JP6313136B2 - ポリシロキサン化合物、その製造方法及び有機無機複合組成物 - Google Patents

ポリシロキサン化合物、その製造方法及び有機無機複合組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリシロキサン化合物、その製造方法及び有機無機複合組成物に関する。より詳しくは、様々な用途に有用なポリシロキサン化合物、その製造方法、及び、それを含む有機無機複合組成物に関する。
ポリシロキサン化合物とは、Si−O結合(シロキサン結合)を有する化合物であり、従来から、各種工業製品の原料として広く使用されている。そして昨今では、シロキサン結合に起因する耐熱性等の特性から、様々な用途へ適用されている。従来のポリシロキサン化合物としては、例えば、シロキサン結合を形成するケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格が結合してなる構成単位を有するシラン化合物(特許文献1)の他、ケイ素原子に、イソシアネート基又はアミド基と水酸基とを有する炭化水素基が直接結合した構造を有するシルセスキオキサン化合物(特許文献2)や、アンモニウム基含有ラダー状ポリシルセスキオキサン塩酸塩(非特許文献1等)が開示されている。
特許第5193207号公報 特開2012−136449号公報
Y カネコ(Y KANEKO)、外5名、「ケミストリー オブ マテリアルズ(Chemistry of Materials)」、(米国)、2004年、第16巻、p.3417−3423
ポリシロキサン化合物に要求される特性は用途によって異なるため、更にポリシロキサン化合物の構造のバリエーションを増やすことは、用途に応じた最適な特性のポリシロキサン化合物の選択の幅を広げる点から好ましい。例えば、新たな用途として、本願発明者らは、近年注目されている有機無機ハイブリッド(複合)材料用途を見いだしたが、有機ポリマーとの相溶性に優れるポリシロキサン化合物を開発して、このような用途にも好適なものとするための余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、これまでにない新しい構造を有し、耐熱性や分散性、有機ポリマーとの相溶性等の各種物性に優れるポリシロキサン化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。また、このようなポリシロキサン化合物と有機ポリマーとを含む有機無機複合組成物を提供することも目的とする。
本発明者らは、ポリシロキサン化合物について種々検討したところ、ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有し、かつ側鎖に疎水基含有アミド構造を有するポリシロキサン化合物の合成に成功し、このような新たなポリシロキサン化合物の好適な合成方法を見いだした。また、このポリシロキサン化合物が、耐熱性や分散性、有機ポリマーとの相溶性等の各種物性に優れることを見いだし、ポリシロキサン化合物と有機ポリマーとを含む有機無機複合組成物とすれば、極めて透明性が高い(すなわち可視光領域の透過率が極めて高い)硬化物を与えることができるため、例えば、光学用途、実装用途、表示デバイス用途、電気・電子部品材用途等の各種用途に有用な組成物となることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有し、かつ側鎖に疎水基含有アミド構造を有するポリシロキサン化合物である。
本発明はまた、上記ポリシロキサン化合物と、有機ポリマーとを含む有機無機複合組成物でもある。
本発明は更に、上記ポリシロキサン化合物を製造する方法であって、該製造方法は、アミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランの加水分解縮合体の酸塩と、疎水性酸塩化物とを反応させる工程を含むポリシロキサン化合物の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
〔ポリシロキサン化合物〕
本発明のポリシロキサン化合物は、ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有する。
ラダー状構造のポリシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなる直鎖状のシロキサン鎖を2つ有し、一の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子と他の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子とが1つの酸素原子を介して結合することにより、当該2つの直鎖状のシロキサン鎖が、平行に位置している骨格を意味する。
本発明では、ポリシロキサン骨格がラダー状構造をとることにより、ポリシロキサン化合物が耐熱性に優れたものとなる。
上記ポリシロキサン化合物において、上記ポリシロキサン骨格の占める割合としては、ポリシロキサン化合物100質量%中、80〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは70〜15質量%、更に好ましくは50〜20質量%である。
上記ポリシロキサン化合物は、側鎖に疎水基含有アミド構造を有するものである。
疎水基含有アミド構造とは、疎水基と、アミド結合(−N(H)−C(=O)−)とを含むものであれば、その他の部位の構造は特に限定されない。中でも、疎水基含有アミド構造は、−N(H)−C(=O)−R(Rは、疎水基を表す。)で表される基を含むことが好ましい。
上記Rで表される疎水基としては、例えば、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基(シクロアルキル基)、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基等が好ましい。より好ましくは、炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基であり、直鎖又は分岐鎖アルキル基の中でも直鎖アルキル基が特に好適である。また、本発明のポリシロキサン化合物と有機ポリマーとを併用する場合は、有機ポリマーとの相溶性を考慮して疎水基を適宜選択することも好適である。
なお、上記疎水基は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基等が挙げられる。
上記疎水基含有アミド構造は、有機骨格を含むことが好適である。
有機骨格としては、例えば、(1)炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれか1以上の構造が好ましく、上記疎水基含有アミド構造は、これらのいずれか1以上の構造の末端に、アミド結合を介して疎水基を有する構造であることがより好ましい。中でも、ポリシロキサン化合物の熱的安定性がより高まる点で、炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基の末端に、アミド結合を介して疎水基を有する構造が更に好ましい。
上記疎水基含有アミド構造として特に好ましくは、下記一般式(1):
Figure 0006313136
(式中、Rは、上述した疎水基を表す。x及びzは、同一又は異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される構造(基)である。式(1)中、x+zは、0以上10以下の整数であるが、3〜7であることが好ましく、より好ましくは3〜5、更に好ましくは3である。また、yは0であることが好ましい。
上記ポリシロキサン化合物において、疎水基含有アミド構造が占める割合としては、ポリシロキサン化合物に含まれるケイ素原子100モルに対して、20〜100モルであることが好ましい。これにより、耐熱性、耐加水分解性等がより向上するとともに、ポリシロキサン化合物と有機ポリマーとを含む組成物とした場合に、ポリシロキサン化合物の有機ポリマーへの分散性(有機ポリマーとの相溶性)がより一層向上することになる。より好ましくは50〜100モル、更に好ましくは70〜100モル、特に好ましくは80〜100モル、最も好ましくは100モルである。
上記ポリシロキサン化合物は、下記計算式(α)で求められるシラノール基量が、0.1以下であることが好ましい。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
これにより、上記ポリシロキサン化合物やそれを含む組成物が著しく低粘度化し、また、これら化合物、組成物や、その硬化物が耐吸湿性(低吸湿性)に極めて優れたものとなる。上記計算式(α)で求められるシラノール基量として、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.01以下である。特に好ましくは、上記ポリシロキサン化合物が残存シラノール基を有さないことである。
ここで、[Si−OH結合モル数]とは、SiとOHとの結合数をモル数で表す。例えば、1モルのSi原子のそれぞれに2つのOH基が結合している場合には、[Si−OH結合モル数]は2モルとなる。Si−O結合モル数についても同様に数えるものとする。
上記ポリシロキサン化合物はまた、疎水基含有アミド構造以外のその他の基(骨格)を側鎖に有していてもよい。
その他の基としては特に制限されないが、例えば、水素原子;水酸基;ハロゲン原子;OR基;アルキル基;アリール基、アラルキル基等の芳香族残基;不飽和脂肪族残基;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基等の芳香族残基である。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基である。
上記ポリシロキサン化合物として好ましくは、下記一般式(2):
Figure 0006313136
(式中、Rは、同一又は異なって、1価の有機基、水酸基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、Rのうち少なくとも1つが、疎水基含有アミド構造である。Rは、同一又は異なって、1価の有機基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子又はOR基を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基のいずれかの基を表し、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族基等の置換基があってもよい。nは、重合度を表す。)で表される化合物である。
上記式(2)中、重合度nは、10〜1000であることが好ましい。重合度がこのような好ましい範囲にあれば、上記ポリシロキサン化合物は耐熱性により優れたものとなる。より好ましくは15〜800、更に好ましくは20〜500である。
上記ポリシロキサン化合物の構造は、例えば、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MS、FT−IR等を測定して同定することができる。
上記ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、5000以上であることが好適である。これにより、ポリシロキサン化合物が有機ポリマーとの相溶性により優れたものとなり、各種用途により好適なものとなる。より好ましくは10000以上、更に好ましくは15000以上、特に好ましくは18000以上である。また、重量平均分子量の上限は20万以下であることが好ましい。
本明細書中、ポリシロキサン化合物の重量平均分子量及び数平均分子量は、後述する測定条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
上記ポリシロキサン化合物は、分散性や有機ポリマーとの相溶性の他、耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性、熱伝導性等にも優れ、各種材料に優れた特性を付与することができる。したがって、上記ポリシロキサン化合物と有機ポリマーとを併用した場合には、透明性や耐熱性、耐圧性等に優れる組成物及び硬化物を与えることができる。
〔ポリシロキサン化合物の製造方法〕
本発明のポリシロキサン化合物の製造方法は特に制限されないが、本発明の製造方法、すなわちアミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランの加水分解縮合体の酸塩と、疎水性酸塩化物とを反応させる工程を含む製造方法を採用することが好適である。
上記製造方法は、アミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランの加水分解縮合体の酸塩(「加水分解縮合体の酸塩」ともいう)と、疎水性酸塩化物とを反応させる工程(単に「反応工程」とも称す)を含むが、中和工程を更に含むことが好ましい。また必要に応じて、通常の製法で行われる工程(例えば、ろ過工程、洗浄工程等)を1又は2以上含んでもよい。
<反応工程>
−加水分解縮合体の酸塩−
上記加水分解縮合体の酸塩の製造方法は特に限定されず、例えば、アミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランを形成した後に、アミノ基と酸とを反応させ、酸塩を形成する方法(方法1ともいう)であってもよいが、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物のアミノ基と酸とを反応させ、酸塩とした後に、アルコキシシリル基の加水分解・縮合反応によりラダー状構造のポリシロキサン骨格を形成して得る方法(方法2ともいう)を採用することが好適である。
上記方法2において、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物と酸との反応は、通常用いられる方法により行うことができる。
この反応に使用されるアミノ基を有するアルコキシシラン化合物は、アミノ基及びアルコキシシリル基を有する限り特に限定されないが、例えば、ケイ素原子に、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれかの構造が結合し、該構造の、ケイ素原子とは反対側の末端に、アミノ基が結合した構造を有するものが好ましい。上記(1)〜(3)の中でも、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造がより好ましい。
上記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、下記式(3):
Figure 0006313136
(式中、Rは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される化合物が好ましい。
上記式(3)において、x、y及びzはすべて一般式(1)における各記号と同じであり、yは0であることが好ましく、x及びzの合計は3であることが好ましい。また、Rとしては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
上記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物として好ましくは、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル―トリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリ(イソプロポキシ)シラン、3−アミノプロピルトリブトキシシランである。
上記酸としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化水素、オキソ酸等が挙げられる。好ましくは、塩化水素、フッ化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、硫酸、メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸であり、より好ましくは、塩化水素、ヨウ化水素、p−トルエンスルホン酸である。
上記方法2において、アルコキシシリル基の加水分解・縮合反応における加水分解反応を以下に示す。
SiOR +3HO(加水分解)→Si(OH)+3ROH
(式中、Rは、上述のとおりである。)
上記加水分解反応により得られたシラノール基(Si(OH))の縮合反応により、下記式(4):
Figure 0006313136
(式中、Rは、同一又は異なって、アミノ基を有する有機骨格、アミノ基と酸とを反応させて形成する塩の構造(以下、アミノ基の酸塩構造ともいう)を有する有機骨格、又は、後述するその他の基を表す。Rのうち少なくとも1つは、アミノ基の酸塩構造を有する有機骨格を表す。nは、重合度を表す。)で表される加水分解縮合体を得ることができる。nの好ましい範囲は、上述のポリシロキサン化合物と同様である。
このようにアルコキシシリル基を加水分解・縮合することにより、ポリシロキサン骨格の重合度が高い加水分解縮合体を得ることができる。ポリシロキサン骨格の重合度が高い加水分解縮合体の酸塩と、後述する疎水性酸塩化物との反応により、従来よりも重合度の高く、分子量の大きいポリシロキサン化合物を合成することができる。
上記加水分解縮合体の酸塩は、アミノ基の酸塩構造を有する有機骨格を少なくとも1つ側鎖に有していればよいが、当該アミノ基の酸塩構造を有する有機骨格が占める割合は、上記加水分解縮合体の酸塩に含まれるケイ素原子100モル%に対して、20〜100%モルであることが好ましい。より好ましくは50〜100%モル、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%、最も好ましくは100モル%である。
上記加水分解縮合体の酸塩は、アミノ基又はアミノ基の酸塩構造以外のその他の基を側鎖に有していてもよい。その他の基としては特に制限されないが、例えば、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、OR基、アルキル基、芳香族残基(アリール基、アラルキル基等)、不飽和脂肪族残基等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基等の芳香族残基である。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基である。
上記加水分解・縮合反応においては、水を用いることが好ましい。例えば、上記アルコキシシラン化合物の酸塩100質量部に対して、10〜2000質量部の水を添加して反応させることが好適である。水の添加量としてより好ましくは10〜500質量部、更に好ましくは20〜400質量部である。
上記反応に用いる水は、イオン交換水、pH調整水等のいずれを用いてもよいが、pH7前後の水を用いることが好ましい。このような水を用いることにより、イオン性不純物量を低減させることが可能となり、低吸湿性又は高絶縁性のポリシロキサン化合物を得ることが可能になる。なお、水の純度は、pH7である方が好ましいが、塩化水素、シュウ酸、ピリジン、トリエチルアミン等は高温で反応系外へ揮散するので、微量添加してpHを2〜12の範囲で調整してもよい。
上記水の使用形態は、上記アルコキシシラン化合物の酸塩に滴下する形態でもよいし、一括投入する形態でもよい。
上記加水分解・縮合反応における反応温度は、室温〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、室温〜100℃であり、更に好ましくは、副生物としてアルコールが生じるので、アルコール、水、溶媒の共沸還流下で保持することである。
上記加水分解・縮合反応における圧力は、常圧であっても加圧下であっても減圧下であってもよいが、副生アルコールを効率よく反応系外へ留去することで反応が進行しやすいので、常圧以下である方が好ましい。また、反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、2〜48時間であることが好適である。
−疎水性酸塩化物−
上記反応工程において、疎水性酸塩化物としては、疎水基(R)を有する酸塩化物であれば特に限定されず、酸塩化物としては、例えば、スルホン酸塩化物、カルボン酸塩化物等が挙げられる。中でも、疎水性酸塩化物は、R−C(=O)−Cl(Rは、疎水基を表す)で表される疎水性カルボン酸塩化物であることが好ましい。なお、Rで表される疎水基については、上述したとおりである。
上記加水分解縮合体の酸塩と疎水性酸塩化物との反応において、疎水性酸塩化物の使用量(添加量)は、加水分解縮合体の酸塩における塩の構造部分1モルに対し、1〜6モルとすることが好ましい。より好ましくは2〜5モルと、疎水性酸塩化物を過剰量とすることである。
上記加水分解縮合体の酸塩と疎水性酸塩化物との反応は、例えば、上記加水分解縮合体の酸塩に対し、疎水性酸塩化物によって求電子置換反応させることで、疎水基を側鎖に導入することが好ましい。
上記加水分解縮合体の酸塩と疎水性酸塩化物との反応は、反応温度を10〜250℃として行うことが好ましい。より好ましくは15〜100℃である。反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、3分〜24時間が好ましい。
上記反応工程は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセタミド、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等の1種又は2種以上を用いることが好適である。中でも、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)がより好ましい。
上記反応工程はまた、触媒の存在下で行うことが好ましく、触媒として、例えば、塩化水素、トリエチルアミン等の1種又は2種以上を用いることが好適である。
上記加水分解縮合体の酸塩と疎水性酸塩化物との反応の好ましい反応形態の一例を下記式(5)に示す。式中、Rは疎水基を表し、上述したとおりである。
Figure 0006313136
<中和工程>
上記製造方法は、上述したように中和工程を更に含むことが好適である。
中和工程では、例えば、上記反応工程で得た生成物に酸成分を添加することが好適であり、その添加量は特に限定されない。酸成分としては特に限定されず、例えば、塩酸(塩化水素)等を用いることができる。
<その他の工程>
上記製造方法はまた、上記中和工程の後に、ろ過及び洗浄工程を行うことが好適である。
洗浄工程では、水や、有機溶媒等の1種又は2種以上を使用して、1回又は2回以上洗浄を行うことが好ましい。有機溶媒は特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、ジエチルエーテル、トルエン等の通常の洗浄工程で使用される溶媒を用いればよい。
〔有機無機複合組成物〕
本発明の有機無機複合組成物は、上述した本発明のポリシロキサン化合物と、有機ポリマーとを含むが、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。
−有機ポリマー−
上記有機ポリマー(有機樹脂とも称す)としては特に限定されず、意図される用途(例えば、屈折率の調整に用いる光学フィルム用途等)等によって適宜選択すればよい。例えば、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーのいずれもが好適に用いられる。具体的には、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)等のアクリル樹脂や、ポリスチレン(PSt)等が好ましい。また、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、マレイミド化合物も好ましく使用できる。これら化合物は、特許第5193207号公報に記載のものと同様のものが好適である。その他、特許第5193207号公報〔0131〕に記載の種々の有機樹脂も好ましく使用できる。
−ポリシロキサン化合物−
上記有機無機複合組成物においては、有機ポリマーとの相溶性を考慮して、本発明のポリシロキサン化合物が含む疎水基を適宜選択することが好適である。
例えば、有機ポリマーとしてPMMAを用いる場合、ポリシロキサン化合物が含む疎水基(R)は、直鎖状アルキル基であることが好ましく、中でも、炭素数3〜20の直鎖状アルキル基であることがより好ましい。更に好ましくは、炭素数6〜11の直鎖状アルキル基である。これにより、PMMAとの相溶性がより向上され、透明性に優れる硬化物が得られるため、光学フィルム用途に特に好適なものとなる。また、有機ポリマーとしてPStを用いる場合、疎水基(R)は、芳香族炭化水素基であることが好ましく、中でも、フェニル基であることがより好ましい。これにより、PStとの相溶性がより向上され、透明性に優れる硬化物が得られるため、光学フィルム用途に特に好適なものとなる。
上記有機無機複合組成物において、ポリシロキサン化合物の含有量は、有機ポリマーの総量100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましい。これにより、ポリシロキサン化合物と有機ポリマーとの相溶性がより高まって、透明性や耐熱性等の各種物性に優れる硬化物を与えることが可能になる。より好ましくは2〜50質量部、更に好ましくは3〜10質量部である。
−その他の成分−
上記有機無機複合組成物はまた、必要に応じ、求められる物性等に応じてその他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。その他の成分としては特に限定されず、例えば、溶媒、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、マット剤等が挙げられる。中でも、溶媒を少なくとも含むことが好適である。溶媒としては特に限定されないが、例えば、クロロホルム、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルマミド等の非極性溶媒である。より好ましくはクロロホルムである。
上記その他の成分の含有量は、該成分に求められる性能等によって適宜設定すればよいが、例えば、溶媒を含む場合、その含有量は、有機無機複合組成物に含まれるポリシロキサン化合物と有機ポリマーとの合計量100質量部に対し、10〜10000質量部であることが好ましい。より好ましくは50〜5000質量部、更に好ましくは100〜1000質量部である。
上記有機無機複合組成物は、含有成分であるポリシロキサン化合物と有機ポリマーとの相溶性に特に優れるためフィラー用途等に有用であり、また、透明性に優れる硬化物を与えることができるため、光学フィルム等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途にも好適に使用できる。また、優れた耐熱性を示すため、耐熱性の高い実装用材料としても好適に使用できる。その他、高い熱安定性が必要とされる実装分野だけでなく、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、塗料や接着剤の材料等にも好適に用いることができる。
〔光学フィルム〕
本発明の有機無機複合組成物は、特に光学フィルム用途に用いることが好適である。このように本発明の有機無機複合組成物より形成される光学フィルムもまた、本発明者らによる発明の1つである。この光学フィルムは、白濁がなく透明で、可視光の波長領域(例えば、380nm〜780nm)で高い透過率を示すことができるため、例えば、液晶表示装置等の各種用途に有用である。
上記光学フィルムの作製方法は特に限定されず、通常の手法を採用すればよい。例えば、有機無機複合組成物(好ましくは、溶媒を含む有機無機複合組成物)を基材上に塗布した後、硬化することにより、光学フィルムを作製することができる。なお、硬化後、必要に応じて基材から剥離してもよいし、基材から剥離せずに、基材との積層体として各用途に用いることも可能である。
上記硬化は1段階で行ってもよいし、1次硬化(予備硬化)、2次硬化(本硬化)のように2段階以上で行ってもよい。硬化方法として好ましくは、熱硬化方法である。熱硬化は、30〜400℃程度で硬化することが好ましく、この温度範囲内で段階的に変化させてもよい。また、硬化は、空気中、又は、窒素等の不活性ガス雰囲気のいずれの雰囲気下でも行うことができる。
本発明のポリシロキサン化合物は、上述の構成よりなり、耐熱性、分散性、有機ポリマーとの相溶性等の各種物性に優れるものである。このようなポリシロキサン化合物と有機ポリマーとを含む本発明の有機無機複合組成物は、極めて透明性が高い硬化物を与えることができるため、例えば、光学用途、実装用途、表示デバイス用途、電気・電子部品材料等の各種用途に有用なものである。
図1は、実施例1〜4及び比較例1で得た各フィルムのUV−Visスペクトルである。 図2は、実施例5及び比較例2で得た各フィルムのUV−Visスペクトルである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
なお、下記の合成例において、分子量は、以下のGPC測定条件の下で求めた。
<GPC測定条件>
計測機器:日立ハイテクノロジーズ社製LachromL−2000シリーズ
カラム:昭和電工社製「Shodex GPC KF−805L」×1本+昭和電工社製「Shodex GPC KF−803L」×1本
溶離液:クロロホルム
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
<ポリシロキサン化合物の合成>
合成例1
ラダー状ポリ(3−アミノプロピル)シルセスキオキサン塩酸塩の合成
300mLのビーカー中に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.695gと0.5mol/L塩酸150mLを加えて、マグネティック・スターラーで2時間室温で撹拌した。その後、容量50mLのディスポトレー5枚の上で60℃で加熱し、続いて100℃のオーブンで10時間加熱して完全に残存塩化水素と水とメタノールを蒸発させた。得られた板状固形分を300mLのビーカー中で精製水50mLに溶解し、100mLのアセトンを撹拌しながら投入してデカンテーションにより沈殿物を回収、更に回収物にメタノール100mLを加えて洗浄する工程を5回実施し、最後にアセトン100mLで回収物を洗浄したものを減圧乾燥することで化合物Aを3.667g得た。
化合物Aは、FT−IR、NMR、XRDによる分析結果から、非特許文献1の同定結果と一致しており、ラダー状ポリ(3−アミノプロピル)シルセスキオキサン塩酸塩であることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは3200、重量平均分子量Mwは5760、分子量分布Mw/Mnは1.80であった。
合成例2
ラダー状ポリ〔3−(シクロヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとシクロヘキサンカルボニルクロリド0.605gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、アセトン洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Bを0.1443g得た。
収率は65.5%で外観は白色粉末であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(シクロヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは11500、重量平均分子量Mwは19200、分子量分布Mw/Mnは1.67であった。
合成例3
ラダー状ポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとベンゾイルクロリド0.563gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、ジエチルエーテル洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Cを0.160g得た。
収率は74.4%で外観は白色粉末であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは15100、重量平均分子量Mwは41500、分子量分布Mw/Mnは2.74であった。
合成例4
ラダー状ポリ〔3−(n−ヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとヘプタノイルクロリド0.607gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、メタノール洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Dを0.079g得た。
収率は35.8%で外観は透明な高粘度流体であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(n−ヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは37700、重量平均分子量Mwは62300、分子量分布Mw/Mnは1.65であった。
合成例5
ラダー状ポリ〔3−(n−ヘプチルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとオクタノイルクロリド0.651gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、メタノール洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Eを0.083g得た。
収率は22.4%で外観は透明な高粘度流体であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(n−ヘプチルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは23100、重量平均分子量Mwは61900、分子量分布Mw/Mnは2.68であった。
合成例6
ラダー状ポリ〔3−(n−ウンデシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとラウロイルクロリド0.875gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、アセトン洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Fを0.245g得た。
収率は80.3%で外観は白色粉末であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(n−ウンデシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは33900、重量平均分子量Mwは64900、分子量分布Mw/Mnは1.91であった。
<有機無機複合組成物及びフィルムの作製>
実施例1〜5、比較例1〜2
ポリ(メタクリル酸メチル)又はポリスチレンへのポリシロキサン化合物の分散性を検討した。
具体的には、表1及び2に記載の組成で、有機ポリマーとポリシロキサン化合物との混合溶液を作製し、ガラス基板上にスピンコートして室温で一晩乾燥させた。その後、60℃に保持した熱板上に放置したのち、室温に冷却してガラス基板から剥離することで、フィルムを得た。
得られた各フィルムについて、目視で外観を評価した。結果を表1、2に示す。
また得られた各フィルムについて、ガラス基板から剥離前の状態でのUV−Vis(紫外可視光)スペクトルを、紫外可視分光光度計V−630(日本分光社製)を用いて測定することによって評価した。スペクトルを図1、2に示す。
Figure 0006313136
Figure 0006313136
表1、2中、各略号等は以下のとおりである。化合物B〜Fは、上述したとおりである。
PMMA:ポリ(メタクリル酸メチル)
PSt:ポリスチレン
CHCl:クロロホルム
化合物G:ポリイソブチルシルセスキオキサン(アズマックス社製)
化合物H:ポリフェニルシルセスキオキサン(小西化学工業社製、製品名「SR−20」)
実施例1〜5及び比較例1〜2より、以下のことが確認された。
比較例1及び2では、側鎖に疎水基含有アミド構造をもたないポリシロキサン化合物の分散を試み、フィルムを作製したところ、クロロホルム溶液の状態では、用いたポリシロキサン化合物(化合物G又はH)の相溶性が高く透明性を保持していたが、フィルム化するとクロロホルムがなくなり有機ポリマーに対する相溶性が低くなった。その結果、目視では白濁し、UV−Visスペクトルでも低い透過率しか確認できなかった。
これに対して、実施例1〜5では、側鎖に疎水基含有アミド構造を有するポリシロキサン化合物の分散を試み、フィルムを作製したところ、クロロホルム溶液の状態のみならず、フィルム化しても、ポリシロキサン化合物(化合物B〜F)の相溶性が高く透明性を保持していた。その結果、目視では透明性が高く、かつUV−Visスペクトルでも可視光領域の全範囲で高い透過率を示した。
したがって、ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有し、かつ側鎖に疎水基含有アミド構造を有する本発明のポリシロキサン化合物は、有機ポリマーとの相溶性に特に優れることが確認された。

Claims (4)

  1. ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有し、かつ側鎖に疎水基含有アミド構造を有し、
    該疎水基含有アミド構造は、−N(H)−C(=O)−R(Rは、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基である疎水基を表す。)で表される基を含む
    ことを特徴とするポリシロキサン化合物。
  2. 請求項1に記載のポリシロキサン化合物と、有機ポリマーとを含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
  3. 請求項1に記載のポリシロキサン化合物を製造する方法であって、
    該製造方法は、アミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランの加水分解縮合体の酸塩と、疎水性酸塩化物とを反応させる工程を含むことを特徴とするポリシロキサン化合物の製造方法。
  4. 前記疎水性酸塩化物は、R−C(=O)−Cl(Rは、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基である疎水基を表す。)で表される疎水性カルボン酸塩化物であることを特徴とする請求項に記載のポリシロキサン化合物の製造方法。
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