JP6317904B2 - モータ制御装置、及び空気調和機 - Google Patents

モータ制御装置、及び空気調和機 Download PDF

Info

Publication number
JP6317904B2
JP6317904B2 JP2013207531A JP2013207531A JP6317904B2 JP 6317904 B2 JP6317904 B2 JP 6317904B2 JP 2013207531 A JP2013207531 A JP 2013207531A JP 2013207531 A JP2013207531 A JP 2013207531A JP 6317904 B2 JP6317904 B2 JP 6317904B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motor
current
phase
axis
control device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013207531A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015073361A (ja
JP2015073361A5 (ja
Inventor
田村 建司
建司 田村
奥山 敦
奥山  敦
樋爪 達也
達也 樋爪
正博 田村
正博 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Original Assignee
Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc filed Critical Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Priority to JP2013207531A priority Critical patent/JP6317904B2/ja
Priority to CN201410404003.1A priority patent/CN104518723B/zh
Publication of JP2015073361A publication Critical patent/JP2015073361A/ja
Publication of JP2015073361A5 publication Critical patent/JP2015073361A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6317904B2 publication Critical patent/JP6317904B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
  • Motor And Converter Starters (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)
  • Control Of Eletrric Generators (AREA)

Description

本発明は、モータの駆動を制御するモータ制御装置等に関する。
モータの3相巻線に生じる線間電圧等に基づいて回転子の位置を推定し、その推定結果に応じてモータを駆動する位置センサレス制御が知られている。位置センサレス制御を用いることで、さまざまな設置環境にモータを設置できるとともに、位置センサを省略するぶん製造コストを削減できるという利点がある。
例えば、特許文献1には、3相巻線の線間誘起電圧を検出する誘起電圧検出回路と、インバータの直流側に流れる電流を検出するためのシャント抵抗と、同期モータの駆動を制御するマイコンと、を備える電動機の制御装置について記載されている。
特開2007−166695号公報
特許文献1に記載の発明においてマイコンは、モータを起動する際(モータ停止時)に、空転に伴う回転子の磁極位置等を誘起電圧検出回路によって検出する。また、マイコンは、シャント抵抗の電流値に基づきモータ電流を再現しつつPWM(Pulse Width Modulation)制御を実行してモータを駆動する。
このように特許文献1に記載の発明では、モータの磁極位置等を検出する際、起動前と起動後とで別々の回路(誘起電圧検出回路及びシャント抵抗)を使用する構成になっている。このように、モータの磁極位置等の検出に用いる回路が複数存在するため、そのぶん制御装置の製造コストが高くなるという問題がある。また、一方の回路に不具合が生じた場合、モータを適切に起動できなくなる可能性がある。
そこで、本発明は、低コストであり、信頼性の高いモータ制御装置等を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係るモータ制御装置は、インバータ回路の直流側に設置される電流検出器で検出される電流値に基づき、前記インバータ回路に制御信号を出力してモータを駆動する制御手段を備え、前記インバータ回路は、一対のスイッチング素子が直列接続されてなるレグが並列接続された構成であり、前記制御手段は、前記モータを起動する際、位置決め電流を流す指令を前記インバータ回路に出力し、前記指令に基づき、前記インバータ回路の上アーム及び下アームのうち、一方の各スイッチング素子をオン状態とし、他方の各スイッチング素子をオフ状態とした後、複数の前記レグにおいてタイミングをずらして、各スイッチング素子のオン/オフを切り替え、前記電流検出器で検出される前記位置決め電流の電流値の電気角周波数が所定値未満である場合、前記モータを起動する電流を流す指令を前記インバータ回路に出力し、前記電流検出器で検出される前記位置決め電流の電流値の電気角周波数が所定値以上である場合、前記モータを起動する電流を流す指令を前記インバータ回路に出力しないことを特徴とする。
なお、詳細については、発明を実施するための形態において説明する。
本発明によれば低コストであり、信頼性の高いモータ制御装置等を提供できる。
本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成図である。 モータに連結された室外ファンを備える空気調和機のシステム構成図である。 モータの3相巻線に流れる相電流の位相角と、3相巻線に流れる電流の向きと、の関係を示す説明図である (a)はモータの停止中に、室外ファンの空転によって3相巻線に電流が流れている状態を示す説明図であり、(b)は上アームのスイッチング素子をオンにした状態を示す説明図であり、(c)は下アームのスイッチング素子をオンにした状態を示す説明図である。 (a)はモータの実軸と制御軸との関係を示す説明図であり、(b)はモータに位置決め電流を流した際の電流ベクトルを表す説明図である。 モータ制御装置が備える起動時状態推定部の構成図である。 モータ制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。 モータ制御装置が実行する起動時状態推定処理(S102:図7参照)の流れを示すフローチャートである。 (a)はdq座標系で位置決め電流をベクトル表示した説明図であり、(b)モータが正転している場合のq軸電流の時間的変化を示す説明図であり、(c)はモータが停止している場合のq軸電流の時間的変化を示す説明図であり、(d)はモータが逆転している場合のq軸電流の時間的変化を示す説明図である。 フィードバック電流の検出に関する説明図であり、(a)はU相、V相、W相の電圧指令タイマカウント値の説明図であり、(b)は各スイッチング素子のオン/オフを示す説明図であり、(c)はシャント抵抗を流れる母線電流の変化を示す説明図である。 位置決め電流指令を入力した場合に流れる3相電流の向きを示す説明図であり、(a)は図10(c)の区間K2に対応し、(b)は図10(c)の区間K3に対応している。 位置決め電流指令を入力した場合に流れる3相電流の向きを示す説明図であり、(a)は図10(c)の区間K5に対応し、(b)は図10(c)の区間K6に対応している。 モータ制御装置が実行する制御モード設定処理(S103:図7参照)の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、一例として、空気調和機S(図2参照)の室外機Soに連結されるモータMの制御について説明する。
≪実施形態≫
図1は、本実施形態に係るモータ制御装置の構成図である。モータ制御装置1は、インバータ回路2の直流側に設置されるシャント抵抗Rの電流検出値に基づき、インバータ回路2に制御信号を出力してモータMを位置センサレスで駆動する装置である。
以下では、まず、モータ制御装置1の制御対象であるインバータ回路2及びモータMについて簡単に説明する。次に、モータMに連結される室外ファンF等について説明し、この室外ファンFの状態推定に関する概要を説明した後、本実施形態に係るモータ制御装置1について詳細に説明する。
図1に示すインバータ回路2は、直流電源3から入力される直流電圧(直流電力)を3相交流電圧(3相交流電力)に変換し、この3相交流電圧をモータMに出力する電力変換器である。ここで、直流電源3は、交流電源31から入力される交流電力が、整流回路32及び平滑コンデンサ33によって直流電力に変換されたものである。
インバータ回路2は、スイッチング素子Tr_Pu,Tr_Nuを備える第1レグと(図4参照)、スイッチング素子Tr_Pv,Tr_Nvを備える第2レグと、スイッチング素子Tr_Pw,Tr_Nwを備える第3レグと、が互いに並列接続されることで構成される。以下では、任意のスイッチング素子を単に「スイッチング素子Tr」と記すことがあるものとする。
スイッチング素子Trには、転流によるスイッチング素子Trの破壊を防止するため、還流ダイオードD_Pu,D_Nu等が逆並列に接続されている(図4参照)。
インバータ回路2が有する下アームのスイッチング素子Tr_Nu,Tr_Nv,Tr_Nw(図4参照)の共通接続点と、直流電源3の負極と、の間(つまり、インバータ回路2の直流側に接続される母線A)には、シャント抵抗R(電流検出器)が設置されている。シャント抵抗Rに流れる電流の検出値は、モータ制御装置1の電流再現処理部101に出力される。
モータMは、例えば、ブラシレス直流モータであり、3相巻線Lu,Lv,Lw(図4参照)が巻回される固定子(電機子:図示せず)と、この固定子に対して回転可能に軸支される回転子(永久磁石:図示せず)と、を有している。
前記したインバータ回路2が駆動することで3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流の向きが切り替わり、回転子との間で吸引力・反発力が生じるようになっている。モータMの回転子の軸Xは、空気調和機Sの室外ファンFに連結されている。
図2は、モータに連結された室外ファンを備える空気調和機のシステム構成図である。なお、図2に示す矢印は、冷房運転時に冷媒が流れる向きを表している。
空気調和機Sは、圧縮機41と、四方弁42と、室外熱交換器43と、膨張弁44と、室内熱交換器45と、室外ファンFと、室内ファンF1と、を備えている。四方弁42、圧縮機41、室外熱交換器43、膨張弁44、及び室内熱交換器45が環状に順次接続されることで、冷媒回路Tが構成される。
室外ファンFは、室外熱交換器43に室外空気を送り込むファンであり、室外機Soに設置されている。室外ファンFが回転することで、室外熱交換器43を通流する冷媒と、外気と、が熱交換する。前記したように、室外ファンFには、本実施形態に係るモータMの回転子(図示せず)が連結されている。
室内ファンF1は、室内熱交換器45に室内空気を送り込むファンであり、室内機Siに設置されている。室内ファンF1が回転することで、室内熱交換器45を通流する冷媒と、室内空気と、が熱交換する。室内ファンF1には、別のモータM1が設置されている。
室外機Soは屋外に設置されているため、室外ファンFに向けて自然風が流入することが多い。したがって、モータMが停止している状態(つまり、次回起動時)でも、自然風によって室外ファンFが正転又は逆転していることがある。
本実施形態では、モータMの起動前において、モータMに流れる電流の位相角等をシャント抵抗Rの電流検出値に基づいて推定するようにした。以下では、室外ファンF(つまり、モータMの回転子)が空転することを単に、「モータMが空転する」と記すことがあるものとする。
<モータ駆動中の相電流>
図3は、モータの3相巻線に流れる相電流の位相角と、3相巻線に流れる電流の向きと、の関係を示す説明図である。なお、図3に示す「吸込側」及び「吐出側」は、モータMを基準とした電流の向きを表している。
モータ制御装置1は、PWM制御に基づき、電気角で120°ずつ位相角が異なる電流を3相巻線Lu,Lv,Lwに流してモータMを駆動させる。つまり、モータ制御装置1は、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流が電流位相区間L0〜L5の順序で推移するように各スイッチング素子Trのオンデューティを変化させる。これによって、回転子の磁極との間で吸引力・反発力を生じさせる磁界が3相巻線Lu,Lv,Lwに発生する。
<モータの空転に伴う相電流>
前記したように、モータMの駆動を停止させた状態で自然風が吹き込むと、モータMの回転子に作用する慣性力・摩擦力や、3相巻線Lu,Lv,Lwに生じる逆起電力に抗して、室外ファンFが空転(フリーラン)することがある。室外ファンFが空転すると、この室外ファンFに連結された回転子も空転し、回転子と固定子との間で生じる逆起電力によって、3相巻線Lu,Lv,Lwに電流が流れる。
<空転状態の推定処理の概要>
図4(a)は、モータの停止中に、室外ファンの空転によって3相巻線に電流が流れている状態を示す説明図である。スイッチング素子Trが全てオフの状態で室外ファンFが空転(逆転)すると、ある時刻において図4(a)に示す向きの電流が流れる。つまり、直流電源3の起電力に打ち勝つ逆起電力が発生し、母線A及び還流ダイオードD_Nuを介してコイルLuにU相電流Iuが流れ込む。
一方、コイルLvを流れるV相電流Ivは還流ダイオードD_Pvを介して直流側に押し出され、コイルLwを流れるW相電流Iwは還流ダイオードD_Pwを介して直流側に押し出される。なお、電流Iu,Iv,Iwの向きは、回転子の磁極位置に応じて時々刻々と変化する。
次に、モータMの駆動を停止した状態で、U相を基準とする微少な位置決め電流(d軸電流指令)を3相巻線Lu,Lv,Lwに流した場合について考える。つまり、モータ制御装置1によって、U相を基準としてdq座標系でd軸に沿う位置決め電流指令をインバータ回路2に入力する。
図4(b)は、上アームのスイッチング素子をオンにした状態を示す説明図である。室外ファンFが空転している状態において、例えば、ディーティ比10%でスイッチング素子Tr_Puをオンにし、ディーティ比5%でスイッチング素子Tr_Pv,Tr_Pwをオンにする。
モータMが空転していない状態では、図4(b)に示すように、スイッチング素子Tr_Puを流れるU相電流IuがコイルLuに流入した後、コイルLv,Lwに向けて分流する。コイルLvから流出するV相電流Ivは、還流ダイオードD_Pvを介してスイッチング素子Tr_Puに向かう(W相電流Iwについても同様)。この場合、モータMの電機子に逆起電力が発生せず、3相巻線Lu,Lv,Lwにトルク電流(q軸成分)が流れることはない。
図4(c)に示すように、下アームのスイッチング素子Trをオンした場合についても同様である(図4(b)、(c)に示す区間K1,K2については後記する)。
一方、モータMが空転している状態で、前記した位置決め電流を3相巻線Lu,Lv,Lwに流すと、この位置決め電流に対応する電流(d軸成分)のみならず、回転子の空転に伴う逆起電力の影響で、シャント抵抗Rに電流が流れる。
本実施形態では、このように微少な位置決め電流を与えたときにシャント抵抗Rに流れる電流を検出し、その電流検出値に基づいて3相巻線Lu,Lv,Lwの電流位相角、電気角周波数、及び空転の向き(正転/停止/逆転)を推定するようにした。
<モータ制御装置の構成>
再び、図1に戻って説明を続ける。モータ制御装置1は、シャント抵抗Rから入力される電流検出値Istに基づいてPWM信号を生成し、このPWM信号をインバータ回路2に出力する装置である。モータ制御装置1は、例えばマイコン(Microcomputer:図示せず)であり、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が各種処理を実行するようになっている。
なお、図1に示す構成図のうち、太枠線で示す起動時状態推定部115及び起動モード設定部116は、モータMを起動する際(つまり、停止中)に用いられ、モータMの駆動中は用いられない。
図5(a)はモータの実軸と制御軸との関係を示す説明図である。図5(a)に示すd軸は、永久磁石である回転子の磁束方向を表す軸であり、q軸はd軸と直交する軸である。位置センサレス制御を行う場合、推定されるd軸としてのdc軸、及び、推定されるq軸としてのqc軸上で電流制御を行う。以下では、d軸及びq軸を「実軸」と記し、dc軸及びqc軸は「制御軸」と記すことがあるものとする。
モータ制御装置1は、主として、電流再現処理部101と、3相/2軸変換器102と、軸誤差推定器103と、電圧指令演算器112と、2軸/3相変換器113と、PWM信号発生器114と、起動時状態推定部115と、起動モード設定部116と、を備えている。
電流再現処理部101は、シャント抵抗Rから入力される電流検出値Istと、インバータ回路2が有するスイッチング素子Tr(図4参照)のON/OFF信号と、からモータMに流れる3相電流Iuc,Ivc,Iwcを再現する。電流再現処理部101は、再現した3相電流Iuc,Ivc,Iwcを3相/2軸変換器102に出力する。
3相/2軸変換器102は、モータMの駆動中において以下の処理を実行する。すなわち、3相/2軸変換器102は、再現された3相電流Iuc,Ivc,Iwcと、積分器107から入力される位相θdcと、に基づいて、制御系のdc軸電流Idc及びqc軸電流Iqcを算出する。
そして、3相/2軸変換器102は、dc軸電流Idcをd軸電流指令発生器108に出力し、qc軸電流Iqcをq軸電流指令発生器109に出力する。また、3相/2軸変換器102は、dc軸電流Idc及びqc軸電流Iqcを軸誤差推定器103に出力する。
なお、図1では、dc軸電流Idcの信号線と、qc軸電流Iqcの信号線と、を途中から同一の信号線として記載しているが、実際にはそれぞれ別の信号として軸誤差推定器103等に入力される(後記するVdc*,Vqc*についても同様)。
また、3相/2軸変換器102は、モータMを起動する際(つまり、モータMの駆動停止中)、以下の処理を実行する。すなわち、3相/2軸変換器102は、電流再現処理部101から入力される3相電流Iuc,Ivc,Iwcからフィードバック電流Idfb,Iqfbを算出する。そして、起動時状態推定部115は、算出したフィードバック電流Idfb,Iqfbを起動時状態推定部115に出力する。
このように、3相/2軸変換器102の処理内容は、モータ起動時と、モータ駆動中と、で異なっている。
軸誤差推定器103は、dc軸電圧指令Vdc*と、qc軸電圧指令Vqc*と、dc軸電流Idcと、qc軸電流Iqcと、電気角周波数ω1cと、に基づいて軸誤差Δθcを推定する。つまり、軸誤差推定器103は、モータMの実軸と制御軸との軸誤差Δθcを、シャント抵抗Rから入力される電流値Istに基づいて推定する。なお、当該推定処理についての詳細な説明は省略する。
軸誤差推定器103は、推定した軸誤差Δθcを符号反転器104に出力する。
符号反転器104は、軸誤差推定器103から入力される軸誤差Δθcの符号を反転させる(つまり、軸誤差指令値であるゼロから軸誤差Δθcを減算する)。符号反転器104は、値(−Δθc)をPLL回路105に出力する。
PLL(Phase Locked Loop)回路105は、符号反転器104から入力される値(−Δθc)を用いてPI(Proportional Integral)制御を実行し、モータMの角周波数補正値Δω1を算出する。PLL回路105は、算出した角周波数補正値Δω1を加算器106に出力する。
加算器106は、角周波数指令演算器111から入力される電気角周波数指令ω1*と、PLL回路105から入力される角周波数補正値Δω1と、を加算し、角周波数補正値Δω1を算出する。加算器106は、角周波数補正値Δω1を積分器107及び軸誤差推定器103に出力する。
積分器107は、加算器106から入力される電気角周波数ω1cを積分して位相推定値θdcを算出する。積分器107は、算出した位相推定値θdcを3相/2軸変換器102及び2軸/3相変換器113に出力する。
d軸電流指令発生器108は、3相/2軸変換器102から入力されるdc軸電流Idcに基づいてd軸電流指令Id*を算出する。d軸電流指令発生器108は、算出したd軸電流指令Id*を電圧指令演算器112に出力する。
q軸電流指令発生器109は、3相/2軸変換器102から入力されるqc軸電流Iqcに基づいてq軸電流指令Iq*を算出する。q軸電流指令発生器109は、算出したq軸電流指令Iq*を電圧指令演算器112に出力する。
また、d軸電流指令発生器108及びq軸電流指令発生器109は、リモコン5から起動指令が入力された際(つまり、実際にモータMを駆動させる直前に)、所定の位置決め電流を生成する。前記したように、位置決め電流は、室外ファンFの空転状態を検出するための微小な電流である。なお、位置決め電流を用いた処理の詳細については後記する。
角周波数指令発生器110は、室外熱交換器43に所定の風量の外気を送り込むように、予め設定されたプログラムに従ってモータMを駆動させるため角周波数指令ωr*を発生させる。角周波数指令発生器110は、発生させた角周波数指令ωr*を角周波数指令演算器111に出力する。
また、角周波数指令発生器110は、モータMの起動直前に位置決め電流(d軸電流指令)を電機子に流す際、角周波数指令ωr*=0を発生させる。さらに、角周波数指令発生器110は、起動時状態推定部115によって推定される電気角周波数Frqと、起動モード設定部116から入力される状態情報と、に基づいて、角周波数指令ωr*を生成する。
角周波数指令演算器111は、角周波数指令発生器110から入力される角周波数指令ωr*に、モータMの極対数(P/2)を乗算し、電気角周波数指令ω1*を算出する。角周波数指令演算器111は、算出した電気角周波数指令ω1*を加算器106及び電圧指令演算器112に出力する。
電圧指令演算器112は、前記したd軸電流指令Id*と、q軸電流指令Iq*と、電気角周波数指令ω1*と、に基づいてd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を算出する。電圧指令演算器112は、算出したd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を、軸誤差推定器103及び2軸/3相変換器113に出力する。
2軸/3相変換器113は、電圧指令演算器112から入力されるd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*と、積分器107から入力される位相推定値θdcと、に基づいて、モータの3相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を算出する。2軸/3相変換器113は、算出した3相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*をPWM信号発生器114に出力する。
PWM信号発生器114は、2軸/3相変換器113から入力される3相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に基づいてPWM信号を生成する。PWM信号発生器114は、生成したPWM信号をインバータ回路2のスイッチング素子Tr(図4参照)に出力する。
起動時状態推定部115は、前記した位置決め電流の入力に伴ってシャント抵抗Rに流れるフィードバック電流Idfb,Iqfbに基づき、起動時におけるモータMの空転状態を推定する。ここで、「モータMの空転状態」には、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れるモータ電流の位相角、電気角周波数、及び回転子が空転する向き(正転・停止・逆転)が含まれる。
図5(b)は、モータに位置決め電流を流した際の電流ベクトルを表す説明図である。モータMが空転していない場合、d軸を基準とする位置決め電流に応じた電流Iがシャント抵抗Rに流れる。この場合、q軸成分のフィードバック電流Iqfbはゼロになる。
一方、モータMが空転している場合、逆起電力による影響分の電流ΔIが前記した電流Iに加わり、ベクトルとして加算された電流(I+ΔI)がシャント抵抗Rに流れる。つまり、図5(b)に示すように、モータMが空転する速度や向きに応じて電流(I+ΔI)の位相角が変化する。
このように本実施形態では、シャント抵抗Rを流れるフィードバック電流Idfb,Iqfbが室外ファンFの空転状態に応じて変化することを利用して、モータMの空転状態を推定するようにした。
図6は、モータ制御装置が備える起動時状態推定部の構成図である。
起動時状態推定部115は、電流位相演算部115aと、d軸位相変換部115bと、減算器115cと、位相差演算部115dと、状態判定部115eと、周波数演算部115fと、を有している。
電流位相演算部115aは、モータMを起動する際に3相/2軸変換器102から入力されるフィードバック電流Idfb,Iqfbに基づき、モータ電流の位相角を算出する。なお、電流位相演算部115aは、所定周期(例えば、0.01sec毎)に位相角φを演算する。電流位相φは、以下に示す(数式1)に基づいて算出される。ちなみに、本実施形態でq軸基準で演算処理を実行するため、(数式1)では分母をq軸のフィードバック電流Iqfbとしている。
Figure 0006317904
電流位相演算部115aは、リモコン5(図1参照)から起動指令が入力された後、最初に算出した位相角φをd軸位相変換部115bに出力する。また、所定周期で算出する電流位相φを記憶手段(図示せず)に格納する。
d軸位相変換部115bは、電流位相演算部115aから入力される電流位相φに基づき、d軸位相θdを算出する。なお、位置決め電流はd軸起動(d軸電流指令Id*≠0、q軸電流指令Iq*=0)として与えられ、回転周波数指令ωr*=0[Hz]である。したがって、モータMの電流位相φと、d軸位相θdと、は相互に対応していると考えられる。
状態判定部115eから「正転」を示す情報が入力された場合、d軸位相変換部115bは、以下に示す(数式2)に基づいてd軸位相θdを算出する(図5(a)参照)。
Figure 0006317904
また、回転子が逆転(空転)している場合、d軸位相は正転時と比較してπ[rad]だけ位相がずれる。状態判定部115eから「逆転」を示す情報が入力された場合、d軸位相変換部115bは、以下に示す(数式3)に基づいてd軸位相θdを算出する。
Figure 0006317904
d軸位相変換部115bは、算出したd軸位相θd(つまり、モータ電流の位相角)を、図1に示す積分器107に出力する。
減算器115cは、今回(2回目以後に)算出された位相角φnと、前回の位相角φn-1と、の位相差Δφnを算出する。減算器115cは、算出した位相差Δφnを位相差演算部115dに出力する。
位相差演算部115dは、以下に示す(数式4)に基づいて、所定周期で算出される位相差Δφnに関してN個の和をとり、位相差Δφsumを算出する。前記した値Nは、モータMの演算精度を確保するために予め設定された値(例えば、N=16)である。すなわち、N段のバッファ(図示せず)に電流位相を格納して位相差Δφsumを求めることで、回転子が低速回転で空転している場合でも周波数Frq等を精度良く算出できる。
Figure 0006317904
位相差演算部115dは、算出した位相差Δφsumを状態判定部115e及び周波数演算部115fに出力する。状態判定部115eは、位相差演算部115dから入力される位相差Δφsumに基づいて、回転子(つまり、室外ファンF)が正回転で空転/停止/逆回転での空転のいずれであるかを判定する。位相差Δφsumと、回転子の状態と、の関係を以下の表1に示す。なお、位相差Δφsumの絶対値が所定値以下である場合に、状態判定部115eによって「停止」と判定するようにしてもよい。
状態判定部115eは、判定した結果をd軸位相変換部115b、周波数演算部115f、及び起動モード設定部116(図1参照)に出力する。
Figure 0006317904
周波数演算部115fは、位相差演算部115dから入力される位相差Δφsumに基づき、回転子が空転する際の電気角周波数Frqを算出する。すなわち、周波数演算部115fは、前記した値Nと、位相角φの演算周期ΔTと、を乗算した値NΔTで位相差Δφsumを除算し、さらに所定の定数を掛けることで電気角周波数Frqを算出する。周波数演算部115fは、算出した電気角周波数Frqを角周波数指令発生器110(図1参照)及び起動モード設定部116に出力する。
図1に示す起動モード設定部116は、起動時状態推定部115から入力される電気角周波数Frqと、前記した状態情報と、に基づいて、モータMの起動モードを設定する。なお、起動モード設定部116が実行する処理の詳細については後記する。起動モード設定部116は、設定した起動モードを角周波数指令演算器111に出力する。
<モータ制御装置の動作>
図7は、モータ制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS101においてモータ制御装置1は、モータMの起動指令があったか否かを判定する。なお、モータMの起動指令は、リモコン5を介した操作(例えば、冷房運転オン)に応じて、室内機Si側の制御装置(図示せず)から入力される。
モータMの起動指令があった場合(S101→Yes)、モータ制御装置1の処理はステップS102に進む。一方、モータMの起動指令がない場合(S101→No)、モータ制御装置1はステップS101の処理を繰り返す。
ステップS102においてモータ制御装置1は、起動時状態推定処理を実行し、起動直前におけるモータMの状態を推定する。
ステップS103においてモータ制御装置1は、ステップS102の推定結果に基づき、起動モード設定処理を実行する。なお、起動モード設定処理の詳細については後記する。
図8は、モータ制御装置が実行する起動時状態推定処理(S102:図7参照)の流れを示すフローチャートである。
ステップS1021においてモータ制御装置1は、モータMの電機子に位置決め電流を流すために位置決め電流指令(Id*≠0,Iq*=0,ω*=0)を生成する。この位置決め電流指令をdq座標系で表わすと、図9(a)のようになる。
モータ制御装置1は、位置決め電流を3相巻線Lu,Lv,Lwに流すように、上アームのスイッチング素子Tr_Pu,Tr_Pv,Tr_Pwをオンにする(図4(b)参照)。例えば、モータ制御装置1は、ディーティ比10%でスイッチング素子Tr_Puをオンにし、その半分のディーティ比5%で、スイッチング素子Tr_Pv,Tr_Pwをオンにする。
なお、この状態は、回転子に対して微少なブレーキ力として作用する。したがって、モータMの空転状態を変化させないようにするために(つまり、位置決め電流を与えることで大きな外乱が発生しないように)、位置決め電流は微少であることが好ましい。この状態は図10(c)に示す区間K1に対応している。
次に、モータ制御装置1は、前記した区間K1の状態からスイッチング素子Tr_Pu,Tr_Nuのオン/オフを切り替える。そうすると、図11(a)に示すように、各コイルに蓄えられていた電気エネルギが放出され、シャント抵抗Rを介して電流Iu(=Iv+Iw)が流れる。この状態は、図10(c)に示す区間K2に対応している。
続いて、モータ制御装置1は、前記した区間K2の状態からスイッチング素子Tr_Pv,Tr_Nvのオン/オフを切り替える。そうすると、図11(b)に示すように、シャント抵抗Rを介して電流Iwが流れる。この状態は、図10(c)に示す区間K3に対応している。
つまり、モータ制御装置1は、U相のスイッチング素子Tr_Pu又はTr_Nuを、V相及びW相に対して2倍のオンディーティで駆動しつつ電流経路を切り替える。このように電流経路を経時的に切り替えることによって、一つのシャント抵抗Rで、3相分の電流Iu,Iv,Iwに関する情報が得られる。なお、電流Ivは、区間K2で取得される電流値(Iv+Iw)から、区間K3で取得される電流値Iwを減算することで得られる。
また、図10(a)に示す時間Δtは、例えば、モータ制御装置1の回路が組み込まれたマイコンのサンプリング周期(又はその整数倍)である。
次に、モータ制御装置1は、前記した区間K4の状態(図4(c)、図10(c)参照)からU相のスイッチング素子Tr_Pu,Tr_Nuのオン/オフを切り替える。そうすると、図12(a)に示すように、各コイルに蓄えられていた電気エネルギが放出され、シャント抵抗Rを介して電流Iu(=Iv+Iw)が流れる。この状態は、図10(c)に示す区間K5に対応している。
続いて、モータ制御装置1は、前記した区間K5の状態からスイッチング素子Tr_Pv,Tr_Nvのオン/オフを切り替える。そうすると、図12(b)に示すように、シャント抵抗Rを介して電流Iwが流れる。この状態は、図10(c)に示す区間K6に対応している。
さらにモータ制御装置1は、区間K6の状態からW相のスイッチング素子Tr_Pw,Tr_Nwのオン/オフを切り替えて、区間K1の状態に戻す(図4(b)、図10(c)参照)。
このようにモータ制御装置1は、インバータ回路2が有する複数のスイッチング素子Trのうち、位置決め電流を流すためにオン信号を入力するスイッチング素子Trを切り替えることで、3相巻線Lu,Lv,Lwの電流値を算出する。これによって、dq座標系におけるモータ電流の位相角φを算出できる(図6参照)。
なお、このような一連の処理は、非常に短時間(PWM制御の一周期ぶんの時間)で実行される。モータ制御装置1は、d軸電流指令Id*(図9(a)参照)を生成しつつ、前記した区間K1〜K6を順次推移させるPWM制御を、所定周期で実行する。そうすると、前記したフィードバック電流Idfb,Iqfbは、時間の経過とともに以下のように変化する。
すなわち、モータMが正方向に空転(正転)している場合、逆起電力の影響でフィードバック電流Idfb,Iqfbが時々刻々と変化する。例えば、フィードバック電流のq軸成分は、時間の経過とともに正弦波状に変化する(図9(b)参照)。
また、モータMが空転していない場合、シャント抵抗Rには、前記したd軸電流指令Id*に対応するフィードバック電流(磁束方向であるd軸成分)が流れる。なお、モータMで逆起電力は発生しておらず、かつ、q軸電流指令Iq*はゼロである。したがって、フィードバック電流のq軸成分Iqfbは略ゼロになる(図9(c)参照)。
また、モータMが逆方向に空転(逆転)している場合、フィードバック電流のq軸成分Iqfbは、正転の場合とは逆位相で正弦波状に変化する(図9(d)参照)。
再び図8に戻って説明を続ける。ステップS1022においてモータ制御装置1は、値n=1とする。この値nは、モータMの電流位相角が算出されるたびにインクリメントされる自然数である(S1025)。
ステップS1023においてモータ制御装置1は、モータ電流の位相角φnを算出する。すなわちモータ制御装置1は、電流位相演算部115aによって、ステップS1021のd軸指令に応じたフィードバック電流Idfb,Iqfbに基づき、モータ電流の位相角φnを算出する。モータ制御装置1は、算出した位相角φnを記憶手段(図示せず)に格納する。
ステップS1024においてモータ制御装置1は、値n=1であるか否かを判定する。値n=1である場合(S1024→Yes)、モータ制御装置1の処理はステップS1025に進む。ステップS1025においてモータ制御装置1は、値nをインクリメントし、ステップS1023の処理に進む。
一方、値n=1でない、つまり、値nが2以上である場合(S1024→No)、モータ制御装置1の処理はステップS1026に進む。ステップS1026においてモータ制御装置1は、減算器115cによって、今回の位相角φnから前回の位相角φn-1を減算して位相差Δφnを算出する。
ステップS1027においてモータ制御装置1は、位相差演算部115dによって、n=1から今回まで算出した位相差Δφnの和Δφsum(n)を算出する。すなわち、モータ制御装置1は、前回までの和Δφsum(n-1)に、今回算出した位相差Δφnを加算することで、和Δφsum(n)を算出する。
ステップS1028においてモータ制御装置1は、n=Nであるか否かを判定する。前記したように、値Nは演算精度を確保するために設定された値(例えば、N=16)である。n<Nである場合(S1028→No)、ステップS1025においてモータ制御装置1は値nをインクリメントし、ステップS1023の処理に進む。
一方、n=Nである場合(S1028→Yes)、モータ制御装置1の処理はステップS1029に進む。ステップS1029においてモータ制御装置1は、状態判定部115eによって、モータMの状態(正転/停止/逆転)を判定する。当該判定処理は、ステップS1027で最終的に得られる位相差の総和Δφsum(N)の符号に基づいて判定される(前記した表1を参照)。
ステップS1030においてモータ制御装置1は、周波数演算部115fによって、空転又は停止しているモータMの電気角周波数Frqを算出する。
このようにしてモータ制御装置1は、空転(又は停止)しているモータMの電流位相角、電気角周波数、回転の向き(正転/停止/逆転)を算出する。モータ制御装置1は、これらの算出結果に基づき、モータMの起動モードを設定する。
図13は、モータ制御装置が実行する制御モード設定処理(S103:図7参照)の流れを示すフローチャートである。
ステップS1031においてモータ制御装置1は、ステップS1030(図8参照)で算出した電気角周波数Frqが所定値Frq1以上であるか否かを判定する。ここで、所定値Frq1は、室外ファンFが空転することで、室外熱交換器43を介した熱交換が適切に行われるか否かの判定基準となる閾値である。なお、所定値Frq1以上で室外機Soが逆転(空転)している場合でも、室外熱交換器43を介して空気と冷媒との間で熱交換される。
電気角周波数Frqが所定値Frq1以上である場合(S1031→Yes)、モータ制御装置1の処理はステップS1032に進む。ステップS1032においてモータ制御装置1は、インバータ回路2を駆動せずにモータMの空転を継続させる。
ステップS1033においてモータ制御装置1は、ステップS1032の処理を開始してから所定時間Δt1が経過したか否かを判定する。所定時間Δt1は、空転状態のモータMを監視する際の周期であり、予め設定されている。
所定時間Δt1が経過していない場合(S1033→No)、モータ制御装置1の処理はステップS1032に進む。一方、所定時間Δt1が経過した場合(S1033→Yes)、モータ制御装置1の処理は、図8のステップS1021に進む。このようにしてモータ制御装置1は、所定時間Δt1毎にモータMの空転状態を監視する。
図13のステップS1031において電気角周波数Frqが所定値Frq1未満である場合(S1031→No)、モータ制御装置1の処理はステップS1034に進む。ステップS1034においてモータ制御装置1は、モータMが正転フリーランしているか否かを判定する。当該処理には、前記したステップS1029(図8参照)の処理結果が用いられる。
ステップS1034でモータMが正転フリーランしていると判定した場合(S1034→Yes)、ステップS1035においてモータ制御装置1は、正転センサレス運転を実行する。つまり、モータ制御装置1は、モータMの磁極位置を推定し、前記した軸誤差ΔθをゼロにするようにPWM制御を実行する。
ステップS1034でモータMが正転フリーランしていないと判定した場合(S1034→No)、モータ制御装置1の処理はステップS1036に進む。ステップS1036においてモータ制御装置1は、モータMが停止しているか否かを判定する。なお、前記した「停止」には、モータMが微動している場合も含まれる。
モータMが停止していると判定した場合(S1036→Yes)、ステップS1037においてモータ制御装置1は、ブレーキ電流を流すことでモータMを完全に停止させ、位置決めする。
ステップS1038においてモータ制御装置1は、正転同期運転を実行する。すなわち、モータ制御装置1は、ステップS1023で算出した位相角φ1、及びステップS1030で算出した電気角周波数Frqに基づいて同期運転を行い、モータMを徐々に加速させる。正転同期運転を行った後、モータ制御装置1の処理はステップS1035(正転センサレス運転)に進む。
ステップS1036においてモータMが停止していない(つまり、逆転フリーランしている)と判定した場合、モータ制御装置1の処理はステップS1039に進む。
ステップS1039においてモータ制御装置1は、ステップS1030(図8参照)で算出した電気角周波数Frqが所定値Frq2以上であるか否かを判定する。ここで、所定値Frq2(<Frq1)は、逆転センサレスを行うことなく所定のブレーキ電流でモータMの空転を停止可能か否かの判定基準となる閾値である。
電気角周波数Frqが所定値Frq2以上である場合(S1039→Yes)、モータ制御装置1は、ステップS1040において逆転センサレス運転を実行する。つまり、モータ制御装置1は、モータMの空転(逆転)に抗してモータMを正転させる電圧指令をインバータ回路2に出力する。これによってモータMを逆転させる力が強制的に打ち消され、モータMの空転が徐々に減速する。
ステップS1041においてモータ制御装置1は、モータMの回転子をいったん停止させ、回転子の位置(機械角)を保持する。このように位置決めした後、モータ制御装置1は、正転同期運転(S1038)及び正転センサレス運転(S1035)を順次実行する。
一方、電気角周波数Frqが所定値Frq2未満である場合(S1039→No)、モータ制御装置1は、ステップS1042においてブレーキ電流を増加させる。つまり、モータ制御装置1は、回転トルクを与えるq軸電流指令Iq*をゼロとしつつ、d軸電流指令Id*を徐々に増加させてモータMにブレーキ電流を流す。そうすると、例えば、図4(b)又は図4(c)に示す向きにブレーキ電流が流れ、モータMの空転に対して制動力が発生する。
その後、モータ制御装置1は位置決めした後(S1041)、正転同期運転(S1038)及び正転センサレス運転(S1035)を順次実行する。
このようにしてモータ制御装置1は、起動時におけるモータMの空転状態に応じた制御モードを実行して室外ファンFを駆動したり(S1035)、その空転を継続させたりする(S1032)。その結果、室外熱交換器43を通流する冷媒と、室外ファンFから送り込まれる空気と、を適切に熱交換させることができる。
<効果>
本実施形態に係るモータ制御装置1によれば、モータMを起動する際、U相を基準とする位置決め電流(d軸電流指令Id*)をインバータ回路2に流すことで、モータMの空転状態を適切に検出できる。
つまり、モータMが空転していない状態で検出されるフィードバック電流(d軸電流Idfb:図1参照)を基準として空転に伴う電流変動をシャント抵抗Rで検出し、モータ電流の位相角、電気角周波数、及び回転の向きを正確に算出できる。また、当該処理は複雑な演算を要しないため、モータ制御装置1(マイコン)の処理負荷を従来よりも低減できる。
また、前記した特許文献1に記載の発明では、抵抗を介して3相巻線に接続されるトランジスタのオン・オフを切り替えて、モータの起動前に誘起電圧を検出する構成になっている。そうすると、モータを駆動している間は誘起電圧の検出回路を使用しないため、前記した抵抗で定常損が発生するという問題があった。
これに対して本実施形態では、モータMの空転状態を検出する際には起動時状態推定部115(図1参照)及び起動モード設定部116に信号を入力し、モータMの駆動中はこれらに信号を入力せずに通常の位置センサレス制御を実行すればよい。したがって、特許文献1に記載の発明のような定常損が発生せず、モータ制御装置1の電力コストを削減できる。
また、本実施形態では、モータMを起動する際、位置決め電流を流すためにオン信号を入力するスイッチング素子Trを切り替えることでモータ電流を算出するようにした。これによって、シャント抵抗Rのみで、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を適切かつ容易に算出できる。
また、特許文献1に記載の発明では、モータの起動前に用いる誘起電圧検出回路と、シャント抵抗Rの電流検出値に基づいてモータを駆動するための別の演算回路と、を備える構成になっている。このように回転子の磁極位置等を推定するための回路が複数系統ある場合、一方で不具合が発生した場合、モータを適切に起動し得なくなる可能性がある。
これに対して本実施形態では、シャント抵抗Rの電流検出値(フィードバック電流Idfb,Iqfbに対応)を用いてモータMの空転状態を検出した後、同じくシャント抵抗Rの電流検出値を用いてモータMを駆動するようにした。このように、モータ電流の位相角等を推定する回路を一系統にすることで不具合の発生確率を低くし、モータ制御装置1の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態では、モータMの空転状態を検出するための誘起電圧検出回路が不要であるため、そのぶんモータ制御装置1の回路面積を低減できるとともに、モータ制御装置1(ひいては、空気調和機)の製造コストを削減できる。
また、モータMの空転状態(正転/停止/逆転)に応じた制御モードを実行することで、モータMを適切かつスムーズに起動させることができる。
≪変形例≫
以上、本発明に係るモータ制御装置1について、前記実施形態により説明したが、本発明の実施態様はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更などを行うことができる。
例えば、前記実施形態では、モータMの空転状態を推定する際、モータ制御装置は3相巻線のうちU相を基準とするd軸電流指令Id*を生成する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、V相又はW相を基準とするd軸電流指令Id*を生成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、モータMの電機子が3相巻線Lu,Lv,Lwを有する場合について説明したが、これに限らない。例えば、モータMの電機子が2相巻線を有する構成にも、前記実施形態を適用できる。
また、前記実施形態では、インバータ回路2の直流側の母線Aにシャント抵抗Rを設置する場合について説明したが、これに限らない。例えば、シャント抵抗に代えて、電流センサ(電流検出器)を母線Aに設置してもよい。
また、前記実施形態では、モータ制御装置1によって、空気調和機Sの室外ファンFに連結されるモータMを制御する場合について説明したが、これに限らない。例えば、洗濯機、乾燥機、掃除機等の家電製品に設置されるファンをモータ制御装置1によって制御してもよい。
また、前記実施形態では、モータ制御装置1によって制御されるモータMがブラシレス直流モータである場合について説明したが、これに限らない。同期モータ等、他の種類のモータにも前記実施形態を適用できる。
また、前記実施形態では、空気調和機Sが四方弁42(図2参照)を備える構成にについて説明したが、これに限らない。すなわち、四方弁42を省略し、圧縮機41と、室外熱交換器43と、膨張弁44と、室内熱交換器45と、が環状に順次接続される構成にしてもよい。
S 空気調和機
1 モータ制御装置
101 電流再現処理部(制御手段)
102 3相/2軸変換器(制御手段)
103 軸誤差推定器(制御手段)
112 電圧指令演算器(制御手段)
113 2軸/3相変換器(制御手段)
114 PWM信号発生器(制御手段)
115 起動時状態推定部(制御手段)
115a 電流位相演算部(制御手段)
115b d軸位相変換部(制御手段)
115c 減算器(制御手段)
115d 位相差演算部(制御手段)
115e 状態判定部(制御手段)
115f 周波数演算部(制御手段)
116 起動モード設定部(制御手段)
2 インバータ回路
3 直流電源
41 圧縮機
42 四方弁
43 室外熱交換器
44 膨張弁
45 室内熱交換器
F 室外ファン
F1 室内ファン
M モータ
R シャント抵抗(電流検出器)
Tr_Pu,Tr_Nu,Tr_Pv,Tr_Nv,Tr_Pw,Tr_Nw スイッチング素子

Claims (2)

  1. インバータ回路の直流側に設置される電流検出器で検出される電流値に基づき、前記インバータ回路に制御信号を出力してモータを駆動する制御手段を備え、
    前記インバータ回路は、一対のスイッチング素子が直列接続されてなるレグが並列接続された構成であり、
    前記制御手段は、
    前記モータを起動する際、位置決め電流を流す指令を前記インバータ回路に出力し、
    前記指令に基づき、前記インバータ回路の上アーム及び下アームのうち、一方の各スイッチング素子をオン状態とし、他方の各スイッチング素子をオフ状態とした後、複数の前記レグにおいてタイミングをずらして、各スイッチング素子のオン/オフを切り替え、
    前記電流検出器で検出される前記位置決め電流の電流値の電気角周波数が所定値未満である場合、前記モータを起動する電流を流す指令を前記インバータ回路に出力し、
    前記電流検出器で検出される前記位置決め電流の電流値の電気角周波数が所定値以上である場合、前記モータを起動する電流を流す指令を前記インバータ回路に出力しないこと
    を特徴とするモータ制御装置。
  2. 圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が環状に順次接続される冷媒回路と、
    前記室外熱交換器に向けて外気を送り込む室外ファンと、
    前記室内熱交換器に向けて室内空気を送り込む室内ファンと、を備え、
    前記室外ファンは、
    請求項1に記載のモータ制御装置によって駆動される前記モータの回転子に連結されること
    を特徴とする空気調和機。
JP2013207531A 2013-10-02 2013-10-02 モータ制御装置、及び空気調和機 Active JP6317904B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013207531A JP6317904B2 (ja) 2013-10-02 2013-10-02 モータ制御装置、及び空気調和機
CN201410404003.1A CN104518723B (zh) 2013-10-02 2014-08-15 发动机控制装置、空气调节机、以及发动机控制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013207531A JP6317904B2 (ja) 2013-10-02 2013-10-02 モータ制御装置、及び空気調和機

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015073361A JP2015073361A (ja) 2015-04-16
JP2015073361A5 JP2015073361A5 (ja) 2016-09-08
JP6317904B2 true JP6317904B2 (ja) 2018-04-25

Family

ID=52793567

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013207531A Active JP6317904B2 (ja) 2013-10-02 2013-10-02 モータ制御装置、及び空気調和機

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6317904B2 (ja)
CN (1) CN104518723B (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6401658B2 (ja) * 2015-05-08 2018-10-10 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 空気調和機
KR101776240B1 (ko) * 2015-08-31 2017-09-07 엘지전자 주식회사 모터 구동장치 및 이를 구비하는 홈 어플라이언스
GB201611576D0 (en) 2016-07-01 2016-08-17 Oclaro Tech Ltd Ground structure in RF waveguide array
GB201611574D0 (en) 2016-07-01 2016-08-17 Oclaro Tech Ltd Ground structure in rf waveguide array
CN106640613B (zh) * 2016-11-15 2018-03-23 广州视源电子科技股份有限公司 压缩机的启动方法、系统和设备
KR102080095B1 (ko) * 2018-02-05 2020-02-21 엘에스산전 주식회사 인버터 제어장치
JP6805197B2 (ja) * 2018-03-01 2020-12-23 株式会社東芝 モータ制御用集積回路
US11486903B2 (en) 2019-08-28 2022-11-01 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Ventilation device
EP4067614A4 (en) * 2019-11-27 2023-04-19 Mitsui Kinzoku ACT Corporation DRIVE DEVICE FOR SLIDING DOORS
JP7363596B2 (ja) * 2020-03-06 2023-10-18 株式会社豊田自動織機 電動圧縮機
JP7512869B2 (ja) 2020-11-30 2024-07-09 株式会社富士通ゼネラル モータ制御装置、空気調和機の室外機及びモータ制御方法
JP7484797B2 (ja) 2021-03-31 2024-05-16 株式会社富士通ゼネラル モータ制御装置
JP2024104536A (ja) * 2023-01-24 2024-08-05 ミネベアミツミ株式会社 モータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60148399A (ja) * 1984-01-06 1985-08-05 Mitsubishi Electric Corp 交流電動機駆動装置
JP4139934B2 (ja) * 1999-09-21 2008-08-27 株式会社安川電機 交流電動機の制御方法および制御装置
JP4687230B2 (ja) * 2005-05-10 2011-05-25 富士電機システムズ株式会社 交流電動機駆動システム
JP4431604B2 (ja) * 2007-08-07 2010-03-17 日立アプライアンス株式会社 コンバータ装置
JP5063379B2 (ja) * 2008-01-11 2012-10-31 日立アプライアンス株式会社 電力変換装置、及び電力変換装置用モジュール、並びに、空気調和機及び冷凍装置
JP5417051B2 (ja) * 2009-06-11 2014-02-12 日立アプライアンス株式会社 インバータの制御装置、及び、それを用いた空調機,洗濯機
JP5264639B2 (ja) * 2009-07-23 2013-08-14 株式会社ツバキエマソン モータ駆動装置
JP5534935B2 (ja) * 2010-05-20 2014-07-02 株式会社東芝 回転センサレス制御装置
JP2012100369A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Hitachi Appliances Inc 冷凍装置および永久磁石同期モータの制御装置
JP2012130091A (ja) * 2010-12-13 2012-07-05 Sharp Corp ファン制御装置、ファン制御方法および冷凍サイクルシステム
CN102158145A (zh) * 2011-03-31 2011-08-17 苏州士林电机有限公司 一种检测并跟踪电机空转转速的装置及方法
JP5492826B2 (ja) * 2011-06-16 2014-05-14 日立アプライアンス株式会社 交流モータの制御装置、および、これを用いた冷凍空調装置
JP5635032B2 (ja) * 2012-03-29 2014-12-03 株式会社 日立パワーデバイス 同期モータの駆動装置、および、これを用いた送風装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN104518723A (zh) 2015-04-15
JP2015073361A (ja) 2015-04-16
CN104518723B (zh) 2017-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6317904B2 (ja) モータ制御装置、及び空気調和機
JP6800810B2 (ja) 空気調和機および空気調和機の制御方法
JP2019533409A (ja) 同期モータを始動させるためのシステム及び方法
JP4053968B2 (ja) 同期電動機駆動装置及び冷凍冷蔵庫及び空気調和機
JP3610897B2 (ja) インバータ装置、圧縮機駆動装置、冷凍・空調装置、インバータ装置の制御方法
JP5025142B2 (ja) モータ制御装置
KR20130106505A (ko) 센서리스 제어 방법 및 장치
US11329578B2 (en) Device for driving a plurality of motors and electric apparatus including the same
JP2013106424A (ja) モータ制御装置
JP6463966B2 (ja) モータ駆動装置およびモータ駆動用モジュール並びに冷凍機器
JP5778045B2 (ja) 同期モータの駆動装置、及びこれを用いた冷凍装置、空気調和機、冷蔵庫、並びに同期モータの駆動方法
JP2021038916A (ja) 空気調和機
JP2009077503A (ja) 電動機の制御装置,空気調和機の制御装置
JP2014180148A (ja) モータ制御装置
JP6884916B1 (ja) モータ駆動装置および冷凍機器
JP6156162B2 (ja) モータ制御装置
JP4896681B2 (ja) モータ制御装置およびファンモータ
JP2020014266A (ja) 電動機の制御装置
Zhao et al. An extended flux model-based rotor position estimator for sensorless control of interior permanent magnet synchronous machines
JPH09252588A (ja) 圧縮機駆動制御方法、二重突極リラクタンスモータ駆動制御方法およびこれらの装置
JP2005348569A (ja) モータ駆動装置
JP6115488B2 (ja) モータ制御装置
WO2019244193A1 (ja) モータ駆動装置及び空気調和機
JP2010088228A (ja) モータ駆動制御装置
JP2009254191A (ja) モータ制御装置、圧縮装置、冷凍装置および空調装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20160407

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160726

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160726

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171002

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20171011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180313

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6317904

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150