JP2010097060A - 光ケーブル用テンションメンバー - Google Patents

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Abstract

【課題】シース材との接着性に優れ、かつ光ファイバーを保護する十分な強力と可撓性を有し、光ケーブル作成時の加工性に優れ、光ケーブルからの抜けが生じにくく、光ケーブルの敷設作業における取扱性にも優れる光ケーブル用テンションメンバーを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントの表面に厚さ10〜40μmのポリオレフィン樹脂層が形成されてなり、強力が150N以上、乾熱収縮率が3%以下である光ケーブル用テンションメンバー。さらには、モノフィラメントを構成する熱可塑性樹脂が層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂である前記した性能を有する光ケーブル用テンションメンバー。
【選択図】なし

Description

本発明は、光ケーブル内に光ファイバーと共に設けられるテンションメンバーであって、光ファイバーの補強効果とともに光ケーブルを構成するシース材との接着性に優れる光ケーブル用テンションメンバーに関するものである。
近年、インターネットの普及や映像配信等の増大に伴い、莫大な情報量を配信し、かつ高速化することが求められており、伝送媒体の中でスピード、安定性に優れている光ファイバーの需要が拡大している。そして、架空に布設されている光ケーブルからオフィスや一般家庭に光ファイバーを引き込むためには、各種の光ケーブルが使用されている。
光ケーブルは、繊細な光ファイバーを収納するものであり、屋内外での実用に耐えられるよう工夫する必要がある。一般的には強靱さを増すために、光ファイバーとシース材、テンションメンバーとからなる構成のものとされており、外力の影響を受けにくく、伝送特性の安定した、さらに敷設作業がしやすい光ケーブルとすることが求められるものである。
光ケーブルに用いられるテンションメンバーは、主に敷設時にかかる張力から光ファイバーを保護し、補強するためのものであり、従来、スチール、ガラス繊維が広く用いられていた。しかし、スチールを用いたテンションメンバーは電磁誘導の問題、比重が大きくファイバーが重くなるという問題があり、またガラス繊維を用いたテンションメンバーは材料の耐衝撃性、可撓性に問題があった。
セラミックス繊維、炭素繊維、芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維等を用いたテンションメンバーも提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、いずれも剛直であるために可撓性に乏しく、光ケーブルを作成する際の作業性に劣り、光ケーブルを傷つける場合があり、また敷設作業における取扱性にも劣るという問題があった。
そこで、特許文献3では、高ヤング率かつ高引掛強度の特性を有し、光ケーブルに用いる際には加工時の作業性や取扱性に優れるものとして、ポリエチレンナフタレートからなるモノフィラメントが提案されている。このモノフィラメントによれば、強度と可撓性は備えたものであったが、ケーブルを構成するシース材との接着性は考慮されていなかった。
つまり、光ケーブルには種々の形状のものがあるが、光ファイバーとテンションメンバーは、通常、絶縁体であるシース材で溶融被覆されている。したがって、シース材との接着性を考慮していない場合、ケーブル(シース材)からテンションメンバーの抜けが生じ、光ファイバーを十分に保護することができないという問題があった。
特許文献4では、ポリエステルモノフィラメントの断面形状を外周縁に1〜30個の突起を有する異形断面形状とすることで、シース材との接着性を向上させたテンションメンバーが提案されている。しかしながら、このような異形断面形状とするのみでは接着性の向上は十分ではなく、また、異形断面形状とすることにより強力が低下し、光ファイバーの保護を十分に行うことができないものであった。
特開平8−21935号公報 特開平9−251123号公報 特開2003−268626号公報 特開2006−200073号公報
本発明は上記のような問題点を解決するものであって、シース材との接着性に優れ、かつ光ファイバーを保護する十分な強力と可撓性を有し、光ケーブル作成時の加工性に優れ、光ケーブルからの抜けが生じにくく、光ケーブルの敷設作業における取扱性にも優れる光ケーブル用テンションメンバーを提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントの表面に厚さ10〜40μmのポリオレフィン樹脂層が形成されてなり、強力が150N以上、乾熱収縮率が3%以下であることを特徴とする光ケーブル用テンションメンバーを要旨とするものである。
本発明の光ケーブル用テンションメンバーは、熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントであるため可撓性に優れており、モノフィラメントの表面に厚さ10〜40μmのポリオレフィン樹脂層が形成されており、強力が高く、乾熱収縮率が低いものであるため、光ケーブルを作成する際の作業性に優れ、光ケーブルを構成するシース材との接着性に優れ、シース材に溶融被覆された後の抜けが生じず、光ファイバーを十分に保護することが可能となる。また、光ケーブルを敷設する際の取扱性も良好となるものである。
中でも、モノフィラメントを構成する熱可塑性樹脂に層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂を用いることで、さらに強力が高く、乾熱収縮率が低いものとなり、光ケーブルを作成する際の作業性が良好となるとともに、光ファイバーの十分な保護が可能となり、光ケーブルを屋内外で使用する際の強靭さをより増大させることができる。
さらには、本発明の光ケーブル用テンションメンバーを、モノフィラメントの表面にポリオレフィン樹脂水性分散体をコーティングして得られたものとすることにより、ポリオレフィン樹脂層の厚さの調整を容易に行うことができ、また製造時の作業環境及び操業性を良好なものとすることが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の光ケーブル用テンションメンバーは、モノフィラメントからなるものである。マルチフィラメントとした場合には、複数本のマルチフィラメントを集束して糸条とするが、このときに撚りをかけたり、接着剤を付与する必要があり、工程数が多くなり、コストも高くなる。また、マルチフィラメントを集束した糸条の表面にポリオレフィン樹脂層をコーティングすると、厚さを均一にすることが困難となる。
本発明においてはモノフィラメントとすることで工程の簡略化と低コスト化を図り、さらには表面に形成するポリオレフィン樹脂層の厚さを均一にすることができるものである。
そして、本発明におけるモノフィラメントは熱可塑性樹脂からなるものである。そして、溶融紡糸、延伸して得ることにより、後述する強力、乾熱収縮率等を満足することができる熱可塑性樹脂を用いることができる。
例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610等のホモポリマー、これらの共重合体や混合物等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のホモポリマー、これらの共重合体や混合物等のポリエステル、或いは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のホモポリマー、これらの共重合体や混合物等のポリオレフィンが挙げられる。
このような熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントとすることにより、可撓性に優れたものとすることが可能となる。
熱可塑性樹脂の中でも層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂を50質量%以上用いることが好ましく、層状珪酸塩を含有させるポリアミド樹脂としては、コスト、溶融紡糸時の操業性等に優れるためナイロン6が好ましい。
層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂を用いることで、より強力を高く、乾熱収縮率を低くすることができ、テンションメンバーとして光ファイバーを保護する性能や光ケーブル作成時の加工性に優れたものとなる。さらに、このようなポリアミド樹脂は可撓性にも優れている。
層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂(ナイロン6)としては、ユニチカ社製のナノコンポジットナイロン6(グレード:M1030CH)が挙げられる。層状珪酸塩の含有量が0.1質量%未満であると、上記したような強力を高く、乾熱収縮率を低くする効果を奏することが困難となる。一方、層状珪酸塩の含有量が10質量%を超えると、紡糸操業性が悪くなり、得られるモノフィラメントは表面毛羽が生じたり、強力が低下しやすくなる。
そして、本発明におけるモノフィラメントは、層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂を50質量%以上用いることが好ましく、中でも60質量%以上用いることが好ましい。層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂の含有量が50質量%未満であると、上記したようなモノフィラメントの強力をより高く、乾熱収縮率をより低くする効果に乏しいものとなる。
層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂を50質量%以上用いたモノフィラメントとしては、層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂のみからなるもの(100質量%使用したもの)と、層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂と他の熱可塑性樹脂からなる複合繊維形態のものがある。
複合繊維形態のものとする場合には、層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂と他の熱可塑性樹脂との相溶性を考慮すると、他の熱可塑性樹脂としてもポリアミド樹脂を用いることが好ましく、両ポリアミド樹脂ともに同種のポリマーを用いることが好ましい。
複合繊維形態としては、芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型等のものが挙げられるが、中でも芯鞘型とすることが好ましく、熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントが芯鞘形状を呈しており、層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂が芯部、層状珪酸塩を含有しないポリアミド樹脂が鞘部に配されているものが好ましい。
次に、本発明のテンションメンバーは、モノフィラメントの表面にポリオレフィン樹脂層が形成されているものであり、ポリオレフィン樹脂層の厚さは10〜40μmであることが必要であり、中でも15〜25μmであることが好ましい。本発明においては、光ケーブルのシース材との接着性を向上させるためにポリオレフィン樹脂層を設けるものであるが、この層の厚さを適正な範囲のものとすることで、極めて良好な接着性が得られるものである。
すなわち、光ケーブルのシース材には、一般的にポリエチレンが用いられているため、モノフィラメントの表面にポリオレフィン樹脂層を形成することにより、シース材との接着性が向上し、シース材からの抜けが生じないものとなる。
本発明においては、ポリオレフィン樹脂層の厚さが厚過ぎても、薄すぎても良好な接着性が得られないことを見出したものである。ポリオレフィン樹脂層はモノフィラメントに対する接着性の良さとシース材に対する接着性の良さの両方が求められるものである。ポリオレフィン樹脂層の厚さが厚過ぎる場合、シース材に溶融被覆された後に張力がかかると、ポリオレフィン樹脂層自体に張力がかかる。そして、ポリオレフィン樹脂層が揺動して接着強力が弱くなり、モノフィラメント側もしくはシース材側の接着面の少なくともいずれかが剥離して、シース材からの抜けが生じるものとなる。一方、ポリオレフィン樹脂層の厚さが薄すぎると、モノフィラメントとの接着性、シース材との接着性ともに劣るものとなり、シース材に溶融被覆された後に張力がかかると容易に抜けが生じるものとなる。
したがって、ポリオレフィン樹脂層の厚さが40μmを超えると、張力がかかった際にポリオレフィン樹脂層に揺動が生じて、接着強力が弱くなり、シース材からの抜けが生じるものとなる。一方、ポリオレフィン樹脂層の厚さが10μm未満であると、モノフィラメントとの接着性、シース材との接着性ともに劣るものとなり、シース材からの抜けが生じやすいものとなる。
本発明のテンションメンバーにおけるモノフィラメント表面のポリオレフィン樹脂層の厚さは以下のようにして測定するものである。
モノフィラメントの表面を長手方向に沿ってパラフィン樹脂で包埋し、モノフィラメントの長手方向に対して垂直方向に金属刃で切断し、顕微鏡にてその断面(横断面)を撮影して厚さを測定する。
そして、ポリオレフィン樹脂層を形成するポリオレフィン樹脂としては、オレフィン成分として、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレン、プロピレンが好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂は、モノフィラメント及びシース材との接着性の点から不飽和カルボン酸成分を0.1〜25質量%含有していることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。この成分は、不飽和カルボン酸やその無水物により導入され、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
さらに、ポリオレフィン樹脂中には、接着性を向上させるために、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。この成分の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましい。
そして、これらのポリオレフィン樹脂は、モノフィラメント表面にコーティングすることにより、上記した厚さのものとすることが好ましいが、ポリオレフィン樹脂は液状媒体に溶解または分散したものとして、コーティングすることが好ましい。
このとき、液状媒体としては、作業性や環境面から揮発性有機溶媒を用いることは好ましくなく、環境面及び液状体とした際の安定性に優れる点から、水性媒体を用いることが好ましい。水性媒体とは、水あるいは水および水溶性の有機溶剤との混合溶媒である。つまり、ポリオレフィン樹脂は水性媒体に溶解または分散した、いわゆる水性分散体としてモノフィラメントの表面にコーティングすることが好ましい。
そして、本発明の光ケーブル用テンションメンバーは、モノフィラメントの表面にポリオレフィン樹脂水性分散体をコーティングすることにより得られたものであることが好ましい。モノフィラメントの表面にポリオレフィン樹脂水性分散体をコーティングした後、乾燥することにより、水性媒体を蒸発させ、本発明で規定する範囲の厚さのポリオレフィン樹脂層を形成させることが好ましい。このようなポリオレフィン樹脂水性分散体としては、ユニチカ社製の『アローベース』を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いてコーティングする場合には、モノフィラメントを溶融紡糸、延伸して得る際の任意の段階でローラ式またはスリット式のオイリング装置を用いてモノフィラメント表面に付与する方法を採用することができる。中でも延伸後、巻き取る前に付与し、ヒーター内部を走行させるなど熱処理した後巻き取ることが好ましい。
これにより、溶融紡糸、巻取工程においてポリオレフィン樹脂水性分散体の付与、乾燥が行え、別途加工を施す必要がなく、ポリオレフィン樹脂が均一にコーティングされたモノフィラメントを簡便な方法で、操業性よく得ることが可能となる。
また、ポリオレフィン樹脂水性分散体をコーティングすることによりポリオレフィン樹脂層を形成することで、ポリオレフィン樹脂層の厚さを調整することも容易となり、所望の厚さのものを得ることが可能となる。
また、光ファイバーを良好に保護するために、テンションメンバーは高強力であることが求められ、かつ熱と湿度に対する安定性も求められる。そこで、本発明の光ケーブル用テンションメンバーは、強力が150N以上、乾熱収縮率が3%以下であることが必要である。
本発明におけるテンションメンバーの強力は、JIS L1013の引張強さ及び伸び率の標準時試験に基づき、つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分で測定するものである。テンションメンバーの強力が150N未満であると、強力が不足し、光ケーブルの作製時や使用時に破断を生じることがあり、光ファイバーを十分に保護することができない。
そして、テンションメンバーの乾熱収縮率は、JIS L1013の収縮率・乾熱収縮率に基づき、処理温度140℃、30分間処理後の長さより測定するものである。乾熱収縮率が3%を超えるものであると、シース材で光ケーブルとテンションメンバーを溶融被覆して光ケーブルを作成する際に、テンションメンバーの収縮が大きくなり、シース材の割れが生じたり、テンションメンバーの直線性が失われるものとなる。
中でもテンションメンバーの強力は、160N以上、さらには170N以上であることが好ましい。そして、乾熱収縮率は中でも2%以下であることが好ましい。
本発明の光ケーブル用テンションメンバーの強力や乾熱収縮率を本発明の範囲内とするには、適切なポリアミド樹脂を選択し、延伸、熱処理条件を適切な範囲のものに調整して製造することにより可能となる。
さらに、本発明の光ケーブル用テンションメンバーは、接着性に優れる指標として、ポリエチレンとの接着性を考慮した接着引抜強力が強力の0.1倍以上であることが好ましく、中でも0.2倍以上であることが好ましい。つまり、接着引抜強力は15N以上であることが好ましく、中でも30N以上であることが好ましい。
なお、本発明における接着引抜強力は以下のようにして測定するものである。
予めテンションメンバーを通す穴を開けた、直径0.7mm、高さ13mmの円柱状のアルミニウム製の容器にポリエチレンチップ5.5gを入れ、190℃、30分熱処理して溶融させる。ポリエチレンが固化する前にテンションメンバーを通し、21℃にて60分間冷却固化させる。その後、容器の底面を上にして、引き抜き時に容器が動かないように固定し、オートグラフに設置する。引張速度50mm/分でテンションメンバーを引き抜きながら、引き抜き時の強力を測定し、この強力の最大値を接着引抜強力とする。
光ケーブルのシース材には、ポリエチレンが用いられることが多いので、上記のようなポリエチレンとの接着性を示す接着引抜強力は重要な特性値である。本発明のテンションメンバーにおいては、モノフィラメントの表面に厚さ10〜40μmのポリオレフィン樹脂層を形成し、中でもポリオレフィン樹脂水性分散体をコーティングすることによりポリオレフィン樹脂層を形成したものとすると、接着引抜強力を向上させることができ、接着引抜強力を38N以上のものとすることが可能となる。
また、本発明におけるモノフィラメントの直径(ポリオレフィン樹脂層を除く)は、特に限定するものではないが、前記したような本発明のテンションメンバーとしての効果を奏するためには、400〜800μmとすることが好ましい。繊度としては、1500〜6000dtexとすることが好ましい。
次に、本発明のテンションメンバーの製造方法について一例を用いて説明する。
ナイロン6を紡糸温度295℃とし、エクストルーダー型紡糸装置を使用し、紡糸口金より溶融紡出し、紡出糸条を40℃の温水浴中で冷却して未延伸糸を得る。この未延伸糸を95℃の水浴中で第一段階目の延伸(延伸倍率4.0倍)を行い、次いで250℃の熱風雰囲気下で第二段階目の延伸(延伸倍率1.4倍)を行う。引き続いて300℃の熱風雰囲気下で5%の弛緩熱処理を行い、ローラ式オイリング装置を用いて、ポリオレフィン樹脂水性分散体を走行するモノフィラメントの表面に付与(コーティング)する。続いて、ヒーター内を走行させて熱処理し、ボビンに巻き取る。ヒーターで熱処理することによりフィラメント表面に付与されたポリオレフィン樹脂水性分散体の水性媒体が蒸発し、フィラメント表面にポリオレフィン樹脂層が形成されたテンションメンバーを得ることができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値(強力、乾熱収縮率、ポリオレフィン樹脂層の厚さ、接着引抜強力)は前記の方法で測定したものである。
実施例1
相対粘度(98%硫酸を溶媒とし、濃度 1.0g/dl、温度20℃で測定した。)4.0のナイロン6チップを通常のエクストルーダー型溶融紡糸装置を使用し、275℃の温度で溶融紡糸した。紡出したモノフィラメントを40℃の水浴中で冷却して未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることなく、90℃の温水浴中で延伸倍率3.4倍で第1段延伸し、次いで全延伸倍率が5.7倍となるように、220℃の加熱ゾーンを通過させながら第2段延伸し(延伸倍率1.7倍)、さらに230℃の加熱ゾーンを通過させて0.9倍の弛緩熱処理を行った。続いて、ローラ式オイリング装置を用いて(油剤に代えてポリオレフィン樹脂水性分散体を用いて)、ポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製アローベース:SEN−1220)を走行するモノフィラメントの表面に付与(コーティング)した。続いて、280℃の加熱ゾーンを走行させて乾燥(熱処理)し、ボビンに巻き取った。得られたテンションメンバーは、3200dtexのモノフィラメントの表面に厚さ14.3μmのポリオレフィン樹脂層が形成されたものであった。
実施例2
層状珪酸塩を含有するナイロン6として、ユニチカ社製ナノコンポジットナイロン6(M1030CH)を使用し、通常のエクストルーダー型溶融紡糸装置を使用し、260℃の温度で溶融紡糸した。紡出したモノフィラメントを40℃の水浴中で冷却して未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることなく、95℃の温水浴中で延伸倍率3.0倍で第1段延伸し、次いで全延伸倍率が5.0倍となるように、275℃の加熱ゾーンを通過させながら第2段延伸し(延伸倍率1.7倍)、さらに285℃の加熱ゾーンを通過させて0.9倍の弛緩熱処理を行った。続いて、実施例1と同様にしてポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製アローベース:SEN−1220)をモノフィラメントの表面に付与、乾燥させてボビンに巻き取った。得られたテンションメンバーは、3329dtexのモノフィラメントの表面に厚さ10.7μmのポリオレフィン樹脂層が形成されたものであった。
実施例3〜6、比較例1〜2
ローラ式オイリング装置でポリオレフィン樹脂水性分散体を付与する際のモノフィラメントの走行速度を変更し、モノフィラメント表面に形成されるポリオレフィン樹脂層の厚さを表1に示すものとなるようにした以外は、実施例2と同様に行い、テンションメンバーを得た。
比較例3
層状珪酸塩を含有するナイロン6として、ユニチカ社製ナノコンポジットナイロン6(M1030CH)を使用し、通常のエクストルーダー型溶融紡糸装置を使用し、260℃の温度で溶融紡糸した。紡出したモノフィラメントを40℃の水浴中で冷却して未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることなく、95℃の温水浴中で延伸倍率3.5倍で第1段延伸し、次いで全延伸倍率が5.5倍となるように、275℃の加熱ゾーンを通過させながら第2段延伸し(延伸倍率1.5倍)、さらに285℃の加熱ゾーンを通過させて0.99倍の弛緩熱処理を行った。続いて、実施例1と同様にしてポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製アローベース:SEN−1220)をモノフィラメントの表面に付与、乾燥させてボビンに巻き取った。得られたテンションメンバーは、3363dtexのモノフィラメントの表面に厚さ13.1μmのポリオレフィン樹脂層が形成されたものであった。
比較例4
層状珪酸塩を含有するナイロン6として、ユニチカ社製ナノコンポジットナイロン6(M1030CH)を使用し、通常のエクストルーダー型溶融紡糸装置を使用し、260℃の温度で溶融紡糸した。
紡出したモノフィラメントを40℃の水浴中で冷却して未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることなく、95℃の温水浴中で延伸倍率2.7倍で第1段延伸し、次いで全延伸倍率が4.0倍となるように、275℃の加熱ゾーンを通過させながら第2段延伸し(延伸倍率1.5倍)、さらに285℃の加熱ゾーンを通過させて0.86倍の弛緩熱処理を行った。続いて、実施例1と同様にしてポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製アローベース:SEN−1220)をモノフィラメントの表面に付与、乾燥させてボビンに巻き取った。得られたテンションメンバーは、3454dtexのモノフィラメントの表面に厚さ12.5μmのポリオレフィン樹脂層が形成されたものであった。
実施例1〜6、比較例1〜4で得られたテンションメンバーの特性値を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜6で得られたテンションメンバーは、ポリオレフィン樹脂層の厚さ、強力、乾熱収縮率が本発明の範囲を満足するものであったため、接着引抜強力が高く、光ケーブルに加工する際の加工性がよく、光ケーブルからの抜けが生じにくいものであった。
一方、比較例1のテンションメンバーは、ポリオレフィン樹脂層の厚さが厚すぎたため、ポリオレフィン樹脂層自体の揺動が生じて接着強力が低くなり、また、比較例2のテンションメンバーはポリオレフィン樹脂層の厚さが薄すぎたため、接着強力が低く、ともに接着引抜強力が低いものとなり、光ケーブルからの抜けが生じやすいものであった。比較例3のテンションメンバーは乾熱収縮率が高いものであったため、接着引抜強力の測定時において、溶融したポリエチレン中に導入した際の収縮が大きく、接着引抜強力測定時にポリエチレンの割れが生じた。比較例4のテンションメンバーは強力が低いものであったため、接着引抜強力測定時にポリエチレン中で切断した。したがって、比較例3、比較例4のテンションメンバーは接着引抜強力が測定できず、テンションメンバーに不適なものであった。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントの表面に厚さ10〜40μmのポリオレフィン樹脂層が形成されてなり、強力が150N以上、乾熱収縮率が3%以下であることを特徴とする光ケーブル用テンションメンバー。
  2. モノフィラメントを構成する熱可塑性樹脂の50質量%以上が層状珪酸塩を0.1〜10質量%含有するポリアミド樹脂である請求項1記載の光ケーブル用テンションメンバー。
  3. モノフィラメントの表面にポリオレフィン樹脂水性分散体をコーティングすることにより得られたものである請求項1〜2いずれかに記載の光ケーブル用テンションメンバー。
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