JP2009091542A - セルロース混合アシレートの製造方法、及び新規なセルロース混合アシレート - Google Patents
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Abstract
【課題】 種々の特性、特に光学的特性に優れたセルロース混合アシレートを工業的に効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】 本発明のセルロース混合アシレートの製造方法では、アセチル基総置換度が1.5〜2.9であるセルロースアセテートに、反応性の異なる複数のアシル基を導入して、アシル基総置換度が2.7〜3.0であるセルロース混合アシレートを製造する方法であって、例えば、原料セルロースアセテートに、反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸との混合酸無水物と、前記第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させて、グルコース骨格の6位に前記反応性が相対的に高いアシル基を優先して導入する。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明のセルロース混合アシレートの製造方法では、アセチル基総置換度が1.5〜2.9であるセルロースアセテートに、反応性の異なる複数のアシル基を導入して、アシル基総置換度が2.7〜3.0であるセルロース混合アシレートを製造する方法であって、例えば、原料セルロースアセテートに、反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸との混合酸無水物と、前記第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させて、グルコース骨格の6位に前記反応性が相対的に高いアシル基を優先して導入する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、吸着剤、フィルム、光学異性体分離剤等の原材料、特に写真材料や光学材料等として有用なアシル基総置換度の高いセルロース混合アシレートの製造方法、及び新規なセルロース混合アシレートに関する。
セルロースの水酸基に複数のアシル基(例えば、アセチル基とアセチル基以外のアシル基)が導入されているセルロース混合アシレートが知られている。例えば、特開2002−322201号公報には、セルロースの水酸基の水素原子が、置換もしくは無置換の芳香族アシル基と置換もしくは無置換の脂肪族アシル基で置換されているセルロース混合酸エステル化合物が開示されており、このセルロース混合酸エステル化合物によれば、光学的等方性、透明性、耐水性、寸度安定性に優れたフィルムを形成可能であることが記載されている。この文献の実施例ではセルロースベンゾエートトリフルオロアセテート等が合成されている。
また、特開2006−328298号公報には、セルロースエステルを主とする組成物を溶融して製膜した光学フィルムであって、該セルロースエステルが下記式(1)及び(2)を満たす光学フィルムが開示されている。
式(1) 2.4≦X+Y≦2.9
式(2) 0.3≦Y≦1.5
(式中、Xは酢酸による置換度を表し、Yは芳香族カルボン酸による置換度を表す)
この文献の実施例では、セルロースを原料とし、これに2種のカルボン酸を反応させてセルロースアセテートベンゾエート等のセルロース混合アシレートを合成している。しかし、この反応は不均一条件下での反応であり、均一に反応が進行しない。また、セルロース表面で反応性の高い方のカルボン酸が反応し、その後、反応性の低い方のカルボン酸が反応すると考えられる。さらに、生成するセルロースエステル誘導体は、アセチル基リッチな誘導体、ベンゾイル基リッチな誘導体等、分子間のばらつきが大きい組成物となる。その結果、生成物間で溶媒に対する溶解度が異なり、相分離を起こしたり、ドープとした場合に濁りを生じる、濾過がしにくい、濾過ができない、分子間置換度分布が大きくなる等の不利な特徴を持つ組成物が得られる。
式(1) 2.4≦X+Y≦2.9
式(2) 0.3≦Y≦1.5
(式中、Xは酢酸による置換度を表し、Yは芳香族カルボン酸による置換度を表す)
この文献の実施例では、セルロースを原料とし、これに2種のカルボン酸を反応させてセルロースアセテートベンゾエート等のセルロース混合アシレートを合成している。しかし、この反応は不均一条件下での反応であり、均一に反応が進行しない。また、セルロース表面で反応性の高い方のカルボン酸が反応し、その後、反応性の低い方のカルボン酸が反応すると考えられる。さらに、生成するセルロースエステル誘導体は、アセチル基リッチな誘導体、ベンゾイル基リッチな誘導体等、分子間のばらつきが大きい組成物となる。その結果、生成物間で溶媒に対する溶解度が異なり、相分離を起こしたり、ドープとした場合に濁りを生じる、濾過がしにくい、濾過ができない、分子間置換度分布が大きくなる等の不利な特徴を持つ組成物が得られる。
特開2007−199392号公報および特開2007−199391号公報には、特定の光学特性を有するセルロースアシレートフィルムが開示されている。しかし、これらの文献では、グルコース骨格の6位のベンゾイル基置換度が高いものしか得られておらず、2位及び3位に選択的にベンゾイル基を導入したものは得られていない。
セルロースの水酸基に複数のアシル基が導入されているセルロース混合アシレートの場合、それぞれのアシル基の種類や置換度、置換度分布等により物性、特に光学的特性が大きく変化しうる。よって、それらを調整することにより種々の有用な用途に利用することが可能となる。
したがって、本発明の目的は種々の特性、特に光学的特性に優れたセルロース混合アシレートを工業的に効率よく製造する方法を提供することにある。本発明の他の目的は、種々の特性、特に光学的特性に優れた新規なセルロース混合アシレートを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、アセチル基総置換度が1.5〜2.9であるセルロースアセテートに、(i)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸との混合酸無水物と、前記第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させるか、(ii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とを反応させるか、又は(iii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させた後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させると、アシル基総置換度が高くアセチル基総置換度が1.5〜2.9であるセルロース混合アシレートであって、前記第1のカルボン酸に対応するアシル基がグルコピラノース骨格の6位に選択的に導入され、前記第2のカルボン酸に対応するアシル基がグルコピラノース骨格の2位及び3位に選択的に導入されているセルロース混合アシレートが効率よく得られること、及びこのようなセルロース混合アシレートは光学的特性に優れることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、アセチル基総置換度が1.5〜2.9であるセルロースアセテートに、反応性の異なる複数のアシル基を導入して、アシル基総置換度が2.7〜3.0であるセルロース混合アシレートを製造する方法であって、原料セルロースアセテートに、(i)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸との混合酸無水物と、前記第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させるか、(ii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とを反応させるか、又は(iii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させた後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させて、グルコース骨格の6位に前記反応性が相対的に高いアシル基を優先して導入することを特徴とするセルロース混合アシレートの製造方法を提供する。
この製造方法において、第1のカルボン酸が飽和脂肪族カルボン酸であり、第2のカルボン酸が芳香族カルボン酸であるのが好ましい。第1のカルボン酸としては、例えば、炭素数2〜4の飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。
前記(i)において、原料セルロースアセテートに、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.95〜1.2モルと、第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させてもよい。
(ii)において、原料セルロースアセテートに、第1のカルボン酸を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.95〜1.2モルと、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とを反応させてもよい。
また、(iii)の前段において、原料セルロースアセテートに、第1のカルボン酸の酸無水物誘導体を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.48〜0.6モル添加して反応させるか、又は第1のカルボン酸の酸ハライド誘導体を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.95〜1.2モル添加して反応させた後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、後段において、第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させてもよい。
本発明は、また、アシル基総置換度が2.7〜3.0、アセチル基総置換度が1.5〜2.9、アセチル基よりも反応性の低いアシル基の総置換度が0.1〜1.5であって、2位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度と3位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の和が、6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の2倍よりも大きい(但し、2位、3位及び6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基が何れも脂肪族アシル基である場合には、2位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度と3位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の和が、6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の1.3倍よりも大きい)ことを特徴とするセルロース混合アシレートを提供する。
このセルロース混合アシレートにおいて、アセチル基よりも反応性の低いアシル基は芳香族アシル基であってもよい。硫酸根の含有量はセルロース混合アシレートに対して200重量ppm以下であるのが好ましい。
なお、原料として用いるセルロースアセテート及び生成物であるセルロース混合アシレートの各アシル基の総置換度は慣用の方法、例えば1H−NMR法、13C−NMR法などにより測定できる。また、各アシル基の置換度分布(グルコース骨格の2位、3位及び6位の置換度)は、13C−NMR法などの公知の方法により測定できる。測定方法については、手塚(Tezuka, Carbohydr. Res., 273, 83(1995))の方法、及び特開2002−338601号公報を参照できる。
本発明の製造方法によれば、アセチル基総置換度が1.5〜2.9という有機溶媒に溶解しやすいセルロースアセテートを原料として用いるので、均一系でアシル化反応を行うことができるため、セルロースを原料とする場合と比較して反応速度を著しく速めることができるとともに、分子間で置換度が均一なセルロース混合アシレートを効率よく製造できる。また、反応性が相対的に高いアシル基(例えば、アセチル基)をグルコース骨格の6位(最も反応性の高い位置)に高選択的に、また反応性が相対的に低いアシル基(例えば、ベンゾイル基)をグルコース骨格の2,3位に選択的に導入することが可能である。さらに、分子内の水酸基に2種のアシル基を導入するにもかかわらず、反応中間生成物を途中で単離することなく、ワンポットでセルロース混合アシレートを得ることができ、工程を短縮できるとともに、煩雑な操作を省略できる。また、系内にある程度の水分が存在していても該水分含有量に関わりなく、所定量の第1のカルボン酸(例えば、酢酸)に係るアシル化剤を用いて、第1のカルボン酸に対応するアシル基の置換度が所望の値となるセルロース混合アシレートを得ることができる。これは、第1のカルボン酸に係るアシル化剤が系内の水分により加水分解されてカルボン酸となっても、このカルボン酸が第2のカルボン酸(例えば、安息香酸)に係るアシル化剤と反応して混合酸無水物が生成し、この混合酸無水物が第1のカルボン酸に係るアシル化剤として作用するためである。また、本発明の製造方法によれば、本発明の新規なセルロース混合アシレートを工業的に効率よく製造することができる。
また、本発明により新規なセルロース混合アシレートが提供される。このセルロース混合アシレートは、種々の特性、特に光学的特性、例えばフィルム化して延伸した場合の配向複屈折や光弾性係数に係る特性に優れる。そのため、光学材料等として好適に使用できる。
[セルロース混合アシレートの製造]
本発明の製造方法は、セルロースアセテートを原料とし、原料中の水酸基に反応性の異なる複数のアシル基を導入するに際し、一方のアシル基をグルコース骨格の6位に優先して導入し、他方のアシル基を主としてグルコース骨格の2位及び3位に導入して、アシル基総置換度数が高く且つ特定のアシル基が特定の位置に選択的に導入されたセルロース混合アシレートを工業的に効率よく製造する方法である。
本発明の製造方法では、アセチル基総置換度が1.5〜2.9であるセルロースアセテートに、反応性の異なる複数のアシル基を導入して、アシル基総置換度が2.7〜3.0であるセルロース混合アシレートを製造するに際し、原料セルロースアセテートに、(i)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸との混合酸無水物と、前記第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させるか、(ii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とを反応させるか、又は(iii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させた後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させて、グルコース骨格の6位に前記反応性が相対的に高いアシル基を優先して導入する。
なお、本明細書において、「反応性が相対的に高いアシル基」とは、2種のアシル基から形成される混酸無水物を水酸基を有するセルロース誘導体(特にセルロースアセテート)と反応させた際に、優先的にグルコピラノース環に導入されるアシル基を言う。
本発明では、原料としてアセチル基総置換度が1.5〜2.9のセルロースアセテートを用いるため、原料が有機溶媒に溶解しやすく、均一系でアシル化反応を行うことができる。そのため、セルロースを原料としてアシル化する場合と比較して、分子間の置換度分布のばらつきを少なくでき、置換度分布の均一なセルロース混合アシレートを得ることができる。原料として用いるセルロースアセテートのアセチル基総置換度は、好ましくは1.7〜2.7、さらに好ましくは1.9〜2.5である。
アシル基には、飽和脂肪族アシル基、芳香族アシル基、不飽和脂肪族アシル基(芳香環を有するものを含む)などが含まれる。アシル基の反応性は、主に電子吸引性及び立体障害性(嵩高さ)により決まる。一般に、電子吸引性の小さいアシル基ほど反応性は高くなるが、嵩高いと反応性は低くなる。代表的なアシル基について反応性の順を示すと、アセチル基>ベンゾイル基、プロピオニル基>ベンゾイル基、ブチリル基>ベンゾイル基、アセチル基>プロピオニル基となる。したがって、本発明によれば、例えば、前記第1のカルボン酸として、酢酸やプロピオン酸などの飽和脂肪族カルボン酸(例えば、炭素数2〜4の飽和脂肪族カルボン酸、特に酢酸)を選択し、前記第2のカルボン酸として、安息香酸などの芳香族カルボン酸を選択することにより、飽和脂肪族アシル基が6位に選択的に導入され、且つ芳香族アシル基が2位及び3位に選択的に導入されたセルロース混合アシレートを効率よく製造することができる。
飽和脂肪族アシル基として、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等の炭素数1〜10程度の飽和脂肪族アシル基などが挙げられる。なお、これらの飽和脂肪族アシル基に対応する飽和脂肪族カルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸等である。
芳香族アシル基における芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。芳香環には置換基を有していてもよい。芳香環の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シリル基、シリルオキシ基、炭素数1〜12のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル基等)、炭素数1〜12のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、ナフチル基等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等)、炭素数1〜20のアシル基(アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等)、炭素数1〜20の置換又は無置換カルバモイル基、炭素数1〜20の置換又は無置換カルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のスルファモイル基、炭素数1〜20のスルファモイルオキシ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスフィニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノアミノ基、炭素数1〜20のウレイド基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)などが挙げられる。
芳香族アシル基の代表的な例として、ベンゾイル基、ナフトイル基、m−メチルベンゾイル基、p−メチルベンゾイル基、m−メトキシベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、3,4,5−トリメトキシベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、m−シアノベンゾイル基、p−シアノベンゾイル基、m−クロロベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、m−フルオロベンゾイル基、p−フルオロベンゾイル基、2,5−ジクロロベンゾイル基、p−アセチルベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、p−ホルミルベンゾイル基、p−t−ブチルベンゾイル基、p−ブトキシベンゾイル基、m−アセトキシベンゾイル基、p−アセトキシベンゾイル基、m−メトキシカルボニルベンゾイル基、p−メトキシカルボニルベンゾイル基、m−ベンジルオキシベンゾイル基、p−ベンジルオキシベンゾイル基、p−シクロヘキシルベンゾイル基、p−メタンスルホニルアミノベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基、m−ニトロベンゾイル基、m−アセトアミノベンゾイル基、p−アセトアミノベンゾイル基、m−ベンゾイルアミノベンゾイル基、p−ベンゾイルアミノベンゾイル基、m−ベンゾイルオキシベンゾイル基、p−ベンゾイルオキシベンゾイル基、m−ベンジルベンゾイル基、p−ベンジルベンゾイル基、m−(N−フェニルカルバモイルオキシ)ベンゾイル基、p−(N−フェニルカルバモイルオキシ)ベンゾイル基、p−(エトキシカルボニルアミノ)ベンゾイル基、p−メチルチオベンゾイル基、p−フェニルチオベンゾイル基、p−ヒドロキシベンゾイル基、p−(4−ピリジル)ベンゾイル基などが挙げられる。これらのなかでも、特にベンゾイル基が好ましい。
不飽和脂肪族アシル基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、シンナモイル基等が挙げられる。これらの不飽和脂肪族アシル基に対応する不飽和脂肪族カルボン酸は、(メタ)アクリル酸、桂皮酸等である。
前記(i)における第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物としては、例えば、酢酸安息香酸混合酸無水物、酢酸m−メチル安息香酸混合酸無水物、酢酸p−メチル安息香酸混合酸無水物、酢酸桂皮酸混合酸無水物、酢酸1−ナフチルカルボン酸混合酸無水物、酢酸2−ナフチルカルボン酸混合酸無水物、プロピオン酸安息香酸混合酸無水物等の飽和脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸との混合酸無水物などが挙げられる。飽和脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸との混合酸無水物においては、一般に、飽和脂肪族カルボン酸が第1のカルボン酸に相当し、芳香族カルボン酸が第2のカルボン酸に相当することが多い。
前記(i)における第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体としては、例えば、無水安息香酸、無水m−メチル安息香酸、無水p−メチル安息香酸、無水桂皮酸、無水1−ナフチルカルボン酸、無水2−ナフチルカルボン酸等の芳香族カルボン酸又は不飽和脂肪族カルボン酸の酸無水物誘導体;安息香酸クロライド、m−メチル安息香酸クロライド、p−メチル安息香酸クロライド、桂皮酸クロライド、1−ナフチルカルボン酸クロライド、2−ナフチルカルボン酸クロライド等の芳香族カルボン酸又は不飽和脂肪族カルボン酸の酸ハライド誘導体などが挙げられる。
前記(i)では、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物は第1のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用する。このアシル化剤は、第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体(これらは第2のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用する)よりも反応性が高い。一方、原料セルロースアセテートのグルコース骨格の2位、3位及び6位の水酸基の反応性は、6位>2位、3位の順である。したがって、まず、6位の水酸基と前記混合酸無水物が反応し、第1のカルボン酸に対応するアシル基が6位に優先的に導入される。そして、残りの水酸基(残りの6位の水酸基、及び2位、3位の水酸基)が第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体と反応し、第2のカルボン酸に対応するアシル基がその位置に導入される。このため、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物の量、及び第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の量を選択することにより、置換度(第1のカルボン酸に対応するアシル基の置換度、第2のカルボン酸に対応するアシル基の置換度、及びアシル基総置換度)、及び置換基分布を制御することが可能となる。
なお、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物の使用量は、その水分によって調整する必要はない。その理由は次の通りである。前記混合酸無水物が水により第1のカルボン酸と第2のカルボン酸とに加水分解されたとしても、系内に第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体をある程度過剰に添加しておけば、加水分解により生成した第1のカルボン酸は第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体と反応して、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物に再生し、第1のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用するからである。したがって、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合にも、水分含有量にかかわらず、所望する導入量に見合う量の混合酸無水物を使用することにより、所望する第1のカルボン酸に対応するアシル基の置換度を有するセルロース混合アシレートを製造することが可能である。
前記(ii)における第1のカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸等の炭素数1〜10程度の飽和脂肪族カルボン酸が挙げられる。また、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体としては、例えば、安息香酸クロライド、m−メチル安息香酸クロライド、p−メチル安息香酸クロライド、桂皮酸クロライド、1−ナフチルカルボン酸クロライド、2−ナフチルカルボン酸クロライド等の芳香族カルボン酸又は不飽和脂肪族カルボン酸の酸ハライド誘導体などが挙げられる。
(ii)において、第1のカルボン酸と、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とが反応すると、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸の混合酸無水物が生成するので、(ii)の態様は(i)の態様と実質的に同一である。
すなわち、第1のカルボン酸は第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体と反応して、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物が生成し、この混合酸無水物が第1のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用する。このアシル化剤は、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体(これは第2のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用する)よりも反応性が高い。したがって、前記(i)と同様に、まず、6位の水酸基と前記混合酸無水物が反応し、第1のカルボン酸に対応するアシル基が6位に優先的に導入される。そして、残りの水酸基(残りの6位の水酸基、及び2位、3位の水酸基)が第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体と反応し、第2のカルボン酸に対応するアシル基がその位置に導入される。このため、第1のカルボン酸の量、及び第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体の量を選択することにより、置換度(第1のカルボン酸に対応するアシル基の置換度、第2のカルボン酸に対応するアシル基の置換度、及びアシル基総置換度)、及び置換基分布を制御することが可能となる。
また、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合、第1のカルボン酸の使用量は、その水分によって調整する必要はない。その理由は前記と同様である。すなわち、系内に第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体をある程度過剰に添加しておけば、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とが反応して生成する混合酸無水物が第1のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用する。したがって、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合にも、水分含有量にかかわらず、所望する導入量に見合う量の第1のカルボン酸を使用することにより、所望する第1のカルボン酸に対応するアシル基の置換度を有するセルロース混合アシレートを製造することが可能である。
前記(iii)における第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペンタン酸、無水ヘキサン酸等の炭素数1〜10程度の飽和脂肪族カルボン酸の酸無水物誘導体;酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、ペンタン酸クロライド、ヘキサン酸クロライド等の炭素数1〜10程度の飽和脂肪族カルボン酸の酸ハライド誘導体などが挙げられる。
(iii)における第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体としては、例えば、無水安息香酸、無水m−メチル安息香酸、無水p−メチル安息香酸、無水桂皮酸、無水1−ナフチルカルボン酸、無水2−ナフチルカルボン酸等の芳香族カルボン酸又は不飽和脂肪族カルボン酸の酸無水物誘導体;安息香酸クロライド、m−メチル安息香酸クロライド、p−メチル安息香酸クロライド、桂皮酸クロライド、1−ナフチルカルボン酸クロライド、2−ナフチルカルボン酸クロライド等の芳香族カルボン酸又は不飽和脂肪族カルボン酸の酸ハライド誘導体などが挙げられる。
前記(iii)では、第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体が第1のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用する。一方、前記のように、原料セルロースアセテートのグルコース骨格の2位、3位及び6位の水酸基の反応性は、6位>2位、3位の順である。したがって、まず、6位の水酸基と第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体が反応し、第1のカルボン酸に対応するアシル基が6位に優先的に導入される。そして、残りの水酸基(残りの6位の水酸基、及び2位、3位の水酸基)が、次に供給される第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体と反応し、第2のカルボン酸に対応するアシル基がその位置に導入される。このため、第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の量、及び第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の量を選択することにより、置換度(第1のカルボン酸に対応するアシル基の置換度、第2のカルボン酸に対応するアシル基の置換度、及びアシル基総置換度)、及び置換基分布を制御することが可能となる。
なお、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合、第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の使用量は、その水分によって調整する必要はない。その理由は次の通りである。前記第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体が水により第1のカルボン酸に加水分解されたとしても、前段の反応(第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体によるアシル化反応)の後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、後段の反応(第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体によるアシル化反応)に移行するので、後段において第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体をある程度過剰に添加すれば、加水分解により生成した第1のカルボン酸は第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体と反応して、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物に再生し、第1のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用するからである。したがって、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合にも、水分含有量にかかわらず、所望する導入量に見合う量の第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を使用することにより、所望する第1のカルボン酸に対応するアシル基の置換度を有するセルロース混合アシレートを製造することが可能である。
また、(iii)の場合には、第1のカルボン酸の酸ハライド誘導体は1モルで1モル分のアシル化剤として機能するが、第1のカルボン酸の酸無水物誘導体は1モルで2モル分のアシル化剤として機能する。これは、第1のカルボン酸の酸無水物誘導体を用いた場合には、アシル化により副生した第1のカルボン酸が後段で添加する第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体と反応して第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物が生成し、この混合酸無水物が第1のカルボン酸に対応するアシル化剤として作用するからである。したがって、1モルの水酸基を第1のカルボン酸に対応するアシル基でアシル化する場合には、アシル化剤として第1のカルボン酸の酸ハライド誘導体を用いるときには1モル必要であるが、アシル化剤として第1のカルボン酸の酸無水物誘導体を用いるときには0.5モルでよいことになる。
本発明では、第1のカルボン酸が飽和脂肪族カルボン酸であり、第2のカルボン酸が芳香族カルボン酸であるのが好ましい。また、第1のカルボン酸としては、炭素数2〜4の飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
前記(i)〜(iii)の各態様において、反応溶媒としては、原料や生成物の溶解性に優れ且つ反応を阻害しないような溶媒であれば特に限定されず、原料の種類等により適宜選択できる。そのような溶媒として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、蟻酸メチルなどのエステル系溶媒;ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ニトロメタンなどの含窒素化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類(環状エーテル類、鎖状エーテル類);塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物などが例示される。これらの中でも、原料や生成物の溶解性等の点でピリジン、塩化メチレン、クロロホルム、シクロヘキサノンが好ましく、特にピリジンが好適である。溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
アシル化反応に供する原料セルロースアセテートの反応系中における濃度は、溶解度や反応効率等を考慮して適宜選択できるが、一般には2〜50重量%、好ましくは5〜20重量%程度である。
前記(i)において、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸の混合酸無水物の使用量は、所望する第1のカルボン酸に対応するアシル基の導入量に応じて適宜選択される。例えば、原料セルロースアセテートの6位の水酸基のすべてに第1のカルボン酸に対応するアシル基を導入し、2位及び3位の水酸基には第2のカルボン酸に対応するアシル基を導入したい場合には、該6位の水酸基1モルに対して、0.95〜1.2モル程度の混合酸無水物を用いるのが好ましい。
(i)において、第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の使用量は、所望する第2のカルボン酸に対応するアシル基の導入量に応じて適宜選択される。例えば、原料セルロースアセテートの6位の水酸基のすべてに第1のカルボン酸に対応するアシル基を導入し、2位及び3位の水酸基のすべてに第2のカルボン酸に対応するアシル基を導入したい場合には、該2位及び3位の水酸基の合計1モルに対して、1〜5モル、特に1〜3モル程度の第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を用いるのが好ましい。なお、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合には、その水分で分解される量を見越して第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の使用量を設定するのが好ましい。
前記(ii)において、第1のカルボン酸の使用量は、所望する第1のカルボン酸に対応するアシル基の導入量に応じて適宜選択される。例えば、原料セルロースアセテートの6位の水酸基のすべてに第1のカルボン酸に対応するアシル基を導入し、2位及び3位の水酸基には第2のカルボン酸に対応するアシル基を導入したい場合には、該6位の水酸基1モルに対して、0.95〜1.2モル程度の第1のカルボン酸を用いるのが好ましい。
(ii)において、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体の使用量は、所望する第2のカルボン酸に対応するアシル基の導入量に応じて適宜選択される。なお、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体は第1のカルボン酸と反応して混合酸無水物を形成するので、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体は、第1のカルボン酸1モルに対して1モルを超える量が必要である。例えば、原料セルロースアセテートの6位の水酸基のすべてに第1のカルボン酸に対応するアシル基を導入し、2位及び3位の水酸基のすべてに第2のカルボン酸に対応するアシル基を導入したい場合には、該2位及び3位の水酸基の合計1モルに対して、1〜5モル、特に1〜3モル程度の第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体を用いるのが好ましい。なお、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合には、その水分で分解される量を見越して第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体の使用量を設定するのが好ましい。
前記(iii)において、前段のセルロースアセテートと第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体との反応において、第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の使用量は、所望する第1のカルボン酸に対応するアシル基の導入量に応じて適宜選択される。例えば、原料セルロースアセテートの6位の水酸基のすべてに第1のカルボン酸に対応するアシル基を導入し、2位及び3位の水酸基には第2のカルボン酸に対応するアシル基を導入したい場合には、該6位の水酸基1モルに対して、第1のカルボン酸の酸無水物誘導体では0.48〜0.6モル程度、第1のカルボン酸の酸ハライド誘導体では0.95〜1.2モル程度用いるのが好ましい。
(iii)においては、前段のアセチル化後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、後段のアセチル化を行う。なお、クエンチ処理とは、反応混合物に水やアルコールなどを添加して残存するアシル化剤を失活させることを意味する。
(iii)における後段での第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の使用量は、所望する第2のカルボン酸に対応するアシル基の導入量に応じて適宜選択される。例えば、原料セルロースアセテートの6位の水酸基のすべてに第1のカルボン酸に対応するアシル基を導入し、2位及び3位の水酸基のすべてに第2のカルボン酸に対応するアシル基を導入したい場合には、該2位及び3位の水酸基の合計1モルに対して、1〜5モル、特に1〜3モル程度の第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を用いるのが好ましい。なお、原料セルロースアセテートが水分を含んでいる場合には、その水分で分解される量を見越して第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体の使用量を設定するのが好ましい。
本発明の製造方法において、前記(i)〜(iii)の何れの場合も、アシル化剤(第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物、第1のカルボン酸、第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体、第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体)の反応系への添加方式としては特に制限はなく、一括して添加してもよいが、反応を制御するため、逐次添加(連続的又は間欠的に添加)するのが好ましい。
反応系には、反応の促進、生成するハロゲン化水素等の捕捉のため、必要に応じて塩基を添加してもよい。塩基としては、例えば、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、トリi−プロピルアミン等の第三級アミン、無機塩基などが挙げられる。ピリジンなどは前記のように溶媒としても使用できる。
アシル化反応における反応温度は、原料の種類によっても異なるが、通常0〜150℃、好ましくは30〜130℃程度である。
上記アシル化反応により、グルコース骨格の6位に第1のカルボン酸に対応するアシル基が選択的に導入され、2位及び3位に第2のカルボン酸に対応するアシル基が選択的に導入された高アシル基置換度のセルロース混合アシレートが生成する。
反応終了後、反応混合液にアルコールを添加して、反応性の高い残存する過剰のアシル化剤(酸ハライド、酸無水物)を、反応性が極めて低く水や有機溶媒に対する溶解性の高いエステルに変換するのが好ましい。このように過剰のアシル化剤をエステルに変換することにより、アシル化剤由来の不純物、例えば、アシル化剤の加水分解生成物であるカルボン酸などの水や有機溶媒に対する溶解性の低い化合物、その他の不純物による製品の着色や白濁、機能発現の妨害、製品中への不純物の混入などのトラブルを防止することができ、高純度、高品質のセルロース混合アシレートを工業的に効率よく得ることが可能となる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどの一価アルコール;エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが使用できる。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノールなどの炭素数1〜5のアルコールが好ましい。
アルコールの使用量は、残存する過剰のアシル化剤をすべてエステル化するのに必要な量であればよく、例えば、残存する過剰のアシル化剤1モルに対して、1〜20モル、好ましくは1.5〜10モル程度である。アルコールの量が少なすぎると、アシル化剤が完全にエステル化されずに残存する場合があり、アルコールの量が多すぎると生成したセルロース混合アシレートが沈殿する場合がある。この段階でセルロース混合アシレートが沈殿すると不純物を取り込みやすいため、残存するアシル化剤のエステル化反応は、生成したセルロース混合アシレートが沈殿しない条件で(均一系で)行うのが好ましい。
アルコールと残存する過剰のアシル化剤との反応における反応温度は、目的物であるセルロース混合アシレートや添加するアルコールの種類に応じて適宜選択できるが、セルロース混合アシレートにおける水酸基の置換基と添加するアルコールとのエステル交換反応を抑制するため、通常80℃以下、好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。反応温度の下限は反応の進行を損なわない温度であればよく、例えば30℃、好ましくは40℃である。反応時間は、反応温度等により異なるが、一般には0.1〜12時間、好ましくは0.1〜3時間程度である。
前記アシル化反応後の反応混合液から、必要に応じて上記のように過剰のアシル化剤をエステル化した後、目的物であるセルロース混合アシレートを分離する。セルロース混合アシレートの分離方法としては特に限定されず、例えば、沈殿、晶析、濾過、洗浄、乾燥、抽出、濃縮、カラムクロマトグラフィーなどの方法を単独で又は2以上を適宜組み合わせて使用できるが、操作性、精製効率等の点で、沈殿(再沈殿を含む)操作によりセルロース混合アシレートを分離する方法が特に好ましい。沈殿操作は、生成したセルロース混合アシレートを含む溶液をセルロース混合アシレートの貧溶媒中に注ぐなど、セルロース混合アシレートを含む溶液を該貧溶媒と混合することにより行われる。セルロース混合アシレートを含む溶液の溶媒(セルロース混合アシレートの良溶媒)としては、例えば、ピリジン等の含窒素複素環化合物、アセトン等のケトン、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、エステル、エーテル、アミド、非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。前記溶媒として、特に、ピリジン等の含窒素複素環化合物、アセトン等のケトン、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
セルロース混合アシレートの貧溶媒としては、セルロース混合アシレートの溶解度の低い溶媒であればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノールなどの炭素数1〜5のアルコール(特に一価アルコール);水;ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。2種以上の溶媒を組み合わせた例として、2種以上の炭素数1〜5のアルコールの混合液、炭素数1〜5のアルコールと水との混合液などが挙げられる。貧溶媒としては、特に炭素数1〜5のアルコールが好ましい。
前記沈殿操作の際に用いる貧溶媒の量は、セルロース混合アシレートの溶液100重量部に対して、例えば50〜20000重量部、好ましくは100〜10000重量部、さらに好ましくは150〜1000重量部である。貧溶媒の量が少なすぎると、高品質のセルロース混合アシレートを効率よく取得することが困難になる場合があり、逆に貧溶媒の量が多すぎると、経済的に不利になる。
沈殿したセルロース混合アシレートは、濾過、遠心分離等の固液分離操作に付し、得られた固体を、必要に応じて再沈殿に付した後、乾燥することにより、高純度、高品質のセルロース混合アシレートを得ることができる。
セルロース混合アシレートの精製方法として、セルロース混合アシレートの粉体(例えば、上記沈殿操作により得られたもの)を、セルロース混合アシレートは溶解しにくく、アシル化剤とアルコールとの反応で生成するエステルやその他の不純物は溶解しやすい溶媒で洗浄(抽出)する方法も好ましい。このような溶媒としては、前記セルロース混合アシレートの貧溶媒として例示した溶媒が挙げられる。それらのなかでも、前記炭素数1〜5のアルコールが好ましい。
本発明の製造方法では、硫酸触媒を必要としないので、低分子量成分の生成を抑制でき、分子量分布を小さくすることができるとともに、生成物の着色を低減できる。例えば、本発明の方法により、着色度が、ハーゼン単位色数で、200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下のセルロース混合アシレートを得ることができる。
本発明の方法により得られるセルロース混合アシレートは、そのまま又はさらに誘導化して、繊維、吸着剤、フィルム(特に光学フィルム等)、光学異性体分離剤などの材料として使用できる。また、このセルロース混合アシレート又はその誘導体を他の物質や材料に添加することで機能を変化させたり新たな機能を付加することができる。
[セルロース混合アシレート]
本発明のセルロース混合アシレートは、アシル基総置換度が2.7〜3.0という高アシル基置換度のセルロース混合アシレートであり、アセチル基総置換度が1.5〜2.9、アセチル基よりも反応性の低いアシル基の総置換度が0.1〜1.5である。アシル基による総置換度は、好ましくは2.8〜3.0、さらに好ましくは2.9〜3.0である。また、アセチル基による総置換度は、好ましくは1.8〜2.8、さらに好ましくは2.2〜2.7である。アセチル基よりも反応性の低いアシル基による総置換度は0.1〜1.5であり、好ましくは0.2〜1.2、さらに好ましくは0.3〜0.8である。
本発明のセルロース混合アシレートは、アシル基総置換度が2.7〜3.0という高アシル基置換度のセルロース混合アシレートであり、アセチル基総置換度が1.5〜2.9、アセチル基よりも反応性の低いアシル基の総置換度が0.1〜1.5である。アシル基による総置換度は、好ましくは2.8〜3.0、さらに好ましくは2.9〜3.0である。また、アセチル基による総置換度は、好ましくは1.8〜2.8、さらに好ましくは2.2〜2.7である。アセチル基よりも反応性の低いアシル基による総置換度は0.1〜1.5であり、好ましくは0.2〜1.2、さらに好ましくは0.3〜0.8である。
本発明のセルロース混合アシレートの重要な特徴は、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による2位の置換度とアセチル基よりも反応性の低いアシル基による3位の置換度の和が、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による6位の置換度の2倍よりも大きい(但し、2位、3位及び6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基が何れも脂肪族アシル基である場合には、2位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度と3位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の和が、6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の1.3倍、好ましくは1.38倍よりも大きい)ことにある。なお、アセチル基よりも反応性の低いアシル基の種類の如何にかかわらず、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による2位の置換度とアセチル基よりも反応性の低いアシル基による3位の置換度の和が、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による6位の置換度の2倍よりも大きいのが好ましい。
このようなセルロース混合アシレートは、アセチル基よりも反応性の低いアシル基が6位と比較して2位及び3位に相対的にリッチに存在するため、従来のセルロース混合アシレートには無い優れた特性を具備する。例えば、アセチル基よりも反応性の低いアシル基が芳香族アシル基の場合には、高分子鎖を延伸により配向させた場合、グルコピラノース環に酸素原子のみを介して結合している2位及び3位に導入された芳香族アシル基の芳香環は高分子鎖に対して直交方向に配置され、芳香環に起因する分極率は高分子鎖に対して直交する方向を向くと考えられる。したがって、2位及び3位に導入された芳香族アシル基はセルロース混合アシレートの配向複屈折を負にする作用をすると考えられる。一方、グルコピラノース環にメチレンオキシ基を介して結合している6位に導入された芳香族アシル基の芳香環はフレキシビリティに富むため、高分子鎖と同じ方向に配向し、芳香環に起因する分極率は高分子鎖に対して平行する方向を向くと考えられる。したがって、6位に導入された芳香族アシル基はセルロース混合アシレートの配向複屈折を正にする作用をすると考えられる。このため、芳香族アシル基が6位と比較して2位及び3位に相対的にリッチに存在するセルロース混合アシレートは、高分子鎖に直交する方向に分極率が大きい材料となり、大きな複屈折を示す方向がフィルムの延伸方向に対して直交することとなる(負の配向複屈折)。また、上記芳香族アシル基の置換位置の分布は光弾性複屈折にも影響を与えると考えられる。よって、本発明のセルロース混合アシレートからなるフィルムは位相差フィルムや、偏光フィルムの保護フィルムなどとして有用である。なお、上記の考察は、藤井貞男、「高分子系位相差フィルムの要求特性と材料設計」(『液晶』、第9巻、第4号、2005年、第227頁〜第236頁)に基づくものである。また、アセチル基よりも反応性の低いアシル基が芳香族アシル基以外の基であっても、置換位置の分布に基づいて上記と同様のあるいは他の作用が期待できる。
なお、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による2位の置換度とアセチル基よりも反応性の低いアシル基による3位の置換度の和は、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による6位の置換度に対して、好ましくは2.5倍以上であり、さらに好ましくは3.0倍以上である。
本発明のセルロース混合アシレートにおいて、アシル基による2位の置換度、アシル基による3位の置換度、アシル基による6位の置換度は、それぞれ、通常0.9〜1.0の範囲である。また、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による2位の置換度とアセチル基よりも反応性の低いアシル基による3位の置換度の和は、通常0.1〜1.0、好ましくは0.15〜0.7、さらに好ましくは0.2〜0.5程度である。さらに、アセチル基よりも反応性の低いアシル基による6位の置換度は、通常0〜0.5、好ましくは0〜0.3、さらに好ましくは0〜0.2(例えば0.01〜0.2)程度である。アセチル基による6位の置換度は、通常0.5〜1.0、好ましくは0.7〜1.0、さらに好ましくは0.8〜1.0である。
前記アセチル基よりも反応性の低いアシル基としては、例えば、芳香族アシル基、不飽和脂肪族アシル基、電子吸引性基を有する飽和脂肪族アシル基等が挙げられる。なかでも芳香族アシル基が好ましい。芳香族アシル基における芳香環は置換基を有していてもよい。
芳香族アシル基における芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。芳香環の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シリル基、シリルオキシ基、炭素数1〜12のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル基等)、炭素数1〜12のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、ナフチル基等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等)、炭素数1〜20のアシル基(アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等)、炭素数1〜20の置換又は無置換カルバモイル基、炭素数1〜20の置換又は無置換カルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のスルファモイル基、炭素数1〜20のスルファモイルオキシ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスフィニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノアミノ基、炭素数1〜20のウレイド基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)などが挙げられる。
不飽和脂肪族アシル基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、シンナモイル基等が挙げられる。
電子吸引性基を有する飽和脂肪族アシル基における飽和脂肪族アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等の炭素数1〜10程度の飽和脂肪族アシル基等が挙げられる。このような飽和脂肪族アシル基に結合している電子吸引性基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)などが挙げられる。
アセチル基よりも反応性の低いアシル基の代表的な例として、ベンゾイル基、ナフトイル基、m−メチルベンゾイル基、p−メチルベンゾイル基、m−メトキシベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、3,4,5−トリメトキシベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、m−シアノベンゾイル基、p−シアノベンゾイル基、m−クロロベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、m−フルオロベンゾイル基、p−フルオロベンゾイル基、2,5−ジクロロベンゾイル基、p−アセチルベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、p−ホルミルベンゾイル基、p−t−ブチルベンゾイル基、p−ブトキシベンゾイル基、m−アセトキシベンゾイル基、p−アセトキシベンゾイル基、m−メトキシカルボニルベンゾイル基、p−メトキシカルボニルベンゾイル基、m−ベンジルオキシベンゾイル基、p−ベンジルオキシベンゾイル基、p−シクロヘキシルベンゾイル基、p−メタンスルホニルアミノベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基、m−ニトロベンゾイル基、m−アセトアミノベンゾイル基、p−アセトアミノベンゾイル基、m−ベンゾイルアミノベンゾイル基、p−ベンゾイルアミノベンゾイル基、m−ベンゾイルオキシベンゾイル基、p−ベンゾイルオキシベンゾイル基、m−ベンジルベンゾイル基、p−ベンジルベンゾイル基、m−(N−フェニルカルバモイルオキシ)ベンゾイル基、p−(N−フェニルカルバモイルオキシ)ベンゾイル基、p−(エトキシカルボニルアミノ)ベンゾイル基、p−メチルチオベンゾイル基、p−フェニルチオベンゾイル基、p−ヒドロキシベンゾイル基、p−(4−ピリジル)ベンゾイル基、シンナモイル基、トリフルオロアセチル基、モノクロロアセチル基、トリクロロアセチル基などが挙げられる。これらのなかでも、特にベンゾイル基が好ましい。
本発明のセルロース混合アシレートにおいては、硫酸根の含有量が該セルロース混合アシレートに対して、例えば200重量ppm以下(例えば1〜200重量ppm)、好ましくは150重量ppm以下(例えば1〜150重量ppm)、さらに好ましくは100重量ppm以下(例えば1〜100重量ppm)、特に好ましくは50重量ppm以下(例えば1〜50重量ppm)である。硫酸根が多く残留すると、製品乾燥時や経時変化で製品の色味が黄色に着色するなどの問題を生じることがある。また、機能阻害を起こす要因になる可能性がある。
ここでいう硫酸根は、結合硫酸、非結合の硫酸、硫酸塩、硫酸エステル、硫酸錯体などの形でセルロース混合アシレート中に存在している硫酸根の全量を意味する。セルロース混合アシレート中の硫酸根の含有量は、絶乾状態の試料(セルロース混合アシレート)を1300℃の電気炉で焼成し、昇華した亜硫酸ガスを10重量%過酸化水素水にトラップし、電量測定法によって定量する(SO4 2-換算の値)ことにより測定できる。単位はセルロース混合アシレートに対する重量ppmである。電量滴定法の分析条件は以下の通りである。電量滴定法に用いる機器として、例えば、三菱化学製の商品名「TOX−10Σ」などが挙げられる。
温度:1100℃
試料量:20±2mg
燃焼ガス:酸素ガス(99.7%以上)
通気量:アルゴン200ml/min、酸素150ml/min
燃焼管:石英ガラス管(内管内径13mm、外管内径22mm)
温度:1100℃
試料量:20±2mg
燃焼ガス:酸素ガス(99.7%以上)
通気量:アルゴン200ml/min、酸素150ml/min
燃焼管:石英ガラス管(内管内径13mm、外管内径22mm)
本発明のセルロース混合アシレートは、前記本発明のセルロース混合アシレートの製造方法において、第1のカルボン酸に対応するアシル基を導入するためのアシル化剤としてアセチル化剤(例えば、無水酢酸、酢酸クロライドなどの酢酸ハライド等)を用いることにより効率よく製造することができる。この製造方法によれば、硫酸を用いる必要がないので、前記のような硫酸根の含有量が極めて低いセルロース混合アシレートを得ることができる。
本発明のセルロース混合アシレートは、種々の特性、特に光学的特性、例えばフィルム化して延伸した場合の配向複屈折や光弾性係数に係る特性に優れる。そのため、光学材料等として使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例及び比較例中、「2位Ac基」は2位のアセチル基置換度、「3位Ac基」は3位のアセチル基置換度、「6位Ac基」は6位のアセチル基置換度、「2位Pr基」は2位のプロピオニル基置換度、「3位Pr基」は3位のプロピオニル基置換度、「6位Pr基」は6位のプロピオニル基置換度、「2位Bz基」は2位のベンゾイル基置換度、「3位Bz基」は3位のベンゾイル基置換度、「6位Bz基」は6位のベンゾイル基置換度を示す。また、「ppm」は重量ppm、ケミカルシフトを意味する。
なお、アシル基の置換度(DS)、グルコース骨格の2位の置換度(DS2)、グルコース骨格の3位の置換度(DS3)、及びグルコース骨格の6位の置換度(DS6)の測定は以下のようにして行った。測定条件は以下に示す通りである。
測定機器:Bruker製AVANCE600
測定モード:1H−NMR、13C−NMR
測定溶媒:重クロロホルム(TMS入)
測定温度:40℃
置換基分布は、アシル基が導入されたカルボニル基のシグナルより求める。シグナルは、置換基の種類、置換度、置換基が導入された位置によって形状が変わるため、置換基の種類、置換度、導入された位置によって、シグナルが出てくる位置をシンプルな系で確認した上で、該セルロースアシレートの測定を行う必要がある。置換度や置換基分布によって、正確な位置の特定方法は異なるが、今回の実施例における置換基分布の数値は、以下のようにして算出したものである。
例えばセルロースアセテートベンゾエートの場合、試料をピリジン溶媒中、無水プロピオン酸でプロピオニル化した後、重クロロホルム溶媒中で1H−NMRスペクトルを測定し、各置換基の置換度を算出した後、13C−NMRスペクトルを測定し、164〜167ppm付近に現れるベンゾイルカルボニル炭素のシグナルを、図1で示したような点(図中、△で示す。シグナルの谷の位置;164.9ppm付近及び165.5ppm付近)で分割し、高磁場側から2、3、6位の各ベンゾイルカルボニル炭素の積分強度と定義する。次式からグルコース骨格のi位におけるベンゾイル置換度DSBzi(iは2、3又は6)を求めた。DSBzはベンゾイル基総置換度を示す。
DSBzi=DSBz×(i位ベンゾイルカルボニル炭素シグナル積分強度)/(2 ,3及び6位ベンゾイルカルボニル炭素シグナル積分強度の和)
測定機器:Bruker製AVANCE600
測定モード:1H−NMR、13C−NMR
測定溶媒:重クロロホルム(TMS入)
測定温度:40℃
置換基分布は、アシル基が導入されたカルボニル基のシグナルより求める。シグナルは、置換基の種類、置換度、置換基が導入された位置によって形状が変わるため、置換基の種類、置換度、導入された位置によって、シグナルが出てくる位置をシンプルな系で確認した上で、該セルロースアシレートの測定を行う必要がある。置換度や置換基分布によって、正確な位置の特定方法は異なるが、今回の実施例における置換基分布の数値は、以下のようにして算出したものである。
例えばセルロースアセテートベンゾエートの場合、試料をピリジン溶媒中、無水プロピオン酸でプロピオニル化した後、重クロロホルム溶媒中で1H−NMRスペクトルを測定し、各置換基の置換度を算出した後、13C−NMRスペクトルを測定し、164〜167ppm付近に現れるベンゾイルカルボニル炭素のシグナルを、図1で示したような点(図中、△で示す。シグナルの谷の位置;164.9ppm付近及び165.5ppm付近)で分割し、高磁場側から2、3、6位の各ベンゾイルカルボニル炭素の積分強度と定義する。次式からグルコース骨格のi位におけるベンゾイル置換度DSBzi(iは2、3又は6)を求めた。DSBzはベンゾイル基総置換度を示す。
DSBzi=DSBz×(i位ベンゾイルカルボニル炭素シグナル積分強度)/(2 ,3及び6位ベンゾイルカルボニル炭素シグナル積分強度の和)
また、着色度は、JIS−K0071−1化学製品の色をもとに測定を行った。すなわち、塩化メチレン/メタノール=90/10の混合溶媒40mLに、製品2.4gを溶かして得られたドープを比色管に入れ、前記のJIS規格に記載の基準色と比較することで、着色度(ハーゼン単位色数)を測定した。
製造例1
α−セルロースの含量が97%の木材パルプを解砕し、水分含量が5%となるまで乾燥した。解砕したパルプを前処理装置に供給し、100重量部のα−セルロースあたり25重量部の氷酢酸をパルプに加え、50℃にて30分間混合してセルロースを活性化させた。
活性化したセルロースを混練機型のアセチル化装置に移し、予め10℃に冷却しておいた280重量部の無水酢酸と450重量部の氷酢酸をこのアセチル化装置に加えた。次いで5重量部の濃硫酸を加えて、全混合物を混合した。反応によって内容物に熱が蓄積するので、アセチル化は、系の温度が最初の温度の10℃から68℃までほぼ一定の速度で50分間にわたって上昇するよう冷却により系の温度を制御しつつ行い、系の温度が68℃に10分間保持されるようにして実施した。
68℃の系に、24重量部の20重量%酢酸マグネシウム水溶液を加えた。酢酸マグネシウムの添加量は、系中の硫酸の中和に必要な量より化学量論的に過剰な量とした。完全に中和した混合物をオートクレーブに移し、ゲージ圧力が5kg/cm2の水蒸気を、混合物を攪拌しつつ混合物に吹きこんで、120℃に加熱した。混合物をこの温度に130分間保って第一熟成を行った。反応混合物を100℃以下まで急冷し、攪拌装置を備えた沈澱槽に移し、この槽に水を加えた。生成した酢酸セルロースを沈澱させ、遠心して溶剤を除去し、水洗槽に移してこの槽中で水で十分に洗い、槽から取り出して乾燥させた。
得られたセルロースジアセテートのアセチル基総置換度は2.19、2位のアセチル基置換度は0.76、3位のアセチル基置換度は0.79、6位のアセチル基置換度は0.64であった。
α−セルロースの含量が97%の木材パルプを解砕し、水分含量が5%となるまで乾燥した。解砕したパルプを前処理装置に供給し、100重量部のα−セルロースあたり25重量部の氷酢酸をパルプに加え、50℃にて30分間混合してセルロースを活性化させた。
活性化したセルロースを混練機型のアセチル化装置に移し、予め10℃に冷却しておいた280重量部の無水酢酸と450重量部の氷酢酸をこのアセチル化装置に加えた。次いで5重量部の濃硫酸を加えて、全混合物を混合した。反応によって内容物に熱が蓄積するので、アセチル化は、系の温度が最初の温度の10℃から68℃までほぼ一定の速度で50分間にわたって上昇するよう冷却により系の温度を制御しつつ行い、系の温度が68℃に10分間保持されるようにして実施した。
68℃の系に、24重量部の20重量%酢酸マグネシウム水溶液を加えた。酢酸マグネシウムの添加量は、系中の硫酸の中和に必要な量より化学量論的に過剰な量とした。完全に中和した混合物をオートクレーブに移し、ゲージ圧力が5kg/cm2の水蒸気を、混合物を攪拌しつつ混合物に吹きこんで、120℃に加熱した。混合物をこの温度に130分間保って第一熟成を行った。反応混合物を100℃以下まで急冷し、攪拌装置を備えた沈澱槽に移し、この槽に水を加えた。生成した酢酸セルロースを沈澱させ、遠心して溶剤を除去し、水洗槽に移してこの槽中で水で十分に洗い、槽から取り出して乾燥させた。
得られたセルロースジアセテートのアセチル基総置換度は2.19、2位のアセチル基置換度は0.76、3位のアセチル基置換度は0.79、6位のアセチル基置換度は0.64であった。
実施例1(無水酢酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の500mL三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)13.0g(グルコピラノース単位0.051mol)とピリジン117.0g(1.50mol)と無水酢酸0.91g(0.009mol)を添加して、50℃に液温を調整し、溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は365ppmであった。続いて、塩化ベンゾイル13.1g(0.09mol)を30分かけて滴下した後、30℃に液温を調整し、温度を保って12時間熟成した。熟成後、反応液にメタノールを259.3g添加して、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて、液温を60℃に昇温し、液を均一に保った後、10℃/1時間の速度で液温を10℃まで冷却し、更に10℃で1時間攪拌を行うことで、晶析を行い、析出した粒状物をろ過後、メタノール57.6gでリンス洗浄した。得られた粒状物をメタノール288.1g中に投入し、55℃に昇温して加熱攪拌して濾過物中の不純物を抽出した後、濾過を行い、得られた粒状物をメタノール28.8gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを14.6g(収率:90.1%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.86、3位Ac基:、0.82、6位Ac基:0.86、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.10であった。着色度はハーゼン単位色数で150であった。
ガラス製の500mL三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)13.0g(グルコピラノース単位0.051mol)とピリジン117.0g(1.50mol)と無水酢酸0.91g(0.009mol)を添加して、50℃に液温を調整し、溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は365ppmであった。続いて、塩化ベンゾイル13.1g(0.09mol)を30分かけて滴下した後、30℃に液温を調整し、温度を保って12時間熟成した。熟成後、反応液にメタノールを259.3g添加して、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて、液温を60℃に昇温し、液を均一に保った後、10℃/1時間の速度で液温を10℃まで冷却し、更に10℃で1時間攪拌を行うことで、晶析を行い、析出した粒状物をろ過後、メタノール57.6gでリンス洗浄した。得られた粒状物をメタノール288.1g中に投入し、55℃に昇温して加熱攪拌して濾過物中の不純物を抽出した後、濾過を行い、得られた粒状物をメタノール28.8gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを14.6g(収率:90.1%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.86、3位Ac基:、0.82、6位Ac基:0.86、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.10であった。着色度はハーゼン単位色数で150であった。
実施例2(無水酢酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.0g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.3g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は581.5ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸2.5g(0.03mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル40.5g(0.29mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール200.3gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール2000.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール200.0gでリンス洗浄してから、アセトン801.1gで再溶解した。溶解液を、メタノール4005.6g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.6gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを57.0g(収率:89.7%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.81、3位Ac基:0.82、6位Ac基:0.81、2位Bz基:0.18、3位Bz基:0.23、6位Bz基:0.15であった。着色度はハーゼン単位色数で150であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.0g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.3g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は581.5ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸2.5g(0.03mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル40.5g(0.29mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール200.3gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール2000.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール200.0gでリンス洗浄してから、アセトン801.1gで再溶解した。溶解液を、メタノール4005.6g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.6gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを57.0g(収率:89.7%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.81、3位Ac基:0.82、6位Ac基:0.81、2位Bz基:0.18、3位Bz基:0.23、6位Bz基:0.15であった。着色度はハーゼン単位色数で150であった。
実施例3(酢酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.1g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.1g(5.7mol)と酢酸7.2g(0.07mol)を添加して、50℃に液温を調整し、溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は518.5ppmであった。続いて、塩化ベンゾイル35.1g(0.25mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてから、反応液にメタノールを1000.3g添加して、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて、液温を60℃に昇温し、液を均一に保った後、10℃/1時間の速度で液温を10℃まで冷却し、更に10℃で1時間攪拌を行うことで、晶析を行い、析出した粒状物をろ過後、メタノール100.4gでリンス洗浄した。得られた粒状物をメタノール1000.5g中に投入し、50℃に昇温して加熱攪拌して濾過物中の不純物を抽出した後、濾過を行い、得られた粒状物をメタノール100.9gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを55.6g(収率:90.3%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.86、3位Ac基:、0.82、6位Ac基:0.86、2位Bz基:0.15、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.10であった。着色度はハーゼン単位色数で400であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.1g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.1g(5.7mol)と酢酸7.2g(0.07mol)を添加して、50℃に液温を調整し、溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は518.5ppmであった。続いて、塩化ベンゾイル35.1g(0.25mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてから、反応液にメタノールを1000.3g添加して、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて、液温を60℃に昇温し、液を均一に保った後、10℃/1時間の速度で液温を10℃まで冷却し、更に10℃で1時間攪拌を行うことで、晶析を行い、析出した粒状物をろ過後、メタノール100.4gでリンス洗浄した。得られた粒状物をメタノール1000.5g中に投入し、50℃に昇温して加熱攪拌して濾過物中の不純物を抽出した後、濾過を行い、得られた粒状物をメタノール100.9gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを55.6g(収率:90.3%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.86、3位Ac基:、0.82、6位Ac基:0.86、2位Bz基:0.15、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.10であった。着色度はハーゼン単位色数で400であった。
実施例4(無水酢酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.1g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.1g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は401.8ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸3.6g(0.04mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル38.0g(0.27mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール8.7gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール1999.4g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール199.9gでリンス洗浄してから、アセトン800.2gで再溶解した。溶解液を、メタノール4000.7g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを56.2g(収率:91.2%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.80、6位Ac基:0.89、2位Bz基:0.15、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.09であった。着色度はハーゼン単位色数で150であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.1g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.1g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は401.8ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸3.6g(0.04mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル38.0g(0.27mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール8.7gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール1999.4g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール199.9gでリンス洗浄してから、アセトン800.2gで再溶解した。溶解液を、メタノール4000.7g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを56.2g(収率:91.2%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.80、6位Ac基:0.89、2位Bz基:0.15、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.09であった。着色度はハーゼン単位色数で150であった。
実施例5(塩化アセチルと塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)30.0g(グルコピラノース単位0.12mol)とピリジン269.9g(3.4mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は624.2ppmであった。50℃に液温を調整して、塩化アセチル3.3g(0.04mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル17.9g(0.13mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール4.1gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール1199.8g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール120.0gでリンス洗浄してから、アセトン480.3gで再溶解した。溶解液を、メタノール2401.6g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール240.2gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを33.2g(収率:89.7%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.79、3位Ac基:0.83、6位Ac基:0.84、2位Bz基:0.17、3位Bz基:0.22、6位Bz基:0.15であった。着色度はハーゼン単位色数で500以上であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)30.0g(グルコピラノース単位0.12mol)とピリジン269.9g(3.4mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は624.2ppmであった。50℃に液温を調整して、塩化アセチル3.3g(0.04mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル17.9g(0.13mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール4.1gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール1199.8g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール120.0gでリンス洗浄してから、アセトン480.3gで再溶解した。溶解液を、メタノール2401.6g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール240.2gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを33.2g(収率:89.7%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.79、3位Ac基:0.83、6位Ac基:0.84、2位Bz基:0.17、3位Bz基:0.22、6位Bz基:0.15であった。着色度はハーゼン単位色数で500以上であった。
実施例6(無水酢酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(アセチル基総置換度:1.81、2位Ac基:0.62、3位Ac基:0.57、6位Ac基:0.62)10.0g(グルコピラノース単位0.042mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は1110.2ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸0.81g(0.008mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル13.8g(0.097mol)を30分かけて滴下した後、30℃に液温を調整し、温度を保って12時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.0gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール399.9g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.0gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール800.6g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.2gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを11.7g(収率:82.1%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.72、3位Ac基:0.61、6位Ac基:0.83、2位Bz基:0.30、3位Bz基:0.46、6位Bz基:0.09であった。着色度はハーゼン単位色数で50であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(アセチル基総置換度:1.81、2位Ac基:0.62、3位Ac基:0.57、6位Ac基:0.62)10.0g(グルコピラノース単位0.042mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は1110.2ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸0.81g(0.008mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル13.8g(0.097mol)を30分かけて滴下した後、30℃に液温を調整し、温度を保って12時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.0gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール399.9g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.0gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール800.6g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.2gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを11.7g(収率:82.1%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.72、3位Ac基:0.61、6位Ac基:0.83、2位Bz基:0.30、3位Bz基:0.46、6位Bz基:0.09であった。着色度はハーゼン単位色数で50であった。
実施例7(無水プロピオン酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は793.7ppmであった。50℃に液温を調整して、無水プロピオン酸0.92g(0.007mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル8.24g(0.058mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.1gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.0gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール800.1g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.3gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートプロピオネートを11.4g(収率:89.9%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.77、3位Ac基:0.77、6位Ac基:0.66、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.13、2位Pr基:0.09、3位Pr基:0.13、6位Pr基:0.11であった。着色度はハーゼン単位色数で250であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は793.7ppmであった。50℃に液温を調整して、無水プロピオン酸0.92g(0.007mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、塩化ベンゾイル8.24g(0.058mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.1gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.0gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール800.1g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.3gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートプロピオネートを11.4g(収率:89.9%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.77、3位Ac基:0.77、6位Ac基:0.66、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.13、2位Pr基:0.09、3位Pr基:0.13、6位Pr基:0.11であった。着色度はハーゼン単位色数で250であった。
実施例8(無水酢酸と無水プロピオン酸を用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は806.87ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸0.73g(0.007mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、無水プロピオン酸7.62g(0.058mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.2gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール801.1g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.0gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートプロピオネートを11.1g(収率:95.0%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.83、3位Ac基:0.80、6位Ac基:0.76、2位Pr基:0.17、3位Pr基:0.17、6位Pr基:0.24であった。着色度はハーゼン単位色数で40であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は806.87ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸0.73g(0.007mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、1時間熟成を行った。続いて、50℃まで液温を落とし、無水プロピオン酸7.62g(0.058mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.2gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール801.1g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.0gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートプロピオネートを11.1g(収率:95.0%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.83、3位Ac基:0.80、6位Ac基:0.76、2位Pr基:0.17、3位Pr基:0.17、6位Pr基:0.24であった。着色度はハーゼン単位色数で40であった。
比較例1(塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化(全ベンゾエート化))
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.0g(グルコピラノース単位0.19mol)とピリジン450.3g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は581.5ppmであった。30℃に液温を調整して、塩化ベンゾイル35.9g(0.26mol)を添加した後、30℃で12時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール2143.7g中に投入し、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール214.4gでリンス洗浄してから、アセトン800.1gで再溶解した。溶解液を、メタノール4001.5g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを60.8g(収率:91.3%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64、2位Bz基:0.24、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.36であった。着色度はハーゼン単位色数で60であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.0g(グルコピラノース単位0.19mol)とピリジン450.3g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は581.5ppmであった。30℃に液温を調整して、塩化ベンゾイル35.9g(0.26mol)を添加した後、30℃で12時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール2143.7g中に投入し、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール214.4gでリンス洗浄してから、アセトン800.1gで再溶解した。溶解液を、メタノール4001.5g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを60.8g(収率:91.3%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64、2位Bz基:0.24、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.36であった。着色度はハーゼン単位色数で60であった。
比較例2(塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化(全ベンゾエート化))
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.85、6位Ac基:0.73)13.0g(グルコピラノース単位0.05mol)とピリジン117.0g(1.48mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は264.0ppmであった。30℃に液温を調整して、塩化ベンゾイル6.1g(0.04mol)を添加した後、30℃で12時間熟成を行った。続いて、反応液中にメタノール245.0gを投入した後、液温を60℃に昇温し、液を均一に保った後、10℃/1時間の速度で液温を10℃まで冷却し、更に10℃で1時間攪拌を行うことで、晶析を行い、析出した粒状物をろ過後、メタノール54.4gでリンス洗浄した。得られた粒状物をメタノール272.2g中に投入し、55℃に昇温して加熱攪拌して粒状物中の不純物を抽出した後、濾過を行い、得られた粒状物をメタノール27.2gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを13.5g(収率:85.0%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.86、6位Ac基:0.72、2位Bz基:0.13、3位Bz基:0.20、6位Bz基:0.21であった。着色度はハーゼン単位色数で100であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.85、6位Ac基:0.73)13.0g(グルコピラノース単位0.05mol)とピリジン117.0g(1.48mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は264.0ppmであった。30℃に液温を調整して、塩化ベンゾイル6.1g(0.04mol)を添加した後、30℃で12時間熟成を行った。続いて、反応液中にメタノール245.0gを投入した後、液温を60℃に昇温し、液を均一に保った後、10℃/1時間の速度で液温を10℃まで冷却し、更に10℃で1時間攪拌を行うことで、晶析を行い、析出した粒状物をろ過後、メタノール54.4gでリンス洗浄した。得られた粒状物をメタノール272.2g中に投入し、55℃に昇温して加熱攪拌して粒状物中の不純物を抽出した後、濾過を行い、得られた粒状物をメタノール27.2gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを13.5g(収率:85.0%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.86、6位Ac基:0.72、2位Bz基:0.13、3位Bz基:0.20、6位Bz基:0.21であった。着色度はハーゼン単位色数で100であった。
比較例3(無水酢酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化;単離処理有り)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.1g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.1g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は401.8ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸7.3g(0.08mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール2000.1g中に投入して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール199.9gでリンス洗浄してから、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥した。乾燥した繊維状個体をピリジン450.1g(5.7mol)で再溶解し、これに室温で塩化ベンゾイル38.0g(0.27mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール8.7gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール1999.4g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール199.9gでリンス洗浄してから、アセトン800.2gで再溶解した。溶解液を、メタノール4000.7g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを54.1g(収率:89.6%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.81、6位Ac基:0.87、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.09であった。着色度はハーゼン単位色数で350であった。この方法によれば、所望の置換度を有するセルロースアセテートベンゾエートを得ることはできるものの、前段のアセチル化反応の後、クエンチ処理を行い、反応生成物を単離した後、後段のベンゾイル化反応を行うので、工程数が多く、煩雑な操作が増える点で工業的に不利である。また、セルロースジアセテート中に含まれる水分を考慮して、その水分により加水分解される量を正確に算出して前段で用いる無水酢酸の仕込み量を設定する必要があり、その点でも煩雑である。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースジアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)50.1g(グルコピラノース単位0.20mol)とピリジン450.1g(5.7mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は401.8ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸7.3g(0.08mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール2000.1g中に投入して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール199.9gでリンス洗浄してから、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥した。乾燥した繊維状個体をピリジン450.1g(5.7mol)で再溶解し、これに室温で塩化ベンゾイル38.0g(0.27mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール8.7gを添加し、残存の塩化ベンゾイルを処理した。続いて反応液をメタノール1999.4g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール199.9gでリンス洗浄してから、アセトン800.2gで再溶解した。溶解液を、メタノール4000.7g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール400.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを54.1g(収率:89.6%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.87、3位Ac基:0.81、6位Ac基:0.87、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.21、6位Bz基:0.09であった。着色度はハーゼン単位色数で350であった。この方法によれば、所望の置換度を有するセルロースアセテートベンゾエートを得ることはできるものの、前段のアセチル化反応の後、クエンチ処理を行い、反応生成物を単離した後、後段のベンゾイル化反応を行うので、工程数が多く、煩雑な操作が増える点で工業的に不利である。また、セルロースジアセテート中に含まれる水分を考慮して、その水分により加水分解される量を正確に算出して前段で用いる無水酢酸の仕込み量を設定する必要があり、その点でも煩雑である。
比較例4(塩化ベンゾイルと無水酢酸を用いたセルロースジアセテートのアシル化)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)24.0g(グルコピラノース単位0.09mol)とピリジン(Py)456.0g(5.7mol)を溶解した。これを共沸脱水し、Pyを173.5gを留去した。その後、Pyを129.2g、系内に追加し、系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は289ppmであった。25℃に液温を調整して、塩化ベンゾイル6.3g(0.045mol)を30分かけて滴下した後、40℃に液温を調整し、温度を保って5時間熟成した。続いて、無水酢酸6.39g(0.06mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、5時間熟成を行った。続いて、液温を40℃以下にしてからメタノール200.1gを添加し、残存の無水酢酸を処理した。続いて反応液をメタノール1770.4g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール300.9gでリンス洗浄してから、アセトン348.2gで再溶解した。溶解液を、メタノール1770.7g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール150.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを24.7g(収率:88.4%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.91、3位Ac基:0.96、6位Ac基:0.69、2位Bz基:0.09、3位Bz基:0.04、6位Bz基:0.31であった。着色度はハーゼン単位色数で100であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)24.0g(グルコピラノース単位0.09mol)とピリジン(Py)456.0g(5.7mol)を溶解した。これを共沸脱水し、Pyを173.5gを留去した。その後、Pyを129.2g、系内に追加し、系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は289ppmであった。25℃に液温を調整して、塩化ベンゾイル6.3g(0.045mol)を30分かけて滴下した後、40℃に液温を調整し、温度を保って5時間熟成した。続いて、無水酢酸6.39g(0.06mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、5時間熟成を行った。続いて、液温を40℃以下にしてからメタノール200.1gを添加し、残存の無水酢酸を処理した。続いて反応液をメタノール1770.4g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール300.9gでリンス洗浄してから、アセトン348.2gで再溶解した。溶解液を、メタノール1770.7g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール150.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートを24.7g(収率:88.4%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.91、3位Ac基:0.96、6位Ac基:0.69、2位Bz基:0.09、3位Bz基:0.04、6位Bz基:0.31であった。着色度はハーゼン単位色数で100であった。
比較例5(無水プロピオン酸と塩化ベンゾイルを用いたセルロースジアセテートのアシル化;単離処理有り)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は650.98ppmであった。50℃に液温を調整して、無水プロピオン酸3.69g(0.028mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール400.1g中に投入して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥した。乾燥した繊維状個体をピリジン90.1g(1.1mol)で再溶解し、これに室温で塩化ベンゾイル4.23g(0.030mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.1gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.0g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.0gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール800.0g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートプロピオネートを11.9g(収率:93.8%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.78、3位Ac基:0.74、6位Ac基:0.68、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.17、6位Bz基:0.17、2位Pr基:0.08、3位Pr基:0.09、6位Pr基:0.15であった。着色度はハーゼン単位色数で200であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は650.98ppmであった。50℃に液温を調整して、無水プロピオン酸3.69g(0.028mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール400.1g中に投入して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥した。乾燥した繊維状個体をピリジン90.1g(1.1mol)で再溶解し、これに室温で塩化ベンゾイル4.23g(0.030mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.1gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.0g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.0gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール800.0g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.1gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートベンゾエートプロピオネートを11.9g(収率:93.8%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.78、3位Ac基:0.74、6位Ac基:0.68、2位Bz基:0.14、3位Bz基:0.17、6位Bz基:0.17、2位Pr基:0.08、3位Pr基:0.09、6位Pr基:0.15であった。着色度はハーゼン単位色数で200であった。
比較例6(無水酢酸と無水プロピオン酸を用いたセルロースジアセテートのアシル化;単離処理有り)
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は600.30ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸8.04g(0.079mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール400.1g中に投入して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥した。乾燥した繊維状個体をピリジン90.1g(1.1mol)で再溶解し、これに室温で無水プロピオン酸4.61g(0.035mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.2gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール801.1g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.0gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートプロピオネートを10.6g(収率:90.7%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.82、3位Ac基:0.78、6位Ac基:0.76、2位Pr基:0.18、3位Pr基:0.22、6位Pr基:0.24であった。着色度はハーゼン単位色数で50であった。
ガラス製の1L三口フラスコに、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥したセルロースダイアセテート(製造例1で得られたセルロースジアセテート;2位Ac基:0.76、3位Ac基:0.79、6位Ac基:0.64)10.0g(グルコピラノース単位0.039mol)とピリジン90.0g(1.1mol)を溶解した。系内水分をカールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、系内水分は600.30ppmであった。50℃に液温を調整して、無水酢酸8.04g(0.079mol)を添加した後、60℃に液温を昇温し、7時間熟成を行った。続いて、反応液をメタノール400.1g中に投入して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、真空乾燥機内、60℃で一晩、減圧乾燥した。乾燥した繊維状個体をピリジン90.1g(1.1mol)で再溶解し、これに室温で無水プロピオン酸4.61g(0.035mol)を30分かけて滴下した後、60℃に液温を調整し、温度を保って7時間熟成した。熟成後、液温を40℃以下にしてからメタノール40.2gを添加し、残存の無水プロピオン酸を処理した。続いて反応液をメタノール400.2g中に添加して、再沈殿を行った。得られた繊維状固体をろ過後、メタノール40.3gでリンス洗浄してから、アセトン160.0gで再溶解した。溶解液を、メタノール801.1g中に投入し、再度、繊維状の固体を析出させた。得られた繊維状固体を濾取し、メタノール80.0gでリンス洗浄してから、一晩減圧乾燥することで、セルロースアセテートプロピオネートを10.6g(収率:90.7%)得た。この製品の置換度、置換基分布を13C−NMRで測定したところ、2位Ac基:0.82、3位Ac基:0.78、6位Ac基:0.76、2位Pr基:0.18、3位Pr基:0.22、6位Pr基:0.24であった。着色度はハーゼン単位色数で50であった。
評価試験
<フィルムの作製>
実施例、比較例で得られたセルロース誘導体(セルロース混合アシレート)15重量部、塩化メチレン72重量部、およびメタノール13重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置し、ドープ中の泡を除いた。
上記ドープを、ガラス板上にバーコーターを用いてドープ温度25℃(室温)で流延した。流延したガラス板を密閉し、表面を均一にする(レベリングする)ために2分間静置した。レベリング後、40℃の温風乾燥機で8分間乾燥させた後、ガラス板からフィルムを剥離した。次いでフィルムをステンレス製の枠に支持し、100℃の温風乾燥機で20分間乾燥させてフィルム(未延伸フィルム)を得た。
また、このフィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、tanδのピークトップとなる温度で幅方向に250%/分の速度で1.3倍延伸させることにより、延伸後のフィルムを得た。
この未延伸フィルムの幅方向の動的粘弾性を測定した。その際のtanδのピークトップとその時の貯蔵弾性率を、未延伸フィルム、及び延伸後のフィルムの膜厚とともに、表1に示す。また、実施例、比較例で得られたセルロース誘導体中の硫酸根の含有量も表1に示した。
<フィルムの作製>
実施例、比較例で得られたセルロース誘導体(セルロース混合アシレート)15重量部、塩化メチレン72重量部、およびメタノール13重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置し、ドープ中の泡を除いた。
上記ドープを、ガラス板上にバーコーターを用いてドープ温度25℃(室温)で流延した。流延したガラス板を密閉し、表面を均一にする(レベリングする)ために2分間静置した。レベリング後、40℃の温風乾燥機で8分間乾燥させた後、ガラス板からフィルムを剥離した。次いでフィルムをステンレス製の枠に支持し、100℃の温風乾燥機で20分間乾燥させてフィルム(未延伸フィルム)を得た。
また、このフィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、tanδのピークトップとなる温度で幅方向に250%/分の速度で1.3倍延伸させることにより、延伸後のフィルムを得た。
この未延伸フィルムの幅方向の動的粘弾性を測定した。その際のtanδのピークトップとその時の貯蔵弾性率を、未延伸フィルム、及び延伸後のフィルムの膜厚とともに、表1に示す。また、実施例、比較例で得られたセルロース誘導体中の硫酸根の含有量も表1に示した。
<光学特性(レタデーション値、光弾性係数)の測定>
楕円偏光測定装置(王子計測機器(株)製、「KOBRA−WPR」)を用いて、波長590nmにおいて、上記で得られたフィルム(延伸前のフィルム、延伸後のフィルム)の3次元屈折率測定を行い、遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzを求め、これらの値から、フィルムの面内のレタデーション値Re、およびフィルムの厚み方向のレタデーション値Rthを、下記式で定義される式に基づいて算出した。なお、面内のレタデーション値Reは、フィルムの中央付近の値である。
Re=|nx−ny|×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚みを示す)
また、光弾性係数は、延伸前のフィルムに荷重を加え、フィルムの面内のレタデーション値Reを測定し、この値Reをフィルム厚みdで割って、Δn=Re/dを求める。そして、加える荷重を変化させながら、Reを測定し、Δnを算出する。得られたデータより、荷重対Δn曲線を作成し、その傾きを光弾性係数とした。レタデーションの測定には上記KOBRA−WPRを用いた。結果を表1に示す。なお、表中のRe、Rthの値は、膜厚80μm換算の値(d=80μmの時の値)である。
楕円偏光測定装置(王子計測機器(株)製、「KOBRA−WPR」)を用いて、波長590nmにおいて、上記で得られたフィルム(延伸前のフィルム、延伸後のフィルム)の3次元屈折率測定を行い、遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzを求め、これらの値から、フィルムの面内のレタデーション値Re、およびフィルムの厚み方向のレタデーション値Rthを、下記式で定義される式に基づいて算出した。なお、面内のレタデーション値Reは、フィルムの中央付近の値である。
Re=|nx−ny|×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚みを示す)
また、光弾性係数は、延伸前のフィルムに荷重を加え、フィルムの面内のレタデーション値Reを測定し、この値Reをフィルム厚みdで割って、Δn=Re/dを求める。そして、加える荷重を変化させながら、Reを測定し、Δnを算出する。得られたデータより、荷重対Δn曲線を作成し、その傾きを光弾性係数とした。レタデーションの測定には上記KOBRA−WPRを用いた。結果を表1に示す。なお、表中のRe、Rthの値は、膜厚80μm換算の値(d=80μmの時の値)である。
実施例1で得られたセルロースアセテートベンゾエートのベンゾイル基総置換度は0.45であり、比較例2で得られたセルロースアセテートベンゾエートのベンゾイル基総置換度は0.54である。セルロースジアセテートの水酸基にベンゾイル基を導入すると、分極率が上がり、Rthの値も負に大きくなるが、実施例1のように、ベンゾイル基の導入位置を制御して、グルコース骨格の2位、3位(芳香環が高分子鎖に対して直交方向に配置する)に選択的に導入することで、ベンゾイル基の導入量がさほど多くなくても、Rthを負に大きくすることができる。なお、ベンゾイル置換基導入の効果(Rthの値を負に大きくする効果)は、延伸後において顕著に表れる。
Claims (9)
- アセチル基総置換度が1.5〜2.9であるセルロースアセテートに、反応性の異なる複数のアシル基を導入して、アシル基総置換度が2.7〜3.0であるセルロース混合アシレートを製造する方法であって、原料セルロースアセテートに、(i)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸との混合酸無水物と、前記第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させるか、(ii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸と、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とを反応させるか、又は(iii)反応性が相対的に高いアシル基に対応する第1のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させた後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、反応性が相対的に低いアシル基に対応する第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させて、グルコース骨格の6位に前記反応性が相対的に高いアシル基を優先して導入することを特徴とするセルロース混合アシレートの製造方法。
- 第1のカルボン酸が飽和脂肪族カルボン酸であり、第2のカルボン酸が芳香族カルボン酸である請求項1記載のセルロース混合アシレートの製造方法。
- 第1のカルボン酸が炭素数2〜4の飽和脂肪族カルボン酸である請求項1又は2記載のセルロース混合アシレートの製造方法。
- (i)において、原料セルロースアセテートに、第1のカルボン酸と第2のカルボン酸との混合酸無水物を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.95〜1.2モルと、第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体とを反応させる請求項1記載のセルロース混合アシレートの製造方法。
- (ii)において、原料セルロースアセテートに、第1のカルボン酸を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.95〜1.2モルと、第2のカルボン酸の酸ハライド誘導体とを反応させる請求項1記載のセルロース混合アシレートの製造方法。
- (iii)の前段において、原料セルロースアセテートに、第1のカルボン酸の酸無水物誘導体を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.48〜0.6モル添加して反応させるか、又は第1のカルボン酸の酸ハライド誘導体を、原料セルロースアセテートの6位の水酸基1モルに対して0.95〜1.2モル添加して反応させた後、クエンチ処理又は反応生成物の単離処理を行うことなく、後段において、第2のカルボン酸の酸無水物又は酸ハライド誘導体を反応させる請求項1記載のセルロース混合アシレートの製造方法。
- アシル基総置換度が2.7〜3.0、アセチル基総置換度が1.5〜2.9、アセチル基よりも反応性の低いアシル基の総置換度が0.1〜1.5であって、2位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度と3位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の和が、6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の2倍よりも大きい(但し、2位、3位及び6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基が何れも脂肪族アシル基である場合には、2位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度と3位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の和が、6位におけるアセチル基よりも反応性の低いアシル基置換度の1.3倍よりも大きい)ことを特徴とするセルロース混合アシレート。
- アセチル基よりも反応性の低いアシル基が芳香族アシル基である請求項7記載のセルロース混合アシレート。
- 硫酸根の含有量がセルロース混合アシレートに対して200重量ppm以下である請求項7又は8記載のセルロース混合アシレート。
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