<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における作業支援システムの概略構成を示したブロック図である。作業支援システム1は、少なくとも1つの作業支援装置10と、サーバ装置20とを含んで構成される。作業支援システム1は、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を支援する支援システムである。
プラントにおいて作業員は、作業支援装置10を携帯してプラント内を巡回し、それぞれの設備において点検作業やトラブル対応の作業を行う。なお、プラントとしては、石油の精製や化学製品の生産を行う工業プラントの他、ガス田や油田などの井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光や風力などの環境発電を管理制御するプラント、上下水やダムなどを管理制御するプラントなどが含まれる。
作業支援装置10は、位置情報検出部110と、点検情報処理部120と、作業支援部130と、データ取得部140と、表示部150と、ユーザーインターフェース部160とを含んで構成される。また、サーバ装置20は、データ保存部210を含んで構成される。作業支援システム1では、作業支援装置10とサーバ装置20とが、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって接続されている。
なお、一般的に、プラントには複数の作業員が所属している。このため、それぞれの作業員は各自、作業支援装置10を携帯してプラント内を移動し、点検対象の設備において様々な作業を行う。このため、作業支援システム1は、それぞれの作業員が携帯する複数の作業支援装置10を含んで構成される。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、作業支援システム1は、図1に示したように、1つの作業支援装置10とサーバ装置20とから構成されているものとして説明する。
作業支援装置10は、プラント内に設置された設備において様々な作業を行う作業員によって携帯される携帯端末装置である。作業支援装置10は、例えば、プラント内の地図や、それぞれの設備において行う作業内容を作業員に提示するなど、作業員を支援するための機能を備えている。
より具体的には、作業支援装置10は、プラント内の地図や、点検対象の設備に向かうまでの点検ルートを作業員に提示する機能を備えている。この機能によって、作業員は、提示された地図や点検ルートに従って移動することにより、容易に点検対象のそれぞれの設備に出向くことができる。また、作業支援装置10は、点検対象の設備に到着したときの作業員による操作に応じて、到着した位置の設備に対して行う作業(以下、「定型作業」という)の内容を作業員に提示する機能を備えている。この機能によって、作業員は、それぞれの設備において行う作業内容を容易に確認することができ、作業支援装置10を操作することによって、提示された定型作業を行った結果を容易に入力することができる。なお、定型作業には、毎日、毎週など定期的に行われる点検作業も含まれる。
また、作業支援装置10は、予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見した作業員による操作に応じて、サーバ装置20から定型作業と異なるトラブルなどに対応するための作業(以下、「非定型作業」という)の内容を作業員に提示する機能を備えている。この機能によって、作業員は、非定型作業の容易に確認することができ、作業支援装置10に提示された非定型作業を行うことによって、予期せぬ設備の異常などのトラブルに対する適切な対応(作業)を早急に行うことができる。なお、非定型作業には、トラブルの予兆となり得る事象に対する作業も含まれる。
なお、作業支援装置10のそれぞれの構成要素は、プラント内において専用に使用される携帯端末装置内に構成されてもよいが、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)や、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)の機能を備えた、いわゆる、タブレット端末などの携帯端末機器内に構成されてもよい。また、作業支援装置10のそれぞれの構成要素は、既存の移動体通信網を利用した携帯電話の機能と、携帯情報端末の機能とを融合させた、いわゆる、スマートフォンなどの携帯通信端末機器内に構成されてもよい。以下の説明においては、作業支援装置10のそれぞれの構成要素が、携帯通信端末機器内に構成されているものとして説明する。
位置情報検出部110は、予め定めた時間間隔ごとに、例えば、GPS(Global Positioning System)信号(電波)を発信するGPS衛星などの人工衛星(測位衛星)を利用した公共の測位システムと通信することによって、作業支援装置10の現在位置、つまり、作業支援装置10を携帯した作業員の現在位置を検出する。なお、位置情報検出部110は、例えば、位置情報タグなど、作業支援装置10の位置を検出するための機器と通信することによって、作業支援装置10の現在位置を検出してもよい。そして、位置情報検出部110は、検出した作業支援装置10の現在位置を表す情報(以下、「現在位置情報」という)を、点検情報処理部120に出力する。なお、位置情報検出部110は、現在位置情報を、例えば、作業支援装置10に備えた不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置20に送信してもよい。
点検情報処理部120は、作業員が作業支援装置10を携帯してプラント内で行う点検作業に関する情報を、不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置20との間で送受信する。より具体的には、点検情報処理部120は、例えば、作業員に提示するためのプラント内の地図のデータ(以下、「プラント地図データ」という)、点検対象の設備やプラント内を巡回する経路の情報を含んだ点検ルートのデータ(以下、「点検ルートデータ」という)をサーバ装置20から受信(取得)し、取得したプラント地図データや点検ルートデータを作業支援部130に出力する。また、点検情報処理部120は、例えば、作業員に提示するための定型作業の情報をサーバ装置20から受信(取得)し、取得した定型作業の情報を作業支援部130に出力する。そして、点検情報処理部120は、作業員およびデータ取得部140から入力され、作業支援部130から出力された作業結果などの情報を、位置情報検出部110から入力された現在位置情報に関連付けてサーバ装置20に送信(出力)する。
また、点検情報処理部120は、例えば、作業員による操作によって作業支援部130から出力された非定型作業の情報の要求に応じて、非定型作業の情報をサーバ装置20から受信(取得)する。このとき、点検情報処理部120は、位置情報検出部110から入力された現在位置情報が表す位置に配置された設備に対して行われた過去の点検作業の履歴や過去のトラブル対応の履歴などの対応作業のデータを記録した履歴データ(以下、「点検履歴データ」という)をサーバ装置20に要求し、この要求に応じてサーバ装置20から送信(出力)されてきたそれぞれの点検履歴データを受信(取得)する。そして、点検情報処理部120は、受信(取得)したそれぞれの点検履歴データ(現在位置情報に対応したそれぞれの点検履歴データ)を、非定型作業の情報として作業支援部130に出力する。そして、点検情報処理部120は、作業支援部130から出力されたトラブル対応などの情報を、位置情報検出部110から入力された現在位置情報に関連付けてサーバ装置20に送信(出力)する。
作業支援部130は、点検情報処理部120から入力されたそれぞれのデータや情報に基づいて、作業員を支援するためのそれぞれの機能を実現するための処理を行う。より具体的には、作業支援部130は、点検情報処理部120から入力されたプラント地図データと点検ルートデータとに基づいて、作業支援装置10を携帯した作業員に、それぞれの設備への経路を提示する。また、作業支援部130は、点検情報処理部120から入力された定型作業の情報に基づいて、作業員が行う作業内容を提示すると共に、作業員から入力された作業結果などを点検情報処理部120に出力する。また、作業支援部130は、点検情報処理部120から入力された非定型作業の情報に基づいて、予期せぬ設備のトラブルに対応するための作業方法を提示すると共に、提示した作業方法に基づいて作業員が行う作業を支援するため、作業支援装置10に備えた種々の機能を制御する。作業支援部130は、点検ルート選択部131と、点検作業記録処理部132と、機能選択部133とを含んで構成される。
点検ルート選択部131は、点検情報処理部120から入力されたプラント地図データによって表されるプラント内の地図上に、点検ルートデータが表すプラント内を巡回する経路を示すことによって、作業員が順次移動しながらそれぞれの設備を点検する経路を表した点検ルートの地図を作成する。そして、点検ルート選択部131は、作成した点検ルートの地図を表示部150に表示するための表示画面を生成して表示部150に出力する。なお、点検ルート選択部131は、位置情報検出部110が出力する現在位置情報に基づいて、点検ルートの地図上に、作業員の現在位置を予め定めた記号などで表してもよい。
点検作業記録処理部132は、点検情報処理部120から入力された定型作業の情報に基づいて、作業員が行う作業内容や作業方法を示した従来の点検簿と同様の点検リストを作成し、作成した点検リストを表示部150に表示するための表示画面を生成して表示部150に出力する。また、作業支援部130は、作業員の操作によって入力された作業結果や、データ取得部140から入力された計測結果などの情報をまとめて定型作業の情報に追加し、点検情報処理部120に出力する。これにより、点検情報処理部120は、点検作業記録処理部132から入力された作業結果や計測結果などの情報が追加された定型作業の情報を、現在位置情報に関連付けてサーバ装置20に出力する。
機能選択部133は、点検情報処理部120から入力された非定型作業の情報に基づいて、予期せぬ設備のトラブルを発見した位置において他の作業員が過去に行ったトラブル対応の作業内容や作業方法を今回発見したトラブルへの対応方法として示した対応方法リストを作成し、作成した対応方法リストを表示部150に表示させるための表示画面を生成して表示部150に出力する。そして、作業支援部130は、対応方法リストの表示画面に対する作業員の操作に応じて、選択されたトラブルへの対応方法に応じた処理を行う。作業支援システム1では、作業支援装置10に備えた種々の機能を利用して、それぞれのトラブルに対応する作業員を支援する。このとき、機能選択部133は、トラブルに対応する際に必要な作業支援装置10に備えた種々の機能の起動や切り替えなどの種々の機能を実行可能にさせる制御を行う。また、機能選択部133は、作業員によって選択されたトラブルへの対応方法の情報を、点検情報処理部120に出力する。これにより、点検情報処理部120は、機能選択部133から入力されたトラブルへの対応方法などの情報を、現在位置情報に関連付けてサーバ装置20に出力する。
データ取得部140は、作業支援システム1が適用されたプラント内の様々な設備に設置された計測機器が計測した設備の稼働状態を表す計測結果を取得する。なお、計測機器は、設備に設置された位置で、例えば、「電圧」、「温度」、「流量」、「磁気」、「圧力」など、設備の稼働状態を計測する。データ取得部140は、例えば、それぞれの計測機器と通信を行うための不図示の通信部を備えている。通信部は、それぞれの設備に設置された計測機器との間で通信を行って、それぞれの計測機器が計測した計測結果を取得する。なお、本発明においては、通信部と計測機器との通信方法に関しては、有線、無線を問わず、特に規定しない。データ取得部140は、通信部によってそれぞれの設備に設置された計測機器から取得した計測結果を、作業支援部130(より具体的には、点検作業記録処理部132)に出力する。
表示部150は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示デバイスであり、作業支援部130から出力された表示画面に応じた画像を表示することによって、作業支援装置10を携帯している作業員に様々な情報を提示する。
ユーザーインターフェース部160は、作業員による作業支援装置10への操作を受け付ける、例えば、ボタンやスイッチ類などのユーザーインターフェースである。なお、ユーザーインターフェース部160は、ボタンやスイッチ類による構成に限定されるものではなく、例えば、表示部150内に備えられる押圧センサによって構成されてもよい。つまり、ユーザーインターフェース部160は、表示部150と組み合わされたタッチパネルとして構成されてもよい。この場合、ユーザーインターフェース部160は、作業員による各種のタッチ(タップやフリックなど)操作を検出し、検出した操作を作業員による作業支援装置10への操作として受け付ける。そして、ユーザーインターフェース部160は、受け付けた作業員の操作に応じた情報、つまり、作業員によって入力された作業結果や指示を、作業支援部130に出力する。
このような構成によって、作業支援装置10は、作業支援装置10を携帯してプラント内を順次移動しながらそれぞれの設備の点検を行う作業員の支援を行う。
サーバ装置20は、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、それぞれの作業支援装置10と通信し、作業支援装置10との間でデータや情報を送受信する。より具体的には、サーバ装置20は、例えば、作業支援装置10に備えた点検情報処理部120からの要求に応じて、データ保存部210に記憶しているプラント地図データ、点検ルートデータ、定型作業の情報などを作業支援装置10に送信(出力)する。また、サーバ装置20は、例えば、作業支援装置10に備えた点検情報処理部120から送信されてきた、現在位置情報に関連付けられた作業結果などの情報を受信し、受信した作業結果の情報をデータ保存部210に記憶させる。また、サーバ装置20は、例えば、作業支援装置10に備えた点検情報処理部120からの要求に応じて、現在位置情報に対応した点検履歴データをデータ保存部210に記憶されている点検履歴データの中から検索し、検索された現在位置情報に対応した点検履歴データのそれぞれを作業支援装置10に送信(出力)する。また、サーバ装置20は、例えば、作業支援装置10に備えた点検情報処理部120から送信されてきた、現在位置情報に関連付けられたトラブルへの対応方法などの情報を受信し、受信したトラブルへの対応方法の情報をデータ保存部210に記憶させる。
データ保存部210は、作業支援システム1における種々のデータや情報を記憶する記憶部である。データ保存部210は、例えば、作業支援装置10に提供するためのプラント地図データ、点検ルートデータ、定型作業の情報、点検履歴データなどのデータや情報を記憶する。また、データ保存部210は、作業支援装置10から送信されてきた作業結果、計測結果、トラブルへの対応方法などの情報や種々のデータを記憶する。データ保存部210は、例えば、フラッシュメモリなどの種々のメモリや、HDDなどの記憶装置で構成される。なお、データ保存部210が記憶するデータや情報は、上述したようなデータや情報に限定されるものではなく、作業支援システム1において作業支援装置10が使用する種々のデータや情報が含まれる。
このような構成によって、作業支援システム1では、作業支援装置10とサーバ装置20との間で、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介した通信を行いながら、作業支援装置10を携帯してプラント内に配置されたそれぞれの設備の点検を行う作業員の支援を行う。なお、サーバ装置20は、インターネット上にデータを保有する、いわゆる、クラウドコンピューティングシステムに備えたサーバ装置であってもよい。この場合、作業支援システム1では、インターネットを介して作業支援装置10とサーバ装置20とが通信を行いながら、作業支援装置10を携帯してプラント内を巡回する作業員の支援を行う。
次に、第1の実施形態の作業支援システム1の動作について説明する。まず、作業員が行う日常的な点検作業について説明する。プラント内には、作業員が作業を行う対象の設備が特定の場所に複数配置されている。このため、それぞれの作業員は、以下の手順に従って、予め割り当てられた点検ルートに配置されているそれぞれの点検対象の設備に出向いて、点検リストに基づいたそれぞれの作業を行う。なお、以下の説明においては、作業支援装置10が、表示部150とユーザーインターフェース部160とが組み合わされたタッチパネルを備えた構成であるものとして説明する。また、以下の説明においては、作業支援装置10が起動している間、位置情報検出部110は、常に現在位置情報を出力しているものとして説明する。
(手順N1):作業員は、作業支援装置10を起動し、ユーザーインターフェース部160を操作して、点検ルートの提示を要求する。この点検ルートの提示を要求する操作において作業員は、例えば、点検ルート番号や、点検ルートの名称など、それぞれの点検ルートを識別するための識別情報を、ユーザーインターフェース部160を操作して作業支援装置10に入力する。この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、入力された点検ルートの識別情報を、作業支援部130に出力する。これにより、作業支援部130内の点検ルート選択部131は、入力された点検ルートの識別情報に応じた点検ルートデータと、点検ルートの範囲のプラント地図データとの取得を点検情報処理部120に要求し、点検情報処理部120は、要求された点検ルートデータとプラント地図データとをサーバ装置20から取得して点検ルート選択部131に出力する。その後、点検ルート選択部131は、点検情報処理部120から入力された点検ルートデータとプラント地図データとに基づいて点検ルートの地図を作成し、作成した点検ルートの地図を表示するための表示画面を生成して表示部150に出力する。これにより、作業員が要求した点検ルートの地図が表示部150に表示(提示)される。
ここで、点検ルートの地図を作成するための点検ルートデータについて説明する。なお、本発明においては、プラント地図データの構成については特に規定しないため、詳細な説明は省略する。図2は、本第1の実施形態の作業支援システム1において、作業支援装置10が点検ルートを提示する際に用いるデータの構成の一例を示した図である。点検ルートデータは、作業員がプラント内を巡回するそれぞれの点検ルートと、その点検ルートに従って点検作業を行う点検対象の設備に関する種々の情報とを紐付けるためのデータである。図2には、点検ルートデータの構成の一例を示している。
図2に示した点検ルートデータには、それぞれの点検ルートを識別するための情報として、「点検ルート識別情報」が設定されている。「点検ルート識別情報」には、「ルート番号」と、「ルート名称」とのそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「ルート番号」は、それぞれの点検ルートに排他的に割り当てられた番号である。また、「ルート名称」は、それぞれの点検ルートを識別することができるように付与された、点検ルートの特徴を表す名称である。
また、図2に示した点検ルートデータには、それぞれの点検ルートにおける点検対象の設備を識別するための情報として、「点検対象の設備の識別情報」が設定されている。「点検対象の設備の識別情報」には、「ルート番号」、「設備名称」、「設備分類」、および「設備番号」のそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「ルート番号」は、「点検ルート識別情報」における「ルート番号」と同じ情報である。また、「設備名称」は、プラント内に配置されたそれぞれの設備を識別することができるように排他的に付与された、点検対象の設備の特徴を表す名称である。また、「設備分類」は、それぞれの設備を機能ごとに分類した情報である。また、「設備番号」は、それぞれの設備に排他的に割り当てられた番号である。点検ルートデータでは、「ルート番号」によって、「点検ルート識別情報」と「点検対象の設備の識別情報」とを紐付け、点検対象のそれぞれの設備がいずれの点検ルートに属するのかを表している。なお、「点検対象の設備の識別情報」においては、図2に示した「設備名称」=「ポンプB」のように、1つの設備に対して複数の「ルート番号」が紐付けられている。これは、同じ設備に対する点検作業を、紐付けられた点検ルートのいずれにおいても行うことができる、あるいは他の設備よりも多くの点検作業を行うことを表している。
また、図2に示した点検ルートデータには、それぞれの点検対象の設備の情報として、「点検対象の設備情報」が設定されている。「点検対象の設備情報」には、「設備番号」、「製造者」、「管理者」、および「製造年月日」のそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「設備番号」は、「点検対象の設備の識別情報」における「設備番号」と同じ情報である。また、「製造者」は、それぞれの設備の製造者を表す情報である。また、「管理者」は、それぞれの設備の管理者を表す情報である。また、「製造年月日」は、それぞれの設備が製造された年月日を表す情報である。点検ルートデータでは、「設備番号」によって、「点検対象の設備の識別情報」と「点検対象の設備情報」とを紐付け、点検対象のそれぞれの設備を管理するための情報を表している。
また、図2に示した点検ルートデータには、それぞれの点検対象の設備が配置されている位置の情報として、「点検対象の位置情報」が設定されている。「点検対象の位置情報」には、「経度」、「緯度」、および「高さ」のそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「経度」は、それぞれの設備が配置されている絶対的な位置を表す経度の情報である。また、「緯度」は、それぞれの設備が配置されている絶対的な位置を表す緯度の情報である。また、「高さ」は、それぞれの設備が配置されている絶対的な位置を表す高さの情報である。点検ルートデータでは、「設備番号」によって、「点検対象の設備情報」と「点検対象の位置情報」とを紐付け、点検対象のそれぞれの設備が配置されている位置の情報を表している。
点検ルート選択部131は、プラント地図データによって表されるプラント内の地図上に、点検ルートデータに含まれる種々の情報を対応付けることによって、作業員がプラント内を巡回する経路を表した点検ルートの地図を作成する。より具体的には、点検ルート選択部131は、例えば、プラント地図データに含まれるそれぞれの設備が配置された位置の情報と、点検ルートデータ内の「点検対象の位置情報」に表された「経度」、「緯度」、および「高さ」の情報とを対応付けることによって、それぞれの点検ルートに含まれる設備を順次移動しながら点検する経路を表した点検ルートの地図を作成する。
なお、点検ルート選択部131が点検ルートの地図を作成する際に用いる情報は、上述した情報に限定されるものではない。例えば、プラント地図データに含まれるそれぞれの設備の情報として、点検ルートデータ内の「点検対象の設備の識別情報」における「設備名称」に対応する情報が含まれている場合には、点検ルート選択部131は、プラント地図データに含まれるそれぞれの設備の設備名称の情報と、点検ルートデータ内の「点検対象の設備の識別情報」に表された「設備名称」とを対応付けることによって、点検ルートの地図を作成することもできる。また、例えば、プラント地図データに含まれるそれぞれの設備の情報として、点検ルートデータ内の「点検対象の設備の識別情報」などにおける「設備番号」に対応する情報が含まれている場合には、点検ルート選択部131は、プラント地図データに含まれるそれぞれの設備の設備番号の情報と、点検ルートデータに含まれる「設備番号」とを対応付けることによって、点検ルートの地図を作成することもできる。
(手順N2):作業員は、点検ルートの地図が表示部150に表示された作業支援装置10を携帯して、それぞれの設備に出向く。なお、このとき、上述したように、点検ルート選択部131は、位置情報検出部110が出力した現在位置情報に基づいて、点検ルートの地図上に、作業員の現在位置を表してもよい。
(手順N3):作業員は、最初の作業現場(点検対象の設備)に到着すると、ユーザーインターフェース部160を操作して、点検リストの提示を要求する。この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、入力された点検リストの提示を要求する情報を、作業支援部130に出力する。これにより、作業支援部130内の点検作業記録処理部132は、定型作業の情報の取得を点検情報処理部120に要求し、点検情報処理部120は、現在位置情報が表す位置に配置された設備に対応した定型作業の情報をサーバ装置20から取得して点検作業記録処理部132に出力する。そして、点検作業記録処理部132は、点検情報処理部120から入力された定型作業の情報に基づいて点検リストを作成し、作成した点検リストを表示するための表示画面を生成して表示部150に出力する。これにより、作業員が要求した点検リストが表示部150に表示(提示)される。ここでは、例えば、後述する図3に示したような点検リストの表示画面が表示部150に表示される。なお、本発明においては、定型作業の情報の構成については特に規定しないため、詳細な説明は省略する。
なお、点検リストの提示を要求する際、作業員は、例えば、設備番号や、設備の名称など、それぞれの点検対象の設備を識別するための識別情報を、ユーザーインターフェース部160を操作して作業支援装置10に入力してもよい。このとき、設備を識別するための識別情報を入力する手段として、例えば、識別タグなどの識別情報がそれぞれの設備に割り当てられている場合には、作業員が作業支援装置10に識別タグの情報を読み取らせてもよい。この設備の識別情報は、現在位置情報と同様に扱うことができる。つまり、この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、点検リストの提示を要求する情報として、入力された設備の識別情報を作業支援部130に出力する。これにより、点検作業記録処理部132は、入力された設備の識別情報に対応した定型作業の情報の取得を点検情報処理部120に要求し、点検情報処理部120は、要求された識別情報をもつ設備に対応した定型作業の情報をサーバ装置20から取得して点検作業記録処理部132に出力する。これにより、同様に、点検作業記録処理部132が定型作業の情報に基づいた点検リストを作成し、作業員が要求した点検リストが表示部150に表示(提示)される。
(手順N4):作業員は、提示された点検リストの表示画面の作業内容に基づいて設備に対する作業を行い、ユーザーインターフェース部160を操作して、行った作業の結果を作業支援装置10に入力する。この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、入力された作業結果の情報を、点検作業記録処理部132に出力する。これにより、点検作業記録処理部132は、点検情報処理部120から入力された定型作業の情報に、ユーザーインターフェース部160から入力された作業結果の情報を追加し、作業結果の情報を追加した定型作業の情報を点検情報処理部120に出力する。そして、点検情報処理部120は、点検作業記録処理部132によって作業結果の情報が追加された定型作業の情報に現在位置情報(現在位置情報と同様に扱うことができる設備の識別情報であってもよい)を関連付けて、サーバ装置20に送信(出力)する。これにより、サーバ装置20は、作業支援装置10から送信されてきた作業結果の情報が追加された定型作業の情報を、データ保存部210に記憶させる。
なお、手順N4において、作業支援装置10に備えたデータ取得部140が、現在位置の点検対象の設備に設置された計測機器との通信を行って計測結果を取得した場合、点検作業記録処理部132は、データ取得部140が取得した計測結果も、定型作業の情報に追加して点検情報処理部120に出力し、データ保存部210に記憶させてもよい。
ここで、作業支援装置10が作業員に提示する点検リストの一例について説明する。図3は、本第1の実施形態の作業支援システム1において、作業支援装置10が提示する点検リストの一例を示した図である。図3は、点検作業記録処理部132が生成した点検リストの表示画面を表示部150に表示した場合の一例を示している。点検リストの表示画面には、リスト題目表示領域Ftと、設備情報表示領域Fiと、点検結果入力領域Fmとを含んでいる。
リスト題目表示領域Ftは、点検リストの題目(タイトル)を表示することによって、表示された点検リストが定型作業であるか非定型作業であるかを作業員に知らせるための領域である。図3に示した点検リストの一例は、日常的な点検作業、つまり、定型作業であるため、リスト題目表示領域Ftには、「定型点検作業」と表示している。
設備情報表示領域Fiは、作業を行う設備の情報を表示することによって、点検リストと今回の作業を行う設備とが合致しているかを作業員に確認させるための領域である。図3に示した点検リストの一例では、今回作業を行う「日時」、点検対象の設備が配置されている位置を表す「位置情報」、および今回作業を行う設備の形態を表す「対象設備」のそれぞれの情報を表示している場合を示している。
点検結果入力領域Fmは、作業員が行った点検作業の結果を入力するための領域である。図3に示した点検リストの一例では、点検作業における作業内容として、「電圧」、「温度」、および「圧力」などを点検(計測)し、点検結果(計測結果)を入力する入力領域が設けられた点検結果入力領域Fmを示している。なお、作業員は、この点検結果入力領域Fmに設けられたそれぞれの項目の入力領域をタップすることによって表示される、例えば、キーパッドや手書き入力パッドなどの入力手段を使用して、それぞれの項目に対応する計測結果の情報を入力する。
また、点検リストには、図3に示した一例のように、「異常発見」ボタンBc1を表示している。「異常発見」ボタンBc1は、今回の作業を行っている設備において予期せぬ異常などのトラブルを発見した場合に、作業員が行う作業を切り替えるためにタップするボタンである。作業員が「異常発見」ボタンBc1をタップすることによって、作業支援装置10は、対応方法リストの表示画面を表示部150に表示する。なお、作業員が「異常発見」ボタンBc1をタップした場合における動作および対応方法リストの表示画面に関する詳細な説明は、後述する。
(手順N5):作業員は、作業支援装置10を携帯して次の作業現場である点検対象の設備に向かう。このとき、手順N2と同様に、点検ルートの地図が表示部150に表示された作業支援装置10を携帯して、それぞれの設備に出向く。
以降、作業員は、手順N3〜手順N5を、今回の一連の作業が終了するまで繰り返す。
このような手順によって作業支援システム1では、それぞれの作業員が、作業支援装置10に表示された点検ルートに従ってそれぞれの作業現場(点検対象の設備)に出向き、到着したそれぞれの設備において、作業支援装置10に表示された点検リストに基づいてそれぞれの作業を行う。つまり、作業員は、作業支援装置10に表示された点検ルートによってプラント内を巡回する経路を容易に把握し、作業支援装置10に表示された点検リストによって、それぞれの設備において行う作業内容を容易に把握して、作業を行うことができる。
なお、作業員が、作業支援装置10に提示された点検リストの作業内容に基づいて設備に対する作業を行っているときに、予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見することもある。また、作業員が、作業支援装置10に表示された点検ルートに従ってプラント内を巡回しているときに、予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見することもある。なお、作業員がプラント内を巡回しているときにトラブルを発見した設備は、点検対象の設備ではないこともある。このような場合でも、作業員は、定型作業と異なるトラブルへの対応やトラブルの報告を行う必要がある。
次に、第1の実施形態の作業支援システム1において、作業員が予期せぬ設備のトラブルに対応する際の動作について説明する。予期せぬ設備のトラブルに対応する動作は、作業員が予期せぬ設備のトラブルを発見したことを示す情報が入力されるごとに、日常的な点検作業(定型作業)から遷移し、作業が終了した後に、遷移した元の手順に戻る。以下の説明においては、作業員が、点検ルートに配置されている点検対象の設備において、上述した手順N4の作業を行っているときに予期せぬ設備のトラブルを発見した場合について説明する。
(手順U1):作業員は、予期せぬ設備のトラブルを発見した場合、提示された点検リストの表示画面に表示されている「異常発見」ボタンBc1(図3参照)をタップする。この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、「異常発見」ボタンBc1が選択されたことを表す情報を、作業支援部130に出力する。これにより、作業支援部130内の機能選択部133は、現在の設備に対応する非定型作業の情報の取得を点検情報処理部120に要求し、点検情報処理部120は、現在位置情報(現在位置情報と同様に扱うことができる設備の識別情報であってもよい)が表す位置に配置された設備に対応した非定型作業の情報をサーバ装置20から取得して機能選択部133に出力する。そして、機能選択部133は、点検情報処理部120から入力された非定型作業の情報(現在位置の設備に対応したそれぞれの点検履歴データ)に基づいて対応方法リストを作成し、作成した対応方法リストを表示するための表示画面を生成して表示部150に出力する。これにより、作業員が要求した対応方法リストが表示部150に表示(提示)される。
ここで、対応方法リストを作成するための非定型作業の情報、つまり、点検履歴データについて説明する。図4は、本第1の実施形態の作業支援システム1において、作業支援装置10が対応方法リストを提示する際に用いるデータの構成の一例を示した図である。点検履歴データは、それぞれの設備における点検履歴と、予期せぬ設備のトラブルを発見したときの作業員の位置や起動する機能などの種々の情報を紐付けるためのデータである。図4には、点検履歴データの構成の一例を示している。
図4に示した点検履歴データには、点検履歴の情報として、「点検履歴」が設定されている。「点検履歴」には、「点検番号」、「年月日」、「時刻」、「点検者」、「点検者番号」、「点検結果」、および「備考」のそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「点検番号」は、作業員が行ったそれぞれの点検作業に対して排他的に割り当てられた番号である。また、「年月日」は、それぞれの点検作業を行った年月日を表し、「時刻」は、それぞれの点検作業を行った時刻を表す情報である。また、「点検者」は、それぞれの点検作業を行った作業員(点検者)の氏名であり、「点検者番号」は、それぞれの作業員(点検者)に対して排他的に割り当てられた番号である。また、「点検結果」は、それぞれの点検作業における結果(作業結果)を表す情報である。また、「備考」は、それぞれの点検作業に対する備考を表し、予期せぬ設備のトラブルに対応するために作業員が選択した対応方法の情報などが記録される。
また、図4に示した点検履歴データには、予期せぬ設備のトラブルを発見した作業員の位置の情報として、「作業員の位置情報」が設定されている。「作業員の位置情報」には、「点検番号」、「年月日」、「時刻」、「点検者番号」、「経度」、および「緯度」のそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「点検番号」、「年月日」、「時刻」、および「点検者番号」のそれぞれは、「点検履歴」における「点検番号」、「年月日」、「時刻」、および「点検者番号」のそれぞれと同じ情報である。また、「経度」および「緯度」は、作業員が予期せぬ設備のトラブルに対応した際の絶対的な位置を表す経度および緯度の情報である。
また、図4に示した点検履歴データには、予期せぬ設備のトラブルを発見した作業員が選択した対応方法の情報として、「作業員が選択した機能情報」が設定されている。「作業員が選択した機能情報」には、「点検番号」、「機能名」、「実行パス」、「年月日」、「時刻」、および「点検者番号」のそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「点検番号」、「年月日」、「時刻」、および「点検者番号」のそれぞれは、「点検履歴」における「点検番号」、「年月日」、「時刻」、および「点検者番号」のそれぞれと同じ情報である。また、「機能名」は、提示された対応方法リストに含まれる対応方法の中から作業員が選択した対応方法に応じて起動する作業支援装置10に備えた機能の機能名を表し、「実行パス」は、作業員が選択した対応方法に応じた機能を起動する際の実行パス、つまり、選択された機能を実現するためのソフトウェアなどの実行ファイルの格納先を表す情報である。
点検履歴データでは、「点検番号」によって、「点検履歴」、「作業員の位置情報」、および「作業員が選択した機能情報」のそれぞれを紐付け、予期せぬ設備のトラブルに対する対応方法の情報を管理している。
このように、点検履歴データでは、それぞれの設備における点検履歴、作業員の位置、および起動する機能などの種々の情報が紐付けられている。機能選択部133は、点検履歴データ内の「作業員の位置情報」に基づいて、予期せぬトラブルが発見された設備の位置を判定し、判定した位置の周辺に配置されたそれぞれの設備に対応する対応方法リストを作成する。より具体的には、機能選択部133は、点検履歴データ内の「作業員の位置情報」に表された「経度」および「緯度」と、例えば、プラント地図データに含まれるそれぞれの設備が配置された位置の情報とを比較し、「作業員の位置情報」に含まれる「経度」および「緯度」により近い位置に配置された設備を、予期せぬトラブルが発見された設備であると判定する。なお、手順U1のように、作業員が点検作業を行っているときに予期せぬ設備のトラブルを発見し、点検リストの表示画面に表示されている「異常発見」ボタンBc1をタップして対応方法リストの提示を要求した場合には、すでに設備の位置はわかっているため、機能選択部133は、点検履歴データ内の「作業員の位置情報」に基づいた設備の位置の判定処理を行わなくてもよい。機能選択部133は、判定した設備に対応する対応方法リストを作成して提示する。
ここで、作業支援装置10が作業員に提示する対応方法リストの一例について説明する。図5は、本第1の実施形態の作業支援システム1において、作業支援装置10が提示する対応方法リストの一例を示した図である。図5は、機能選択部133が生成した対応方法リストの表示画面を表示部150に表示した場合の一例を示している。対応方法リストの表示画面には、リスト題目表示領域Ftと、設備情報表示領域Fiと、対応方法表示領域Fcとを含んでいる。
リスト題目表示領域Ftは、図3に示した点検リストの一例と同様に、対応方法リストの題目(タイトル)を表示することによって、表示された対応方法リストが定型作業であるか非定型作業であるかを作業員に知らせるための領域である。図5に示した対応方法リストの一例は、トラブルに対応する作業、つまり、非定型作業であるため、リスト題目表示領域Ftには、「非定型対応作業」と表示している。
設備情報表示領域Fiは、図3に示した点検リストの一例と同様に、対応方法リストと今回の作業を行う設備とが合致しているかを作業員に確認させるために、作業を行う設備の情報を表示する領域である。設備情報表示領域Fiに表示するそれぞれの情報は、図3に示した点検リストの一例と同様である。
対応方法表示領域Fcは、現在の位置において他の作業員が過去に行ったトラブルへの対応方法、つまり、非定型作業の情報として入力されたそれぞれの点検履歴データの情報などを表示するための領域である。対応方法表示領域Fcには、それぞれの対応方法が、過去の同じトラブルの事象ごとにまとめられて示される。なお、対応方法表示領域Fcにおいては、同じ過去の事象に対して他の作業員が過去に行った対応方法が複数ある場合には、つまり、同じ事象に対応する点検履歴データが複数ある場合には、それぞれの対応方法(点検履歴データ)を予め定めた条件に従って並べ替えて表示する。それぞれの対応方法を並べ替える条件としては、様々な条件が考えられる。例えば、日時が新しい順に並べる、つまり、前回のトラブル対応において選択された対応方法を先頭に表示する方法が考えられる。また、例えば、他の作業員によって選択された回数が多い順に並べる、つまり、過去に多くの作業員が行った対応方法を先頭に表示する方法が考えられる。図5に示した対応方法リストの一例では、過去のトラブルの事象として3つの事象を示し、それぞれの事象に対応する過去事象表示領域Fp(過去事象表示領域Fp−1〜過去事象表示領域Fp−3)内に、他の作業員が行った複数の対応方法を、作業員がユーザーインターフェース部160を操作して選択するためのボタンの形式で示している。なお、図5に示した対応方法リストの一例では、それぞれの過去の事象に対応する複数の対応方法を、他の作業員によって選択された回数が多い順、いわゆる、ランキング順に並べて表示している場合の一例を示している。
より具体的には、トラブルの事象が「外観異常」である1つ目の過去の事象を示す過去事象表示領域Fp−1には、「外観異常」の事象に対して他の作業員が過去に行った対応方法として、「資材課へ連絡」や「異常部位を撮影」などがあることを、「資材課へ連絡」ボタンBp1−1、および「異常部位を撮影」ボタンBp1−2として示している。作業員がユーザーインターフェース部160を操作していずれかのボタンBp1を選択すると、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた機能の内、選択されたボタンBp1の対応方法に対応する機能を起動させる。例えば、作業員によって「資材課へ連絡」ボタンBp1−1が選択された場合には、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた携帯電話の機能を起動させて、作業員と資材課の担当者との通話を支援する。また、例えば、作業員によって「異常部位を撮影」ボタンBp1−2が選択された場合には、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた静止画の撮影機能、つまり、カメラを起動させて、作業員による異常部位の撮影を支援する。
また、トラブルの事象が「異音」である2つ目の過去の事象を示す過去事象表示領域Fp−2には、「異音」の事象に対して他の作業員が過去に行った対応方法として、「異音を60秒録音」や「資材課へ連絡」などがあることを、「異音を60秒録音」ボタンBp2−1、および「資材課へ連絡」ボタンBp2−2として示している。作業員がいずれかのボタンBp2を選択すると、機能選択部133は、選択されたボタンBp2の対応方法に対応する機能を起動させる。例えば、作業員によって「異音を60秒録音」ボタンBp2−1が選択された場合には、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた録音機能、つまり、マイクを起動させて、作業員による異音の録音を支援する。また、例えば、作業員によって「資材課へ連絡」ボタンBp2−2が選択された場合には、機能選択部133は、過去事象表示領域Fp−1内の「資材課へ連絡」ボタンBp1−1が選択された場合と同様に、作業支援装置10に備えた携帯電話の機能を起動させる。
また、トラブルの事象が「水漏れ」である3つ目の過去の事象を示す過去事象表示領域Fp−3には、「水漏れ」の事象に対して他の作業員が過去に行った対応方法として、「周囲の様子を録画」、「点検履歴参照」、「計装課へ連絡」などがあることを、「周囲の様子を録画」ボタンBp3−1、「点検履歴参照」ボタンBp3−2、「計装課へ連絡」ボタンBp3−3として示している。作業員がいずれかのボタンBp3を選択すると、機能選択部133は、選択されたボタンBp3に対応する機能を起動させる。例えば、作業員によって「周囲の様子を録画」ボタンBp3−1が選択された場合には、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた動画の録画機能、つまり、カメラを起動させて、作業員による異常部位の撮影を支援する。また、例えば、作業員によって「点検履歴参照」ボタンBp3−2が選択された場合には、機能選択部133は、「水漏れ」の事象に対応する点検履歴データに含まれる過去の点検作業のデータ(点検履歴)を表示部150に表示させて、作業員による点検履歴の閲覧を支援する。このとき、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた通信機能を起動させて、例えば、データ保存部210に記憶されているさらに多くの点検履歴データを取得し、より多くの過去の点検履歴を表示部150に表示させてもよい。また、例えば、作業員によって「計装課へ連絡」ボタンBp3−3が選択された場合には、機能選択部133は、過去事象表示領域Fp−1内の「資材課へ連絡」ボタンBp1−1が選択された場合と同様に、作業支援装置10に備えた携帯電話の機能を起動させて、作業員と計装課の担当者との通話を支援する。
また、対応方法リストには、図5に示した一例のように、「定型作業」ボタンBc2を表示している。「定型作業」ボタンBc2は、作業員が行う作業を、今回の作業を行っている設備における日常的な点検作業(定型作業)に切り替えるためにタップするボタンである。作業員が「定型作業」ボタンBc2をタップすることによって、作業支援装置10は、図3に示したような、点検リストの表示画面を表示部150に表示する。
(手順U2):作業員は、提示された対応方法リストの表示画面の過去のトラブルの事象から今回のトラブルに相当する事象を探し、同じトラブルの事象に対して行った過去の対応方法から今回行う対応方法を決定(選択)する。そして、作業員は、ユーザーインターフェース部160を操作して、選択した対応方法を作業支援装置10に入力する。この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、入力された対応方法の情報を、機能選択部133に出力する。これにより、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた機能の内、選択された対応方法の情報に対応する機能を起動させる。
(手順U3):作業員は、起動した作業支援装置10の機能を利用して、トラブルに対応する作業を行う。また、機能選択部133は、点検情報処理部120から入力された非定型作業の情報に、選択された対応方法の情報を追加し、対応方法の情報を追加した非定型作業の情報(点検履歴データ)を点検情報処理部120に出力する。そして、点検情報処理部120は、機能選択部133によって選択された対応方法の情報が追加された点検履歴データに現在位置情報(現在位置情報と同様に扱うことができる設備の識別情報であってもよい)を関連付けて、サーバ装置20に送信(出力)する。これにより、サーバ装置20は、作業支援装置10から送信されてきた選択された対応方法の情報が追加された点検履歴データを、データ保存部210に追加して記憶させる。
なお、手順U3において、作業員が、ユーザーインターフェース部160を操作して、行った作業の結果を作業支援装置10に入力するようにしてもよい。この場合、作業員による操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、入力された作業結果の情報を機能選択部133に出力し、機能選択部133は、選択された対応方法の情報が追加された点検履歴データに、ユーザーインターフェース部160から入力された作業結果の情報を追加して点検情報処理部120に出力してもよい。これにより、点検情報処理部120は、機能選択部133から出力された点検履歴データに現在位置情報を関連付けてサーバ装置20に送信(出力)し、サーバ装置20は、作業支援装置10から送信されてきた点検履歴データを、データ保存部210に追加して記憶させることができる。
その後、作業員によるトラブル対応の作業が終了すると、今回のトラブル対応の作業に遷移した元の作業、つまり、上述した手順N4の作業に戻る。
このような手順によって作業支援システム1では、それぞれの作業員が予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見するごとに、同じ位置において他の作業員が過去に行った対応方法など示した対応方法リストを作業支援装置10に表示する。これにより、作業員は、作業支援装置10に表示された対応方法リストによって過去の対応方法を把握し、過去の対応方法と同じ対応方法で、今回発見したトラブルに対応する作業を行うことができる。
上記に述べたように、第1の実施形態の作業支援システム1では、作業員が予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見した際に、作業員の現在位置の周辺に配置された設備に対応するための過去の対応方法が示された対応方法リストを提示する。これにより、第1の実施形態の作業支援システム1が適用されたプラントの作業員は、事務所などにおいてトラブルに対応するための資料を探索するために要する時間を短縮することができ、発見した設備のトラブルに対応するための対応方法を、過去の対応方法と同じ対応方法に決定することができる。このことにより、第1の実施形態の作業支援システム1が適用されたプラントでは、設備のトラブルに対する対応を早急に行うことができると共に、過去の対応と同様の品質で設備のトラブルに対応することができる。
また、第1の実施形態の作業支援システム1では、トラブルに対応する作業を行う際に必要な機能を、提示した対応方法リストに示された対応方法を選択する(対応方法のボタンを選択する)ことによって起動し、発見したトラブルに対応する作業員の作業を支援する。これにより、第1の実施形態の作業支援システム1が適用されたプラントの作業員は、誤った対応方法でトラブルに対応してしまうことを回避することができる。このことにより、第1の実施形態の作業支援システム1が適用されたプラントでは、設備のトラブルが発見された場合でも、適切な対応方法でトラブルに対応することができる。
なお、上述した説明では、作業員が点検ルートに配置されている点検対象の設備において手順N4の作業を行っているときに予期せぬ設備のトラブルを発見し、点検リストに表示されている「異常発見」ボタンBc1をタップすることによって対応方法リストを表示させる場合について説明した。しかし、点検対象の設備において作業を行っているときに点検リストから対応方法リストを表示させる方法は、「異常発見」ボタンBc1をタップする方法に限定されるものではない。例えば、点検対象の設備において作業を行っているときに、例えば、点検リスト内の設備情報表示領域Fiの領域など、点検リスト内のいずれかの領域を2回連続でタップする動作、いわゆる、ダブルタップ動作を行うことによって、対応方法リストを表示させる構成にしてもよい。
また、上述したように、予期せぬ設備のトラブルは、プラント内を巡回している作業員が発見する場合もある。この場合、作業員は、例えば、作業支援装置10の表示部150に表示されている点検ルートの地図上に表された現在位置をタップすることによって、予期せぬ設備のトラブルを発見したことやその設備の位置を表す情報を、ユーザーインターフェース部160から機能選択部133に出力させるなどの方法が考えられる。これにより、作業支援装置10は、上述した手順U1と同様に、現在の位置の周辺に配置されたそれぞれの設備に対応する対応方法リストを表示させることができる。しかし、作業員がトラブルを発見した設備に対応する対応方法リストの表示を要求する方法、つまり、予期せぬ設備のトラブルを発見したことやその設備の位置を表す情報を機能選択部133に出力させる方法は、上述した点検リストに表示されている「異常発見」ボタンBc1をタップする方法などや、点検ルートの地図上に表された現在位置をタップする方法以外にも、様々な方法が考えられる。
なお、上述した説明では、機能選択部133が作成して作業員に提示する対応方法リストの一例として、図5に示したような対応方法リストを示した。より具体的には、それぞれのトラブルの事象ごとに、作業員が選択することができる複数の対応方法をボタンの形式で示した対応方法リストを示した。しかし、機能選択部133が作成して作業員に提示する対応方法リストは、図5に示したような形式の対応方法リストに限定されるものではない。
<対応方法リストの表示画面の変形例>
次に、機能選択部133が作成して作業員に提示する対応方法リストの別の一例について説明する。図6は、本第1の実施形態の作業支援システム1において、作業支援装置10が提示する対応方法リストの別の一例を示した図である。図6は、機能選択部133が生成した対応方法リストの表示画面を表示部150に表示した場合の別の一例を示している。図6に示した対応方法リストの表示画面も、図5に示した対応方法リストの表示画面と同様に、リスト題目表示領域Ftと、設備情報表示領域Fiと、対応方法表示領域Fcとを含んでいる。また、図6に示した対応方法リストの表示画面にも、図5に示した対応方法リストの表示画面と同様に、「定型作業」ボタンBc2を表示している。図6に示した対応方法リストの表示画面と、図5に示した対応方法リストの表示画面とは、対応方法表示領域Fc内の表示が異なるのみである。従って、図6に示した対応方法リストの表示画面の表示領域において、図5に示した対応方法リストの表示画面の表示領域と同じ表示領域の表示内容に関する詳細な説明は省略する。
対応方法表示領域Fcは、図5に示した対応方法リストの一例と同様に、現在の位置において他の作業員が過去に行ったトラブルへの対応方法(それぞれの点検履歴データの情報)が、過去の同じトラブルの事象ごとにまとめられて示される領域である。ただし、図6に示した対応方法リストの対応方法表示領域Fcでは、トラブルに対応する際に行うそれぞれの作業が、作業を行う順番に並べられている。図6に示した対応方法リストの一例では、過去のトラブルの事象として3つの事象を示し、それぞれの事象に対応する過去事象表示領域Fp(過去事象表示領域Fp−1〜過去事象表示領域Fp−3)内に、順番に行うそれぞれの作業を、ボタンの形式で示している。そして、図6に示した対応方法リストの一例では、それぞれの対応方法において実行することができる作業のボタンのみを選択することができるように表示している。より具体的には、図6に示した対応方法リストの一例では、作業員が行う最初の作業のボタンのみを、ユーザーインターフェース部160を操作して選択することができ、以降に作業員が行う作業のボタンは選択することができないように表示している。言い換えれば、図6に示した対応方法リストの一例では、それぞれの対応方法において実行するそれぞれの作業のボタンを、順番に選択するように表示している。つまり、図6に示した対応方法リストの一例では、作業員が行う作業を順番に誘導するように表示している。これにより、作業員は、選択することができるように表示されているそれぞれの作業のボタンを順次選択することによって、トラブルに対応する一連の作業を、適切な順番で行うことができる。
より具体的には、「外観異常」の事象に対応する対応方法を示す過去事象表示領域Fp−1には、「外観異常」の事象に対応するために、「異常部位を撮影」、「資材課へ連絡」の順番で作業を行うことを示している。そして、過去事象表示領域Fp−1では、最初に作業を行う「異常部位を撮影」ボタンPp1−1を選択することができ、次に作業を行う「資材課へ連絡」ボタンPp1−2を選択することができないようにしている。このため、作業員は、「外観異常」の事象に対応する際に、最初に「異常部位を撮影」ボタンPp1−1を選択することになり、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた静止画の撮影機能を起動させて、作業員による異常部位の撮影を支援することになる。その後、「異常部位を撮影」する作業が終了すると、作業員が「資材課へ連絡」ボタンPp1−2を選択することによって、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた携帯電話の機能を起動させて、作業員と資材課の担当者との通話を支援することになる。
また、「異音」の事象に対応する対応方法を示す過去事象表示領域Fp−2には、「異音」の事象に対応するために、「異音を60秒録音」、「資材課へ連絡」の順番で作業を行うことを示している。そして、過去事象表示領域Fp−1では、最初に作業を行う「異音を60秒録音」ボタンPp2−1を選択することができ、次に作業を行う「資材課へ連絡」ボタンPp2−2を選択することができないようにしている。このため、作業員は、「異音」の事象に対応する際に、最初に「異音を60秒録音」ボタンPp2−1を選択することになり、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた録音機能を起動させて、作業員による異音の録音を支援することになる。その後、「異音を60秒録音」する作業が終了すると、作業員が「資材課へ連絡」ボタンPp2−2を選択することによって、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた携帯電話の機能を起動させて、作業員と資材課の担当者との通話を支援することになる。
また、「水漏れ」の事象に対応する対応方法を示す過去事象表示領域Fp−3には、「水漏れ」の事象に対応するために、「水漏れ部位を撮影」、「周囲の様子を録画」、「計装課へ連絡」の順番で作業を行うことを示している。そして、過去事象表示領域Fp−3では、最初に作業を行う「水漏れ部位を撮影」ボタンPp3−1を選択することができ、次に作業を行う「周囲の様子を録画」ボタンPp3−2と、その次に作業を行う「計装課へ連絡」ボタンPp3−3とを選択することができないようにしている。このため、作業員は、「水漏れ」の事象に対応する際に、最初に「水漏れ部位を撮影」ボタンPp3−1を選択することになり、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた静止画の撮影機能を起動させて、作業員による異常部位の撮影を支援することになる。その後、「水漏れ部位を撮影」する作業が終了すると、作業員が「周囲の様子を録画」ボタンPp3−2を選択することによって、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた動画の録画機能を起動させて、作業員による異常部位の撮影を支援することになる。さらに、「周囲の様子を録画」する作業が終了すると、作業員が「計装課へ連絡」ボタンPp3−3を選択することによって、機能選択部133は、作業支援装置10に備えた携帯電話の機能を起動させて、作業員と計装課の担当者との通話を支援することになる。
上述したように、図6に示した対応方法リストの表示画面では、それぞれのトラブルの事象に対応する対応方法として、作業を実行する順番にそれぞれの作業のボタンを選択する(作業を順番に誘導する)ように表示する。そして、作業員は、それぞれの作業のボタンを順次選択しながら、それぞれの対応方法における一連の作業を順次行う。これにより、作業員は、発見した予期せぬ設備の異常などのトラブルに対応するための作業を適切な順番で行うことができ、誤った順番でトラブルに対応してしまうことを回避することができる。なお、それぞれの作業のボタンを選択する(作業を順番に誘導する)ように対応方法表示領域Fc内に表示する形態は、例えば、選択することができる作業のボタンと、選択することができない作業のボタンとを異なる色で表示する形態など、いかなる形態であってもよい。また、実行する作業の順番は、例えば、予め点検履歴データの対応方法に紐付けられている。
なお、上述した説明では、作業員が、図6に示した対応方法リストの表示画面に示されたそれぞれの作業のボタンを順次選択しながらトラブルに対応する作業を行う場合について説明した。そして、上述した説明では、機能選択部133が、選択された作業のボタンに応じて作業支援装置10に備えたそれぞれの機能を起動する構成について説明した。しかし、機能選択部133が作業支援装置10に備えたそれぞれの機能を起動させる動作は、上述した動作に限定されるものではない。例えば、作業員が行う最初の作業のボタンを選択するのみで、機能選択部133が、それぞれの対応方法における一連の作業を行う際に必要な機能を順次起動する、つまり、機能選択部133が、前に起動した機能による作業が終了すると、次の作業を行うために必要な機能を自動で起動して順番に誘導する構成にすることもできる。この構成の場合、作業員は、発見したトラブルに対応するためのそれぞれの対応方法における一連の作業を、スムーズに行うことができる。
なお、第1の実施形態の作業支援システム1では、作業員の操作(手順U1参照)に応じて、つまり、作業員からの要求に応じて対応方法リストを作成して提示する場合について説明した。しかし、例えば、作業員の行動に基づいて、予期せぬ設備のトラブルを作業員が発見したか否かを判定し、作業員が設備のトラブルを発見したと判定した場合に、現在の作業員の位置の周辺に配置された設備に対応する対応方法リストを作成して提示する構成にすることもできる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、本発明の第2の実施形態における作業支援システムの概略構成を示したブロック図である。作業支援システム2は、少なくとも1つの作業支援装置12と、サーバ装置20とを含んで構成される。第2の実施形態の作業支援システム2も、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を支援する支援システムである。
作業支援システム2でも、作業支援装置12とサーバ装置20とが、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって接続されている。プラントにおいて作業員は、作業支援装置12を携帯してプラント内を巡回し、それぞれの設備において点検作業やトラブル対応の作業を行う。なお、作業支援システム2においても、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、それぞれの作業員が携帯する複数の作業支援装置12を含んで構成されるが、以下の説明においても、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に説明を容易にするため、作業支援システム2は、図7に示したように、1つの作業支援装置12とサーバ装置20とから構成されているものとして説明する。
図7に示した作業支援システム2は、図1に示した第1の実施形態の作業支援システム1を構成する作業支援装置10が、作業支援装置12に代わった構成である。つまり、作業支援システム2を構成するサーバ装置20は、第1の実施形態の作業支援システム1を構成するサーバ装置20と同様である。従って、以下の説明においては、サーバ装置20に関する詳細な説明は省略する。
作業支援装置12は、位置情報検出部110と、点検情報処理部220と、作業支援部130と、データ取得部140と、表示部150と、ユーザーインターフェース部160と、動き検出部270と、行動判定部280とを含んで構成される。作業支援装置12は、第1の実施形態の作業支援システム1を構成する作業支援装置10に構成された点検情報処理部120が点検情報処理部220に代わり、さらに、動き検出部270と行動判定部280とを含んだ構成である。なお、作業支援装置12に備えたその他の構成要素は、図1に示した第1の実施形態の作業支援システム1を構成する作業支援装置10に備えた構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、作業支援装置12の構成要素において、第1の実施形態の作業支援装置10に備えた構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与して、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略し、作業支援装置12において第1の実施形態の作業支援装置10と異なる構成要素および動作についてのみを説明する。
作業支援装置12は、第1の実施形態の作業支援装置10と同様に、プラント内に設置された設備において様々な作業を行う作業員によって携帯される携帯端末装置であり、第1の実施形態の作業支援装置10と同様に、プラント内の地図や、それぞれの設備において行う作業内容を作業員に提示するなどによって、作業員を支援するための機能を備えている。また、作業支援装置12は、第1の実施形態の作業支援装置10に備えた機能に加えて、作業員の行動を判定する機能を備えている。作業支援装置12に備えた構成要素や機能は、第1の実施形態の作業支援装置10と同様に、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯情報端末(タブレット端末)、携帯通信端末機器(スマートフォン)などによって実現される。以下の説明においては、第1の実施形態の作業支援装置10と同様に、作業支援装置12のそれぞれの構成要素が、携帯通信端末機器内に構成されているものとして説明する。
位置情報検出部110は、作業支援装置12の現在位置を検出した現在位置情報を、行動判定部280に出力する。
動き検出部270は、予め定めた時間間隔ごとに、作業支援装置12に加えられた加速度や角速度などを検出することによって、作業支援装置12の動き、つまり、作業支援装置12を携帯した作業員の行動を検出する。動き検出部270は、例えば、加速度センサやジャイロセンサなどで構成されている。動き検出部270は、検出した作業支援装置12の動きを表す情報(以下、「動き情報」という)を、行動判定部280に出力する。なお、動き検出部270は、動き情報を、例えば、作業支援装置12に備えた不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置20に送信してもよい。
行動判定部280は、位置情報検出部110から入力された現在位置情報と、動き検出部270から入力された動き情報とに基づいて、作業支援装置12を携帯している作業員の行動を判定する。より具体的には、行動判定部280は、現在位置情報が表す作業支援装置12の現在位置に基づいて、点検ルート上の作業員の位置を判定する。また、行動判定部280は、現在位置情報が表す作業支援装置12の現在位置の変化に基づいて、例えば、歩いている、止まっているなど、作業員が移動している状態や移動量を判定する。また、行動判定部280は、動き情報が表す作業支援装置12に加えられた加速度や角速度などの変化に基づいて、例えば、手を動かしているなど、作業員の動きの状態や動き量を判定する。
そして、行動判定部280は、点検ルート上の作業員の位置、作業員が移動している状態や移動量、作業員の動きの状態や動き量のそれぞれの判定結果に基づいて、作業員の行動を判定する。例えば、作業員の位置が点検ルート上にあり、作業員の移動量が変化していると判定された場合には、作業員が次の点検対象の設備に向かっているなど、「移動」の状態の行動であると判定する。また、例えば、「移動」と判定することができない状態が予め定めた期間よりも長く続いているが、作業員の動き量が大きいと判定された場合には、作業員が現在位置で点検作業を行っている「点検」の状態の行動であると判定する。また、例えば、「点検」と判定することができない状態が予め定めた期間よりも長く続いている場合、つまり、作業員の位置が点検ルート上にあり、作業員の移動量が変化しておらず、作業員の動き量が小さいと判定された場合には、作業員が予期せぬ設備のトラブルを発見したことによって立ち止まって困っている、またはトラブルの箇所を確認しているなど、「停止」の状態の行動であると判定する。なお、行動判定部280における作業員の行動の判定方法は、上述した方法に限定されるものではなく、既存の行動認識の技術を利用した様々な判定方法が考えられる。
行動判定部280は、判定した作業員の行動や、点検ルート上の作業員の位置、作業員が移動している状態や移動量、作業員の動きの状態や動き量を表す情報(以下、「行動情報」という)を、点検情報処理部220に出力する。なお、行動判定部280は、行動情報を、例えば、作業支援装置12に備えた不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置20に送信してもよい。
点検情報処理部220は、第1の実施形態の作業支援装置10に構成された点検情報処理部120と同様に、作業員が作業支援装置12を携帯してプラント内で行う点検作業に関する情報を、不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置20との間で送受信する。このとき、点検情報処理部220は、行動判定部280から入力された行動情報に基づいて、点検作業に関する情報をサーバ装置20との間で送受信する。例えば、点検情報処理部220は、行動情報に含まれる作業員の行動が、次の点検対象の設備に向かっていることを表している場合には、次に作業員が点検作業を行う設備に対応した定型作業の情報をサーバ装置20から事前に受信(取得)し、取得した定型作業の情報を作業支援部130に出力する。また、例えば、点検情報処理部220は、行動情報に含まれる作業員の行動が、予期せぬ設備のトラブルを発見したことによって作業員の行動が止まっていることを表している場合には、作業員の現在位置の周辺に配置された設備に対応した点検履歴データをサーバ装置20から受信(取得)し、取得した点検履歴データを非定型作業の情報として作業支援部130に出力する。
作業支援部130は、点検情報処理部220から入力されたそれぞれのデータや情報に基づいて、作業員を支援するためのそれぞれの機能を実現するための処理を行う。
このような構成によって、作業支援装置12は、作業支援装置12を携帯してプラント内を順次移動しながらそれぞれの設備の点検を行う作業員の行動を判定し、判定した作業員の行動に応じた支援を行う。なお、上述したように、作業支援装置12では、判定した作業員の行動に応じた支援を行うため、サーバ装置20に備えたデータ保存部210に記憶される点検履歴データの構成も、作業員の行動に対応する情報を含んだ構成となっている。
ここで、作業員の行動に対応する情報を含んだ構成の点検履歴データについて説明する。図8は、本第2の実施形態の作業支援システム2において、作業支援装置12が対応方法リストを提示する際に用いるデータの構成の一例を示した図である。図8には、作業員が予期せぬ設備のトラブルを発見した場合に作業支援装置12が対応方法リストを提示するための点検履歴データ(非定型作業の情報)の構成の一例を示している。図8に示した点検履歴データの構成の一例は、図4に示した第1の実施形態における点検履歴データの構成に、作業員の行動に関する情報が、さらに紐付けられた構成である。つまり、図8に示した点検履歴データの構成の一例には、図4に示した点検履歴データの構成の一例と同様の情報を含んでいる。従って、図8に示した点検履歴データの構成の説明においては、図4に示した点検履歴データの構成と同様の情報に関する詳細な説明は省略し、図4に示した点検履歴データの構成と異なる情報についてのみを説明する。
図8に示した点検履歴データの「作業員の位置情報」には、作業員の行動に関する情報として、「総移動距離」の情報をさらに含んでいる。ここで、「総移動距離」は、現在位置情報が表す作業支援装置12の現在位置の変化に基づいて行動判定部280が判定した作業員が移動した距離(移動量)を表す情報である。
また、図8に示した点検履歴データには、作業員の行動の情報として、「作業員の行動情報」が設定されている。「作業員の行動情報」には、「点検番号」、「年月日」、「時刻」、「点検者番号」、および「行動結果」のそれぞれの情報を含んでいる。ここで、「点検番号」、「年月日」、「時刻」、および「点検者番号」のそれぞれは、「点検履歴」、「作業員の位置情報」、「作業員が選択した機能情報」における「点検番号」、「年月日」、「時刻」、および「点検者番号」のそれぞれと同じ情報である。また、「行動結果」は、現在位置情報と動き情報とに基づいて行動判定部280が判定した作業員の行動を表す情報である。より詳細には、行動判定部280が、点検ルート上の作業員の位置、作業員が移動している状態や移動量、作業員の動きの状態や動き量のそれぞれの判定結果に基づいて判定した作業員の行動を表す情報である。
図8に示した点検履歴データでも、「点検番号」によって、「点検履歴」、「作業員の位置情報」、「作業員の行動情報」、および「作業員が選択した機能情報」のそれぞれを紐付け、予期せぬ設備のトラブルに対する対応方法の情報を管理している。
このように、図8に示した点検履歴データでも、それぞれの設備における点検履歴、作業員の位置や行動、および起動する機能などの種々の情報が紐付けられている。機能選択部133は、点検履歴データ内の「作業員の位置情報」および「作業員の行動情報」に基づいて、予期せぬトラブルが発見された設備の位置を判定し、判定した位置の周辺に配置されたそれぞれの設備に対応する対応方法リストを作成して提示する。より具体的には、機能選択部133は、点検履歴データ内の「作業員の位置情報」に表された「総移動距離」と、点検履歴データ内の「作業員の行動情報」に表された「行動結果」とを確認し、「総移動距離」が「0」であり、「行動結果」が「停止」である場合に、対応する位置を予期せぬトラブルが発見された設備の位置であると判定する。そして、機能選択部133は、点検履歴データ内の「作業員の位置情報」に含まれる「経度」および「緯度」により近い位置に配置された設備に対応する対応方法リストを作成して提示する。
このような構成によって、作業支援システム2では、作業支援装置12とサーバ装置20との間で通信を行いながら、作業支援装置12を携帯してプラント内に配置されたそれぞれの設備の点検を行う作業員の支援を行う。このとき、作業支援システム2では、作業員の行動に基づいて作業員が予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見したか否かを判定し、作業員が設備のトラブルを発見したと判定した場合に、作業員の現在位置の周辺に配置された設備に対応する対応方法リストを作成して提示する。
なお、作業支援システム2において作業員に提示する対応方法リストは、図5または図6に示した第1の実施形態の作業支援システム1において作業員に提示する対応方法リストの一例と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、作業支援システム2において作業員に対応方法リストを提示する際の動作は、第1の実施形態の作業支援システム1における手順U1〜手順U3の内、手順U1の動作が、作業員による「異常発見」ボタンBc1や点検ルートの地図上の現在位置のタップ、すなわち、作業員による対応方法リストの表示を要求する操作に応じた動作ではなく、行動判定部280による作業員の行動の判定結果に応じた動作に代わるのみである。従って、作業支援システム2において対応方法リストを作業員に提示する動作に関する詳細な説明は省略する。また、作業支援システム2における日常的な点検作業の動作も、第1の実施形態の作業支援システム1における日常的な点検作業の動作(手順N1〜手順N5)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
上記に述べたように、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業員の行動を判定し、作業員が予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見したと判定した場合に、作業員の現在位置の周辺に配置された設備に対応するための過去の対応方法が示された対応方法リストを提示する。そして、第2の実施形態の作業支援システム2でも、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、トラブルに対応する作業員の作業を支援する。これにより、第2の実施形態の作業支援システム2でも、トラブルに対応するための資料の探索に要する時間の短縮、トラブルに対する早急な対応の実現、トラブルへの適切な対応方法での対応の実現など、第1の実施形態の作業支援システム1と同様の効果を得ることができる。
しかも、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業員の行動の判定結果に基づいて自動で対応方法リストを提示する。これにより、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業員が対応方法リストの提示を要求する操作を意識しなくても、予期せぬトラブルを発見したと判定した設備に対応する対応方法リストを提示することができる。
なお、第2の実施形態の作業支援システム2では、動き検出部270が検出した作業支援装置12の動きを表す動き情報を、作業員が予期せぬトラブルが発見したか否かを行動判定部280が判定するために利用する構成について説明した。しかし、動き検出部270が出力した動き情報を利用する構成や動き情報の利用方法は、上述したような構成や利用方法に限定されるものではない。例えば、動き検出部270が出力した動き情報を、行動判定部280が意図的に対応方法リストの提示を要求する際の作業員の操作の判定に利用する、つまり、動き検出部270を作業員が対応方法リストの提示を要求するための手段として利用する構成にすることもできる。この場合、例えば、作業員が作業支援装置12を振る動作、いわゆる、シェイク動作をするなど、動き検出部270が日常的な点検作業において検出する作業支援装置12の状態とは異なる加速度や角速度の状態であることを表す動き情報が入力された場合に、作業員が対応方法リストの提示を要求する操作であると行動判定部280が判定する構成などが考えられる。これにより、設備のトラブルへの対応方法を熟知している熟練した作業員は、対応方法リストの提示を意図的に要求せず、設備のトラブルに対応した経験が少ない作業員は、対応方法リストの提示を意図的に要求するなど、作業員の要望に沿った対応方法リストの提示を行うことができる。
なお、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業支援装置12が、現在位置情報および動き情報に基づいて作業員の行動を判定し、予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見したときに対応方法リストを提示する処理を行う構成について説明した。ここで、作業員の行動の判定の処理は、大きな処理能力が要求される処理であると考えられる。このため、作業支援装置12に要求される処理能力を軽減する構成にすることもできる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図9は、本発明の第3の実施形態における作業支援システムの概略構成を示したブロック図である。作業支援システム3は、少なくとも1つの作業支援装置13と、サーバ装置23とを含んで構成される。第3の実施形態の作業支援システム3も、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を支援する支援システムである。ただし、作業支援システム3では、第2の実施形態の作業支援システム2を構成する作業支援装置12に要求される処理能力を軽減するための構成変更が適用されている。このため、図9に示した作業支援システム3では、図7に示した第2の実施形態の作業支援システム2を構成する作業支援装置12が作業支援装置13に代わり、サーバ装置20がサーバ装置23に代わった構成になっている。
作業支援システム3でも、作業支援装置13とサーバ装置23とが、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって接続されている。プラントにおいて作業員は、作業支援装置13を携帯してプラント内を巡回し、それぞれの設備において点検作業やトラブル対応の作業を行う。なお、作業支援システム3においても、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、それぞれの作業員が携帯する複数の作業支援装置13を含んで構成されるが、以下の説明においても、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に説明を容易にするため、作業支援システム3は、図9に示したように、1つの作業支援装置13とサーバ装置23とから構成されているものとして説明する。
なお、作業支援システム3を構成するそれぞれの構成要素には、図7に示した第2の実施形態の作業支援システム2を構成するそれぞれの構成要素と同じ構成要素を含んでいる。従って、以下の説明においては、作業支援システム3の構成要素において、第2の実施形態の作業支援システム2の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与して、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略し、作業支援システム3において第2の実施形態の作業支援システム2と異なる構成要素および動作についてのみを説明する。
作業支援装置13は、位置情報検出部110と、作業支援部130と、データ取得部140と、表示部150と、ユーザーインターフェース部160と、動き検出部270とを含んで構成される。作業支援装置13は、第2の実施形態の作業支援システム2を構成する作業支援装置12に構成された点検情報処理部220と、行動判定部280とが削除された構成である。
作業支援装置13は、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、プラント内に設置された設備において様々な作業を行う作業員によって携帯される携帯端末装置であり、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、プラント内の地図や、それぞれの設備において行う作業内容を作業員に提示するなどによって、作業員を支援するための機能を備えている。作業支援装置13に備えた構成要素や機能は、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯情報端末(タブレット端末)、携帯通信端末機器(スマートフォン)などによって実現される。以下の説明においては、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、作業支援装置13のそれぞれの構成要素が、携帯通信端末機器内に構成されているものとして説明する。
位置情報検出部110は、作業支援装置13の現在位置を検出した現在位置情報を、作業支援装置13に備えた不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置23に送信(出力)する。
動き検出部270は、作業支援装置13の動きを検出した動き情報を、作業支援装置13に備えた不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置23に送信(出力)する。
作業支援部130は、無線通信ネットワークおよび作業支援装置13に備えた不図示の通信部を介してサーバ装置23から送信(入力)されてきたそれぞれのデータや情報に基づいて、作業員を支援するためのそれぞれの機能を実現するための処理を行う。
サーバ装置23は、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、それぞれの作業支援装置13と通信し、作業支援装置13との間でデータや情報を送受信する。サーバ装置23は、データ保存部210と、点検情報処理部220と、行動判定部280とを含んで構成される。サーバ装置23は、第2の実施形態の作業支援システム2を構成する作業支援装置12に構成された点検情報処理部220と、行動判定部280とを含んだ構成である。
行動判定部280は、第2の実施形態の作業支援システム2において作業支援装置13内に構成された行動判定部280と同様に、現在位置情報と動き情報とに基づいて、作業支援装置13を携帯している作業員の行動を判定する。なお、作業支援システム3では、現在位置情報と動き情報とのそれぞれは、無線通信ネットワークを介して作業支援装置13に備えた位置情報検出部110または動き検出部270から送信(入力)されてくる。行動判定部280は、判定した作業支援装置13を携帯している作業員の行動を表す行動情報を、点検情報処理部220に出力する。
点検情報処理部220は、第2の実施形態の作業支援システム2において作業支援装置13内に構成された点検情報処理部220と同様に、作業員が作業支援装置13を携帯してプラント内で行う点検作業に関する情報を、不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置23との間で送受信する。
このような構成によって、作業支援システム3では、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、作業支援装置13とサーバ装置23との間で通信を行いながら、作業支援装置13を携帯してプラント内に配置されたそれぞれの設備の点検を行う作業員の行動を判定し、判定した作業員の行動に応じた支援を行う。このとき、作業支援システム3では、作業支援装置13を携帯してプラント内を順次移動しながらそれぞれの設備の点検を行う作業員の行動の判定を、サーバ装置23に備えた行動判定部280が行い、点検情報処理部220が、行動判定部280が判定した作業員の行動に対応するデータや情報を作業支援装置13に送信(出力)する。このため、作業支援システム3では、作業支援装置13が作業員の行動を判定する処理を行う必要がなく、作業支援装置13に要求される処理能力を軽減することができる。
なお、作業支援システム3においてサーバ装置23に備えたデータ保存部210に記憶される点検履歴データの構成は、図8に示した第2の実施形態の作業支援システム2においてサーバ装置20に備えたデータ保存部210に記憶される点検履歴データの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、作業支援システム3において作業員に提示する対応方法リストも、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、図5または図6に示した第1の実施形態の作業支援システム1において作業員に提示する対応方法リストの一例と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、作業支援システム3における日常的な点検作業の動作や、作業員に対応方法リストを提示する際の動作も、第2の実施形態の作業支援システム2における動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
上記に述べたように、第3の実施形態の作業支援システム3でも、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、作業員の行動を判定し、作業員が予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見したと判定した場合に、作業員の現在位置の周辺に配置された設備に対応するための過去の対応方法が示された対応方法リストを提示する。そして、第3の実施形態の作業支援システム3でも、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、トラブルに対応する作業員の作業を支援する。これにより、第3の実施形態の作業支援システム3でも、トラブルに対応するための資料の探索に要する時間の短縮、トラブルに対する早急な対応の実現、トラブルへの適切な対応方法での対応の実現など、第1の実施形態の作業支援システム1や第2の実施形態の作業支援システム2と同様の効果を得ることができる。
しかも、第3の実施形態の作業支援システム3では、作業員の行動を判定する処理を、サーバ装置23で行う。このため、第3の実施形態の作業支援システム3では、作業支援装置13に要求される処理能力を軽減することができる。さらに、第3の実施形態の作業支援システム3では、サーバ装置23に備えたより処理能力が高い演算処理装置が、作業員の行動を判定する処理を行うことが考えられるため、作業員の行動の判定を、より高精度に、より高精細に行うことができるという効果も期待することができる。
なお、第2の実施形態の作業支援システム2および第3の実施形態の作業支援システム3では、作業支援装置12または作業支援装置13に備えた動き検出部270が検出した、作業支援装置12または作業支援装置13の動きを表す動き情報に基づいて、行動判定部280が作業員の行動を判定する構成について説明した。しかし、作業員の行動を判定する構成は、上述した構成に限定されるものではなく、様々な構成が考えられる。例えば、作業員の行動を判定するためのセンサなどを作業員が装着し、装着したセンサが検出した情報に基づいて作業員の行動を判定する構成にすることもできる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図10は、本発明の第4の実施形態における作業支援システムの概略構成を示したブロック図である。作業支援システム4は、少なくとも1つの作業支援装置14と、サーバ装置20と、装着型センサ30とを含んで構成される。第4の実施形態の作業支援システム4も、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を支援する支援システムである。
作業支援システム4でも、作業支援装置14とサーバ装置20とが、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって接続されている。プラントにおいて作業員は、装着型センサ30を装着した状態で作業支援装置14を携帯してプラント内を巡回し、それぞれの設備において点検作業やトラブル対応の作業を行う。なお、作業支援システム4においても、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、それぞれの作業員が携帯する複数の作業支援装置14を含んで構成される。このため、作業支援システム4では、作業員が装着することによって作業支援装置14と組み合わせて利用される装着型センサ30も、複数含んで構成される。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、作業支援システム4は、図10に示したように、1つの作業支援装置14および装着型センサ30と、サーバ装置20とから構成されているものとして説明する。
図10に示した作業支援システム4は、図7に示した第2の実施形態の作業支援システム2を構成する作業支援装置12が、作業支援装置14に代わり、さらに、装着型センサ30を含んだ構成である。つまり、作業支援システム4を構成するサーバ装置20は、第2の実施形態の作業支援システム2を構成するサーバ装置20と同様である。従って、以下の説明においては、サーバ装置20に関する詳細な説明は省略する。
装着型センサ30は、プラント内に設置された設備において様々な作業を行う作業員に装着され、予め定めた時間間隔ごとに、作業員が動いたときの加速度や角速度などを検出することによって、作業員の動きを検出する。装着型センサ30は、例えば、四肢の稼働箇所など、作業員の行動を詳細に検出することができる位置に装着される、いわゆる、モーションセンサである。装着型センサ30は、例えば、加速度センサや角速度などで構成されている。装着型センサ30は、作業支援装置14に備えた動き検出部270よりも正確に作業員の動きを検出することを目的として作業支援システム4に備えられている。従って、装着型センサ30を構成するそれぞれのセンサは、作業支援装置14に備えた動き検出部270を構成するそれぞれのセンサよりもより高精度であることが望ましい。なお、装着型センサ30は、装着された作業員の心拍数や汗の量など、生体の情報を測定するセンサを含んで構成されてもよい。装着型センサ30は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの短距離無線通信によって作業支援装置14と接続されている。装着型センサ30は、検出した作業員の動き(測定した生体の情報を含んでもよい)を表す情報(以下、「詳細動き情報」という)を、作業支援装置14に出力する。
作業支援装置14は、位置情報検出部110と、点検情報処理部220と、作業支援部430と、データ取得部140と、表示部150と、ユーザーインターフェース部160と、動き検出部270と、行動判定部480とを含んで構成される。作業支援装置14は、第2の実施形態の作業支援システム2を構成する作業支援装置12に構成された作業支援部130が作業支援部430に、行動判定部280が行動判定部480にそれぞれ代わった構成である。なお、作業支援装置14には、装着型センサ30から送信(出力)されてきた詳細動き情報を受信(取得)して出力する不図示の短距離無線通信部も備えている。作業支援装置14に備えたその他の構成要素は、図7に示した第2の実施形態の作業支援システム2を構成する作業支援装置12に備えた構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、作業支援装置14の構成要素において、第2の実施形態の作業支援装置12に備えた構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与して、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略し、作業支援装置14において第2の実施形態の作業支援装置12と異なる構成要素および動作についてのみを説明する。
作業支援装置14は、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、プラント内に設置された設備において様々な作業を行う作業員によって携帯される携帯端末装置であり、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、プラント内の地図や、それぞれの設備において行う作業内容を作業員に提示するなどによって、作業員を支援するための機能を備えている。作業支援装置14に備えた構成要素や機能は、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯情報端末(タブレット端末)、携帯通信端末機器(スマートフォン)などによって実現される。以下の説明においては、第2の実施形態の作業支援装置12と同様に、作業支援装置14のそれぞれの構成要素が、携帯通信端末機器内に構成されているものとして説明する。
行動判定部480は、位置情報検出部110から入力された現在位置情報と、動き検出部270から入力された動き情報と、不図示の短距離無線通信部から入力された詳細動き情報とに基づいて、作業支援装置14を携帯している作業員の行動を判定する。行動判定部480は、判定した作業支援装置14を携帯している作業員の行動を表す行動情報を、点検情報処理部220に出力する。なお、行動判定部480は、行動情報を、例えば、作業支援装置14に備えた不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置20に送信してもよい。
なお、行動判定部480による作業員の行動の判定方法は、判定に用いる情報に詳細動き情報が追加されている以外は、第2の実施形態の作業支援システム2において作業支援装置13内に構成された行動判定部280と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、行動判定部480における作業員の行動の判定方法においても、既存の行動認識の技術を利用した様々な判定方法が考えられる。
点検情報処理部220は、第2の実施形態の作業支援装置12に構成された点検情報処理部220と同様に、作業員が作業支援装置14を携帯してプラント内で行う点検作業に関する情報を、不図示の通信部および無線通信ネットワークを介してサーバ装置20との間で送受信する。点検情報処理部220は、サーバ装置20から受信(取得)した点検作業に関する情報を、作業支援部430に出力する。また、点検情報処理部220は、作業支援部430から出力された作業結果やトラブル対応などの情報を、現在位置情報や行動情報に関連付けてサーバ装置20に送信(出力)する。
作業支援部430は、第2の実施形態の作業支援装置12に構成された作業支援部130と同様に、点検情報処理部220から入力されたそれぞれのデータや情報に基づいて、作業員を支援するためのそれぞれの機能を実現するための処理を行う。作業支援部430は、点検ルート選択部131と、点検作業記録処理部132と、機能選択部133と、行動判定動作選択部434とを含んで構成される。作業支援部430は、第2の実施形態の作業支援装置12に構成された作業支援部130に、さらに、行動判定動作選択部434を含んだ構成である。作業支援部430に備えたその他の構成要素は、第2の実施形態の作業支援装置12に構成された作業支援部130と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、作業支援部430の構成要素において、第2の実施形態の作業支援装置12に構成された作業支援部130に備えた構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与して、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略し、作業支援部430において第2の実施形態の作業支援装置12に構成された作業支援部130と異なる構成要素および動作についてのみを説明する。
行動判定動作選択部434は、行動判定部480によって作業員の動きを正確に検出するため、装着型センサ30を装着して作業員がプラント内を巡回する前に、予め定めた動きを作業員に要求することによって、作業員の動きの特性、つまり、作業員の行動の特性を行動判定部480に把握させる(学習させる)。行動判定動作選択部434が要求した動きを作業員が行うことによって、行動判定部480は、不図示の短距離無線通信部から入力された詳細動き情報に基づいて、作業支援装置14を携帯している作業員の行動を、より正確に判定することができるようになる。
このような構成によって、作業支援装置14は、装着型センサ30との間で短距離無線通信を行いながら、装着型センサ30を装着した状態で作業支援装置14を携帯してプラント内を順次移動しながらそれぞれの設備の点検を行う作業員の行動をより正確に判定し、判定した作業員の行動に応じた支援を行う。
ここで、第4の実施形態の作業支援システム4における作業員がプラント内を巡回する前の動作について説明する。上述したように、作業支援システム4では、作業員が装着型センサ30を装着してプラント内を巡回する前に、行動判定部480に作業員の行動の特性を把握させる(学習させる)。このとき、作業員は、以下の手順に従って、行動判定部480に作業員の行動の特性を把握させる(学習させる)。
(手順L1):作業員は、装着型センサ30を装着して作業支援装置14および装着型センサ30を起動し、作業支援装置14と装着型センサ30との間の短距離無線通信を確立させる。なお、作業支援装置14と装着型センサ30との間の短距離無線通信の確立方法は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの短距離無線通信の規格に準拠した方法であるため、詳細な説明は省略する。
(手順L2):作業支援装置14と装着型センサ30との間の短距離無線通信を確立した後、作業員は、ユーザーインターフェース部160を操作して、行動判定動作選択部434の動作を開始させる。この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、行動判定動作選択部434の動作を開始させることを表す情報を、作業支援部430に出力する。これにより、作業支援部430内の行動判定動作選択部434は、作業員に要求する予め定めた動きを表示部150に表示するための表示画面を生成して表示部150に出力する。これにより、行動判定動作選択部434が作業員に要求する予め定めた動きが表示部150に表示(提示)される。なお、作業員に要求する予め定めた動きは、作業員が点検作業を行っていると判定するための動きや、作業員が予期せぬ設備のトラブルを発見したことを判定するための動きなど、作業員の行動をより正確に判定するために必要な動きが考えられる。また、作業員が意図的に対応方法リストの提示を要求する際の動きなども考えられる。しかし、本発明においては、行動判定動作選択部434が作業員に要求する動き、つまり、行動判定部480に把握させる(学習させる)作業員の行動の特性に関しては、特に規定しない。
(手順L3):作業員は、表示部150に表示された要求する予め定めた動きを行う。この動きを検出した装着型センサ30は、検出した作業員の動きを表す詳細動き情報を、作業支援装置14に出力する。これにより、行動判定部480は、不図示の短距離無線通信部から入力された詳細動き情報に基づいて判定した作業員の行動を表す行動情報と共に、判定した作業員の行動の良否確認を要求する情報を、点検情報処理部220を介して作業支援部430に出力する。これにより、行動判定動作選択部434は、今回の動きを判定した行動情報と良否確認とを表示部150に表示するための表示画面を生成し、表示部150に表示(提示)させる。なお、今回判定した行動情報の良否確認をする方法としては、例えば、今回判定した行動情報が表す動きを変更するか否かを作業員が選択するための表示画面を生成して表示部150に表示(提示)させる方法などが考えられるが、本発明においては、行動情報の良否確認をする方法に関しては、特に規定しない。
(手順L4):作業員は、表示部150に表示された今回判定した行動情報を確認し、行動情報を確認した結果、つまり、行動情報の良否を表す情報を、ユーザーインターフェース部160を操作して作業支援装置14に入力する。この操作を受け付けたユーザーインターフェース部160は、入力された行動情報の良否を表す情報を、作業支援部430に出力する。行動判定動作選択部434は、入力された行動情報の良否を表す情報が、「良」を表す情報である場合には、詳細動き情報に基づいて今回行った作業員の行動の判定方法を採用することを表す情報を、点検情報処理部220を介して行動判定部480に出力する。これにより、行動判定部480は、以降に不図示の短距離無線通信部から入力された詳細動き情報に基づいた作業員の行動の判定において、採用された判定方法を用いる。
一方、行動判定動作選択部434は、入力された行動情報の良否を表す情報が、「否」を表す情報である場合には、詳細動き情報に基づいて今回行った作業員の行動の判定方法を採用しないことを表す情報を、点検情報処理部220を介して行動判定部480に出力する。そして、行動判定動作選択部434は、作業員に要求する予め定めた動きを表示部150に表示するための表示画面を再度生成して表示部150に表示(提示)させる。なお、行動判定動作選択部434は、作業員に要求する別の予め定めた動きを表示部150に表示するための表示画面を生成して表示部150に表示(提示)させてもよい。
(手順L5):作業員は、手順L3と同様に、表示部150に表示された要求する予め定めた動きを行う。
以降、作業員は、手順L3〜手順L5を、「良」と判定する行動情報が確認されるまで繰り返す。なお、作業員は、行動判定動作選択部434の動作を開始させる操作以外の手順L2〜手順L5を複数回繰り返し、「良」と判定する行動情報を複数確認することによって、行動判定部480が作業員の行動の判定する際に採用する判定方法を複数種類にしてもよい。つまり、行動判定部480に作業員の行動の複数の特性を把握させてもよい(学習させてもよい)。
このような手順によって作業支援システム4では、装着型センサ30を用いて作業員の行動の特性を把握(学習)させた後、作業員が作業支援装置14に表示された点検ルートに従ってそれぞれの作業現場(点検対象の設備)に出向いて、それぞれの設備に対して作業を行う。これにより、作業支援システム4では、作業員が予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見した際の行動をより正確に判定し、作業員が対応方法リストの提示を要求する操作を意識しなくても、予期せぬトラブルを発見したと判定した設備に対応する対応方法リストを提示することができる。
なお、作業支援システム4においてサーバ装置20に備えたデータ保存部210に記憶される点検履歴データの構成は、図8に示した第2の実施形態の作業支援システム2においてサーバ装置20に備えたデータ保存部210に記憶される点検履歴データの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、作業支援システム4において作業員に提示する対応方法リストも、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、図5または図6に示した第1の実施形態の作業支援システム1において作業員に提示する対応方法リストの一例と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、作業支援システム4における日常的な点検作業の動作や、作業員に対応方法リストを提示する際の動作も、第2の実施形態の作業支援システム2における動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
上記に述べたように、第4の実施形態の作業支援システム4でも、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、作業員の行動を判定し、作業員が予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見したと判定した場合に、作業員の現在位置の周辺に配置された設備に対応するための過去の対応方法が示された対応方法リストを提示する。そして、第4の実施形態の作業支援システム4でも、第2の実施形態の作業支援システム2と同様に、トラブルに対応する作業員の作業を支援する。これにより、第4の実施形態の作業支援システム4でも、トラブルに対応するための資料の探索に要する時間の短縮、トラブルに対する早急な対応の実現、トラブルへの適切な対応方法での対応の実現など、第1の実施形態の作業支援システム1、第2の実施形態の作業支援システム2、および第3の実施形態の作業支援システム3と同様の効果を得ることができる。
しかも、第4の実施形態の作業支援システム4では、作業支援装置14に備えた動き検出部270に加えて、装着型センサ30を利用して作業員の行動を判定する。これにより、第4の実施形態の作業支援システム4では、第2の実施形態の作業支援システム2よりも正確に(より高精度に)作業員の行動を判定し、予期せぬトラブルを発見したと判定した設備に対応する対応方法リストを提示することができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、作業支援システムが適用されたプラントの作業員が作業支援装置を携帯してプラント内を巡回しているときに予期せぬ設備の異常などのトラブルを発見した場合、作業支援装置の現在位置、つまり、作業員の現在位置の周辺に配置された設備において対応した過去の対応方法が示された対応方法リストを提示する。これにより、本発明を実施するための形態では、作業員が、発見した予期せぬ設備のトラブルに対応するために事務所などにおいて、設備のトラブルに対応するための情報や資料を収集するために探索する作業に要する時間を短縮することができる。また、本発明を実施するための形態では、発見した設備のトラブルに対応するための対応方法を、過去の対応方法と同じ対応方法に決定することができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、作業支援システムが適用されたプラントにおいて、予期せぬ設備のトラブルに対して早急な対応を行うことができると共に、過去の対応と同様の品質で予期せぬ設備のトラブルに対応することができる。
また、本発明を実施するための形態では、提示した対応方法リストに示された対応方法が選択された場合、選択された対応方法を実行する際に必要な機能を起動することによって、トラブルに対応する作業員の作業を支援する。また、本発明を実施するための形態では、提示した対応方法リストによって、作業員が設備のトラブルに対応する際の作業を誘導することもできる。これにより、本発明を実施するための形態では、作業員が誤った対応方法でトラブルに対応してしまうことを回避することができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、作業支援システムが適用されたプラントにおいて、発見された設備のトラブルに対して適切な方法で、トラブル対応の作業を行うことができる。
また、本発明を実施するための形態では、作業員が予期せぬ設備のトラブルを発見した状態を、作業員の行動に基づいて作業支援システムが判定する。これにより、本発明を実施するための形態では、作業員が作業支援装置への対応方法リストの提示を要求するための操作方法を意識しなくても、予期せぬ設備のトラブルを発見した設備に対応する対応方法リストを提示することができる。
また、本発明を実施するための形態では、作業員の行動に基づいた予期せぬ設備のトラブルを発見した状態の判定を、作業支援装置のみではなく、作業支援システムを構成するサーバ装置で行う構成にすることもできる。これにより、本発明を実施するための形態では、作業支援装置に要求される作業員の行動の判定に関する処理能力を軽減することができる。この場合、本発明を実施するための形態では、作業員の行動の判定をサーバ装置に備えた処理能力が高い演算処理装置が行うことが想定され、より高精度に、より高精細に行うことができるという効果を期待することができる。
また、本発明を実施するための形態では、作業員の行動に基づいた予期せぬ設備のトラブルを発見した状態の判定を、作業支援装置と組み合わせることができる装着型センサを利用する構成にすることもできる。これにより、本発明を実施するための形態では、よりも正確に(より高精度に)作業員の行動を判定して、予期せぬ設備のトラブルを発見した設備に対応する対応方法リストを提示することができる。
なお、例えば、図1に示した作業支援システム1を構成する作業支援装置10内の各構成要素など、本実施形態における作業支援システムを構成する各構成要素による処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の作業支援システムに係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。