JP6313067B2 - 制震ダンパー - Google Patents
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Description
最外に位置する鋼板は、長手方向の側縁がそれぞれ厚み方向の外側へ折曲されて一対のフランジ部を有し、最外の鋼板同士が、外部のフレーム内への取り付け側端部を除いたフランジ部間に跨がって鋼板の厚み方向と直交する方向でフランジ部に固定される補強板によって連結されており、最外の鋼板を除く鋼板の端部には、フレーム内への取付部が、補強板よりも鋼板の長手方向外側へ突出する長さで一体形成されて、スペーサは、少なくとも一方の端部の取付部において、鋼板の短手方向で補強板の端部とオーバーラップする位置で鋼板に一体成形されて補強板の端部よりも鋼板の長手方向外側へ突出するリブであることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、補強板と粘弾性体との間に隙間が設けられることを特徴とするものである。
また、スペーサを一体成形されたリブとしたことで、スペーサを低コストで付与可能となる。
さらに、取付部を利用してスペーサを簡単に設けることができる。
そして、補強板の採用により座屈防止効果の向上が期待できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、粘弾性体に補強板が接触してせん断変形に干渉することを防止可能となる。
図1は、制震ダンパーの一例を示す説明図で、制震ダンパー1は、所定長さの鋼板2,2・・を長手方向へ互い違いにずれた状態で厚み方向に5枚重ね合わせて、長手方向の一方に3枚の鋼板2A,2A・・の端部を、他方に2枚の鋼板2B,2Bの端部をそれぞれ突出させ、5枚の鋼板2,2・・が重合する部分で各鋼板2,2の間に粘弾性体3,3・・(ハッチング部分)を介在させて接着したものである。
このうち厚み方向の両外側の鋼板2A,2Aには、長手方向の側縁がそれぞれ厚み方向の外側へ直角に折曲されて一対のフランジ部4,4が形成されており、短手方向の両側では、図2に示すように、上下に位置する鋼板2A,2Aのフランジ部4,4間に跨がって補強板5,5が、ボルト6及びナット7によって固定されている。3枚の鋼板2A,2A・・の端部には、ボルト固定用の透孔8,8・・が形成されている。
13は、鋼板2Aを外側から貫通してスペーサ12に螺合される取付ネジで、これによって各スペーサ12は鋼板2Aに固定され、鋼板2Bとの間は、互いに面方向へ摺動可能となっている。
ここで、粘弾性体3のない制震ダンパー1の端部では、鋼板2A,2Bの間にスペーサ12が設けられているので、圧縮力が加わる際に厚み方向の曲げ力に対抗でき、座屈が防止される。また、スペーサ12があっても鋼板2Bとの間では摺動を許容するため、鋼板2A,2Bの相対変位に影響を与えることはない。
また、最外に位置する鋼板2Aは、長手方向の側縁がそれぞれ厚み方向の外側へ折曲されて一対のフランジ部4,4を有し、鋼板2A,2A同士がフランジ部4,4間に跨がって固定される補強板5によって連結されるようにしているので、座屈防止効果の向上が期待できる。
また、矩形の板体に限らず、長円や多角形等の他の形状としてもよいし、一つではなく複数に分割してもよい。
さらに、鋼板は5枚に限らず、奇数枚であれば3枚でもよいし7枚以上であってもよい。フランジ部や補強板を省略することもできる。加えて、取付部も内側の鋼板に限らず、最外の鋼板に設けることもできる。
そして、スペーサは別体のものを鋼板に固定する構造に限らず、鋼板自体にプレス加工等によって凸部を形成し、その凸部を鋼板に対して摺動させる構造とする、すなわち一体型のスペーサを採用することも可能である。
このリブ14は、座屈強度を上げるためにできるだけ長く形成するのが望ましいが、ここでは透孔11の形成後にリブ14をプレス成形する工程としているため、プレス時の透孔11の歪みを防止するために左右のリブ14,14を中央よりも短くして左右の透孔11,11との距離を確保している。
さらに、図7に示すように、鋼板2Aのフランジ部4,4と補強板5との間でボルト6の貫通部分には、補強板5の長手方向の略全長に亘って帯状のスペーサ板16,16が設けられている。このスペーサ板16により、粘弾性体3と補強板5との間に隙間を確保して、粘弾性体3に補強板5が接触してせん断変形に干渉することを防止している。
そして、スペーサを鋼板2A,2Bに一体成形されたリブ14,15としたことで、スペーサを低コストで付与可能となる。
さらに、制震ダンパーの両端とも一体型のスペーサとする必要はなく、一端側では図1のような別体型を、他端側では図5のような一体型を採用する等、両者の組み合わせは可能である。勿論一端側にのみ一体型のスペーサを設けてもよい。
そして、粘弾性体と補強板との間の隙間の設定は、図7のようなスペーサ板を用いる場合に限らず、フランジ部と補強板との接合面の何れか一方に一体型のリブ等を形成することで隙間が生じるようにしてもよいし、補強板の内面に凹部(逃がし部)を設けて粘弾性体と非接触となるようにしてもよい。また、補強板を平板でなく、フランジ部への取付部分の間(粘弾性体との対向部分)を外側へ膨らむ凸状に折曲形成することで粘弾性体と非接触となるようにすることもできる。
また、フレーム内で一方の対角線上にのみ配設する場合に限らず、フレームに十分な厚みがあれば、他方の対角線上にも制震ダンパーを配設してX状とすることもできるし、いわゆるKブレース状に配設することもできる。
Claims (2)
- 長手方向へ互い違いにずれた状態で厚み方向に重合される奇数枚の鋼板と、その鋼板の重合部分で各鋼板間に接着状態で介在される粘弾性体とを含んでなり、
長手方向の少なくとも一方の端部における前記鋼板に、厚み方向に隣接する他の前記鋼板に当接して両鋼板間の間隔を保持すると共に、前記他の前記鋼板の相対移動を許容するスペーサを設けた制震ダンパーであって、
最外に位置する前記鋼板は、長手方向の側縁がそれぞれ厚み方向の外側へ折曲されて一対のフランジ部を有し、前記最外の前記鋼板同士が、外部のフレーム内への取り付け側端部を除いた前記フランジ部間に跨がって前記鋼板の厚み方向と直交する方向で前記フランジ部に固定される補強板によって連結されており、
前記最外の鋼板を除く前記鋼板の端部には、前記フレーム内への取付部が、前記補強板よりも前記鋼板の長手方向外側へ突出する長さで一体形成されて、
前記スペーサは、少なくとも一方の端部の前記取付部において、前記鋼板の短手方向で前記補強板の端部とオーバーラップする位置で前記鋼板に一体成形されて前記補強板の端部よりも前記鋼板の長手方向外側へ突出するリブであることを特徴とする制震ダンパー。 - 前記補強板と前記粘弾性体との間に隙間が設けられることを特徴とする請求項1に記載の制震ダンパー。
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