以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下、図1、図6、図8ないし図13の紙面手前側を正面として設定すると共に、各図に示す方向を基準に説明する。なお、以下の説明で、「搬送方向」との用語は、シートSの搬送方向を指し、「幅方向」との用語は、搬送方向に直交するシートSの幅方向を指す。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、搬送方向の「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置としての複合機1について説明する。図1は複合機1の内部構造を模式的に示す断面図である。
複合機1は、装置本体2と、画像読取部3と、画像形成部4と、を含んで構成されている。装置本体2は、複合機1の外装を成すように略直方体状に形成されている。画像読取部3は、装置本体2の上部に内設され、画像形成部4は、装置本体2の下側に内設されている。画像読取部3と画像形成部4との間には、胴内空間5が装置本体2を左側から抉るように形成されている。胴内空間5は、前面および左面を開放した左右方向に長い略直方体状の空間として装置本体2に形成されている。
画像読取部3は、原稿の画像情報を光学的に読み取るための要素(図示せず)を含んで構成されている。画像読取部3の上側には、自動原稿送り装置6が搭載されている。自動原稿送り装置6は、画像読取部3の読み取り位置に向けて原稿を搬送するために設けられている。なお、画像読取部3および自動原稿送り装置6は公知の一般的な構造であるため、詳細な説明は省略する。
画像形成部4は、供給カセット10と、積載トレイ11と、を有している。供給カセット10は、装置本体2の下部に着脱可能に設けられている。供給カセット10の内部には、枚葉のシートS(の束)が収容されている。積載トレイ11は、胴内空間5の底面として形成されている。積載トレイ11には、画像形成されたシートSが積載される。なお、シートSは、紙製に限らず、樹脂フィルム等であってもよい。
画像形成部4は、供給部12と、作像ユニット13と、定着装置14と、排出部15と、を有している。供給部12は、供給カセット10から積載トレイ11まで延びる本体搬送路16の上流端部に設けられている。作像ユニット13は、本体搬送路16の中間部に設けられている。定着装置14は、本体搬送路16の下流側に設けられている。排出部15は、本体搬送路16の下流端部に設けられている。
作像ユニット13は、トナーコンテナ20と、ドラムユニット21と、光走査装置22と、を含んで構成されている。トナーコンテナ20および光走査装置22は、積載トレイ11の下側に設けられている。ドラムユニット21は、光走査装置22の下側に設けられている。
トナーコンテナ20は、例えば、黒色のトナー(現像剤)を収容している。ドラムユニット21は、感光体ドラム23と、帯電装置24と、現像装置25と、転写ローラー26と、クリーニング装置27と、を含んで構成されている。感光体ドラム23は、前後方向に延びる軸周りに回転駆動される。帯電装置24、現像装置25、転写ローラー26およびクリーニング装置27は、感光体ドラム23の周囲に転写プロセス順に配置されている。転写ローラー26は、下側から感光体ドラム23に圧接して転写ニップ部26aを形成している。
排出部15は、画像形成されたシートSを胴内空間5に向けて送り出すために装置本体2に設けられている。排出部15は、排出口15aと、排出ローラー対15bと、を有している。排出口15aは、胴内空間5を構成する右側面5Rに開口している。排出口15aは、装置本体2の内部と胴内空間5とを連通させている。排出ローラー対15bは、排出口15aの内側に配置されている。排出ローラー対15bは、シートSを挟持しつつ回転することで、排出口15aから胴内空間5に向けてシートSを送り出す。
ここで、複合機1の画像形成部4の動作について説明する。複合機1を制御する制御装置(図示せず)は、画像読取部3に読み取られた画像データやパソコン等から送信された画像データに基づいて、画像形成部4に以下のような画像形成処理を実行させる。
帯電装置24は、感光体ドラム23の表面を帯電させる。光走査装置22は、感光体ドラム23に向けて画像データに対応した露光(図1の破線矢印参照)を行う。現像装置25は、感光体ドラム23の表面に形成された静電潜像をトナー像に現像する。一方、供給部12は、供給カセット10から本体搬送路16に向けて1枚のシートSを送り出す。シートSは、本体搬送路16を搬送されて転写ニップ部26aまで到達する。転写バイアスが印加された転写ローラー26は、転写ニップ部26aを通過するシートSにトナー像を転写させる。定着装置14は、シートSを加圧しながら加熱して、シートSにトナー像を定着させる。定着処理後のシートSは、排出口15aから積載トレイ11上に排出される。クリーニング装置27は、転写後に感光体ドラム23の表面に残ったトナーを除去する。
ところで、複合機1は、画像形成されたシートS(の束)にステープル処理等の後処理を行う後処理装置7を備えることがある。後処理装置7は、装置本体2の胴内空間5に着脱可能に設けられている。
以下、図2ないし図7を参照して、シート搬送装置としての後処理装置7について説明する。図2は胴内空間5に装着された後処理装置7を示す斜視図である。図3は胴内空間5から引き出された後処理装置7を示す斜視図である。図4は後処理装置7の上側可動ガイド62を閉じた状態を示す斜視図である。図5は後処理装置7の上側可動ガイド62を開いた状態を示す斜視図である。図6は後処理装置7を示す断面図である。図7は後処理装置7の上側可動ガイド62を示す斜視図である。
図2および図3に示すように、後処理装置7は、左右方向に長い略直方体状の筐体30を備えている。筐体30は、スライドガイド部31を介して胴内空間5の内部に配設されている。スライドガイド部31は、筐体30を左右方向にスライド可能に支持している。筐体30の内部には、画像形成されたシートSを通過させる搬送路56が設けられている(図6参照)。筐体30の右側には、搬送路56の上流端部を開放する搬入口30aが開口している(図4参照)。筐体30の左側には、搬出口30bが開口している(図4参照)。
図3ないし図5に示すように、スライドガイド部31は、支持板32と、前後一対のスライドレール33と、前後一対のスライダー34と、を有している。
支持板32は、例えば、板金製であって、平面視で矩形状に形成されている。前後一対のスライドレール33は、それぞれ、左右方向に長く形成されている。前後一対のスライドレール33は、支持板32の前後両端部に固定されている。支持板32および各スライドレール33は、積載トレイ11上(胴内空間5を構成する底面上)に位置決めされて固定されている(図3参照)。前後一対のスライダー34は、筐体30の下面の前後両端部に設けられている。
筐体30は、支持板32および各スライドレール33の上側に配置され、各スライダー34は、上側から各スライドレール33に摺動可能に係合する。後処理装置7は、胴内空間5において、排出部15に隣接する装着位置P1(図2参照)と、排出部15から離間する離脱位置P2(図3参照)と、の間でスライド可能に設けられている。後処理装置7(筐体30)は、装着位置P1に変位した状態で通常使用される。
なお、図4および図5に示すように、後側のスライドレール33の右端部には、コネクター35が設けられている。コネクター35は、ケーブルベア36(登録商標)に担持されたケーブル(図示せず)を介して後処理装置7内の電装部品に電気的に接続されている。胴内空間5を構成する右側面5Rの後部には、上記のコネクター35に接続される相手側コネクター(図示せず)が設けられている。コネクター35が相手側コネクターに接続されることで、後処理装置7は、装置本体2内に設けられた電源(図示せず)や制御装置に電気的に接続される。これにより、後処理装置7に対する電力供給や電気信号等の送受信が可能になる。なお、図示は省略するが、ケーブルベア36は、スライドする筐体30に連動して伸縮するため、コネクター35は、相手側コネクターに接続された状態を維持される。
図6に示すように、後処理装置7は、後処理部40と、搬送ガイド部50と、排出トレイ59と、を筐体30内に備えている。後処理部40は、画像形成されたシートS(の束)に後処理としてのステープル処理を行うために設けられている。搬送ガイド部50は、排出部15から後処理部40に向けてシートSを搬送するために設けられている。排出トレイ59は、筐体30の搬出口30bから左上方向に延設されている。
後処理部40は、複数枚のシートSをスタックして針(ステープル)で綴じるように構成されている。後処理部40は、処理トレイ41と、ステープル装置42と、を有している。
処理トレイ41は、ステープル処理されるシートSを一時的に載置するために設けられている。処理トレイ41は、左側から右側に向けて下り勾配となるように配置されている。ステープル装置42は、端部を揃えた所定枚数のシートSに針を刺し通す綴込み部43を有している。ステープル装置42には、シートSの右端部を当接させて揃える基準フェンス44が設けられている。
搬送ガイド部50は、ガイド部材51と、搬入ローラー対52と、第1搬送ローラー対53と、第2搬送ローラー対54と、搬出ローラー対55と、を有している。ガイド部材51は、排出部15と後処理部40とを連通させる搬送路56を構成している。搬入ローラー対52と各搬送ローラー対53,54とは、排出部15から搬送路56に搬入されたシートSを後処理部40に向けて搬送するために設けられている。搬出ローラー対55は、排出トレイ59に向けてシートSを送り出すために設けられている。
図4ないし図6に示すように、ガイド部材51は、下側固定ガイド60と、上側固定ガイド61と、上側可動ガイド62と、を有している。下側固定ガイド60(固定ガイド)は、搬送路56の下側(一側)を構成している。上側固定ガイド61と上側可動ガイド62(可動ガイド)とは、下側固定ガイド60に対向し搬送路56の上側(他側)を構成している。
下側固定ガイド60は、筐体30を構成する前後一対の板金フレーム30cの間に固定されている(図5参照)。下側固定ガイド60は、搬入口30aから左上方向に延設されている。下側固定ガイド60は、ステープル装置42の上側を覆うように配置されている(図6参照)。
上側固定ガイド61と上側可動ガイド62とは、筐体30の上面を構成している。上側固定ガイド61は、搬送路56の下流側で略水平に配置されている。上側固定ガイド61は、筐体30の前後一対の板金フレーム30cの間に固定されている。上側可動ガイド62は、右側から左側に向けて上り勾配となるように配置されている。
上側可動ガイド62の下流端部には、前後両側面から一対の回動軸63が突設されている(図7参照)。前後一対の回転軸63は、筐体30の前後一対の板金フレーム30cに軸支されている(図4参照)。上側可動ガイド62は、各回動軸63を中心に上下方向に回動する。詳細には、上側可動ガイド62は、搬送路56を構成する通常位置P10(図4および図6参照)と、搬送路56を開放する開放位置P20(図5参照)と、の間で回動(移動)可能に設けられている。開放位置P20は、通常位置P10よりも上方に設定されている。
図6に示すように、搬入ローラー対52は、搬送路56の上流端部(搬入口30a付近)に配置されている。搬入ローラー対52は、搬入駆動ローラー65と、搬入従動ローラー66と、を有している。第1ローラーとしての搬入駆動ローラー65は、下側固定ガイド60の上流端部に回転可能に支持されている。第2ローラーとしての搬入従動ローラー66は、上側可動ガイド62の上流端部に回転可能に支持されている。
搬入駆動ローラー65は、前後方向に延びる回転軸65aに複数(例えば4つ)のコロ65bを固定して構成されている。同様に、搬入従動ローラー66は、回転軸66aに複数(例えば4つ)のコロ66bを固定して構成されている(図7参照)。回転軸66aの前後両端部は、それぞれ、ベアリング(図示せず)に支持されている。前後一対のベアリングは、それぞれ、軸受保持部材67(図7参照)を介して上側可動ガイド62内に上下方向で移動可能に保持されている。
上側可動ガイド62の天面と各軸受保持部材67との間には、前後一対のコイルバネ68が架設されている(図7参照)。付勢部材としての前後一対のコイルバネ68は、それぞれ、軸受保持部材67(ベアリング)を介して回転軸66aを略下側(搬送路56側)に向けて付勢している。したがって、搬入従動ローラー66(各コロ66b)は、上側可動ガイド62を通常位置P10に変位させた状態で、各コイルバネ68に付勢されて搬入駆動ローラー65(各コロ65b)に圧接されている。なお、搬入駆動ローラー65は、必ずしも下側固定ガイド60に設けられる必要はなく、下側固定ガイド60側で筐体30(板金フレーム30c)に回転可能に設けられていてもよい。
第1搬送ローラー対53は、搬送路56の中間部に配置されている。第1搬送ローラー対53は、第1駆動ローラー70と、第1従動ローラー71と、を有している。第1駆動ローラー70は、下側固定ガイド60に回転可能に支持されている。第1従動ローラー71は、上側可動ガイド62に回転可能に支持されている。
第1駆動ローラー70は、前後方向に延びる回転軸70aに複数(例えば2つ)のコロ70bを固定して構成されている。第1従動ローラー71は、2つのローラーブラケット71aに回転可能に支持される2つのコロ71bを有している。図7に示すように、各ローラーブラケット71aは、上側可動ガイド62内で支軸71cを中心に回動可能に支持されている。また、各ローラーブラケット71aは、上側可動ガイド62内に設けられるコイルバネ72によって略下側(搬送路56側)に付勢されている。したがって、第1従動ローラー71(各コロ71b)は、上側可動ガイド62を通常位置P10に変位させた状態で、各コイルバネ72に付勢されて第1駆動ローラー70(各コロ70b)に圧接されている(図6参照)。
図6に示すように、第2搬送ローラー対54は、搬送路56の下流端部(処理トレイ41の上方)に配置されている。第2搬送ローラー対54は、第2駆動ローラー73と、第2従動ローラー74と、を有している。第2駆動ローラー73は、下側固定ガイド60よりも下流側に回転可能に支持されている。第2従動ローラー74は、上側固定ガイド61の上流端部に回転可能に支持されている。なお、第2搬送ローラー対54は、第1搬送ローラー対53と略同一構成であるため、その詳細な説明は省略する。
搬出ローラー対55は、搬出口30b付近に配置されている。搬出ローラー対55は、搬出駆動ローラー75と、搬出従動ローラー76と、を有している。搬出駆動ローラー75は、処理トレイ41の下流端部に回転可能に支持されている。搬出従動ローラー76は、処理トレイ41の上方に配置されたアーム77に回転可能に支持されている。アーム77は、支軸78を中心に上下方向に回動するように構成されている。アーム77が回動することで、搬出従動ローラー76は、搬出駆動ローラー75に圧接する位置(図6の二点鎖線参照)と、搬出駆動ローラー75から離間する位置(図6の実線参照)と、の間で回動する。
以上説明した各ローラー対52〜55の各駆動ローラー65,70,73,75は、駆動モーター(図示せず)の駆動力を受けて回転する。各ローラー対52〜55の各従動ローラー66,71,74,76は、対応する駆動ローラー65,70,73,75に圧接されて従動回転する。
ここで、図6を参照して、後処理装置7の作用について説明する。制御装置は、ユーザーから入力された指示に基づいて、後処理装置7にステープル処理を実行させる。
画像形成されたシートSは、排出部15から搬入口30aを通って搬送路56に搬入される。搬送路56に設けられる複数のローラー対52〜54は、それぞれ、シートSを挟持しつつ回転することで、処理トレイ41に向けてシートSを送り出す。このとき、搬出ローラー対55の搬出従動ローラー76は、搬出駆動ローラー75から離間しているため、シートSは、排出トレイ59に排出されることなく処理トレイ41上に載置される。処理トレイ41上に載置されたシートSは、図示を省略する整合部の動作によってステープル装置42に寄せられ、基準フェンス44に突き当てられる。ステープル装置42(綴込み部43)は、端部を揃えられて積層されたシートSの束を針で綴じる(ステープル処理を実行する)。
ステープル処理の実行後、アーム77が支軸78を中心に下方に回動し、搬出従動ローラー76がシートS(の束)を挟んで搬出駆動ローラー75に圧接する。搬出ローラー対55は、シートS(の束)を挟持しつつ回転することで、排出トレイ59に向けてシートS(の束)を送り出す。シートS(の束)は、搬出口30bから排出トレイ59上に排出される。
一方、ステープル処理を行わない場合、搬出ローラー対55の搬出従動ローラー76は、搬出駆動ローラー75に圧接しており、搬送路56を搬送されてきたシートSは、搬出ローラー対55によって排出トレイ59に向けて送り出される。
ところで、排出部15(搬入口30a)付近や搬送路56において、シートSの搬送不良(所謂シートのジャム)が発生することがある。ジャムが発生した場合、ユーザーは、筐体30を装着位置P1から離脱位置P2にスライドさせた後に(図3参照)、上側可動ガイド62を通常位置P10から開放位置P20に回動させる(図5参照)。本実施形態に係る後処理装置7は、上側可動ガイド62を円滑に開閉させるためのロック機構80を備えている。
次に、図7ないし図9を参照して、ロック機構80について説明する。図8は後処理装置7の上側可動ガイド62を示す側面図である。図9は後処理装置7の上側可動ガイド62を示す側断面図である。
図7に示すように、ロック機構80は、前後一対のロック部材81と、前後一対の接離部材82と、レバー83と、を有している。各ロック部材81と各接離部材82とレバー83とは、搬入従動ローラー66の回転軸66aと平行に延びて上側可動ガイド62に回転可能に支持される連動軸84に固定されている。なお、連動軸84は、搬入従動ローラー66よりも下流側で、上側可動ガイド62を前後方向に貫通して設けられている。
前後一対のロック部材81は、連動軸84の前後両端部に固定され、上側可動ガイド62の前後両側に配置されている。前後一対のロック部材81は、筐体30内に設けられる前後一対の係合ボス85に係合可能に設けられている。なお、係合部としての前後一対の係合ボス85は、筐体30の前後一対の板金フレーム30cから内側に向けて突設されている。
図8に示すように、各ロック部材81は、軸嵌合部90と、支持部91と、カム部92と、を有している。なお、2つのロック部材81は、前後対称に形成されているため、以下、手前側のロック部材81に着目して説明する。
軸嵌合部90には、連動軸84の前端部(一端部)が固定されている。ロック部材81は、連動軸84を中心に左右方向に回動する。詳細には、ロック部材81は、係合ボス85に係合可能なロック位置P30(図8参照)と、係合ボス85から離脱可能なアンロック位置P40(図10参照)と、の間で移動可能に設けられている。
支持部91は、軸嵌合部90から略上方に延設されている。カム部92は、ブロック状に形成され、支持部91の上端部に連設されている。カム部92の外周面には、ロックカム面92aと、スライドカム面92bと、が形成されている。ロックカム面92aは、カム部92の上面に形成されている。スライドカム面92bは、カム部92の右下面に形成されている。スライドカム面92bは、正面視で左側から右側に向けて上り勾配になるように形成されている。ロックカム面92aとスライドカム面92bとの間には、傾斜面92cが形成されている。
各ロックカム面92aは、上側可動ガイド62を通常位置P10に変位させた状態で、各係合ボス85に当接可能に形成されている。各ロック部材81をロック位置P30に変位させることで、各ロックカム面92aが各係合ボス85に当接(係合)する。一方、各スライドカム面92bは、上側可動ガイド62を開放位置P20から通常位置P10に回動させる過程で、各係合ボス85に摺接可能に形成されている(詳細は後述する。)。
図7に示すように、前後一対の接離部材82は、上側可動ガイド62の内部に配置され、前後方向に離間して連動軸84に固定されている。前後一対の接離部材82は、搬入従動ローラー66に係合可能に設けられている。なお、2つの接離部材82は、同一形状であるため、以下、1つの接離部材82に着目して説明する。
図9に示すように、接離部材82は、軸固定部93と、フック部94と、を有している。軸固定部93には、連動軸84が前後方向に貫通して固定されている。フック部94は、軸固定部93から上流側(右側)に向けて延設されている。フック部94は、正面視で、下側から回転軸66aを抱え込むように湾曲(屈曲)して形成されている。つまり、接離部材82は、正面視で略U字状に形成されている。なお、接離部材82は、上側可動ガイド62の下面に露出しており、搬送路56の一部を構成している。
図7に示すように、レバー83は、ユーザーの操作性を考慮して、上側可動ガイド62の前側に配置されている。レバー83は、上側可動ガイド62の前端面と前側のロック部材81との間で連動軸84に回転可能に支持されている。レバー83は、連動軸84周りに自由に回動する。ユーザーがレバー83を回動操作することで、上側可動ガイド62(各ロック部材81)のロックを解除することができる。なお、レバー83は、連動軸84とは異なる軸を介して上側可動ガイド62に回動可能に支持されていてもよい。
ここで、各接離部材82(各フック部94)は、搬入従動ローラー66を介して各コイルバネ68の付勢力を受ける(図9参照)。そして、各接離部材82に作用する付勢力は、連動軸84を介して各ロック部材81に伝達される。したがって、各ロック部材81と各接離部材82とは、各コイルバネ68によって図8および図9で時計回りに付勢されている。すなわち、各コイルバネ68は、搬入従動ローラー66と各接離部材82とを介して各ロック部材81をロック位置P30に向けて付勢している。また、上側可動ガイド62を通常位置P10に変位させた状態で、搬入従動ローラー66が搬入駆動ローラー65から受ける反力は、ロックカム面92aを係合ボス85に押し付ける(図8参照)。このように、各ロックカム面92aが各係合ボス85に当接することで、上側可動ガイド62を通常位置P10に保持することができる。
次に、図10ないし図13を参照して、後処理装置7のジャム処理について説明する。図10は後処理装置7の上側可動ガイド62の開放動作を示す側面図である。図11は後処理装置7の上側可動ガイド62の開放動作を示す側断面図である。図12は後処理装置7の上側可動ガイド62の閉鎖動作を示す側面図である。図13は後処理装置7の上側可動ガイド62の閉鎖直前の状態を示す側面図である。
ジャムが発生した場合、ユーザーは、筐体30(後処理装置7)を各スライドレール33に沿って搬送方向(左側)にスライドさせる(図3参照)。筐体30を装着位置P1から離脱位置P2にスライドさせると、胴内空間5の右側面5R(排出部15)と筐体30との間には、ジャム処理を行うための作業空間Wが形成される(図3参照)。
続いて、ユーザーは、作業空間Wに手を差し入れて、搬送路56を開放するために上側可動ガイド62を通常位置P10から開放位置P20に回動(移動)させる(開放動作の実行)。詳細には、図10に示すように、ユーザーは、レバー83を引き上げるように(反時計回りに)回動させる。すると、前側のロック部材81は、回動するレバー83に押圧されて反時計回りに回動する。同時に、連動軸84を介して後側のロック部材81および前後一対の接離部材82も反時計回りに回動する。各ロック部材81の回動に伴って、各係合ボス85は、各ロックカム面92a上を相対的に摺動し、各ロックカム面92aから相対的に離脱する。以上のように、各ロック部材81は、回動するレバー83に押圧されてロック位置P30からアンロック位置P40に回動する、(以下、「ロック解除」ともいう。)。
図11に示すように、各接離部材82(各フック部94)は、ロック位置P30からアンロック位置P40に回動する各ロック部材81に連動して、反時計回りに回動する。すると、各接離部材82(各フック部94)は、回転軸66aの下側に当接(係合)し、各コイルバネ68の付勢力に抗して搬入駆動ローラー65から搬入従動ローラー66を引き離すように移動する。つまり、第2従動ローラー74が第2駆動ローラー73から押し上げられ、搬入ローラー対52のニップが解除される。
そして、ユーザーは、レバー83を把持したまま、更に上側可動ガイド62を上方に回動させる(図10の二点鎖線参照)。これにより、上側可動ガイド62が開放位置P20に変位し、搬送路56が開放される。そして、ユーザーは、搬送路56に詰まったシートSを除去する。なお、図示は省略するが、上側可動ガイド62には、磁石が設けられている。磁石が胴内空間5の天面に磁気的に密着することで、上側可動ガイド62は開放位置P20に保持される。
なお、ユーザーがレバー83から手を離すと、各ロック部材81は、各コイルバネ68の付勢力によって、アンロック位置P40からロック位置P30に回動する(図12の二点鎖線参照)。なお、上側可動ガイド62を開放位置P20に変位させると、第1搬送ローラー対53の第1従動ローラー71は、第1駆動ローラー70から離間する。
ここで、仮に、搬入駆動ローラー65に搬入従動ローラー66を圧接させたまま上側可動ガイド62を開放した場合、搬入従動ローラー66が搬入駆動ローラー65からの反力を受け、搬入従動ローラー66を支持する上側可動ガイド62は意図せず上方に飛び跳ねることがある。これに対し、本実施形態に係る複合機1(後処理装置7)によれば、各ロック部材81がロック位置P30からアンロック位置P40に移動することで、搬入従動ローラー66に係合した各接離部材82は、搬入駆動ローラー65から搬入従動ローラー66を引き離すように移動する。つまり、ロック解除に連動して、搬入駆動ローラー65に対する搬入従動ローラー66の押圧が解除される。これにより、各ローラー65,66間に働く力に影響されることなく、円滑に上側可動ガイド62を移動させることができる。そして、ジャム(シートSの搬送不良)処理に伴う操作性を良好なものとすることができる。
次に、ユーザーは、作業空間Wに手を差し入れて、搬送路56を閉鎖するために上側可動ガイド62を開放位置P20から通常位置P10に回動(移動)させる(閉鎖動作の実行)。
図12に示すように、上側可動ガイド62を開放位置P20から下方に回動させると、各係合ボス85は、ロック位置P30に変位した各ロック部材81のスライドカム面92bに当接する。そして、上側可動ガイド62を開放位置P20から通常位置P10に回動させる過程で、各係合ボス85は、各ロック部材81のスライドカム面92b上を相対的に摺動する。
図13に示すように、上側可動ガイド62の回動(閉鎖動作)が進むと、各ロック部材81は、各係合ボス85からの反力を受けてロック位置P30からアンロック位置P40に(反時計回りに)回動する。以上のように、各ロック部材81は、各係合ボス85に摺接することでロック位置P30からアンロック位置P40に回動する。
各ロック部材81の回動と同時に、連動軸84を介して各接離部材82も反時計回りに回動する(図11参照)。すると、上記した上側可動ガイド62の開放動作と同様に、各接離部材82(各フック部94)は、回転軸66aの下側に当接し、各コイルバネ68の付勢力に抗して搬入従動ローラー66を押し上げる。
上側可動ガイド62が通常位置P10まで変位すると、各ロック部材81は、各コイルバネ68の付勢力によって、アンロック位置P40からロック位置P30に(時計回りに)回動する(図8参照)。すなわち、各係合ボス85は、各ロック部材81のスライドカム面92bから傾斜面92cを通ってロックカム面92aに向けて相対的に摺動する。このように、各スライドカム面92bが各係合ボス85に摺接することで、搬入駆動ローラー65から搬入従動ローラー66を引き離す方向に各接離部材82を回動させることができる。これにより、上側可動ガイド62は通常位置P10に保持される。
また、各接離部材82は、アンロック位置P40からロック位置P30に回動する各ロック部材81に連動して、時計回りに回動する(図9参照)。すると、各接離部材82は、搬入従動ローラー66の押し上げを解除し、搬入従動ローラー66は、各コイルバネ68に付勢されて第2駆動ローラー73に圧接される(図6参照)。最後に、ユーザーは、筐体30を離脱位置P2から装着位置P1にスライドさせる(図2参照)。
ここで、仮に、搬入駆動ローラー65に搬入従動ローラー66を圧接させながら上側可動ガイド62を閉鎖した場合、搬入従動ローラー66が搬入駆動ローラー65から受ける反力が抵抗になるため、上側可動ガイド62を適切に閉じることができないことがある。これに対し、本実施形態に係る複合機1(後処理装置7)によれば、上側可動ガイド62を開放位置P20に変位させた状態で、各ロック部材81は、各コイルバネ68に付勢されてロック位置P30に変位する。上側可動ガイド62を開放位置P20から通常位置P10に回動させると、各ロック部材81は、各係合ボス85に摺接しながらロック位置P30からアンロック位置P40に回動する。各ロック部材81の回動に伴って、搬入従動ローラー66に係合した各接離部材82は、搬入駆動ローラー65から搬入従動ローラー66を引き離すように回動する。したがって、搬入駆動ローラー65に対する搬入従動ローラー66の押圧が解除された状態で、上側可動ガイド62は通常位置P10に変位する。これにより、適切かつ容易に上側可動ガイド62を通常位置P10に戻すことができる。
なお、本実施形態に係る後処理装置7(後処理部40)は、シートSに対する後処理としてステープル処理を行っていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、後処理部40は、ステープル処理に代えて/加えて、シートSに穿孔を実行するように構成されてもよい。また、後処理部40は、シートSを折り畳む機能を備えていてもよい。
なお、本実施形態では、一例として、本発明を複合機1(モノクロ)に適用した場合を説明したが、これに限らず、例えば、カラープリンター、ファクシミリ等に本発明を適用してもよい。
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係るシート搬送装置およびこれを備える画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えや組合せが可能であって、上記実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。