JP2007182935A

JP2007182935A - スラストころ軸受

Info

Publication number: JP2007182935A
Application number: JP2006001705A
Authority: JP
Inventors: Aiko Suzuki; 愛子鈴木
Original assignee: NSK Ltd
Current assignee: NSK Ltd
Priority date: 2006-01-06
Filing date: 2006-01-06
Publication date: 2007-07-19

Abstract

【課題】射出成形における型抜き時にポケットのころ止め部の変形や破損等を防止することができ、保持器の生産性の向上を図ることができるスラストころ軸受を提供する。
【解決手段】ポケット６の円周方向の内周面の軸方向両端部にころ止め部７，８を設け、一方のころ止め部７を保持器５の軸方向端面より内側に配置すると共に、ころ止め部７側のポケット６の開口部９の円周方向の幅寸法Ｘ１を、ポケット６のころ案内部１０の円周方向の幅寸法Ｘ２以上にする。
【選択図】図２

Description

本発明は、例えば、各種産業機械や、自動車のトランスミッションやコンプレッサ等の回転支持部に用いられるスラストころ軸受に関し、特に、転動体として針状ころを用いたスラスト針状ころ軸受に関する。

スラスト針状ころ軸受は、一般に、軸方向に互いに対向する一対の軌道輪と、この一対の軌道輪間に円周方向に転動可能に配設された複数の針状ころと、この複数の針状ころを転動可能に保持するポケットを有する保持器と、を備えている。

ところで、保持器には、薄い鋼板を素材として打ち抜き・プレス成形加工をしたものが用いられていたが、近年、金属製の保持器よりも軽量で、生産性及び経済性に優れる樹脂製保持器が使用されるようになっている。

従来の樹脂製保持器としては、ポケットから針状ころが脱落するのを防止するために、ポケットの円周方向の内周面の軸方向両端部にころ止め部を突設したものが提案されている。（例えば、特許文献１参照。）。

特開２００３−１２０６８４号公報（第１図）

また、ころ止め部を設けた樹脂製保持器は、一般に射出成形によって形成されるが、ころ止め部がアンダーカット形状をしている関係上、保持器のポケットを成形する金型をポケットから引き抜く際に、無理抜きとなるため、ころ止め部が金型によって引きずられて変形し、ころ止め部がポケット側から逃げてしまったり、ころ止め部にクラックや破損が発生する場合がある。この場合、ポケットで針状ころを保持できなくなることから、保持器は不良品とされ、生産性が低下する原因となる。

さらに、金型をポケットから引き抜く際の力の大きさによっては、ころ止め部にバリやクラックが発生し易いという問題がある。

特に、自動車等のオートマチックトランスミッションに使用されるスラスト針状軸受については、高温環境下のオイル潤滑中で使用され、かつ、高剛性の合成樹脂を保持器材料として用い、補強用のガラス繊維等を多く含んでいるため、上記問題点が顕著になる。

本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、射出成形における型抜き時にポケットのころ止め部の変形や破損等を防止することができ、保持器の生産性の向上を図ることができるスラストころ軸受を提供することにある。

本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）複数のころを円周方向に転動可能に保持するポケットを有する樹脂製保持器を備えるスラストころ軸受であって、ポケットの円周方向の内周面の軸方向両端部にころ止め部を設け、少なくとも一方のころ止め部を保持器の軸方向端面より内側に配置すると共に、一方のころ止め部側のポケットの開口部の円周方向の幅寸法を、ポケットのころ案内部の円周方向の幅寸法以上にすることを特徴とする。

（２）ころ止め部の径方向の長さ寸法を、ポケットの径方向の長さ寸法より小さくすることを特徴とする。

（３）保持器の軸方向端面より内側に配置されたころ止め部の軸方向端面からの高さ寸法を、ころ止め部の突起部の軸方向の高さ寸法以上にすることを特徴とする。

本発明のスラストころ軸受によれば、ポケットの円周方向の内周面の軸方向両端部にころ止め部を設け、少なくとも一方のころ止め部を保持器の軸方向端面より内側に配置すると共に、一方のころ止め部側のポケットの開口部の円周方向の幅寸法を、ポケットのころ案内部の円周方向の幅寸法以上にするため、ころ止め部と保持器の軸方向端面との間に、保持器の射出成形における型抜き時にころ止め部が受ける力を逃がす逃げ部が形成される。これにより、型抜き時の抵抗が抑制されて、ころ止め部が変形したり、ころ止め部にクラックや破損等が発生することを防止することができ、保持器の生産性の向上を図ることができる。

また、本発明のスラストころ軸受によれば、ころ止め部の径方向の長さ寸法を、ポケットの径方向の長さ寸法より小さくするため、ポケットの開口部において、ころ止め部とポケットの径方向端部との間に潤滑剤の出入りを促進する凹溝部が形成されるので、潤滑性能の向上を図ることができる。

さらに、本発明のスラストころ軸受によれば、保持器の軸方向端面より内側に配置されたころ止め部の軸方向端面からの高さ寸法を、ころ止め部の突起部の軸方向の高さ寸法以上にするため、保持器の射出成形における型抜き時にころ止め部が受ける力を逃がすことができる。また、仮に、ころ止め部に変形やバリが発生したとしても、ころ止め部と軌道面との間に十分な距離を確保することができる。これにより、軸受回転中に変形部分やバリが軌道面に接触することを防止できるので、軸受回転に支障をきたすことがない。

以下、本発明に係るスラストころ軸受の一実施形態であるスラスト針状ころ軸受について、図面を参照して詳細に説明する。
図１は本発明の一実施形態であるスラスト針状ころ軸受を説明するための要部断面図、図２は図１のＡ−Ａ線矢視断面図、図３は図１に示す樹脂製保持器の単体の要部断面図、図４は図１に示す樹脂製保持器が一方の軌道輪側に移動した状態を説明するための断面図である。

本実施形態のスラスト針状ころ軸受１は、図１に示すように、軸方向に互いに対向する一対の軌道輪２，３と、この一対の軌道輪２の軌道面２ａと軌道輪３の軌道面３ａとの間に円周方向に転動可能に配設される複数の針状ころ（ころ）４と、この複数の針状ころ４を転動可能に保持する樹脂製保持器（保持器）５と、を備えている。

樹脂製保持器５は、例えば、６６ナイロン（ガラス繊維２５重量％含む。）やＰＰＳ（ガラス繊維２５重量％含む。）等の射出成形品とされており、この樹脂製保持器５には、円環板状部材に針状ころ４を転動可能に保持するポケット６が針状ころ４の数に対応して円周方向に等間隔に形成されている。

そして、本実施形態では、図２に示すように、ポケット６から針状ころ４が脱落するのを防止するために、ポケット６の円周方向の内周面の軸方向両端部にころ止め部７，８がそれぞれ突設されている。

また、本実施形態では、ころ止め部７，８のうち一方のころ止め部７を、樹脂製保持器５の軸方向端面（図２の上端面）より内側に配置する共に、ころ止め部７側のポケット６の開口部９の円周方向の幅寸法Ｘ１を、ポケット６のころ案内部１０の円周方向の幅寸法Ｘ２以上に設定している。これにより、軌道輪２ところ止め部７との間に、型抜き時にころ止め部７が受ける力を逃がすための逃げ部１１が形成される。

また、本実施形態では、図３に示すように、ころ止め部７の径方向の長さ寸法Ｌ１を、ポケット６の径方向の長さ寸法Ｌ２より小さく設定している。これにより、ころ止め部７とポケット６の径方向端部との間に、潤滑油が出入りするための凹溝部１２が形成される。

さらに、本実施形態では、図２に示すように、ころ止め部７の樹脂製保持器５の軸方向端面（図２の上端面）からの高さ寸法Ｈ１を、ころ止め部７の突起部１３の軸方向の高さ寸法Ｈ２以上に設定している。これにより、図４に示すように、保持器５が軌道輪２へ移動した場合でも、軌道輪２ところ止め部７との間に十分な距離を確保することができる。

従って、本実施形態のスラスト針状ころ軸受１によれば、ポケット６の円周方向の内周面の軸方向両端部にころ止め部７，８を設け、一方のころ止め部７を保持器５の軸方向端面より内側に配置すると共に、ころ止め部７側のポケット６の開口部９の円周方向の幅寸法Ｘ１を、ポケット６のころ案内面１０の円周方向の幅寸法Ｘ２以上にするため、ころ止め部７と保持器５の軸方向端面（図２の上端面）との間に、保持器５の射出成形における型抜き時にころ止め部７が受ける力を逃がす逃げ部１１が形成される。これにより、型抜き時の抵抗が抑制されて、ころ止め部７が変形したり、ころ止め部７にクラックや破損等が発生することを防止することができ、保持器５の生産性の向上を図ることができる。

また、本実施形態のスラスト針状ころ軸受１によれば、ころ止め部７の径方向の長さ寸法Ｌ１を、ポケット６の径方向の長さ寸法Ｌ２より小さくするため、ポケット６の開口部９において、ころ止め部７とポケット６の径方向端部との間に潤滑剤の出入りを促進する凹溝部１２が形成されるので、潤滑性能の向上を図ることができる。

また、本実施形態のスラスト針状ころ軸受１によれば、ころ止め部７の保持器５の軸方向端面（図２の上端面）からの高さ寸法Ｈ１を、ころ止め部７の突起部１３の軸方向の高さ寸法Ｈ１以上にするため、保持器５の射出成形における型抜き時にころ止め部７が受ける力を逃がすことができる。また、仮に、ころ止め部７に変形やバリが発生したとしても、ころ止め部７と軌道面２ａとの間に十分な距離を確保することができる。これにより、軸受回転中に変形部分やバリが軌道面に接触することを防止できるので、軸受回転に支障をきたすことがない。

さらに、本実施形態のスラスト針状ころ軸受１によれば、保持器５の保持器材料として、６６ナイロン（ガラス繊維２５重量％含む）やＰＰＳ（ガラス繊維２５重量％含む）等の高剛性の樹脂材料を使用することが可能になるため、保持器５を弾性変形させて、ポケット６にころ４を挿入する際にも、保持器強度を十分に確保することができる。

本発明の一実施形態であるスラスト針状ころ軸受を説明するための要部断面図である。図１のＡ−Ａ線矢視断面図である。図１に示す樹脂製保持器の単体の要部断面図である。図１に示す樹脂製保持器が一方の軌道輪側に移動した状態を説明するための断面図である。

符号の説明

１スラスト針状ころ軸受
２，３軌道輪
４針状ころ（ころ）
５樹脂製保持器（保持器）
６ポケット
７，８ころ止め部
９開口部
１０ころ案内部
１１逃げ部
１２凹溝部
１３突起部

Claims

複数のころを円周方向に転動可能に保持するポケットを有する樹脂製保持器を備えるスラストころ軸受であって、
前記ポケットの円周方向の内周面の軸方向両端部にころ止め部を設け、
少なくとも一方の前記ころ止め部を前記保持器の軸方向端面より内側に配置すると共に、
前記一方のころ止め部側の前記ポケットの開口部の円周方向の幅寸法を、前記ポケットのころ案内部の円周方向の幅寸法以上にすることを特徴とするスラストころ軸受。
前記ころ止め部の径方向の長さ寸法を、前記ポケットの径方向の長さ寸法より小さくすることを特徴とする請求項１に記載のスラストころ軸受。
前記保持器の軸方向端面より内側に配置された前記ころ止め部の前記軸方向端面からの高さ寸法を、前記ころ止め部の突起部の軸方向の高さ寸法以上にすることを特徴とする請求項１又は２に記載のスラストころ軸受。