JP2012026049A - ポリアクリロニトリル繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾熱延伸でも充分な延伸倍率が得られるとともに毛羽や糸切れが少ない生産性に優れたポリアクリロニトリル繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリアクリロニトリルを紡糸、凝固、前延伸、乾燥した後さらに後延伸するポリアクリロニトリル繊維の製造方法において、後延伸として複数個のホットローラーを用いた多段延伸を行い、第1ホットローラーの表面温度を160℃以上とし、第2ホットローラー表面温度を200℃以下とするとともに、第2ホットローラーの表面温度が第1ホットローラーの表面温度よりも3℃以上低い、ポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアクリロニトリル繊維の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、乾熱延伸でも充分な延伸倍率が得られるとともに、毛羽や糸切れが少ない生産性に優れたポリアクリロニトリル繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維前駆体であるポリアクリロニトリル(PAN)繊維の製造方法については、従来、湿式紡糸あるいは乾湿式紡糸を行った後、凝固、前延伸、乾燥し、さらにスチームチューブ等を通して後延伸が行われている。ここで、前延伸とは前記した一連の工程の中で凝固に引き続いて行われる延伸のことであり、通常温水中などの浴中で延伸が行われ、浴中延伸とも言われる。一方、後延伸とは前延伸後、一旦糸を乾燥し、さらに追加で行われる延伸を意味する。このように、通常、炭素繊維前駆体であるPAN繊維の製糸においては、大きく言って2回延伸が行われ、最初のものを前延伸と称し、後のものを後延伸と称している。
一方、炭素繊維のコストダウンを目的として、PAN繊維の製糸速度を高速化し、単位時間当たりの生産性を向上させることが考えられる。特許文献1には、通常分子量PANに少量の高分子量PANをブレンドすることで曳糸性を飛躍的に向上させ、高速製糸が可能となることが記載されている。
しかしながら、PAN繊維の生産性向上を目的として製糸速度を増加させると、スチームチューブからの蒸気洩れが多くなるばかりか、スチームチューブの長尺化が必要となり、かえってコストアップとなる可能性がある。さらに、長尺化されたスチームチューブに糸を通すこと自体が困難になるために、高速製糸を行う時には、スチームチューブ以外の後延伸方法が望まれていた。これに対する一つの解が乾熱延伸である。
しかしながら、乾熱延伸はスチーム延伸のようなスチームによる可塑化効果が期待できないため、延伸倍率を高く採ることができないという問題があった。さらに、高速製糸を行うと、高倍率延伸がさらに困難になるという問題があった。
一方、乾熱延伸において予熱装置として熱板や熱ピンを用いることが特許文献2、3に記載されているが、PAN繊維の油剤等により熱板、熱ピンが汚れ毛羽や糸切れを誘発することで、かえって生産性が低下する場合があった。
また、衣料用アクリル繊維のようにPANに第2成分、第3成分を多量に共重合することで延伸性や染色性を向上させることができるが、これを炭素繊維前駆体として用いると焼成過程で焼失成分が多くなるため、炭素繊維の収率が低下するばかりか、炭素繊維内に欠陥ができやすく力学特性が低下する場合があった。
特開2008−248219号公報 特開平04−263613号公報 特開平09−078333号公報
そこで本発明の課題は、乾熱延伸でも充分な延伸倍率が得られるとともに、毛羽や糸切れが少ない生産性に優れたポリアクリロニトリル繊維の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る製造方法は、以下のとおりである。
(1)ポリアクリロニトリルを紡糸、凝固、前延伸、乾燥した後さらに後延伸するポリアクリロニトリル繊維の製造方法において、後延伸として複数個のホットローラーを用いた多段延伸を行い、第1ホットローラーの表面温度を160℃以上とし、第2ホットローラー表面温度を200℃以下とするとともに、第2ホットローラーの表面温度が第1ホットローラーの表面温度よりも3℃以上低い、ポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
(2)ポリアクリロニトリル繊維が炭素繊維前駆体である、(1)記載のポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
(3)ポリアクリロニトリル中のアクリロニトリルモノマー由来部分が95質量%以上である、(1)または(2)記載のポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
(4)ポリアクリロニトリルが、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定されるz平均分子量が80万〜600万で、多分散度が2.5〜10である、(1)〜(3)のいずれか1項記載のポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項記載の方法で得られたポリアクリロニトリル繊維を用いて製造された炭素繊維。
(6)(5)記載の炭素繊維を含む複合材料。
本発明に係るポリアクリロニトリル繊維の製造方法によれば、従来問題となっていた乾熱延伸時の毛羽や糸切れを改善し、ポリアクリロニトリル繊維の生産性を向上することができる。
本発明で用いる延伸機の一例を示す図である。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明でいうポリアクリロニトリル(PAN)とは、アクリロニトリル(AN)を重合して得られるポリマーであるが、AN以外の共重合成分を含むこともできる。AN以外の共重合成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。本発明のPAN繊維を炭素繊維前駆体として用いる場合には、少ない共重合量で耐炎化を促進する観点からイタコン酸がAN以外の共重合成分として用いられることが特に好ましい。ただし、AN以外の共重合成分の含有率は以下の理由から少ない方が好ましく、PAN中のAN由来成分は95質量%以上であることが好ましい。すなわち、AN由来成分を高含有率とすることで、PAN繊維を焼成して炭素繊維化する際に、焼失による質量減少が少なく収率を向上できるとともに、焼失による炭素繊維中の欠陥発生を抑制でき、炭素繊維の力学物性低下を抑制することができる。この観点から、PAN中のAN由来成分は99質量%以上であることがより好ましい。なお、特開平11−200141号公報等で用いられている、いわゆる衣料用アクリル繊維で用いられている、AN以外の共重合成分の含有量の多いPANは、延伸性や染色性を向上させるものであるが、炭素繊維化する際の焼成時には、共重合成分がグラフェンシート形成には寄与しないため欠陥の原因となり、炭素繊維の力学特性を低下させるため、炭素繊維前駆体としては不適であると考えられる。
本発明は、PANを紡糸、凝固、前延伸、乾燥した後さらに後延伸する工程を有するが、本発明は、この後延伸を、従来のスチームチューブを用いた延伸に代えて乾熱延伸を行うものである。そして、この乾熱延伸には、複数個のホットローラー(HR)を用いた多段延伸を行う。すなわち、HRを用いることが本発明の特徴の一つである。背景技術として、乾熱延伸に熱板や熱ピンを用いた例があるが、これらは繊維に対し擦過体となるため、熱板や熱ピン上にPAN繊維の油剤が付着しやすい。そして付着した繊維油剤がシリコーン系などの場合には、熱板や熱ピン上で硬化しこ着するため、経時により繊維を過度に擦過し毛羽や糸切れを発生しやすくなる場合があった。その点、HRは繊維に対して擦過体とはならないためこのような問題が起こりにくいのである。
本発明ではHRを複数個並べ、2段以上の多段延伸を行うことで、より高倍率延伸が可能となりPAN繊維の生産性を向上できるのである。ここでHRとは加熱手段を有するローラーのことを言い、HRは延伸の上流から第1HR、第2HR、・・・と並べられるものである。延伸倍率を高くする観点からは延伸段数は多い方が好ましいが、設備投資、製造コスト、省エネルギーの観点からは延伸段数は少ない方が好ましい。この観点から、延伸段数は3段以上が好ましく、より好ましくは4段以上である。一方、延伸段数の上限は7段が好ましく、より好ましくは5段である。また、HRとしては2個のローラーが一組となったネルソン型を用いることが糸温度の均一化、および繊維糸条の把持の観点から好ましい。さらに、2つのローラーは双方とも駆動系を有していることが、太繊度糸条を延伸する際充分なトルクを得る観点から好ましい。なお、従来の乾燥ローラー群のように1個のローラーを交互に並べて多段延伸機を形成することもローラー数を減じることもコストや設備投資、省エネの観点から好ましい。また、ローラー表面状態としては鏡面ローラーとすると梨地表面に比べ、繊維糸条の把持を確実にし、糸斑を低減できるとともに、油剤がローラー表面にこ着することを抑制し、延伸の経時安定性や毛羽、糸切れを抑制することができる。
さらに本発明の最も重要な特徴は、第1HRと第2HRの表面温度設定である。本発明では第1HR表面温度よりも第2HR表面温度が低いことが重要である。こうすることで、毛羽や糸切れ発生を抑制することができ、結果として乾熱HR延伸でも高倍率延伸が可能となり、生産性向上できるのである。そして、以下に説明する理由から、第2HRの表面温度は第1HR表面温度よりも3℃以上低いことが重要であり、8℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましく、30℃以上低いことがさらに好ましい。
第1HR表面温度よりも第2HR表面温度を低くすることで、毛羽や糸切れ発生を抑制することができる理由は充分には解明されていないが、PANの繊維構造形成から以下のように考えることができる。Z. Bashir and S. Rastogi, J. Macromol. Sci., PartB, 44, 55(2005) には、無配向PANはメソフェーズ/非晶の2相構造であり、100℃にメソフェーズの転移、150℃に非晶の転移が存在するのに対し、配向PANではメソフェーズ1相構造となり、100℃にこれの転移が見られることが記載されている。一方、炭素繊維前駆体PANの後延伸において、前延伸(浴中延伸)後の乾燥糸(後延伸糸の未延伸糸)の動的粘弾性を測定したところ、160℃付近にtanδピークが見られ、これはBashirらのいう非晶の転移に相当していると考えられる。しかし、下記実施例の参考例1の乾燥糸に2倍以上の後延伸を施すと、この160℃付近のtanδピークがほとんど消失したことから、Bashirらのいうメソフェーズ1相構造に変化したと考えられる。すなわち、後延伸の第1HRでは高温に予熱し非晶の力学転移温度を超えることが必要であるが、ある程度延伸を施し非晶が消失した状態では、引き続いて延伸する際に第1HRほどの高温は必要無いと考えることができる。また、Bashirらによるとメソフェーズは2次元六方晶のパッキングになっており、PAN分子鎖がロッド状に2次元に並んでいると考えられる。そして、メソフェーズの100℃の転移は温度可変広角X線回折より面間隔が拡がりやすくなる温度に対応しており、100℃以上でPAN分子鎖ロッドの運動性が向上すると考えられる。一方、PAN繊維を高温に曝すと側鎖であるニトリル基の部分的な環化反応が発生し延伸性を損なう可能性が考えられる。さらに、PAN繊維の油剤が変性しHRとの摩擦係数が変化したり、PAN繊維の糸条間こ着が発生し、毛羽や糸切れを誘発しやすくなると考えられる。このため、本来的にはPAN繊維の延伸は分子鎖の運動性とPAN繊維および油剤の熱変性のバランスにより温度設定することが重要と考えられ、本発明者らは、第2HR表面温度を第1HR表面温度よりも3℃以上低く設定することが重要であることを見出した。
第1HRの表面温度設定に関しては、非晶の力学転移温度を充分超え、延伸倍率を高く取ることを考慮すると、160℃以上とすることが重要であり、好ましくは170℃以上、より好ましくは190℃以上である。ただし、先に述べたように高温にし過ぎるとかえって毛羽や糸切れが発生しやすくなるため230℃以下であることが好ましい。より好ましくは200℃以下である。
第2HRの表面温度は200℃以下とすることが重要である。これにより、毛羽や糸切れを抑制できるのである。好ましくは185℃以下である。一方、第2HR表面温度は160℃以上とすることで、第2HRと第3HR間での延伸での予熱を充分に行うことができる。
本発明においては1HRと2HRの周速比である1段目延伸倍率が2倍以上であると、多段延伸全体の延伸倍率を増加させやすく好ましい。また、本願実施例では2倍以上の延伸で、先に述べたようにBashir等のいうメソフェーズ1相構造となり、次段での予熱温度を低下させやすくなる利点もある。1段目の延伸倍率は好ましくは3倍以上である。
また、本発明においてはPAN繊維の後延伸後の巻き取り速度は350m/分以上とすると、生産性が向上し、好ましい。より好ましくは600m/分以上である。
このようにPAN繊維の高速製糸を行うためには、PANの曳糸性を向上させることが重要である。PANの曳糸性を向上させるためには、特許文献1に記載されるとおり、PANの歪み硬化を大きくし、口金孔吐出から凝固されるまでの間に細化にしたがい伸長粘度を急激に大きくすることで紡糸線を安定化させることが好ましい。そして、この歪み硬化を実現するためには、通常分子量のPANに超高分子量PANを少量添加したブレンドポリマーとすることが有効である。これは、通常分子量PAN分子鎖と高分子量PAN分子鎖が絡み合い、伸長にしたがい高分子量PAN分子鎖を中心に絡み合い間の分子鎖が緊張するためと考えられる。そして、それは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定されるz平均分子量(M)が80万〜600万で、多分散度が2.5〜10であるPANで実現することができる。
ここで、Mとは各分子鎖の分子量の2乗に重量をかけたものの総和を各分子鎖の分子量に重量をかけたものの総和で徐したものであり、高分子量成分の寄与が大きいパラメータである。また、多分散度とはM/Mであり、Mとは重量平均分子量である。多分散度は1より大きくなるにつれて、分子量の分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。すなわち、上記で規定する多分散度が2.5〜10とは、高分子量成分が含まれていることを表現するものである。高分子量成分の含有量を増加させ、歪み硬化を起こしやすくするためには、M、多分散度は大きい方が良い。一方、これらの上限値を設けることで歪み硬化を過度に大きくしないようにし、口金孔からのPAN溶液吐出安定性を確保することができる。以上の観点から、Mは好ましくは200万〜600万、より好ましくは250万〜400万、さらに好ましくは250万〜320万である。また、多分散度は好ましくは3〜7であり、より好ましくは5〜7である。なお、上記GPC法で測定される分子量はポリスチレン換算分子量である。また同様の観点から、PANのMは10〜60万であることが好ましい。
GPC法の測定においては、超高分子量まで精度良く測定するためには、溶出時間の希釈濃度依存性のない(すなわち溶液粘度変化が少ない)程度まで希薄溶液となし、良好な検出感度を得るためには注入量をなるべく多くすることが好ましい。また、広い分子量分布測定に対応できるよう溶媒流速とカラムの選択を行うことが好ましい。カラムの排除限界分子量は少なくとも1000万以上であり、ピークのテーリングが無いように設定する。通常、希釈濃度は0.1質量/体積%とし、注入量は200μLとした。
なお、上記したような歪み硬化を促進するPANの合成方法、溶液調整方法は以下のとおりに説明される。
分子量が異なる2種のPAN(A成分、B成分と記す)を混合することにより、歪み硬化を促進するPANを得ることができる。ここで、子量が異なる2種のPANを混合するとは、最終的にA成分とB成分の混合物を得ることを言い、具体的な混合方法については後述するが、それぞれの単一成分の物を混合することに限定されない。
まず、混合する2種のPANについて説明する。分子量の大きいPANをA成分とし、分子量の小さいPANをB成分とすると、A成分の重量平均分子量(M)は好ましくは100万〜1500万であり、より好ましくは100万〜500万であり、B成分のMは15万〜100万であることが好ましい。A成分とB成分のM差が大きいほど混合されたPANの多分散度M/Mが大きくなる傾向があるため好ましい。A成分のMが1500万を超えるとA成分の重合生産性が低下する場合があり、B成分のMが15万未満の時には炭素繊維前駆体であるPAN繊維の強度が不足することがある。
A成分とB成分のM比は2〜45であることが好ましく、より好ましくは4〜45であり、さらに好ましくは20〜45である。
またA成分/B成分の質量比は0.001〜0.3であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.2であり、さらに好ましくは0.01〜0.1である。A成分とB成分の質量比が0.001未満では、歪み硬化が不足することがあり、また0.3より大きい時はPAN溶液の粘度が高くなりすぎ、吐出困難となることがある。
と質量比はGPCにより測定された分子量分布をピーク分割し、それぞれのピークのMおよびピーク面積比を算出することにより測定される。
A成分とB成分のPANを含む溶液を調整するには、両成分を混合してから溶媒に溶解する方法、各成分それぞれを溶媒に溶解したもの同士を混合する方法、溶解しにくい高分子量物であるA成分を溶媒に溶解した後にB成分を混合する方法、および高分子量物であるA成分を溶媒に溶解した後にB成分を構成するモノマーを混合してモノマーを溶液重合することにより混合する方法などを採用することができる。高分子量物を均一に溶解させる観点から、高分子量物であるA成分を初めに溶解する方法が好ましい。特にPAN繊維を炭素繊維前駆体とする場合には、高分子量物であるA成分の溶解状態が極めて重要であり、僅かでも未溶解物が残存していた場合には異物となって、炭素繊維内部にボイドを形成することがある。
このようなPANの製造方法としては、A成分の溶媒に対するポリマー濃度を好ましくは0.1〜5質量%になるようにした後、B成分を混合する、あるいは、B成分を構成するモノマーを混合して重合することが好ましい。上記A成分のポリマー濃度は、より好ましくは0.3〜3質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。上記A成分のポリマー濃度は、より具体的にはポリマーの集合状態としてポリマーが僅かに重なり合った準希薄溶液とすることが好ましく、B成分を混合する、あるいはB成分を構成するポリマーを混合して重合する際、混合状態を均一とし易いため孤立鎖の状態となる希薄溶液とすることがさらに好ましい。希薄溶液となる濃度は、ポリマーの分子量と溶媒に対するポリマーの溶解性によって決まる分子内排除体積によって決まると考えられるため、一概には決められないが、本発明においては概ね前記範囲にすることにより炭素繊維の性能を最大化できることが多い。上記ポリマー濃度が5質量%を超える場合は、A成分の未溶解物が存在することがあり、0.1質量%未満の場合は分子量にもよるが希薄溶液となっているため歪み硬化が弱い場合が多い。
本発明では工程簡略化の観点から、高分子量物であるA成分を溶解、希釈した溶液とB成分を構成するモノマーを混合してモノマーを溶液重合する方法が好ましい。
A成分の溶媒に対するポリマー濃度を0.1〜5質量%とする方法としては、ポリマーを溶媒に溶解した後希釈する方法でもモノマーから重合する方法でもかまわない。溶解した後希釈する場合は、均一に希釈できるまで攪拌することが重要であり、希釈温度としては50〜120℃が好ましく、希釈時間は希釈温度や希釈前濃度により異なるため、適宜設定すればよい。希釈温度が50℃未満の場合は、希釈に時間がかかることがあり、120℃を超える場合はA成分が変質する場合がある。
また、重合体の重なり合いを希釈する工程を減らし、均一に混合する観点から、前記A成分の製造から前記B成分の混合開始、あるいはB成分を構成するモノマーの重合開始までの間、A成分の溶媒に対するポリマー濃度を0.1〜5質量%の範囲に制御することが好ましい。具体的には、A成分を溶液重合により製造する際に、ポリマー濃度が5質量%以下で停止させ、それにB成分を混合する、あるいはB成分を構成するモノマーを混合しこのモノマーを重合する方法である。
通常、溶媒に対する仕込みモノマーの割合が少ないと、溶液重合により高分子量物を製造することは困難なことが多いため仕込みモノマーの割合を多くするが、ポリマー濃度が5質量%以下の段階では、重合率が低く、未反応モノマーが多く残存していることになる。未反応モノマーを揮発除去してから、B成分を混合してもかまわないが、工程簡略化の観点からその未反応モノマーを用いてB成分を溶液重合することが好ましい。具体的に、ANを主成分とするモノマーを含む溶液に重合開始剤を導入し溶液重合することによりA成分を製造し、その溶液重合が終了するまでの間に別途重合開始剤を追加導入し、残存する未反応モノマーを溶液重合することによりB成分を製造し、A成分とB成分が混合したPANを得ることができる。すなわち、本発明の歪み硬化を起こし易いPANの製造方法の好ましい様態によれば、重合開始剤が少なくとも2回に分けて計量導入され、重合開始剤の1回目の計量導入量とそれ以外の計量導入量の比(1回目の計量導入量/それ以外の計量導入量)を0.1以下とし、好ましくは0.01以下とし、より好ましくは0.003以下とすることである1回目の重合開始剤の量が少ないほど分子量が高まり易いため、その計量導入量の比(1回目の計量導入量/それ以外の計量導入量)が0.1を超える場合は、必要とするMが得にくい場合がある。一方、重合開始剤の量が少ない場合は、重合速度が遅くなり、生産性が低下しやすいので、計量導入量の比(1回目の計量導入量/それ以外の計量導入量)の下限は0.0001であることが好ましい。最も重要なことは、重合開始剤が発生させるラジカル量であり、これの制御パラメータとして重合開始剤の量以外に重合1回目とそれ以降の重合温度、重合開始剤の種類、また重合時の酸素濃度等を挙げることができる。
A成分のMを調整するためには、ANと重合開始剤のモル比を調整することが好ましく、1回目のそれぞれの計量導入量は、ANと重合開始剤のモル比(重合開始剤/AN)が好ましくは1×10−7から1×10−4であり、2回目以降の計量導入量は、それまでに導入されているAN全て(反応未反応は問わない)と重合開始剤のモル比(重合開始剤/AN)が好ましくは5×10−4から5×10−3である。共重合組成をA成分とB成分で変える場合には、2回目以降の重合開始剤の計量導入時に共重合可能な単量体を追加してもかまわないし、AN、連鎖移動剤および溶媒を追加してもかまわない。
重合開始剤としては、油溶性アゾ系化合物、水溶性アゾ系化合物および過酸化物などが好ましく、安全面からの取り扱い性および工業的に効率よく重合を行うという観点から、ラジカル発生温度が30〜150℃の範囲であり、より好ましくは40〜100℃の範囲の重合開始剤が好ましく用いられる。中でも、分解時に重合を阻害する酸素発生の懸念がないアゾ系化合物が好ましく用いられ、溶液重合で重合する場合には、溶解性の観点から油溶性アゾ化合物が好ましく用いられる。重合開始剤の具体例としては、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(ラジカル発生温度30℃)、2,2´−アゾビス (2,4´−ジメチルバレロニトリル) (ラジカル発生温度51℃)、および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(ラジカル発生温度65℃)などが挙げられる。1回目とそれ以外の重合開始剤は同一の重合開始剤を用いてもかまわないし、複数の重合開始剤と重合温度を組み合わせることで重合開始剤が発生させるラジカル量を調整することもできる。また、過酸化物を用いる場合、還元剤を共存させラジカル発生を促進させてもよい。
重合温度は、重合開始剤の種類と量によっても好ましい範囲は変化するが、好ましくは30℃以上90℃以下である。重合温度が30℃未満では重合開始剤が発生させるラジカル量が少なくなり、ラジカル発生温度の低い重合開始剤を用いると保管が困難となることが多く、重合温度が90℃を超えるとANの沸点よりも高くなり、生産管理が困難になることが多い。1回目の重合開始剤導入後の重合と2回目以降の重合開始剤導入後の重合は同一の重合温度で行ってもかまわないし、異なる重合温度で行ってもかまわない。
重合時に酸素が共存すると、これがラジカルを消費してしまうため、重合時の酸素濃度は低い方が高分子量物を得やすい。重合時の酸素濃度は、例えば反応容器内をチッ素やアルゴン等の不活性ガスで置換することで制御可能であり、高分子量PANを得る観点からは重合時の酸素濃度は200ppm以下とすることが好ましい。
A成分のPAN全体に対する質量含有率の測定は、B成分と混合する場合は、混合前のA成分の重量と混合後のPAN全体の質量を測定し、その質量率から計算することができる。また、B成分を構成するモノマーと混合してそのモノマーを溶液重合する場合は、A成分を重合後、B成分を重合するための重合開始剤を計量導入前の溶液を用いてA成分の重合率を測定し、溶液中のA成分の重量を測定し、別途、PAN溶液のポリマー濃度から求めたPANの質量を測定し、その質量率から計算することができる。
本発明で好適に用いられるA成分としては、PANと相溶性を有することが望ましく、相溶性の観点からPAN系ポリマーであることが好ましい。組成としては、ANが好ましくは98〜100モル%であり、ANと共重合可能なモノマーを2モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分の連鎖移動定数がANより小さく、必要とするMを得にくい場合は、共重合成分の量をなるべく減らすことが好ましい。
本発明のA成分においてANと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。炭素繊維前駆体繊維とする場合は、B成分と耐炎化の促進度合をほぼ同等にすることが得られる炭素繊維のストランド強度を向上される観点で好ましく、少ない共重合量で耐炎化を促進するために、イタコン酸が特に好ましい。
本発明において、A成分を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。必要とするMを得にくい場合は、連鎖移動定数の大きい溶媒、すなわち、塩化亜鉛水溶液による溶液重合法、あるいは水による懸濁重合法も好適に用いられる。
本発明で好適に用いられるB成分であるPAN系ポリマーの組成としては、ANが好ましくは98〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を2モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分量が多くなるほど共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維のストランド強度が低下する。
本発明のB成分においてANと共重合可能なモノマーとしては、耐炎化を促進する観点から、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
また、吐出を安定化させる観点から、AN主鎖を共重合可能な単量体によって架橋させることも好ましい態様である。B成分においてANと共重合可能な単量体として、(メタ)アクリロイル基−C1−10直鎖あるいは分岐アルキル基−X−直鎖あるいは分岐C1−10アルキル基−(メタ)アクリロイル基で示される化合物(アルキル基は、一部水酸基で置換されていても構わなく、Xはシクロアルキル基、エステル基、エステル基−C1−6直鎖あるいは分岐アルキル基−エステル基のいずれかもしくは省略可能である。)が好ましく用いられる。特に、(メタ)アクリロイル基−C2−20直鎖あるいは分岐アルキル基−(メタ)アクリロイル基で示される化合物が好ましい。具体的な化合物として、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、および1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどを挙げることができる。架橋させることに用いられる共重合可能な単量体の共重合量は、重合体の分子量によって適正値が変わるため一概には言えないが、AN100モル部に対して好ましくは0.001〜1モル部であり、より好ましくは0.01〜0.3モル部であり、更に好ましくは0.05〜0.1モル部である。
本発明において、B成分を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。中でも、PANの溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。
本発明のPAN繊維の製造方法については、特許文献1記載の方法においてスチーム延伸部分を本発明の乾熱延伸方法に置き換えることができる。具体的には、以下のような紡糸から巻き取りまでの製糸プロセスを記載しておく。
まず、前記したPANをジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)などPANの良溶媒に溶解し、紡糸原液とする。また、この紡糸原液には、紡糸原液中でPANが凝固しない範囲で、水、メタノール、エタノールなどの貧溶媒を含んでいても良い。さらに酸化防止剤、重合禁止剤などをPANに対し、5質量%まで含んでいても良い。
紡糸原液中のPAN濃度としては15〜30質量%とすることができる。また、45℃における紡糸原液粘度は15〜200Pa・sとすることができる。なお、この粘度はB型粘度計で測定することができる。より具体的には、ビーカーに入れた紡糸原液を45℃に調整された温水浴に入れ、(株)東京計器製B8L型粘度計を用い、ローターNo.4を使用し、紡糸原液粘度が0〜100Pa・sの場合はローター回転数6rpmで測定し、100〜1000Pa・sの場合にはローター回転数0.6rpmで測定する。
紡糸原液は紡糸前にフィルターを通し不純物やゲルを除去することで、製糸性を向上させるとともに高強度炭素繊維を得ることができる。フィルター濾材の濾過精度は3〜15μmが好ましく、5〜15μmがより好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。本発明において、フィルター濾材の濾過精度とは、フィルター濾材を通過する間に95%を捕集することができる球粒子の粒子径(直径)で定義する。そのため、フィルター濾過精度はその開孔径と関係し、開孔径を狭くすることで濾過精度を高めることが一般的である。本発明では、濾過精度を15μm以下とすることで、紡糸原液の不純物やゲルなどの異物を除去でき、また焼成延伸工程における延伸時の毛羽発生を抑制できる。一方、濾過精度を3μm以上とすることで、紡糸原液中に含まれる超高分子量成分を捕捉することを抑制できる。
紡糸は湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸等、公知の紡糸方法を採用できるが、紡糸速度高速化・高紡糸ドラフトを得る観点から乾湿式紡糸が好ましい。紡糸ドラフトは1.5〜15とすることができる。なお、紡糸ドラフトとは、紡糸糸条(フィラメント)が口金から吐出された後に最初に接触する駆動源を持ったローラーの表面速度(凝固糸の引き取り速度)を口金孔での吐出線速度で割った値のことを言い、紡糸原液が固化するまでに引き伸ばされる倍率を意味する。乾湿式紡糸においては紡糸原液の変形の大部分は空中で起こり、歪み硬化の大きなPANの特性を十分発揮することができる。紡糸ドラフトが大きいと製糸速度を高速化し生産効率を向上できるだけでなく、繊維の細繊度化も容易となるため好ましい。ここで、上限値の15は現在の工業的技術レベルを考えて規定した。また、凝固糸の引き取り速度は20〜500m/分とすると、凝固浴の液面揺れを抑制しつつ生産性を向上することができる。また、紡糸口金の吐出孔径は0.04〜0.4mmとすると、口金背面圧を抑制しつつ細単糸繊度繊維を得ることができる。
凝固浴の凝固液は前記した貧溶媒単独でも良いが、良溶媒と貧溶媒を混合して用いることもできる。また、凝固促進剤を併用することもできる。より具体的な組成としては、良溶媒と貧溶媒の相溶性を考慮し、DMSOと水を用いることができる。具体的な凝固液の条件は公知の方法を使用して適宜決めることができる。
次にこの凝固糸に前延伸を施すが浴中延伸でも空気中で延伸を行っても良い。前延伸では浴中延伸が一般的であり、この時、温水浴を用いると良好な延伸性が得られるのみならず、有機溶媒を用いる場合に比べ液回収負荷を減じるとともに安全性を向上することができる。浴中延伸温度は60〜95℃、延伸倍率は1〜5倍とすることができる。なお前延伸前後で繊維の洗浄を行うが、前延伸までも前延伸後でも良い。洗浄は水洗が一般的である。
その後、繊維油剤を付与し乾燥される。繊維油剤は、単繊維同士の接着を防止する目的で付与されるが、通常、シリコーン系の油剤が使用される。特に耐熱性の高いアミノ変性シリコーンを用いることで、乾燥や後延伸工程でのトラブルを抑制することができる。
次の乾燥工程は160〜200℃で10〜200秒間の条件で行うと、充分な乾燥ができるとともに、PAN構造の緻密化ができ、ボイドの発生を抑制することができる。
そして、乾燥後にさらに後延伸が施されるが、前記したように、本発明ではこの後延伸に特徴があるのである。
本発明のPAN繊維の単繊維繊度は、0.1〜1.5dtexであることが好ましい。炭素繊維用前駆体繊維として使用する場合には、単繊維繊度が小さいほど炭素繊維とした時の力学的物性が高くできる。一方、単繊維繊度が小さくなるほど、工程安定性、生産性が低下するので、目的とする炭素繊維の力学的物性とコストを勘案し、選択するのが良い。本発明のPAN繊維の単繊維繊度は、0.5〜1.2dtexがより好ましく、0.7〜1.0dtexがさらに好ましい。
次に、このようにして得られたPAN繊維を炭素繊維用前駆体繊維として用い、これに耐炎化処理、予備炭化処理、炭化処理を施し炭素繊維を得ることができる。具体的には、200〜300℃の空気中において、延伸比0.8〜2.5で耐炎化処理を行う。そして、300〜800℃の不活性ガス雰囲気中において、延伸比0.9〜1.5で予備炭化処理を行う。さらに1000〜3000℃の不活性ガス雰囲気中において、延伸比0.9〜1.1で炭化処理を行うことにより炭素繊維を得ることができる。特に、炭素繊維のストランド弾性率を向上させる観点から炭化処理時の応力を5.9〜13.0mN/dtexとして炭化処理を施すことが好ましい。この時の応力は、炭化炉出側のローラー手前で測定した張力をPAN繊維の絶乾時の繊度で徐した値である。また、炭化処理を多段にすることもストランド弾性率向上の観点から好ましい。
本発明の乾熱延伸方法はPAN繊維一般に有効であるが、特に高速製糸が可能な上述のPANに適用すると生産性向上が飛躍的に向上し、好ましい。高速製糸において従来のスチームチューブを用いると、スチームチューブからのスチーム洩れが多くなりエネルギーロスが大きくなる。また、スチームチューブを長尺化せざるを得ず、スチーム使用量が多くなるとともにスチームチューブへの糸通しが格段に難しくなり、生産スタート時や糸切れ時のロスが大きくなると考えられる。さらに、スチームチューブ内の温度斑の制御も格段に難しくなり、毛羽や糸切れも増加すると考えられる。また、得られるPAN繊維の延伸斑や構造斑が大きくなると炭素繊維とした時にも欠陥などを誘発しやすく、炭素繊維の力学物性低下に繋がる懸念があった。しかしながら、本発明の乾熱延伸を用いると、このような高速製糸とスチームチューブの組み合わせの問題点を根本的に解決できるのである。
このようにHRを用いた乾熱延伸は従来のスチーム延伸に比べ大きなメリットを有するが、本発明によって初めて乾熱延伸での毛羽や糸切れを実用レベルまで抑制するとともに、高速延伸でも充分な延伸倍率を確保できるようになり、乾熱延伸のメリットを充分活かせるようになったのである。
本発明で得られた炭素繊維は、プリプレグとしてオートクレーブ成形、織物などのプリフォームとしてレジントランスファーモールディングで成形、およびフィラメントワインディングで成形するなど種々の成形法により、航空機部材、圧力容器部材、自動車部材、風車部材、スポーツ部材などとして好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.GPCによるPAN分子量および多分散度
測定しようとする重合体をその濃度が0.1質量%となるように、ジメチルホルムアミド(0.01Nの臭化リチウムを添加)に溶解して検体溶液を作製し、GPCにかけた。前駆体繊維について測定する場合には、前駆体繊維を溶媒に溶解して前記検体溶液とする必要があるが、前駆体繊維は高度に配向し、緻密であるほど溶解しにくく、溶解時間が長いほど、また、溶解温度が高いほど低分子量に測定される傾向にあるので、前駆体繊維を微粉砕して、40℃に制御された溶媒中においてスターラーで攪拌しながら1日溶解する。そして、以下の測定条件で測定したGPC曲線から分子量分布曲線を求め、M、Mを算出した。測定は3回行い、その平均値を採用した。多分散度はM/Mで求めた。なお、ジメチルホルムアミドおよび臭化リチウムは和光純薬工業(株)製を用いた。
GPC:(株)島津製作所製CLASS−LC2010
カラム:極性有機溶媒系GPCカラム(東ソー(株)製TSK−GEL−α−M(×2)+東ソー(株)製TSK−guard Column α)
流速:0.5mL/分
温度:75℃
サンプル濾過:メンブレンフィルター(ミリポアコーポレーション製0.45μ−FHLP FILTER)
注入量:200μL
検出器:示差屈折率検出器((株)島津製作所製RID−10AV)。
は、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種用いて、溶出時間−分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求めた。本実験では、検量線作製用ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000、1300000、1810000、4240000のものを用いた。
B.紡糸原液の粘度
ビーカーに入れた紡糸原液を45℃に調整された温水浴に入れ、(株)東京計器製B8L型粘度計を用い、ローターNo.4を使用し、紡糸原液粘度が0〜100Pa・sの場合はローター回転数6rpmで測定し、100〜1000Pa・sの場合にはローター回転数0.6rpmで測定した。
C.PAN繊維の毛羽数
得られた繊維束を1m/分の速度で走行させながら繊維300m当たりの毛羽の数を計数した。毛羽には毛玉状のものも含めた。評価は以下のとおり。
30個以下:◎(合格)
31〜49個:○(合格)
50個以上:×(不合格)。
D.PAN製糸での糸切れ
各実験において24時間の連続製糸を行い、糸切れ回数を数えた。評価は以下のとおり。
0回:◎(合格)
1回:○(合格)
2回以上:×(不合格)。
E.炭素繊維のストランド強度およびストランド弾性率
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」にしたがい評価を行った。測定する炭素繊維の樹脂ストランドは、3、4エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート(100質量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3質量部)/アセトン(4質量部)を炭素繊維または黒鉛化炭素繊維に含浸させ、130℃で30分間硬化させて作製した。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値をストランド強度およびストランド弾性率とした。ここでは、3、4エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレートとしてユニオンカーバイド(株)製“ベークライト(登録商標)”ERL4221を用いた。
参考例1(PANの合成、多分散度=5.7)
AN100質量部、イタコン酸1質量部、およびジメチルスルホキシド130質量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が100ppmまで窒素置換した後、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.002質量部を投入し、撹拌しながら下記の条件(重合条件A)の熱処理を行った。
(1)65℃の温度で2時間保持
(2)65℃から30℃へ降温(降温速度120℃/時間)。
次に、その反応容器中に、ジメチルスルホキシド240質量部、ラジカル開始剤としてAIBN 0.4質量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1質量部を計量導入した後、さらに撹拌しながら下記の条件による熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持。
得られたPAN系重合体溶液を用いて重合体濃度が20質量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつアンモニウム基をPAN系重合体に導入し、紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液におけるPAN系重合体は、Mが48万、Mが274万、M/Mが5.7、Mz+1/Mが14であり、紡糸溶液の粘度は45Pa・sであった。また、高分子量体であるA成分のMは340万、低分子量体であるB成分のMは35万であった。
得られた紡糸原液を、濾過精度10μmのフィルター通過後、40℃の温度で、孔数3,000、口金孔径0.19mmの紡糸口金(孔数3000)を用い、一旦空気中に吐出し、約2mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした20質量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により紡糸し膨潤糸とした。得られた膨潤糸を水洗した後、張力を2.2mN/dtexとして浴中で前延伸を行った。この時の浴温度は65℃であり、延伸倍率は2.7倍であった。前延伸した糸条にアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、165℃の温度に加熱したローラーを用いて30秒間乾燥熱処理を行い、単繊維繊度4.4dtexの乾燥糸を得た。この時の乾燥ローラーの最終速度は140m/分であった。
参考例2(PANの合成、多分散度=2.7)
1回目のAIBNの投入量を0.001質量部に変更したことと、反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmまで窒素置換したこと、参考例1の重合条件Aを以下の重合条件Bに変更した以外は、参考例1と同様にして紡糸溶液を得た。
(1)70℃の温度で4時間保持
(2)70℃から30℃へ降温(降温速度120℃/時間)。
得られた紡糸溶液におけるPAN系重合体は、Mが34万、Mが92万、M/Mが2.7、MZ+1/Mが7.2であり、紡糸溶液の粘度は40Pa・sであった。また、高分子量体であるA成分のMは150万、低分子量体であるB成分のMは30万であった。紡糸原液を上記のものに変更した以外は参考例1と同様にして製糸を行い、乾燥糸を得た。この時の乾燥ローラーの最終速度は100m/分であった。
参考例3(PANの合成、多分散度=1.8)
AN100質量部、イタコン酸1質量部、ラジカル開始剤としてAIBN0.4質量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1質量部をジメチルスルホキシド370質量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmまで窒素置換した後、撹拌しながら下記の条件による熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持。
得られたPAN系重合体溶液を、重合体濃度が20質量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液におけるPAN系重合体は、Mが40万であり、Mが72万、M/Mが1.8、MZ+1/Mが3.0であり、紡糸溶液の粘度が50Pa・sであった。また、このPANでは、高分子量体であるA成分に相当するものは見られなかった。紡糸原液を上記のものに変更し、ローラー速度を変更した以外は参考例1と同様にして製糸を行い、乾燥糸を得た。この時の乾燥ローラーの最終速度は50m/分であった。なお、ここで使用したPANは多分散度が低いため曳糸性が参考例1、2のものより低く、乾燥最終ローラー速度140m/分では糸がつながらず、高速製糸には不向きであった。
実施例1〜4、比較例1、2
参考例1で作製した乾燥糸を一旦巻き取り、改めて後延伸を行った。この時、2つのHR(それぞれに駆動機構付き)が1組になったネルソン型鏡面HRを4組用いた延伸機(図1)を用い、2HRの温度を変更して3段延伸を施した。この時、HRには5回糸を回した。延伸条件および結果は表1に示したが、1HR表面温度よりも2HR表面温度が低い方が毛羽、糸切れが良化することが確認できた。1HR表面温度と2HR表面温度の近い比較例1では毛羽、糸切れとも多く、不合格であった。また、2HR表面温度が200℃より高い比較例2では糸切れが頻発し、継続的な延伸ができず不合格であった。
Figure 2012026049
実施例5〜9、比較例3
表2に示した条件で実施例1と同様に延伸を行った。実施例5〜8では1HR表面温度の延伸性への影響を評価している。1HR表面温度が200℃を超える実施例5では1HR表面温度が195℃である実施例1に比べ、若干、毛羽、糸切れが多かったが合格レベルであった。また、1HR表面温度が200℃以下の水準においては、高温ほど高延伸倍率が得られた。1HR表面温度が160℃より低い比較例3では毛羽、糸切れとも多く、不合格であった。実施例9は毛羽、糸切れは合格レベルであるが、2HR表面温度が160℃未満であるため、2HR表面温度が160℃以上である実施例8に比べ2HRと3HR間の延伸倍率が低くなった。
Figure 2012026049
実施例10〜12
未延伸糸となる乾燥糸を参考例1〜3で得られたものに変更し、乾燥工程と延伸工程を連続させ、表3の条件で、5段延伸とし、実施例1と同様に延伸を行った。多分散度が大きい方が乾熱延伸前の製糸速度が速いため、巻き取り速度も速く生産性向上効果が大きいものであった。
Figure 2012026049
実施例13
1HRを梨地表面にして実施例7と同様に後延伸を行ったが、毛羽12個/300m、糸切れ1回/24時間となり、合格レベルではあるものの実施例7には及ばなかった。
実施例14
HRを3HRまでとし、総合延伸倍率を5倍として実施例1と同様に延伸を行ったが、毛羽1個/300m、糸切れ1回/24時間と、ともに良好であった。
実施例15
HRを第8HRまでの7段延伸とし、5HR〜8HRまでのHR表面温度を170℃、第4HR〜第8HRまでの延伸倍率をそれぞれ1.2、1.1、1.1、1.1(総合延伸倍率8.0)として実施例7と同様に延伸を行ったが、毛羽8個/300m、糸切れ1回/24時間と、ともに良好であった。
比較例4
1HRの代わりに175℃の熱ピン(φ30mm、梨地表面)を用い、糸条を2回回して実施例7と同様に延伸を行ったが、熱ピンに繊維油剤がこ着し、毛羽、糸切れが頻発した。特に延伸開始後2時間後から糸切れが増加し、4時間後には延伸不能となった。
比較例5
1HRの代わりに175℃の熱板(有効長150mm、梨地表面)を用い、実施例7と同様に延伸を行ったが、熱板に繊維油剤がこ着し、毛羽、糸切れが頻発した。特に延伸開始後3時間後から糸切れが増加し、5時間後には延伸不能となった。
実施例16
実施例10で得たPAN繊維を240〜260℃の温度分布を有する空気中において延伸比1.0で張力をかけながら90分間耐炎化処理を行った。続いて、これを300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気中において延伸比1.0で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1300℃の窒素雰囲気中において延伸比0.95で張力をかけながら炭化処理を行った。ここで得られた炭素繊維のストランド強度は5.3GPa、ストランド弾性率は240GPaと良好な力学物性を示した。
実施例17
炭化処理において、延伸比を0.96、応力を8.0mN/dtexとして実施例16と同様に炭化処理を行い、ストランド強度5.5GPa、ストランド弾性率250GPaと、良好な力学物性を示す炭素繊維が得られた。
実施例18
実施例17得た炭素繊維をさらに最高温度1500℃の窒素雰囲気下で応力を8.0mN/dtexとして2段目の炭化処理を行った。得られた炭素繊維のストランド強度は5.8GPa、ストランド弾性率270GPaであった。
実施例19
実施例18において、2段目の炭化処理を最高温度1950℃の窒素雰囲気とし、さらに最高温度2050℃の窒素雰囲気中で延伸比を1.01として3段目の炭化処理を行った。得られた炭素繊維のストランド強度は5.0GPa、ストランド弾性率は320GPaであった。
実施例20
実施例11で得たPAN繊維を用い、実施例16と同様に耐炎化処理、予備炭化処理、炭化処理を行った。得られた炭素繊維の力学物性はストランド強度5.0GPa、ストランド弾性率240GPaと良好であった。
実施例21
実施例12で得たPAN繊維を用い、実施例15と同様に耐炎化処理、予備炭化処理、炭化処理を行った。得られた炭素繊維の力学物性はストランド強度5.1GPa、ストランド弾性率240GPaと良好であった。
比較例6
比較例1で得たPAN繊維を用い、実施例16と同様に耐炎化処理、予備炭化処理、炭化処理を行おうとしたが、毛羽や糸切れが頻発した。
比較例7
特開2007−126794号公報記載のAN94質量%、アクリル酸メチル5質量%、メタリルスルホン酸ナトリウム1質量%からなる、衣料用に用いられる共重合PANを実施例10と同様に紡糸、延伸し単繊維繊度1dtexの共重合PAN繊維を得た。これを実施例16と同様に耐炎化処理、予備炭化処理、炭化処理を行った。得られた炭素繊維の力学物性はストランド強度3.8GPa、ストランド弾性率150GPaと実施例16〜21で得られた物に比べ力学的特性に劣る物であった。
本発明のPAN繊維の製造方法によれば、乾熱延伸でも毛羽や糸切れなく充分な延伸倍率が得られるため製糸速度の高速化が可能となり、炭素繊維前駆体であるPAN繊維の生産性を向上することができるため炭素繊維のコストダウンに寄与することができる。
1:フィードローラー
2:第1ホットローラー
3:第2ホットローラー
4:第3ホットローラー
5:第4ホットローラー
6:コールドローラー
7:糸条
8:巻取パッケージ

Claims (6)

  1. ポリアクリロニトリルを紡糸、凝固、前延伸、乾燥した後さらに後延伸するポリアクリロニトリル繊維の製造方法において、後延伸として複数個のホットローラーを用いた多段延伸を行い、第1ホットローラーの表面温度を160℃以上とし、第2ホットローラー表面温度を200℃以下とするとともに、第2ホットローラーの表面温度が第1ホットローラーの表面温度よりも3℃以上低い、ポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
  2. ポリアクリロニトリル繊維が炭素繊維前駆体である、請求項1記載のポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
  3. ポリアクリロニトリル中のアクリロニトリルモノマー由来部分が95質量%以上である、請求項1または2記載のポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
  4. ポリアクリロニトリルが、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定されるz平均分子量が80万〜600万で、多分散度が2.5〜10である、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリアクリロニトリル繊維の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の方法で得られたポリアクリロニトリル繊維を用いて製造された炭素繊維。
  6. 請求項5記載の炭素繊維を含む複合材料。
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