JP6312252B2 - 光電変換素子および太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子および太陽電池に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。太陽電池は、非枯渇性の太陽エネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が期待されている。この中でも、増感剤として有機色素またはRuビピリジル錯体等を用いた色素増感太陽電池は、研究開発が盛んに進められ、光電変換効率が11%程度に到達している。
その一方で、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物として金属ハロゲン化物を用いた太陽電池が、比較的高い光電変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている。
例えば、特許文献1には、第1カチオンと、第2カチオンと、少なくとも1つのハライドアニオンまたはカルコゲニドアニオンとを含むペロブスカイト型結晶構造を有する光起電装置(photovoltaic device)が記載されている。特許文献1によれば、第1カチオンは、式:(RN)、または、式:(RN=CH−Rで表される有機カチオンであり、R〜Rは、各々、水素原子、置換もしくは無置換のC〜C20のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であるとされている(同特許文献の請求項28および29)。
また、非特許文献1には、CHNHPbIで表されるペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を、ナノロッドを形成させた導電性ガラス基板上に有する太陽電池が、優れた光電変換効率を示したことが記載されている。
国際公開第2014/045021号パンフレット
THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY,2014年,第118巻,p.16567〜16573
上述のように、ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」ともいう。)を用いた光電変換素子ないし太陽電池は、近年、注目されたものであり、ペロブスカイト化合物の結晶構造、化学組成等と光電変換効率との関係(例えば短絡電流密度や開放電圧との関係)は未だ不明な点が多い。
また、光電変換素子および太陽電池には、高い光電変換効率に加え、これらが実際に使用される現場環境において、初期性能を維持できる耐久性が求められる。しかし、ペロブスカイト化合物は高湿環境下で損傷を受けやすいことが知られている。実際、ペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子ないし太陽電池は、高湿環境下において光電変換効率が低下してしまう。
本発明は、ペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子であって、短絡電流密度が高められ、且つ、高湿環境下においても光電変換効率が低下しにくい光電変換素子、および、この光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子ないし太陽電池において、導電性支持体上に、金属酸化物からなるナノロッドと、特定の化学組成のペロブスカイト化合物とを共存させて感光層を形成した場合に、短絡電流密度が高まり、且つ、耐湿性にも優れた光電変換素子ないし太陽電池が得られることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記の課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
光吸収剤を含む感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
上記感光層が、金属酸化物からなるナノロッドと、上記光吸収剤としてのペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物とを含み、
上記ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、
上記のペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が下記式(I)で表される化合物である、光電変換素子:
式(I) AMX
式中、Aは下記式(1)で表されるカチオン性有機基を表す。MはPbまたはSbを表す。Xはハロゲン原子を表す。
式(1) R1a−NH
式中、R1aは炭素数2〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2以上で5員環または6員環のヘテロアリール基、または下記式(2)で表すことができる基である。
Figure 0006312252

式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1b炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2以上で5員環又は6員環のヘテロアリール基を表す。R1cは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2以上で5員環または6員環のヘテロアリール基を表す。*は式(1)のNとの結合位置を表す。

上記ナノロッドの長辺の長さが1000nm以下である、〔1〕に記載の光電変換素子。

上記ナノロッドの長辺の長さが300〜500nmである、〔〕に記載の光電変換素子。

上記ナノロッドのアスペクト比が1.5〜20である、〔1〕〜〔〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。

上記ナノロッドのアスペクト比が5〜20である、〔〕に記載の光電変換素子。

上記ナノロッドの長辺の長さが300〜500nmであり、且つ、アスペクト比が5〜20である、〔1〕〜〔〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。

上記ナノロッドが、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオディミウム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群から選択される金属の酸化物からなる、〔1〕〜〔〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。

上記ナノロッドが、酸化チタンおよび酸化亜鉛から選ばれる金属酸化物からなる、〔〕に記載の光電変換素子。

上記ナノロッドの長軸が、上記導電性支持体表面に対して垂直方向に向いている、〔1〕〜〔〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔10〕
上記第一電極と、上記第二電極との間に正孔輸送層を有する、〔1〕〜〔〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔11〕
〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
本明細書において、各化学式は、ペロブスカイト化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各化学式において、部分構造を(置換)基、イオンまたは原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオンまたは原子等のほかに、上記式で表される(置換)基もしくはイオンを構成する元素団、または、元素を意味することがある。
本明細書において、化合物の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、置換または無置換を明記していない基ないし化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有する基ないし化合物を含む意味である。このことは、置換基および連結基等(以下、置換基等という)についても同様である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、光電変換素子を構成する導電性支持体、シード層、感光層等の「表面」というときは、特に断りのない限り、第二電極側に位置する表面を意味する。
本発明の光電変換素子および太陽電池は、ペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いてなり、短絡電流密度が高められ、且つ、高湿環境下においても光電変換効率が低下しにくい。
本発明の光電変換素子の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
<<光電変換素子>>
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、金属酸化物からなるナノロッド(以下、単に「ナノロッド」ともいう)と光吸収剤とを含む感光層とを有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有し、好ましくは、第一電極と第二電極の間に設けられた正孔輸送層とを有する。感光層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。また、光電変換素子が正孔輸送層を有する場合には、感光層、正孔輸送層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。
光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含んでいる。光吸収剤は、ペロブスカイト化合物と併せて、ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤を含んでいてもよい。ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素および有機色素が挙げられる。
本発明において、「感光層を導電性支持体上に有する」とは、導電性支持体の表面に接して感光層を有する態様、および、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様を含む意味である。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子および太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。
以下、本発明の光電変換素子の好ましい態様について説明する。
本発明の光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1に示す光電変換素子10が挙げられる。図1に示されるシステム100は、光電変換素子10を外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
この光電変換素子10は、第一電極1と、第二電極2と、第一電極1と第二電極2の間に後述する正孔輸送材料を含む正孔輸送層3とを有している。
第一電極1は、支持体11aおよび透明電極11bからなる導電性支持体11と、金属酸化物からなるナノロッド12とペロブスカイト化合物を含む光吸収剤とを含む感光層13とを有している。
本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として、機能する。
すなわち、光電変換素子10において、導電性支持体11を透過して、または第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が感光層13から導電性支持体11に到達する。このとき、エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となっている。導電性支持体11に到達した電子が外部回路6で仕事をした後、第二電極2を経由して(正孔輸送層3がある場合にはさらに正孔輸送層3を経由して)、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。上記光吸収剤の励起および電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
光電変換素子10においては、ペロブスカイト化合物間を電子が移動する電子伝導が起こる。
本発明の光電変換素子および太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子または太陽電池に用いられる材料および各部材は、本発明に特有の構成を除いて、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子または太陽電池について、例えば、特許文献1や非特許文献1を参照することができる。また、色素増感太陽電池について、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、本発明の光電変換素子および太陽電池の主たる部材および化合物の好ましい態様について、説明する。
<第一電極1>
第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
− 導電性支持体11 −
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、または、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aとこの支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
なかでも、図1に示されるように、ガラスまたはプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11がさらに好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
支持体11aおよび導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体11または支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11または支持体11aの表面に、特開2003−123859号公報に記載の、高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
− 感光層(光吸収層)13 −
感光層13は、後述するペロブスカイト化合物を光吸収剤として有する。すなわち、光吸収剤は、金属酸化物からなるナノロッド12の間を埋めるように存在している。
本発明において、光吸収剤は、ペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、2種以上のペロブスカイト化合物を含有してもよい。
感光層13は、単層であっても2層以上の積層であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、互いに異なった光吸収剤からなる層を積層してもよく、また感光層と感光層の間に正孔輸送材料を含む中間層を積層してもよい。
感光層13を導電性支持体11上に有する形態は、上述した通りである。感光層13は、好ましくは、励起した電子が導電性支持体11へと流れるように、導電性支持体11上に設けられる。
感光層13の膜厚は、ナノロッドのサイズ等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。例えば、感光層13の膜厚を0.1〜5μmとすることができ、0.1〜3μmとすることが好ましく、0.2〜1.5μmとすることがさらに好ましい。
本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
〔感光層13中のナノロッド12〕
感光層13は、金属酸化物からなるナノロッド12を含有する。本発明におけるナノロッドとは、ナノメートルサイズの(すなわち、後述する長辺および短辺の長さがおよそ1〜1000nmの範囲内にある)、棒状の金属酸化物構造体である。本発明におけるナノロッド12は、後述するアスペクト比が1より大きい。すなわち、本発明におけるナノロド12は、長辺と短辺の長さが異なる形態である。
ナノロッド12を構成する金属酸化物としては、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオディミウム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムからなる群から選択される金属の酸化物が挙げられる。
なかでも、ナノロッドの形状制御のしやすさの観点から、ナノロッド12は酸化チタンまたは酸化亜鉛で構成されていることが好ましい。
感光層13中のナノロッド12の存在形態に特に制限はなく、感光層13中にナノロッドが、その長軸方向が統一されずにランダムに存在していてもよいが、ナノロッド12の長軸が、導電性支持体11表面に対して垂直方向に向いていることが好ましい。より好ましくは、図1に示すようにナノロッド12の長軸が、導電性支持体11表面に対して垂直方向に向いており、且つ、ナノロッド12の一端が導電性支持体11(導電性支持体11表面に後述するシード層が存在する場合にはシード層)に連結していることが好ましい。
本明細書において、ナノロッドの長軸が、導電性支持体表面に対して垂直方向に向いているとは、感光層中に存在するナノロッドのうち50%以上(半数以上)のナノロッドが、ナノロッドの長軸方向と、導電性支持体11表面の法線とのなす角度が0〜45度の間にあることを意味する(このことは、後述する実施例中、「<酸化チタンナノロッド基板の調製>」及び「<酸化亜鉛ナノロッド基板の調製>」の記載においても同様である)。
本明細書において、「ナノロッドの長軸方向」とは、ナノロッドの一端から他端までを結ぶ直線が最長となるとき、この最長の直線と平行方向を意味する。
本明細書において「ナノロッドの長辺」とは、ナノロッドの一端から他端までを結ぶ直線が最長となるときの、この最長の直線を意味する。
本明細書において「ナノロッドの短辺」とは、ナノロッドを、その長辺に対して垂直に切断して得られる断面のうち、断面の一端から他端までを結ぶ直線が最長となる断面における、この最長の直線を意味する。
また、ナノロッド12が導電性支持体11に連結している場合(後述するシード層上に連結している態様を含む)には、ナノロッドの導電性支持体11側の末端は、導電性支持体11の表面(導電性支持体11上にシード層が設けられている場合にはシード層表面)から、第二電極側に向けて、導電性支持体11の表面に対して垂直方向(この場合における垂直方向とは、導電性支持体11の表面に対して90°の方向を意味する)に5nmの距離に位置する部位とする。
ナノロッド12は、長辺の長さが1000nm以下であることが好ましく、100〜800nmであることがより好ましく、200〜700nmであることがさらに好ましく、200〜600nmであることがさらに好ましく、300〜500nmであることがさらに好ましい。ナノロッド12の長辺の長さを上記好ましい長さとすることにより、ペロブスカイト化合物の配向性が高まり、短絡電流密度がより向上しうる。
また、ナノロッド12のアスペクト比(長辺の長さ/短辺の長さ)は、1.5〜20が好ましく、5〜20がより好ましく、5〜15がさらに好ましく、5〜12がさらに好ましい。ナノロッド12のアスペクト比を上記好ましい範囲とすることにより、ナノロッド12の長軸方向と略垂直方向にペロブスカイト結晶構造が成長しやすく、結晶構造の配向が揃って電子移動がスムーズになり、短絡電流密度がより向上しうる。
本明細書において、ナノロッド12の長辺の長さは、感光層13中に存在するナノロッド12のうち、無作為に選んだ20個のナノロッドについて、それぞれ長辺の長さを測定し、得られた20の測定値の平均値とする。
また、本明細書において、ナノロッド12のアスペクト比は、感光層13中に存在するナノロッド12のうち、無作為に選んだ20個のナノロッドについて、それぞれアスペクト比を測定し、得られた20の測定値の平均値とする。
感光層13にナノロッドを含有させる方法として、後述する光吸収剤溶液中にナノロッドを含有させて、感光層13を形成する方法が挙げられる。
また、導電性支持体11上に、導電性支持体11表面に対して略垂直方向に金属酸化物の結晶を成長させて、金属酸化物からなるナノロッドを導電性支持体11上に形成する方法(結晶成長法)を採用することもできる。本発明においては、ペロブスカイト結晶構造の配向性をより高める観点から、結晶成長法によりナノロッドを形成することが好ましい。
(結晶成長法)
上記結晶成長法による金属酸化物の結晶成長は常法により行うことができる。例えば、THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY,2014年,第118巻,p.16567〜16573や、J.Am.Chem.Soc.2009年,131,p.3985-3990、Angew.Chem.Int.Ed.2003年,42,p.3031−3034の記載を参照し、金属酸化物の結晶を導電性支持体11上に成長させることができる。なお、後述する実施例に記載されるように、導電性支持体11表面にシード層が形成される場合、このシード層は感光層13を構成する。
本明細書において「シード層」とは、ナノロッド形成の足場となる層を意味する。シード層は逆電流を防止する機能も有する。
本発明において、感光層13は、ナノロッド12の長辺の長さよりも厚く設けられることが好ましい。こうすることで、光吸収剤が第一電極と、正孔輸送層あるいは第二電極との間を埋めることができるため、電子の流れがスムーズになる。ナノロッド12の長辺の長さは、感光層13の厚みの1/2以上であることが好ましい。本明細書において、ナノロッド12の長辺の長さが、感光層13の厚みの1/2以上であるとは、導電性支持体11上に存在するナノロッド12のうち半数以上のナノロッド12の長辺の長さが、感光層13の厚みの1/2以上であることを意味する。
感光層13中に占める全ナノロッドの体積は、光の吸収率の観点から、30〜95体積%が好ましく、50〜70体積%がより好ましい。
〔感光層13中の光吸収剤〕
感光層13は、光吸収剤として、「周期表第一族元素またはカチオン性有機基A」と、「周期表第一族元素以外の金属原子M」と、「アニオン性原子X」とを有する、後述する式(I)で表されるペロブスカイト化合物を含有する。
ペロブスカイト化合物の周期表第一族元素またはカチオン性有機基A、金属原子Mおよびアニオン性原子Xは、それぞれ、ペロブスカイト型結晶構造において、カチオン(便宜上、カチオンAということがある)、金属カチオン(便宜上、カチオンMということがある)およびアニオン(便宜上、アニオンXということがある)の各構成イオンとして存在する。
本発明において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンになる性質を有する有機基をいい、アニオン性原子とはペロブスカイト型結晶構造においてアニオンになる性質を有する原子をいう。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、カチオンAは、周期表第一族元素のカチオンまたはカチオン性有機基Aからなる有機カチオンである。カチオンAは有機カチオンが好ましい。
周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)またはセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
有機カチオンは、下記式(1)で表されるカチオン性有機基の有機カチオンであることがさらに好ましい。
式(1):R1a−NH
式中、R1aは炭素数2以上の置換基を示す。この炭素数2以上の置換基としては、アルキル基(炭素数2以上のアルキル基)、アラルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基(炭素数2以上のヘテロアリール基)または下記式(2)で表すことができる基が好ましい。なかでも、アルキル基、またはアラルキル基であることが好ましい。
Figure 0006312252
式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bは置換基を表す。R1cは水素原子または置換基を表す。但し、上記式(2)で表すことができる基の炭素数は2以上である。*は式(1)のN原子との結合位置を表す。
本発明において、カチオン性有機基Aの有機カチオン(すなわち、Aがカチオン性有機基である場合における有機カチオン)は、上記式(1)中のR1aとNHとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基Aからなる有機アンモニウムカチオンが好ましい。この有機アンモニウムカチオンが共鳴構造をとり得る場合、有機カチオンは有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含む。例えば、上記式(2)で表すことができる基においてXがNH(R1cが水素原子)である場合、有機カチオンは、上記式(2)で表すことができる基とNHとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基の有機アンモニウムカチオンに加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンをも包含する。アミジニウムカチオン性有機基からなる有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(Aam)で表されるカチオンが挙げられる。なお、本明細書において、下記式(Aam)で表されるカチオンを便宜上、「R1bC(=NH)−NH」と表記することがある。
Figure 0006312252
1aがアルキル基の場合、このアルキル基は直鎖でも分岐構造を有していてもよい。R1aがアルキル基の場合、このアルキル基の炭素数は2〜10が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。R1aがアルキル基の場合の具体例として、例えば、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。
1aがアラルキル基の場合、このアラルキル基の炭素数は7〜20が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜13がさらに好ましい。このアラルキル基を構成するアリール基はフェニル基またはナフチル基が好ましい。また、このアラルキル基を構成するアルキル基(すなわち上記アリール基を置換基として有するアルキル基)の炭素数(置換基であるアリール基を除いた炭素数)は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、さらに好ましくはメチルまたはエチルである。
1aがシクロアルキル基の場合、このシクロアルキル基は、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
1aがアルケニル基の場合、このアルケニル基は、炭素数が2〜18のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはヘキセニル等が挙げられる。
1aがアルキニル基の場合、このアルキニル基は、炭素数が2〜18のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
1aがアリール基の場合、このアリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニルが挙げられる。
1aがヘテロアリール基の場合、このヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香環、脂肪族環やヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、5員環または6員環が好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環および5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
式(2)で表すことができる基において、XはNR1cが好ましい。ここで、R1cは、水素原子、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
1bとして採りうる置換基は、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が挙げられる。
1bおよびR1cがそれぞれとり得るアルキル基は、炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。このアルキル基の場合の具体例として、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。
1bおよびR1cがそれぞれとり得る、アラルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、それぞれ上記R1aが採り得る、アラルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。
1aとしてとり得る、上記のアルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基および上記式(2)で表すことができる基は、いずれも、置換基を有していてもよい。R1aが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基が挙げられる。R1aが有していてもよい各置換基は、さらに置換基で置換されていてもよい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、金属カチオンMは、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンであって、ペロブスカイト型結晶構造を取りうる金属原子のカチオンであれば、特に限定されない。このような金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)が挙げられる。なかでも、金属原子MはPb原子またはSn原子が特に好ましい。Mは1種の金属原子であってもよく、2種以上の金属原子であってもよい。2種以上の金属原子である場合には、Pb原子およびSn原子の2種が好ましい。なお、このときの金属原子の割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、アニオンXは、アニオン性原子Xのアニオンを表す。このアニオンは、好ましくはハロゲン原子のアニオンである。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。アニオンXは、1種のアニオン性原子のアニオンであってもよく、2種以上のアニオン性原子のアニオンであってもよい。2種以上のアニオン性原子のアニオンである場合には、2種のハロゲン原子のアニオン、特に臭素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンが好ましい。なお、このときのアニオン性原子のアニオンの割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記の各構成イオンを有する、下記式(I)で表されるペロブスカイト化合物である。
式(I):AMX
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子を表す。
式(I)において、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造の上記カチオンAを形成する。したがって、上記カチオンAを構成する周期表第一族元素およびカチオン性有機基は、上記カチオンAとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる元素または基であれば、特に限定されない。周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、上記カチオンAで説明した上記周期表第一族元素またはカチオン性有機基と同義であり、好ましいものも同じである。
金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造の上記金属カチオンMを形成する金属原子である。したがって、金属原子Mは、周期表第一族元素以外の原子であって、上記金属カチオンMとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子であれば、特に限定されない。金属原子Mは、上記金属カチオンMで説明した上記金属原子と同義であり、好ましいものも同じである。
アニオン性原子Xは、ペロブスカイト型結晶構造の上記アニオンXを形成する。したがって、アニオン性原子Xは、上記アニオンXとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子であれば、特に限定されない。アニオン性原子Xは、上記アニオンXで説明したアニオン性原子と同義であり、好ましいものも同じである。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は上述のとおり、AMXで表される化合物であり、AMXで表される化合物ではない。すなわち、本発明に用いるペロブスカイト化合物は、三次元的に基本単位格子が連続した構造をとるものではなく、無機層と有機層とが交互に積層された層状構造をとるものである。
本発明において、光吸収剤として用いるペロブスカイト化合物の具体例として、例えば、(CNHPbI、(CH=CHNHPbI、(CH≡CNHPbI、(n−CNHPbI、(n−CNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CSNHPbI、(C10CHCHNHPbI、(CFCHNHPbIが挙げられる。
ここで、(C10CHCHNHPbIにおけるC10はナフチル、(CFCHNHPbIにおけるCFはフルオロフェニルである。
ペロブスカイト化合物は、MXとAXとから合成することができる。例えば、上記特許文献1や非特許文献1を参照してペロブスカイト化合物を合成することができる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),6050−6051も適宜に参照し、ペロブスカイト化合物を合成することができる。
<正孔輸送層3>
本発明の光電変換素子は、第一電極と第二電極との間に正孔輸送層3を有することが好ましい。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層である。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられる。
正孔輸送層3を形成する正孔輸送材料は、特に限定されないが、CuI、CuNCS等の無機材料、および、特開2001−291534号公報の段落番号0209〜0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。有機正孔輸送材料としては、好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子、2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心原子を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン化合物、トリフェニレン化合物、含窒素複素環化合物または液晶性シアノ化合物が挙げられる。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンゾアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されないが、50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、5nm〜5μmがさらに好ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。
本発明において、感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されないが、例えば、0.1〜55μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましく、0.5〜7μmがさらに好ましい。
<第二電極2>
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2を形成する材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)を有するガラスまたはプラスチックが好ましく、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。
第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜1μmが特に好ましい。
<その他の構成>
本発明では、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
<<太陽電池>>
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて構成される。例えば図1に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)および第二電極2に接続される外部回路は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明の太陽電池は、構成物の劣化および蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明の太陽電池は、特に限定されず、本発明に特有の構成以外は、例えば特許文献1や非特許文献1に記載の太陽電池の構成を採用することができる。
<<光電変換素子および太陽電池の製造方法>>
本発明の光電変換素子および太陽電池は、本発明に特有の構成以外は、公知の製造方法、例えば、特許文献1や非特許文献1に記載の方法等に準拠して、製造できる。
以下に、本発明の好ましい実施形態(図1の態様)にかかる光電変換素子および太陽電池の製造方法を簡単に説明する。
導電性支持体11の表面に感光層13を設ける。
<ナノロッドの形成>
ナノロッドは、上述のように常法により形成することができる。例えば、THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY,2014年,第118巻,p.16567〜16573や、J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, p.3985-3990、Angew.Chem.Int.Ed.2003, 42, p.3031−3034の記載を参照し、金属酸化物の結晶を導電性支持体11上に成長させることで形成することができる。
<光吸収剤溶液の調製>
光吸収剤溶液は、上記ペロブスカイト化合物の原料であるMXとAXと溶媒とを含有する。ここで、Aは上述のカチオン性有機基A、Mは上述の金属原子M、Xは上述のアニオン性原子Xである。この光吸収剤溶液において、MXとAXとのモル比は目的に応じて適宜に調整される。
次いで、調製した光吸収剤溶液を、ナノロッド12を形成した導電性支持体11表面(シード層表面)に塗布し、乾燥する。これにより、ナノロッド12とペロブスカイト化合物とを有する感光層13が形成される。
このようにして設けられた感光層13上に正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して正孔輸送層3を形成する。
正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点で、正孔輸送材料の濃度が0.1〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
正孔輸送層3を形成した後に第二電極2を形成して、光電変換素子および太陽電池が製造される。
各層の膜厚は、各分散液または溶液(塗布液)の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調整できる。
上述の各塗布液は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
光電変換素子および太陽電池の製造方法に使用する溶媒または分散媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特にこれに限定されない。本発明においては、有機溶媒が好ましく、さらにアルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはジメチルアセトアミド、または、これらの混合溶媒が好ましい。
各層を形成する溶液または分散剤の塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷、浸漬法等が好ましい。
上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1および第二電極2に外部回路を接続して、太陽電池として用いることができる。
以下に実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[光電変換素子の製造と評価]
<酸化チタンナノロッド基板の調製>
ガラス基板(支持体11a、厚さ2.2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b)を形成し、導電性支持体11を作製した。得られた導電性支持体11の表面をエタノール、蒸留水、アセトンを用いて洗浄し、次いで、UVオゾン洗浄して有機物を除去した。
チタニウムイソプロポキシドのエタノール溶液を、洗浄した導電性支持体11に滴下してスピンコートした(2000rpmで20秒)。10秒静置後、500℃で30分焼成することにより酸化チタンのシード層を作製した。
シード層を形成した導電性支持体11を、20mlの蒸留水に20mlの37質量%塩酸を加えた溶液に浸漬し、5分間超音波処理を行った。
オートクレーブ内に、酸化チタンのシード層を形成した導電性支持体11を設置して、そこに0.7mlのチタニウム(IV)n−ブトキシドを加えた。オートクレーブを密閉し、170℃まで加熱することにより酸化チタンナノロッドを形成させた。反応時間を制御することにより酸化チタンナノロッド12の長辺の長さを調節した。
酸化チタンナノロッド12のアスペクト比は、エチレンジアミン、エチレンジアミン4酢酸、ドデシル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリビニルピロリドン、塩化ナトリウムを添加剤として使用することにより調節した。
得られた酸化チタンナノロッド12は、その長軸方向が、導電性支持体11表面に対して垂直方向に向いていた。
<酸化亜鉛ナノロッド基板の調製>
ガラス基板(支持体11a、厚さ2.2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b)を形成し、導電性支持体11を作製した。得られた導電性支持体11の表面をエタノール、蒸留水、アセトンを用いて洗浄し、次いで、UVオゾン洗浄して有機物を除去した。
5mMの酢酸亜鉛二水和物(アルドリッチ)のエタノール溶液を、洗浄した導電性支持体11に滴下してスピンコートした(2000rpmで20秒)。10秒静置後、150℃で15分間アニールを行った。この操作を3回繰り返すことにより酸化亜鉛のシード層を作製した。
酸化亜鉛ナノロッドを形成させるための溶液は、当量の硝酸亜鉛六水和物とヘキサメチレンテトラミンを蒸留水に溶解させることにより調製した。
酸化亜鉛ナノロッドの短辺の長さは、溶液濃度を20〜35mMの間で調節することにより制御した。酸化亜鉛シード層を形成させた導電性支持体11を上記溶液に浸漬させることによりシード層上に酸化亜鉛ナノロッド12を形成させた。
酸化亜鉛ナノロッドの長辺の長さは浸漬時間を制御することにより調節した。
得られた酸化亜鉛ナノロッド12は、その長軸方向が、導電性支持体11表面に対して垂直方向に向いていた。
− ナノロッドのアスペクト比の測定 −
ナノロッドのアスペクト比は、走査型電子顕微鏡を用いてナノロッドの長辺と短辺を測定することにより算出した。上記で得られた酸化チタンナノロッドと酸化亜鉛ナノロッド12のアスペクト比および長辺の長さを下記表1〜7に示した。
実施例1
<感光層13Aの形成>
エチルアミンの40%エタノール溶液と57質量%のヨウ化水素の水溶液とを、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHCHNHIの粗体を得た。得られた粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で12時間減圧乾燥して、精製CHCHNHIを得た。
次いで、精製CHCHNHIとPbIを、モル比で3:1とし、ジメチルホルムアミド(DMF)中、60℃で5時間攪拌して混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液を調製した。
調製した光吸収剤溶液をスピンコート法(2000rpmで60秒、続けて3000rpmで60秒)により、酸化チタンナノロッド12(アスペクト比:10、長辺の長さ:1000nm)を形成した導電性支持体11上に塗布した。塗布した光吸収剤溶液(a)をホットプレートにより140℃で40分間乾燥して、ペロブスカイト化合物を有する感光層13を形成した。得られたペロブスカイト化合物は(CHCH−NHPbIであった。また、感光層13の厚みはシード層を含めて1.2μmであった。
<正孔輸送層3の形成>
正孔輸送材料としての2,2’,7,7’−Tetrakis[N,N−di(4−methoxyphenyl)amino]−9,9’−spirobifluorene(Spiro−OMeTAD、180mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させた。このクロロベンゼン溶液に、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液(37.5μL)と、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とを加えて混合し、正孔輸送材料溶液を調製した。
次いで、正孔輸送材料溶液を、スピンコート法により、上記感光層13上に塗布し、塗布した正孔輸送材料溶液を乾燥して、正孔輸送層3(膜厚0.5μm)を形成した。
<第二電極2の作製>
蒸着法により金を正孔輸送層3上に蒸着して、第二電極2(膜厚0.3μm)を作製した。
このようにして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
実施例2〜12、比較例1
上記実施例1において、酸化チタンナノロッド12を下記表1に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
実施例13〜24、比較例2
上記実施例1において、CHCHNHIをC10CHCHNHIに変更し、さらに、酸化チタンナノロッド12を下記表2に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
実施例25〜36、比較例3
上記実施例1において、CHCHNHIをCFCHNHIに変更し、さらに、酸化チタンナノロッド12を下記表3に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
実施例37〜46、比較例4
上記実施例1において、酸化チタンナノロッド12を下記表4に記載の酸化亜鉛ナノロッドに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
実施例47〜56、比較例5
上記実施例1において、CHCHNHIをC10CHCHNHIに変更し、さらに、酸化チタンナノロッド12を下記表5に記載の酸化亜鉛ナノロッドに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
実施例57〜66、比較例6
上記実施例1において、CHCHNHIをCFCHNHIに変更し、さらに、酸化チタンナノロッド12を下記表6に記載の酸化亜鉛ナノロッドに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
比較例7、8
上記実施例1において、CHCHNHIをCHNHIに変更し、且つ、精製CHNHIとPbIを、モル比で2:1として混合し、さらに、酸化チタンナノロッド12を表7に記載の酸化チタンナノロッドまたは酸化亜鉛ナノロッドに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示される光電変換素子10を製造した。
上記実施例2〜66、比較例1〜8において、感光層13の厚みはシード層を含めて下記の通りであった。
ナノロッドの長辺が1000nmのとき、1.2μm
ナノロッドの長辺が800nmのとき、1.0μm
ナノロッドの長辺が500nmのとき、700nm
ナノロッドの長辺が300nmのとき、500nm
ナノロッドの長辺が100nmのとき、300nm
ナノロッドの長辺が50nmのとき、250nm
試験例1 短絡電流密度(Jsc)の評価
ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射し、I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定することによりJscを測定した。ナノロッドを形成していない導電性支持体11上に光吸収剤溶液を塗布し、乾燥してペロブスカイト化合物を含む感光層を形成した光電変換素子(表1〜7中の参考例1〜4)のJscを基準として、この基準に対するJscの増加率を下記評価基準により評価した。結果を下記表1に示す。
− Jsc増加率の評価基準 −
A:Jscが基準の1.3倍超
B:Jscが基準の1.2倍超1.3倍以下
C:Jscが基準の1.1倍超1.2倍以下
D:Jscが基準の1.1倍以下
試験例2 耐湿性の評価
− 初期の光電変換効率の測定 −
光電変換効率を以下のようにして評価した。
上記で調製した各光電変換素子について電池特性試験を行って、光電変換効率(η/%)を測定し、初期の光電変換効率(η/%)とした。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「WXS−85H」(WACOM社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)を求めた。
− 耐湿性の評価 −
各光電変換素子の耐湿性を以下のようにして評価した。
上記で初期の光電変換効率を測定した各光電変換素子を、温度45℃、湿度60%RHの暗所に80時間保存してから、上記と同様にして電池特性試験を行って、光電変換効率(η/%)を測定し、保存後の光電変換効率(η/%)とした。
下記式によって表される光電変換効率の低下率から、光電変換素子の耐湿性を下記評価基準に基づき評価した。

低下率(%)=100−{100×(保存後の光電変換効率)/(初期の光電変換効率)}

− 耐湿性評価基準 −
A: 低下率が5%未満
B: 低下率が5%以上20%未満
C: 低下率が20%以上
結果を下記表1〜7に示す。
Figure 0006312252
Figure 0006312252
Figure 0006312252
Figure 0006312252
Figure 0006312252
Figure 0006312252
Figure 0006312252
上記の結果から、ナノロッドのアスペクト比が1の場合(長辺と短辺の長さが同じである場合、すなわち、長辺と短辺の区別がない場合)、感光層中にペロブスカイト化合物とナノロッドを共存させても、光電変換素子のJscはほとんど増加せず、耐湿性にも劣る結果となった(比較例1〜6)。
また、感光層が、アスペクト比が1より大きいナノロッドを含む場合であっても、感光層に含まれるペロブスカイト化合物がAMXで表されるものである場合には、光電変換素子のJscはほとんど向上せず、且つ、耐湿性にも劣る結果となった(比較例7、8)。
これに対し、アスペクト比が1より大きいナノロッドと、AMXで表されるペロブスカイト化合物を共存させた感光層を有する本発明で規定する光電変換素子は、Jscが高められ、優れた光電変換効率を実現可能な素子であることが示され、且つ、耐湿性も高められていることがわかった(実施例1〜66)。
以上の結果から、本発明の光電変換素子ないし太陽電池が優れた光電変換効率を実現可能であり、且つ、優れた耐湿性をも示すことがわかった。
1 第一電極
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 ナノロッド(金属酸化物)
13 感光層(光吸収層)
2 第二電極
3 正孔輸送層
6 外部回路(リード)
10 光電変換素子
100 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 電動モーター

Claims (11)

  1. 光吸収剤を含む感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
    前記感光層が、金属酸化物からなるナノロッドと、前記光吸収剤としてのペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物とを含み、
    前記ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、
    前記のペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が下記式(I)で表される化合物である、光電変換素子:
    式(I) AMX
    式中、Aは下記式(1)で表されるカチオン性有機基を表す。MはPbまたはSbを表す。Xはハロゲン原子を表す。
    式(1) R1a−NH
    式中、R1aは炭素数2〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2以上で5員環または6員環のヘテロアリール基、または下記式(2)で表すことができる基である。
    Figure 0006312252

    式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1b炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2以上で5員環又は6員環のヘテロアリール基を表す。R1cは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2以上で5員環または6員環のヘテロアリール基を表す。*は式(1)のNとの結合位置を表す。
  2. 前記ナノロッドの長辺の長さが1000nm以下である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記ナノロッドの長辺の長さが300〜500nmである、請求項に記載の光電変換素子。
  4. 前記ナノロッドのアスペクト比が1.5〜20である、請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記ナノロッドのアスペクト比が5〜20である、請求項に記載の光電変換素子。
  6. 前記ナノロッドの長辺の長さが300〜500nmであり、且つ、アスペクト比が5〜20である、請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記ナノロッドが、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオディミウム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群から選択される金属の酸化物からなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記ナノロッドが、酸化チタンおよび酸化亜鉛から選ばれる金属酸化物からなる、請求項に記載の光電変換素子。
  9. 前記ナノロッドの長軸が、前記導電性支持体表面に対して垂直方向に向いている、請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 前記第一電極と、前記第二電極との間に正孔輸送層を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
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