JP6309395B2 - 連結具 - Google Patents
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Description
このように構成された特許文献1に記載の連結具では、雄継手が開口部を介して挿入されてスライド移動されると、雄継手が付勢手段の付勢力に抗して把持部を移動させつつ把持部の間隙に入り込み、この把持部の間隙が拡大する。そして、雄継手がさらにスライド移動して、そのスライド移動が完了すると、雄継手による把持体への押圧が解消され、スライド移動によって拡大していた間隙が付勢手段により縮小される。これにより、雄継手が把持体に挟み込まれて係止される。特許文献1に記載の連結具は、このようにして、雄継手が雌継手に係止されることで、セグメント同士を容易に連結している。
このように、延伸板部が案内部を通過したところで、雄継手の弾性変形が解消され、雄継手を雌継手に係止させることができる。これにより、雌継手に複雑な移動機構を設けることなく、雄継手を雌継手に確実に係止させることができる。また、雄継手が雌継手に係止されると、雄継手の延伸板部が案内部と方形筒状体の開口幅方向他端側の内壁面との間に収容されるため、例えば、上記スライド移動の方向と逆方向に大きな力が作用したとしても、雄継手の雌継手への係止を確実に維持することができる。
したがって、トンネル構造体となる先行セグメントと後行セグメントとを容易に且つ確実に連結できると共に、簡易な構造の連結具を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態における連結具100の概略構成を示す斜視図である。
図2は、上記連結具100を適用した後述のセグメント(PS,FS)を示す部分斜視図である。また、図3(a)は後述する雄継手1の上面図であり、図3(b)は図3(a)に示すA−A矢視断面図である。図4(a)は後述する雌継手10の上面図であり、図4(b)は図4(a)のB矢視図である。図5(a)は図4(a)のC−C矢視断面図であり、図5(b)は図4(a)のD−D矢視断面図である。
先行セグメントPSの連結面PS1に後行セグメントFSの連結面FS1を当接させた状態で、連結面長辺方向(図2ではトンネル軸方向)に後行セグメントFSをスライド移動させて、雌継手10に雄継手1を係止させることで、後行セグメントFSが先行セグメントPSに連結される。なお、この連結動作については、後に詳述する。
なお、後述する図3〜図9においては、図の簡略化のため、図2に示した溝部PS1a及び突設部FS1aは、図示省略されている。また、本実施形態では、「連結面長辺方向」は「トンネル軸方向」と一致する。
雄継手1は、例えば、ステンレス製等の鋼板を適宜加工して予め形成され、雌継手10の配置位置に合わせて、図2及び図3に示すように、後行セグメントFSの厚み方向の略中央で、トンネル軸方向の適宜位置に配置される。また、雄継手1は、その板幅方向を連結面長辺方向(トンネル軸方向)に合わせて、言い換えると、その板面(上下面)が後行セグメントFSの外周及び内周面と略平行となるように配置されている。
より具体的には、雄継手1は、突設部FS1aにトンネル軸方向に適宜間隔をあけて適宜個数(図2では2個)設けられている。
延伸板部2の先端部2aに、鉤部3が設けられている。一方、延伸板部2の基端部2bは、後行セグメントFSに固定されている。この基端部2bのうち後行セグメントFS内の最基端部2b1は、例えば、板幅方向両側に拡幅して形成されている。この拡幅形成された最基端部2b1が雄継手1に作用する引張力に抗するアンカーとなる。なお、アンカーは、最基端部2b1を拡幅して形成する構成に限らず、図示を省略するが、例えば、基端部2bの板面にU字状に屈曲させた鉄筋を最基端部2b1から突出するように溶接して構成してもよいし、基端部2bに板厚方向に貫通する貫通孔を設けこの貫通孔に鉄筋材を挿通させる構成としてもよい。
具体的には、図3(b)に示すように、基端部2bの連結面FS1側の上面(後述する案内部12と当接する面とは反対の面)にゴムやスポンジ等の弾性部材4を配置させる。つまり、連結面FS1側では、基端部2bと後行セグメントFSのコンクリートとの間に弾性部材4が配置されている。なお、弾性部材4を設ける構成に限らず、単に、連結面FS1側で、基端部2bの上面とコンクリートとの間に単に隙間を設ける構成でもよい。
本実施形態において、鉤部3は、延伸板部2の先端部2aの両側部からそれぞれ突出して設けられている。
具体的には、雌継手10は、図2に示すように、先行セグメントPSの厚み方向の略中央で、トンネル軸方向の適宜位置に配置され、先行セグメントPS内に固定されている。
より具体的には、雌継手10は、溝部PS1aにトンネル軸方向に適宜間隔をあけて適宜個数(図2では2個)設けられている。
前記開口部11aは、その開口幅方向を連結面長辺方向(トンネル軸方向)に合わせて開口され、雄継手1が挿入されると共にこの雄継手1の板幅方向へのスライド移動を許容するように形成されている。
具体的には、案内部12は、例えば、傾斜部121とガイド部122とを含んで構成される。案内部12の当接面12aは、傾斜部121に形成され、方形筒状体11の開口幅方向他端側(つまり、本実施形態においては坑口側)に向かうにつれ上記周壁11cの内壁面から離れるように傾斜形成される。ガイド部122は、傾斜部121の坑口側に連続して形成され、案内部12が形成されている周壁11cの内壁面と平行なガイド面12bを有し、このガイド面12bは当接面12aと連続している。また、傾斜部121及びガイド部122の連結面PS1側の端面が連結面PS1と面一になるように、案内部12を連結面PS1側に寄せて設けられている。そして、傾斜部121及びガイド部122の連結面PS1と反対側の端面は、互いに面一に形成されると共に連結面PS1と平行に形成されている。
案内部12の連結面PS1とは反対側の端面(第1端面13a)と、底部11bとの離間距離は、雄継手1の鉤部3の挿入方向の長さより大きくなるように設定されている。また、案内部12の坑口側の端面12cと、段差部11c1が形成されている坑口側の周壁11cとの離間距離は、延伸板部2の板幅より若干大きくなるように設定されている。
前記挿入室11dは、方形筒状体11内の開口幅方向一端側(切羽側)にて、開口部11aと連通すると共に、雄継手1が挿入可能に区画形成される空間である。
前記スライド移動室11eは、挿入室11dの底部11b側にて、挿入室11dと連続すると共に、この挿入室11dに挿入される雄継手1の鉤部側先端部の開口幅方向他端側(坑口側)へのスライド移動を許容する空間である。
前記収容室11fは、スライド移動室11eの開口幅方向他端側にて、このスライド移動室11eと開口部11aとを連通させると共に、延伸板部2を収容可能な空間である。
本実施形態において、第1端面13aは、具体的には、案内部12を構成するガイド部122の連結面PS1と反対側の端面である。
図6(a)は雄継手1の挿入中の状態図、図6(b)は雄継手1の挿入完了後、スライド移動中の状態図、図6(c)は連結完了の状態図である。図7(a)は図6(b)に示すE1矢視方向から視た雌継手10の内部のイメージ図、図7(b)は図6(c)に示すE2矢視方向から視た雌継手10の内部のイメージ図である。なお、各セグメント(PS,FS)をトンネル周方向に複数連結して組み立てられるセグメントリングSLの組立方法については、後述する。
そして、後行セグメントFSの連結面FS1が先行セグメントPSの連結面PS1に当接したところで、後行セグメントFSの突設部FS1aが先行セグメントPSの溝部PS1aに嵌合する。これにより、先行セグメントPSに対する後行セグメントFSのセグメント厚み方向の移動が拘束されて、後行セグメントFSのセグメント厚み方向の位置が定まると共に、雄継手1の挿入が完了する。
次に、後行セグメントFSを先行セグメントPSに当接させた状態で、後行セグメントFSを坑口側に移動させると、雌継手10内で雄継手1が切羽側から坑口側にスライド移動する。この時、雄継手1の鉤部側先端部は挿入室11dからスライド移動室11eへ移動し始め、延伸板部2は案内部12の当接面12aに当接する。
そして、図6(b)に示すように、雄継手1がさらにスライド移動されると、雄継手1は、案内部12の当接面12aに延伸板部2を当接させた状態で、案内部12に案内されつつ、板厚方向に弾性変形する。このとき、具体的には、図7(a)に示すように、雄継手1は、板厚方向上側に弾性変形すると共に、挿入方向の中心軸線を概略中心としてねじれるように弾性変形し、切羽側に近づくにつれ、その変形量が増加する。この弾性変形の際、後行セグメントFSは、突設部FS1aを介してそのセグメント厚み方向(つまり、延伸板部2の板厚方向)の移動が拘束されている。このため、雄継手1が案内部12の当接面12aに当接することに起因して、後行セグメントFSが先行セグメントPSに対してセグメント厚み方向にずれることはない。
図8(a)は、セグメントリングSLの正面図である。図8(b)は、セグメントリングSLの部分展開図であり、トンネル内側を紙面手前側としている。図9は、セグメントリングSLの組立方法を示す図であり、図9(a)〜図9(d)は、先行セグメントPSに、後行セグメントFSが連結具100等によって順次連結されていく状態をそれぞれ示す。
ここで、互いにトンネル周方向に隣接するセグメント間の連結は連結具100によって行われる。一方、セグメントリング間、つまり、トンネル軸方向の連結は、例えば、リング間継手200によって行われる。リング間継手200としては、例えば、施工が容易なプッシュグリップ式継手が用いられる。ここで、プッシュグリップ式継手とは、楔を応用したピン方式の継手で、挿入側のピンボルトを受入側の孔部に挿入して締結力を得る継手であり、ピンボルトと受入れ孔部にはそれぞれ噛合可能な鋸歯状の突部と凹部が連続して形成される。リング間継手200のピンボルト200aは、セグメントのトンネル軸方向の連結面から外方に突出して設けられ、受入孔部200bは、セグメントのトンネル軸方向の連結面側に開口して設けられている。先行セグメントPSの雌継手10内に後行セグメントFSの雄継手1が挿入され、連結面(PS1,FS1)を当接させた状態で、後行セグメントFSが先行セグメントPSの溝部PS1aをガイドとして坑口側に移動操作されると、雄継手1が雌継手10に係止される。このようにして、トンネル周方向に隣接するセグメント間の連結が行われる。このトンネル周方向のセグメントの連結と同時に、ピンボルト200aが、坑口側に既に組立てられているセグメントリングSL’に設けられた受入孔部200bに係止されて、トンネル軸方向のセグメントの連結も行われる。
P6及びP7は、図示を省略したが、上面視で台形状、詳しくは、P8側の側面のみ傾斜させ、切羽側の側面を短辺の上底とし、坑口側を長辺の下底とする台形状になっている。また、この台形の斜辺側の面が、P8に接触する連結面となる。
P8は、図示を省略したが、上面視で台形状、詳しくは、坑口側を短辺の上底とし、切羽側を長辺の下底とする等脚台形状になっている。
次に、図9(b)に示すように、P1のトンネル周方向の一側面に、P2のトンネル周方向の一側面を面接触させ、この状態で、図9(c)に示すように、P2をトンネル軸方向に沿って切羽側から坑口側にエレクターによりスライド移動させて、P2をP1のトンネル周方向の一側面に連結具100により連結する。これと同時に、P2は既設のセグメントリングSL’にリング間継手200により連結される。つまり、P2を、そのトンネル周方向の一側面を隣接するP1のトンネル周方向の一側面と面接触させつつ、トンネル軸方向に移動させるという一連の移動操作により、P2の位置決めと、P2のトンネル軸方向及びトンネル周方向に隣接するセグメント(既設のセグメントリングSL’及びP1)との連結が同時に完了する。
そして、図9(d)に示すように、P1のトンネル周方向の他側に、P2と同様にして、P3を連結させる。
その後、図示を省略したが、P2のP1と反対の側に、P4を連結させ、P3のP1と反対の側に、P5を連結させ、P4のP2と反対の側に、P6を連結させ、P5のP3と反対の側に、P7を連結させる。
最後に、P6とP7の間にP8を挿入して、P8をリング間継手200により既設のセグメントリングSL’に連結させる。そして、P6とP8との間、及びP7とP8との間を、コッター等により連結させる。
このようにして、セグメントリングSLが構築される。その後、このセグメントリングSLに沿って、次のセグメントリングSLが組立てられる。このように、セグメントリングSLが坑口側から切羽側に向って順次構築されることにより、円筒状の覆工体(図示せず)が構築される。
このように、延伸板部2が案内部12を通過したところで、雄継手1の弾性変形が解消され、雄継手1を雌継手10に確実に係止させることができる。これにより、雌継手1に複雑な移動機構を設けることなく、雄継手1を雌継手10に係止させることができる。また、雄継手1が雌継手10に係止されると、雄継手1の延伸板部2が案内部12と方形筒状体11の開口幅方向他端側の内壁面との間に収容されるため、例えば、上記スライド移動の方向と逆方向に大きな力が作用したとしても、雄継手1の雌継手10への係止を確実に維持することができる。
したがって、トンネル構造体となる先行セグメントPSと後行セグメントFSとを容易に且つ確実に連結できると共に、簡易な構造の連結具100を提供することができる。
2・・・・・・・延伸板部
2b・・・・・・基端部
3・・・・・・・鉤部
10・・・・・・雌継手
11・・・・・・方形筒状体
11a・・・・・開口部
12・・・・・・案内部
12a・・・・・当接面
13・・・・・・係止部
13a・・・・・第1端面
13b・・・・・第2端面
100・・・・・連結具
PS・・・・・・先行セグメント
PS1・・・・・連結面
FS・・・・・・後行セグメント
FS1・・・・・連結面
Claims (4)
- トンネル構造体となる互いに隣接する先行セグメントと後行セグメントを連結する雄継手及び雌継手からなる連結具において、
前記雄継手は、
前記後行セグメントの連結面から連結面鉛直方向に延伸して板状に形成され、且つ、その板幅方向を連結面長辺方向に合わせて配置される延伸板部と、
前記延伸板部の先端部の側部から板幅方向に突出する鉤部と、
を含み、
前記雌継手は、
前記先行セグメントの連結面にて開口される開口部であって、その開口幅方向を連結面長辺方向に合わせて開口され、前記雄継手が挿入されると共に該雄継手の前記板幅方向へのスライド移動を許容する開口部を有する方形筒状体と、
前記方形筒状体内にて、開口幅方向中央部で且つ前記連結面側に寄せて、該方形筒状体の内壁面に設けられ、開口幅方向一端側から前記スライド移動される前記雄継手の前記延伸板部と当接して前記雄継手を案内しつつ該雄継手をその板厚方向に弾性変形可能に傾斜形成される当接面を有する案内部と、
少なくとも前記案内部の前記連結面と反対側の第1端面を有してなる係止部と、
を含み、
前記延伸板部が前記案内部を通過すると、前記鉤部が前記係止部に係止されると共に前記延伸板部が前記案内部と前記方形筒状体の開口幅方向他端側の内壁面との間に収容されることにより、前記各セグメントを連結する連結具。 - 前記鉤部は、前記延伸板部の先端部の両側部からそれぞれ突出して設けられ、
前記係止部は、前記第1端面と面一で且つ開口幅方向他端側の内壁面に形成される第2端面を更に有する、請求項1に記載の連結具。 - 前記延伸板部の基端部は、前記後行セグメントの前記連結面から内方に隔てた位置で該後行セグメントに固定される、請求項1又は2に記載の連結具。
- 前記先行セグメントの前記連結面は、トンネル周方向の露出側一側面であり、
前記後行セグメントの前記連結面は、トンネル周方向の一側面である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の連結具。
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