっても差し支え無い。
車両100が、四輪駆動車である場合には、駆動輪Wrr、Wrl、Wfr、Wflそれぞれの車輪速度を検出する車輪速センサSrr、Srl、Sfr、Sflからの検出信号に基づいて、車速Vが演算される。
1…車両用トラクション制御装置、2…エンジン、3…無段階変速機、10…制御部(トラクション制御部、変速禁止許容部、制御量演算部、トルク変化取得部)、21…駆動軸、31…プライマリプーリ(入力部材)、32…セカンダリプーリ(出力部材)、調圧装置50(トラクション制御部)、100…車両、200…ブレーキ装置(トラクション制御装置)、Srr、Srl、Sfr、Sfl…車輪速センサ(スリップ速度検出部)、Wrr、Wrl…駆動輪

Claims (4)

  1. 駆動軸に駆動トルクを出力するエンジンと、
    前記駆動軸と回転連結された入力部材と、駆動輪に回転連結された出力部材を有し、前記入力部材の回転速度を前記出力部材の回転速度で除した変速比を連続的に可変する無段階変速機と、
    前記駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、
    前記駆動輪の路面とのスリップ速度を検出するスリップ速度検出部と、
    前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度がトラクション制御の開始スリップ速度以上となった場合に、前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方を制御することにより、前記駆動輪に伝達される前記駆動トルクを低下させて、前記スリップ速度の増大を抑制するトラクション制御部と、
    前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度が規定の速度以上である場合に、前記無段階変速機における変速を禁止し、前記スリップ速度が前記規定の速度未満である場合に、前記無段階変速機における変速を許容する変速禁止許容部と、
    前記変速禁止許容部によって変速が許容されている場合には、前記トラクション制御における前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を、前記変速禁止許容部が前記変速を禁止している場合に比べて低下させる制御量演算部と、
    前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力されるトルクの変化を取得するトルク変化取得部と、を有し、
    前記制御量演算部は、前記変速禁止許容部によって前記変速が許容されており、前記無段階変速機が変速中であると判断された場合に、前記トルク変化取得部が取得した前記トルクの変化に基づいて、前記トラクション制御の制御量を演算する車両用トラクション制御装置。
  2. 前記制御量演算部は、
    前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力される前記トルクの変化が正である場合に、前記トルクの変化の絶対値が大きくなるに従って、前記トラクション制御において、前記駆動輪に伝達される駆動トルクの低下量を増大させ、
    前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力される前記トルクの変化が負である場合に、前記トルクの変化の絶対値が大きくなるに従って、前記トラクション制御において、前記駆動輪に伝達される駆動トルクの低下量を低減させる請求項1に記載の車両用トラクション制御装置。
  3. 前記制御量演算部は、前記無段階変速機の変速に起因して前記入力部材に入力される前記トルクの変化が負である場合には、前記トラクション制御における前記エンジンの制御量の調整に優先して、前記トルクの変化の絶対値が大きくなるに従って、前記トラクション制御における前記ブレーキ装置の制御量を低下させる請求項1又は請求項2に記載の車両用トラクション制御装置。
  4. 駆動軸に駆動トルクを出力するエンジンと、
    前記駆動軸と回転連結された入力部材と、駆動輪に回転連結された出力部材を有し、前記入力部材の回転速度を前記出力部材の回転速度で除した変速比を連続的に可変する無段階変速機と、
    前記駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、
    前記駆動輪の路面とのスリップ速度を検出するスリップ速度検出部と、
    前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度がトラクション制御の開始スリップ速度以上となった場合に、前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方を制御することにより、前記駆動輪に伝達される前記駆動トルクを低下させて、前記スリップ速度の増大を抑制するトラクション制御部と、
    前記スリップ速度検出部によって検出された前記スリップ速度が規定の速度以上である場合に、前記無段階変速機における変速を禁止し、前記スリップ速度が前記規定の速度未満である場合に、前記無段階変速機における変速を許容する変速禁止許容部と、
    前記変速禁止許容部によって変速が許容されている場合には、前記トラクション制御における前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を、前記変速禁止許容部が前記変速を禁止している場合に比べて低下させる制御量演算部と、を有し、
    前記制御量演算部は、前記変速禁止許容部によって前記変速が許容されている場合に、前記スリップ速度が変化しなくても、前記無段階変速機の変速比が大きくなるに従って、前記トラクション制御における前記エンジン及び前記ブレーキ装置の少なくとも一方の制御量を低下させる車両用トラクション制御装置。
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