JP3147949B2 - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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JP3147949B2 JP27543591A JP27543591A JP3147949B2 JP 3147949 B2 JP3147949 B2 JP 3147949B2 JP 27543591 A JP27543591 A JP 27543591A JP 27543591 A JP27543591 A JP 27543591A JP 3147949 B2 JP3147949 B2 JP 3147949B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のスリップ制御装
置、特に、自動変速機と、この自動変速機の変速段を少
なくとも駆動輪速に応じて切り換える変速制御手段とを
備えた車両に設けられるスリップ制御装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】車両加速時等においては、駆動輪が過大
な駆動力によってスリップし、これにより加速性が低下
してしまうことがある。このため従来より、駆動輪の路
面に対するスリップ率が所定値以上になったとき、この
スリップ率を所定の目標スリップ率に近づけるよう駆動
輪の駆動力を制御する、いわゆるトラクション制御を行
うスリップ制御装置が提案されている。
【0003】ところで、自動変速機を備えた車両におい
ては、車速やスロットル開度等に応じて自動変速機の変
速段を切り換えるようになっており、その際、車速は、
自動変速機の出力軸等に設けられた車速センサにより検
出されるようになっているが、上記のようなスリップ制
御装置を備えた車両においては、一般に、駆動輪速の検
出手段が設けられることから、この検出手段により検出
された駆動輪速を上記車速として用いて自動変速機の変
速段を切り換えるようにすることができ、このようにす
ることにより、車速センサを廃止することも可能とな
る。
【0004】しかしながら、このように自動変速機の変
速段を駆動輪速に応じて切り換えるようにした場合に
は、トラクション制御中に変速段切換えが行われると次
のような問題を生ずる。すなわち、変速段切換え制御に
おいては、一般に、変速段切換え時のハンチング防止の
ため、シフトアップ時とシフトダウン時とで変速段の切
換え境界点をずらしたヒステリシスが設けられるが、ト
ラクション制御中は駆動輪速が変化しやすくなるため、
上記ヒステリシスの幅を越えて駆動輪速が変化すること
がある。このように駆動輪速が大きく変化すると、本来
変速段切換えを必要としないときであっても変速段切換
えが行われるためハンチングが発生しやすくなり、これ
により乗員に変速ショックを与えてしまう、という問題
を生ずる。
【0005】これに対し、例えば特開昭61−8915
7号公報に開示されているように、トラクション制御中
は上記ヒステリシスの幅をそれ以外のときより大きくす
るよう制御すれば、不用意に変速段切換えが行われるの
を抑制することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに変速段切換え時のヒステリシス幅を単に大きくする
だけでは、駆動輪が瞬間的に大きくスピンして駆動輪速
が急激に大きくなったような場合には、たとえその直後
に駆動輪速が元に戻ったとしても変速段切換えが行われ
てしまうため、不用意な変速段切換えを防止する上でま
だ不十分である。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、トラクション制御中における不用意な
変速段切換えによるハンチングを効果的に防止すること
ができる車両のスリップ制御装置を提供することを目的
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両のスリ
ップ制御装置は、駆動輪速が変速段の切換え境界点を越
えて変化した場合に、無条件で変速段切換えを行わずに
所定の制限を設けることにより、上記目的達成を図るよ
うにしたものである。
【0009】すなわち、図3に示すように、自動変速機
(A)と、この自動変速機(A)の変速段を少なくとも
駆動輪速に応じて切り換える変速制御手段(B)と、を
備えた車両に設けられるスリップ制御装置であって、前
記駆動輪の路面に対するスリップ率が所定値以上になっ
たとき、このスリップ率を所定の目標スリップ率に近づ
けるよう前記駆動輪の駆動力を制御する駆動力制御手段
(C)を備えた車両のスリップ制御装置において、請求
項1記載の発明は、前記駆動輪速が前記変速段の切換え
境界点を越えて変化した場合であっても、前記駆動力制
御手段による駆動力制御中でかつ前記駆動輪の回転速度
が所定値未満の状態ときにのみ前記変速制御手段による
変速段切換えを許容する変速制限手段を備えていること
を特徴とするものであり、請求項2記載の発明は、図3
に示すように、前記駆動輪速が前記変速段の切換え境界
点を越えて変化した場合であっても、前記駆動力制御手
段による駆動力制御中でかつ前記駆動輪速の変化率が所
定値以上のときには前記駆動輪速が変速段切換え後の変
速段領域内にある状態が所定時間以上継続したときにの
み前記変速制御手段(B)による変速段切換えを許容す
る変速制限手段(D″)を備えていることを特徴とする
ものである。
【0010】
【発明の作用および効果】上記構成に示すように、請求
項1記載の発明によれば、駆動輪速が変速段の切換え境
界点を越えて変化した場合、トラクション制御中は、大
きなスピンが生じないと考えられる駆動輪の変化率が所
定値未満のときに変速段切換えを許容するようになって
いるので、トラクション制御の際の変速を適正に行うこ
とができるとともに、駆動輪がスピンして駆動輪速が急
激に大きくなりその直後に駆動輪速が元に戻ったような
場合には、変速段切換えが行われず、これにより不用意
な変速段切換えを防止することができる。
【0011】したがって、本発明によれば、トラクショ
ン制御中における不用意な変速段切換えによるハンチン
グの発生を効果的に防止することができ、これにより乗
員に変速ショックを与えてしまうのを防止することがで
きる。
【0012】
【0013】さらに、請求項2記載の発明によれば、駆
動輪速が変速段の切換え境界点を越えて変化した場合で
あっても、駆動力制御中でかつ駆動輪速の変化率が所定
値以上のときには駆動輪速が変速段切換え後の変速段領
域内にある状態が所定時間以上継続したときにのみ変速
段切換えを許容するようになっているので、駆動輪速が
急激に大きくなった直後に駆動輪速が元に戻ったような
場合でかつその際の駆動輪のスピンが大スピンのときの
みを対象にして変速段切換え防止を図ることができ、こ
れにより、トラクション制御中における不用意な変速段
切換えによるハンチングを効果的に防止することができ
るとともに、不必要な変速制限を最小限に抑えることが
できる。
【0014】また、車速がある程度大きくなったときに
は、変速ショックはあまり問題とならず、むしろ変速段
切換えによる速やかな車速の増大の方が要求されること
に鑑み、請求項3に記載したように、車速が所定値以上
のときには上記の変速制限動作を制限するようにしても
よく、このようにすれば、変速ショック防止および加速
性能確保の両立を効果的に図ることができる。
【0015】なお、図1、2に示すものは本発明の理解
をたすけるため図3と対比をなすもので同図1に示すよ
うに、前記駆動輪速が前記変速段の切換え境界点を越え
て変化した場合であっても、前記駆動力制御手段(C)
による駆動力制御中は、前記駆動輪速が変速段切換え後
の変速段領域内にある状態が所定時間以上継続したとき
にのみ前記変速制御手段(B)による変速段切換えを許
容する変速制限手段(D)を備えており、駆動輪速が変
速段の切換え境界点を越えて変化した場合であっても、
トラクション制御中は、駆動輪速が変速段切換え後の変
速段領域内にある状態が所定時間以上継続したときにの
み変速段切換えを許容するようになっているので、駆動
輪がスピンして駆動輪速が急激に大きくなりその直後に
駆動輪速が元に戻ったような場合には、変速段切換えが
行われず、これにより不用意な変速段切換えを防止する
ことができる。また、図2に示すように、前記駆動輪速
が変速段切換え境界点を越えて変化した場合であって
も、前記駆動輪速の変化率が所定値以上のときには前記
変速制御手段(B)による変速段切換えを禁止する変速
制限手段(D′)を備えている。駆動輪速が変速段切換
え境界点を越えて変化した場合であっても、駆動輪速の
変化率が所定値以上のときには変速段切換えを禁止する
ようになっているので、駆動輪が大きくスピンして駆動
輪速が急激に大きくなった場合には、変速段切換えが行
われず、これにより不用意な変速段切換えを防止するこ
とができる。なお、この場合、駆動輪が大きくスピンし
て駆動輪速が急激に大きくなった後、駆動輪速が元に戻
らなかったときであっても、変速段切換えが防止される
こととなるが、駆動輪の大スピンは、一般に変速段切換
え制御において想定している変速段切換え時の車速の増
大の程度に対して非常に大きなものとなるので、このよ
うな現象が生じたときには変速段切換えのための条件が
整ってないとして変速段切換えを防止しても特に支障が
生じることはない。
【実施例】以下、添付図面を参照しながら、本発明の実
施例について説明する。
【0016】図4は、本発明に係る車両のスリップ制御
装置の一実施例を示す構成概要図である。
【0017】図4に示すように、このスリップ制御装置
が設けられる車両は、左右の前輪1、2が従動輪、左右
の後輪3、4が駆動輪とされており、エンジン5の出力
トルクが自動変速機6からプロペラシャフト7、差動装
置8および左右の駆動輪9、10を介して左右の後輪
3、4に伝達されるようになっている。
【0018】そして、上記各車輪1〜4には、これらの
車輪1〜4と一体回転するディスク11a〜14aと、
制動圧の供給を受けて、これらのディスク11a〜14
aの回転を制動するキャリパ11b〜14bなどでなる
ブレーキ装置11〜14とがそれぞれ設けられており、
さらに、これらのブレーキ装置11〜14を制動操作さ
せるブレーキ制御システム15が設けられている。
【0019】このブレーキ制御システム15は、運転者
によるブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装
置17と、この倍力装置17によって増大された踏込力
に応じた制動圧を発生させるマスターシリンダ18とを
有している。このマスターシリンダ18から導かれた前
輪用制動圧供給ライン19、20が左右の前輪1、2に
おけるブレーキ装置11、12のキャリパ11b、12
bにそれぞれ接続されている。そして、上記マスターシ
リンダ18で発生するブレーキペダル16の踏込力に応
じた制動圧が、各前輪用制動圧供給ライン19、20を
介して左右の前輪1、2におけるブレーキ装置11、1
2にダイレクトに供給され、これらの制動圧に応じた制
動力で前輪1、2がそれぞれ制動されるようになってい
る。
【0020】上記倍力装置17には、ポンプ21からの
作動圧を供給する作動圧供給ライン22と、該倍力装置
17で生じた余剰のブレーキオイルをリザーバタンクに
戻すリターンライン23とが接続されており、また、倍
力装置17から導かれた第1制動圧供給ライン24と、
上記作動圧供給ライン22のポンプ吐出側から分岐され
た第2制動圧供給ライン25とには、電磁式の第1、第
2開閉弁26、27がそれぞれ設置されている。第1制
動圧供給ライン24には、上記第1開閉弁26と並列に
逆流防止用のチェック弁28が設置されている。また、
上記第1、第2制動圧供給ライン24、25は点Xで合
流されて、その合流点Xから左右の後輪3、4における
ブレーキ装置13、14のキャリパ13b、14bに後
輪用制動圧供給ライン29、30が導かれている。これ
らの制動圧供給ライン29、30上には、電磁式の開閉
弁31、32とリリーフ弁33、34とがそれぞれ設置
されている。
【0021】一方、エンジン5の吸気通路35には運転
者によって操作されるアクセルペダル36に連結された
メインスロットル弁37と、スロットル開度調節アクチ
ュエータ38に連結されたサブスロットル弁39とが設
置されており、これらのスロットル弁37、39の開度
を調節することにより、エンジン5の吸入空気量が可変
制御されてエンジン出力が調節されるようになってい
る。
【0022】スリップ制御装置は、電子制御式のコント
ロールユニット(以下「ECU」という。)40を備え
ており、このECU40によりトラクション制御を行う
ようになっている。このトラクション制御は、駆動輪で
ある後輪3、4の路面に対するスリップ率が所定値以上
になったとき、上記スリップ率を所定の目標スリップ率
に近づけるよう各後輪3、4の駆動力を制御するもので
あるが、この駆動力の制御は、具体的には、エンジン出
力を制限すること(エンジン制御)および後輪3、4に
制動力を作用させること(ブレーキ制御)により行われ
るようになっている。
【0023】このECU40には、各車輪1〜4の回転
速度を検出する車輪速センサ41〜44からの信号と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ45か
らの信号と、左後輪3のブレーキ装置13に通じる後輪
用制動圧供給ライン29における開閉弁31の下流側に
設置されて該ブレーキ装置13に供給される制動圧を検
出する第1圧力センサ46と、右後輪4のブレーキ装置
14に通じる後輪用制動圧供給ライン30における開閉
弁32の下流側に設置された該ブレーキ装置14に供給
される制動圧を検出する第2圧力センサ47と、上記ア
クセルペダル36の踏込量を検出するアクセルポジショ
ンセンサ48からの信号と、ステアリング舵角を検出す
る舵角センサ49からの信号とが入力されるようになっ
ており、ECU40は、これらの信号に基づいて、上記
ブレーキ制御システム15における開閉弁26、27、
31、32およびリリーフ弁33、34の作動と、上記
サブスロットル弁29の開度を調節する上記スロットル
開度調節アクチュエータ38の作動とを制御するように
なっている。
【0024】上記ECU40からの制御信号により、図
示のように、第1制動圧供給ライン24上の第1開閉弁
26が開き、第2制動圧供給ライン25上の第2開閉弁
27が閉じ、かつ後輪用制動圧供給ライン29、30上
の開閉弁31、32が開かれている場合には、倍力装置
17で発生されるブレーキペダル16の踏込力に応じた
制動圧が、第1制動圧供給ライン24を介して左右の後
輪3、4におけるブレーキ装置13、14に供給され、
これらの制動圧に応じた制動力で後輪3、4がそれぞれ
制動される。一方、ECU40は、ブレーキ制御による
トラクション制御を行う場合は、上記第1開閉弁26を
閉ざすと共に、第2開閉弁27を開動させる。したがっ
て、ポンプ21で発生される作動圧が倍力装置17を介
することなく、制動力として後輪用制動圧供給ライン2
9、30に供給される。
【0025】そして、上記各車輪速センサ41〜44か
らの信号により例えば左側の後輪3のスピン状態を検出
したとき、つまり従動輪である前輪1、2の回転速度を
平均した平均前輪速VF を基準として駆動輪である後輪
3の回転速度が大きいことを検出したときには、一方の
後輪用制動圧供給ライン29上の開閉弁31およびリリ
ーフ弁33をデューティ制御によって開閉することによ
り、スリップの状態に応じた制動圧で該後輪3に制動力
を付与する。なお、右側の後輪4のスピン状態が検出さ
れたときには、他方の後輪用制動圧供給ライン30上の
開閉弁32およびリリーフ弁34がデューティ制御によ
って開閉されて、スリップの状態に応じた制動圧で該後
輪4に制動力が付与されることになる。つまり、本実施
例においては、左右の後輪3、4に負荷される制動力が
独立して制御されるようになっている。
【0026】上記ECU40は、また、トラクション制
御における制御目標値および制御開始用閾値を決定する
ために必要な摩擦係数推定処理を行うようになってい
る。
【0027】この摩擦係数推定処理の概略を説明する
と、例えば左後輪3については次のようにして行われ
る。すなわち、ECU40は、上記車輪速センサ41、
42からの信号が示す左右の前輪1、2の回転速度から
求めた平均前輪速VF が所定の下限値VO (例えば5k
m/h)より小さいか否かを判定し、平均前輪速VF
限値VO 以上のときには、この平均前輪速VF とこれか
ら求めた前輪加速度AF とによって路面摩擦係数μL
推定する。
【0028】ここで、路面摩擦係数μとしては、極低μ
路を示す1から高μ路を示す5までの5段階に区分され
た数値のどれかが選択されるようになっている。
【0029】一方、ECU40は、平均前輪速VF が上
記下限値VO よりも小さいと判定したときには、上記セ
ンサ43からの信号が示す左後輪速VRLから求めた後輪
加速度ARLが所定の基準値AO (例えば2G)を超えて
いるか否かを判定して、超えていると判定したときに
は、エンジン回転数センサ45からの信号が示すエンジ
ン回転数Nに応じた左後輪3についての路面摩擦係数μ
L を推定するようになっている。一方、後輪加速度ARL
が上記基準値AO よりも小さいと判定したときには、路
面摩擦係数μL として固定値(例えば3)を選択する。
【0030】なお、右後輪4についても同様にして路面
摩擦係数μR が推定されるようになっている。
【0031】ECU40によるトラクション制御は、左
右の後輪3、4ごとに独立して行われるようになってお
り、例えば左後輪3については次のようにして行われ
る。
【0032】すなわち、まず、ECU40は、予め路面
摩擦係数μL をパラメータとして設定したテーブルか
ら、エンジン制御開始用閾値SEOとエンジン制御目標値
E とブレーキ制御開始用閾値SBOとブレーキ制御目標
値SB とを読み出す。
【0033】ここで、路面摩擦係数μとエンジン制御の
開始用閾値SEOおよび目標値SE 、ブレーキ制御の開始
用閾値SBOおよび目標値SB との関係を示すと表1のよ
うになる。なお、本実施例においては、エンジン制御開
始用閾値SEOはエンジン制御目標値SE と同じ値に設定
されており、ブレーキ制御開始用閾値SBOはブレーキ制
御目標値SB と同じ値に設定されている。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1において各制御開始用閾値SEO
BOおよび各制御目標値SE 、SB は、左後輪3の路面
に対するスリップ率に対応する値として設定されてい
る。
【0036】ECU40は、上記車輪速センサ43から
の信号が示す左後輪速VRLおよび車輪速センサ41、4
2からの信号が示す平均前輪速VF から、次式(1)に
より左後輪3に対する第1スリップ率S1 を算出する。
【0037】 S1 =(VRL−VF )/VRL …(1) ECU40は、この第1スリップ率S1 が、図5に示す
ように、エンジン制御開始用閾値SEOを超えた時点(t
1 )でエンジン制御を開始し、エンジン制御目標値SE
が得られるようにスロットル開度調節アクチュエータ3
8を介してサブスロットル弁39をフィードバック制御
する。これにより、エンジン5の出力トルクが上記エン
ジン制御目標値SE に収束するように制御されることに
なる。
【0038】このエンジン制御によってもスリップ状態
が解消せずに左後輪速VRLが上昇し続けた場合には、上
記第1スリップ率S1 がブレーキ制御開始用閾値SBO
超えた時点(t2 )で、後輪3のブレーキ装置13に制
動圧が供給され、エンジン制御とブレーキ制御の両方を
併用した制御が行われる。なお、制動圧は第1スリップ
率S1 が上記ブレーキ制御目標値SB となるようにフィ
ードバック制御される。
【0039】そして、第1スリップ率S1 がブレーキ制
御目標値SB にまで低下した時点(t3 )で、ブレーキ
制御が停止されて制動圧が減圧される。なお、エンジン
制御は所定の終了条件が満足されるまで行われる。
【0040】なお、右後輪4についても同様にして上記
制御が行われる。すなわち、ECU40は上記車輪速セ
ンサ44からの信号が示す右後輪速VRRから、平均前輪
速VF を差し引いてこれを右後輪速VRRで除して右後輪
4に対する第2スリップ率S2 を算出する。そして、こ
の第2スリップ率S2 が、上記と同様にして設定された
エンジン制御開始用閾値SEOを超えた時点でエンジン制
御を開始し、エンジン制御目標値SE が得られるように
スロットル開度調節アクチュエータ38を介してサブス
ロットル弁39をフィードバック制御する。このエンジ
ン制御によってもスリップ状態が解消せずに右後輪速V
RRが上昇し続け、第2スリップ率S2 が上記と同様にブ
レーキ制御開始用閾値SBOを超えた時点でエンジン制御
とブレーキ制御の両方を併用した制御が行われる。そし
て、第2スリップ率S2 がブレーキ制御目標値SB にま
で低下した時点で、ブレーキ制御が停止されて制動圧が
減圧されることになる。
【0041】次に、本実施例の自動変速機6の構成につ
いて説明する。
【0042】自動変速機6は、トルクコンバータ50と
多段変速歯車機構51とから構成されている。変速は、
変速歯車機構51の油圧回路に組み込まれた複数のソレ
ノイド52の励磁と消磁との組合せを変更することによ
り行われる。また、トルクコンバータ50は、油圧作動
式のロックアップクラッチ50Aを有しており、該クラ
ッチの油圧回路に組み込まれたソレノイド52の励磁と
消磁とを切り換えることにより、ロックアップクラッチ
50Aの締結と締結解除が行われる。
【0043】上記ソレノイド52a、52bは、自動変
速機用の制御ユニット(AT)53によって制御される
が、このAT53は、図6に示すような変速マップを予
め記憶しており、この変速マップに基づいて変速制御を
行うようになっている。この制御のため、AT53に
は、メインスロットル弁37の開度を検出するメインス
ロットル開度センサ54からのメインスロットル開度信
号と、サブスロットル弁39の開度を検出するサブトロ
ットル開度センサ55からのサブスロットル開度信号
と、ECU40からの車速信号とが入力されるようにな
っている。
【0044】なお、AT53は、ロックアップ制御につ
いても所定のロックアップマップに基づいて行うように
なっているが、本発明の理解容易化のため、図示および
その説明を省略する。
【0045】上記車速信号は、駆動輪である後輪3、4
の回転速度の平均値として演算された平均後輪速VA
信号であり、この平均後輪速VAは、車輪速センサ4
3、44からの信号によりECU40において演算され
るようになっている。
【0046】上記変速マップは、車速とスロットル開度
とに基づいて設定されており、各変速段相互間の変速ラ
イン(切換え境界点に相当)には、シフトアップ時とシ
フトダウン時とで車速方向に所定幅のヒステリシスが設
けられている。
【0047】上記のように変速段切換え時のヒステリシ
スを単に設けただけでは、上記トラクション制御におい
て後輪3、4のいずれか瞬間的に大きくスピンして平均
後輪速VA が急激に大きくなったような場合には、たと
えその直後に平均後輪速VA が元に戻ったとしても変速
段切換えが行われてしまうこととなる。
【0048】このため、本実施例においては、平均後輪
速VA が変速ラインを越えて変化した場合に、無条件で
変速段切換えを行わずに所定の制限を設けることによ
り、トラクション制御中における不用意な変速段切換え
によるハンチングを防止するようになっている。この変
速制限動作はECU40からの信号等に基づいてAT5
3において行われるようになっている。
【0049】次に、本実施例の作用につき、図7に示す
フローチャートに基づいて説明する。
【0050】AT53においては、ステップS1でEC
U40によりトラクション制御が行われていると判定し
た場合には、ステップS2で平均後輪速VRが所定値V
1 (例えば60km)以上か否かの判定が行われる。所
定値V1 以上であれば、変速ショックはあまり問題とな
らず、むしろ変速段切換えによる速やかな車速の増大の
方が要求されることに鑑み、以下の変速制限動作は行わ
れない。一方、所定値V1 未満であれば、ステップS3
でシフトアップ信号が出力されたか否か、すなわち変速
マップ上変速ラインを越えて変速段S1 (例えば1速)
から変速段S2 (例えば2速)へ車速あるいはスロット
ルバルブ開度が変化したか否かの判定が行われる。
【0051】シフトアップ信号が出力されていなけれ
ば、以下の変速制限動作は不要であるため行われず、一
方、シフトアップ信号が出力されていれば、ステップS
4でシフトアップ信号出力時点での平均後輪速VR の変
化率AR が所定値A1 (トラクション制御がなされてい
ないときには生じ得ない大きさの値に設定されてい
る。)以上か否かの判定が行われる。
【0052】所定値A1 未満であれば後輪3、4に大き
なスピンが生じていないと考えられるので、即座にステ
ップS6に移行して変速段切換え(S1 →S2 )が行わ
れる。一方、所定値A1 以上であれば、ステップS5で
シフトアップ信号出力時点からの経過時間Tが所定時間
1 (トラクション制御において生じる後輪3、4の回
転速度の増減周期よりも長い時間に設定されている。)
以上か否かの判定が行われる。
【0053】所定時間T1 が経過すれば、ステップS6
で変速段切換え(S1 →S2 )が実行されるが、この所
定時間T1を経過する前に新たなシフトアップ信号(S
2 →S3 (例えば3速))が出力された場合には、ステ
ップS4に戻り(ステップS7)、この変速段切換えに
関して再度変速制限動作の要否判定がなされる。また、
所定時間T1 を経過する前にシフトダウン信号(S2
1 )が出力された場合には、ステップS9に移行し
(ステップS8)、変速段切換えが中止されて変速段
は、そのままS1 に維持される。
【0054】以上詳述したように、本実施例によれば、
トラクション制御中において、平均後輪速VR がハンチ
ングに伴う変速ショックが問題となる所定値V1 未満の
ときには、この平均後輪速VR が変速ラインを越えて変
化した場合(シフトアップの信号が出力された場合)で
あっても、平均後輪速VR の変化率AR が所定値A1
上のときには平均後輪速VR が変速段切換え後の変速段
領域内にある状態が所定時間T1 以上継続したときにの
み変速段切換えを許容するようになっているので、左右
の後輪3、4のいずれかが大きくスピンして平均後輪速
R が急激に大きくなり、その直後に後輪速VR が元に
戻ったような場合には、変速段切換えが行われず、これ
により、トラクション制御中における不用意な変速段切
換えによるハンチングを効果的に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の理解をたすけるための車両のスリップ
制御装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の理解をたすけるための車両のスリップ
制御装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明に係る請求項3記載の車両のスリップ制
御装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明に係る車両のスリップ制御装置の一実施
例を示す構成概要図
【図5】上記実施例の作用(トラクション制御の基本制
御)を示すタイムチャート
【図6】上記実施例の変速マップを示す図
【図7】上記実施例の作用変速制御および変速制限制御
を示すフローチャート
【符号の説明】
1、2 前輪 3、4 後輪(駆動輪) 5 エンジン 6 自動変速機 8 差動装置 13、14 ブレーキ装置 15 ブレーキ制御システム 36 アクセルペダル 38 スロットル開度調節アクチュエータ 39 サブスロットル弁 40 ECU(駆動力制御手段) 41〜44 車輪速センサ 46 第1圧力センサ 47 第2圧力センサ 48 アクセルポジションセンサ 49 舵角センサ 53 AT(変速制御手段、変速制限手段、変速制限
動作手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 29/00 - 29/06 F02D 41/00 - 45/00 395 B60K 41/00 - 41/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動変速機と、この自動変速機の変速段
    を少なくとも駆動輪速に応じて切り換える変速制御手段
    と、を備えた車両に設けられるスリップ制御装置であっ
    て、前記駆動輪の路面に対するスリップ率が所定値以上
    になったとき、このスリップ率を所定の目標スリップ率
    に近づけるよう前記駆動輪の駆動力を制御する駆動力制
    御手段を備えた車両のスリップ制御装置において、 前記駆動輪速が前記変速段の切換え境界点を越えて変化
    した場合であっても、前記駆動力制御手段による駆動力
    制御中でかつ前記駆動輪の回転速度が所定値未満の状態
    ときにのみ前記変速制御手段による変速段切換えを許容
    する変速制限手段を備えていることを特徴とする車両の
    スリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 自動変速機と、この自動変速機の変速段
    を少なくとも駆動輪速に応じて切り換える変速制御手段
    と、を備えた車両に設けられるスリップ制御装置であっ
    て、前記駆動輪の路面に対するスリップ率が所定値以上
    になったとき、このスリップ率を所定の目標スリップ率
    に近づけるよう前記駆動輪の駆動力を制御する駆動力制
    御手段を備えた車両のスリップ制御装置において、 前記駆動輪速が前記変速段の切換え境界点を越えて変化
    した場合であっても、前記駆動力制御手段による駆動力
    制御中でかつ前記駆動輪速の変化率が所定値以上のとき
    には前記駆動輪速が変速段切換え後の変速段領域内にあ
    る状態が所定時間以上継続したときにのみ前記変速制御
    手段による変速段切換えを許容する変速制限手段を備え
    ていることを特徴とする車両のスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 車速が所定値以上のときには、前記変速
    制限手段の動作を制限する変速制限動作制限手段を備え
    ている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両
    のスリップ制御装置。
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