JP6305862B2 - 全固体二次電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は固体電解質を有する全固体二次電池及びその製造方法に関する。
近年、大容量の電気化学デバイスとしてリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの開発が盛んに行われ、民生機器、産業機械、自動車など様々な分野にて利用され始めている。電気化学デバイスに求められる特性としては、高エネルギー密度、高パワー密度など大容量で応答性が高いものが挙げられる。さらには、発火事故などの事例もあることから、電気化学デバイスにおける安全性についても高度化が求められている。とりわけ車載用、医療用の電気化学デバイスにおける事故は人命に直結するため、より高い安全性が問われる。電気化学デバイスでの発火事故の原因のひとつとして、内部に電解液と呼ばれる燃焼性の液体が含まれていることが挙げられる。不測の事態においても、破裂や発火が起きないデバイスが求められており、近年、電気化学デバイスの全固体化が望まれている。
特許文献1には、固体電解質の材料例としてリチウムイオン伝導性を有する結晶である、Li1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)が開示されている。
特開2011−86610号公報
全固体二次電池においては、固体電解質の製造における焼結の程度を調整することが重要である。焼結不足は信頼性悪化、過剰焼結は容量低下の要因になり得るからである。しかしながら、量産工程において焼結性を逐一チェックすることは容易ではない。
これらのことを考慮し、本発明は、固体電解質の焼結性をチェックしやすい材料を用いた全固体二次電池及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明によれば、全固体二次電池は、正極層と負極層とが固体電解質層を介して積層されてなる積層部、及び前記積層部の少なくとも一方に形成されてなる固体電解質からなる保護層、を有する。L*a*b*表色系で表現される色彩色差測定において前記保護層が10以上90以下の明度L*及び10以上の彩度(a*×a*+b*×b*)1/2を呈する。好ましくは、保護層にV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びBからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素が含まれる。
本発明の製造方法によれば、固体電解質のグリーンシートを製造し、前記グリーンシートに正極層を形成し、前記グリーンシートに負極層を形成し、保護層となる前記グリーンシートを積層し、焼成前ブロックを製造し、前記焼成前ブロックを焼成することにより、全固体二次電池が得られる。本発明の製造方法では、前記保護層となる前記グリーンシートにはV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びBからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素とが含まれる。
本発明によれば、保護層の外観の色調から固体電解質の焼結性(密度)を判断できるため、二次電池の特性を悪化させることなく、焼結が適正であることを外観から判別できる。好適態様によれば、固体電解質の結晶構造を変えずに色調による焼結性評価を可能ならしめる所定の明度、色相の材料が得られ、二次電池の蓄電容量を低下させることがない。
本発明の全固体二次電池の模式断面図である。 固体電解質材料のX線回折パターンの例である。 固体電解質材料の色彩色差測定結果の例である。 固体電解質材料の色彩色差測定結果の例である。
図面を適宜参照しながら本発明を詳述する。但し、本発明は図示された態様に限定されるわけでなく、また、図面においては発明の特徴的な部分を強調して表現することがあるので、図面各部において縮尺の正確性は必ずしも担保されていない。
図1は本発明に係る全固体二次電池の模式断面図である。全固体二次電池1は、正極層31と負極層32(両者併せて、電極層、と呼ぶ。)とが固体電解質層21を介して上下に積層された積層構造を有する。「上下に積層された」というのは、本発明では、積層方向を上下方向であると定義する趣旨であって、積層構造の製造方法を限定する趣旨ではないし、実装時の方向性を限定する趣旨でもない。また、どちらが上でどちらが下であるかについては特に定める必要が無い。
全固体二次電池1が有する典型的な積層単位として、正極層31/固体電解質層21/負極層32/固体電解質層21、という積層構造が挙げられる。全固体二次電池1は、この積層単位を1つだけ有してもよいし、好適には、この積層単位を複数、好ましくは10〜200単位程度有していてもよい。前述の積層単位又はその繰り返しによる積層構造を積層部と称する。積層部の上下の少なくとも一方に、好ましくは両方には、固体電解質からなる保護層11、12が設けられる。図示された態様では、正極層31は、全固体二次電池1の一側面(図1では紙面左側)に設けられた第1の外部電極41に接続しており、負極層32は、全固体二次電池1の前記外部電極41とは反対側の側面(図1では紙面右側)に設けられた第2の外部電極42に接続している。なお、全体的な積層構造や外部電極41、42の構造などについては、全固体二次電池における従来技術を適宜参照することができる。
つまり、正極層と負極層とが固体電解質層を介して積層されてなる積層部、及び前記積層部の少なくとも一方に形成されてなる固体電解質からなる保護層、を有している。そして、第1の外部電極は、前記正極層に接続し、第2の外部電極は、前記負極層に接続している。一つの態様としては、正極層は、集電極と正極活物質層からなり、負極層は、集電極と負極活物質層からなる。実施例では積層部の両面に保護層が形成されている。
保護層11、12の固体電解質は、積層部内の固体電解質層21と異質材料であってもよいし、同質材料であってもよい。保護層11、12の固体電解質と、積層部内の固体電解質層が同じ組成であると、焼成字の収縮が同じとなるため、クラックが発生しにくくより好適である。この場合、積層部内の固体電解質層にも保護層11、12の固体電解質と同じ元素が含まれていてもよい。
保護層11、12及び固体電解質層21の固体電解質は、好適にはリチウムを含んだNASICON構造をもつリン酸塩からなる。このようなリン酸塩は固体電解質用の材料として従来公知であり、特に限定なく援用することができる。典型例として、例えば、Tiとの複合リン酸リチウム塩などが挙げられ、Al、Ge、Sn、Hf、Zr、Y、Laなどといった金属元素を、前記Tiに置き換えて用いたり、追加したりすることも可能である。AlはGaやInやLaなど他の3価の遷移金属に置換してもよい。リチウムを含みNASICON構造をもつリン酸塩は、より具体的には、例えば、下記の組成のものが挙げられる。
LiTi(PO
Li(1+x)AlTi(2−x)(PO(0≦x≦2、LATP)等。
固体電解質層21の形成方法は特に限定なく、従来技術を適宜参照することができる。例えば、上述のリン酸塩の材料を適切な粒度分布をもつように調製し、結着材、分散剤、可塑剤などとともに、水性溶媒あるいは有機溶媒に均一に分散させて、スラリーを得る。このとき、ビーズミル、湿式ジェットミル、各種混錬機、高圧ホモジナイザーなどを用いることができ、中でも、粒度分布の調整と分散とを同時に行うことができることからビーズミルの使用が好ましい。得られたスラリーを塗工して所望の厚さをもつグリーンシート得る。塗工方法は特に限定なく、従来技術を適宜参照することができ、スロットダイ方式、リバースコート方式、グラビアコート方式、バーコート方式、ドクターブレード方式などが非限定的に挙げられる。
保護層11、12の少なくとも一方は、明度L*は10〜90が好ましい。90を超えると、白色が強くなりすぎ、色の差が判別しにくくなり、10を下回ると、黒色が強くなりすぎて、やはり色の差が判別しにくくなるため、好ましくない。より好ましくは20〜80である。彩度C*は20以上が好ましく、20を下回ると色がくすみすぎて、色の差が判別しにくくなる。好ましくは、40以上である。L*値やC*値は、以下に述べるL*a*b*表色系によるパラメータである。
L*a*b*表色系は、物体の色を表わすための標準的な規格である(JIS Z8781−4:2013)。L*a*b*表色系では、明度をL*、色相と彩度を示す色度をa*、b*で表す。a*、b*は、色の方向を示しており、a*は赤方向、−a*は緑方向、そしてb*は黄方向、−b*は青方向を示す。数値が大きいほど色あざやかであり、数値が小さいほどくすんだ色になる。a*方向及びb*方向の絶対値の大きさが色のあざやかさに関連するパラメータであり、本発明では、明度L*値および(a*×a*+b*×b*)1/2の値(本明細書では、彩度C*値、とも呼ぶ。)に着目する。
L*、a*、b*の各値は完全に独立してコントロールできる性質のものではないが、概して、L*値を下げるには遷移金属等の添加量を増加することが有効であり、a*値やb*値を制御するには遷移金属等の種類を変更することが有効である。
リチウムを含みNASICON構造をもつリン酸塩にV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどの遷移金属やBを添加して焼結させると、着色させることができる。ほとんどの場合、焼成温度増加に伴い、焼結密度の増加と焼結体の色の変化が両方観察され、焼結密度と色のパラメータに比例に近い相関関係が成り立つ。焼結密度の変化に対して、色のパラメータの変化が大きいほど、焼結を管理しやすくなる。さらに狙いの焼結密度付近の色のパラメータが極端な値でないことが好ましい。ここでいう極端な値とは上述の明度L*が10を下回る、あるいは90を上回る値や彩度C*が20を下回る値の時である。温度が低い側にばらついた際、焼結不足による信頼性低下や特性悪化が起きる。また温度が高い側にばらついた際、過剰焼結や異種材料間の相互反応や異常粒成長などによる容量低下や特性悪化が起きる。このような不具合を外観から推測できる色のパラメータが好ましい。
明度L*は好ましくは20以上80以下であり、彩度(a*×a*+b*×b*)1/2は好ましくは20以上である。彩度(a*×a*+b*×b*)1/2はさらに好ましくは40以上である。焼結密度(Density)、明度L*(L*value)、彩度C*(C*L*value)の変化率を、ΔD、ΔL*、ΔC*とする。具体的に焼結密度と色のパラメータの相関関係として明度L*の変化率ΔL*と焼結密度Dの変化率ΔDの比率ΔL*/ΔDの絶対値、および彩度C*の変化率ΔC*とΔDの比率ΔC*/ΔDの絶対値はともに10以上が好ましい(すなわちΔL*/ΔDが10以上で、かつΔC*とΔDが10以上)。これらの比率が10を下回ると、焼結密度Dが変化しても色のパラメータがほとんど変化しないので、焼結の具合を判断できなくなる。さらに好ましくはこれらの比率がともに20以上であり、その場合、目視でもその差異を識別できるようになる(すなわちΔL*/ΔDが20以上で、かつΔC*とΔDが20以上)。
別の遷移金属等をドープしてTiサイト等の一部サイトを置換することで、視認可能な色を呈する材料へと調整できる。遷移金属の添加は前記LATP等の合成段階で添加してもよいし、合成後LATP等のグリーンシートを塗工する際のスラリー作製の配合時に添加してもよい。固体電解質層用と保護層用で塗工方式を変える場合、保護層用のみに別途遷移金属等を添加してもよい。また、添加量を考慮して他の構成元素の割合を全体で化学量論組成としてもよいし、化学量論組成のLATP等に遷移金属を追加で添加してもよい。
別の遷移金属等の添加量は特性への影響をできるだけなくすために少量であるほど好ましい。特に積層部内の固体電解質層と保護層の収縮率が著しく異なるほど添加することはチップ焼成時のクラックやデラミネーションを誘発するため好ましくない。添加による二次相の生成は保護層のみであれば特性に影響することは少ないので、問題になりにくい。以上のことから、一般的に添加する量としてはTiとAlの合計量1molに対して好ましくは0.005〜0.5molであり、さらに好ましくは0.01〜0.25molである。本発明によれば、比較的少量で視認可能な色を呈する元素としては一般的に第4周期の遷移金属元素、中でもとりわけ第5族〜11族が有効である。一方、第5周期の遷移金属元素では色が呈しにくい傾向がある。
保護層11、12に好ましく加えられる元素としてV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びBからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素が挙げられる。これらの元素の添加により、固体電解質の結晶構造を変えることがないから二次電池の蓄電容量の低下が抑えられ、かつ、上述のような明度・色相のものが得られる。
正極層31及び負極層32としては、典型的には、集電体層(図示せず)を2層の活物質層で挟んでなる積層構造が挙げられる。
電極の活物質については、二次電池における従来技術を適宜参照することができる。例えば、正極活物質として、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムマンガンニッケル複合化合物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウムリン酸鉄などの粉末を用いてもよい。負極活物質としては、チタン酸化物、リチウムチタン複合酸化物、カーボン、リン酸バナジウムリチウムなどの粉末を用いてもよい。これら活物質に加えて、固体電解質材料や、カーボンや金属といった導電性材料などをさらに用いてもよい。これらの部材とバインダーと可塑剤を水あるいは有機溶剤に均一分散させることで正(負)極活物質層ペーストを得ることができる。
集電体の導電性金属としては、Ni、Cu、Pd、Ag、Pt、Au、Al、Feなどの金属の単体あるいは合金あるいは酸化物を非限定的に挙げることができる。上述の正(負)極活物質層ペーストと集電体用の導電性金属ペーストを用いることで、正極層31、負極層32の前駆体を形成させることができる。形成方法の一例として、上述した固体電解質層用のグリーンシート上に正(負)極活物質層ペーストを印刷し、次いで、導電性金属ペーストを印刷し、さらに、その上に、再度、正(負)極活物質層を印刷することで、正(負)極活物質層/集電極体/正(負)極活物質層という積層構造体を製造することができる。印刷の方法は特に限定はされず、スクリーン印刷法、凹版印刷法、凸版印刷法、カレンダロール法などといった従来公知の印刷法を適用できる。薄層かつ高積層の積層デバイスを作製するにはスクリーン印刷がもっとも一般的と考えられる一方、ごく微細な電極パターンや特殊形状が必要な場合はインクジェット印刷を適用する方が好適な場合もある。
積層体の製造については公知技術を適宜参照することができる。典型的には、上述の正極及び負極用の積層構造体を印刷によって形成した固体電解質層21のためのグリーンシートを適宜積層して、各種手法で圧着して積層体(積層部の前駆体)を得る。この積層体の上下の少なくとも一方には保護層11、12用グリーンシートを積層させる。このようにして、焼成前ブロックを得る。必要に応じて外部電極41、42を形成させたり、チップ形状にカットした後、焼成前ブロックを焼成する。焼成の条件は酸化性雰囲気下あるいは非酸化性雰囲気下で、最高温度を好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは500℃〜900℃で行う。最高温度での保持時間は好ましくは10min〜10hrであり、より好ましくは30min〜5hrであり、さらに好ましくは1hr〜3hrである。短時間の保持だと構造体の内部と外側での焼成ムラの懸念が生じ、保持時間が長すぎると生産性が悪くなりプロセスコストが嵩む。最高温度に達するまでにバインダーを十分に除去するために酸化性雰囲気において最高温度より低い温度で保持する工程を設けてもよい。プロセスコストを低減するためにはできるだけ低温で焼成することが望ましい。焼成後に、再酸化処理を施してもよい。このようにして、本発明の全固体二次電池が得られる。好適には、上述の保護層用グリーンシートに、リチウムを含みNASICON構造をもつリン酸塩と、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びBからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素とを含ませる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に記載された態様に限定されるわけではない。
[製造例1]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.017V/1.5Pという比率になるように、LiCO、α―Al、アナターゼ型TiO、NHPO、Vを混合し、大気中、850℃で仮焼することで固相反応させ、固体電解質V−LATPの粉体(粉体1)を得た。得られた粉体1を粉末XRD法で評価した。図2は、前記評価による回折パターンであり、粉体1のパターンは、図2(a)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体1の色は黄色を呈していた。
[製造例2]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.034MnO/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質Mn−LATPの粉体(粉体2)を得た。ここで、Mnの原料としてMnCOを用いた。得られた粉体2の粉末XRD法による回折パターンを図2(b)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体2の色は薄紫色を呈していた。
[製造例3]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.2CoO/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質Co−LATPの粉体(粉体3)を得た。ここで、Coの原料として(CHCOO)Co・4HOを用いた。得られた粉体3の粉末XRD法による回折パターンを図2(c)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、概ね単相であったが、添加量を多くしたことでわずかに二次相が確認された。粉体3の色は紫色を呈していた。
[製造例4]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.2NiO/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質Ni−LATPの粉体(粉体4)を得た。ここで、Niの原料としてNiOを用いた。得られた粉体4の粉末XRD法による回折パターンを図2(d)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、概ね単相であったが、添加量を多くしたことでわずかに二次相が確認された。粉体4の色は黄色を呈していた。
[製造例5]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.034CuO/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質Cu−LATPの粉体(粉体5)を得た。ここで、Cuの原料としてCuOを用いた。得られた粉体5の粉末XRD法による回折パターンを図2(e)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体5の色は緑白色を呈していた。
[製造例6]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.017B/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質B−LATPの粉体(粉体6)を得た。ここで、Bの原料としてHBOを用いた。得られた粉体6の粉末XRD法による回折パターンを図2(f)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体6の色は黄白色を呈していた。
[製造例7]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質LATPの粉体(粉体7)を得た。得られた粉体7の粉末XRD法による回折パターンを図2(g)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体7の色は白色を呈していた。
[製造例8]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.017Nb/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質Nb−LATPの粉体(粉体8)を得た。ここで、Nbの原料としてNbを用いた。得られた粉体8の粉末XRD法による回折パターンを図2(h)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体8の色は白色を呈していた。
[製造例9]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.034SnO/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質Sn−LATPの粉体(粉体9)を得た。ここで、Snの原料としてSnOを用いた。得られた粉体9の粉末XRD法による回折パターンを図2(i)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体9の色は白色を呈していた。
[製造例10]
モル換算で0.65LiO/0.15Al/1.7TiO/0.034MoO/1.5Pという比率で混合したことのほかは、製造例1と同様に固体電解質Mo−LATPの粉体(粉体10)を得た。ここで、Moの原料としてMoOを用いた。得られた粉体10の粉末XRD法による回折パターンを図2(j)に示す。図示されるように、NASICON型の結晶構造に帰属される回折ピークが観察され、ほぼ単相であることを確認した。粉体10の色は白色を呈していた。
[実施例1]
上述の固体電解質Co−LATPの粉体(粉体3)を用いて、チップ形状の全固体電池を作製した。粉体3を用いて固体電解質用のグリーンシートを作製し、正極層として、PdとLiCoPOと固体電解質のコンポジットペーストをパターン印刷し、その上に同様のパターンでPd集電体ペーストを印刷した後、再度その上に同様のパターンでPd−LiCoPOコンポジットペーストを印刷した。また固体電解質グリーンシート上に別途、負極層としてPdペーストを印刷した。負極活物質は固体電解質に含まれるTiの酸化還元(Ti4+→Ti3+)を利用する。このときの印刷パターンは正極層と引き出し部分が異なるようなパターンとした。正極層を印刷したグリーンシート15枚と負極層を印刷したグリーンシート16枚を用意して、負極・正極・負極・正極という具合に交互に積層することで内部に30セル分形成した積層体を作り、その上下に保護層として、それぞれ粉体3を用いた上述の固体電解質用のグリーンシート20層分を積層し、圧着したシートを形成させた。保護層の外側にPdペーストを正極用パターンで印刷したもの1枚を、電極印刷面を内側にするように積層した。これは作製したチップの正極側が目視で分かるようにするためである。保護層、積層部、保護層の順で積層したものを、静水圧プレス機により120℃・40MPaで圧着し、正極引き出し部と負極引き出し部ができるようにチップ状に切断した。このチップを大気中830℃で3hr焼成することで積層チップ型全固体リチウムイオン二次電池を得た。
焼成後のチップは、紫色の外観を呈しており、充放電も行えることを確認した。このときのチップサイズは凡そ5mm四方であった。このチップの保護層について色彩色差測定を行い、67.32のL*値、24.01のa*および−19.43のb*値を得た(すなわち、C*値は30.89である。)。
別途、焼成温度を930℃とさらに高温にして、焼結具合を変化させたところ、より濃い紫色の外観を呈するチップが得られた。このチップでは正極活物質が固体電解質と反応したと考えられ、容量低下が確認された。このチップの保護層について色彩色差測定を行い、51.24のL*値、31.22のa*および―23.14のb*値を得た(すなわち、C*値は38.86である。)。このように焼成工程での不具合による焼けすぎなどを外観から識別できる可能性が示された。この830℃焼成チップと930℃焼成チップの外観色の違いは目視でもはっきりと認識できた。
[参考実験1]
上述の固体電解質Co−LATPの粉体(粉体3)のグリーンシートを40枚積層・圧着させた後、φ17mmに打ち抜いて、大気中700℃〜900℃で複数の温度で焼成した。焼成後のそれぞれの円板の密度を測定した。また、色彩色差計を用いて円板の色をL*a*b*方式で測定した。円板の密度と色彩色差計から得られる各パラメータの関係をプロットした。図3は前記プロットを示す。明度を表すL*値、赤・緑方向の色度を表すa*値、黄・青方向を表すb*値および彩度を表すC*値を、図3(a)、(b)、(c)および(d)にそれぞれ示す。これらの図によれば、円板密度の変化に対して、色の各パラメータも大きく変化することが確認できる。したがって色を測定することで円板密度すなわち焼結具合を窺い知ることが出来る。このレベルのパラメータ変化では、目視での観察でも円板密度上昇に伴う色が変化を確認することができる。このように製品の外観色を定量することにより、予め緻密化レベルとの相関を調べておくことで、焼成における緻密化度の指標とすることができ、焼成工程での非破壊・非接触での工程管理の有力なツールとなり得る。
[参考実験2]
上述の固体電解質LATPの粉体(粉体7)のグリーンシートを40枚積層・圧着させた後、φ17mmに打ち抜いて、大気中650℃〜950℃で複数の温度で焼成した。焼成後のそれぞれの円板の密度を測定した。また、色彩色差計を用いて円板の色をL*a*b*方式で測定した。円板の密度と色彩色差計空得られる各パラメータの関係をプロットした。図4は前記プロットを示す。図3の場合と同様に、L*値、a*値、b*値およびC*値を、図4(a)、(b)、(c)および(d)にそれぞれ示す。これらの図によれば、円板密度の変化に対して、色の各パラメータはほとんど変化しないことが確認できる。したがって色を測定しても円板密度すなわち焼結具合を窺い知ることは不可能である。このレベルのパラメータ変化では、目視での観察でも円板密度上昇に伴う色の変化を確認することはできない上、色も全て白色でほとんど違いを認識することは出来なかった。
1 全固体二次電池 11、12 保護層
21 固体電解質層 31 正極層
32 負極層 41、42 外部電極

Claims (2)

  1. 固体電解質用のグリーンシート、正極層用の導電体層及び負極層用の導電体層を積層してなる積層体、並びに前記積層体の上下の少なくとも一方に形成されてなる保護層用のグリーンシートを有する焼成前ブロックを焼成して、
    固体電解質層、正極層及び負極層を積層してなる積層部、並びに前記積層部の上下の少なくとも一方に形成されてなる固体電解質からなる保護層、を有する全固体二次電池の製造方法であって、
    前記固体電解質用のグリーンシートは、リチウムを含みNASICON構造をもつリン酸塩を含み、
    前記保護層用のグリーンシートは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びBからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素並びにリチウムを含みNASICON構造をもつリン酸塩を含み、
    前記焼成では、L*a*b*表色系で表現される色彩色差測定において前記保護層が10以上90以下の明度L*及び10以上の彩度(a*×a*+b*×b*) 1/2 を呈するように焼成することを特徴とする、
    上記製造方法
  2. 保護層用のグリーンシートに含まれる前記リン酸塩は、Li (1+x) Al Ti (2−x) (PO にV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びBからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含むものであり、前記xは0〜2である、請求項1記載の製造方法
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