JP6315449B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents

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本発明は、電圧の印加により伸縮する圧電アクチュエータに関する。
従来、圧電セラミックス層と内部電極とが交互に積層された積層型の圧電素子を連結して構成される圧電アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような圧電アクチュエータを構成する圧電素子は、繰り返しの使用により、内部電極に用いている金属のイオンマイグレーションやリード部材への応力集中等が生じる。
その結果、絶縁抵抗は駆動時間と共に徐々に低下し、最終的には、絶縁抵抗が使用不可能なレベルにまで低下してしまう。また、この劣化は温度が高いほど、印加電圧が高いほど劣化の速度は速くなる。
特開2013−077616号公報
図4は、従来の圧電アクチュエータ20の構成を示す図である。図4に示すように、従来の圧電アクチュエータ20では、電圧の印加により伸縮する積層型の圧電素子P0を複数個重ね合わせた圧電アクチュエータ本体21が、多連化構造をとり、各々の素子の変位が足された形で変位する。そして、各々の圧電素子P0は、外部電極Ea0、Eb0をリード線25で接続されることで電気的に並列接続されている。そのため、各々の圧電素子P0には駆動電圧が平等に印加される。
しかしながら、平等に駆動電圧を印加するとしても、各々の圧電素子の駆動による劣化には個体差があり、これらの圧電素子P0のうちの1つの絶縁抵抗が劣化した場合、その圧電素子によって、全体の絶縁抵抗値が低下してしまう。また、劣化が起きても、この構造では、劣化後も他の圧電素子と同じ電圧を印加されるため、劣化はさらに加速されてしまう。このようにして、最も寿命が短い圧電素子によって圧電アクチュエータの寿命が制限されてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、劣化した圧電素子以外の他の圧電素子全体で軽減した負担分をカバーでき、圧電素子の寿命を長くできる圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の圧電アクチュエータは、電圧の印加により伸縮する圧電アクチュエータであって、伸縮方向に連結され、連結方向に沿って電気的に直列接続された複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子の各々に1つずつ並列接続された複数の抵抗と、を備えることを特徴としている。
これにより、複数の圧電素子のうち劣化の進んだ圧電素子にかかる電圧を自動的に低下させて負担を軽減するとともに、その他の圧電素子全体で軽減した負担分をカバーできる。その結果、圧電素子の寿命を長くすることができる。
(2)また、本発明の圧電アクチュエータは、前記複数の圧電素子が、端面の接着により連結され、側面に設けられた一対の外部電極のうちの一方同士が隣接する圧電素子の間で接続されることで電気的に直列接続され、前記複数の抵抗が、前記複数の圧電素子の各々の一対の外部電極に接続された一対のリード線と接続されていることを特徴としている。これにより、複数の圧電素子を直列接続し、複数の圧電素子の各々に1つずつ抵抗を並列接続した回路を実現できる。
(3)また、本発明の圧電アクチュエータは、前記複数の圧電素子が、外気に対して離隔され、前記一対のリード線の電気的接続が、外気側にとりだされて、前記複数の抵抗の各々に接続されていることを特徴としている。これにより、複数の圧電素子が外気に露出されるのを防止し、湿気から保護することができる。その結果、さらに圧電アクチュエータの寿命を延ばすことができる。
本発明によれば、劣化した圧電素子以外の他の圧電素子全体で軽減した負担分をカバーでき、圧電素子の寿命を長くできる。
本発明の圧電アクチュエータを示す概略図である。 本発明の圧電アクチュエータの回路図である。 本発明の圧電アクチュエータの構成例を示す図である。 従来の圧電アクチュエータの構成を示す図である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
(圧電アクチュエータの概略構成)
図1は、圧電アクチュエータ10を示す概略図である。図2は、圧電アクチュエータ10の回路図である。なお、図中の圧電素子、抵抗の数等は一例であり、本発明を限定するものではない。
圧電アクチュエータ10は、複数の圧電素子P1〜P4および複数の抵抗R1〜R4を備え、圧電素子P1〜P4は、電圧が印加されることにより同方向に伸縮するように分極されている。すなわち、圧電素子P1、P3と圧電素子P2、P4とでは、分極方向が逆になっている。圧電アクチュエータ10は、複数の圧電素子P1〜P4を直列接続し、複数の圧電素子P1〜P4の各々に1つずつ抵抗R1〜R4を並列接続した回路を構成している。
このような回路構成により、複数の圧電素子P1〜P4のうち劣化の進んだ圧電素子P1〜P4にかかる電圧を自動的に低下させて負担を軽減するとともに、その他の圧電素子P1〜P4全体で軽減した負担分をカバーできる。その結果、圧電素子P1〜P4の寿命を長くすることができる。
複数の圧電素子P1〜P4の各々は、圧電セラミック層と内部電極とが交互に積層されて形成されており、一対の外部電極Ea1〜Ea4、Eb1〜Eb4は、それぞれ内部電極に接続されている。圧電素子P1〜P4は、電気的には連結方向に沿って直列接続されており、内部電極に電圧が印加されることで積層方向に伸縮する。圧電素子P1〜P4は、端面同士の接着により伸縮方向に連結され圧電アクチュエータ本体11を構成している。圧電アクチュエータ10は、各圧電素子P1〜P4の伸縮が足し合わされた分伸縮する。
複数の圧電素子P1〜P4は、側面に設けられた一対の外部電極Ea1〜Ea4、Eb1〜Eb4のうちの一方同士が隣接する圧電素子P1〜P4の間で接続されることで電気的に直列接続されている。
複数の抵抗R1〜R4は、複数の圧電素子P1〜P4の各々に1つずつ並列接続されている。この接続回路によると、圧電素子P1〜P4の劣化が進んでおらず、各圧電素子の抵抗値が充分高い(>>R1〜R4)ときには、各々の圧電素子P1〜P4に掛かる電圧は、抵抗R1〜R4によって分圧された電圧となる。仮に、抵抗R1からR4までの抵抗値が同じであるとすると、各々の圧電素子P1〜P4に印加される電圧は、電源V0の電圧の1/4となり、均一になる。
例えば、圧電素子P2が劣化して、抵抗R2の抵抗値と同じ抵抗になったと仮定すると、圧電素子P2に印加される電圧は、正常時の57%に低下する。そして、残りの圧電素子P1、P3、P4には、均等に、その低下分の電圧が掛かり、14%電圧が増える。このように、圧電素子の絶縁抵抗の劣化に伴い、自動的に劣化した圧電素子の負担を軽くする。なお、抵抗R1〜R4の抵抗値は、圧電素子P1〜P4の劣化が進んでこれ以上抵抗が低下すると使用上好ましくない抵抗値と同等以上50倍以下にすることが望ましい。
(圧電アクチュエータの構成例)
図3は、圧電アクチュエータ10の構成例を示す図である。リード線L1、L4が端子T1、T4を解して外部電極Ea1、Ea4を電源V0に接続している。そして、リード線L12が外部電極Eb1と外部電極Eb2とを接続し、リード線L23が外部電極Ea2と外部電極Ea3とを接続し、リード線L34が外部電極Eb3と外部電極Eb4とを接続している。これにより、圧電素子P1〜P4が直列に接続されている。
一方、リード線L1とリード線L12とは、それぞれ端子T1と端子T12を介して抵抗R1に接続している。また、リード線L12とリード線L23とは、それぞれ端子T12と端子T23を介して抵抗R2に接続している。また、リード線L23とリード線L34とは、それぞれ端子T23と端子T34を介して抵抗R3に接続している。また、リード線L34とリード線L4とは、それぞれ端子T34と端子T4を介して抵抗R4に接続している。このようにして、圧電素子P1〜P4の各々に1つずつ抵抗R1〜R4を並列接続した回路を構成している。
各リード線L1〜L4は、座16の貫通孔を介して端子T1〜T4に接続しており、貫通孔は、樹脂で封止されている。座16は、圧電素子P1〜P4側とその逆側とを分離している。さらにキャップが圧電アクチュエータ本体11に被せられることで、圧電アクチュエータ本体は、密封される。このようにして、複数の圧電素子P1〜P4は、外気に対して離隔されている。
座16は、リード線L1〜L4の電気的接続を外気側に取り出し複数の抵抗R1〜R4の各々に接続するとともに、外気から圧電素子P1〜P4を隔離している。これにより、複数の圧電素子P1〜P4が外気に露出されるのを防止し、湿気から保護することができる。その結果、さらに圧電アクチュエータ10の寿命を延ばすことができる。
上記の構成例では圧電アクチュエータ10は、湿度を防ぐために、封管されているが、樹脂でモールドされてもよい。その場合でも、全ての圧電素子から2本ずつの線を外部に引き出し、それらを駆動回路上に配線して抵抗に接続することも可能である。
なお、上記の圧電アクチュエータ10を作製し、実験したところ、劣化の進んだ素子への負担を自動的に軽減し、その他の素子全体により、その分をカバーする構造になったことで、圧電アクチュエータ全体の寿命が2倍程度以上、向上した。
10 圧電アクチュエータ
11 圧電アクチュエータ本体
16 座
Ea1−Ea4、Eb1−Eb4 外部電極
L1、L12、L23、L34、L4 リード線
P1−P4 圧電素子
R1−R4 抵抗
T1、T12、T23、T34、T4 端子
V0 電源

Claims (3)

  1. 電圧の印加により伸縮する圧電アクチュエータであって、
    圧電セラミックと内部電極とを交互に複数積層して形成された圧電素子が伸縮方向に連結され、連結方向に沿って電気的に直列接続された複数の前記圧電素子と、
    前記複数の圧電素子の各々に1つずつ並列接続された複数の抵抗と、を備えることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記複数の圧電素子は、端面の接着により連結され、側面に設けられた一対の外部電極のうちの一方同士が隣接する圧電素子の間で接続されることで電気的に直列接続され、
    前記複数の抵抗は、前記複数の圧電素子の各々の一対の外部電極に接続された一対のリード線と接続されていることを特徴とする請求項1記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記複数の圧電素子は、外気に対して離隔され、
    前記一対のリード線の電気的接続は、外気側にとりだされて、前記複数の抵抗の各々に接続されていることを特徴とする請求項2記載の圧電アクチュエータ。
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