JP6307861B2 - 樹脂製保持器 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂製保持器に関し、より具体的には、アキシャルドロー型により射出成形される樹脂製保持器に関する。
従来より、自動車用変速機の変速ギア支持部やシャフト支持部に使用されるラジアル軸受用の樹脂製保持器としては、ラジアルドロー型により射出成形される保持器（以下、ラジアルドロー保持器と称することがある。例えば、特許文献１参照。）や、アキシャルドロー型により射出成形される保持器（以下、アキシャルドロー保持器と称することがある。例えば、特許文献２〜４参照。）が知られている。
図４に示すように、ラジアルドロー形式で成形された保持器１０１は、軸方向に離間し、且つ同軸に配置された円環状の一対のリム部１０３と、一対のリム部１０３を軸方向に連結し、円周方向に所定間隔で設けられる複数の柱部１１０と、一対のリム部１０３と周方向に隣り合う柱部１１０とによって画成され、転動体（例えばニードルや円筒ころ）が転動自在に保持されるポケット部１２０と、を有する。
図５に示すように、ラジアルドロー保持器１０１では、リム部１０３の外径が柱部１１０よりも外径が大きく形成され、リム部１０３の径方向厚さは柱部１１０よりも径方向厚さが大きくなる。
一方、図６及び図７に示すように、アキシャルドロー形式で成形された保持器１は、軸方向に離間し、且つ同軸に配置された円環状の大径リム部５及び小径リム部７と、大径リム部５及び小径リム部７を軸方向に連結し、円周方向に所定間隔で設けられる複数の柱部１０と、大径リム部５及び小径リム部７と周方向に隣り合う柱部１０とによって画成され、転動体（例えばニードルや円筒ころ）が転動自在に保持されるポケット部２０と、を有する。
図８に示すように、柱部１０は、大径リム部５と小径リム部７との間を軸方向に延びる延出部１１と、延出部１１の径方向内側から大径リム部５側（軸方向外側）に突出する内側凸部１２と、延出部１１の径方向外側から小径リム部７（軸方向外側）に突出する外側凸部１３と、を有する。
延出部１１は、大径リム部５の軸方向内側面５ａ及び小径リム部７の軸方向内側面７ａに接続し、内側凸部１２は、大径リム部５の内周面５ｂに接続し、外側凸部１３は、小径リム部７の外周面７ｂに接続する。そして、大径リム部５の内周面５ｂは、内側凸部１２と軸方向にオーバーラップする軸方向内側部５ｃと、内側凸部１２と軸方向にオーバーラップしない軸方向外側部５ｄと、からなる。また、小径リム部７の外周面７ｂは、外側凸部１３と軸方向にオーバーラップする軸方向内側部７ｃと、外側凸部１３と軸方向にオーバーラップしない軸方向外側部７ｄと、からなる。
特開２００５−２２５０３２号公報 実開昭６２−１１７３２２号公報 特開昭６０−８５２５号公報 特開平２−８９８１４号公報
ここで、アキシャルドロー保持器１は、ラジアルドロー保持器１０１に比べて、金型部品点数が大幅に減るため、リードタイム及びコスト面で有利である。しかし、成形後に金型をアキシャル方向（軸方向）に抜くという構成上、アキシャルドロー保持器１の形状は左右非対称となってしまう。また、ラジアルドロー保持器１０１の一対のリム部１０３の径方向厚さと比較し、大径リム部５及び小径リム部７の径方向厚さが小さくなってしまう。そのため、アキシャルドロー保持器１の剛性が低下し、変形や、当該変形に起因する転動体の抜け等が発生してしまう虞があった。また、剛性を高めるために、大径リム部５及び小径リム部７の軸方向厚さを大きくしたり、転動体数を減らして柱部１０の周方向幅を大きくしたりすることが考えられるが、この場合、軸受定格容量がラジアルドロー保持器１０１に対して低下してしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、剛性が良好である樹脂製保持器を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１） 軸方向に離間し、且つ同軸に配置される円環状の大径リム部及び小径リム部と、
前記大径リム部及び前記小径リム部を軸方向に連結し、円周方向に所定間隔で設けられる複数の柱部と
を備え、アキシャルドロー型により射出成形される、ラジアル軸受用の樹脂製保持器であって、
前記柱部は、前記大径リム部の内周面、及び前記小径リム部の外周面に接続し、
前記大径リム部の内周面及び前記小径リム部の外周面は、前記柱部と軸方向にオーバーラップする軸方向内側部と、前記柱部と軸方向にオーバーラップしない軸方向外側部と、
をそれぞれ有し、
前記大径リム部の内周面の軸方向外側部には、小径円環状部材が内嵌され、
前記小径リム部の外周面の軸方向外側部には、大径円環状部材が外嵌される
ことを特徴とする樹脂製保持器。
（２） 軸方向に離間し、且つ同軸に配置される円環状の大径リム部及び小径リム部と、
前記大径リム部及び前記小径リム部を軸方向に連結し、円周方向に所定間隔で設けられる複数の柱部と
を備え、アキシャルドロー型により射出成形される、ラジアル軸受用の樹脂製保持器であって、
前記柱部は、前記大径リム部の内周面、及び前記小径リム部の外周面に接続し、
前記小径リム部の外周面は、前記柱部と軸方向にオーバーラップする軸方向内側部と、前記柱部と軸方向にオーバーラップしない軸方向外側部と、を有し、
前記小径リム部の外周面の軸方向外側部には、大径円環状部材が外嵌される
ことを特徴とする樹脂製保持器。
本発明の樹脂製保持器によれば、大径リム部の内周面の軸方向外側部には小径円環状部材が内嵌され、小径リム部の外周面の軸方向外側部には大径円環状部材が外嵌される。したがって、保持器形状を変更することなく、保持器の剛性を向上させることが可能である。
実施形態に係る樹脂製保持器を軸方向一方側から見た斜視図である。 実施形態に係る樹脂製保持器を軸方向他方側から見た斜視図である。 実施形態に係る樹脂製保持器を円周方向から見た断面図である。 従来のラジアルドロー保持器の斜視図である。 従来のラジアルドロー保持器を円周方向から見た断面図である。 従来のアキシャルドロー保持器を軸方向一方側から見た斜視図である。 従来のアキシャルドロー保持器を軸方向他方側から見た斜視図である。 従来のアキシャルドロー保持器を円周方向から見た断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る樹脂製保持器について、図面を用いて説明する。なお、本実施形態の樹脂製保持器は、図６〜図８に示した従来のアキシャルドロー保持器１と基本的構成が同一であるので、相違部分について詳述し、同一又は相当部分には、同一符号を付すことにより説明を省略する。
図１〜図３に示すように、本実施形態の樹脂製保持器１Ａにおいては、大径リム部５の内周面５ｂの軸方向外側部５ｄに、小径円環状部材２が締め代をもって内嵌され、小径リム部７の外周面７ｂの軸方向外側部７ｄに、大径円環状部材４が締め代をもって外嵌される。このように、小径円環状部材２及び大径円環状部材４を設けることによって、樹脂製保持器１Ａの剛性を向上させることが可能である。
小径円環状部材２は、軸方向幅が大径リム部５の内周面５ｂの軸方向外側部５ｄの軸方向幅と略同一であり、内径が柱部１０の内径と略同一である。大径円環状部材４は、軸方向幅が小径リム部７の外周面７ｂの軸方向外側部７ｄと略同一であり、外径が柱部１０の外径と略同一である。
なお、小径円環状部材２の内径は、少なくとも柱部１０の内径以下であればよく、大径円環状部材４の外径は、少なくとも柱部１０の外径以上であればよい。このように設定することにより、本発明の樹脂製保持器１Ａを、保持器案内方式のラジアル軸受に適用した場合、不連続面である複数の柱部１０の内周面又は外周面によって樹脂製保持器１Ａが案内されることが防止できる。すなわち、連続面である小径円環状部材２の内周面又は大径円環状部材４の外周面で樹脂製保持器１Ａを案内することができるので、安定した回転を確保することが可能である。
小径円環状部材２及び大径円環状部材４の材質は、樹脂製保持器１Ａと同一の樹脂材料としてもよく、鋼板等の金属材としてもよい。
小径円環状部材２及び大径円環状部材４として樹脂製保持器１Ａと同一の樹脂材料を用いた場合、小径円環状部材２及び大径円環状部材４が樹脂製保持器１Ａに締め代をもって嵌合した際に、温度変化による膨張量及び収縮量が略同一となるため、小径円環状部材２及び大径円環状部材４が脱落してしまうことを防止できる。なお、樹脂材料としては、６６ナイロンや、４６ナイロン、ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）等が挙げられる。
一方、小径円環状部材２及び大径円環状部材４として金属材料を用いた場合、樹脂製保持器１Ａの剛性をさらに向上させることが可能である。なお、金属材料としては、冷間圧延鋼板（ＳＰＣ材）や、高炭素クロム軸受鋼（ＳＵＪ２）等が挙げられる。冷間圧延鋼板を採用した場合には、プレス加工が可能となるため、低コストで所望の小径円環状部材２及び大径円環状部材４が得られる。
尚、本発明は、前述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、適宜変更、改良等が可能である。
例えば、上述した実施形態においては、大径リム部５の内周面５ｂの軸方向外側部５ｄに小径円環状部材２が内嵌され、小径リム部７の外周面７ｂの軸方向外側部７ｄに大径円環状部材４が外嵌される構成であったが、これに限定されず、小径円環状部材２又は大径円環状部材４のいずれか一方のみを樹脂製保持器１Ａに嵌合する構成であってもよい。このような構成によれば、大径リム部５と小径リム部７の径方向厚さが異なる場合に、剛性が不足している側のみ強化することが可能となる。また、この場合、小径円環状部材２又は大径円環状部材４を樹脂製保持器１Ａの軸方向への組込み方向性の識別とすることもできる。なお、樹脂製保持器１Ａと小径円環状部材２又は大径円環状部材４との色を違えると、より確実な識別とすることが可能である。
１ 樹脂製保持器
２ 小径円環状部材
４ 大径円環状部材
５ 大径リム部
５ａ 軸方向内側面
５ｂ 内周面
５ｃ 軸方向内側部
５ｄ 軸方向外側部
７ 小径リム部
７ａ 軸方向内側面
７ｂ 外周面
７ｃ 軸方向内側部
７ｄ 軸方向外側部
１０ 柱部
１１ 延出部
１２ 内側凸部
１３ 外側凸部
２０ ポケット部

Claims (2)

  1. 軸方向に離間し、且つ同軸に配置される円環状の大径リム部及び小径リム部と、
    前記大径リム部及び前記小径リム部を軸方向に連結し、円周方向に所定間隔で設けられる複数の柱部と
    を備え、アキシャルドロー型により射出成形される、ラジアル軸受用の樹脂製保持器であって、
    前記柱部は、前記大径リム部の内周面、及び前記小径リム部の外周面に接続し、
    前記大径リム部の内周面及び前記小径リム部の外周面は、前記柱部と軸方向にオーバーラップする軸方向内側部と、前記柱部と軸方向にオーバーラップしない軸方向外側部と、
    をそれぞれ有し、
    前記大径リム部の内周面の軸方向外側部には、小径円環状部材が内嵌され、
    前記小径リム部の外周面の軸方向外側部には、大径円環状部材が外嵌される
    ことを特徴とする樹脂製保持器。
  2. 軸方向に離間し、且つ同軸に配置される円環状の大径リム部及び小径リム部と、
    前記大径リム部及び前記小径リム部を軸方向に連結し、円周方向に所定間隔で設けられる複数の柱部と
    を備え、アキシャルドロー型により射出成形される、ラジアル軸受用の樹脂製保持器であって、
    前記柱部は、前記大径リム部の内周面、及び前記小径リム部の外周面に接続し、
    前記小径リム部の外周面は、前記柱部と軸方向にオーバーラップする軸方向内側部と、前記柱部と軸方向にオーバーラップしない軸方向外側部と、を有し、
    前記小径リム部の外周面の軸方向外側部には、大径円環状部材が外嵌される
    ことを特徴とする樹脂製保持器。
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