以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図面において同じ参照番号で示された構成要素は、同一の又は類似の構成要素である。
図1は、本発明の実施形態に係るPWM信号発生装置を有する電力供給装置の構成例を示す回路図である。図1の電力供給装置(P)は、コンバータ(2)と、平滑コイル(3)と、平滑コンデンサ(4)と、インバータ(5)と、PWM信号発生装置としてのコントローラ(7)とを有する。
コンバータ(2)は、ブリッジ状に結線された6個のダイオード(Dr)を有し、三相交流電源(1)の三相交流を直流に変換して出力する。平滑コイル(3)及び平滑コンデンサ(4)は、コンバータ(2)から出力された直流電圧を平滑する。インバータ(5)は、U相、V相、及びW相にそれぞれ対応し、並列に接続された3つのレグを有する。各レグは、直列に接続された2個のスイッチング素子としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)(Tr)と、これらのIGBT(Tr)の各々に逆並列に接続された2個の還流ダイオード(Dw)とを有する。インバータ(5)は、平滑された直流電圧を三相交流電圧に変換し、三相モータ(6)に出力する。三相モータ(6)は、例えば、空気調和装置や冷凍装置が有する圧縮機を回転駆動するためのモータである。
本実施形態では、スイッチング素子としてIGBTを用いる場合について説明するが、スイッチング素子として、他の種類のトランジスタ等、他の素子を用いてもよい。インバータ(5)及びモータ(6)は、三相用のものには限らない。例えば、インバータ(5)及びモータ(6)は、単相用のものであってもよい。また、図1の電力供給装置(P)は、コンバータ(2)、平滑コイル(3)、及び平滑コンデンサ(4)を必ずしも有する必要はなく、インバータ(5)に必要な電圧が供給されるように構成されていればよい。
コントローラ(7)には、三相モータ(6)の各相に流れる電流の検出値(iu,iv,iw)が入力される。コントローラ(7)は、これ等の相電流が三相交流になるように、インバータ(5)に内蔵される6個のIGBT(Tr)への6つのPWM信号を生成し、生成されたPWM信号をこれらのIGBT(Tr)にそれぞれ出力して、三相モータ(6)の回転速度を制御する。
本明細書において、パルス幅は、パルスの期間の長さであって、信号がアクティブ(例えば、高レベル)である期間、又は非アクティブ(例えば、低レベル)である期間の長さである。信号のONパルスは、信号のレベルが、アクティブに変化してから非アクティブに変化するまでのパルスである。信号のOFFパルスは、信号のレベルが、非アクティブに変化してからアクティブに変化するまでのパルスである。
図2は、図1のコントローラ(7)の構成例を示すブロック図である。図3は、上アーム用のPWM信号(CU)のOFFパルスに対してパルス幅の制限を行わない場合の、図2のコントローラ(7)における信号の例を示すグラフである。コントローラ(7)は、信号生成器(12)と、パルス幅制御部(14)と、コンパレータ(16)とを有する。
信号生成器(12)は、複数のアップダウンカウンタを有し、各カウンタは、クロックに従ってインクリメント及びデクリメントを繰り返す。信号生成器(12)は、各カウンタのカウント値(WU,WL等)をコンパレータ(16)に出力する。カウント値(WU,WL等)は、それぞれ、三角波(キャリア)を構成する。つまり、各カウンタは、三角波を生成してコンパレータ(16)に出力する。パルス幅制御部(14)は、PWM信号を生成するための指令値を生成する。指令値は、三角波の1周期内では1つの値を有する。U相に関しては、パルス幅制御部(14)は、三角波の各周期に対して、それぞれ1つの値を、指令値に応じてしきい値(TH)として決定し、コンパレータ(16)に出力する。パルス幅制御部(14)は、V相及びW相のそれぞれに関しても同様に、指令値に応じてしきい値(TH)を決定し、コンパレータ(16)に出力する。指令値は、PWM信号発生装置の外部からパルス幅制御部(14)に入力されてもよい。
図3においては、信号生成器(12)から出力された三角波について、周期(PA,PB)とその前後における波形が示されている。三角波の1周期は、カウント値(WU)が最小値から所定の値(例えば周期(PA)の中央における値)に上昇するまでの時間と、カウント値(WU)がこの所定の値から最小値に下降するまでの時間との和である。三角波の波形は、図3のように複数の直線で表されており、三角波は、これを表す各直線の延長部分を含む。例えば、三角波には、カウント値(WU)を表す2本の直線の、各周期(PA,PB等)の中央付近にある交点より上の部分、及び、カウント値(WL)を表す2本の直線の、周期(PA,PB等)の境界付近にある交点より下の部分が、延長部分として含まれる。周期(PA)とその前後(周期(PA)において三角波(カウント値(WL))を表す2本の直線の延長部分の期間)において、パルス幅制御部(14)は、周期(PA)に対応するしきい値(TH)として、しきい値(TA)を決定して出力する。
コンパレータ(16)は、各周期の三角波(延長部分を含む)と、その周期に対応するしきい値(TH)とを比較し、比較結果をPWM信号(CU)として出力する。より具体的には、コンパレータ(16)は、カウント値(WU)としきい値(TH)とを比較し、比較結果をPWM信号(CU)として出力する。また、コンパレータ(16)は、カウント値(WL)としきい値(TH)とを比較し、比較結果をPWM信号(CL)として出力する。PWM信号(CU)は、インバータ(5)の例えばU相の上アームのIGBT(Tr)に与えられ、PWM信号(CL)は、このIGBT(Tr)と同じ相の下アームのIGBT(Tr)に与えられる。V相及びW相のそれぞれに関しても、パルス幅制御部(14)は、PWM信号を生成するための指令値からV相又はW相のしきい値(TH)を決定し、コンパレータ(16)は、カウント値(WU)とV相又はW相のしきい値(TH)との比較、及びカウント値(WL)とV相又はW相のしきい値(TH)との比較を行う。以下ではU相に関して説明を行うが、V相及びW相に関しても同様に説明することができる。
図3を参照して説明する。コンパレータ(16)は、カウント値(WU)としきい値(TA)とを比較し、カウント値(WU)の方が大きい場合にはPWM信号(CU)をアクティブにし(その信号に対応するIGBT(Tr)がONになる)、その他の場合にはPWM信号(CU)を非アクティブにする(その信号に対応するIGBT(Tr)がOFFになる)。コンパレータ(16)は、カウント値(WL)としきい値(TA)とを比較し、カウント値(WL)の方が小さい場合にはPWM信号(CL)をアクティブにし、その他の場合にはPWM信号(CL)を非アクティブにする。カウント値(WL)が、周期(PA)の直前の下限値から周期(PA)の中央の上限値に達するまで、及び、周期(PA)の中央の上限値から周期(PA)の直後の下限値に達するまでの期間において、このカウント値(WL)はしきい値(TA)と比較される。他の周期においても、その周期のしきい値との比較が同様に行われる。
同様に、周期(PB)とその前後において、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TH)として、しきい値(TB)を出力する。しきい値(TA)の場合と同様に、コンパレータ(16)は、カウント値(WU)としきい値(TB)との比較、及びカウント値(WL)としきい値(TB)との比較を行い、比較結果をPWM信号(CU,CL)として出力する。しきい値(TA,TB)の両方が用いられる期間においては、PWM信号(CU又はCL)が非アクティブとなる比較結果を優先する。パルス幅制御部(14)は、同様に、他の周期とその前後においても、その周期に対応する値をしきい値(TH)として出力する。
PWM信号(CU,CL)のOFFパルスの幅が短いと、還流ダイオード(Dw)に流れるリカバリー電流が大きくなり、IGBT(Tr)が破壊されることがある。また、IGBT(Tr)が短いONパルスやOFFパルスに反応せず、スイッチングが行われない場合がある。このように、短いパルスには問題があるので、PWM信号(CU,CL)のONパルスの幅及びOFFパルスの幅の最小値(最小パルス幅)が予め決められている。したがって、PWM信号(CU,CL等)のパルスの幅が常に最小パルス幅以上となることが必要である。
PWM制御においては、例えば二相変調や過変調を行う場合には、2周期以上にわたってスイッチングを行わない期間を確保しなければならない場合がある。図3を含めて以下では、このような、スイッチングを行わない期間を連続して確保しなければならない場合について説明する。
図3の場合、しきい値(TB)を用いると、PWM信号(CU)が非アクティブになる期間の長さ(OFFパルスの幅)が、最小パルス幅未満になる(領域(A))。パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)を用いて、この期間の後においてPWM信号(CU)を連続してアクティブにし、PWM信号(CL)を連続して非アクティブにする。このため、インバータ(5)においてスイッチングが行われない期間が、周期(PB)以降において連続して確保されている。
図4は、上アーム用のPWM信号(CU)のOFFパルスに対してパルス幅の制限を行う場合の信号の例を示すグラフである。図3の領域(A)におけるPWM信号(CU)のOFFパルスの幅が最小パルス幅以上になるようにするために、図4のようにしきい値(TB)が大きくなるように変更されると仮定する。これにより、このパルスの幅が大きくなり、パルス幅は最小パルス幅以上になる。ところが、しきい値(TB)の値が大きくなるので、周期(PB)の終わりにおいて、OFFパルスが発生してしまう(領域(B))。したがって、周期(PB)以降においてスイッチングが行われない期間を連続して確保することができない。
図5は、上アーム用のPWM信号(CU)のOFFパルスに対してパルス幅の制限を行う場合の、図2のコントローラ(7)における信号の例を示すグラフである。図3に示されているように、周期(PB)に対応するしきい値(TH)として、しきい値(TB)が決定され、このしきい値(TB)が用いられると、コンパレータ(16)から出力されるPWM信号(CU)のOFFパルスの幅(PWM信号(CU)が非アクティブになる期間の長さ)が、所定の最小パルス幅未満になる(図3の領域(A))。このOFFパルスは、しきい値(TH)に従って終了する。
このような場合には、図5のように、パルス幅制御部(14)は、周期(PB)に対応するしきい値(TH)を、OFFパルスの幅が最小パルス幅以上になるように変更する。具体的には、パルス幅制御部(14)は、図3の領域(A)におけるパルスの幅が最小パルス幅以上になるように、しきい値(TH)をしきい値(TB)より大きなしきい値(TB1)に変更する。これにより、このパルスの幅が大きくなり、パルス幅は最小パルス幅以上になる。
このOFFパルスの終了後、しきい値(TH)が変更された周期(PB)内において、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)が用いられた場合と同じPWM信号(CU,CL)が得られるように、しきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。パルス幅制御部(14)は、例えば周期(PB)の後半において用いられるしきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。図5のしきい値(TB2)はしきい値(TB)に等しいので、図5の領域(B)においてはパルスが発生しない。このように、図5の場合には、PWM信号(CU)のパルス幅を最小パルス幅以上になるように制限しても、周期(PB)以降においてスイッチングが行われない期間を、例えば三角波の2周期以上にわたって、連続して確保することができる。なお、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)がしきい値(TH)として用いられてもOFFパルスの幅が所定の最小パルス幅未満にならない場合には、しきい値(TH)をしきい値(TB1)に変更しない。また、パルスの期間には、そのパルスの開始点及び終了点を含む。
図6は、下アーム用のPWM信号(CL)のONパルスに対してパルス幅の制限を行わない場合の、図2のコントローラ(7)における信号の例を示すグラフである。図6の場合、しきい値(TB)を用いると、PWM信号(CL)がアクティブになる期間の長さ(ONパルスの幅)が、最小パルス幅未満になる(領域(A))。パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)を用いて、この期間の後においてPWM信号(CL)を連続して非アクティブにし、周期(PB)以降においてPWM信号(CU)を連続してアクティブにする。このため、インバータ(5)においてスイッチングが行われない期間が、周期(PB)以降において連続して確保されている。
図7は、下アーム用のPWM信号(CL)のONパルスに対してパルス幅の制限を行う場合の信号の例を示すグラフである。図6の領域(A)におけるONパルスの幅が最小パルス幅以上になるようにするために、図7のようにしきい値(TB)が大きくなるように変更されると仮定する。これにより、このパルスの幅が大きくなり、パルス幅は最小パルス幅以上になる。ところが、しきい値(TB)の値が大きくなるので、周期(PB)の終わりにおいて、PWM信号(CU)にOFFパルスが発生してしまう(領域(B))。したがって、周期(PB)以降においてスイッチングが行われない期間を連続して確保することができない。
図8は、下アーム用のPWM信号(CL)のONパルスに対してパルス幅の制限を行う場合の、図2のコントローラ(7)における信号の例を示すグラフである。図6に示されているように、周期(PB)に対応するしきい値(TH)として、しきい値(TB)が決定され、このしきい値(TB)が用いられると、コンパレータ(16)から出力されるPWM信号(CL)のONパルスの幅(PWM信号(CL)がアクティブになる期間の長さ)が、所定の最小パルス幅未満になる(図6の領域(A))。このONパルスは、しきい値(TH)に従って終了する。
このような場合には、図8のように、パルス幅制御部(14)は、周期(PB)に対応するしきい値(TH)を、ONパルスの幅が最小パルス幅以上になるように変更する。具体的には、パルス幅制御部(14)は、図6の領域(A)におけるパルスの幅が最小パルス幅以上になるように、しきい値(TH)をしきい値(TB)より大きなしきい値(TB1)に変更する。これにより、このパルスの幅が大きくなり、パルス幅は最小パルス幅以上になる。
このONパルスの終了後、しきい値(TH)が変更された周期(PB)内において、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)が用いられた場合と同じPWM信号(CU,CL)が得られるように、しきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。パルス幅制御部(14)は、例えば周期(PB)の後半において用いられるしきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。図8のしきい値(TB2)はしきい値(TB)に等しいので、図8の領域(B)においてはパルスが発生しない。このように、図8の場合には、PWM信号(CL)のパルス幅を最小パルス幅以上になるように制限しても、周期(PB)以降においてスイッチングが行われない期間を、例えば三角波の2周期以上にわたって、連続して確保することができる。なお、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)がしきい値(TH)として用いられてもONパルスの幅が所定の最小パルス幅未満にならない場合には、しきい値(TH)をしきい値(TB1)に変更しない。
図9は、下アーム用のPWM信号(CL)のOFFパルスに対してパルス幅の制限を行わない場合の、図2のコントローラ(7)における信号の例を示すグラフである。図9の場合、しきい値(TB)を用いると、PWM信号(CL)が非アクティブになる期間の長さ(OFFパルスの幅)が、最小パルス幅未満になる(領域(A))。パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)を用いて、この期間の後においてPWM信号(CL)を連続してアクティブにし、PWM信号(CU)を連続して非アクティブにする。このため、インバータ(5)においてスイッチングが行われない期間が、周期(PB)以降において連続して確保されている。
図10は、下アーム用のPWM信号(CL)のOFFパルスに対してパルス幅の制限を行う場合の信号の例を示すグラフである。図9の領域(A)におけるOFFパルスの幅が最小パルス幅以上になるようにするために、図10のようにしきい値(TB)が小さくなるように変更されると仮定する。これにより、このパルスの幅が大きくなり、パルス幅は最小パルス幅以上になる。ところが、しきい値(TB)の値が小さくなるので、周期(PB)の終わりにおいて、PWM信号(CL)にOFFパルスが発生してしまう(領域(B))。したがって、周期(PB)以降においてスイッチングが行われない期間を連続して確保することができない。
図11は、下アーム用のPWM信号(CL)のOFFパルスに対してパルス幅の制限を行う場合の、図2のコントローラ(7)における信号の例を示すグラフである。図9に示されているように、周期(PB)に対応するしきい値(TH)として、しきい値(TB)が決定され、このしきい値(TB)が用いられると、コンパレータ(16)から出力されるPWM信号(CL)のOFFパルスの幅(PWM信号(CL)が非アクティブになる期間の長さ)が、所定の最小パルス幅未満になる(図9の領域(A))。このOFFパルスは、しきい値(TH)に従って終了する。
このような場合には、図11のように、パルス幅制御部(14)は、周期(PB)に対応するしきい値(TH)を、OFFパルスの幅が最小パルス幅以上になるように変更する。具体的には、パルス幅制御部(14)は、図9の領域(A)におけるパルスの幅が最小パルス幅以上になるように、しきい値(TH)をしきい値(TB)より小さなしきい値(TB1)に変更する。これにより、このパルスの幅が大きくなり、パルス幅は最小パルス幅以上になる。
このOFFパルスの終了後、しきい値(TH)が変更された周期(PB)内において、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)が用いられた場合と同じPWM信号(CU,CL)が得られるように、しきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。パルス幅制御部(14)は、例えば周期(PB)の後半において用いられるしきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。図11のしきい値(TB2)はしきい値(TB)に等しいので、図11の領域(B)においてはパルスが発生しない。このように、図11の場合には、PWM信号(CL)のパルス幅を最小パルス幅以上になるように制限しても、周期(PB)以降においてスイッチングが行われない期間を、例えば三角波の2周期以上にわたって、連続して確保することができる。なお、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)がしきい値(TH)として用いられてもOFFパルスの幅が所定の最小パルス幅未満にならない場合には、しきい値(TH)をしきい値(TB1)に変更しない。上アーム用のPWM信号(CU)のONパルスの幅が最小パルス幅未満となる場合に、同様に、コントローラ(7)は、そのパルス幅の制限を行ってもよい。これについても同様に説明することができるが、ここでは説明を省略する。
PWM信号(CU,CL)のパルス幅が最小パルス幅未満となる場合には、コントローラ(7)は、そのパルス幅を零にしてもよい。ここで、パルス幅が零というのは、そのパルスが発生しないということを意味する。以下ではこのような例について説明する。
図12は、下アーム用のPWM信号(CL)のONパルスに対してパルス幅の制限を行わない場合の、図2のコントローラ(7)における信号の他の例を示すグラフである。図13は、下アーム用のPWM信号(CL)のONパルスに対してパルス幅の制限を行う場合の、図2のコントローラ(7)における信号の他の例を示すグラフである。図12に示されているように、周期(PB)に対応するしきい値(TH)として、しきい値(TB)が決定され、このしきい値(TB)が用いられると、コンパレータ(16)から出力されるPWM信号(CL)のONパルスの幅(PWM信号(CL)がアクティブになる期間の長さ)が、所定の最小パルス幅未満になる(図12の領域(A))。このONパルスは、しきい値(TH)に従って終了する。
このような場合には、図13のように、パルス幅制御部(14)は、周期(PB)に対応するしきい値(TH)を、ONパルスの幅が零になるように変更してもよい。具体的には、パルス幅制御部(14)は、図12の領域(A)におけるパルスの幅が零になるように、しきい値(TH)をしきい値(TB)より小さなしきい値(TB1)に変更する。これにより、このパルスが生じなくなる。
その後、図12の領域(A)におけるONパルスの終了時点の後に、しきい値(TH)が変更された周期(PB)内において、パルス幅制御部(14)は、しきい値(TB)が用いられた場合と同じPWM信号(CU,CL)が得られるように、しきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。パルス幅制御部(14)は、例えば周期(PB)の後半において用いられるしきい値(TH)をしきい値(TB2)に変更する。図13のしきい値(TB2)はしきい値(TB)に等しい。
このように、図13の例によると、PWM信号(CL)のパルス幅が零になるようにすることができ、しきい値(TH)をしきい値(TB1)に変更したことによる影響は、しきい値(TH)としてしきい値(TB2)が用いられる期間において生じない。PWM信号(CL)のOFFパルスや上アーム用のPWM信号(CU)のパルスの幅が最小パルス幅未満となる場合に、同様に、コントローラ(7)は、そのパルス幅を零にしてもよい。これについても同様に説明することができるが、ここでは説明を省略する。
本明細書における各機能ブロックは、典型的にはハードウェアで実現され得る。例えば各機能ブロックは、IC(集積回路)の一部として半導体基板上に形成され得る。ここでICは、LSI(large-scale integrated circuit)、ASIC(application-specific integrated circuit)、ゲートアレイ、FPGA(field programmable gate array)等を含む。代替としては各機能ブロックの一部又は全ては、ソフトウェアで実現され得る。例えばそのような機能ブロックは、プロセッサ及びプロセッサ上で実行されるプログラムによって実現され得る。換言すれば、本明細書で説明される各機能ブロックは、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの任意の組合せで実現され得る。
本発明の多くの特徴及び優位性は、記載された説明から明らかであり、よって添付の特許請求の範囲によって、本発明のそのような特徴及び優位性の全てをカバーすることが意図される。更に、多くの変更及び改変が当業者には容易に可能であるので、本発明は、図示され記載されたものと全く同じ構成及び動作に限定されるべきではない。したがって、全ての適切な改変物及び等価物は本発明の範囲に入るものとされる。