JP6312815B2 - セルロースエステル組成物及びその製造方法 - Google Patents
セルロースエステル組成物及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6312815B2 JP6312815B2 JP2016514669A JP2016514669A JP6312815B2 JP 6312815 B2 JP6312815 B2 JP 6312815B2 JP 2016514669 A JP2016514669 A JP 2016514669A JP 2016514669 A JP2016514669 A JP 2016514669A JP 6312815 B2 JP6312815 B2 JP 6312815B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cellulose
- fatty acid
- solvent
- carbon atoms
- cellulose acetate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08B—POLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
- C08B3/00—Preparation of cellulose esters of organic acids
- C08B3/16—Preparation of mixed organic cellulose esters, e.g. cellulose aceto-formate or cellulose aceto-propionate
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08B—POLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
- C08B3/00—Preparation of cellulose esters of organic acids
- C08B3/22—Post-esterification treatments, including purification
- C08B3/26—Isolation of the cellulose ester
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08B—POLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
- C08B3/00—Preparation of cellulose esters of organic acids
- C08B3/22—Post-esterification treatments, including purification
- C08B3/26—Isolation of the cellulose ester
- C08B3/28—Isolation of the cellulose ester by precipitation
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L1/00—Compositions of cellulose, modified cellulose or cellulose derivatives
- C08L1/08—Cellulose derivatives
- C08L1/10—Esters of organic acids, i.e. acylates
- C08L1/14—Mixed esters, e.g. cellulose acetate-butyrate
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B5/00—Optical elements other than lenses
- G02B5/30—Polarising elements
Description
本発明の他の目的は、上記特性に加えて、さらに色相に優れたフィルムを得ることができるセルロースエステル組成物と、その効率のよい製造方法を提供することにある。
(1)セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基で置換されているセルロース混合脂肪酸エステルを含み、前記炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基に対応する飽和脂肪酸の含有量が前記セルロース混合脂肪酸エステルに対して0.1重量%未満であることを特徴とするセルロースエステル組成物。
(2)前記飽和脂肪族アシル基が炭素数12〜26の飽和脂肪族アシル基である上記(1)記載のセルロースエステル組成物。
(3)前記飽和脂肪族アシル基が炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基である上記(1)記載のセルロースエステル組成物。
(4)前記セルロース混合脂肪酸エステルがセルロースアセテートステアレートである上記(1)記載のセルロースエステル組成物。
(5)光学フィルム用である上記(1)〜(4)の何れかに記載のセルロースエステル組成物。
(6)上記(1)〜(4)の何れかに記載のセルロースエステル組成物を製造する方法であって、セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基で置換されているセルロース混合脂肪酸エステルの粗製品を洗浄溶媒とともに加熱する工程、及び、セルロース混合脂肪酸エステルと前記洗浄溶媒とを分離する工程を含むセルロースエステル組成物の製造方法。
(7)前記洗浄溶媒として、SP値が16〜17.5MPa1/2の溶媒を用いる上記(6)記載のセルロースエステル組成物の製造方法。
(8)前記洗浄溶媒として、(i)脂環式炭化水素、(ii)飽和脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素との混合溶媒、(iii)飽和脂肪族炭化水素と炭素数3〜6のケトンとの混合溶媒からなる群より選択された少なくとも1種の溶媒を用いる上記(6)記載のセルロースエステル組成物の製造方法。
(9)上記(1)〜(4)の何れかに記載のセルロースエステル組成物を製造する方法であって、セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基で置換されているセルロース混合脂肪酸エステルの粗製品を良溶媒に溶解させる工程、前記工程で得られた溶液を冷却及び/又は濃縮することによりセルロース混合脂肪酸エステルを沈殿させる工程、及び、沈殿したセルロース混合脂肪酸エステルと前記良溶媒とを分離する工程を含むセルロースエステル組成物の製造方法。
(10)前記良溶媒として、SP値が22〜23.5MPa1/2の溶媒を用いる上記(9)記載のセルロースエステル組成物の製造方法。
(11)前記良溶媒として、(i)炭素数3〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコール、(ii)芳香族炭化水素と炭素数2〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコールとの混合溶媒、(iii)炭素数3〜6のケトンと炭素数2〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコールとの混合溶媒、(iv)飽和脂肪族炭化水素と炭素数2〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコールとの混合溶媒からなる群より選択された少なくとも1種の溶媒を用いる請求項9記載のセルロースエステル組成物の製造方法。
本発明のセルロースエステル組成物は、セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基で置換されているセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートC6-26飽和脂肪族アシレート)(以下、単に「セルロース混合脂肪酸エステル」という場合がある)を含み、前記炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基に対応する飽和脂肪酸(炭素数6〜26の飽和脂肪酸)の含有量が前記セルロース混合脂肪酸エステルに対して0.1重量%未満である。このような長鎖飽和脂肪酸含有量の極めて少ないセルロースアセテート長鎖脂肪酸エステル組成物を製膜してフィルム化すると、表面に粉ふき等がみられず、また着色の少ない色相に優れたフィルムを得ることができる。
ηrel=t/t0
[η]=(ln ηrel)/c
DP=[η]/(6×10-4)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロース混合脂肪酸エステル濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平均重合度を示す)。
<方法A>
上記本発明のセルロースエステル組成物は、例えば、セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基で置換されているセルロース混合脂肪酸エステルの粗製品(粗生成物)を洗浄溶媒とともに加熱する工程、及び、前記工程後、セルロース混合脂肪酸エステルと前記洗浄溶媒とを分離する工程を経ることにより製造できる。以下、この方法を「方法A」と称する場合がある。
SPmix=SP1×v1+SP2×v2+SP3×v3+・・・+SPn×vn (1)
上記本発明のセルロースエステル組成物は、また、前記セルロース混合脂肪酸エステルの粗製品(粗生成物)を良溶媒に溶解させる工程、前記工程で得られた溶液を冷却及び/又は濃縮することによりセルロース混合脂肪酸エステルを沈殿させる工程、及び、沈殿したセルロース混合脂肪酸エステルと前記良溶媒とを分離する工程を経ることにより製造することもできる。以下、この方法を「方法B」と称する場合がある。なお、「沈殿」には、再沈殿、晶析、再結晶も含まれる。
攪拌機、冷却管を備えた3L丸底フラスコに、ピリジン1600gを入れ、攪拌を開始した。(株)ダイセル製の酢酸セルロース(商品名「L−50」、アセチル置換度2.44;105℃で2時間乾燥し、水分量を0.5重量%以下としたもの)を275g(1.04mol)加え、シリコーン油浴で60℃まで昇温し、溶解するまで攪拌した。攪拌を継続しながら、ステアリン酸クロリド[東京化成工業(株)製]360g(1.19mol)を滴下ロートから60分かけて滴下した後、80℃に昇温し、4時間攪拌を継続した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、攪拌しながらメタノール10kgを加え、沈殿を形成させた。沈殿物を吸引ろ過により集め、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキにシクロヘキサン(洗浄溶媒)(SP値:16.8MPa1/2)5200gを加え、60℃で1時間攪拌することにより洗浄し、脱液した。このシクロヘキサンによる洗浄操作をさらに3回繰り返した後、エタノール、水の順番で溶媒置換を行った。80℃の熱風乾燥機で15時間乾燥させ、白色〜薄黄色の固体として、セルロースアセテートステアレート370gを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1において、洗浄溶媒であるシクロヘキサンをヘキサン−トルエン=1:1(重量比)の混合溶媒(SP値:16.3MPa1/2)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1において、洗浄溶媒であるシクロヘキサンをヘキサン−アセトン=3:1(重量比)の混合溶媒(SP値:16.0MPa1/2)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキにトルエン−イソプロピルアルコール=1:5(重量比)の混合溶媒(良溶媒)(SP値:22.7MPa1/2)5200gを加え、70℃で溶解するまで攪拌した。30℃まで冷却し、析出してきた固形分を吸引ろ過により集めた。この溶解−再沈殿をさらに3回繰り返した後、エタノール、水の順番で溶媒置換を行った。80℃の熱風乾燥機で15時間乾燥させ、白色〜薄黄色の固体として、セルロースアセテートステアレート370gを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例4において、良溶媒であるトルエン−イソプロピルアルコール=1:5(重量比)の混合溶媒をアセトン:イソプロピルアルコール=1:10(重量比)の混合溶媒(SP値:23.2MPa1/2)に変更した以外は実施例4と同様の操作を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1において、原料の酢酸セルロースをアセチル置換度2.56の酢酸セルロース280g(1.04mol)に変更し、ステアリン酸クロリドの使用量を285g(0.94mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを用い、実施例1と同様の洗浄操作を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は200であった。
実施例1において、原料の酢酸セルロースをアセチル置換度2.24の酢酸セルロース267g(1.04mol)に変更し、ステアリン酸クロリドの使用量を476g(1.57mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを用い、実施例1と同様の洗浄操作を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は160であった。
実施例1において、原料の酢酸セルロースをアセチル置換度1.75の酢酸セルロース245g(1.04mol)に変更し、ステアリン酸クロリドの使用量を765g(2.52mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキにアセトン:イソプロピルアルコール=1:10(重量比)の混合溶媒(良溶媒)(SP値:23.2MPa1/2)5200gを加え、70℃で溶解するまで攪拌した。30℃まで冷却し、析出してきた固形分を吸引ろ過により集めた。この溶解−再沈殿をさらに3回繰り返した後、エタノール、水の順番で溶媒置換を行った。80℃の熱風乾燥機で15時間乾燥させ、白色〜薄黄色の固体として、セルロースアセテートステアレート370gを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は120であった。
実施例1において、原料の酢酸セルロースをアセチル置換度0.85の酢酸セルロース206g(1.04mol)に変更し、ピリジン1600gをピリジン1000gとN,N−ジメチルアセトアミド600gの混合溶媒に変更した。また、ステアリン酸クロリドを1300g(4.29mol)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキにヘキサン:エタノール=1:2(重量比)の混合溶媒(良溶媒)(SP値:22.1MPa1/2)5200gを加え、70℃で溶解するまで攪拌した。30℃まで冷却し、析出してきた固形分を吸引ろ過により集めた。この溶解−再沈殿をさらに3回繰り返した後、エタノール、水の順番で溶媒置換を行った。80℃の熱風乾燥機で15時間乾燥させ、白色〜薄黄色の固体として、セルロースアセテートステアレート370gを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は90であった。
実施例1において、原料の酢酸セルロースをアセチル置換度2.24の酢酸セルロース267g(1.04mol)に変更し、ステアリン酸クロライドの使用量を141g(0.466mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを用い、実施例1と同様の洗浄操作を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は160であった。
実施例1において、原料の酢酸セルロースをアセチル置換度2.24の酢酸セルロース267g(1.04mol)に変更し、ステアリン酸クロライドの使用量を247g(0.815mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを用い、実施例1と同様の洗浄操作を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は160であった。
実施例1において、ステアリン酸クロリドをラウリン酸クロリド(東京化成工業(株))260g(1.19mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートラウレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを用い、実施例3と同様の洗浄操作を行い、セルロースアセテートラウレートを得た。得られたセルロースアセテートラウレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1において、ステアリン酸クロリドをミリスチン酸クロリド(東京化成工業(株))294g(1.19mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートミリスチレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを用い、実施例3と同様の洗浄操作を行い、セルロースアセテートミリスチレートを得た。得られたセルロースアセテートミリスチレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1において、ステアリン酸クロリドをパルミチン酸クロリド (東京化成工業(株))327g(1.19mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートパルミテートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを用い、実施例3と同様の洗浄操作を行い、セルロースアセテートパルミテートを得た。得られたセルロースアセテートパルミテートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキにエタノール(SP値:26.5MPa1/2)5200gを加え、60℃で1時間攪拌することにより洗浄し、脱液した。エタノール洗浄操作をさらに4回繰り返した。水で溶媒置換を行った後、80℃で15時間乾燥させ、薄黄色の固体としてセルロースアセテートステアレートを370g得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
特開2008−248208号公報の合成例10の再現実験を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。洗浄用メタノール(SP値:29.6MPa1/2)の使用量は、洗浄1回当たり7500gとした。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は150であった。
実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキに純水6000gを加え60℃で1時間攪拌して洗浄し、吸引ろ過により脱液した。この純水洗浄操作を2回繰り返した。続いて、メタノール(SP値:29.6MPa1/2)で24時間ソックスレー抽出を行った後、60℃で10時間、真空乾燥を行い。セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
特開2006−249221号公報のセルロースエステルc6の合成例の再現実験を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は160であった。
特表2009−507926号公報の例7(実施例)の再現実験を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は80であった。
特表2009−507926号公報の例23(実施例)の再現実験を行い、セルロースアセテートステアレートを得た。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は120であった。
比較例1で得られたステアリン酸を1500ppm含有するセルロースアセテートステアレートを、特許第4853089号明細書に記載の方法で洗浄した。
比較例1から得られたセルロースアセテートステアレート100gを500gの水、コータミンD86P(花王(株)製)0.8gとレオドールSP−S10V(花王(株)製)0.2gで洗浄したところ、ステアリン酸含有量は1200ppmとなった。。得られたセルロースアセテートステアレートの粘度平均重合度は180であった。
実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。得られたウエットケーキに酢酸エチル(SP値:18.1MPa1/2)5200gを加え、50℃に加熱攪拌すると均一なドープとなり、50℃においてセルロースアセテートステアレートを洗浄溶媒から分離できなかった。
実施例1と同様にして、粗セルロースアセテートステアレートのウエットケーキを得た。得られたウエットケーキにトルエン(SP値:18.2MPa1/2)5200gを加え、50℃に加熱攪拌するとゲル状態となり、50℃においてセルロースアセテートステアレートを洗浄溶媒から分離できなかった。これを室温まで冷却してもゲル状態であり、回収することも不可能であった。
実施例及び比較例で得られたセルロース混合脂肪酸エステルについて、以下の分析、評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1において、「置換基1」の欄には、第1の置換基(置換基1;アセチル基)に対応する脂肪酸を、「置換基2」の欄には、第2の置換基(置換基2;炭素数6〜26の飽和脂肪族アシル基)に対応する脂肪酸を記載した。
一般的なソルベントキャスト法でフィルムを作製した。実施例及び比較例で得られた各セルロース混合脂肪酸エステル1重量部を、81重量部の塩化メチレンと9重量部のメタノールの混合溶媒に溶解させ、ドープを調製した。ガラス板上にドープを流し、バーコーターで流延した。40℃で30分乾燥させ、ガラス板からフィルムを剥離し、80℃でさらに30分乾燥させ、厚さ25μmのフィルムを得た。
装置:JEOL JNM ECA−500
温度:30℃
溶媒:CDCl3
試料濃度:0.8wt%
計算:
脂肪族エステル置換度(DSfa)=7γ/mαまたは7ε/3α
アセチル置換度(DSac)=7(β−2×DSfa)/3α
α:5.5〜3.2ppmの積分値
β:2.5〜1.75ppmの積分値
γ:1.4〜1.0ppmの積分値
ε:0.97〜0.79ppmの積分値
m:長鎖脂肪酸CnH2n+1CO2Hにおいて、m=2(n−3)
ASTMD817−96に基づき、実施例及び比較例で得られた各セルロース混合脂肪酸エステルをアルカリでけん化し、遊離酸量を滴定することにより、酢酸と脂肪酸のトータル置換度を求めることができる。さらに、特開2006−249221号公報に記載の方法で、脂肪酸と酢酸比率を求めることができる。この方法でも、残留脂肪酸とセルロース結合脂肪酸を区別することはできない。
実施例及び比較例で得られた各セルロース混合脂肪酸エステル5gをシクロヘキサン100mLで8時間ソックスレー抽出を行った。抽出中は、ソックスレー抽出器の固体試料部分を50℃に加温した状態を保った。抽出後、シクロヘキサンを留去し、シクロヘキサンで10mLにメスアップした。これをガスクロマトグラフィーにより分析し、飽和脂肪酸濃度を求めた。なお、上述の方法ですべての飽和脂肪酸が抽出されることは、以下に記載の方法で事前に確認した。すなわち、抽出を開始して2時間おきに抽出溶媒を新しいシクロヘキサンに取り替え、抽出液をガスクロマトグラフィーにより分析し、6時間経過以降には、飽和脂肪酸が検出されないことを確認した。
装置:Hewlett−Packard製 HP6890
カラム:InertCap FFAP (内径0.25mm、膜厚0.25μm、長さ15m)
カラム温度:100℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温し、250℃で30分保持した。
キャリアガス:ヘリウム 50kPa
インジェクション:温度 250℃、スプリット比1:50
検出器:FID、温度250℃
注入量:0.5μL
上記製膜方法で得られたフィルム試料を幅手方向50mm×長手方向150mmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの恒温恒湿槽に24時間保管した後、サンプルを40℃、90%RHの恒温恒湿槽に保管した。2日後、14日後の時点での、フィルムの表面を観察し、以下の基準に従ってブリードアウト性を評価した。
◎:14日後でもフィルム表面に粉体が発生していない
○:2日後でもフィルム表面に粉体が発生していない
△:2日後に、フィルム表面に若干の粉体がみられる
×:2日後に、フィルム表面に多量の粉体が見られる
上記製膜方法で得られたフィルム試料について、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に記載の方法で試験を行った。条件は、40℃、90%RHである。
実施例及び比較例で得られた各セルロース混合脂肪酸エステルについて、以下に記載の装置、条件で測定を行った。
測定装置 :示差走査熱量計(「DSC−Q2000」、ティー・エイ・インスツルメント社製)
雰 囲 気 :窒素
温度範囲 :0℃〜250℃(1st)、0℃〜280℃(2nd)
昇温速度 :20℃/min
色相をJIS K7373を参考に、以下に記載の方法で測定した。
実施例及び比較例で得られた各セルロース混合脂肪酸エステルの試料をジクロロメタン/メタノール=9/1(重量比)混合溶液に溶解させ、5重量%溶液を調製した。この溶液をガラスセル(45L×45W×10D)に流し込み、黄色度(YI)を測定した。
測定装置:日本電色工業社製、「Spectro Color Meter SQ2000」
Claims (7)
- セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基で置換されており、アセチル基の置換度が0.8〜2.7であり、アセチル基と炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基の総置換度が2.5以上であるセルロース混合脂肪酸エステルを含み、前記炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基に対応する飽和脂肪酸の含有量が前記セルロース混合脂肪酸エステルに対して0.1重量%未満であることを特徴とするセルロースエステル組成物。
- 前記セルロース混合脂肪酸エステルがセルロースアセテートステアレートである請求項1記載のセルロースエステル組成物。
- 光学フィルム用である請求項1又は2に記載のセルロースエステル組成物。
- 請求項1又は2に記載のセルロースエステル組成物を製造する方法であって、セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基で置換されており、アセチル基の置換度が0.8〜2.7であり、アセチル基と炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基の総置換度が2.5以上であるセルロース混合脂肪酸エステルの粗製品をHansen法で計算されたSP値が16〜17.5MPa 1/2 の洗浄溶媒とともに加熱する工程、及び、セルロース混合脂肪酸エステルと前記洗浄溶媒とを分離する工程を含むセルロースエステル組成物の製造方法。
- 前記洗浄溶媒として、(i)脂環式炭化水素、(ii)飽和脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素との混合溶媒、(iii)飽和脂肪族炭化水素と炭素数3〜6のケトンとの混合溶媒からなる群より選択された少なくとも1種の溶媒を用いる請求項4記載のセルロースエステル組成物の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のセルロースエステル組成物を製造する方法であって、セルロースの水酸基の水素原子がアセチル基及び炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基で置換されており、アセチル基の置換度が0.8〜2.7であり、アセチル基と炭素数12〜18の飽和脂肪族アシル基の総置換度が2.5以上であるセルロース混合脂肪酸エステルの粗製品をHansen法で計算されたSP値が22〜23.5MPa 1/2 の良溶媒に溶解させる工程、前記工程で得られた溶液を冷却及び/又は濃縮することによりセルロース混合脂肪酸エステルを沈殿させる工程、及び、沈殿したセルロース混合脂肪酸エステルと前記良溶媒とを分離する工程を含むセルロースエステル組成物の製造方法。
- 前記良溶媒として、(i)炭素数3〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコール、(ii)芳香族炭化水素と炭素数2〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコールとの混合溶媒、(iii)炭素数3〜6のケトンと炭素数2〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコールとの混合溶媒、(iv)飽和脂肪族炭化水素と炭素数2〜6の脂肪族又は脂環式1価アルコールとの混合溶媒からなる群より選択された少なくとも1種の溶媒を用いる請求項6記載のセルロースエステル組成物の製造方法。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2014/061755 WO2015162787A1 (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | セルロースエステル組成物及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2015162787A1 JPWO2015162787A1 (ja) | 2017-04-13 |
JP6312815B2 true JP6312815B2 (ja) | 2018-04-18 |
Family
ID=54331974
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016514669A Active JP6312815B2 (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | セルロースエステル組成物及びその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6312815B2 (ja) |
WO (1) | WO2015162787A1 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017115634A1 (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 日本電気株式会社 | セルロース系樹脂、成形用材料、成形体及びセルロース系樹脂の製造方法 |
JP2017203051A (ja) * | 2016-05-09 | 2017-11-16 | 株式会社ダイセル | 混合脂肪酸セルロースエステル及び混合脂肪酸セルロースエステルの製造方法 |
JP6229773B1 (ja) * | 2016-08-12 | 2017-11-15 | 富士ゼロックス株式会社 | セルロースアシレート、樹脂組成物、樹脂成形体、及びセルロースアシレートの製造方法 |
US11572416B2 (en) | 2017-06-01 | 2023-02-07 | Nec Corporation | Cellulose resin, molding material, molded body, and method for producing cellulose resin |
WO2019049196A1 (ja) * | 2017-09-05 | 2019-03-14 | 株式会社ダイセル | 混合脂肪酸セルロースエステル及び混合脂肪酸セルロースエステルの製造方法 |
WO2019167641A1 (ja) * | 2018-03-01 | 2019-09-06 | 日本電気株式会社 | セルロース系樹脂、成形用材料及び成形体、並びにセルロース系樹脂の製造方法 |
CN116096824A (zh) | 2020-09-24 | 2023-05-09 | 大金工业株式会社 | 改性天然物及其用途 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3942668B2 (ja) * | 1995-03-31 | 2007-07-11 | ダイセル化学工業株式会社 | 成形性の高い酢酸セルロースおよびその製造法 |
JP4687158B2 (ja) * | 2005-03-10 | 2011-05-25 | コニカミノルタオプト株式会社 | セルロースエステルフィルムの製造方法 |
WO2007072654A1 (ja) * | 2005-12-21 | 2007-06-28 | Konica Minolta Opto, Inc. | 組成物、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 |
US20090142515A1 (en) * | 2005-12-21 | 2009-06-04 | Kazuaki Nakamura | Cellulose Ester Film, Process for Producing Cellulose Ester Film, Optical Film, Polarization Plate and Liquid Crystal Display Unit |
JP2009270073A (ja) * | 2008-05-12 | 2009-11-19 | Daicel Chem Ind Ltd | 高置換度セルロース混合脂肪酸エステルの製造方法 |
JP2012025896A (ja) * | 2010-07-27 | 2012-02-09 | Konica Minolta Opto Inc | セルロースエステルとその製造方法、及び光学フィルム |
JP5500042B2 (ja) * | 2010-10-26 | 2014-05-21 | コニカミノルタ株式会社 | セルロースエステルの製造方法 |
-
2014
- 2014-04-25 WO PCT/JP2014/061755 patent/WO2015162787A1/ja active Application Filing
- 2014-04-25 JP JP2016514669A patent/JP6312815B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2015162787A1 (ja) | 2015-10-29 |
JPWO2015162787A1 (ja) | 2017-04-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6312815B2 (ja) | セルロースエステル組成物及びその製造方法 | |
Tedeschi et al. | Thermoplastic cellulose acetate oleate films with high barrier properties and ductile behaviour | |
KR101357516B1 (ko) | 6위치 고아세틸화 셀룰로오스 디아세테이트 및 그의 제조 방법 | |
EP2401317B1 (fr) | Procédé de production de stéréocomplexes plla/pdla | |
JP4035181B2 (ja) | セルロースの混合脂肪酸エステル、その溶液およびセルロースの混合脂肪酸エステルフイルム | |
JP3978883B2 (ja) | セルロースエステルフィルムの製造方法およびセルロースエステルフィルム | |
Kulomaa et al. | Cellulose fatty acid esters as sustainable film materials–effect of side chain structure on barrier and mechanical properties | |
JP6528684B2 (ja) | セルロース誘導体の製造方法、セルロース誘導体、成形用樹脂組成物および成形体 | |
Heredia-Guerrero et al. | Cellulose-polyhydroxylated fatty acid ester-based bioplastics with tuning properties: Acylation via a mixed anhydride system | |
JP2009091542A (ja) | セルロース混合アシレートの製造方法、及び新規なセルロース混合アシレート | |
JP3619592B2 (ja) | セルロースアセテート溶液およびその調製方法 | |
US9670335B2 (en) | Compositions containing tetrahydrofurfuryl and/or alkyl-substituted tetrahydrofurfuryl esters of citric acid | |
JP3942669B2 (ja) | 物理強度に優れたセルロースアセテート、及びその製造法 | |
TW201840523A (zh) | 1,2,4,5-環己烷四羧酸二酐之製造方法 | |
JP2019044102A (ja) | 熱成形用セルロースアセテート組成物及び成形体 | |
TWI712618B (zh) | 乙酸纖維素、乙酸纖維素組成物、成形體及膜 | |
JP3712215B2 (ja) | セルロースアセテート溶液、その調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法 | |
JP3749746B2 (ja) | 均質な酢酸セルロース | |
JP5073248B2 (ja) | セルロースアセテート及びその製造方法 | |
JP3619591B2 (ja) | セルロースアセテートフイルムの製造方法 | |
JP3691637B2 (ja) | セルロースアセテート溶液の調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法 | |
JP3474680B2 (ja) | セルロースアセテートフィルムの製造方法 | |
JP2004035814A (ja) | セルロースエステル組成物の製造方法 | |
JP7138940B2 (ja) | セルロースエステル樹脂用改質剤、セルロースエステル樹脂組成物及び光学用フィルム | |
JP7084657B2 (ja) | リグノセルロース系バイオマス由来の複合材料及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170315 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171031 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20171226 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180227 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180320 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6312815 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |