JP6315557B2 - 新規化合物、これを用いた感光性樹脂組成物、およびその硬化物 - Google Patents

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本発明は、新規化合物、これを用いた感光性樹脂組成物、およびその硬化物に関し、詳しくは、優れた塩基発生能を有する新規化合物、これを用いた感光性樹脂組成物、およびその硬化物に関する。
一般に、感光性樹脂組成物は、感光性樹脂に光開始剤を加えたものであり、エネルギー線(光)照射により重合硬化、または現像させることができるため、光硬化性インキ、感光性印刷版、各種フォトレジスト、光硬化性接着剤等に用いられている。
光開始剤は、エネルギー線(光)照射により発生する活性種の違いで、光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤に分けられる。光ラジカル発生剤は、硬化速度が速く、硬化後に活性種が残存しない等の長所がある一方、酸素による硬化阻害が起こるため薄膜の硬化においては酸素を遮断する層等を設けなければならないという短所がある。光酸発生剤は、酸素による阻害を受けないという長所がある一方、活性種の酸が残存することで金属基板を腐食させたり、硬化後の樹脂を変性させたりする等の短所がある。光塩基発生剤は、前記の酸素による硬化阻害および残存活性種による腐食といった問題を生じにくいため注目されているが、概して光酸発生剤と比較すると低感度(低硬化性)という問題があった。これまで、光塩基発生剤については種々提案されており、先行技術としては例えば、特許文献1〜3等を挙げることができる。
特表2001−513765号公報 国際公開WO2010/064631号公報 国際公開WO2010/064632号公報
しかしながら、従来、提案されている光塩基発生剤であっても、必ずしも塩基発生能が十分ではないというのが現状である。したがって、今後、高性能の光硬化性インキ、感光性印刷版、各種フォトレジスト、光硬化性接着剤等を得るためには、優れた塩基発生能を有する光塩基発生剤が不可欠である。
そこで、本発明の目的は、優れた塩基発生能を有する新規化合物、これを用いた感光性樹脂組成物、およびその硬化物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討をした結果、特定の構造を有する化合物が光開始剤として、高い塩基発生能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の新規化合物は、下記一般式(1)、
Figure 0006315557
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、またはRおよびRが、互いに連結して形成する窒素原子および炭素原子からなる環であり、前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基であり、
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、RおよびRの少なくとも一方は置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、R、R、R、R、RおよびR中の前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基を表す。)で表されることを特徴とするものである。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)光開始剤と、(B)硬化性樹脂と、を含有する感光性樹脂組成物において、
前記(A)光開始剤が、下記一般式(1)、
Figure 0006315557
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、またはRおよびRが、互いに連結して形成する窒素原子および炭素原子からなる環であり、前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基であり、
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、RおよびRの少なくとも一方は置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、R、R、R、R、RおよびR中の前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基を表す。)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするものである。
本発明の感光性樹脂組成物においては、(C)アルカリ現像性樹脂を含有することが好ましい。
本発明の硬化物は、本発明の光性樹脂組成物から得られることを特徴とするものである。
本発明によれば、優れた塩基発生能を有する新規化合物、これを用いた感光性樹脂組成物、およびその硬化物を提供することができる。本発明の化合物は、光開始剤として用いた場合、塩基により硬化(重合)可能な樹脂を硬化させることができ、かつ、優れた熱安定性を有しているため、感光性樹脂組成物の硬化プロセスに好適である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の化合物は、下記一般式(1)、
Figure 0006315557
で表される。ここで、式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、またはRおよびRが、互いに連結して形成する窒素原子および炭素原子からなる環であり、光開始剤としても好適に用いることができる。
一般式(1)中のRおよびRで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
これら脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよい。ただし、これら中断する2価の基は隣り合うことはない。ここで、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基であり、無置換の脂肪族炭化水素基としては、上記のRおよびRで表される無置換の炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基として例示したものと同様の基が挙げられる。
また、RおよびRは、互いに連結して形成する窒素原子および炭素原子からなる環であってもよく、RおよびRが、互いに連結して形成する窒素原子および炭素原子からなる環としては、結合している窒素原子を含めた基として、ピロール基、ピロリジン基、イミダゾール基、イミダゾリジン基、ピラゾール基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基等が挙げられる。これらの環にはベンゼン環が縮合してもよく、また、置換基を有していてもよい。置換基しては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基のようなアルキル基や、メチロール基、エチロール基、プロピロール基、ブチロール基のようなヒドロキシアルキル基等が挙げられる。
一般式(1)中のR、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR、−COOR、−CO−R、−SR、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素原子数2〜20の複素環基を表し、Rは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素原子数2〜20の複素環基である。
、R、R、R、RおよびR中の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基中のアルキレン部分または芳香族炭化水素基とアルキル基との結合部、および複素環基中のアルキレン部分または複素環とアルキル基との結合部は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよい。ただし、これら中断する2価の基は隣り合うことはない。ここで、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基であり、無置換の脂肪族炭化水素基としては、上記のRおよびRで表される無置換の炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基として例示したものと同様の基が挙げられる。
一般式(1)中のR、R、R、R、RおよびRで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、上記RおよびRの説明で例示したものと同様の基が挙げられる。
、R、R、R、RおよびRで表される置換基を有してもよい炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基およびビフェニル基、並びに脂肪族炭化水素基により置換されたフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基およびビフェニル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基を置換しうる脂肪族炭化水素基としては、上記のRおよびRで例示した脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
、R、R、R、RおよびRで表される置換基を有してもよい炭素原子数2〜20の複素環基としては、ホリルフラン基、チオフェン基、メチルチオフェン基、ヘキシルチオフェン基、ベンゾチオフェン基、ピロール基、ピロリジン基、イミダゾール基、イミダゾリジン基、イミダゾリン基、ピラゾール基、ピラゾリジン基、ピペリジン基およびピペラジン基、並びに脂肪族炭化水素基で置換されたテトラヒドロフラン基、ジオキソラニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリルフラン基、チオフェン基、メチルチオフェン基、ヘキシルチオフェン基、ベンゾチオフェン基、ピロール基、ピロリジン基、イミダゾール基、イミダゾリジン基、ピラゾール基、ピラゾリジン基、ピペリジン基およびピペラジン基等が挙げられる。複素環基を置換しうる脂肪族炭化水素基としては、上記のRおよびRで例示した脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
、R、R、R、R、R、RおよびRが表す炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、RおよびRが表すフェニル基、R、R、R、R、RおよびRが表す炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、並びにR、R、R、R、RおよびRが表す炭素原子数2〜20の複素環基を置換基する基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、−COOHまたはSOHが挙げられる。RおよびRが表すフェニル基は、さらに、上記炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい。なお、置換する基が炭素原子を含む場合、それら炭素原子を含めた数が既定の炭素原子数となる。
は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素原子数2〜20の複素環基を表し、これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基および複素環基としては、上述のR、R、R、R、RおよびR中のものと同様のものが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物としては、UV感度、硬化性組成物に用いた場合の硬化性に優れる点から、RまたはRがフェニル基である化合物;RおよびRのいずれも水素原子ではない化合物;RおよびRが互いに連結して環を形成している化合物が好ましく、RおよびRが互いに連結してイミダゾール環またはイミダゾリン環を形成している化合物;RおよびRが互いに連結してピペリジン環を形成している化合物がさらに好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物No.1〜No.12が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。なお、式中Etはエチル基、Buはブチル基、Hexはヘキシル基を表す。
Figure 0006315557
一般式(1)で表される化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、下記反応式の方法で製造することができる。すなわち、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド誘導体(2)を塩基性条件下でクロロギ酸エステルと反応させた後、アミンと反応させることで、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
Figure 0006315557
(式中、R〜Rは、上記一般式(1)と同様の基を表す。)
本発明の化合物は、感光性樹脂の硬化性に優れる点、エネルギー線に対する感度が高い点から、以下で説明する光塩基発生剤である光開始剤として好適に用いることができるほか、化学増幅型レジスト等に用いることができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)光開始剤(以下、「(A)成分」とも称す)と、(B)硬化性樹脂(以下、「(B)成分」とも称す)と、を含有する感光性樹脂組成物であり、(A)光開始剤が、上記一般式(1)で表される本発明の化合物を少なくとも1種含むものである。以下、本発明の感光性樹脂組成物の各成分につき、詳細に説明する。
<(A)光開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)成分は、上記一般式(1)で表される本発明の化合物を少なくとも1種含有するものである。(A)成分における本発明の化合物の含有量は、好ましくは1〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。(A)光開始剤の他の成分としては、光開始剤として機能しうるものであれば、特に制限はなく、既知の光開始剤を用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、(B)成分100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。(A)成分の含有量が1質量部未満であると、感度不足による硬化不良等が起こる可能性があり、20質量部を超えると光照射時または加熱時の揮発物が多くなる可能性がある。
<(B)硬化性樹脂>
本発明で用いられる(B)成分は、アニオン重合性官能基、または塩基を触媒とし硬化温度が低温化する樹脂を示し、紫外線等のエネルギー線を照射することにより重合して硬化する硬化性樹脂または硬化温度が低温化する硬化性樹脂である。上記アニオン重合性官能基とは、紫外線等の活性エネルギー線によって光塩基発生剤から発生する塩基により重合しうる官能基を意味し、例えば、エポキシ基、エピスルフィド基、環状モノマー(σ−バレロラクトン、ε−カプロラクタム)等が挙げられ、塩基を触媒とし硬化温度が低温化する樹脂としては、イソシアネートとアルコールによるウレタン結合形成反応、エポキシと水酸基の付加反応、エポキシとカルボン酸基の付加反応、エポキシとチオール基の付加反応、(メタ)アクリル基のマイケル付加反応、ポリアミック酸の脱水縮合反応等を利用したものが挙げられる。(B)成分としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、速やかに反応が進行することや接着性が良好であるという点から、エポキシ樹脂が好適である。
エポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類、およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物が挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂は末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの或いは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したものでもよい。上記エポキシ樹脂の中では、硬化性に優れる点から、グリシジル基を有するものが好ましく、2官能以上のグリシジル基を有するものがより好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オキセタン樹脂としては、分子内に4員環エーテル(オキセタニル基)を有する化合物である。その具体例を挙げると、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド樹脂としては、酸二無水物としてはエチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2,3,3−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジアミンとしては、(o−,m−若しくはp−)フェニレンジアミン、(3,3’−若しくは4,4’−)ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノベンゾフェノンノン、(3,3’−若しくは4,4’−)ジアミノジフェニルメタン等を原料とする樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタン樹脂としては、ジイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオール(多官能アルコール)とを原料とする樹脂等が挙げられる。また、ナイロン樹脂としては、ε−カプロラクタム、ラウリルラクタム等の環状モノマーを原料とした樹脂等が挙げられる。また、ポリエステル樹脂としては、δ―バレロラクトン、β―プロピオラクトン等の環状モノマーを原料とした樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<(C)アルカリ現像性樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液を用いてパターニングする目的で(C)アルカリ現像性樹脂(以下、「(C)成分」とも称す)を用いることができる。(C)成分は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ビスフェノールF、ビスフェノールS型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物等公知慣用のフェノール樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、フェノール樹脂として、ビフェニル骨格、フェニレン骨格、またはその両方の骨格を有する化合物と、フェノール性水酸基含有化合物としてフェノール、オルソクレゾール、パラクレゾール、メタクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール等とを用いて合成した、様々な骨格を有するフェノール樹脂を用いてもよい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシル基含有樹脂としては、公知のカルボキシル基を含む樹脂を用いることができる。カルボキシル基の存在により、樹脂組成物をアルカリ現像性とすることができる。また、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いてもよいが、本発明においては、カルボキシル基含有樹脂として、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂についても、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いることができるカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。なお、低級アルキルとは、炭素原子数1〜5のアルキル基を指す。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)(B)成分として例示した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(8)(B)成分として例示した多官能エポキシ樹脂に飽和モノカルボン酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(9)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(10)(B)成分として例示した多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られる非感光性カルボキシル基含有樹脂。
(12)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に飽和モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(13)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(14)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に飽和モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(15)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(16)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(17)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、飽和モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(18)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(19)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(20)上記(1)〜(19)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有樹脂。
チオール基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,4−ブタンジチオール、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物において、(C)成分の配合量は、(B)成分100質量部に対して、好ましくは50〜1000質量部である。50質量部より少ない場合には、アルカリ溶液に不溶となることがあり、1000質量部より多い場合には、エネルギー線の照射時に硬化不良が起こる可能性がある。
<(D)添加剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、任意成分として、無機化合物、色材、潜在性エポキシ硬化剤、連鎖移動剤、増感剤、溶剤等の(D)添加剤(以下、「(D)成分」とも称す)を用いることができる。
無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末(特にガラスフリット)、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられる。これらの無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電材、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、発インク剤等として用いられる。これらの無機化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
色材としては、顔料、染料、天然色素等が挙げられる。これらの色材は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
顔料としては、例えば、ニトロソ化合物;ニトロ化合物;アゾ化合物;ジアゾ化合物;キサンテン化合物;キノリン化合物;アントラキノン化合物;クマリン化合物;フタロシアニン化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;キナクリドン化合物;アンタンスロン化合物;ペリノン化合物;ペリレン化合物;ジケトピロロピロール化合物;チオインジゴ化合物;ジオキサジン化合物;トリフェニルメタン化合物;キノフタロン化合物;ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法またはサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラックまたはランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整または被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で、樹脂で分散処理し、20〜200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性またはアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90mL/100g以下のカーボンブラック、950℃における揮発分中のCOおよびCOから算出した全酸素量が、表面積100m当たり9mg以上であるカーボンブラック;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー等の有機または無機顔料を用いることができる。これらの顔料は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
潜在性エポキシ硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、変性ポリアミン、ヒドラジド類、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、三フッ化ホウ素アミン錯塩、イミダゾール類、グアナミン類、イミダゾール類、ウレア類およびメラミン等が挙げられる。
連鎖移動剤または増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、下記化合物No.13の化合物、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の脂肪族多官能チオール化合物、昭和電工社製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
Figure 0006315557
溶剤としては、通常、前記の各成分((A)成分、(B)成分および(C)成分等)を溶解または分散しえる溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−またはn−プロパノール、イソ−またはn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社製)、ソルベッソ#100(エクソン化学社製)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド;水等を用いることができ、これらの溶媒は1種でまたは2種以上の混合溶媒として使用することができる。これらの中でも、アルカリ現像性、パターニング性、製膜性、溶解性の点から、ケトン類またはエーテルエステル系溶媒、特に、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートまたはシクロヘキサノンが好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、溶媒の含有量は、特に制限されず、各成分が均一に分散または溶解され、また本発明の感光性樹脂組成物が各用途に適した液状、またはペースト状を呈する量であればよいが、通常、本発明の感光性樹脂組成物中の固形分(溶媒以外の全成分)の量が10〜90質量%となる範囲で溶媒を含有させることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、さらに、界面活性剤、シランカップリング剤、メラミン化合物等を併用することができる。
界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤;高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤;高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤;両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。これらの界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば信越化学社製シランカップリング剤を用いることができ、その中でも、KBE−9007、KBM−502、KBE−403等の、イソシアネート基、メタクリロイル基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CHOH基)の全部または一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物等を挙げることができる。ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基またはブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。
具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。これらの中でも、溶媒への溶解性、感光性樹脂組成物から結晶析出しにくいという点から、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の任意成分(ただし、無機化合物、色材、および溶剤は除く)の使用量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、(B)成分100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
次に、本発明の硬化物について説明する。
本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物にエネルギー線が照射されてなるものである。例えば、(1)本発明の感光性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介してエネルギー線(光)を照射する工程、(3)露光後のベーク工程、(4)露光後の被膜を現像する工程、(5)現像後の被膜を加熱する工程により、パターン形成された硬化物を得ることができる。
(1)本発明の感光性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程として、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。なお、感光性樹脂組成物が溶媒を含んでいる場合、塗工後にホットプレート、オーブン等を用いて溶媒を除去することが好ましい。
(2)塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介してエネルギー線(光)を照射する工程において、用いられるエネルギー線の光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、キセノンアーク灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2,000オングストローム〜7,000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用することができるが、好ましくは、波長300〜450nmの光を発光する超高圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯等が用いられる。
さらに、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法を用いることもできる。レーザー直接描画法は生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザーおよびYAGレーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いることができる。これらのレーザー光を使用する場合には、好ましくは、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
(3)露光後のベーク工程において、エネルギー線の照射後、40〜150℃程度の加熱が硬化率の点で好ましい。
(4)露光後の被膜を現像する工程において、アルカリ現像液としては、アルカリ性化合物の水溶液に、必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を配合したものである。アルカリ現像液のアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ化合物;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1、5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等アミンまたはアンモニウム化合物等が挙げられる。なお、本発明の感光性樹脂組成物のパターニングは、アルカリ現像液だけでなく、有機溶剤を用いることもでき、用いられる有機溶剤としてはシクロペンタノン等が挙げられる。
(5)現像後の被膜を加熱する工程は、必須の工程ではないが、硬化膜の硬度がさらに向上するため好ましい。ポストベークは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いて、160℃〜250℃で5分〜3時間行うことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、電子工学用のフォトレジスト;電気メッキレジスト;エッチングレジスト;ドライフィルム;はんだレジスト;種々の表示用途用のカラーフィルタを製造するためのまたはプラズマ表示パネル、電気発光表示装置、およびLCDの製造工程においてそれらの構造を形成するためのレジスト;電気および電子部品を封入するための組成物;ソルダーレジスト;磁気記録材料;微小機械部品;導波路;光スイッチ;めっき用マスク;エッチングマスク;カラー試験系;ガラス繊維ケーブルコーティング;スクリーン印刷用ステンシル;ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料;微細電子回路;印刷配線板用フォトレジスト材料;UVおよび可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料;プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料または保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
色材を添加した本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィルタにおけるRGB等の各画素を構成するレジストや、各画素の隔壁を形成するブラックマトリクス用レジストとして好適に用いられる。さらに、撥インク剤を添加するブラックマトリクス用レジストの場合、プロファイル角が50°以上であるインクジェット方式カラーフィルタ用隔壁に好ましく用いられる。撥インク剤としては、フッ素系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤を含有する組成物が好適に用いられる。
インクジェット方式カラーフィルタ用隔壁に用いた場合、本発明の感光性樹脂組成物から形成された隔壁が被転写体上を区画し、区画された被転写体上の凹部にインクジェット法により液滴を付与して画像領域を形成する方法により光学素子が製造される。この際、液滴が着色剤を含有し、画像領域が着色されていることが好ましく、その場合には、上記の製造方法により作製された光学素子は、基板上に複数の着色領域からなる画素群と画素群の各着色領域を離隔する隔壁を少なくとも有するものとなる。
本発明の感光性樹脂組成物は、保護膜または絶縁膜用組成物としても用いることができる。この場合、紫外線吸収剤、アルキル化変性メラミンおよび/またはアクリル変性メラミン、分子中にアルコール性水酸基を含有する1または2官能の(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはシリカゾルを含有することができる。
絶縁膜は、剥離可能な支持基材上に絶縁樹脂層が設けられた積層体における絶縁樹脂層に用いられ、積層体は、アルカリ水溶液による現像が可能なものであり、絶縁樹脂層の膜厚が10〜100μmであることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、無機化合物を含有させることで、感光性ペースト組成物として用いることができる。感光性ペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターンおよびブラックマトリックスパターン等の焼成物パターンを形成するために用いることができる。
以下、実施例および実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
実施例1−1、1−2および参考例1は、本発明の一般式(1)で表される化合物No.1〜3の化合物(光開始剤)の合成を示し、実施例2−1、2−2および参考例2は、化合物No.1〜3の化合物の塩基発生能の評価を示し、実施例3−1、3−2および参考例3は、化合物No.1〜3を用いた感光性樹脂組成物の製造および評価を示し、実施例4−1〜4−8および参考例4は、化合物No.1〜3を用いた感光性樹脂組成物(特に現像性を有する)の製造および評価である。
〔実施例1−1〕:化合物No.1の合成
4−ブチル−N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド5.0g(19mmol)、トリエチルアミン3.8g(37mmol)とクロロホルム25mLの溶液に、5℃で20分かけてクロロぎ酸4−ニトロフェニル4.1g(20mmol)とクロロホルム12mLの溶液を加えた。1時間撹拌後、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン2.7g(20mmol)を10℃以下で30分かけて滴下した。1.5時間撹拌後、水を加え油水分離し、油層を水で洗浄した。油層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下脱溶媒して得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル=20/1)により精製し目的物1.8g(収率23%)を得た。
〔参考例1、実施例1−2〕:化合物No.2および3の合成
実施例1−1の合成と同様の手法で目的の化合物を得た。
Figure 0006315557
Figure 0006315557
Figure 0006315557
〔実施例2−1、2−2および参考例2〕:アミン発生の確認
表4に記載の化合物0.04mmolをメタノール/テトラヒドロフラン=1/1(質量比)溶液28gに希釈して、化合物溶液を調製した。調製した溶液3.5gに、高圧水銀ランプを光源とする光を10,000mJ/cm(i線における積算量)照射した。照射後の溶液を2.8g取り、メタノールで希釈して平沼自動滴定装置COM−1600を用いて滴定を行った(滴定液:0.01mol/L塩酸)。別途ジメチルベンジルアミン0.04mmolのメタノール溶液をリファレンスとして滴定し、各滴定値よりアミン発生率を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0006315557
上記表4の結果より、本発明の化合物は、UV光の照射により、分解して塩基(アミン)が発生することがわかる。
〔実験例3−1、3−2および参考例3〕:感光性樹脂組成物の調製例および評価1
(A)成分として、下記〔表5〕に記載の化合物を5質量部、(B)成分として、EP−4901(ADEKA社製、ビスフェノールF型グリシジルエーテル)52質量部、および(D)添加剤成分として、カレンズMT BD1(昭和電工社製、エポキシ硬化剤)43質量部を混合し、三本ロールミルにて混練して、感光組成樹脂組成物をそれぞれ得た。得られた感光性樹脂組成物について、超高圧水銀ランプによるUV光の照射なしおよび200mJ/cmのUV光照射後に60℃にて60分間加熱し、硬化率を測定した。硬化率は、5,000mJ/cmのUV光照射後、120℃で60分硬化させたときのFI−IRにおける(3,450cm−1のピーク強度)/(1,510cm−1のピーク強度)の値を硬化率100%として、相対値として求めた。結果を下記表5に示す。
Figure 0006315557
〔実施例4−1〜4−8および参考例4〕感光性樹脂組成物の調整および評価2
下記表6に記載の組成比で配合した後、三本ロールミルにて混練して本発明の感光性樹脂組成物を作製した。得られた感光性樹脂組成物をガラス基板に塗布し(プリベーク後の膜厚が6μmとなるように調整)、90℃ホットプレートにて2分間乾燥させた。高圧水銀灯(HOYA CANDEO OPTLONICS CORPORATION製、照射照度20mW/cm)で250mJ/cm照射後、130℃で50分加熱した。その後、下記の現像液を用いて現像した。照射部における現像前後の膜厚変化より、照射部(硬化部)の現像耐性を評価し、また、非照射部の現像性を評価した。結果を表6に示す。
<硬化性>
現像前の膜厚を100としたときの、現像後の膜厚を表す。100に近いほど硬化性が高く、耐硬化性に優れることを示す。評価に用いた現像液はエタノールアミンを5質量%含むTMAHが3質量%となるように調整したアルカリ水溶液(以下、TMAH現像液という)を用いた。
<現像性>
シクロペンタノン(有機溶剤)で現像が可能であった場合○、TMAH現像液でも現像可能であった場合◎、シクロペンタノンでも現像できなかった場合×とした。
Figure 0006315557
<(A)成分>
No.1:化合物No.1の化合物
No.2:化合物No.2の化合物
No.3:化合物No.3の化合物
<(B)成分>
EPPN−201:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量193g/eq.、日本化薬社製
G−01100:エポキシ基含有アクリル系ポリマー、エポキシ当量170g/eq.、Mw=12,000、日油社製
<(C)成分>
TRR−5010G:クレゾールノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量120g/eq.、Mw=8,000、旭有機材工業社製
MEH−7500:トリスフェノールメタンノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量95−99g/eq.、明和化成社製
GDP−6095LR:ジシクロペンタジエン変性型フェノール樹脂、水酸基当量168−171g/eq.、Mw=443、群栄化学工業社製
樹脂1:非アルカリ現像性フェノールノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量0g/eq.、Mw=14,000、
共重合体1:スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル=80/20、Mw=8,000、酸価=14mgKOH/g
<非アルカリ現像性樹脂>
非アルカリ現像性フェノールノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量0g/eq.、Mw=14,000
Figure 0006315557
以上より、本発明の化合物は、優れた塩基発生能を有し、これを光開始剤として用いた本発明の感光性樹脂組成物は、優れた硬化性と現像性を有していることがわかる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)、
    Figure 0006315557
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、またはRおよびRが、互いに連結して形成する窒素原子および炭素原子からなる環であり、前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基であり、
    、R 、R 、R 、R およびR は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、R およびR の少なくとも一方は置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、、R、R、R、RおよびR中の前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基を表す。)で表されることを特徴とする化合物。
  2. (A)光開始剤と、(B)硬化性樹脂と、を含有する感光性樹脂組成物において、
    前記(A)光開始剤が、下記一般式(1)、
    Figure 0006315557
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、またはRおよびRが、互いに連結して形成する窒素原子および炭素原子からなる環であり、前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基であり、
    、R 、R 、R 、R およびR は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、R およびR の少なくとも一方は置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、、R、R、R、RおよびR中の前記脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−またはSiRR’−で中断されていてもよく、RおよびR’は、無置換の脂肪族炭化水素基を表す。)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
  3. (C)アルカリ現像性樹脂を含有する請求項記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項2または3記載の感光性樹脂組成物から得られることを特徴とする硬化物。
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