JP6313136B2 - ポリシロキサン化合物、その製造方法及び有機無機複合組成物 - Google Patents
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Description
本発明はまた、上記ポリシロキサン化合物と、有機ポリマーとを含む有機無機複合組成物でもある。
本発明は更に、上記ポリシロキサン化合物を製造する方法であって、該製造方法は、アミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランの加水分解縮合体の酸塩と、疎水性酸塩化物とを反応させる工程を含むポリシロキサン化合物の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
本発明のポリシロキサン化合物は、ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有する。
ラダー状構造のポリシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなる直鎖状のシロキサン鎖を2つ有し、一の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子と他の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子とが1つの酸素原子を介して結合することにより、当該2つの直鎖状のシロキサン鎖が、平行に位置している骨格を意味する。
本発明では、ポリシロキサン骨格がラダー状構造をとることにより、ポリシロキサン化合物が耐熱性に優れたものとなる。
疎水基含有アミド構造とは、疎水基と、アミド結合(−N(H)−C(=O)−)とを含むものであれば、その他の部位の構造は特に限定されない。中でも、疎水基含有アミド構造は、−N(H)−C(=O)−R(Rは、疎水基を表す。)で表される基を含むことが好ましい。
なお、上記疎水基は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基等が挙げられる。
有機骨格としては、例えば、(1)炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれか1以上の構造が好ましく、上記疎水基含有アミド構造は、これらのいずれか1以上の構造の末端に、アミド結合を介して疎水基を有する構造であることがより好ましい。中でも、ポリシロキサン化合物の熱的安定性がより高まる点で、炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基の末端に、アミド結合を介して疎水基を有する構造が更に好ましい。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
これにより、上記ポリシロキサン化合物やそれを含む組成物が著しく低粘度化し、また、これら化合物、組成物や、その硬化物が耐吸湿性(低吸湿性)に極めて優れたものとなる。上記計算式(α)で求められるシラノール基量として、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.01以下である。特に好ましくは、上記ポリシロキサン化合物が残存シラノール基を有さないことである。
ここで、[Si−OH結合モル数]とは、SiとOHとの結合数をモル数で表す。例えば、1モルのSi原子のそれぞれに2つのOH基が結合している場合には、[Si−OH結合モル数]は2モルとなる。Si−O結合モル数についても同様に数えるものとする。
その他の基としては特に制限されないが、例えば、水素原子;水酸基;ハロゲン原子;ORa基;アルキル基;アリール基、アラルキル基等の芳香族残基;不飽和脂肪族残基;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基等の芳香族残基である。Raは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基である。
本明細書中、ポリシロキサン化合物の重量平均分子量及び数平均分子量は、後述する測定条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
本発明のポリシロキサン化合物の製造方法は特に制限されないが、本発明の製造方法、すなわちアミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランの加水分解縮合体の酸塩と、疎水性酸塩化物とを反応させる工程を含む製造方法を採用することが好適である。
−加水分解縮合体の酸塩−
上記加水分解縮合体の酸塩の製造方法は特に限定されず、例えば、アミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランを形成した後に、アミノ基と酸とを反応させ、酸塩を形成する方法(方法1ともいう)であってもよいが、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物のアミノ基と酸とを反応させ、酸塩とした後に、アルコキシシリル基の加水分解・縮合反応によりラダー状構造のポリシロキサン骨格を形成して得る方法(方法2ともいう)を採用することが好適である。
この反応に使用されるアミノ基を有するアルコキシシラン化合物は、アミノ基及びアルコキシシリル基を有する限り特に限定されないが、例えば、ケイ素原子に、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれかの構造が結合し、該構造の、ケイ素原子とは反対側の末端に、アミノ基が結合した構造を有するものが好ましい。上記(1)〜(3)の中でも、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造がより好ましい。
SiOR3 3+3H2O(加水分解)→Si(OH)3+3R3OH
(式中、R3は、上述のとおりである。)
上記加水分解反応により得られたシラノール基(Si(OH)3)の縮合反応により、下記式(4):
上記水の使用形態は、上記アルコキシシラン化合物の酸塩に滴下する形態でもよいし、一括投入する形態でもよい。
上記反応工程において、疎水性酸塩化物としては、疎水基(R)を有する酸塩化物であれば特に限定されず、酸塩化物としては、例えば、スルホン酸塩化物、カルボン酸塩化物等が挙げられる。中でも、疎水性酸塩化物は、R−C(=O)−Cl(Rは、疎水基を表す)で表される疎水性カルボン酸塩化物であることが好ましい。なお、Rで表される疎水基については、上述したとおりである。
上記反応工程はまた、触媒の存在下で行うことが好ましく、触媒として、例えば、塩化水素、トリエチルアミン等の1種又は2種以上を用いることが好適である。
上記製造方法は、上述したように中和工程を更に含むことが好適である。
中和工程では、例えば、上記反応工程で得た生成物に酸成分を添加することが好適であり、その添加量は特に限定されない。酸成分としては特に限定されず、例えば、塩酸(塩化水素)等を用いることができる。
上記製造方法はまた、上記中和工程の後に、ろ過及び洗浄工程を行うことが好適である。
洗浄工程では、水や、有機溶媒等の1種又は2種以上を使用して、1回又は2回以上洗浄を行うことが好ましい。有機溶媒は特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、ジエチルエーテル、トルエン等の通常の洗浄工程で使用される溶媒を用いればよい。
本発明の有機無機複合組成物は、上述した本発明のポリシロキサン化合物と、有機ポリマーとを含むが、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。
上記有機ポリマー(有機樹脂とも称す)としては特に限定されず、意図される用途(例えば、屈折率の調整に用いる光学フィルム用途等)等によって適宜選択すればよい。例えば、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーのいずれもが好適に用いられる。具体的には、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)等のアクリル樹脂や、ポリスチレン(PSt)等が好ましい。また、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、マレイミド化合物も好ましく使用できる。これら化合物は、特許第5193207号公報に記載のものと同様のものが好適である。その他、特許第5193207号公報〔0131〕に記載の種々の有機樹脂も好ましく使用できる。
上記有機無機複合組成物においては、有機ポリマーとの相溶性を考慮して、本発明のポリシロキサン化合物が含む疎水基を適宜選択することが好適である。
例えば、有機ポリマーとしてPMMAを用いる場合、ポリシロキサン化合物が含む疎水基(R)は、直鎖状アルキル基であることが好ましく、中でも、炭素数3〜20の直鎖状アルキル基であることがより好ましい。更に好ましくは、炭素数6〜11の直鎖状アルキル基である。これにより、PMMAとの相溶性がより向上され、透明性に優れる硬化物が得られるため、光学フィルム用途に特に好適なものとなる。また、有機ポリマーとしてPStを用いる場合、疎水基(R)は、芳香族炭化水素基であることが好ましく、中でも、フェニル基であることがより好ましい。これにより、PStとの相溶性がより向上され、透明性に優れる硬化物が得られるため、光学フィルム用途に特に好適なものとなる。
上記有機無機複合組成物はまた、必要に応じ、求められる物性等に応じてその他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。その他の成分としては特に限定されず、例えば、溶媒、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、マット剤等が挙げられる。中でも、溶媒を少なくとも含むことが好適である。溶媒としては特に限定されないが、例えば、クロロホルム、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルマミド等の非極性溶媒である。より好ましくはクロロホルムである。
本発明の有機無機複合組成物は、特に光学フィルム用途に用いることが好適である。このように本発明の有機無機複合組成物より形成される光学フィルムもまた、本発明者らによる発明の1つである。この光学フィルムは、白濁がなく透明で、可視光の波長領域(例えば、380nm〜780nm)で高い透過率を示すことができるため、例えば、液晶表示装置等の各種用途に有用である。
なお、下記の合成例において、分子量は、以下のGPC測定条件の下で求めた。
計測機器:日立ハイテクノロジーズ社製LachromL−2000シリーズ
カラム:昭和電工社製「Shodex GPC KF−805L」×1本+昭和電工社製「Shodex GPC KF−803L」×1本
溶離液:クロロホルム
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
合成例1
ラダー状ポリ(3−アミノプロピル)シルセスキオキサン塩酸塩の合成
300mLのビーカー中に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.695gと0.5mol/L塩酸150mLを加えて、マグネティック・スターラーで2時間室温で撹拌した。その後、容量50mLのディスポトレー5枚の上で60℃で加熱し、続いて100℃のオーブンで10時間加熱して完全に残存塩化水素と水とメタノールを蒸発させた。得られた板状固形分を300mLのビーカー中で精製水50mLに溶解し、100mLのアセトンを撹拌しながら投入してデカンテーションにより沈殿物を回収、更に回収物にメタノール100mLを加えて洗浄する工程を5回実施し、最後にアセトン100mLで回収物を洗浄したものを減圧乾燥することで化合物Aを3.667g得た。
化合物Aは、FT−IR、NMR、XRDによる分析結果から、非特許文献1の同定結果と一致しており、ラダー状ポリ(3−アミノプロピル)シルセスキオキサン塩酸塩であることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは3200、重量平均分子量Mwは5760、分子量分布Mw/Mnは1.80であった。
ラダー状ポリ〔3−(シクロヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとシクロヘキサンカルボニルクロリド0.605gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、アセトン洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Bを0.1443g得た。
収率は65.5%で外観は白色粉末であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(シクロヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは11500、重量平均分子量Mwは19200、分子量分布Mw/Mnは1.67であった。
ラダー状ポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとベンゾイルクロリド0.563gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、ジエチルエーテル洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Cを0.160g得た。
収率は74.4%で外観は白色粉末であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは15100、重量平均分子量Mwは41500、分子量分布Mw/Mnは2.74であった。
ラダー状ポリ〔3−(n−ヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとヘプタノイルクロリド0.607gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、メタノール洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Dを0.079g得た。
収率は35.8%で外観は透明な高粘度流体であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(n−ヘキシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは37700、重量平均分子量Mwは62300、分子量分布Mw/Mnは1.65であった。
ラダー状ポリ〔3−(n−ヘプチルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとオクタノイルクロリド0.651gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、メタノール洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Eを0.083g得た。
収率は22.4%で外観は透明な高粘度流体であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(n−ヘプチルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは23100、重量平均分子量Mwは61900、分子量分布Mw/Mnは2.68であった。
ラダー状ポリ〔3−(n−ウンデシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンの合成
20mLの窒素導入管付の2つ口フラスコにマグネティック・スターラーを取り付け、フラスコ中に上記化合物Aを0.147gと精製水3mLを入れて1時間撹拌して完全に溶解したのち、N,N’−ジメチルホルムアミド2mLを投入して更に30分撹拌して内容物が均一な溶液になるのを確認した。つづいてトリエチルアミン0.507gとラウロイルクロリド0.875gを投入し、10分間室温で撹拌し続けた。バイアル内容液は当初白濁していたが、しばらくすると発熱が収まり、1.0mol/L塩酸6mLを入れると白色の沈殿物が発生した。吸引ろ過で沈殿物を回収し、更に水洗浄、アセトン洗浄を交互に2回繰り返して減圧乾燥して化合物Fを0.245g得た。
収率は80.3%で外観は白色粉末であり、FT−IR、NMRによる分析結果からポリ〔3−(n−ウンデシルアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであることを確認した。
GPC測定では、数平均分子量Mnは33900、重量平均分子量Mwは64900、分子量分布Mw/Mnは1.91であった。
実施例1〜5、比較例1〜2
ポリ(メタクリル酸メチル)又はポリスチレンへのポリシロキサン化合物の分散性を検討した。
具体的には、表1及び2に記載の組成で、有機ポリマーとポリシロキサン化合物との混合溶液を作製し、ガラス基板上にスピンコートして室温で一晩乾燥させた。その後、60℃に保持した熱板上に放置したのち、室温に冷却してガラス基板から剥離することで、フィルムを得た。
得られた各フィルムについて、目視で外観を評価した。結果を表1、2に示す。
また得られた各フィルムについて、ガラス基板から剥離前の状態でのUV−Vis(紫外可視光)スペクトルを、紫外可視分光光度計V−630(日本分光社製)を用いて測定することによって評価した。スペクトルを図1、2に示す。
PMMA:ポリ(メタクリル酸メチル)
PSt:ポリスチレン
CH3Cl:クロロホルム
化合物G:ポリイソブチルシルセスキオキサン(アズマックス社製)
化合物H:ポリフェニルシルセスキオキサン(小西化学工業社製、製品名「SR−20」)
比較例1及び2では、側鎖に疎水基含有アミド構造をもたないポリシロキサン化合物の分散を試み、フィルムを作製したところ、クロロホルム溶液の状態では、用いたポリシロキサン化合物(化合物G又はH)の相溶性が高く透明性を保持していたが、フィルム化するとクロロホルムがなくなり有機ポリマーに対する相溶性が低くなった。その結果、目視では白濁し、UV−Visスペクトルでも低い透過率しか確認できなかった。
これに対して、実施例1〜5では、側鎖に疎水基含有アミド構造を有するポリシロキサン化合物の分散を試み、フィルムを作製したところ、クロロホルム溶液の状態のみならず、フィルム化しても、ポリシロキサン化合物(化合物B〜F)の相溶性が高く透明性を保持していた。その結果、目視では透明性が高く、かつUV−Visスペクトルでも可視光領域の全範囲で高い透過率を示した。
したがって、ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有し、かつ側鎖に疎水基含有アミド構造を有する本発明のポリシロキサン化合物は、有機ポリマーとの相溶性に特に優れることが確認された。
Claims (4)
- ラダー状構造のポリシロキサン骨格を有し、かつ側鎖に疎水基含有アミド構造を有し、
該疎水基含有アミド構造は、−N(H)−C(=O)−R(Rは、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基である疎水基を表す。)で表される基を含む
ことを特徴とするポリシロキサン化合物。 - 請求項1に記載のポリシロキサン化合物と、有機ポリマーとを含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
- 請求項1に記載のポリシロキサン化合物を製造する方法であって、
該製造方法は、アミノ基を有するラダー状構造のアルコキシシランの加水分解縮合体の酸塩と、疎水性酸塩化物とを反応させる工程を含むことを特徴とするポリシロキサン化合物の製造方法。 - 前記疎水性酸塩化物は、R−C(=O)−Cl(Rは、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基である疎水基を表す。)で表される疎水性カルボン酸塩化物であることを特徴とする請求項3に記載のポリシロキサン化合物の製造方法。
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