JP6309396B2 - 連結具 - Google Patents
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Description
このように構成された特許文献1に記載の連結具では、雄継手の連結片が開口部を介して挿入され始めると、係止部材をスプリングの付勢力に抗して奥側へ移動させ、さらに連結片が挿入されて、両係止部材間の離間距離が連結片の先端拡幅部の幅より広くなると、スプリングが両係止部材を押して開口部側へ移動させ、両係止部材が連結片の先端拡幅部を係止する。特許文献1に記載の連結具は、このようにして、雄継手が雌継手に係止されることで、コンクリート部材同士を容易に連結している。
このように、鉤部が一対の案内部を通過したところで、雄継手の弾性変形が解消され、雄継手を雌継手に係止させることができる。これにより、雌継手に複雑な移動機構を設けることなく、雄継手を雌継手に確実に係止させることができる。
したがって、トンネル構造体となる先行セグメントと後行セグメントとを容易に且つ確実に連結できると共に、簡易な構造の連結具を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態における連結具100の概略構成を示す斜視図である。
図2(a)は後述する雄継手1の上面図であり、図2(b)は図2(a)に示すA−A矢視断面図である。図3(a)は後述する雌継手10の上面図であり、図3(b)は図3(a)のB矢視図である。図4(a)は図3(a)のC−C矢視断面図であり、図4(b)は図3(a)のD−D矢視断面図である。
先行セグメントPSの連結面PS1に、後行セグメントFSの連結面FS1を近接させて、雌継手10に雄継手1を係止させることで、後行セグメントFSが先行セグメントPSに連結される。なお、この連結動作については、後に詳述する。
また、一つのセグメント(後述する図7(a)のP1〜P8)についてみると、各セグメントは、トンネル軸方向の一方の連結面側に雄継手1を有し、トンネル軸方向の他方の連結面側に雌継手10を有している。
具体的には、図2(b)に示すように、基端部2bの連結面FS1側の上下面(板面)にそれぞれゴムやスポンジ等の弾性部材4を配置させる。つまり、連結面FS側では、基端部2bと後行セグメントFSのコンクリートとの間に弾性部材4が配置されている。なお、弾性部材4を設ける構成に限らず、単に、連結面FS側で、基端部2bの上下面とコンクリートとの間に単に隙間を設ける構成でもよい。
具体的には、雌継手10は、図3(a)及び図3(b)に示すように、雄継手1の配置位置に合わせて、先行セグメントPSの厚み方向の略中央で、先行セグメントPSの周方向の適宜位置に配置され、先行セグメントPS内に固定されている。
具体的には、方形筒状体11は、開口部11a側の端面が連結面PSと面一になるように先行セグメントPS内に固定されている。方形筒状体11は、有底筒状に形成され、開口部11a側から視てその開口長辺が先行セグメントPSの長辺方向に延在し、開口短辺が先行セグメントPSの厚み方向に延在し、雄継手1が挿入される方向である奥行き方向はトンネル軸方向と一致する。また、図示を省略するが、方形筒状体11の底部11bを、方形筒状体11の周壁11cより外方に突出するように形成し、アンカーとして機能させるように構成するとよい。雌継手10のアンカーの形式は、これに限らず、雄継手1と同様に、適宜位置に貫通孔形成したり鉄筋を溶接したりする等して適宜構成することができる。
また、各案内部12は、鉤部3と当接して雄継手1を案内しつつこの雄継手1をその板厚方向に弾性変形可能に傾斜形成される当接面12aをそれぞれ有する。
具体的には、各案内部12の当接面12aは、方形筒状体11の底部11bに向かうにつれ周壁11cから離れるように傾斜形成される。
より具体的には、各案内部121,122は、図4(a)及び図4(b)に示すように、長手方向断面(図3に示すC−C矢視断面及びD−D矢視断面)で視ると、直角三角形状に形成され、全体として楔状に形成されている。この各案内部121,122は、その雄継手挿入終端側の端面(周壁11cと直角の面)と底部11bとが離間するように連結面PS1側に寄せて配置され、例えば、周壁11cに溶接等により固定されている。各案内部121,122の後述する収容室11e側の端面と底部11bとの離間距離は、雄継手1の鉤部3のトンネル軸方向の長さより大きくなるように設定されている。
図5(a)は雄継手1の挿入中の状態図、図5(b)は図5(a)に示すE1矢視方向から視たイメージ図である。図6(a)は連結完了の状態図、図6(b)は図6(a)に示すE2矢視方向から視たイメージ図である。なお、図1、図5及び図6において、先行セグメントPSのトンネル周方向に隣接する他のセグメントについては、図の明瞭化のため、図示を省略した。また、セグメントリングSLの組立方法については、後述する。
そして、図5(a)及び図5(b)に示すように、連結面(PS1,FS1)がさらに近づくと、雄継手1は、一対の案内部121,122の当接面12aに鉤部3を当接させた状態で、一対の案内部121,122に案内されつつ、板厚方向に弾性変形する。このとき、図5(b)に示すように、雄継手1は、第1案内部121側では板厚方向上側に弾性変形し、第2案内部122側では板厚方向下側に弾性変形する。つまり、雄継手1は、挿入方向の中心軸線Oを中心としてねじれるように弾性変形し、方形筒状体11の底部11bに近づくにつれ、その変形量が増加する。
図7(a)は、セグメントリングSLの正面図である。図7(b)は、セグメントリングSLの部分展開図であり、トンネル内側を紙面手前側としている。図8は、セグメントリングSLの組立方法を示す図であり、図8(a)〜図8(d)は、先行セグメントPSに、後行セグメントFSが連結具100等によって順次連結されていく状態をそれぞれ示す。
ここで、セグメントリング間、つまり、トンネル軸方向の連結は連結具100によって行われる。一方、トンネル周方向に隣接するセグメント間の連結は、例えば、断面T字状の係合部を有した雄継手200aと、図示を省略するが、この係合部が嵌合する係合溝を有する雌継手とを含んで構成される一般的な連結金具200によって行われる。雄継手200aは、セグメントのトンネル周方向の連結面から外方に突出して設けられ、雌継手は、セグメントのトンネル周方向の連結面側に開口し雄継手200aを挿入可能な挿入孔をさらに有する。雄継手200aの係合部が挿入孔に挿入された状態で、雄継手200aが雌継手に対してトンネル軸方向に沿って坑口側に移動すると、雄継手200aの係合部の頭部が雌継手の係合溝内をスライド移動して係合溝に嵌合される。このようにして、トンネル周方向に隣接するセグメント間の連結が行われる。
P2〜P7のトンネル周方向側(短辺側の面)の側面のうちのP1側の側面には、それぞれ、図7(b)に示すように、雄継手200aがトンネル軸方向に適宜間隔をあけて適宜個数(例えば、2個)設けられている。一方、P2〜P5のP8側の側面には、それぞれ、図示を省略したが、雄継手200aと係合する雌継手がトンネル軸方向に適宜間隔をあけて適宜個数(例えば2個)設けられている。また、P6とP8との間、及び、P7とP8との間の連結は、例えば、コッター等の一般的な連結金具を用いて行われる。
P6及びP7は、図示を省略したが、上面視で台形状、詳しくは、P8側の側面のみ傾斜させ、切羽側の側面を短辺の上底とし、坑口側を長辺の下底とする台形状になっている。また、この台形の斜辺が、P8に接触する連結面となる。
P8は、図示を省略したが、上面視で台形状、詳しくは、坑口側を短辺の上底とし、切羽側を長辺の下底とする等脚台形状になっている。
次に、図8(b)に示すように、P1のトンネル周方向の一側面に、P2のトンネル周方向の一側面を面接触させ、この状態で、図8(c)に示すように、P2を切羽側から坑口側にトンネル軸方向にエレクターにより移動させて、P2をP1のトンネル周方向の一側面に連結金具200により連結する。つまり、P2を、そのトンネル周方向の一側面を隣接するP1のトンネル周方向の一側面と面接触させつつ、トンネル軸方向に移動させるという一連の移動操作により、P2の位置決めと、P2のトンネル軸方向及びトンネル周方向に隣接するセグメント(既設のセグメントリングSL’及びP1)との連結が同時に完了する。
そして、図8(d)に示すように、P1のトンネル周方向の他側に、P2と同様にして、P3を連結させる。
その後、図示を省略したが、P2のP1と反対の側に、P4を連結させ、P3のP1と反対の側に、P5を連結させ、P4のP2と反対の側に、P6を連結させ、P5のP3と反対の側に、P7を連結させる。
最後に、P6とP7の間にP8を挿入して、P8を連結具100により既設のセグメントリングSL’に連結させる。そして、P6とP8との間、及びP7とP8との間を、コッター等により連結させる。
このようにして、セグメントリングSLが構築される。その後、このセグメントリングSLを先行セグメントPSとして、次のセグメントリングSLが組立てられる。このように、セグメントリングSLが坑口側から切羽側に向って順次構築されることにより、円筒状の覆工体(図示せず)が構築される。
このように、鉤部3が一対の案内部12,12を通過したところで、雄継手1の弾性変形が解消され、雄継手1を雌継手10に係止させることができる。これにより、雌継手10に複雑な移動機構を設けることなく雄継手1を雌継手10に確実に係止させることができる。
したがって、トンネル構造体となる先行セグメントPSと後行セグメントFSとを容易に且つ確実に連結できると共に、簡易な構造の連結具100を提供することができる。
ここで、例えば、鉤部3を雄継手1の先端部の上面又は下面のいずれか一方面から板厚方向に突出して形成すると共に、方形筒状体11内の鉤部3に対応する一方の内面側に鉤部3と当接して雄継手1を板厚方向に弾性変形させる案内部を傾斜形成し、この一つの案内部を通過したところで、雄継手1の弾性変形を解消させて、鉤部3をこの案内部の雄継手挿入終端側の端面に係止させることも考えられる。つまり、鉤部3を雄継手1の板厚方向と同じ方向に突出させることも考えられる。しかし、この場合、雄継手1は振動等により板厚方向に弾性変形し易いため、この板厚方向に突出している鉤部3が案内部の端面からずれ易すく、雄継手1と雌継手10との間の係合が安定しない可能性がある。
一方、本発明に係る連結具100によると、上述したように、鉤部3は雄継手1の弾性変形の方向とは異なる方向に突出している上、案内部12,12は、方形筒状体11内の四隅のうち一の対角位置に設けられる第1案内部121と、他の対角位置に設けられる第2案内部122とからなる。つまり、雄継手1の上面側及び下面側に対応してそれぞれ設けられているため、雄継手1が雌継手10に係合した後、振動等により雄継手1が板厚方向に弾性変形したとしても、鉤部3を係止部13(一対の案内部の雄継手挿入終端側の端面)に常に当接させた状態を維持することができるため、雄継手1と雌継手10との間の係合を安定化させることができる。
さらに、この場合、雄継手1は、第1案内部121側では板厚方向上側に弾性変形し、第2案内部122側では板厚方向下側に弾性変形する構成、言い換えると、挿入方向の中心軸線Oを中心としてねじれるように弾性変形する構成である。このため、雄継手1を雌継手10に挿入させる際に、雌継手10の挿入方向の中心軸線に対する雄継手1の中心軸線Oの軸ずれを防止することができる。したがって、雄継手1と雌継手10との間の係合をより安定して行うことができる。
図10(a)は雌継手10の上面図であり、図10(b)は図10(a)のB’矢視図である。図11(a)は図10(a)のC’−C’矢視断面図であり、図11(b)は図10(a)のD’−D’矢視断面図である。第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。また、セグメントリングSLの組立方法については、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
具体的には、第3案内部123は、第1実施形態の第1案内部121と同じものからなるものであり、第4案内部124は、図10(b)及び図11(a)に示すように、第2案内部122を上下反転させて、第3案内部123が設けられている先行セグメントPSの厚み方向一方側(図では下側)の周壁11cの内面に配置されてなるものである。
つまり、各案内部123,124は、周壁11cの内面に、先行セグメントPSの厚み方向一方側(図では下側)に寄せ、且つ、雄継手挿入終端側の端面と底部11bとが離間するように連結面PS1側に寄せて、溶接等により固定され、それぞれ、楔状に形成されている。
図12(a)は雄継手1の挿入中の状態図、図12(b)は図12(a)に示すF1−F1矢視断面図である。図13(a)は連結完了の状態図、図13(b)は図13(a)に示すF2−F2矢視断面図である。図14(a)は図13(a)に示すG1−G1矢視断面図、図14(b)はG2−G2矢視断面図、図14(c)はG3−G3矢視断面図である。
2・・・・・・・延伸板部
2b・・・・・・基端部
3・・・・・・・鉤部
10・・・・・・雌継手
11・・・・・・方形筒状体
11a・・・・・開口部
12,12・・・一対の案内部
12a・・・・・当接面
13・・・・・・係止部
100・・・・・連結具
121・・・・・第1案内部
122・・・・・第2案内部
123・・・・・第3案内部
124・・・・・第4案内部
PS・・・・・・先行セグメント
PS1・・・・・連結面
FS・・・・・・後行セグメント
FS1・・・・・連結面
Claims (5)
- トンネル構造体となる先行セグメントと後行セグメントとを連結する雄継手及び雌継手からなる連結具において、
前記雄継手は、
前記後行セグメントの連結面から連結面鉛直方向に延伸する板状の延伸板部と、
前記延伸板部の先端部の板幅方向両側から板幅方向にそれぞれ突出する鉤部と、
を含み、
前記雌継手は、
前記先行セグメントの連結面側に設けられ前記雄継手を挿入可能に開口される開口部を有する方形筒状体と、
前記方形筒状体内の開口幅方向両隅に沿って、互いに前記延伸板部の板幅より大きく離間して設けられ、前記鉤部と当接して前記雄継手を案内しつつ該雄継手をその板厚方向に弾性変形可能に傾斜形成される当接面を有する一対の案内部と、
前記一対の案内部の雄継手挿入終端側の端面からなる係止部と、
を含み、
前記鉤部が前記一対の案内部を通過して前記係止部に係止されると共に、前記延伸板部が前記一対の案内部間に収容されることにより、前記各セグメントを連結する連結具。 - 前記一対の案内部は、前記方形筒状体内の四隅のうち一の対角位置に設けられる第1案内部と、他の対角位置に設けられる第2案内部とからなる、請求項1に記載の連結具。
- 前記一対の案内部は、前記方形筒状体内の四隅のうち一の隅位置に形成される第3案内部と、前記方形筒状体内の四隅のうち前記第3案内部と同一側の他の隅位置に設けられる第4案内部とからなる、請求項1に記載の連結具。
- 前記延伸板部の基端部は、前記後行セグメントの前記連結面から内方に隔てた位置で該後行セグメントに固定される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の連結具。
- 前記先行セグメントの前記連結面は、トンネル軸方向の露出側一側面であり、
前記後行セグメントの前記連結面は、トンネル軸方向の一側面である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の連結具。
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