JP6517129B2 - 連結具、及び、セグメントの連結方法 - Google Patents
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Description
シールド工法では、例えば、地山に発進立坑と到達立坑とを構築し、発進立坑から到達立坑へ向けてシールド掘進機で地山を掘削しながら、シールド掘進機の後部で次々にトンネル覆工用のセグメント(以下、単に「セグメント」と称する)をトンネル周方向に組み立ててセグメントリングを構築すると共に、隣接するセグメントリング同士をトンネル軸方向で連結することで円筒状の覆工体を構築する。換言すれば、前述の覆工体は、複数のセグメントをトンネル周方向及びトンネル軸方向に連結させることによって構築される。
特許文献1に開示の連結具は、コンクリート製などの部材同士を連結するものであって、一方の部材に設けられる雄型連結金具と、他方の部材に固着される雌型連結金具とを備えている。雄型連結金具は、前記一方の部材の接合端面から突出する板状の連結片を有する。雌型連結金具には、雄型連結金具の連結片が挿入される偏平状の連結片挿入室が形成されている。また、雌型連結金具には、連結片挿入室に挿入された連結片を挟み込んで当該連結片の抜けを阻止する一対の係止部材が設けられている。
この点、特許文献1に開示のような連結具は、その構成部品の個数が多く、また、複雑な構造であるため、構造の簡素化が求められていた。
本発明は、このような実状に鑑み、簡素な構成の連結具を提供することを目的とする。
本発明の第4態様におけるセグメントの連結方法は、前記一方のセグメントの連結面を前記他方のセグメントの連結面に近づけて前記第1の内部空間内に前記凸状部材を挿入すること、及び、前記凸状部材を前記第1の内部空間内から前記第2の内部空間内にトンネル軸方向に移動させて、前記第2の内部空間内にて前記係合孔に前記係合部材を係合させること、を含む。
図1(A)は、本発明の第1実施形態におけるセグメントの概略構成を示す斜視図である。図1(B)は、本実施形態におけるセグメントの概略構成を示す平面図であり、セグメントを地山側から見た図である。図2(A)は、本実施形態における連結具の概略構成を示す断面図である。図2(B)は図2(A)のI−I断面図である。図2(C)は、連結具を構成する雌型継手部の正面図である。
連結具40は、セグメント11に設けられた雌型継手部2と、セグメント12に設けられた雄型継手部3とを備える。
開口部20は、セグメント11の連結面11aに凹設されており、直方体状の内部空間20aを有している。開口部20は、後述する板状部材30のうち先端部30bを含む露出部分を挿入可能である。
収容部材22は有底筒状であり、開口部20の内部空間20aに面して開口している。収容部材22はトンネル径方向に延在しており、その底部22aが内部空間20aよりもトンネル径方向内側(セグメント11の内面側)に位置している。収容部材22は例えば樹脂製である。
コイルばね23は、本発明の「付勢部材」に対応するものである。コイルばね23は、収容部材22内におけるその底部22aと係合部材21の基端部21aとの間に介装されている。コイルばね23は、その弾性力により、係合部材21を収容部材22内から内部空間20a側へ付勢する。
板状部材30は、セグメント12の連結面12aから垂直に突出して延在している。板状部材30には、その厚さ方向(トンネル径方向)に板状部材30を貫通する係合孔31が形成されている。係合孔31は係合部材21を挿入可能な大きさである。尚、本実施形態では、係合孔31の断面形状が、トンネル周方向を長軸とする楕円形状であるが、係合孔31の断面形状はこれに限らず、例えば、円形状又は矩形状であってもよい。板状部材30は例えば金属製である。
ゆえに、係合部材21の先端部21bに形成された傾斜面21cは、開口部20に挿入される板状部材30の内部空間20a内での移動方向αにおける手前側から奥側に向かうほど(すなわち、切羽側から坑口側に向かうほど)、コイルばね23から離れるように傾斜している(図2(A)参照)。
図3及び図4は、連結具40を用いるセグメント11,12の連結方法を示す。
セグメント12をセグメント11に連結するに先立って、セグメント11の雌型継手部2では、コイルばね23からの付勢力により、係合部材21の先端部21bが収容部材22から内部空間20a内に突出している(図3(A)参照)。尚、本実施形態では、このときに、開口部20のトンネル径方向外側の内壁20bに係合部材21の先端部21bが接触するが、この他、当該接触がなくとも、開口部20のトンネル径方向外側の内壁20bの近傍に係合部材21の先端部21bが位置すればよい。
このようにして、連結具40を介して、セグメント11,12同士が連結固定される。
前述の第1実施形態と異なる点について説明する。
連結具40’は、セグメント11に設けられた雌型継手部2’と、セグメント12に設けられた雄型継手部3’とを備える。
係合部材21の先端部21bには、図示しない雌ねじ部が凹設されており、この雌ねじ部に、頭部が鍋状に湾曲したナベ小ねじ21dが螺合している。
プラグ25は、管状部材24のトンネル径方向内側の開口端部24aに挿入されており、この開口端部24aを閉口している。プラグ25は例えば樹脂製である。
板状部材61の内部空間20a側の面(内面)には凹部61aが形成されており、この凹部61a内には、前述のナベ小ねじ21dが取り付けられた係合部材21の先端部21bを挿入することができる。
介装部材26は、板状部材30の内部空間20a内への挿入によって板状部材30で押圧されることにより、内部空間20a内を移動可能である。尚、本実施形態では、介装部材26は、板状部材30の内部空間20a内への挿入によって板状部材30で押圧されることにより、トンネル軸方向に(詳しくは切羽側から坑口側に)内部空間20a内を移動可能である。
介装部材26のうち、係合部材21の先端部21bに対向する側の表面には、例えば円錐状の凹部26aが形成されている。この凹部26a内には、係合部材21の先端部21bに取り付けられたナベ小ねじ21dが位置し得る。このように凹部26a内にナベ小ねじ21dが位置することで、板状部材30が内部空間20a内に挿入される前に(すなわち、雌型継手部2’と雄型継手部3’との連結固定に先立って)介装部材26が内部空間20aを移動することを抑制することができる。
セグメント12の雄型継手部3’を構成する板状部材30は、その先端部30bに面取り部30dが形成されている。
図6は、本実施形態における、連結具40’を用いるセグメント11,12の連結方法を示す。
セグメント12をセグメント11に連結するに先立って、セグメント11の雌型継手部2’では、係合部材21の先端部21bと開口部20の内面(本実施形態では凹部61a及びその近傍)との間に介装部材26を配置する(図6(A)参照)。
このようにして、連結具40’を介して、セグメント11,12同士が連結固定される。
前述の第2実施形態と異なる点について説明する。
連結具40”は、セグメント11”に設けられた雌型継手部2”と、セグメント12”に設けられた雄型継手部3”とを備える。
開口部20は、セグメント11”の連結面11a”に凹設されており、2つの内部空間20a−1,20a−2からなる内部空間20aを有している。
内部空間20aのうち坑口側の部分は、直方体状の第2の内部空間20a−2である。第2の内部空間20a−2は、そのトンネル径方向外側に位置する板状部材61”と、トンネル径方向内側に位置する板状部材62”と、板状部材61”,62”間に介装されて側壁を構成する板状部材63”によって区画形成されている。板状部材62”には、収容部材22の第2の内部空間20a−2側の端部を挿入可能な貫通孔62a”が形成されている。
板状部材61”の第2の内部空間20a−2側の面(内面)には凹部61a”が形成されており、この凹部61a”内には、前述のナベ小ねじ21dが取り付けられた係合部材21の先端部21bを挿入することができる。
本実施形態では、板状部材63”に凹部63a”が形成されており、この凹部63a”に介装部材26を収容することが可能である。
図8〜図10は、本実施形態における、連結具40”を用いるセグメント11”,12”の連結方法を示す。
セグメント12”をセグメント11”に連結するに先立って、セグメント11”の雌型継手部2”では、係合部材21の先端部21bと開口部20の内面(本実施形態では凹部61a”及びその近傍)との間に介装部材26を配置する(図7(A)及び(C)参照)。
このようにして、連結具40”を介して、セグメント11”,12”同士が連結固定される。
前述の第3実施形態と異なる点について説明する。
すなわち、本実施形態では、係合部材21の先端部21bには傾斜面21cが形成されている。傾斜面21cは、切羽側から坑口側に向かうほど、コイルばね23から離れるように傾斜している。換言すれば、傾斜面21cは、切羽側から坑口側に向かうほど、トンネル径方向外側(セグメント11”の外面側)に向かうように傾斜している。
ゆえに、係合部材21の先端部21bに形成された傾斜面21cは、開口部20に挿入される板状部材30の第2の内部空間20a−2内での移動方向βにおける手前側から奥側に向かうほど(すなわち、切羽側から坑口側に向かうほど)、コイルばね23から離れるように傾斜している(図12(B)参照)。
図13及び図14は、連結具40”を用いるセグメント11”,12”の連結方法を示す。
セグメント12”をセグメント11”に連結するに先立って、セグメント11”の雌型継手部2”では、コイルばね23からの付勢力により、係合部材21の先端部21bが収容部材22から第2の内部空間20a−2内に突出している(図11(A)及び図12(B)参照)。尚、本実施形態では、開口部20の板状部材61”の近傍に係合部材21の先端部21bが位置し得る。
このようにして、連結具40”を介して、セグメント11”,12”同士が連結固定される。
尚、出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
互いに相対する連結面を有するトンネル覆工用のセグメント同士を互いに連結固定するための連結具であって、
一方のセグメントの連結面から垂直に突出し、かつ、係合孔が貫通形成された凸状部材と、
他方のセグメントの連結面に凹設されて前記凸状部材を挿入可能な開口部と、
前記他方のセグメントに設けられて、前記開口部内に前記凸状部材が挿入された状態で前記係合孔に係合可能な係合部材と、
を備える連結具。
[請求項2]
前記凸状部材は板状部材であり、
前記開口部は直方体状の内部空間を有し、
前記係合部材は棒状であり、
前記連結具は、
前記他方のセグメントに設けられ、前記内部空間に面して開口し、かつ、前記係合部材の少なくとも基端部を収容可能な有底筒状の収容部材と、
前記収容部材内におけるその底部と前記係合部材の基端部との間に介装されて前記係合部材を前記収容部材内から前記内部空間側へ付勢する付勢部材と、
を更に備える、請求項1に記載の連結具。
[請求項3]
前記係合部材の先端部には傾斜面が形成されており、
前記傾斜面は、前記開口部に挿入される前記凸状部材の前記内部空間内での移動方向における手前側から奥側に向かうほど、前記付勢部材から離れるように傾斜している、請求項2に記載の連結具。
[請求項4]
前記凸状部材のうち、前記凸状部材が前記開口部内に挿入されるときに前記係合部材の先端部に接触可能な領域の少なくとも一部には、傾斜部が形成されており、
前記傾斜部は、前記凸状部材の前記内部空間内での移動方向における手前側から奥側に向かって先細になるように傾斜している、請求項2又は請求項3に記載の連結具。
[請求項5]
前記連結具は、前記係合部材の先端部と、この先端部に相対する前記開口部の内面との間に介装される介装部材を更に備え、
前記介装部材は、前記内部空間内に挿入される前記凸状部材で押圧されることにより、前記内部空間内を移動可能である、請求項2に記載の連結具。
[請求項6]
前記介装部材は、前記係合部材の先端部と前記内面との間に介装されている状態で、前記付勢部材からの付勢力により、前記係合部材を介して、前記内面側に押圧される、請求項5に記載の連結具。
[請求項7]
前記連結具は、前記係合部材の先端部と、この先端部に相対する前記開口部の内面との間に介装される介装部材を更に備え、
前記介装部材は、前記係合部材の先端部と前記内面との間に介装されている状態で、前記付勢部材からの付勢力により、前記係合部材を介して、前記内面側に押圧される、請求項2に記載の連結具。
[請求項8]
前記収容部材と前記付勢部材とが、前記他方のセグメントにおいて、前記開口部よりもトンネル径方向内側に位置する、請求項2〜請求項7のいずれか1つに記載の連結具。
[請求項9]
前記連結具は、
前記他方のセグメントに設けられて、トンネル径方向に延在し、かつ、前記内部空間とトンネル内空間とを連通可能な管状部材と、
前記管状部材のトンネル径方向内側の開口端部を閉口するプラグと、
を更に備え、
前記管状部材内に前記収容部材が設けられている、請求項8に記載の連結具。
[請求項10]
請求項2〜請求項4のいずれか1つに記載の連結具を用いてセグメント同士を連結する方法であって、
前記付勢部材からの付勢力により、前記係合部材の先端部を前記収容部材から前記内部空間内に突出させること、
前記内部空間内に挿入される前記凸状部材によって前記係合部材を前記付勢力に抗して押圧すること、及び、
前記押圧された係合部材の先端部が、前記付勢力によって前記係合孔に挿入されて、前記係合部材が前記係合孔に係合すること、
を含む、セグメントの連結方法。
[請求項11]
請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の連結具を用いてセグメント同士を連結する方法であって、
前記係合部材の先端部と前記内面との間に前記介装部材を配置すること、
前記内部空間内に挿入される前記凸状部材によって前記介装部材を押圧して前記介装部材を前記係合部材の先端部から離間させると共に、前記凸状部材によって前記係合部材を前記付勢部材からの付勢力に抗して押圧すること、及び、
前記押圧された係合部材の先端部が、前記付勢力によって前記係合孔に挿入されて、前記係合部材が前記係合孔に係合すること、
を含む、セグメントの連結方法。
2,2’,2” 雌型継手部
3,3’,3” 雄型継手部
11,12,11”,12” セグメント
11a,12a,11a”,12a” 連結面
20 開口部
20a 内部空間
20a−1 第1の内部空間
20a−2 第2の内部空間
20b 内壁
21 係合部材
21a 基端部
21b 先端部
21c 傾斜面
21d ナベ小ねじ
22 収容部材
22a 底部
23 コイルばね
24 管状部材
24a 開口端部
25 プラグ
26 介装部材
26a 凹部
30 板状部材(凸状部材)
30a 基端部
30b 先端部
30c,30c’ 傾斜部
30d 面取り部
31 係合孔
40,40’,40” 連結具
61〜63,61”〜63” 板状部材
65,65” ガイド部材
61a,61a” 凹部
62a,62a” 貫通孔
63a” 凹部
65a” 溝部
100 トンネル内空間
Claims (8)
- トンネル周方向で互いに相対する連結面を有するトンネル覆工用のセグメント同士を互いに連結固定するための連結具であって、
一方のセグメントの連結面からトンネル周方向に沿うように突出し、かつ、係合孔が貫通形成された凸状部材と、
他方のセグメントの連結面に凹設されて前記凸状部材を挿入可能な開口部であって、切羽側の部分である第1の内部空間と坑口側の部分である第2の内部空間とからなる内部空間を有する前記開口部と、
前記他方のセグメントに設けられて、前記第2の内部空間内に前記凸状部材が挿入された状態で前記係合孔に係合可能な係合部材と、
前記他方のセグメントに設けられ、前記第2の内部空間に面して開口し、かつ、前記係合部材の少なくとも基端部を収容可能な有底筒状の収容部材と、
前記収容部材内におけるその底部と前記係合部材の基端部との間に介装されて前記係合部材を前記収容部材内から前記第2の内部空間側へ付勢する付勢部材と、
を備える、連結具。 - 前記第1の内部空間内に挿入されて前記第1の内部空間内から前記第2の内部空間内に移動される前記凸状部材の前記係合孔に前記係合部材が前記第2の内部空間内にて係合可能である、請求項1に記載の連結具。
- 前記収容部材と前記付勢部材とが、前記他方のセグメントにおいて、前記第2の内部空間よりもトンネル径方向内側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の連結具。
- 前記連結具は、前記係合部材の先端部と、この先端部に相対する前記開口部の内面との間に介装される介装部材を更に備え、
前記介装部材は、前記第2の内部空間内に挿入される前記凸状部材で押圧されることにより、前記第2の内部空間内を移動可能である、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の連結具。 - 前記第2の内部空間内における前記介装部材のトンネル軸方向での移動を案内するガイド部材を更に備える、請求項4に記載の連結具。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の連結具を用いてセグメント同士を連結する方法であって、
前記付勢部材からの付勢力により、前記係合部材の先端部を前記収容部材から前記第2の内部空間内に突出させること、
前記第2の内部空間内に挿入される前記凸状部材によって前記係合部材を前記付勢力に抗して押圧すること、及び、
この押圧された係合部材の先端部が、前記付勢力によって前記係合孔に挿入されて、前記係合部材が前記係合孔に係合すること、
を含む、セグメントの連結方法。 - 請求項4又は請求項5に記載の連結具を用いてセグメント同士を連結する方法であって、
前記係合部材の先端部と前記内面との間に前記介装部材を配置すること、
前記第2の内部空間内に挿入される前記凸状部材によって前記介装部材を押圧して前記介装部材を前記係合部材の先端部から離間させると共に、前記凸状部材によって前記係合部材を前記付勢部材からの付勢力に抗して押圧すること、及び、
この押圧された係合部材の先端部が、前記付勢力によって前記係合孔に挿入されて、前記係合部材が前記係合孔に係合すること、
を含む、セグメントの連結方法。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の連結具を用いてセグメント同士を連結する方法であって、
前記一方のセグメントの連結面を前記他方のセグメントの連結面に近づけて前記第1の内部空間内に前記凸状部材を挿入すること、及び、
前記凸状部材を前記第1の内部空間内から前記第2の内部空間内にトンネル軸方向に移動させて、前記第2の内部空間内にて前記係合孔に前記係合部材を係合させること、
を含む、セグメントの連結方法。
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