定義
「結合」とは、オリゴヌクレオチドデコイへの転写因子の結合の文脈において使用される場合、転写因子とオリゴヌクレオチドデコイとの間の直接の相互作用(たとえば、水素結合、ファンデルワールス結合等を含む、転写因子とオリゴヌクレオチドデコイの間の非共有結合)を指す。したがって、転写因子に結合しないオリゴヌクレオチドは該転写因子とは直接相互作用しない。
「慢性」とは数か月(たとえば少なくとも2か月)または数年を含む期間を指す。
「化合物」とは2本鎖オリゴヌクレオチドを指し、本発明においてはオリゴヌクレオチドデコイとも称する。本明細書に記載した化合物は1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含有してよく、したがって二重結合立体異性体(即ち幾何異性体)等の立体異性体、エナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在してよい。したがって、本明細書に記載した化学構造は説明した化合物の全ての可能なエナンチオマーおよび立体異性体を含み、たとえば立体異性的に純粋な形態(たとえば幾何異性的に純粋、エナンチオマー的に純粋またはジアステレオマー的に純粋)およびエナンチオマー的および立体異性体的な混合物を包含する。エナンチオマー的および立体異性的な混合物は当該分野で良く知られている分離手法またはキラル合成手法を用いてそれらの成分エナンチオマーまたは立体異性体に分割できる。化合物はまた、数種の互変異体、たとえばエノール型、ケト型およびそれらの混合物において存在してよい。したがって、本明細書に記載したキラル構造は化合物の全ての可能な互変異体を包含する。本明細書に記載した化合物はまた、1つ以上の原子が自然界において従来より観察される原子質量とは異なる原子質量を有する同位体的に標識された化合物を包含する。本発明の化合物に組み込んでよい同位体の例は限定しないがたとえば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O等を包含する。化合物は未溶媒和型並びに溶媒和型、たとえば水和型およびN−オキシドにおいて存在してよい。一般的に、化合物は水和、溶媒和またはN−オキシドであってよい。特定の化合物は多結晶型または不定形の形態において存在してよい。全ての物理的形態が本明細書において意図される使用に関して同等である。更にまた、当然ながら、化合物の部分的構造を記載する場合、カッコは、部分的構造の分子の残余への結合の点を示している。
「遺伝子発現レベルのモジュレーション」とは遺伝子発現レベルにおける何れかの変化、たとえば誘導または活性化(たとえば遺伝子発現の増大)、阻害または抑制(たとえば遺伝子発現の低下)、または安定化(たとえば疼痛誘導刺激のような刺激に応答して通常起こる遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションの予防)を指す。
「侵害受容シグナル伝達」とは、神経伝達物質の合成および放出、神経伝達物質誘導シグナル伝達、膜脱分極、および関連の細胞内および細胞間のシグナル伝達事象を包含する疼痛の知覚をもたらす、有害な刺激または潜在的に有害な刺激の検出に関与する分子および細胞の機序を指す。
「オリゴヌクレオチド」とは約200ヌクレオチド(または100塩基対)未満であり、そして限定しないがたとえばDNA、RNAおよびRNA−DNAハイブリッドを包含する何れかの2本鎖の核酸含有重合体を指す。この用語は、DNAおよびRNAの知られた塩基類縁体の何れかを含むが、これに限定されない、たとえば2,6−ジアミノプリン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、ウラシル−5−オキシ酢酸、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ケオシン、2−チオシトシン、5−ブロモウラシル、メチルホスホネート、ホスホロジチオエート、オルマセタール、3’−チオホルムアセタール、ニトロキシド骨格、スルホン、スルファメート、モルホリノ誘導体、ロックド核酸(LNA)誘導体、および/またはペプチド核酸(PNA)誘導体を包含する配列を包含する。一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドは共にアニーリングした2つの相補的な1本鎖オリゴヌクレオチドよりなる。他の実施形態においては、オリゴヌクレオチドは実質的に2本鎖構造を生じさせる分子内塩基対を形成する1つの1本鎖オリゴヌクレオチドよりなる。
「疼痛」とは実際の、または潜在的な組織の損傷に関連する不快な感覚的および情動的経験を指し、あるいは、そのような損傷の観点において説明されている。疼痛の種々の異なる顕在化状態および性質の全て、たとえば機械的疼痛(たとえば機械的刺激により、または身体の運動により誘導される)、温度誘導疼痛(たとえば熱い、温かいおよび/または冷たい温度により誘導される疼痛)、および化学的に誘導される疼痛(たとえば化学物質により誘導される疼痛)が挙げられる。特定の実施形態においては、疼痛は慢性、亜慢性、急性、または亜急性である。特定の実施形態においては、疼痛は痛覚過敏(即ち痛みの刺激に対する増大した感受性)および/または異痛(即ち通常は痛みではない刺激に対する痛みの応答)を特徴とする。特定の実施形態においては、疼痛は患者において既に存在している。他の実施形態においては、疼痛は医原性であり、患者において誘導されている(たとえば術後疼痛)。
「薬学的に許容しうる塩」とは親化合物の所望の薬理学的活性を保有している化合物の塩を指す。そのような塩は、以下に限定されないがたとえば(1)たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸と共に形成された;または、たとえば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタプロピオン酸、グリコール酸、ピルビ酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコ酸等の有機酸と共に形成された酸付加塩;または(2)親化合物中に存在する酸性のプロトンが金属イオン、たとえばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオン等により置き換えられた場合に形成される塩;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン等のような有機の塩基との配位物質を包含する。
「薬学的に許容しうるビヒクル」とは本発明の化合物を共に投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体を指す。
「患者」とは鳥類、哺乳類、霊長類、およびヒトを包含する何れかの動物を含む。
「予防する」または「予防」とは(1)疾患または障害を獲得する危険性の低減(たとえば疾患の臨床症状の少なくとも1つを、疾患に曝露されるかまたはその素因があると考えられるが未だ疾患の症状を経験または呈していない患者において、発生しないようにすること)、または(2)疾患または障害に関連する症状の考えられる重症度の低減(たとえば疾患に曝露されるかまたはその素因があると考えられるが未だ疾患の症状を経験または呈していない患者において、疾患の臨床症状少なくとも1つの考えられる重症度を低減すること)を指す。
「亜急性」という用語は時間を含む期間(たとえば1時間〜24時間)を指す。
「亜慢性」という用語は日または月を含む期間(たとえば2カ月未満)を指す。
何れかの疾患または障害を「処置する」または「処置」とは、一部の実施形態においては、疾患または障害を緩解すること(即ち疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発生を停止または低減すること)を指す。他の実施形態において、「処置する」または「処置」とは、患者により認識されない場合がある少なくとも1つの身体パラメーターを緩解することを指す。更に他の実施形態においては、「処置する」または「処置」とは身体的(たとえば認識される症状の安定化)、生理学的(たとえば身体パラメーターの安定化)の何れか、または両方において、疾患または障害を抑制することを指す。更に他の実施形態においては、「処置する」または「処置」とは、疾患または障害の発症を遅延させることを指す。
「治療有効量」とは、患者に投与された場合に、特定の疾患または状態のそのような処置を行うために十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は化合物、疾患、疾患の重症度、および処置対象の患者の年齢、体重等に応じて変動することになる。
ここで本発明の好ましい実施形態を詳細に参照することにする。本発明は好ましい実施形態に関連して説明することになるが、当然ながら、本発明はこれらの好ましい実施形態に限定されることを意図していない。むしろ反対に、代替例、変形例、および同等例は添付の請求項により定義される本発明の精神および範囲内に包含されるものの対象であることを意図している。
オリゴヌクレオチドデコイ
本発明はオリゴヌクレオチドデコイ、その医薬組成物、および侵害受容シグナル伝達を調節するため、および疼痛を予防および/または処置するためのそのようなオリゴヌクレオチドデコイおよび医薬組成物の使用に関する。
特定の実施形態においては、本発明は1つ以上の転写因子結合部位(たとえば1、2、3、4、5つ等)を含むオリゴヌクレオチドデコイを特徴とする。関連する実施形態において、各転写因子結合部位はPOU1F1、POU2F、POU3F、POU4F1、POU5F1、USF、EGR1、CREB/ATF、AP1、CEBP、SRF、ETS1、MEF2、SP1、RUNX、NFAT、ELK1、三元複合体因子、STAT、GATA1、ELF1、核因子−顆粒球/マクロファージa、HNF1、ZFHX3、IRF、TEAD1、TBP、NFY、caccc−ボックス結合因子、KLF4、KLF7、IKZF、MAF、REST、HSF、KCNIP3およびPPAR転写因子よりなる群から選択される転写因子に結合する。特定の実施形態においては、転写因子結合部位は緊密に関連した転写因子のファミリーの2つ以上のメンバーに結合する。そのような転写因子ファミリーの代表的なメンバーは、POU1F1、POU2F、POU3F、POU4F1、POU5F1、USF、EGR1、CREB/ATF、AP1、CEBP、SRF、ETS1、MEF2、SP1、RUNX、NFAT、ELK1、三元複合体因子、STAT、GATA1、ELF1、核因子−顆粒球/マクロファージa、HNF1、ZFHX3、IRF、TEAD1、TBP、NFY、caccc−ボックス結合因子、KLF4、KLF7、IKZF、MAF、REST、HSF、KCNIP3およびPPAR転写因子よりなる群から選択できる。即ち、特定の実施形態においては、たとえばEGR1に結合するオリゴヌクレオチドデコイは1つ以上の追加的なファミリーメンバー、たとえばEGR2、EGR3、EGR4にも結合できる。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは2つ以上の転写因子結合部位(たとえば2、3、4、5つ等)を含む。関連する実施形態においては、各転写因子結合部位はPOU1F1、POU2F、POU3F、POU4F1、POU5F1、USF、EGR1、CREB/ATF、AP1、CEBP、SRF、ETS1、MEF2、SP1、RUNX、NFAT、ELK1、三元複合体因子、STAT、GATA1、ELF1、核因子−顆粒球/マクロファージa、HNF1、ZFHX3、IRF、TEAD1、TBP、NFY、caccc−ボックス結合因子、KLF4、KLF7、IKZF、MAF、REST、HSF、KCNIP3およびPPAR転写因子よりなる群から選択される転写因子に結合する。特定の実施形態においては、デコイ内部の転写因子結合部位2つ以上の相対的位置は、標的転写因子(即ち特定の結合部位が結合するように設計されている転写因子)とその転写因子結合部位との間の結合親和性を、たとえば転写因子と転写因子に特異的な単一の転写因子結合部位(たとえばコンセンサス結合部位)を有するデコイとの間の結合親和性と比較して、調節(たとえば増大または低下)する。即ち、本発明のオリゴヌクレオチドデコイ内部の2つの転写因子結合部位の相対的位置は、標的転写因子に対する(たとえばデコイによりターゲティングされる1つ以上の転写因子に対する)オリゴヌクレオチドデコイの親和性を増大させることができる。特定の実施形態においては、標的転写因子に対するオリゴヌクレオチドデコイの親和性の増大は、1.2倍以上(たとえば約1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0倍以上)である。特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイ内部の2つの転写因子結合部位の相対的位置は、部位に結合している転写因子間の蛋白質−蛋白質相互作用、たとえば転写因子のホモ2量化またはヘテロ2量化を促進する。特定の実施形態においては、転写因子間のそのような蛋白質−蛋白質相互作用はオリゴヌクレオチドデコイに対するそれらの相互作用、たとえば結合を安定化し、これにより1つ以上の標的転写因子に対するオリゴヌクレオチドデコイの結合親和性を増大する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイ中に存在する転写因子結合部位に結合する転写因子はヒト転写因子である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイ中に存在する転写因子結合部位に結合する転写因子は、非ヒト、たとえばトリ、哺乳類(たとえばマウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ等)、または霊長類の転写因子である。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイの転写因子結合部位は各々、同じ転写因子(たとえばEGR1)に結合する。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイの転写因子結合部位は、異なる転写因子、転写因子の緊密に関係するファミリーの異なるメンバー(たとえばEGR1ファミリーの異なるメンバー)、またはPOU1F1、POU2F、POU3F、POU4F1、POU5F1、USF、EGR1、CREB/ATF、AP1、CEBP、SRF、ETS1、MEF2、SP1、RUNX、NFAT、ELK1、三元複合体因子、STAT、GATA1、ELF1、核因子−顆粒球/マクロファージa、HNF1、ZFHX3、IRF、TEAD1、TBP、NFY、caccc−ボックス結合因子、KLF4、KLF7、IKZF、MAF、REST、HSF、KCNIP3およびPPAR転写因子よりなる群から選択される転写因子の組み合わせに結合する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイの転写因子結合部位はリンカー配列により相互に分離される。リンカー配列は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の塩基対長であることができる。典型的にはリンカー配列は2〜5塩基対長となる。他の実施形態において、転写因子結合部位は相互に直接隣接できる(たとえばリンカー配列が存在しない)か、またはオーバーラップすることができる。転写因子結合部位がオーバーラップしている場合、転写因子結合部位は1、2、3、4、5、またはそれより多い塩基対を共有してよい。あるいは、転写因子結合部位の一方または両方が部位に結合する転写因子のためのコンセンサス結合配列の部分を別様に形成する塩基対を欠いていてよい。しかしながら一般的には、転写因子結合部位と部位に結合する転写因子の間の結合相互作用に重要な塩基対(たとえば特定の転写因子のためのコンセンサス結合配列において本質的に普遍である塩基対)は転写結合配列がオーバーラップしている場合には共有や消失されることはない。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイはデコイ配列の各末端に位置するフランキング配列を含む。フランキング配列は1、2、3、4、5、6、またはそれ以上の塩基対長であることができる。一般的に、フランキング配列は2〜5塩基対長である。好ましい実施形態においては、5’フランキング配列はG/C塩基対で開始し、そして3’フランキング配列はG/C塩基対で終止する。好ましい実施形態においては、フランキング配列は転写因子結合部位の部分を形成せず、および/または転写因子と相互作用および/または結合しない。他の実施形態において、フランキング配列は隣接転写因子結合部位に結合した転写因子と弱い相互作用を生じる。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは少なくとも11、12、13、14、15、またはそれ以上の塩基対長である。関連の実施形態においてオリゴヌクレオチドデコイは一般的に65、60、55、50、または45塩基対長未満である。好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドデコイは、20〜40塩基対長未満である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは約20〜35、25〜40、または25〜35塩基対長である。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは(a)配列番号1〜40、42、45および47〜53よりなる群から選択される配列;または(b)配列番号1〜40、42、45および47〜53よりなる群から選択される配列と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列を含む。関連の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号1〜39、42、45および47〜52よりなる群から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号1〜17、19〜39、42、45および47〜53よりなる群から選択される配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号1〜5、7〜17、19〜39、42、45および47〜53よりなる群から選択される配列と少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号1〜4、7〜9、13、15〜17、19〜23、26〜39、45、48、50、51および53よりなる群から選択される配列と少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号1〜3、7〜9、13、15〜17、19〜23、26、28、30、32、34〜36、38〜39および48よりなる群から選択される配列と少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号2〜3、9、13、15〜16、19〜23、26、28、30、32、34〜36、38および39よりなる群から選択される配列と少なくとも65%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号2、13、15〜16、21、23、26、30、32、34〜36、38および39よりなる群から選択される配列と少なくとも60%の同一性を有する配列を含む。更に他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号16、23、30、32、34、35、38および39よりなる群から選択される配列と少なくとも55%の同一性を有する配列を含む。更に他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイは配列番号30、32、35、および38よりなる群から選択される配列と少なくとも50%の同一性を有する配列を含む。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(1):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「D」はA、G、またはTヌクレオチドであることができ、「B」はC、G、またはTヌクレオチドであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(1)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号(1)のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPOU2F1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPOU2F2、POU3F1−2、およびPOU5F1のようなPOU2F1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(1)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはd11、d12、n13、n14、n15、n16、およびn17よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、または7つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、d11、d12、n13、n14、n15、n16、およびn17よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも70%の同一性を配列番号1のヌクレオチドに対して有している。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(2):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「D」はA、G、またはTヌクレオチドであることができ、「B」はC、G、またはTヌクレオチドであることができ、「R」はGまたはAであることができ、「V」はA、C、またはGであることができ、「Y」はCまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(2)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約60%、65%,70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号2のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはUSF1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはUSF2のようなUSF1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(2)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn14、n15、c16、v17、y18、d19、b20、g21、およびy22よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、または9つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n14、n15、c16、v17、y18、d19、b20、g21、およびy22よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも60%の同一性を配列番
号2のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(3):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「D」はA、G、またはTヌクレオチドであることができ、「R」はGまたはAであることができ、「K」はTまたはGであることができ、「M」がCまたはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(3)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは(3)少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号3のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはEGR1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはEGR2−4のようなEGR1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(3)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn14、n15、n16、w17、w18、w19、g20、s21、およびg22よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、または9つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n14、n15、n16、w17、w18、w19、g20、s21、およびg22よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも65%の同一性を配列番号3のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(4):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「B」はC、G、またはTであり、「K」はTまたはGであることができ、「M」はC、またはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(4)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号4のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはCREB1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはCREB3−5およびATF1−7のようなCREB1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(4)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはb13、m14、n15、およびn16よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、または4つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、b13、m14、n15、およびn16よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号4のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(5):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「R」はGまたはAであることができ、「K」はTまたはGであることができ、「H」はC、TまたはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(5)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号5のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはAP1/JUN転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはAP1/JUN−B、−DおよびAP1/FOSのようなAP1/JUN転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(5)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはk11、n12、h13、r14、r15、r16、およびt17よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、または7)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、k11、n12、h13、r14、r15、r16、およびt17よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号5のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(6):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「K」はTまたはGであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(6)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号6のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはCEBPA転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはCEBP−B、−D、−E、−G、−ZのようなCEBPA転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(6)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはs15、s16、a17、a18、k19、s20、n21、およびg22よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、または8つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、s15、s16、a17、a18、k19、s20、n21、およびg22よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも85%の同一性を配列番号6のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(7):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はA、またはTであることができ、YはC、またはTであることができ、「R」はG、またはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(7)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号7のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSRF転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはELK1のようなSRF転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(7)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはg7、g8、a9、t10、r11、t12、a23、g24、a25、t26、n27、n28、n29、n30、w31、w32およびs33よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9,10,11,12,13,14,15,16、または17)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、g7、g8、a9、t10、r11、t12、a23、g24、a25、t26、n27、n28、n29、n30、w31、w32およびs33よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも70%の同一性を配列番号7のヌクレオチドに対して有している。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(8):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「D」はAであることができ、T、またはG、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(8)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号8のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSRF転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはETS1のようなSRF転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(8)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはd11、d12、d13、d14、d15、d16、d17、d18およびd19よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8または9つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、d11、d12、d13、d14、d15、d16、d17、d18およびd19よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも70%の同一性を配列番号8のヌクレオチドに対して有している。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(9):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「M”はCまたはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(9)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号9のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはMEF2A転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはMEF2B−CのようなMEF2A転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(9)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn16、n17、n18、n19、c20およびt21よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、または6)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n16、n17、n18、n19、c20およびt21よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも65%の同一性を配列番号9のヌクレオチド配列に対して有している。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(10):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「K」はTまたはGであることができ、「R」はGまたはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(10)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号10のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSP1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSP2−8のようなSP1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(10)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはr12、r13、n14、n15、n16、r17、およびr18よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、または7)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n16、n17、n18、n19、c20およびt21よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号10のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(11):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(11)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号11のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSP1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSP2−8のようなSP1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(11)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはs13、s14、s15、s16、s17、s18、s19、s20、s21、s22、およびs23よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、s13、s14、s15、s16、s17、s18、s19、s20、s21、s22、およびs23よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号11のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(12):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、YはCまたはTであることができ、「D」はA、T、またはGであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(12)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号12のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはRUNX1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはRUNX2−3のようなRUNX1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(12)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはt11、h12、h13、h14、h15、およびg16よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、または6)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、t11、h12、h13、h14、h15、およびg16よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号12のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(13):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(13)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号13のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはRUNX1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはRUNX2−3のようなRUNX1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(13)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn17、n18、n19およびn20よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、または4)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n17、n18、n19およびn20よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも60%の同一性を配列番号13のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(14):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「R」はGまたはAであることができ、「H」はA,T、またはCであることができ、「Y」はC、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(14)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号14のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはETS1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはELK1のようなETS1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(14)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはy14、n15、n16、n17およびc18よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、または5)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、y14、n15、n16、n17およびc18よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号14のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(15):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「D」はA,G、またはTであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「M」はCまたはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(15)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号15のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFATC1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFATC2−4のようなNFATC1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(15)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn13、n14、d15、w16、w17、g18、g19、a20、a21、a22、a23、n24、n25、d26およびw27よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n13、n14、d15、w16、w17、g18、g19、a20、a21、a22、a23、n24、n25、d26およびw27よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも60%の同一性を配列番号15のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(16):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はTまたはCであることができ、「V」はG、A、またはCであることができ、「M」はC、またはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(16)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号16のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはELK1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはETS1のようなELK1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(16)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはy14、v15、m16、n17、n18、n19、y20およびv21よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、または8つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、y14、v15、m16、n17、n18、n19、y20およびv21よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも55%の同一性を配列番号16のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(17):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(17)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号17のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイは三元複合体因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSRFのような三元複合体因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(17)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはg15、g16、c17、c18およびt19よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、または5)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、g15、g16、c17、c18およびt19よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも70%の同一性を配列番号17のヌクレオチドに対して有している。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(18):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(18)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号18のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSTAT1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはSTAT2−6のようなSTAT1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(18)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはw15、w16、g17、g18、w19、w20およびw21よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、または7)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、w15、w16、g17、g18、w19、w20およびw21よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも90%の同一性を配列番号18ヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(19):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(19)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号19のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはGATA1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはGATA2−4のようなGATA1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(19)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはc15、t16、n17、n18、g19およびg20よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、または6)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、c15、t16、n17、n18、g19およびg20よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも65%の同一性を配列番号19のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(20):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(20)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号20のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはELF1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPOU1F1のようなELF1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(20)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはw12、w13、g14、a15、g16、g17、a18、a19、a20、a21、w22およびw23よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、w12、w13、g14、a15、g16、g17、a18、a19、a20、a21、w22およびw23よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも65%の同一性を配列番号20のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(21):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「K」はG、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(21)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号21のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイは「核因子−顆粒球/マクロファージa」転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイは「核因子−顆粒球/マクロファージb−c」のような「核因子−顆粒球/マクロファージa」転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(21)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはk12、c13、a14、c15、n16、n17、n18、g19、a20、g21、a22およびt23よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、k12、c13、a14、c15、n16、n17、n18、g19、a20、g21、a22およびt23よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも60%の同一性を配列番号21のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(22):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「K」はG、またはTであることができ、「M」はA、またはCであることができ、「R」はA、またはGであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(22)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号22のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPOU4F1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPOU4F2−3のようなPOU4F1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(22)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはt13、r14、m15、w16、n17、r18、m19およびw20よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、または8つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、t13、r14、m15、w16、n17、r18、m19およびw20よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも65%の同一性を配列番号22のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(23):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はTまたはCであることができ、「V」はG、A、またはCであることができ、「K」はTまたはGであることができ、「D」はG、A、またはTであることができ、「H」はA、T、またはCであることができ、「W」はAまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(23)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号23のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはHNF1A転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはHNF1B−CのようなHNF1A転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(23)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはh15、h16、h17、n18、n19、n20、h21およびh22よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、または8つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、h15、h16、h17、n18、n19、n20、h21およびh22よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも55%の同一性を配列番号23のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(24):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(24)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号24のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはZFHX3転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはZFHX−2、−4のようなZFHX3転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(24)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはt11、n12、n13、a14およびt15よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、または5)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、t11、n12、n13、a14およびt15よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号24のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(25):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はA、またはTであることができ、「D」はA、G、またはTであることができ、「H」はA、C、またはTであることができ、「M」はA、またはCであることができ、「K」はG、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(25)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号25のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはIRF1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはIRF2のようなIRF1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(25)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはk12、w13、w14、m15、c16、s17、s18、d19、h20、w21、m22、s23およびh24よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、k12、w13、w14、m15、c16、s17、s18、d19、h20、w21、m22、s23およびh24よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号25のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(26):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はTまたはCであることができ、「V」はG、A、またはCであることができ、「K」はTまたはGであることができ、「D」はG、A、またはTであることができ、「H」はA、T、またはGであることができ、「B」はC、G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(26)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号26のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTEAD1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTEAD2−4のようなTEAD1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(26)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはy13、h14、b15、b16、n17、n18、n19、y20、h21、b22、b23およびk24よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、y13、h14、b15、b16、n17、n18、n19、y20、h21、b22、b23およびk24よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも60%の同一性を配列番号26のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(27):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「D」はA、G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(27)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号27のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTBP転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTBPL1−2のようなTBP転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(27)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはw10、w11、n12、n13、d14、n15、t16、a17、t18、w21、w22、n23、n24、およびw25よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、w10、w11、n12、n13、d14、n15、t16、a17、t18、w21、w22、n23、n24、およびw25よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号27のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(28):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「K」はG、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(28)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号28のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTBP転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTBPL1−2のようなTBP転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(28)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn12、n13、n14、n15、w16、w17およびw18よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、または7)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n12、n13、n14、n15、w16、w17およびw18よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも65%の同一性を配列番号28のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(29):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「M」はA、またはCであることができ、「K」はG、またはTであることができ、「Y」はCまたはTであることができ、「B」はC、G、またはTであることができ、「D」はA、G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(29)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号29のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFYA転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFYB−CのようなNFYA転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(29)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはt13、m14、b15およびy16よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、または4)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、t13、m14、b15およびy16よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号29のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(30):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はTまたはCであることができ、「H」はA、T、またはCであることができ、「B」はC、G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(30)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号30のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFYA転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFYB−CのようなNFYA転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(30)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはy16、h17、y18、b19、n20、n21、n22、y23、y24、h25、h26およびv27よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、y16、h17、y18、b19、n20、n21、n22、y23、y24、h25、h26およびv27よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも50%の同一性を配列番号30のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(31):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(31)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号31のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはCACCC−ボックス結合因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(31)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはs9、a10、s11、s12、s13、w14、s15、s16、s17およびw18よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、s9、a10、s11、s12、s13、w14、s15、s16、s17およびw18よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号31のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(32):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はTまたはCであることができ、「W」はAまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(32)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約50%、55%、60%、65%70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号32のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKLF4転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKLF−1、−5のようなKLF4転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(32)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはy13、y14、y15、y16、y17、n18、n19、n20、y21、y22、y23、y24およびy25よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、y13、y14、y15、y16、y17、n18、n19、n20、y21、y22、y23、y24およびy25よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも50%の同一性を配列番号32のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(33):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「D」はA、G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(33)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号33のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKLF7転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKLF−1、−2、および−5のようなKLF7転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(33)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはw11、d12、g13、n14、n15、w16、w17およびw18よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、または8)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、w11、d12、g13、n14、n15、w16、w17およびw18よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号33のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(34):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(34)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号34のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはMAFG転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはMAF−A、B、−F、−KのようなMAFG転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(34)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはw15、w16、w17、w18、c19、g20、g21、w22、g23およびw24よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、w15、w16、w17、w18、c19、g20、g21、w22、g23およびw24よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも55%の同一性を配列番号34のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(35):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、YはCまたはTであることができ、「H」はA、T、またはCであることができ、「R」はGまたはAであることができ、「D」はG、A、またはTであることができ、「Y」はC、またはTであることができ、「B」がC,G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(35)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号35のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはREST転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(35)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn25、n26およびn27よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、または3)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n25、n26およびn27よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも50%の同一性を配列番号35のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(36):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「M」はA、またはCであることができ、「R」はA、またはGであることができ、「K」はG、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(36)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号36のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKCNIP3転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(36)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはk12、s13、a14、g15、k16、n17、n18、n19、n20、g21、a22、r23およびm24よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、k12、s13、a14、g15、k16、n17、n18、n19、n20、g21、a22、r23およびm24よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも60%の同一性を配列番号36のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(37):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「M」はA、またはCであることができ、「R」はAまたはGであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(37)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号37のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKCNIP3転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(37)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはs13、w14、g15、w16、n17、n18、n19、n20、g21、a22およびr23よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、s13、w14、g15、w16、n17、n18、n1、n20、g21、a22およびr23よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号37のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(38):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「V」はA、C、またはGであることができ、「D」はG、A、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(38)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号38のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPPARA転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPPAR−D、−GのようなPPARA転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(38)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはs14、s15、n16、v17、v18、n19、n20、n21、s22およびg23よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、s14、s15、n16、v17、v18、n19、n20、n21、s22およびg23よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも50%の同一性を配列番号38のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(39):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「R」はA、またはGであることができ、「M」はA、またはCであることができ、「Y」はC、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(39)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号39のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはHSF1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイはHSF2のようなHSF1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(39)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはy11、w12、m13、g14、n15、n16、a17、r18、m19、r20、w21、w22およびy23よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、y11、w1,2m13、g14、n15、n16、a17、r18、m19、r20、w21、w22およびy23よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも55%の同一性を配列番号39のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(47):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(47)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号47のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはELK1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはETS1のようなELK1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(47)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn2、n3、n4、n5、n6、n17、n18、n19、n20およびn21よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n2、n3、n4、n5、n6、n17、n18、n19、n20およびn21よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号47のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(48):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はTまたはCであることができ、「V」はG、A、またはCであることができ、「K」はTまたはGであることができ、「D」はG、A、またはTであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「M」はCまたはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(48)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号48のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはHNF1A転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはHNF1B−CのようなHNF1A転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(48)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn2、n3、n4、n5、n6、n21、n22、n23、n24およびn25よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n2、n3、n4、n5、n6、n21、n22、n23、n24およびn25よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも70%の同一性を配列番号48のヌクレオチドに対して有している。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(49):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はTまたはCであることができ、「B」はC、G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(49)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号49のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFYA転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはNFYB−CのようなNFYA転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(49)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn2、n3およびn20よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、または3)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n2、n3およびn20よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号49のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(50):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「R」はG、またはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(50)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号50のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKLF4転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはKLF−1、−5のようなKLF4転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(50)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn2、n3、n4、n5、n6、r21、r22、n23、n24およびn25よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n2、n3、n4、n5、n6、r21、r22、n23、n24およびn25よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号50のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(51):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「H」はA、T、またはCであることができ、「R」はGまたはAであることができ、「D」はG、A、またはTであることができ、「Y」はC、またはTであることができ、「B」はC、G、またはTであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(51)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号51のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはREST転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(51)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはn2、n3、n4、n5、n27、n28、n29およびn30よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、または8つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、n2、n3、n4、n5、n27、n28、n29およびn30よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号51のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(52):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「W」はAまたはTであることができ、「R」はGまたはAであることができ、「M」はCまたはAであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(52)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号52のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPPARA転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはPPAR−D、−GのようなPPARA転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(52)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはm2、r3、m4、n19、n20、n21、n22およびg23よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、または8つ)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、m2、r3、m4、n19、n20、n21、n22およびg23hよりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも80%の同一性を配列番号52のヌクレオチド配列に対して有する。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは下記式(53):
[式中、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「S」はGまたはCヌクレオチドであることができ、「N」は何れかのヌクレオチドであることができ、「Y」はT、またはCであることができ、「K」はT、またはGであることができ、小文字は場合により欠失させることができ、そして下付き文字は配列内のヌクレオチドの位置を表す]で表される2本鎖配列を含む。式は1本鎖を示しているが、当然ながら相補鎖が構造の部分として包含される。好ましい実施形態においては、式(53)で表される配列を有するオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも約75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を配列番号53のヌクレオチド配列に対して有している。そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTEAD1転写因子に結合できる。特定の実施形態においては、そのようなオリゴヌクレオチドデコイはTEAD2−4のようなTEAD1転写因子に緊密に関連する1つ以上の転写因子に結合できる。
特定の実施形態においては、式(53)で表されるオリゴヌクレオチドデコイはs2、c3、t4、t5、g6、y7、k8、g9、y10、k11、c18、g19、n20、n21、n22、n23およびn24よりなる群から選択される1つ以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17)のヌクレオチドの欠失を含む。特定の実施形態においては、s2、c3、t4、t5、g6、y7、k8、g9、y10、k11、c18、g19、n20、n21、n22、n23およびn24よりなる群から選択される1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むオリゴヌクレオチドデコイは少なくとも75%の同一性を配列番号53のヌクレオチド配列に対して有する。
別の配列との配列同一性の特定のパーセント(たとえば65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%)を有する2本鎖オリゴヌクレオチドとは、アラインされた場合に、比較している2つの配列において塩基の配置の一致のレベルをそのパーセントが決定することを意味する。このアライメントおよびパーセント相同性または同一性はローカルアライメントを可能にする当該分野で知られた何れかの適当なソフトウエアプログラムを用いて決定できる。ソフトウエアプログラムは配列の全体の長さを包含する必要なく2つの配列の間のローカル同一性の領域を発見できなければならない。一部の実施形態においては、そのようなプログラムはたとえば限定しないがEMBOSSペアワイズアライメントアルゴリズム(European Bioinformatics Institute(EBI)より入手可能)、ClustalW プログラム(やはりEuropean Bioinformatics Institute(EBI)より入手可能)、またはBLASTプログラム(BLASTマニュアル,Altschulら、Natl Cent.Biotechnol.Inf.,Natl Lib.Med.(NCIB NLM NIH),Bethesda,Md.およびAltschulら(1997)NAR25:3389−3402)を包含する。
当業者の知る通り、本発明により包含される配列は例示した配列とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下にハイブリダイズするものを包含する(たとえば配列番号1〜42、45、および47〜53)。核酸は、核酸の1本鎖が温度および溶液イオン強度の適切な条件下に他の1本鎖核酸にアニーリングできる場合に、他の核酸にハイブリダイズ可能である。ハイブリダイゼーション条件は当該分野で良く知られている。一部の実施形態においては、アニーリングは塩含有溶媒(たとえばTris−EDTA緩衝液)中、変性温度(たとえば100℃)から室温に至る温度の緩徐な低下の間におこる場合がある。
一般的に、本明細書に開示したオリゴヌクレオチドデコイは侵害受容シグナル伝達および/または対象(たとえば患者)の疼痛知覚に関与する遺伝子の発現を調節する転写因子に結合し、そして、たとえばこれによりそれを阻害するために使用してよい。特定の転写因子に結合するように設計された本明細書に開示したオリゴヌクレオチドデコイは転写因子により通常結合される内因性ゲノムDNA配列を模倣した核酸配列を有する。したがって、本明細書に開示したオリゴヌクレオチドデコイは遺伝子発現に必要な工程を阻害する。更にまた、本明細書に開示したオリゴヌクレオチドデコイは多くの異なる種類の転写因子に結合してよい。
本明細書に開示したオリゴヌクレオチドデコイは当業者に良く知られている方法(たとえばホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデート、カーボネート、チオエーテル、シロキサン、アセトアミデートまたはカルボキシメチルエステル連結部のヌクレオチド間への取り込み)により化学修飾することにより、細胞および細胞外液(たとえば血清、脳脊髄液)内のヌクレアーゼによる分解を予防してよい。更にまた、オリゴヌクレオチドデコイはヌクレアーゼ分解を予防または遮蔽するヘアピンおよびダンベル構造を形成するように設計してよい。更にまた、オリゴヌクレオチドデコイは標的細胞中でエピソームの維持または構成的な複製をおこなうことができるより大型のプラスミドの一部分として挿入することにより、デコイ配列へのより長期の増強された細胞内曝露をもたらし、および/またはその分解を低減してもよい。したがって、オリゴヌクレオチドの安定性を増強するための当該分野で知られた何れかの化学的修飾または構造的な改変は本開示の範囲に包含される。一部の実施形態においては、本明細書に開示したオリゴヌクレオチドデコイはたとえばポリエチレングリコール重合体、ペプチド(たとえば蛋白質転座ドメイン)またはオリゴヌクレオチドデコイの治療作用を向上させる蛋白質に結合してよい。そのような修飾されたオリゴヌクレオチドデコイは細胞膜を優先的に通過する場合がある。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは塩、水和物、溶媒和物、またはN−オキシド誘導体として提供される。特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは溶液(たとえば生理学的pHを有する食塩水)中、または凍結乾燥した形態において、提供される。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドデコイはリポソーム中で提供される。
特定の実施形態においては、1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイはキットにおいて提供される。特定の実施形態においては、キットはたとえば該1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイを使用することに関する説明書を包含する。特定の実施形態においては、該説明書は本発明の1つ以上の方法、たとえば疼痛を予防または処置するための方法、細胞における遺伝子発現を調節する方法、細胞における侵害受容シグナル伝達を調節するための方法、細胞における蛋白質分解を調節するための方法等を記載している。特定の実施形態においては、キットにおいて提供されるオリゴヌクレオチドデコイは凍結乾燥された形態で提供される。特定の関連する実施形態においては、凍結乾燥された1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイを含むキットは更に、該1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイを再懸濁するために使用できる溶液(たとえば薬学的に許容しうる食塩水)を含む。
本明細書に記載した2本鎖オリゴヌクレオチドは当該分野で知られた従来の方法により作成してよく、そしてしたがって、当業者のよく知るものである。
医薬組成物
本明細書に開示した医薬組成物は、患者への適切な投与のための形態を与えるために、薬学的に許容しうるビヒクルの適当な量と共に、好ましくは精製された形態における1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイの治療有効量を含む。患者に投与する場合には、オリゴヌクレオチドデコイおよび薬学的に許容しうるビヒクルは好ましくは滅菌されている。オリゴヌクレオチドデコイを静脈内投与する場合には水が好ましいビヒクルである。食塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた特に注射用溶液のための液体ビヒクルとして使用できる。適当な薬学的ビヒクルは賦形剤、たとえば澱粉、グルコース、乳糖、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白墨、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等を包含する。本発明の医薬組成物は、所望により、少量の湿潤または乳化剤、またはpH緩衝剤も含有できる。更にまた、補助剤、安定化剤、濃厚化剤、潤滑剤および着色剤も使用してよい。
医薬組成物は従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉砕、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥の加工処理により製造してよい。医薬組成物は薬学的に使用できる調製品への本明細書に開示した化合物の加工処理を容易にする1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または補助剤を用いながら従来の態様において製剤してよい。適切な製剤は選択された投与経路に応じたものとなる。
本発明の医薬組成物は溶液、懸濁液、乳液、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、粉末、除放性製剤、座薬、エアロゾル、スプレー、懸濁液、または使用に適する何れかの他の形態をとることができる。適当な薬学的ビヒクルの他の例は当該分野に記載されている(Remington’s Pharmaceutical Sciences,Philadelphia College of Pharmacy and
Science,第19版、1995参照)。
経口デリバリーのための医薬組成物は、たとえば錠剤、ロゼンジ、水性または油性の懸濁液、顆粒、粉末、乳液、カプセル、シロップ、またはエリキシル等の形態であってよい。経口投与される組成物は医薬品として摂取しやすい調製品を得るための1つ以上の任意の剤、たとえば甘味剤、たとえばフラクトース、アスパルテームまたはサッカリン、フレーバー剤、たとえばペパーミント、トウリョクジュ油、またはチェリー着色剤および保存料を含有してよい。更にまた、錠剤または丸薬の形態にある場合は、組成物は胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させるためにコーティングすることにより延長された時間に渡る持続性の作用を可能にしてよい。経口組成物は標準的なビヒクル、たとえばマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等を包含できる。そのようなビヒクルは好ましくは医薬品等級のものである。
経口用の液体調製品、たとえば懸濁液、エリキシルおよび溶液、適当な担体、賦形剤または希釈剤は、水、食塩水、アルキレングリコール(たとえばプロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(たとえばポリエチレングリコール)、油脂、アルコール、pH4〜pH6の弱酸性緩衝液(たとえば約5mM〜約50mMの酢酸塩、クエン酸塩、またはアスコルビン酸塩)等を包含する。更にまた、フレーバー剤、保存料、着色剤、胆汁酸塩、アシルカルニチン等も添加してよい。
他の経路を介した投与のための組成物もまた意図される。口内投与のためには、組成物は従来の態様において製剤される錠剤、ロゼンジ等の形態を取ってよい。ネブライザーおよび液体スプレー装置およびEHDエアロゾル装置とともに使用する場合に適する液体剤型は典型的には薬学的に許容しうるビヒクルとともに化合物を包含することになる。好ましくは、薬学的に許容しうるビヒクルは液体、たとえばアルコール、水、ポリエチレングリコールまたは過フッ化炭素である。場合により、別の物質を添加することにより化合物の溶液または懸濁液のエアロゾル特製を改変してよい。好ましくはこの物質は液体、たとえばアルコール、グリコール、ポリグリコールまたは脂肪酸である。エアロゾル装置における使用に適する液体の薬剤溶液または懸濁液を製剤する他の方法は当業者の知る通りである(たとえばBiesalskiの米国特許第5,112,598号;Biesalskiの米国特許第5,556,611号を参照)。化合物はまた直腸用または膣用の組成物、たとえばカカオ脂または他のグリセリドのような従来の座薬基剤を含有する座薬または貯留浣腸剤に製剤してもよい。前述の製剤に加えて、化合物はデポ調製品として製剤してもよい。そのような長時間作用性の製剤は移植(たとえば皮下または筋肉内)により、または筋肉内注射により投与してよい。即ち、たとえば化合物は適当な重合体または疎水性の物質(たとえば許容可能な油脂中の乳液)またはイオン交換樹脂とともに、または貧溶解性の誘導体として、たとえば貧溶解性の塩として製剤してよい。
オリゴヌクレオチドデコイは上記した製剤の何れかにおいて、または何れかの他の適当な製剤において、薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または水和物として包含されてよい。薬学的に許容しうる塩は実質的に親化合物の活性を保持しており、そして適切な塩基または酸との反応により製造してよく、そして、相当する親の形態よりも水性および他のプロトン性の溶媒中においてより可溶性の傾向を示して良い。
治療用途
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイおよび/またはその医薬組成物は、疼痛、限定しないがたとえば機械的疼痛(たとえば機械的痛覚過敏および/または異痛)、化学的疼痛、温度疼痛、慢性疼痛、亜慢性疼痛、急性疼痛、亜急性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、筋肉疼痛、骨格疼痛、術後疼痛、関節炎の疼痛、および糖尿病性の疼痛に罹患している患者、たとえば動物(たとえば鳥類、哺乳類、霊長類、またはヒト)に投与する。更にまた、特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイおよび/またはその医薬組成物は、限定しないがたとえば術後疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、筋肉疼痛、および骨格疼痛を包含する疼痛に対抗する予防手段として動物のような患者に投与される。特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイおよび/またはその医薬組成物は、疼痛の1つの特徴の予防のために、疼痛の他の症状を同時に処置しつつ、使用してよい。
即ち、特定の実施形態においては、本発明は、本明細書に記載したオリゴヌクレオチドデコイの治療有効量を疼痛に罹患した患者に投与することを含む患者における疼痛を処置する方法を提供する。関連する実施形態において、患者における疼痛を予防する方法が提供される。そのような方法は本明細書に記載したオリゴヌクレオチドデコイの治療有効量を、それを要する患者(たとえば術後疼痛のような疼痛を発症する可能性のある患者)に投与することを含む。特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは神経傍に、硬膜上/硬膜周囲、髄腔内、または皮内に投与される。
特定の実施形態においては、本発明は、患者における疼痛を処置または予防するための方法を提供し、これはそれを要する患者に対し、オリゴヌクレオチドデコイの治療有効量を投与することを含み、そしてこの場合、そのオリゴヌクレオチドデコイは転写因子AP1、ETS1およびSTATに結合しない。他の実施形態において、本発明は、患者における疼痛を処置または予防するための方法を提供し、これはそれを要する患者に対し、1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイの治療有効量を投与することを含み、そしてこの場合、そのオリゴヌクレオチドデコイはAP1、ETS1、GATAおよびSTAT転写因子よりなる群から選択される1つ以上の転写因子に結合するが、ただし、疼痛は椎間板障害に起因する下部背部痛ではない。
特定の実施形態においては、本発明は患者における侵害受容シグナル伝達および/または疼痛の知覚に関与する細胞中に存在する遺伝子の転写を調節するための方法を提供する。特定の実施形態においては、モジュレーションは遺伝子発現を抑制または抑止することを含む。他の実施形態においては、モジュレーションは遺伝子発現を安定化することを含む。更に他の実施形態においては、モジュレーションは遺伝子発現を活性化または誘導することを含む。特定の実施形態においては、遺伝子は侵害受容シグナル伝達に関与する。侵害受容シグナル伝達に関与する遺伝子は、限定しないがたとえば、膜蛋白質(たとえばイオンチャンネル、膜受容体等)、可溶性シグナル伝達分子(たとえば細胞内シグナル伝達分子または神経伝達物質)、合成酵素(たとえば神経伝達物質合成酵素)、および転写因子をコードする遺伝子を包含する。そのような遺伝子の特定の例は限定しないがたとえば、BDKRB2、HTR3A、SCN9A、BDNF、GRM5、NOS1、GCH1、CDK5R1、CACNA1B、P2XR3およびPNMTを包含する。
他の実施形態において、本発明は細胞における侵害受容シグナル伝達を調節するための方法を提供する。特定の実施形態においては、モジュレーションは侵害受容シグナル伝達を抑制または抑止することを含む。特定の実施形態においては、細胞における侵害受容シグナル伝達を調節することは、該細胞における侵害受容シグナル伝達に関与する蛋白質の蛋白質分解を調節、たとえば増大させること含む。たとえば、以上に高値のプロテアソーム活性は神経可塑性の強度の不全(即ち疼痛の主要な細胞特徴)に関連付けられている。EGR1は選択されたプロテアソーム因子の発現を抑止することがわかっており、即ち、EGR1依存性侵害受容シグナル伝達活性を制限することは疼痛を処置することに該当する。更にまた、ニュートロフィンは侵害受容シグナル伝達をトリガーする疼痛ニューロンの特定の受容体を活性化する。USF因子は疼痛を誘導できる2つの主要なニューロトロフィンであるCGRPおよびサブスタンスPの発現を活性化する。USF因子を阻害することは、侵害受容シグナル伝達を阻害するための潜在的な手順である。特定の実施形態においては、モジュレーションは侵害受容シグナル伝達の阻害剤の活性化を含む。
更に他の実施形態においては、本発明は細胞における侵害受容シグナル伝達に関与する蛋白質の蛋白質分解性の分解を調節、たとえば増大させるための方法を提供している。特定の実施形態においては、蛋白質分解のモジュレーションはプロテオソーム機能の刺激を含む。特定の実施形態においては、蛋白質は侵害受容シグナル伝達に関与している。侵害受容シグナル伝達に関与する蛋白質は、限定しないがたとえば膜蛋白質(たとえばイオンチャンネル、膜受容体等)、可溶性シグナル伝達分子(たとえば細胞内シグナル伝達分子または神経伝達物質)、合成酵素(たとえば神経伝達物質合成酵素)、および転写因子を包含する。そのような蛋白質の特定の例は限定しないがたとえば、BDKRB2、HTR3A、SCN9A、BDNF、GRM5、NOS1、GCH1、CDK5R1、CACNA1B、P2XR3およびPNMTを包含する。
特定の実施形態においては、種々の方法の細胞がインビボで(たとえば疼痛に罹患しているか疼痛に罹患する可能性のある患者において)提供される。インビボで提供される細胞は限定しないがたとえば脊髄神経節および/または脊髄を包含する種々の場所に存在できる。他の実施形態において、種々の方法の細胞はインビトロで(たとえばペトリ皿中に)提供される。細胞は侵害受容シグナル伝達に関与する何れかの細胞、限定しないがたとえばニューロン(たとえば脊髄神経節および/または脊髄由来の、または交感神経系由来の疼痛ニューロン)、膠細胞、組織支持細胞(たとえば線維芽細胞)、免疫細胞、または細胞系統由来の細胞(たとえばPC12細胞)であることができる。
投与方法および投薬量
疼痛の処置または予防のための本発明の方法は、そのような処置または予防を必要とする患者へのオリゴヌクレオチドデコイまたはその医薬組成物の投与を必要とする。化合物および/またはその医薬組成物は何れかの都合のよい経路、たとえば注入または瞬時注射により、上皮または粘膜皮膚ライニング(たとえば口腔粘膜、直腸および腸の粘膜等)を介した吸収により、または経口により投与してよい。投与は全身または局所であることができる。種々の送達系が知られており、たとえば化合物および/またはその医薬組成物を投与するために使用できるリポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセル等の中へのカプセル化が挙げられる。投与の方法は限定しないがたとえば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜上/硬膜周囲、経口、舌下、鼻内、大脳内、膣内、経皮、直腸、吸入または特に耳、鼻、眼、または皮膚への局所投与を包含する。特定の実施形態においては、1つより多いオリゴヌクレオチドデコイを患者に投与する。投与の好ましい様式は専門家の判断に委ねられ、そして部分的には医学的状態の部位に依存することになる。
特定の実施形態においては、処置を必要とする領域に局所的に1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイを投与することが望ましい場合がある。これはたとえば限定しないが、手術中の局所注入、局所適用(たとえば手術後の包帯と組み合わせて)、注射により、カテーテルを使用することにより、座薬を用いることにより、またはインプラントを用いることにより達成してよく、該インプラントは多孔質、非多孔質、またはゼラチン性の物質、たとえば膜、たとえばシアラスティックな膜、または繊維である。一部の実施形態においては、投与は疼痛の部位(たとえば以前、現在、または予測される部位)への直接の注射により行うことができる。
特定の実施形態においては、何れかの適当な経路、限定しないがたとえば脳室内、髄腔内、神経周囲および/または硬膜上/硬膜周囲の注射により、神経系内に1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイを導入することが望ましい場合がある。脳室内注射はたとえばOmmayaリザーバのようなリザーバに連結した脳室内カテーテルにより容易に行える場合がある。
たとえば吸入器またはネブライザーおよびエアロゾル化剤を用い他製剤の使用によるか、またはフッ化炭素または合成肺用界面活性剤中の灌流剤による肺投与もまた使用できる。
患者における疼痛の処置または予防において有効となるオリゴヌクレオチドデコイの量は状態の特定の性質に応じたものとなり、そして当該分野で知られた標準的な臨床手法により決定できる。更にまた、インビトロまたはインビボの試験を場合により使用することにより最適な用量範囲の発見に役立てて良い。投与されるオリゴヌクレオチドデコイの量は、当然ながら、種々の要因中で特に処置対象の患者、患者の体重、苦痛の重症度、投与の態様、および処方する医師の判断に応じたものとなる。特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイの単回用量は体重キログラム当たりオリゴヌクレオチドデコイ約5μg〜5mg、50μg〜2.5mg、100μg〜1mg、250μg〜750μg、または約500μgを含む。
好ましくは、剤型は一日当たり2回以下、より好ましくは一日当たり1回のみ患者に投与するように適合される。投薬は単剤として、または他剤との組み合わせにおいておこなってよく、そして疼痛の効果的な処置または予防のために必要とされる長期にわたり継続してよい。
併用療法
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイおよび/またはその医薬組成物はオリゴヌクレオチドデコイを含むがそれに限定されない少なくとも1つの他の治療薬との併用療法において使用できる。オリゴヌクレオチドデコイおよび/またはその医薬組成物および治療薬は相加的、またはより好ましくは相乗的に作用できる。一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイおよび/またはその医薬組成物は別のオリゴヌクレオチドデコイを包含する別の治療薬の投与と同時に投与される。他の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイまたはその医薬組成物は別のオリゴヌクレオチドデコイを包含する別の治療薬の投与の前または後に投与される。
実験プロトコル
本発明は更に以下の実験プロトコルを参照することにより定義される。材料および方法の両方に対する多くの変更が本発明の範囲を外れることなく実施してよいことは当業者の知る通りである。
実験モデルは、ニューロン細胞系統、一次脊髄神経節(DRG)、および/または脊髄ニューロンに対して、疼痛遺伝子のモジュレーションをトリガーすることが分かっているプロ炎症メディエーター(たとえば神経成長因子、インターロイキン−1β、ブラジキニン、セロトニン、サブスタンスP等)の組み合わせを適用することにより疼痛の状況を模倣することより成る。疼痛遺伝子の発現のプロファイリングは、数種の実験状況、限定しないがたとえば、2本鎖オリゴヌクレオチド処置を伴うか伴わない以下のプロ炎症メディエーター刺激における半定量的逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(sqRT−PCR)により実現される。実験の概要を以下に示す。
細胞をインビトロ培養し、そして限定しないがたとえば下記:
・正常な遺伝子発現に関する対照として、無処置;
・後続する基底遺伝子発現の作用を計測するためのオリゴヌクレオチドデコイ処置;
・疼痛遺伝子発現を変えることによるインビボの疼痛状況を模倣するためのプロ炎症メディエーターの処置;および、
・後続する疼痛様状況のモジュレーションのレベルを計測するためのプロ炎症メディエーター+オリゴヌクレオチドデコイの二重処置;
を包含する独立した状況に付してよい。
処置後、細胞を収集し、そしてRNAを抽出する。疼痛遺伝子発現レベルは、恐らくは、半定量的RT−PCRにより計測され、そして、各情況の発現プロファイルを相互に比較する。
オリゴヌクレオチドデコイ処置はニューロン細胞系統、DRG、および/または脊髄ニューロンにおける配列番号1〜45から選択される配列の1つ以上のオリゴヌクレオチドデコイのトランスフェクション(同時、または未だ決定されていない時間間隔における順序による)よりなる。細胞系統は、限定しないがたとえば、PC12細胞 (NGF−分化を伴うか伴わない)、SH−SY5Y細胞、Weri細胞、Hela、HEK293、F−11、NS20Y、およびND7/23細胞、または選択して良い1つ以上の遺伝子を発現している何れかの他の細胞系統(たとえばACCN1−3、BDKRB1−2、BDNF、CACNA1G−H、CALCA、GRIN1、GRM1、GRM5、HTR1−3、NTRK1、P2RX3、PLC、PRKC、等)を包含する。1つ以上のトランスフェクションを同じ単一の(またはセットの)オリゴヌクレオチドデコイを含むか含まない、細胞の同じセットに適用する。細胞、即ち細胞系統または一次ニューロンをオリゴヌクレオチドデコイ処置後のある時点において収集する(たとえば処置後24または48時間)。トランスフェクション効率は恐らくは蛍光色素のような染料による標識されたオリゴヌクレオチドデコイの取り込みを追跡することにより計測される。効率は標識されたオリゴヌクレオチドデコイを含有する全細胞のパーセントとして示す。
培養された細胞はオリゴヌクレオチドデコイの処置後に収集し、そしてそれらのRNAを抽出する。抽出されたRNAを逆転写によりcDNAないに形質転換する。内因性mRNAの量を反映している各々の選択された遺伝子のcDNAの量をPCRにより計測する。PCR反応産物の同じ量を臭化エチジウムまたはDNA検出に適する何れかの他の適当な薬剤で飽和したアガロースゲル上にロードする。DNAの検出はUVランプまたは何れかの他の適当な装置の下に実施し、そしてゲル画像を定量ソフトウエアを用いて分析する。各PCR反応中に生成したDNAの量は、細胞中に元から存在していたRNAの総量を反映しているハウスキーピング遺伝子(たとえばACTB、GAPDH)に由来する対照PCR反応により生成したDNAの量に基づいて正規化する。オリゴヌクレオチドデコイ処置を伴った、そして伴わない、各遺伝子に関して得られた比のシグナル/対照の値の比較により、遺伝子の発現のレベルに対する各オリゴヌクレオチドデコイの影響の相対的計測が行われる。
ミスマッチ(たとえば配列番号46にアニーリングした配列番号43、本明細書においては以後配列番号43/46と称する)、スクランブル、および/または突然変異した2本鎖オリゴヌクレオチドを用いた対照実験を並行して実施することにより、計測された作用が各オリゴヌクレオチドデコイに特異的なものであることを確認する。オリゴヌクレオチドデコイ処置後の細胞の生存性を計測してよい。
オリゴヌクレオチドデコイと比較するために非ステロイド抗炎症剤またはコキシブ類のような現在の疼痛用薬剤と共に同じ手順を用いてよい。
特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドデコイは患者における侵害受容シグナル伝達および/または疼痛知覚に関与する場合がある1つ以上の遺伝子の阻害および/または誘導を包含するがこれらに限定されない発現パターンにおける作用をもたらす。特定の実施形態においては、阻害された遺伝子はプロ疼痛因子、たとえばプロ炎症メディエーターの受容体をコードする場合があり、そして活性化された遺伝子は抗疼痛因子、たとえばオピオイド受容体をコードする場合がある。
鎖アニーリング
相補鎖の対よりなるオリゴヌクレオチドデコイの場合、相補鎖は食塩水緩衝液、たとえばTris−EDTA(TE)中において等モル濃度でアニーリングされる。標準的な操作法は、相補鎖に応じて変動してよい時間にわたり高い変性温度(たとえば100℃)に両方の鎖の溶液を維持すること、その後、溶液がアニーリングの低温(たとえば20℃)に到達するまで温度を緩徐に低下させること(たとえば0.3〜1℃/分)を包含する。相補鎖の適切なアニーリングは何れかの適当な標準的な手法、限定しないがたとえば、非変性ポリアクリルアミドゲル上でアニーリングしたオリゴヌクレオチドの試料を未アニーリングのものの隣で泳動させることにより確認して良い。自己アニーリングしているオリゴヌクレオチドデコイに関しては、同じプロトコルを追従する。
細胞培養
DRGおよび/または脊髄の細胞を動物(たとえば哺乳類、たとえばラットまたはマウス)から収集することができ、そしてニューロンは37℃においてコラゲナーゼ(たとえばII型コラゲナーゼ)を用いながら新しく解離させることができる。そのような態様において単離した細胞を適当なペトリ皿(たとえばコラーゲンコーティング)上にプレーティングできる。ニューロンを適切な培地の培養物(たとえばDMEM)中に維持する。細胞系統を解凍し、そして入手元の推奨に従って十分な培地およびペトリ皿中に維持する。細胞は典型的には37℃、5%CO2でインキュベートする。細胞系統は入手元の推奨に従って培養する。
本発明は更に、限定的とみなしてはならない以下の実施例により説明される。
実施例1
本発明のオリゴヌクレオチドデコイは限定しないが表1に示す配列を包含する。一般的に、オリゴヌクレオチドデコイは表中に示した配列を相補配列にアニーリングすることにより形成する。ミスマッチの2本鎖オリゴヌクレオチドを形成するためには、表中に示した配列を、部分的にのみ相補である配列にアニーリングすることができる。例えば、配列番号43を配列番号46にアニーリングすることにより後述する実施例に記載するミスマッチ配列である配列番号43/46を形成することができる。
実施例2:EGR1オリゴヌクレオチドデコイ配列の親和性および特異性
EGR1転写因子に結合するように設計されている配列番号3は本発明のオリゴヌクレオチドデコイのクラスに典型的な構造を有している。配列番号3の構造は、5’から3’の順に、5’フランキング配列、第1の転写因子結合部位、リンカー配列、第2の転写因子結合部位、そして3’フランキング配列を包含する。配列番号3と94%の同一性および同じ基本構造を有する配列番号40は、配列番号3よりも良好にEGR1に結合することがインシリコで予測されている。配列番号40の薬理学的分析をEGR1結合の検出に特異的な転写因子のELISAキットを用いながら実施した。転写因子ELISA技術の感度は古典的なEMSA実験よりも10倍高感度であり、転写因子デコイの詳細な薬理学的試験を可能にする。
配列番号40のフォワードおよびリバース鎖の適切なアニーリングを図1Aに示す通り2.5%アガロースゲル上で確認した。結合実験はTPA刺激K−562細胞の核抽出物中に存在するEGR1のヒト型(hEGR1)を用いて実施した。例えば図1Bを参照できる。
配列番号40および配列番号41を用いた定量的競合的ELISAによれば、配列番号40は図2Aに示す通り強力なhEGR1結合活性を示している。本発明者等の実験の内容においては、半阻害濃度(IC50)の値は、競合物質の非存在下に計測したプローブ結合の50%阻害を与える競合物質の濃度を示し、即ち、配列の相互に対向する相対的な親和性の尺度となる。結果は2つのEGR1転写因子結合部位を含有する配列番号40が単一のEGR1転写因子結合部位を含有するコンセンサス配列番号41と同様のhEGR1に対する相対的親和性を有していることを示しており、IC50はそれぞれ215nMおよび250nMである。
本発明者等は、配列番号3に70%相同であるが配列番号3中に存在する2つのEGR1転写因子結合部位の特定の融合物を包含している配列番号42が単一のコンセンサス配列である配列番号41よりも2倍高値のEGR1に対する親和性を有していることを発見しており、IC50は99nMであった。図2Aを参照できる。
結晶構造の実験によれば、単一のEGR1蛋白質は3つの亜鉛フィンガードメインを介して自身のコンセンサス結合配列に結合できることが示されている。蛋白質−蛋白質相互作用はDNA結合活性を直接変化させることができることが知られており、それはAP1因子であるc−junおよびc−fosに関して明らかにされており、その場合、c−jun:c−fos2量体はc−jun:c−jun2量体よりも5〜30倍良好にAP1応答エレメントに結合する。制約されることを意図しないが、配列番号42中に存在する2つのEGR1転写因子結合部位の融合がEGR1因子間の蛋白質−蛋白質相互作用を誘導し、これによりそれらのDNA結合親和性を相互に増大させると本発明者等は考える。何れの場合においても、既知結合配列と比較してEGR1に対する配列番号42の極めて高い親和性は、配列番号42をhEGR1の医薬品阻害剤として極めて魅力的なものとしている。
本発明者等のELISA実験における非特異的オリゴヌクレオチド結合作用の非存在は、図1Cに示す通りミスマッチ配列である配列番号43/46に結合するEGR1が欠如していることにより明らかにされている。更にまた、EGR1と構造的に関連しており、そしてEGR1コンセンサス結合配列と同様のGCリッチのDNA配列に結合することができるSP1およびWT1転写因子は、EGR1オリゴヌクレオチドデコイには殆ど結合しなかった。hSP1結合を検出するELISA実験によれば、配列番号40はSP1特異的オリゴヌクレオチドデコイである配列番号11と比較してSP1には殆ど結合せず、OD値は80%以下であった。図2B(上側パネル)を参照できる。更にまた、競合実験によれば配列番号42は図2Bの上側および下側パネルに示す通り、大過剰濃度においてもhSP1に効率的に結合していない。同様の親和性欠如がhWT1へのEGR1オリゴヌクレオチドの結合に関しても観察されている。図2Bの上側および下側パネルを参照できる。
総括すれば、薬理学的実験により、配列番号42は、(i)それが単一コンセンサス結合部位デコイ(配列番号41)および二重コンセンサス結合部位デコイ(配列番号40)の両方と比較してhEGR1に対して高値の相対的親和性を有しており、そして(ii)それが高度に特異的であることから、強力なhEGR1阻害剤化合物であることがわかった。
実施例3:細胞におけるhEGR1転写活性の阻害
ヒト細胞におけるhEGR1転写活性を阻害する配列番号40および配列番号42の能力を、CDK5R1遺伝子発現に対するそれらの作用を介して計測した。CDK5R1はCDK5キナーゼの活性化物質である。両方とも末梢炎症後の疼痛ニューロンにおいてアップレギュレートされ、そして著明にはカプサイシン受容体TRPV1のホスホリル化を介して侵害受容シグナル伝達を調整する。hEGR1はヒトHL60細胞においてCDK5R1プロモーターに直接結合し、そして1,25−ジヒドロキシビタミンD3による細胞分化の後のそのアップレギュレーションを制御する。HL60細胞におけるデコイとして使用される天然のCDK5R1プロモーターのセグメントはCDK5R1の発現を阻害することが既に知られている。本発明者等は、本発明者等のデコイ配列がhEGR1活性を阻害する効率を、HL60細胞分化後にそれらがもたらすCDK5R1の阻害のレベルを計測することにより評価した。CDK5R1mRNA発現レベルはsqRT−PCR(例えば図3A参照)により計測し、そして半阻害濃度IC50は、1,25−ジヒドロキシビタミンD3分化後に計測される最大CDK5R1mRNA発現レベルの50%阻害をもたらすために必要なデコイ濃度を指す。
本発明者等は図3Bに示す通り、1,25−ジヒドロキシビタミンD3適用後のCDK5R1mRNA発現レベルのアップレギュレーション、並びにHL60細胞におけるhEGR1の存在を確認した。HL60細胞への本発明者等のデコイ配列の高いトランスフェクション収率(70%)を図3Cに示す。図3Dは、1,25−ジヒドロキシビタミンD3処置単独と1μM以下の濃度のデコイ配列との組み合わせの間で死滅細胞数において如何なる有意差も観察しなかったことを示しており、HL60細胞におけるEGR1デコイの毒性の欠如を明らかにしている。
本発明者等のhEGR1デコイ配列を用いて実施した250nM〜2μMの用量応答実験を図4Aに示す。配列番号40および配列番号41は同様のIC50を有し、値はそれぞれ544nMおよび529nMであった。これは、2つの配列が概ね同じ結合親和性をhEGR1に対して示すという事実と直接一致している。配列番号42は他のデコイよりもCDK5R1mRNA発現の阻害において3倍以上有効であり、IC50=150nMであり、hEGR1に対するその高値の親和性を反映していた。配列番号40および配列番号42の示差的IC50を示しているアガロースゲル上のCDK5R1mRNA発現の検出の典型的な像を図4Bに示す。これらのデータはhEGR1デコイ配列の相対的親和性とそれらの細胞の観点からの効率の間の直接の関連性を明らかにしており、そして、hEGR1阻害剤としての、および疼痛を処置するための、配列番号42の治療上の潜在能力を更に確認するものである。
配列番号42の活性の特異性を2つの方法を用いて確認した。第1に、本発明者等は、ミスマッチ配列である配列番号43/46におけるCDK5R1発現阻害の非存在を確認しており、これは非特異的ヌクレオチド曝露作用の欠如を示している。図3Eの左側パネルを参照できる。第2に、本発明者等は、配列番号42の活性の特異性を、自身のプロモーター内でhEGR1応答エレメントを欠いており、そしてHL60細胞においてhEGR1により調整されることが知られていない抗アポトーシス遺伝子であるBLC2の調整に対するその作用の欠如を示すことにより、確認した。以前の観察と合致して、本発明者等はHL60分化の後のBCL2mRNAの発現のダウンレギュレーションを計測しており、そしてこのダウンレギュレーションは配列番号42オリゴヌクレオチドデコイ処置により改変されなかった。図3Eの右側パネルを参照できる。
実施例4:疼痛遺伝子発現の阻害
PC12は、それらがNGFまたはcAMP上昇化合物のようなプロ炎症メディエーターに応答して内因性疼痛ニューロンと同様の態様において多くの疼痛遺伝子を発現および調整することから、疼痛シグナル伝達経路を研究するためのモデルとして広範に使用されている褐色細胞腫細胞である。本発明者等は疼痛遺伝子発現プロファイルに対する配列番号42デコイの処置の作用を計測した。本発明者等は11種の疼痛遺伝子を、(i)多数の疼痛症候群におけるそれらの重要な役割、(ii)疼痛シグナル伝達経路に沿ったそれらの異なる位置、および(iii)内因性疼痛ニューロンの間のそれらの発現の調整とPC12細胞との間の強力な平行性に基づいて選択した。それらは4種の遺伝子のクラス、即ち:イオンチャンネル(Scn9a、Cacna1b)、膜受容体(Grm5、Bdkrb2、P2rx3、Htr3a)、シグナル伝達および神経伝達物質合成酵素および関連の蛋白質(Cdk5r1、Gch1、Pnmt、Nos1)および神経伝達物質(Bdnf)に属する。
本発明者等は図5Aに示す通りHL60細胞と比較した場合にPC12(80%)細胞において同様のトランスフェクション収率を得た。図5Bは配列番号42のデコイの処置の存在下および非存在下における、Gapdh発現レベルに対して規格化した選択された疼痛遺伝子の基礎発現レベルを示す。結果はBdkrb2、Htr3aおよびScn9aの基礎発現が配列番号42処置により強力に疎外されることを示している。興味深いことに、遺伝子3種全てが膜蛋白質をコードしており、2つが受容体、1つがイオンチャンネルであった。他の遺伝子発現レベルに対する影響が無いことは、PC12細胞におけるEGR1デコイ処置の特異性を強調するものである。
別の実験において、本発明者等はEGR1を動員することが知られている2種の疼痛模倣刺激物質であるNGFおよびフォルスコリンをPC12細胞に処置した。NGFはEGR1の発現を誘導し、そしてフォルスコリンはPC12細胞におけるEGR1活性に対する許容性因子として機能する。PC12細胞のNGF/フォルスコリン処置後24時間において、本発明者等はBdnf、Grm5、Scn9a、Nos1、Gch1、Cdk5r1およびPnmtを包含する検査した11遺伝子のうち7種の有意なアップレギュレーションを観察した。本発明者等の結果はNGF曝露後のPC12細胞におけるそのような疼痛遺伝子のアップレギュレーションを示す数種の他の試験と合致している。配列番号42の処置はScn9a、Nos1、Gch1、Cdk5r1およびPnmtを包含する遺伝子5種の内因性アップレギュレーションを完全に予防した。興味深いことに、Scn9aを除くこれらの遺伝子の全てが酵素関連蛋白質をコードしている。配列番号42処置の2つの補足的な作用、即ち基礎発現の阻害およびアップレギュレーションブロックを示すアガロースゲル上の疼痛遺伝子cDNA検出の典型的な像を図5Dに示す。本発明者等は図5Eに示す通り2つの疼痛遺伝子に対するミスマッチ配列である配列番号43/46による阻害が存在しないことを示すことによりPC12細胞における非特異的オリゴヌクレオチドの曝露の作用がないことを確認した。
配列番号42は、2つの異なるレベル、即ち基礎転写および疼痛誘導アップレギュレーションに対する11種の疼痛遺伝子のうち7種の発現レベルを阻害する。2種の作用は遺伝子の異なるクラスに対して作動する可能性があるが、その理由は、本発明者等の小規模な実験において、基礎転写レベルは本質的に膜蛋白質のみにおいて阻害され、疼痛様条件下では疼痛関連遺伝子の通常のアップレギュレーションは本質的には酵素をコードしている遺伝子のみにおいて阻害された。調整された遺伝子の高い比率およびそれらの補足的な性質は、疼痛におけるEGR1の重要性を反映しており、そしてEGR1の非存在下では主要な疼痛症候群は維持されないことを明らかにしている動物ノックアウトおよびアンチセンス試験と合致している。治療上の期待の観点からは、配列番号42を使用しながらEGR1活性を阻害することの利点は、疼痛シグナル伝達経路の多数の工程において活性である疼痛遺伝子の多数の発現を同時に調節する能力である。例えば、配列番号42のユニークな処置は疼痛シグナルを知覚するBDRKD2のような受容体、ニューロン内部で疼痛シグナルをリレーするSCN9Aのようなイオンチャンネル、およびニューロン間でのそのシナプス伝達に参加するGCH1のような神経伝達物質合成酵素を同時に阻害するために十分であるのに対し、通常は複合体の多剤療法の手順がそのような異なる標的に同時に影響するためには必要となる。総括すれば、EGR1依存性の疼痛遺伝子の発現に対する配列番号42の強力な阻害作用を示す実験データは、疼痛処置に対するその治療上の潜在能力を明らかにしている。
実施例5:相補デコイ試験
本発明者等は(i)疼痛遺伝子の発現の柔軟性において重要でありEGR1の役割を補完する最初期遺伝子であるCREB/ATFおよびNFAT、および(ii)ニューロン疼痛遺伝子の基礎発現および組織特異的発現の維持において重要なAML1およびSP1因子を包含する異なる役割を有する転写因子をターゲティングする数種の他のオリゴヌクレオチドデコイ配列を分析した。
図6AはCREB/ATFをターゲティングする配列番号4、SP1をターゲティングする配列番号11、RUNX1をターゲティングする配列番号12、およびNFATをターゲティングする配列番号15に関するELISA実験を示している。グラフはプローブ単独として、またはそれぞれの競合物質の存在下に使用した何れかのビオチニル化型を用いて各配列に対して得られた結合OD値を示す。バックグラウンドより高値の結合ODにより示される通り、全ての配列がそれらのターゲティングされた因子に結合した。1つの配列と別のものとの結合ODの相違は、恐らくは、ELISA検出のために使用された抗体の個々の性質とは別に、核抽出液内の各転写因子の性質における、そして、それらの相対的な活性化のレベルにおける相違を反映していると考えられる。各配列につき競合物質の存在下に観察された結合阻害は、それらの各々の標的に対するそれらの特異性を示している。
配列の3つの治療上の潜在能力を、配列番号42に関して記載した通り、PC12細胞において評価した。CREB/ATF、NFATおよびRUNX因子の存在はPC12細胞において以前に記載した。配列番号4、配列番号12、および配列番号15デコイ処置の前後における疼痛遺伝子の発現レベルを表2Aに示す。図6Bは疼痛様条件下に計測したオリゴヌクレオチドデコイ処置の作用を示す。各配列は基礎および疼痛様の条件下の両方において多数の遺伝子の発現を阻害した。表2Aおよび2B、図6Bを参照できる。例えば、CREB/ATF転写因子をターゲティングする配列番号4はBdkrb2、Grm5、Htr3a、PnmtおよびNos1の基礎発現を阻害しており、そしてScn9a、Cdk5r1、PnmtおよびNos1のアップレギュレーションを予防する。本発明者等は疼痛遺伝子発現の調整に渡るデコイ配列の阻害プロファイルの一部オーバーラップを観察した。そのような重複性は、単一のものによるのではなく転写因子のスカホールドにより遺伝子発現が制御されること、そして全ての検討した因子が疼痛シグナル伝達に関与していることを鑑みれば、意外なことではない。遺伝子発現の調整における転写因子の各々のインビボにおけるそれぞれの関与は、それが発現される、そしてその全般的活性においては複雑な疼痛シグナル伝達経路の統合から生じる、疼痛ニューロンの型に依存していると考えられる。従って、特定のデコイの治療上の妥当性は疼痛の症候群、強度および病期に応じたものとなる場合がある。
一部の重要な疼痛遺伝子、例えば疼痛ニューロンにおける作用の潜在能力の発生において重要であるScn9a(例えばScn9aにおけるノンセンスの突然変異は疼痛に対する非感受性を発生させる)は、転写調整に対して極めて感受性である。NGFおよびフォルスコリン処置後のScn9aのアップレギュレーションは3つの最初期遺伝子
Egr1、Creb/AtfおよびNfatを包含する転写ネットワークに関与していると考えられる。これらの因子の単一のものの活性が本発明者等のデコイ配列の1つにより阻害される場合、調整は失われる。これは、所定の遺伝子の発現をその調整に関与する転写因子のすべてをターゲティングすることを必要とせずに抑制してよいため、デコイ法の重要な潜在的な治療上の利点をもたらすものである。
総括すれば、これらの実験は、本発明者等のデコイ配列が疼痛治療のためのユニークな特徴である多数の疼痛遺伝子を同時に阻害する潜在能力を有していることを明らかにしている。
実施例6:複合オリゴヌクレオチドデコイ
重複性の特定のレベルが転写因子活性の間で作動すると考え、本発明者等はEGR1、CREB/ATFおよびNFATの同時疎外のために複合デコイ配列である配列番号45を開発した。そのような配列の利点はニューロン形成性に関与し、そして疼痛の感覚のために重要な補完的シグナル伝達経路を統合している3つの主要な最初期遺伝子の同時阻害である。多くの代謝生成物産生疼痛受容体(例えばNGF受容体NTRK1/NGFR)により活性化されるMAPK/ERK経路のようなシグナル伝達キナーゼはEGR1を動員しつつ、カルシウム−およびカチオン性チャンネルにより動員されたカルシウムシグナル伝達経路はCREBおよびNFATを活性化する。配列番号45の配列は、5’から3’の順に、EGR1、CREB/ATFおよびNFATに対する転写因子結合部位であり、これらの各々は配列番号3(EGR1)、配列番号4(CREB/ATF)、および配列番号15(NFAT)の個々の応答エレメントから選択される。
各因子に対する配列番号45の結合特性を図7A、Bに示す。配列番号41および配列番号45を用いた平行ELISA競合実験によれば、EGR1に対するこの複合配列の相対的結合親和性はオリゴヌクレオチドデコイ配列番号41と同様に高値であることがわかる。更にまた、配列番号45処置により誘導されたHL60細胞におけるhEGR1活性の阻害は配列番号41により誘導された阻害(図7C)とマッチしており、両方ともオーバーラップする用量応答曲線を有している。これらの結果は細胞の効率がELISA実験において計測された相対的親和性に直接関連しているという本発明者等の以前の観察事例と合致している。最後に、さらなるELISA競合実験によれば、hEGR1への結合に加えて、配列番号45は同様にhCREB/hATFおよびhNFAT因子に特異的に結合することも示されている。
本発明者等はPC12細胞における疼痛遺伝子発現に対する配列番号45の作用を検討した(表2)。複合配列の使用により、以下の2つの利点、即ち:(i)阻害される遺伝子の数および型に対する潜在的に相加的な作用;および、(ii)単一の転写因子に対して特異的なオリゴヌクレオチドデコイにより部分的にのみ阻害される特定の遺伝子の潜在的により高度な阻害、が与えられる。相加的な作用はNFATおよびEGR1デコイの複合中の示差的阻害による配列番号45に示された。例えば配列番号42はGrm5の基礎発現を阻害しないが、配列番号15(NFAT)および配列番号45(複合)の両方は阻害している。同様に、疼痛様状態において、配列番号15(NFAT)はNGFおよびフォルスコリンの処置後のScn9aアップレギュレーションを予防していないが、配列番号42(EGR1)および配列番号45(複合は)予防している。
図7Dに示す通り、Bdrkb2およびScn9a遺伝子発現の調整において強度の作用は強力に生じている。1つの遺伝子が複合配列によりターゲティングされる転写因子の少なくとも2つにより阻害される場合、阻害の強度は個々の配列により与えられる阻害よりも強力である。例えばBdrkb2の基礎発現は、配列番号4および配列番号15の両方によりファクター5で個々に阻害されるが、複合オリゴヌクレオチドデコイである配列番号45ではファクター10で阻害される。
値は平均±SEMで示し、そしてGapdh発現レベルに対して規格化した各遺伝子のPC12細胞における発現レベルを表している。単位は任意である。黒文字は実験が行われなかったことを示す。n=2〜4。
実施例7:インビボの疼痛処置
炎症は疼痛の主要な発生源である。それは関節炎および術後の疼痛のような多くの疼痛症候群に共通の特徴である。完全フロインドアジュバントモデル(CFA)はヒトの炎症性疼痛の特徴を再現するために一般的に使用されている十分特性化された炎症性疼痛のモデルである。例えば後肢の炎症の後、動物は頑健で長時間持続する機械的異痛(即ち通常は非疼痛性の機械的刺激に応答した疼痛)を発症し、この現象は、術後の状況おける患者の歩行、呼吸および摂食に関わる主要な疼痛発生源および制約要因である。
本発明者等の実験において、そして文献によれば、機械的異痛はCFA後第1日に延焼後肢に対して計測可能であり、そして4日以内に最大に達することが、図8に示す通り分かっている。配列番号42処置によりCFA後第1日の抗異痛傾向(図8A)、およびCFA後第4日の異痛の頑健な復帰(図8B)が試験した各刺激力に関してもたらされた。これは、EGR1が関与しているのは、むしろニューロンの感作および長期の強化のようなニューロン形成事象の維持であって、それらの発生ではないことと合致している。
総括すれば、これらの結果は配列番号42処置が頑健な抗異痛作用を有しており、インビボの疼痛を処置する場合のその治療上の潜在能力を明らかにしている。特に配列番号42処置は長期持続疼痛の症候群、例えば慢性術後疼痛の維持の予防において妥当である。実施例8:材料および方法
細胞培養および生物学的試薬
HL60(ヒト末梢血、急性前骨髄球性白血病)およびPC12(ラット副腎、褐色細胞腫細胞)細胞系統をUCSF細胞培養施設(CA,USA)より購入した。HL60細胞は10%熱不活性化ウシ胎児血清および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen,CA,USA)を添加したRPMI培地1640+L−グルタミン(Invitrogen,CA,USA)中に生育させた。細胞は、前述の通りデコイトランスフェクションを行うか、行うことなく、1μM1,25−ジヒドロキシビタミンD3の処置前24時間に約200x104細胞/ウェルにおいて6穴プレート(BDBiosciences,USA)中にスプリットした。PC12細胞は、1,000mg/LのD−グルコース、L−グルタミン、25mMHEPES緩衝液、および110mg/Lピルビン酸ナトリウム(Invitrogen,CA,USA)を含有し、そして10%熱不活性化ウシ胎児血清、5%熱不活性化ウマ血清および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen,CA,USA)を添加したDMEM中に生育させた。PC12細胞は、デコイトランスフェクションを行うか、行うことなく、100nMNGF(Invitrogen,CA,USA)および5μMフォルスコリン(Sigma−Aldrich,MO,USA)の処置前24時間にCellBindの6穴プレート(Corning,USA)にスプリットした。全細胞を37℃5%CO2で生育させた。死滅細胞の計数はMalassez計数チャンバー上でトリパンブルー(Invitrogen,CA,USA)排出法を用いて実施した。
デコイ配列アニーリング
各デコイ配列に関するフォワードおよびリバースの鎖はIntegratedDNATechnology(IA、USA)が合成し、そして1xTE緩衝液、pH7.4またはpH8の何れかに再懸濁した。各鎖対を50mMのNaClの存在下、7分間95℃の変性工程および0.5℃/分で25℃までの緩徐な冷却によりアニーリングした。アニーリングの成功は相当する1本鎖に対するデュプレックスの遊走速度がより緩徐であることを観察することにより、臭化エチジウムを用いて2.5%アガロースゲル上で確認した。デコイ配列トランスフェクション
デコイ配列のトランスフェクションはオリゴフェクタミン(Invitrogen,CA,USA)を用いながら製造元のプロトコルに従って実施した。HL60実験に関しては、デコイ配列トランスフェクション(250nM、500nM、1000nMおよび2000nM)の直後に1,25−ジヒドロキシビタミンD3(1μM)処置を行った。細胞を48時間後に収集し、そしてRNA抽出用に調製した。PC12細胞に関しては、NGF(100ng/ml)およびフォルスコリン(5μM)をデコイ配列トランスフェクション(500nM)直後に適用した。RNA抽出の24時間後に細胞を収集した。
両方の細胞系統に関して、トランスフェクション収率はトランスフェクション後24時間に蛍光色素(IntegratedDNATechnology,IA,USA)にカップリングした配列番号40を用いて計測した。トランスフェクションの収率は蛍光顕微鏡下に観察された非蛍光細胞に対する蛍光細胞の計数値に基づいて計算した。
半定量的逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応(sqRT−PCR)
全RNAは、RNA抽出の間のゲノムDNAの除去を確実に行うRNeasyPlusキット(Qiagen,USA)を用いながら細胞から抽出した。当量のRNAの量を、First鎖cDNA合成キット(GEhealthcare,NJ,USA)またはSuperscript1st鎖系(Invitrogen,CA,USA)の何れかを用いながら条件当たりcDNA内に逆転写し、そして各RTの16分の1をPCR反応当たり使用した。PCRは総量20μl中、Promegaマスターミックス(Promega,WI,USA)を用いながら、以下のサイクル、即ち:95℃1分、55℃1分、72℃1分(ハウスキーピング遺伝子ACTBおよびGapdhに対しては25サイクル、他の遺伝子に対しては35サイクルを行うことにより直線検出範囲においてシグナル飽和まで物質の検出を行う)。使用した全プライマー(表3参照)は依然に報告されている。
各PCR反応の12.5μlを臭化エチジウム(FisherScientific,PA,USA)で1%アガロースゲル(Invitrogen,CA,USA)上で検出した。ゲルバンドをFluorChemSPゲルイメージャーシステム(Alpha Innotech,CA,USA)でキャプチャーし、そしてImageJソフトウエア(NIH,MD,USA)を用いながら分析した。発現レベルは、HL60実験に関してはACTBレベル、そしてPC12実験に関してはGapdhレベルに対して規格化した。統計学的有意性はスチューデントのt検定を用いて計測した。用量応答曲線は指数崩壊方程式にフィットさせた。
転写因子ELISA実験
デコイ配列のそれらの転写因子標的に対する親和性および特異性を比色転写因子ELISA(酵素結合免疫吸着)キット(Panomics,CA,USA)を用いて計測した。慨すれば、ビオチンにカップリングされた所定のデコイ配列を、標的転写因子を発現するTPA刺激K−562細胞に由来する核蛋白質抽出物(Activemotif,CA,USA)とともに30分間インキュベートした。蛋白質およびデコイ配列の混合物をキット中に提供されているストレプトアビジンでコーティングした96穴プレート上にローディングした。各デコイ配列によりキャプチャーされた転写因子の量は、特異的な一次抗体およびセイヨウワサビパーオキシダーゼ(HRP)酵素にカップリングされた二次抗体を用いながら供給元によるプロトコルに従って明らかにした。反応の光学密度(OD)Thermomaxマイクロプレートリーダー(MolecularDevices,CA,USA)を用いて450nMで読み取った。
実験はキットの結合緩衝液中の核蛋白質抽出物10μgと混合したビオチンカップリングしたデコイ配列(プローブ)6.4ピコモルを用いながら50μl中で実施した。プローブを単独で蛋白質抽出物とともにインキュベートした場合、得られるODはプローブのその標的に対する結合活性を示す。競合するビオチニル化されない型のプローブの漸増濃度を結合反応に加える場合、OD値の低減は結合の特異性を示す。競合物質としての配列変異体の使用はプローブと比較した場合のターゲティングされた因子に対するそれらの相対的な親和性を計測可能とする。数種の転写因子(CREB/ATF、WT1、NFATC1:入手元Santa Cruz Biotechnolgy,CA,USA;SP1:入手元emd biosciences,WI,USA;およびEGR1:入手元Panomics,CA,USA)に対する一次抗体の使用により、多数の因子に対するデコイ配列の相対的特異性を検出できる。
挙動実験
Sprague−Dawleyラット(雄性、250〜300g)の左後肢の足底表面に150μlの完全フロインドアジュバント(CFA)を注射した(30G針)。1gおよび6gのVonFreyフィラメントを用いて後肢の機械的応答性(即ち異痛)に関して試験した。慨すれば各VonFreyフィラメントを5回適用し、そして肢の撤退の回数を計数した。動物は試験前1時間メッシュ床上に馴化させた。動物の基礎的な機械的感受性を配列番号42およびCFA処置の前に試験した。全実験を盲検的に実施した。
配列番号42はIntegratedDNATechnology(IA,USA)により合成され、そしてHPLC精製された。デコイデュプレックスを2mM終濃度においてTEpH8中で前記した通りアニーリングし、そして13ナノモル/注射でラットに髄腔内注射した(総量20μl、希釈1:3、TEpH8)。注射/試験の日程は以下の通りである。
・第0日:配列番号42の第1回注射の後の基礎的VonFrey感受性試験
・第1日:CFA処置前1時間の配列番号42の第2回注射
・第2日:VonFrey試験前1時間の配列番号42の第3回注射
・第5日:VonFrey試験前1時間の配列番号42の第4回注射
対照動物には同じ日程に従ってベヒクルとしてTEのみを注射する。髄腔内注射の場合、ラットは2%イソフルランで麻酔し、動物の背部を剃毛し、そしてベタジンで調製した。次にラットをボトル内に入れることにより背部を湾曲させたままとした。17G1/2針をL6横突起の左側に沿ってそれがL5に到達するまで吻側にスライドさせた。次に尾部の攣縮により示される通り髄腔内空間に到達するまでL5とL6の間に針を挿入した。
材料および方法の両方に対して多くの修飾が本開示の範囲を外れることなく実施されることは当業者の知る通りである。従って、本実施形態は制限ではなく説明とみなされ、そして本発明は本明細書に記載した詳細に限定されず、添付請求項の範囲内およびそれと同等物において修飾してよい。
本明細書において引用した全ての公開物および特許は参照により全体が本明細書に組み込まれる。