JP6309798B2 - 補強用繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴムやセメント、プラスチック等の補強に用いられる熱可塑性樹脂繊維とその製造方法に関する。
ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール系繊維などの熱可塑性樹脂繊維は産業資材用途として広く使用されている。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと称する場合がある)系繊維は汎用繊維に比べ強度、弾性率が高く、産業資材用としてはもちろん、アスベスト代替のセメント補強材、ゴム補強材あるいはプラスチック補強材など補強材分野にも大いに利用されている。
これらの繊維による補強効率については、ゴムやプラスチック、セメント等の各種マトリクス中での繊維の配向、分散等の要因も存在するが、最も基本的な問題は、マトリクスと繊維との接着力、摩擦力、化学結合等の界面結合力である。従って、補強繊維の強度や弾性率が高いものであってもマトリクスとの間の親和性が良くなければその補強効果は期待できず、補強用繊維として求められる特性として、強度や弾性率に加えてマトリクスとの強い結合力が求められる。
熱可塑性樹脂繊維、特にPVA系繊維のゴムやプラスチック、セメントなど各種マトリクスに対する補強効果をさらに改良するため、いくつかの方法が提案されている(例えば特許文献1〜3)。特許文献1、2は、無機微粒子を10%/PVA以上と多量に原液に分散させて紡糸しているため、繊維の強度が5g/dと低い。一方特許文献3は、繊維表面に繊維軸方向に伸びる大小のひだが多数存在するポリビニルアルコール系繊維を開示しているが、該発明の繊維表面のひだ(本発明にいう凹凸)は繊維軸方向に平行に並んでおり、単位体積当たりの接着面積を向上させる効果はあるが、繊維がマトリクスから引き抜かれるように応力を受ける用途の場合には補強効果が十分でない可能性がある。
また、紡糸ノズルの単孔の形状を三角形や星型など異型化し、繊維断面を異型化させることにより接着面積を増大させる検討も従来多数なされており、単位体積当りのマトリクスとの接着面積を増大させる効果はあるものの、繊維軸方向に同一の断面形状であるため引き抜き応力に対して補強効果は十分でなく、また一般的にノズルを異型化した場合には物性面や生産効率面において不具合が生じることが多い。
またエンボスローラーなどで表面に凹凸を加工する方法も従来多数検討されているが、繊維の強度が加工前に比べて低下することや、マルチフィラメントの場合に全ての繊維に加工を施すことが困難といった問題があった。
特開昭56−140112号公報 特開昭56−144271号公報 特公昭62−32144号公報
従って本発明は、マトリクスとの接着性に優れ、なおかつ引き抜き応力に対して特に高い補強効果を発揮する繊維を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、繊維表面に繊維軸方向に対して斜めに筋状の凹凸を付与することによって、マトリクスとの接着性に優れ、なおかつ引き抜き応力に対して特に高い補強効果を発揮させることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、繊維表面の少なくとも一部に筋状の凹凸を有し、前記凹凸が以下の(1)および(2)をともに満足する熱可塑性樹脂からなる繊維である。
(1)前記凹凸が繊維軸方向に対して平均角度20〜70度を成していること
(2)前記凹凸の凸部の平均高さが繊維の平均直径に対して1〜10%であること
前記熱可塑性樹脂からなる繊維は、微粒子を質量比で0.1〜15%含み、該微粒子の平均粒径が2〜95nmであってもよい。
前記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアルコールであってもよい。
また、本発明は、延伸前の繊維表面に微粒子を付与し、その後に延伸することによって得られる、繊維表面に筋状の凹凸を有し、前記凹凸が以下の(1)および(2)をともに満足する熱可塑性樹脂からなる繊維の製造方法を含む。
(1)前記凹凸が繊維軸方向に対して平均角度20〜70度を成していること
(2)前記凹凸の凸部の平均高さが繊維の平均直径に対して1〜10%であること
本発明は、マトリクスとの接着性に優れ、なおかつ引き抜き応力に対して特に高い接着効果を発揮する繊維を提供することができる。
本発明の熱可塑性繊維は、繊維表面の少なくとも一部に筋状の凹凸を有することが重要である。繊維表面に筋状の凹凸を有することにより、マトリクスとの接着面積が大きくなり、接着性が向上する。
前記凹凸は繊維軸方向に対して平均角度20〜70度を成していることが必要である。前記凹凸が繊維軸方向に対して平均角度20〜70度を成すことによって、いわゆるアンカー効果により繊維の抜けを防止することができ、繊維軸に対する角度が大きいほど繊維の抜けを防止する効果が高くなる。前記凹凸の繊維軸方向に対する平均角度が20度未満では、アンカー効果が発現しにくい場合がある。一方70度を超える繊維を作るには延伸倍率を高くすることが出来ず、結果として繊維自体の引張強度が低下するため好ましくない。前記凹凸は繊維軸方向に対して平均角度30〜70度をなしていることが好ましく、40〜70度を成していることがより好ましく、45〜70度を成していることが更に好ましい。
前記凹凸の繊維軸方向に対する平均角度は後述する方法で測定することができる。
前記凹凸の凸部の平均高さは繊維の平均直径に対して1〜10%であることが必要である。前記凸部の平均高さもアンカー効果に影響する。前記凸部の平均高さが1%未満では、アンカー効果が不十分な場合があり、10%を超えると接着効果は大きくなるが、繊維に引張応力を与えた際に凹部に応力が集中するため引張強度が低下する場合がある。また繊維をマトリクスに分散させる際、マトリクスとの表面抵抗が大となり繊維の分散性に問題を生じることがある。前記凹凸の凸部の平均高さは繊維の平均直径に対して1.5〜9%の範囲であることが好ましく、2〜8%の範囲であることがより好ましく、2.5〜7%の範囲であることが更に好ましい。
前記凸部の平均高さは後述する方法で測定することができる。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の平均直径は、5〜1000μmであることが好ましい。平均直径が5μm以上であることで、微粒子の影響により延伸性等生産性に問題が生じる可能性を低くすることができ、1000μm以下であると、発生する凹凸の凸部の平均高さが平均直径に対して適切な比率となり、アンカー効果が十分発揮される。本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の平均直径は7〜800μmであることがより好ましく、9〜700μmであることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の平均直径は後述する方法で測定することができる。
本発明の熱可塑性繊維は、微粒子を熱可塑性樹脂に対する質量比で0.1〜15%含むことが好ましい。微粒子の含有量が0.1%以上であることで、繊維表面に望ましく凹凸が形成され、15%以下であると、高強度の繊維を得るための延伸性を確保することができ、補強用繊維として相応しい繊維を得ることができる。微粒子の含有量は、微粒子分散液の濃度や付与方法によって調整することが可能である。微粒子の含有量は1〜13%であることがより好ましく、3〜10%であることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性繊維中の微粒子の含有量は、後述する得られた繊維の焼成残渣量を測定する方法で測定することができる。
前記微粒子の平均粒径は、2〜95nmであることが好ましい。平均粒径がこの範囲にあることで、繊維表面に望ましく凹凸が形成される。特に平均粒径が95nm以下であると、繊維の内部に微粒子が浸透しやすくなる。前記微粒子の平均粒径は、3〜70nmであることがより好ましく、4〜50nmであることが更に好ましく、5〜30nmであることが特に好ましい。
前記微粒子の組成は特に限定されず、無機微粒子であっても、有機微粒子であっても、また有機無機ハイブリッドからなるものであってもよいが、入手しやすさ等の点から無機微粒子であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の繊度は、特に限定されるものではないが、繊維の分散性や強度、補強効果の点から0.3〜10000dtexであることが好ましく、0.5〜6000dtexであることがより好ましく、1〜4000dtexであることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の引張強度は、補強効果の点から、6cN/dtex以上であることが好ましく、7cN/dtex以上であることがより好ましく、8cN/dtex以上であることが更に好ましく、9cN/dtex以上であることが特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の破断伸度は3〜20%であることが好ましい。破断伸度が3%以上であることで、繊維の製造において延伸工程性が良好に維持でき、該繊維を添加した成形体における耐衝撃強度が向上する。また、破断伸度が20%以下であると、曲げ強度等においても十分な補強効果が得られる。本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の破断伸度は4〜15%であることがより好ましく、5〜10%であることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の形状は特に限定されず、円形や楕円形は勿論のこと馬蹄形や星型などから適宜選択できるが、引張強度や生産性の面から円形や楕円形が好ましく、楕円形の場合、a:長半径、b:短半径として、下記式から求められる偏平率fは0.8以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.4以下であることが更に好ましく、0.2以下であることが特に好ましく、円形(偏平率f=0)であることが最も好ましい。
偏平率f=1−(b /a)
本発明における熱可塑性樹脂としては、PVA、エチレン―ビニルアルコール共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂及びABS樹脂等が挙げられるが、特にPVAが強度や接着性の点で好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。アクリル樹脂はメタクリレート及び/又はアクリレート等を用いて得られた樹脂である。本発明ではこれらの熱可塑性樹脂を1種単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における熱可塑性樹脂として用いられるPVA系ポリマーとしては、特に限定されないが、ポリマーの結晶性、機械的性能、難燃性等の点から、粘度平均重合度1000以上であることが好ましく、1500以上であることがより好ましい。また、紡糸性、コストの点から粘度平均重合度は5000以下であることが好ましい。また同様の理由から、ケン化度は98モル%以上であることが好ましく、99モル%以上であることがより好ましく、99.5モル%以上であることが更に好ましい。
PVA系ポリマーには他のモノマーが共重合されていてもよく、共重合成分としては例えばエチレン、酢酸ビニル、イタコン酸、ビニルアミン、アクリルアミド、ピバリン酸ビニル、無水マレイン酸、スルホン酸含有ビニル化合物などが挙げられる。繊維性能、難燃性能等の点からはビニルアルコールユニットを全構成ユニットの70モル%以上含有することが好ましい。
次に本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の製造方法を説明する。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方式は、通常の方法、すなわち、凝固浴に接したノズルから紡糸原液を紡出する湿式紡糸法やゲル紡糸、ノズルと凝固浴の間にエアギャップを設ける乾湿式紡糸、ノズルから乾燥空気中に紡出する乾式紡糸等で行うことができる。
本発明における紡糸原液は、熱可塑性樹脂の溶融原液のほか、熱可塑性樹脂を溶解可能な溶媒に溶解させた原液でも良く、更に目的に応じて種々の添加剤、例えば界面活性剤、酸化防止剤、酸などのpH調整剤、ホウ酸などのゲル化促進剤などを所定量添加してもよい。
本発明では、紡出による繊維形成後から延伸の前までの工程の間に微粒子を分散させた分散液を繊維に付与し、その後延伸する点に特徴がある。繊維への微粒子分散液の付与方法は特に限定されず、分散液中に繊維を通過させる、分散液に半分漬かった回転ローラーの表面に繊維を接触させる、スプレーで分散液を繊維に噴霧する、シリンジから分散液を繊維に滴下するなどの方法などにより行うことができる。また微粒子分散液には目的に応じて種々の添加剤、例えば分散剤、凝集防止剤、増粘剤などを所定量添加しても良い。
繊維表面に凹凸が形成される理由は明らかではないが、微粒子分散液を付与した際に微粒子が繊維の表面に付着するだけでなく、繊維内部に吸収・浸透し、その後の延伸工程において、微粒子が存在する部位と存在しない部位で延伸しやすさに違いが生じるため繊維表面の延伸が不均一となった結果、延伸しやすい部位が凹部に、延伸しにくい部位が凸部となるものと考えられる。前記微粒子を溶解可能な溶媒で本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維を処理した後においても、処理前と同様の凹凸が観察できることから、前記繊維表面の凹凸が繊維表面を覆う微粒子皮膜の開裂によるものではなく、繊維そのものに形成された凹凸であると推測される。
前記方法により微粒子が付与された繊維は、乾燥後、延伸・熱処理される。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維は、破断強度を6cN/dtex以上とするために、延伸熱処理される。この延伸熱処理はPVA系の場合、一般的には温度210℃以上、好ましくは220℃〜260℃の温度で行うのがよく、8倍以上の全延伸倍率、好ましくは10〜25倍の全延伸倍率で延伸すると、繊維の結晶化度と配向度が向上し、それに伴って繊維の機械特性が向上するので好ましい。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔引張強度 cN/dtex、繊度 dtex〕
JISL 1013に準拠し、予め調湿された繊維を試長10cm、変形速度100%/分、初期荷重0.25g/drの条件で引張強度を求め、任意の10点の平均値を求めた。繊度は重量法により求めた。
〔凸部の平均高さ μm〕
繊維表面の凸部の平均高さは、複数の凸部が同一の像の中で確認可能となるよう、電子顕微鏡で繊維の断面を任意の角度を付けて観察した像から凸部の高さを任意の15点で計測し、観察角度によって補正した値を平均して求めた。本発明において凸部の高さとは、任意の隣り合う凹凸の凹部の最も低い点で接線を引き、その接線に平行で、前記凹部の隣の凸部の最も高い点をとおる直線をひき、この平行な2直線間の距離とした。
〔繊維の平均直径 μm〕
繊維の平均直径は、任意の15箇所の繊維の面を電子顕微鏡で観察した像から画像処理等の方法を用いてそれぞれの断面積を求め、真円換算した直径を繊維の直径とし、15箇所での値を平均して求めた。
〔凹凸の繊維軸方向に対する平均角度 度〕
凹凸の繊維軸方向に対する平均角度は、電子顕微鏡で繊維の表面を観察した像において凹凸の繊維軸方向に対する角度を任意の15点で計測し、これらの値を平均して求めた。本発明において凹凸の繊維軸方向に対する角度とは、繊維表面の電子顕微鏡像を観察する際、できるだけ多くの明瞭な凹凸が像の中央部付近にくるよう位置決めを行い、凹凸の境界線が明瞭で、平均繊維直径の10%以上の長さで連続している境線の近似直線と繊維軸とが形成する角の鋭角側の角度とした。
〔微粒子含有量 %〕
2〜50gの絶乾状態に乾燥した後に秤量(A)した繊維を、650℃で4〜8時間焼成し、焼成後の残渣質量を秤量(B)し、下記式により求めた。
微粒子含有量(%)=B/(A−B)×100
また焼成により質量減少する種の微粒子については、別に微粒子のみで焼成残渣率を求めて補正を行った。
〔微粒子の平均粒径 nm〕
微粒子の平均粒径は、大塚電子(株)社製 動的光散乱光度計 DLS−7000を用いて計測した。
〔曲げ応力 N/mm
最大容量50kNの精密万能試験機にて3等分点曲げ試験を供試体3点にて行い、平均最大応力を求めた。
重合度1700、ケン化度99モル%以上の完全ケン化PVAが17質量%、DMSOが83質量%を混合し、窒素置換し、90℃で8時間撹拌溶解した。得られた紡糸原液を90℃に保ち、孔数1、孔径1mmφのノズルを通じて、5℃のメタノール/DMSOの混合質量比が70/30の混合液よりなる固化浴中に湿式紡糸した。得られた糸条を3.5倍湿延伸を施し、メタノールと向流接触させてDMSOを0.15%以下に抽出除去した後、平均粒径が20nmのナノアルミナが20質量%、メタノールが80質量%のナノアルミナ分散液と向流接触させた後、80℃熱風で乾燥し、モノフィラメント状紡糸原糸を得た。次いで230℃で4倍の乾熱延伸を行い、全延伸倍率を14倍とした。得られた繊維の直径は平均で370μmで、断面は縦横比1の真円形で、表面には繊維軸方向に対して平均40度の角度を成した筋状の凹凸が形成され、凸部の高さは10μmで繊維直径対比で2.7%であった。引張強度は9.5cN/dtexであった。
実施例1と同様の手法で紡糸原糸を得て、次いで225℃で3.4倍の乾熱延伸を行い、全延伸倍率を11.9倍とした。得られた繊維の直径は平均で400μmで、断面は縦横比1の真円形で、表面には繊維軸方向に対して平均51度の角度を成した筋状の凹凸が形成され、凸部の高さは13μmで繊維直径対比で3.3%であった。引張強度は8.8cN/dtexであった。
平均粒径が10nmのナノシリカが20質量%、メタノールが80質量%のナノシリカ分散液と向流接触させる以外は実施例1と同様の手法で紡糸原糸を得た。次いで220℃で3.8倍の乾熱延伸を行い、全延伸倍率を13.3倍とした。得られた繊維の直径は平均で350μmで、断面は縦横比1の真円形で、表面には繊維軸方向に対して平均40度の角度を成した筋状の凹凸が形成され、凸部の高さは8μmで繊維直径対比で2.3%であった。引張強度は9.2cN/dtexであった。
比較例1
微粒子分散液と向流接触させる工程を省く以外は実施例1と同様の手法で紡糸原糸を得た。次いで230℃で4倍の乾熱延伸を行い、全延伸倍率を14倍とした。得られた繊維の直径は平均で370μmで、断面は縦横比1の真円形で、表面に凹凸はなく平滑であった。引張強度は9.7cN/dtexであった。
比較例2
平均粒径が1.2μmのナノアルミナが20質量%、メタノールが80質量%のアルミナ分散液と向流接触させる以外は実施例1と同様の手法で紡糸原糸を得た。次いで230℃で4倍の乾熱延伸を行い、全延伸倍率を14倍とした。得られた繊維の直径は平均で370μmで、断面は縦横比1の真円形で、表面には付着したアルミナ粒子と思しき粒状の凸部は若干あるも筋状の凹凸は見られなかった。引張強度は9.3cN/dtexであった。
実施例1、2、3、比較例1、2の繊維を各々12mmに切断し、セメントマトリクスの補強性能を測定した。セメントとしては普通ポルトランドセメントを用い、砂は豊浦標準砂を用いた。水/セメントの質量比率は0.33、砂/セメントの質量比率は1.0とした。撹拌はホバートミキサーを用い、セメント、砂、水を撹拌したのち、繊維を2.5vol%添加し撹拌し、40mm×40mm×160mmの型枠に流しこんだ。20℃×48時間養生した後、脱型して80℃で48時間養生することで測定用供試体を得た。該供試体を精密万能試験機で3点荷重曲げを行い、平均最大曲げ応力を測定した。それぞれの物性データ等を表1に記載した。
重合度1700、ケン化度99モル%以上の完全ケン化PVAが15質量%、ホウ酸が0.2質量%、水が84.8質量%を混合し、90℃で3時間撹拌溶解した。得られた紡糸原液を90℃に保ち、孔数1000、孔径0.08mmφのノズルを通じて、水酸化ナトリウム20g/l、硫酸ナトリウム350g/lからなる固化浴中に湿式紡糸した。得られた糸条を4倍湿延伸を施し、水と向流接触させてホウ酸をPVAに対して0.7%以下に水洗除去した後、平均粒径が20nmのナノアルミナが20質量%、水が80質量%のナノアルミナ水分散液と向流接触させた後、80℃熱風で乾燥し、1000fのマルチフィラメント状紡糸原糸を得た。次いで230℃で4倍の乾熱延伸を行い、全延伸倍率を16倍とした。得られた繊維の直径は平均で15μmで、断面は縦横比1の真円形で、表面には繊維軸方向に対して平均30度の角度を成した筋状の凹凸が形成され、凸部の高さ平均は0.8μmで繊維直径対比で5.3%であった。ヤーンの引張強度は9.8cN/dtexであった。
比較例3
アルミナ水分散液と向流接触させる工程を省く以外は実施例3と同様の手法で紡糸原糸を得た。次いで230℃で4倍の乾熱延伸を行い、全延伸倍率を16倍とした。得られた繊維の直径は平均で15μmで、断面は縦横比1の真円形で、表面に凹凸はなく平滑であった。ヤーンの引張強度は12.3cN/dtexであった。
次いで実施例4、比較例3のヤーンに200t/mの下撚をかけて該下撚糸3本を合わせてさらに200t/mの上撚をかけて生コードにし、RFL液を付与し、100℃×1分間熱風乾燥した後、200×1分間熱風処理を施してディップコードを作製した。得られたディップコードのRFL付着量は5.0質量%であった。次に厚さ3mmのゴムシートを2枚作成し、該ゴムシート間1cmの間に上記ディップコードを挟み、130℃で30分プレスして架橋を行った。このゴムシートを縦10mm、横15mmに切断し、JIS L1017に準じてゴムと繊維を、100mm/分の引張速度で、引き抜き強度を測定した。それぞれの物性データ等を表2に記載した。
Figure 0006309798
Figure 0006309798
本発明の繊維はゴムやセメント、プラスチック等の補強繊維として有用である。
図1および図2は、それぞれ繊維の表面形状を示す電子顕微鏡(200倍)による写真。
実施例1によって得られたPVA繊維の表面形状を示す。 比較例1によって得られたPVA繊維の表面形状を示す。

Claims (3)

  1. 繊維表面の少なくとも一部に筋状の凹凸を有し、前記凹凸が以下の(1)および(2)をともに満足する、微粒子を質量比で0.1〜15%含み、該微粒子の平均粒径が2〜95nmである繊維の平均直径が5〜1000μmである、熱可塑性樹脂からなる繊維。
    (1)前記凹凸が繊維軸方向に対して平均角度20〜70度を成していること
    (2)前記凹凸の凸部の平均高さが繊維の平均直径に対して1〜10%であること
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリビニルアルコールである請求項1に記載の熱可塑性樹脂からなる繊維。
  3. 延伸前の繊維表面に微粒子を付与し、その後に延伸することによって得られる、繊維表面に筋状の凹凸を有し、繊維の平均直径が5〜1000μmであり、前記凹凸が以下の(1)および(2)をともに満足する熱可塑性樹脂からな繊維の製造方法。
    (1)前記凹凸が繊維軸方向に対して平均角度20〜70度を成していること
    (2)前記凹凸の凸部の平均高さが繊維の平均直径に対して1〜10%であること

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