<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における巡回点検システムの概略構成を示したブロック図である。巡回点検システム1は、点検データベース10と、点検サーバ装置20と、点検端末装置30と、データ収集機器40と、少なくとも1つの計測機器41とを含んで構成される。図1には、n個(n=自然数、正の整数)の計測機器41(計測機器41a〜計測機器41n)を含んで構成される巡回点検システム1の構成を示している。
巡回点検システム1は、作業員FOがプラント内を巡回し、プラント内に配置されたそれぞれの設備に対する点検作業、測定作業、保守(メンテナンス)作業や、報告書の作成作業などの様々な作業(以下、この一連の作業を「巡回点検」という)を行うためのシステムである。なお、プラントとしては、石油の精製や化学製品の生産を行う工業プラントの他、ガス田や油田などの井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光や風力などの環境発電を管理制御するプラント、上下水やダムなどを管理制御するプラントなどが含まれる。
巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて作業員FOは、点検端末装置30を携帯し、予め点検サーバ装置20から取得した点検ルートに従ってプラント内に設置されたチェックポイントを巡回することによって、巡回点検におけるそれぞれの作業を行う。巡回点検システム1では、それぞれのチェックポイントごとにデータ収集機器40が設置されている。それぞれのデータ収集機器40には、チェックポイントとして設置された位置の周辺の予め定めた範囲(エリア)に配置されている設備が属している。ここで、それぞれのチェックポイント(データ収集機器40)に属する設備には、計測機器41が予め定められた位置に設置されている設備が含まれている。言い換えれば、巡回点検システム1では、チェックポイントとして設置されたデータ収集機器40に、周辺の予め定めた範囲(エリア)内に配置されている設備に予め設置されている計測機器41が属している。
作業員FOは、それぞれのチェックポイントにおいて点検端末装置30を操作し、現在の位置のチェックポイントに対応する点検簿を点検サーバ装置20から取得する。このとき、点検端末装置30には、それぞれのチェックポイントであるデータ収集機器40からも、データ収集機器40に属している計測機器41のデータ(計測値)が取得される。これにより、巡回点検システム1では、それぞれのチェックポイントに対応する点検簿に示された点検リストに、対応する計測機器41の計測値が反映される。
そして、作業員FOは、計測機器41の計測値が反映された点検リスト(点検簿)が、例えば、事務所などに待機している管理者Mによって承認された後、次のチェックポイントに移動する。
このように、巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて作業員FOは、点検端末装置30を携帯しながらチェックポイントに出向いて対応する点検簿を点検サーバ装置20から取得し、チェックポイントの周辺の予め定めた範囲(エリア)に配置されている設備の計測値が反映された点検リスト(点検簿)に対して管理者Mの承認を得ながら、プラント内に設置されたそれぞれのチェックポイントを巡回する。これにより、巡回点検システム1が構築されたプラントでは、プラント内に配置されたそれぞれの設備に対する一連の巡回点検の作業を行うことができる。
なお、一般的に、プラントには複数の作業員FOが所属している。そして、それぞれの作業員FOは、各自が担当するプラント内の範囲に設置されたチェックポイントを、点検端末装置30を携帯しながら巡回することによって、それぞれの巡回点検の作業を行う。このため、巡回点検システム1は、それぞれの作業員FOが携帯する複数の点検端末装置30を含んで構成されてもよい。また、プラントにおいては、複数のチェックポイントが設置されていることが考えられる。このため、巡回点検システム1は、それぞれのチェックポイントに設置された複数のデータ収集機器40を含んで構成されてもよい。なお、図1には、点検データベース10、点検サーバ装置20、1つの点検端末装置30、n個の計測機器41a〜計測機器41nが属している1つのデータ収集機器40から構成されている巡回点検システム1を示している。
点検サーバ装置20は、巡回点検システム1が構築されたプラント内に配置された設備に関する様々なデータや情報を管理するサーバ装置である。点検サーバ装置20は、例えば、プラント内に配置されたそれぞれの設備の運用(稼働)を管理する事務所などに設置される。
点検サーバ装置20は、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、点検端末装置30と通信し、点検端末装置30との間でデータや情報を送受信する。より具体的には、点検サーバ装置20は、点検端末装置30からの要求に応じて、作業員FOが巡回点検を行う際の点検ルートや、作業員FOが到着したチェックポイントに対応する点検簿のデータなどを点検データベース10から取得し、取得したデータを点検端末装置30に送信(出力)する。また、点検サーバ装置20は、点検端末装置30から送信されてきた、点検作業、測定作業、保守作業などの作業の結果や、これらの結果が反映された点検簿のデータや情報、つまり、作業員FOが行っている巡回点検の作業の結果を受信し、受信したデータや情報を点検データベース10に記憶させて管理する。
なお、点検サーバ装置20は、インターネット上にデータを保有して利用する、いわゆる、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置であってもよい。
点検データベース10は、巡回点検システム1が構築されたプラント内に配置されたそれぞれの設備に対して行う巡回点検の作業に関する様々なデータを記憶する記憶装置である。点検データベース10も、点検サーバ装置20と同様に、例えば、事務所などに設置され、点検サーバ装置20との間でデータのやり取りを行う。
点検データベース10は、巡回点検を行う際に巡回する経路が示された点検ルートのデータ、プラント内に配置されたそれぞれの設備に対して行う点検作業、測定作業、保守作業(トラブル対応の作業も含む)などの様々な作業の内容(項目)を表した点検リストなどを点検簿のデータとしてデータベース化し、記憶している。なお、点検データベース10が記憶している点検ルートには、プラント内に設置されたチェックポイントを移動する順番なども示されている。また、点検データベース10が記憶している点検簿は、それぞれのチェックポイントに属する設備に対して行う作業の内容(項目)を表した点検リストをまとめて、プラント内に設置されたそれぞれのチェックポイントに紐づけられている。
また、点検データベース10は、巡回点検システム1が構築されたプラント内に配置されたそれぞれの設備に対して行われた点検作業、測定作業、保守作業などの作業の結果がまとめられた報告書のデータなどを、データベース化して記憶している。
なお、点検データベース10は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの種々のメモリや、HDD(Hard disk drive)などの記憶装置で構成される。なお、点検データベース10が記憶するデータや情報は、上述したような点検ルートや点検簿のデータに限定されるものではなく、巡回点検システム1において用いる種々のデータや情報が含まれる。例えば、点検データベース10は、巡回点検を行う際に点検サーバ装置20や点検端末装置30が実行する点検プログラムや点検ソフトウェアを記憶しておいてもよい。
なお、点検サーバ装置20が、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置である場合、点検データベース10は、クラウドコンピューティングシステムにおいてクラウドサーバ装置が利用するインターネット上のデータを保有する記憶装置であってもよい。
点検端末装置30は、巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて作業員FOが巡回点検の作業を行う際に使用する巡回点検装置である。点検端末装置30は、巡回点検を行う際に、作業員FOが携帯してプラント内の担当する範囲に設置されたチェックポイントを巡回しながら使用されるため、携帯端末装置として構成されている。巡回点検システム1では、点検端末装置30と点検サーバ装置20とが、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって接続され、点検端末装置30は、点検サーバ装置20のクライアントとして動作する。つまり、巡回点検システム1では、点検端末装置30と点検サーバ装置20とが、クライアント−サーバ型のシステムとして構成されている。
なお、点検端末装置30は、プラント内において専用に使用される携帯端末装置であってもよい。また、点検端末装置30は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)や、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)の機能を備えた、いわゆる、タブレット端末などの携帯端末機器であってもよい。また、点検端末装置30は、既存の移動体通信網を利用した携帯電話の機能と、携帯情報端末の機能とを融合させた、いわゆる、スマートフォンなどの携帯通信端末機器であってもよい。
以下の説明においては、点検端末装置30が、文字や画像を表示する表示部と、作業員FOの操作を受け付けるユーザーインターフェース部とを備え、この表示部とユーザーインターフェース部とが組み合わされたタッチパネルとして搭載されている携帯端末装置として構成されているものとして説明する。
点検端末装置30は、巡回点検を行う際の点検ルートや、それぞれのチェックポイントに対応する点検簿などを、作業員FOに提示する機能を備えている。より具体的には、点検端末装置30は、巡回点検を開始する前の作業員FOによる操作に応じて、チェックポイントを巡回する順番が示された点検ルートを点検サーバ装置20から取得し、取得した点検ルートを作業員FOに提示する機能を備えている。この機能によって、作業員FOは、今回の巡回点検において出向くチェックポイントの順番を容易に確認することができる。
また、点検端末装置30は、チェックポイントに到着したときの作業員FOによる操作に応じて、到着した現在の位置のチェックポイントに紐づけられた点検簿のデータを点検サーバ装置20から取得し、取得した点検簿や点検簿に示された点検リストを作業員FOに提示する機能を備えている。この機能によって、作業員FOは、点検簿によって提示された点検リストから、現在の位置のチェックポイントに属する設備に対して行う点検作業、測定作業、保守作業などの作業(以下、まとめて「点検作業」という)の内容を容易に確認することができ、点検端末装置30を操作することによって、提示された点検リストに従って行った点検作業の結果(以下、「点検結果」という)を容易に入力することができる。
また、点検端末装置30は、データ収集機器40が収集した計測機器41のデータ(計測値)を取得し、取得した計測機器41の計測値を、点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に反映させる機能を備えている。より具体的には、点検端末装置30は、チェックポイントに到着した作業員FOによる操作に応じて、現在の位置のチェックポイントに設置されているデータ収集機器40から、このデータ収集機器40に属している計測機器41が収集したデータ(計測値)を受信(取得)し、取得した計測機器41の計測値を、すでに取得している点検簿に示された点検リスト内の対応する点検項目に入力(反映)して作業員FOに提示する機能を備えている。この機能によって、作業員FOは、現在の位置のチェックポイントに属する設備に対して行う点検作業の中から、点検簿に示された点検リストにおいて計測値が入力されていない点検作業の項目、つまり、これから実施する必要がある点検作業の内容を容易に確認することができる。そして、作業員FOは、実施する必要がある点検作業のみを行って、点検結果を点検端末装置30に入力することができる。
ここで、巡回点検システム1においては、上述したように、それぞれのチェックポイントに設置されているデータ収集機器40に属している計測機器41の計測値が入力(反映)された点検リスト(点検簿)に対して管理者Mの承認を得ながら、それぞれのチェックポイントを巡回することによって、一連の巡回点検の作業を行う。以下の説明においては、それぞれのチェックポイントにおいて点検サーバ装置20から取得した点検簿と、計測機器41の計測値や作業員FOが実施した点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿とを区別して説明する。そして、以下の説明においては、それぞれのチェックポイントに作業員FOが到着したときに点検端末装置30が点検サーバ装置20から取得した、それぞれのチェックポイントに紐づけられた点検簿(点検リスト)、つまり、計測機器41の計測値や作業員FOによる点検結果が反映される前の点検簿を、「点検簿」という。また、以下の説明においては、それぞれのチェックポイントに設置されているデータ収集機器40に属している計測機器41の計測値や、現在の位置のチェックポイントにおいて作業員FOが実施した点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿(点検リスト)を、「報告書」という。
また、点検端末装置30は、報告書(計測機器41の計測値や、作業員FOが実施した点検作業の点検結果が入力された点検簿(点検リスト))を、管理者Mに提示する機能を備えている。より具体的には、点検端末装置30は、現在の位置のチェックポイントにおける点検作業を終了したときの作業員FOによる操作に応じて、報告書と、この報告書の承認依頼を、点検サーバ装置20に送信(出力)する機能を備えている。この機能によって、作業員FOは、今回の巡回点検において出向いた現在の位置のチェックポイントにおいて行った点検作業の点検結果を、すぐに報告書として正確に、かつ、容易に報告し、管理者Mに対して報告書の承認を依頼することができる。そして、管理者Mは、点検サーバ装置20によって、点検端末装置30から報告書として送信されてきた、計測機器41の計測値や作業員FOが実施した点検作業の点検結果が入力された点検リスト(点検簿)、つまり、作業員FOが実施した点検作業の結果をすぐに確認して、点検作業の結果の承認、再点検の指示、新たに行う必要がある保守作業などの作業の指示などを行うことができる。
また、点検端末装置30は、送信(出力)した報告書に対する判定結果を作業員FOに提示する機能を備えている。より具体的には、点検端末装置30は、管理者Mによる報告書の承認結果や、新たに行う必要がある作業の指示の情報が点検サーバ装置20から送信されてきたときに、送信されてきた情報を作業員FOに提示する機能を備えている。この機能によって、作業員FOは、提示した報告書が承認されたか否か、再度点検作業を行う必要があるか否か、新たな点検作業を実施する必要があるか否かを、容易に確認することができる。作業員FOは、提示した報告書が承認された場合には、次のチェックポイントに向かう。また、作業員FOは、提示した報告書が承認されなかった場合には、点検結果が承認されなかった点検作業を再度行い、新たな点検作業が必要になった場合には、指示された新たな点検作業を行う。
このように、点検端末装置30は、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、点検サーバ装置20と通信し、点検サーバ装置20との間でデータや情報を送受信する。また、点検端末装置30は、それぞれのチェックポイントとして設置されているデータ収集機器40から、このデータ収集機器40に属している計測機器41の計測値を取得し、点検結果として点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に反映させる。
なお、点検サーバ装置20が、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置である場合、点検端末装置30は、例えば、ウェブサービス(Webサービス)などの公衆のネットワーク通信網であるインターネットによって点検サーバ装置20と接続される構成であってもよい。この場合、巡回点検システム1は、点検端末装置30と点検サーバ装置20とによるウェブ(Web)アプリケーション型のシステムとして構成されることになる。
計測機器41は、プラント内に配置された設備の予め定められた位置に設置され、設備の動作状態を計測するセンサ機器である。計測機器41は、設置されている位置において、設備が稼働しているときの動作状態(例えば、圧力、温度、流量など)を計測し、計測した設備の動作状態を表す計測値と、計測機器41自体を識別するための識別情報(識別ID、以下、「機器ID」という)とを紐づけて、データ収集機器40に出力する。なお、計測機器41は、プラント内に配置されたそれぞれの設備が稼働している状態の監視や設備の運転の制御を行うことを目的として設置された、フィールド機器と呼ばれる現場機器(測定器や操作器)であってもよい。この場合、計測機器41としての現場機器は、監視している設備が稼働している状態を表す計測値や、制御している設備の運転の状態を表す制御値と、識別情報とを紐づけて、データ収集機器40に出力する。
本発明においては、1つの設備に設置される計測機器41の数や、1つの計測機器41が計測する設備の動作状態に関しては、特に規定しない。つまり、計測機器41は、それぞれの設備に対して1つ設置されてもよいが、1つの設備に対して複数設置されてもよい。また、計測機器41は、設備が稼働しているときの複数の動作状態(例えば、圧力と温度など)を計測することができる構成であってもよい。計測機器41が設置される設備が、例えば、プラント内に配置された設備としての回転機である場合、回転機の振動を計測する計測機器41aと、回転機の温度を計測する計測機器41bとが、1つの回転機に設置されてもよい。また、例えば、計測機器41aが、回転機の振動と温度とを計測してもよい。
また、本発明においては、計測機器41がデータ収集機器40に出力する計測値と識別情報のとのデータの形式に関しては、アナログ信号、デジタル信号を問わず、特に規定しない。また、本発明においては、計測機器41が計測値と識別情報とをデータ収集機器40に出力する際の出力方法に関しても、有線、無線を問わず、特に規定しない。
データ収集機器40は、巡回点検システム1におけるチェックポイントとしてプラント内の予め定められた位置に設置されたゲートウェイ装置である。データ収集機器40は、設置されている位置の周辺の予め定めた範囲(エリア)に配置されている設備に予め設置されている対応する計測機器41から出力されたデータ、つまり、識別情報が紐づけられた計測値(以下、単に「計測値」という)を収集する。また、データ収集機器40は、点検端末装置30からの要求に応じて、プラント内に設置されたチェックポイントとして識別するための識別情報(識別ID、以下、「点検ID」という)や、対応する計測機器41から収集したデータ(計測値)を、点検端末装置30に出力する。
本発明においては、データ収集機器40がチェックポイントとして識別するための識別情報や、対応する計測機器41から収集したデータ(計測値)を点検端末装置30に出力する際の出力方法、つまり、通信規格に関しては、有線、無線を問わず、特に規定しない。データ収集機器40と点検端末装置30とが、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの短距離無線通信規格や、WiFi(登録商標)などの無線通信規格など、無線通信によって信号の送受信を行う機能を備えている場合、データ収集機器40は、無線通信によってデータや情報の送受信を行うことができる範囲(通信可能範囲)内に存在する点検端末装置30から無線通信によって送信されてきた要求に応じて、識別情報や収集したデータ(計測値)を、無線通信によって送信(出力)する。また、データ収集機器40と点検端末装置30とが、例えば、USB(Universal Serial Bus(登録商標))などの有線インタフェースによって接続される機能を備えている場合、データ収集機器40は、接続された点検端末装置30からの要求に応じて、識別情報や収集したデータ(計測値)を出力する。また、データ収集機器40と点検端末装置30とが、例えば、NFC(Near Field radio Communication)などの近距離無線通信によってデータや情報の送受信を行う機能を備えている場合、データ収集機器40は、点検端末装置30との間で近距離無線通信を行って、点検端末装置30から要求された識別情報や収集したデータ(計測値)を出力する。
なお、データ収集機器40は、例えば、ISA100.11aやWireless HART(登録商標)など、プラント内に構築される種々の工業用の無線通信規格に準拠した無線通信ネットワーク内に含まれるゲートウェイの機能を備えている構成であってもよい。この場合、データ収集機器40と点検端末装置30とは、プラント内に構築された無線通信ネットワークによってデータや情報の送受信を行ってもよい。
次に、本発明の第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検サーバ装置20と点検端末装置30とのそれぞれの構成について説明する。図2は、本第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検サーバ装置20と点検端末装置30との概略構成を示したブロック図である。なお、図2においては、巡回点検システム1を構成する点検データベース10とデータ収集機器40とも併せて示している。点検サーバ装置20は、制御部201と、クライアント通信部202と、データインターフェース部203と、表示部204と、作業承認部205とを含んで構成される。また、点検端末装置30は、制御部301と、サーバ通信部302と、点検簿データ部303と、機器通信部304と、表示部305と、作業承認依頼部306とを含んで構成される。
まず、点検端末装置30に備えたそれぞれの構成要素について説明する。
制御部301は、点検端末装置30の全体の動作を制御する。より具体的には、制御部301は、点検端末装置30に備えたそれぞれの構成要素、つまり、サーバ通信部302、点検簿データ部303、機器通信部304、表示部305、および作業承認依頼部306の動作を制御する。また、制御部301は、作業員FOが点検作業を行う際に使用する、点検端末装置30に備えた不図示の点検用の構成要素の動作を制御する。
サーバ通信部302は、例えば、作業員FOによる点検端末装置30の操作に応じて制御部301から出力された通信の制御に従って、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって、点検サーバ装置20に備えたクライアント通信部202との間で通信を行う通信機能部である。
より具体的には、サーバ通信部302は、巡回点検を開始する前の作業員FOによる点検端末装置30の操作に応じて制御部301から出力された点検ルートを取得する指示に従って、点検ルートの要求をクライアント通信部202に送信する。そして、サーバ通信部302は、点検ルートの要求に応じてクライアント通信部202から送信されてきた点検ルートのデータを受信して制御部301に出力する。これにより、制御部301は、サーバ通信部302から出力された点検ルートのデータを点検簿データ部303に出力して記憶させる。また、サーバ通信部302は、チェックポイントに到着したときの作業員FOによる点検端末装置30の操作に応じて制御部301から出力された点検簿を取得する指示に従って、点検簿の要求をクライアント通信部202に送信する。そして、サーバ通信部302は、点検簿の要求に応じてクライアント通信部202から送信されてきた点検簿のデータを受信して制御部301に出力する。これにより、制御部301は、サーバ通信部302から出力された点検簿のデータを点検簿データ部303に出力して記憶させる。さらに、サーバ通信部302は、現在の位置のチェックポイントにおける点検作業を終了して報告書の承認を管理者Mに依頼するときの作業員FOによる点検端末装置30の操作に応じて制御部301から出力された承認依頼を要求する指示に従って、報告書のデータと承認依頼の要求とをクライアント通信部202に送信する。そして、サーバ通信部302は、承認依頼の要求に応じてクライアント通信部202から送信されてきた承認結果や、新たに行う点検作業の指示の情報を受信して制御部301に出力する。これにより、制御部301は、サーバ通信部302から出力された承認結果や新たな点検作業の指示の情報を表示部305に出力して表示させる。
機器通信部304は、例えば、作業員FOによる点検端末装置30の操作に応じて制御部301から出力された通信の制御に従って、データ収集機器40との間で通信を行う通信機能部である。
より具体的には、機器通信部304は、チェックポイントに到着したときの作業員FOによる点検端末装置30の操作に応じて制御部301から出力された計測機器41の計測値を取得する指示に従って、収集した計測値のデータの要求をデータ収集機器40に送信する。そして、機器通信部304は、計測値のデータの要求に応じてデータ収集機器40から送信されてきた計測値のデータを受信して制御部301に出力する。これにより、制御部301は、機器通信部304から出力された計測値のデータを、点検簿データ部303に記憶している点検簿のデータに追加して、つまり、点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に計測値を反映させて、点検簿データ部303に記憶している点検簿を更新させる。
点検簿データ部303は、制御部301からの制御に応じて、制御部301から出力されたデータを記憶、または記憶しているデータを制御部301に出力するデータ記憶装置である。より具体的には、点検簿データ部303は、制御部301からのデータ書き込みの制御に応じて、制御部301から出力された点検ルートや、点検簿のデータを記憶する。また、点検簿データ部303は、制御部301からのデータ更新の制御に応じて、記憶している点検簿のデータに含まれる点検結果のデータ領域(点検簿に示された点検リストにおいて制御部301から指定された点検作業の項目の点検結果のデータ領域)に、制御部301から出力された計測機器41の計測値のデータや、作業員FOが実施した点検作業の点検結果のデータを記憶(更新)する。また、点検簿データ部303は、制御部301からのデータ読み出しの制御に応じて、記憶しているデータ(点検ルートのデータや点検簿のデータなど)を、制御部301に出力する。
なお、点検簿データ部303は、制御部301からの制御に応じて、制御部301から出力されたデータを一時的に記憶(保持)する、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの構成であってもよい。
表示部305は、制御部301から出力されたデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、点検端末装置30を携帯している作業員FOに様々な情報を提示する表示部である。より具体的には、表示部305は、制御部301から出力された点検ルートや点検簿のデータに応じた表示画面を生成して作業員FOに提示する。また、表示部305は、制御部301から出力された承認結果や新たな点検作業の指示の情報に応じた表示画面を生成して作業員FOに提示する。表示部305は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示デバイスを含んで構成される。
作業承認依頼部306は、作業員FOによる報告書の承認依頼の要求の操作を受け付ける、例えば、ボタンやスイッチ類などを含んで構成されるユーザーインターフェースである。作業承認依頼部306は、作業員FOによる報告書の承認依頼の要求の操作を受け付けると、報告書の承認依頼の要求を受け付けたことを表す情報を制御部301に出力する。
なお、点検端末装置30には、作業員FOによって様々な操作が行われる。より具体的には、点検端末装置30には、作業員FOによる報告書の承認依頼を要求する操作のみではなく、巡回点検を開始する前に点検ルートの取得を指示する操作、チェックポイントに到着したときに点検簿の取得を指示する操作、チェックポイントに属する設備に対して点検作業を行う際に不図示の点検用の構成要素の動作を指示する操作、実施した点検作業の点検結果を入力する操作など、作業員FOによって様々な操作が行われる。以下の説明においては、作業員FOによって行われる報告書の承認依頼を要求する操作以外の操作も、作業承認依頼部306が受け付ける構成であるものとして説明する。なお、点検端末装置30は、文字や画像を表示する表示部と、作業員FOの操作を受け付けるユーザーインターフェース部とが組み合わされたタッチパネルが搭載されている携帯端末装置の構成であるものとした。従って、点検端末装置30において作業承認依頼部306は、表示部305内に備えられる押圧センサによって構成され、表示部305と組み合わされたタッチパネルとして構成されている。このため、作業承認依頼部306は、作業員FOによるタップやフリックなどの各種のタッチ操作を検出し、検出した操作から、作業員FOによる点検端末装置30への種々の操作を判定して受け付ける。そして、作業承認依頼部306は、受け付けた作業員FOの操作を表す情報、つまり、上述したような点検端末装置30への種々の要求や指示の操作を表す情報を、制御部301に出力する。例えば、作業承認依頼部306は、検出した作業員FOによるタッチ操作から、作業員FOによる報告書の承認依頼を要求する操作を判定する。そして、作業承認依頼部306は、作業員FOの操作が、報告書の承認依頼を要求する操作であると判定した場合、報告書の承認依頼の要求を受け付けたことを表す情報を制御部301に出力する。なお、作業承認依頼部306は、表示部305と組み合わされたタッチパネルとしての構成に限定されるものではない。
続いて、点検サーバ装置20に備えたそれぞれの構成要素について説明する。
制御部201は、点検サーバ装置20の全体の動作を制御する。より具体的には、制御部201は、点検サーバ装置20に備えたそれぞれの構成要素、つまり、クライアント通信部202、データインターフェース部203、表示部204、および作業承認部205の動作を制御する。
クライアント通信部202は、制御部301から出力された通信の制御に従って、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって、点検端末装置30に備えたサーバ通信部302との間で通信を行う通信機能部である。
より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた点検ルートの要求を受信すると、点検ルートが要求されたことを表す情報を制御部201に出力する。これにより、制御部201は、要求された点検ルートのデータを、データインターフェース部203を介して点検データベース10から読み出し、読み出した点検ルートのデータをクライアント通信部202に出力する。クライアント通信部202は、制御部201から出力された点検ルートのデータを、サーバ通信部302に送信する。また、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた点検簿の要求を受信すると、点検簿が要求されたことを表す情報を制御部201に出力する。これにより、制御部201は、要求された点検簿のデータを、データインターフェース部203を介して点検データベース10から読み出し、読み出した点検簿のデータをクライアント通信部202に出力する。クライアント通信部202は、制御部201から出力された点検簿のデータを、サーバ通信部302に送信する。さらに、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた報告書のデータと承認依頼の要求を受信すると、報告書のデータと、承認依頼の要求がされたことを表す情報を制御部201に出力する。これにより、制御部201は、クライアント通信部202から出力された報告書のデータを、データインターフェース部203を介して点検データベース10に出力して記憶(保存)させると共に、表示部204に出力して表示させる。そして、制御部201は、作業承認部205から出力された承認結果や、新たに行う点検作業の指示の情報をクライアント通信部202に出力する。クライアント通信部202は、制御部201から出力された承認結果や、新たに行う点検作業の指示の情報を、サーバ通信部302に送信する。
データインターフェース部203は、制御部201からの制御に応じて、制御部201から出力されたデータの点検データベース10への書き込み(保存)、または点検データベース10に記憶(保存)しているデータの読み出しを制御する記憶装置制御部である。より具体的には、データインターフェース部203は、制御部201からのデータ書き込みの制御に応じて、制御部201から出力された報告書のデータを、点検データベース10に書き込み、保存させる。また、データインターフェース部203は、制御部201からのデータ読み出しの制御に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検ルートや点検簿のデータを読み出し、読み出した点検ルートや点検簿のデータを制御部201に出力する。
表示部204は、制御部201から出力されたデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、点検サーバ装置20を操作する管理者Mに様々な情報を提示する表示部である。より具体的には、表示部204は、制御部201から出力された報告書のデータに応じた表示画面を生成して管理者Mに提示する。表示部204は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示デバイスを含んで構成される。なお、表示部204は、点検サーバ装置20に接続された表示装置であってもよい。
作業承認部205は、管理者Mによる報告書の承認の操作を受け付ける、例えば、キーボードなどの入力デバイスや、マウスなどのポインティングデバイスなどを含んで構成されるユーザーインターフェースである。作業承認部205は、管理者Mの操作による報告書に対する承認や非承認などの承認結果の操作を受け付けると、受け付けた承認結果を表す情報を、制御部201に出力する。これにより、制御部201は、作業承認部205から出力された承認結果の情報をクライアント通信部202に出力して、サーバ通信部302に送信させる。
なお、点検サーバ装置20は、管理者Mによってプラント内に配置された設備の巡回点検に関する様々な操作が行われる。より具体的には、点検サーバ装置20は、管理者Mによる報告書の承認の操作のみではなく、点検ルートの設定や点検簿(点検リスト)の入力(作成)にも用いられる。また、点検サーバ装置20は、管理者Mが表示部204に表示された報告書に示された計測機器41の計測値や作業員FOが実施した点検作業の点検結果が入力された点検リスト(点検簿)、つまり、作業員FOが実施した点検作業の結果から判断した点検作業のやり直し(再点検)の指示や、新たな点検作業の指示および指示内容の入力にも用いられる。以下の説明においては、管理者Mによって行われる報告書の承認結果を入力する操作以外の指示や指示内容の入力操作も、作業承認部205によって行われる構成であるものとして説明する。従って、作業承認部205は、管理者Mによって入力された指示や指示内容を表す情報やデータ、つまり、上述したような巡回点検に関する種々の指示や内容を表す情報やデータを、制御部201に出力する。これにより、制御部201は、作業承認部205から出力された指示や内容を表す情報やデータ(例えば、再点検や新たな点検作業の内容を表す情報やデータ)をクライアント通信部202に出力して、サーバ通信部302に送信させる。
このような構成によって、巡回点検システム1では、点検端末装置30が、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介した通信によって、点検サーバ装置20から点検簿を取得する。また、巡回点検システム1では、データ収集機器40が、対応する計測機器41が計測した計測値を収集する。そして、巡回点検システム1では、点検端末装置30が、データ収集機器40が収集した計測機器41の計測値を取得し、点検サーバ装置20から取得した点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に反映させる。これにより、プラント内を巡回して巡回点検を行う作業員FOは、到着したチェックポイントにおいて、点検リストに計測値が反映されていない点検作業のみを行うことができる。
また、巡回点検システム1では、計測機器41が計測した計測値や点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿を報告書として、無線通信ネットワークを介して点検サーバ装置20に出力(送信)する。これにより、プラント内に配置されたそれぞれの設備の運用(稼働)を管理する管理者Mは、作業員FOが点検作業を行っている現在のチェックポイントの位置の周辺に配置されている設備の点検結果をすぐに確認することができる。そして、管理者Mは、必要に応じて新たな点検作業の指示を行うことができる。また、作業員FOは、行った点検作業の点検結果が管理者Mによって承認された後に、次のチェックポイントの向かうことによって、効率よく巡回点検を行うことができる。つまり、巡回点検システム1では、作業員FOが設備の場所に再度出向いて点検作業を行う(再点検を行う)ことなく、一連の巡回点検の作業を終了することができる。
次に、巡回点検システム1が構築されたプラントにおける巡回点検の手順について説明する。図3は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行う様子の一例を模式的に示した図である。
上述したように、点検データベース10には、それぞれのチェックポイントに属する設備に対して行う作業の内容(項目)を表した点検リストがまとめられた点検簿のデータが、プラント内に設置されたそれぞれのチェックポイントに紐づけられて記憶されている。図3の(a)には、チェックポイントを識別するための識別情報である点検IDと、それぞれのチェックポイントに対応する点検簿のデータとを、テーブルの形式で紐づけた点検簿テーブルの一例を示している。より具体的には、点検ID=SGW01のチェックポイントに点検簿名=点検簿Aの点検簿が紐づけられ、点検ID=SGW02のチェックポイントに点検簿名=点検簿Bの点検簿が紐づけられ、点検ID=SGW03のチェックポイントに点検簿名=点検簿Cの点検簿が紐づけられている点検簿テーブルの一例を示している。
また、上述したように、作業員FOは、巡回点検を開始する前に、例えば、管理者Mによって予め定められた点検ルートを点検サーバ装置20から取得し、取得した点検ルートが提示された点検端末装置30を携帯してプラント内に設置されたチェックポイントを巡回する。図3の(b)には、プラント内に設置されたチェックポイントを移動する順番が示された点検ルートの一例を示している。より具体的には、最初(1番目)に点検ID=SGW01のチェックポイントに出向き、2番目に点検ID=SGW03のチェックポイントに出向き、3番目(最後)に点検ID=SGW05のチェックポイントに出向くように示されている点検ルートの一例を示している。また、この点検ルートの一例では、それぞれのチェックポイントにおいて点検作業が終了したとき、つまり、管理者Mによって報告書の承認が得られたときにチェックマークが記載(付与)されるチェックボックスが、それぞれのチェックポイントに示されている。
そして、上述したように、作業員FOは、チェックポイントに到着したとき、現在の位置のチェックポイントに対応する点検簿を点検サーバ装置20から取得する。このとき、上述したように、点検端末装置30には、それぞれのチェックポイントであるデータ収集機器40からも、データ収集機器40に属している計測機器41のデータ(計測値)が取得される。図3には、作業員FOが、最初(1番目)のチェックポイントである点検ID=SGW01のチェックポイントに到着し、点検ID=SGW01のチェックポイントに対応する点検簿である点検簿Aを点検サーバ装置20から取得している状態を示している。また、図3には、点検ID=SGW01のチェックポイントであるデータ収集機器40に属している計測機器41aおよび計測機器41bの計測値が、点検端末装置30に取得されている状態を示している。
ここで、巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行う際の処理および作業について説明する。図4は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行う際の処理および作業の流れ(処理シーケンス)を示したシーケンス図である。図4には、作業員FOが巡回点検の点検作業を行う際に動作する、巡回点検システム1を構成する点検端末装置30、データ収集機器40、および点検サーバ装置20のそれぞれにおける処理の流れの一例を示している。なお、図4には、巡回点検において点検作業を行う作業員FOの作業、つまり、点検端末装置30に対する操作と、巡回点検の報告書(チェックポイントにおいて行った点検作業の点検結果)を確認して承認を行う管理者Mの作業、つまり、点検サーバ装置20に対する操作とも併せて示している。
なお、以下の説明においては、点検データベース10に、点検ルートのデータ、および点検簿のデータなどがすでに記憶されているものとする。また、以下の説明においては、点検端末装置30は、点検サーバ装置20との間のデータや情報のやり取りを、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって行い、データ収集機器40との間のデータや情報のやり取りを、WiFi(登録商標)などの無線通信によって行うものとする。また、以下の説明においては、クライアント−サーバ型の巡回点検システム1におけるサーバ装置として動作するサーバソフトウェア(例えば、点検ソフトウェア)が点検サーバ装置20において実行されており、クライアント−サーバ型の巡回点検システム1におけるクライアント装置として動作するクライアントプログラム(例えば、点検プログラム)が点検端末装置30において実行されているものとする。
まず、巡回点検における準備段階において、作業員FOは、巡回点検を開始する前に、点検端末装置30を操作して点検ルートの取得を指示する(ステップS110)。より具体的には、作業員FOは、ステップS110において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、点検ルートの取得を指示する。これにより、点検端末装置30は、ステップS110における作業員FOからの点検ルートの取得指示に応じて、点検ルートの送信の要求を、点検サーバ装置20に送信する(ステップS111)。より具体的には、制御部301は、ステップS111において、指示された点検ルートを取得することを表す指示信号(制御信号)をサーバ通信部302に出力する。これにより、サーバ通信部302は、制御部301から出力された点検ルートを取得する指示信号に従って、点検ルートの送信要求を、無線通信ネットワークを介して、点検サーバ装置20に備えたクライアント通信部202に送信する。
点検サーバ装置20は、無線通信ネットワークを介して送信されてきた点検ルートの送信要求に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検ルートのデータを読み出す(ステップS112)。そして、点検サーバ装置20は、読み出した点検ルートのデータを点検端末装置30に送信する(ステップS113)。より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた点検ルートの送信要求を受信すると、ステップS112において、点検ルートが要求されたことを表す情報を制御部201に出力する。これにより、制御部201は、点検データベース10に記憶(保存)されている点検ルートのデータを読み出すことを指示する制御信号をデータインターフェース部203に出力する。データインターフェース部203は、制御部201から出力された点検ルートの読み出しの制御に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検ルートのデータを検索し、要求された点検ルートに合致するデータを、点検データベース10から読み出して制御部201に出力する。これにより、制御部201は、データインターフェース部203から出力された点検ルートのデータをクライアント通信部202に出力する。これにより、クライアント通信部202は、ステップS113において、制御部201から出力された点検ルートのデータを、無線通信ネットワークを介して、点検端末装置30に備えたサーバ通信部302に送信する。
点検端末装置30は、無線通信ネットワークを介して送信されてきた点検ルートを作業員FOに提示する(ステップS114)。より具体的には、サーバ通信部302は、クライアント通信部202から送信されてきた点検ルートのデータを受信すると、受信した点検ルートのデータを制御部301に出力する。これにより、制御部301は、サーバ通信部302から出力された点検ルートのデータと、この点検ルートのデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。表示部305は、ステップS114において、制御部301から出力された点検ルートのデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、無線通信ネットワークを介して点検サーバ装置20から送信されてきた点検ルートを作業員FOに提示する。これにより、作業員FOは、点検端末装置30に点検ルートが表示された状態で最初(1番目)のチェックポイント(図3においては、点検ID=SGW01のチェックポイント)に移動する(出向く)ことができる。また、制御部301は、サーバ通信部302から出力された点検ルートのデータと、この点検ルートのデータを書き込むことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力する。点検簿データ部303は、制御部301から出力された点検ルートのデータの書き込みの制御に応じて、制御部301から出力された点検ルートのデータを記憶する。
その後、作業員FOが、点検端末装置30に表示された点検ルートに基づいてチェックポイントに移動する(ステップS120)。
そして、巡回点検における点検作業段階において、作業員FOは、移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において、点検端末装置30を操作して、点検簿の取得を指示する(ステップS130)。より具体的には、作業員FOは、ステップS130において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、点検簿の取得を指示する。これにより、点検端末装置30は、ステップS130における作業員FOからの点検簿の取得指示に応じて、点検IDの送信の要求を、データ収集機器40に送信する(ステップS131)。より具体的には、制御部301は、ステップS131において、点検IDの送信を要求することを表す指示信号(制御信号)を機器通信部304に出力する。これにより、機器通信部304は、制御部301から出力された点検IDの送信を要求する指示信号に従って、点検IDの送信要求を、無線通信によってデータ収集機器40に送信する。
なお、点検端末装置30が、無線通信によってデータ収集機器40とデータや情報の送受信を行うことができる通信可能範囲内に入ったことを自動で判定する構成である場合には、作業員FOは、ステップS130において点検簿の取得を指示する操作を行わなくてもよい。この場合、点検端末装置30は、作業員FOが移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において、データや情報の送受信を行うことができるデータ収集機器40との無線通信を自動で開始し、ステップS131において、点検IDの送信要求をデータ収集機器40に送信する。
データ収集機器40は、無線通信によって送信されてきた点検IDの送信要求に応じて、自身の点検ID(図3においては、点検ID=SGW01)の情報を、無線通信によって点検端末装置30に送信する(ステップS132)。
点検端末装置30は、無線通信によって送信されてきたデータ収集機器40の点検IDを受信すると、受信した点検IDに対応する点検簿の送信の要求を、点検サーバ装置20に送信する(ステップS133)。より具体的には、機器通信部304は、ステップS132において無線通信によって送信されてきたデータ収集機器40の点検IDを受信すると、受信した点検IDの情報を制御部301に出力する。これにより、制御部301は、ステップS133において、機器通信部304から出力されたデータ収集機器40の点検IDと、この点検ID、つまり、現在の位置のチェックポイントに対応する点検簿を取得することを表す指示信号(制御信号)をサーバ通信部302に出力する。これにより、サーバ通信部302は、制御部301から出力された点検簿を取得する指示信号に従って、点検IDと点検簿の送信要求とを、無線通信ネットワークを介して、点検サーバ装置20に備えたクライアント通信部202に送信する。
点検サーバ装置20は、無線通信ネットワークを介して送信されてきた点検簿の送信要求に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検簿のデータを読み出す(ステップS134)。そして、点検サーバ装置20は、読み出した点検簿のデータを点検端末装置30に送信する(ステップS135)。より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた点検IDと点検簿の送信要求とを受信すると、ステップS134において、点検IDの情報と、点検簿が要求されたことを表す情報とを制御部201に出力する。これにより、制御部201は、点検データベース10に記憶(保存)されている点検IDに対応する点検簿のデータを読み出すことを指示する制御信号をデータインターフェース部203に出力する。データインターフェース部203は、制御部201から出力された点検簿の読み出しの制御に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検IDに対応する点検簿のデータを検索し、要求された点検簿に合致するデータを、点検データベース10から読み出して制御部201に出力する。これにより、制御部201は、データインターフェース部203から出力された点検簿のデータをクライアント通信部202に出力する。これにより、クライアント通信部202は、ステップS135において、制御部201から出力された点検IDに対応する点検簿のデータを、無線通信ネットワークを介して、点検端末装置30に備えたサーバ通信部302に送信する。そして、点検端末装置30は、無線通信ネットワークを介して送信されてきた点検簿のデータを、点検簿データ部303に記憶する。より具体的には、サーバ通信部302は、クライアント通信部202から送信されてきた点検簿のデータを受信すると、受信した点検簿のデータを制御部301に出力する。制御部301は、サーバ通信部302から出力された点検簿のデータと、この点検簿のデータを書き込むことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力する。点検簿データ部303は、制御部301から出力された点検簿のデータの書き込みの制御に応じて、制御部301から出力された点検簿のデータを記憶する。
続いて、点検端末装置30は、対応する計測機器41のデータ(計測値)の送信の要求を、データ収集機器40に送信する(ステップS140)。より具体的には、制御部301は、ステップS140において、計測機器41の計測値の送信を要求することを表す指示信号(制御信号)を機器通信部304に出力する。これにより、機器通信部304は、制御部301から出力された計測機器41の計測値の送信を要求する指示信号に従って、計測機器41の計測値の送信要求を、無線通信によってデータ収集機器40に送信する。
データ収集機器40は、無線通信によって送信されてきた計測機器41の計測値の送信要求に応じて、対応する各計測機器41(図3においては、点検ID=SGW01のチェックポイントのデータ収集機器40に属している計測機器41aおよび計測機器41b)の計測値のデータを、無線通信によって点検端末装置30に送信する(ステップS141)。
点検端末装置30は、無線通信によってデータ収集機器40から送信されてきた各計測機器41の計測値のデータを受信すると、受信した各計測機器41の計測値のデータを、点検簿データ部303に記憶している点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力(反映)して、点検簿データ部303に記憶している点検簿を更新させる(ステップS142)。より具体的には、機器通信部304は、ステップS141において無線通信によって送信されてきたデータ収集機器40が対応する各計測機器41の計測値のデータを受信すると、受信した各計測機器41の計測値のデータを制御部301に出力する。これにより、制御部301は、ステップS142において、それぞれの計測機器41の計測値のデータと、この計測機器41の計測値のデータに対応する点検簿に示された点検リスト内の点検作業の項目における点検結果のデータ領域を更新することを表す制御信号とを、点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301からのデータ更新の制御に応じて、計測機器41の計測値のデータに紐づけられた、計測機器41を識別するための識別情報である機器IDに基づいて、点検簿に示された点検リストの対応する点検項目の点検結果のデータ領域に、制御部301から出力された計測機器41の計測値のデータを記憶(更新)する。
ここで、ステップS142における点検簿の更新、つまり、データ収集機器40から受信した各計測機器41の計測値のデータを点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力(反映)する処理の一例について説明する。図5は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて設備に設置されている計測機器41の計測値を点検リストの対応する点検項目に入力(反映)する一例を模式的に示した図である。図5の(a)には、チェックポイントであるデータ収集機器40に、計測機器41a、計測機器41b、および計測機器41cの3つの計測機器41が属しており、データ収集機器40が、各計測機器41の計測値を収集している状態を示している。また、図5の(b)には、チェックポイントに対応する点検簿である点検簿Aの一例を示している。
巡回点検システム1では、上述したように、チェックポイントであるデータ収集機器40に、対応する点検簿が紐づけられている。図5においては、図5の(a)に示したデータ収集機器40に、図5の(b)に示した点検簿Aが紐づけられている。そして、点検簿には、点検リストの各点検項目に点検結果を入力するデータ領域が設けられている。図5の(b)に示した点検簿Aでは、設備=回転機M1に対する点検項目として、常に行う4つの点検項目(「P1振動確認」、「P1温度確認」、「P2振動確認」、および「P2温度確認」)と、必要に応じて行う1つの点検項目(「油注入」)が設定され、常に行う4つの点検項目のそれぞれに対応する点検結果のデータ領域として、計測値を入力するデータ領域Fv1が設けられている。また、図5の(b)に示した点検簿Aでは、設備=回転機M2に対する点検項目として、常に行う2つの点検項目(「P1振動確認」および「P1温度確認」)と、必要に応じて行う2つの点検項目(「ねじまし締め」および「油注入」)が設定され、常に行う2つの点検項目のそれぞれに対応する点検結果のデータ領域として、計測値を入力するデータ領域Fv2が設けられている。また、図5の(b)に示した点検簿Aでは、設備=回転機M3に対する点検項目として、常に行う2つの点検項目(「P1振動確認」および「P1温度確認」)が設定され、常に行う2つの点検項目のそれぞれに対応する点検結果のデータ領域として、計測値を入力するデータ領域Fv3が設けられている。なお、図5の(b)に示した点検簿Aの一例において、必要に応じて行うそれぞれの点検項目は、それぞれの設備において常に行う点検項目の点検結果に応じて実施するか否かが判定される点検項目であるため、対応する点検結果の計測値が入力されていない段階では、例えば、灰色にグレーアウトされて、現在は作業を実施する項目ではないことが表されている。
巡回点検システム1では、それぞれの設備において常に行う点検項目のデータ領域に、対応するデータ収集機器40に属するいずれかの計測機器41が紐づけられている。例えば、図5に示した一例では、図5の(b)に示した点検簿A内の設備=回転機M1における点検項目=「P1振動確認」に、図5の(a)に示した計測機器41aが紐づけられている。これにより、点検端末装置30では、ステップS142における点検簿の更新の処理において、計測機器41aの計測値(P1振動)のデータが、点検項目=「P1振動確認」の点検結果として、データ領域Fv1内の対応する位置に記憶(反映)される。また、例えば、図5に示した一例では、図5の(b)に示した点検簿A内の設備=回転機M1における点検項目=「P1温度確認」に、図5の(a)に示した計測機器41bが紐づけられている。これにより、点検端末装置30では、ステップS142における点検簿の更新の処理において、計測機器41bの計測値(P1温度)のデータが、点検項目=「P1温度確認」の点検結果として、データ領域Fv1内の対応する位置に記憶(反映)される。また、例えば、図5に示した一例では、図5の(b)に示した点検簿A内の設備=回転機M1における点検項目=「P2振動確認」に、図5の(a)に示した計測機器41cが紐づけられている。これにより、点検端末装置30では、ステップS142における点検簿の更新の処理において、計測機器41cの計測値(P2振動)のデータが、点検項目=「P2振動確認」の点検結果として、データ領域Fv1内の対応する位置に記憶(反映)される。図5の(b)に示した点検簿Aの一例には、それぞれの計測機器41の計測値が反映さている状態を示している。
なお、図5の(b)に示した点検簿Aの一例では、設備=回転機M1における点検項目=「P2温度確認」、設備=回転機M2における点検項目=「P1振動確認」および「P1温度確認」、設備=回転機M3における点検項目=「P1振動確認」および「P1温度確認」のそれぞれには、計測機器41が紐づけられていない。このため、計測機器41が紐づけられていない点検項目は、作業員FOが実施する必要がある点検作業の項目となる。つまり、これらの点検項目は、作業員FOが、実際にそれぞれの設備のところに出向いて計測した計測値を入力する必要がある項目となる。
図4に戻って、巡回点検システム1の処理シーケンスの続きを説明する。点検端末装置30は、更新した点検簿を作業員FOに提示する(ステップS143)。より具体的には、制御部301は、更新した点検簿のデータを読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301から出力された点検簿の読み出しの制御に応じて、記憶している点検簿のデータを、制御部301に出力する。そして、制御部301は、点検簿データ部303から出力された点検簿のデータと、この点検簿のデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。表示部305は、ステップS143において、制御部301から出力された点検簿のデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、無線通信ネットワークを介して点検サーバ装置20から送信され、無線通信によってデータ収集機器40から送信されてきた各計測機器41の計測値のデータが反映された点検簿(点検リスト)を作業員FOに提示する。これにより、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)を確認して、現在のチェックポイントの位置において実施する必要がある点検作業を確認することができる。
その後、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)に基づいて、実施する必要がある点検作業を実施する(ステップS150)。そして、作業員FOは、実施した点検作業の点検結果を、点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力する(ステップS151)。より具体的には、作業員FOは、ステップS150において、点検作業を実施する必要がある設備のところに出向き、例えば、点検端末装置30に備えた不図示の点検用の構成要素を操作したり、別途携帯してきた計測器を使用したりして、点検作業を行う。そして、作業員FOは、ステップS151において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、行った点検作業に対応する点検簿に示された点検リスト内の点検作業の項目の点検結果のデータ領域を選択して、点検作業の点検結果を入力する。制御部301は、ステップS151において作業承認依頼部306によって点検作業の点検結果が入力されると、ステップS142における処理と同様に、選択されている点検結果のデータ領域の情報と、入力された点検結果のデータと、点検結果のデータ領域を更新することを表す制御信号とを、点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301からのデータ更新の制御に応じて、点検簿に示された点検リストにおいて制御部301から出力された、選択されている点検作業の項目の点検結果のデータ領域に、制御部301から出力された点検作業の点検結果のデータを記憶(更新)する。そして、制御部301は、ステップS143における処理と同様に、更新した点検簿のデータを読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力し、点検簿データ部303から出力された点検簿のデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。これにより、点検端末装置30は、更新した点検簿を作業員FOに提示する。
作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)に基づいて、実施する必要がある全ての点検作業の実施、つまり、ステップS150およびステップS151の処理および作業を繰り返す。これにより、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)内の全ての点検項目に、計測機器41の計測値のデータまたは作業員FOが実施した点検作業の点検結果のデータが反映される。なお、作業員FOは、ステップS143において提示された計測機器41の計測値のデータが反映された点検簿(点検リスト)を確認した結果、現在のチェックポイントの位置において実施する必要がある点検作業がないことが確認された場合には、ステップS150およびステップS151の処理および作業を行う必要はない。
その後、巡回点検における承認段階において、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)の全ての点検項目に計測機器41の計測値のデータまたは作業員FOが実施した点検作業の点検結果のデータが反映されたとき、つまり、現在の位置のチェックポイントにおける点検作業を終了したとき、報告書の承認依頼を指示する(ステップS160)。より具体的には、作業員FOは、ステップS160において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、承認依頼の要求を指示する。これにより、点検端末装置30は、ステップS160における作業員FOからの承認依頼の要求指示に応じて、報告書と、この報告書に対する承認依頼の要求を、点検サーバ装置20に送信する(ステップS161)。より具体的には、制御部301は、ステップS161において、記憶している点検簿のデータを報告書として読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301から出力された点検簿(報告書)の読み出しの制御に応じて、記憶している点検簿のデータを、制御部301に出力する。そして、制御部301は、点検簿データ部303から出力された点検簿(報告書)のデータと、この点検簿(報告書)のデータに対する承認依頼を要求することを表す指示信号(制御信号)とをサーバ通信部302に出力する。これにより、サーバ通信部302は、制御部301から出力された承認依頼を要求する指示信号に従って、点検簿(報告書)のデータと承認依頼の要求とを、無線通信ネットワークを介して、点検サーバ装置20に備えたクライアント通信部202に送信する。
点検サーバ装置20は、無線通信ネットワークを介して送信されてきた承認依頼の要求に応じて、報告書と承認依頼とを管理者Mに提示する(ステップS162)。より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた報告書のデータと承認依頼の要求とを受信すると、報告書と、この報告書に対する承認依頼があったことを表す情報とを制御部201に出力する。これにより、制御部201は、クライアント通信部202から出力された報告書のデータと、この報告書のデータを書き込むことを指示する制御信号をデータインターフェース部203に出力する。データインターフェース部203は、制御部201から出力された報告書の書き込みの制御に応じて、制御部201から出力された報告書のデータを、点検データベース10に記憶(保存)させる。また、制御部201は、クライアント通信部202から出力された報告書のデータと、この報告書のデータおよび承認依頼を表す情報を表示させることを指示する制御信号を表示部204に出力する。表示部204は、ステップS162において、制御部201から出力された報告書のデータおよび承認依頼の情報に応じた表示画面を生成して表示することによって、無線通信ネットワークを介して点検端末装置30から送信されてきた報告書を管理者Mに提示する。
その後、管理者Mは、点検サーバ装置20に表示された報告書の内容、つまり、作業員FOが実施した現在のチェックポイントの位置における点検作業の点検結果を確認する(ステップS170)。より具体的には、管理者Mは、ステップS170において、再点検を行う必要があるか否か、新たに行う必要がある点検作業があるか否か、点検作業の結果を承認するか否かを判定する。
そして、管理者Mは、点検サーバ装置20に表示された報告書の内容に基づいて、報告書の承認依頼に対する承認結果を入力する(ステップS180)。より具体的には、管理者Mは、ステップS180において、点検サーバ装置20に備えた作業承認部205を操作して、報告書に対する承認結果を入力する。これにより、点検サーバ装置20は、報告書の承認結果の情報を点検端末装置30に送信する(ステップS181)。より具体的には、制御部201は、ステップS180において作業承認部205によって入力された報告書の承認結果の情報を、クライアント通信部202に出力する。これにより、クライアント通信部202は、ステップS181において、制御部201から出力された承認結果の情報を、無線通信ネットワークを介して、点検端末装置30に備えたサーバ通信部302に送信する。
点検端末装置30は、無線通信ネットワークを介して送信されてきた承認結果の情報を、作業員FOに提示する(ステップS182)。より具体的には、サーバ通信部302は、クライアント通信部202から送信されてきた承認結果の情報を受信すると、受信した承認結果の情報を制御部301に出力する。制御部301は、サーバ通信部302から出力された承認結果の情報と、この承認結果の情報を表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。これにより、点検端末装置30は、報告書に対する管理者Mの承認結果を、作業員FOに提示する。これにより、作業員FOは、点検端末装置30に表示された報告書に対する承認結果を確認して、現在のチェックポイントの位置において実施した点検作業の結果が承認されたか否か、再点検が指示されたか否か、新たに行う点検作業が指示されたか否か、を確認することができる。
なお、作業員FOは、点検端末装置30に表示された報告書に対する承認結果した結果、実施した点検作業の結果が承認されず、再点検や新たな点検作業が指示された場合、巡回点検における点検作業段階に戻って、指示された点検作業を実施する。つまり、作業員FOは、ステップS150およびステップS151の処理および作業を行う。そして、再度、巡回点検における承認段階において、作業員FOは、ステップS160における報告書の承認依頼の指示を再度行い、ステップS182において提示された承認結果を確認する。ここで、実施した点検作業の結果が再び承認されなかった場合には、再度、巡回点検における点検作業段階に戻って、作業員FOは、ステップS150、ステップS151、およびステップS160の処理および作業を再度行って、巡回点検における承認段階の処理および作業を再び行う。つまり、作業員FOは、巡回点検システム1におけるステップS150〜ステップS182の処理および作業を繰り返す。
ここで、報告書に対する承認結果の一例について説明する。図6は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行った結果に応じた保守作業を指示する点検リストの一例を模式的に示した図である。図6に示した点検リスト(点検簿)の一例は、図5の(b)に示した点検簿Aにおいて、設備=回転機M1において常に行う4つの点検項目の点検結果に基づいて、必要に応じて行う1つの点検項目の実施が指示される場合の一例である。
管理者Mは、ステップS170において、点検サーバ装置20に備えた表示部204に表示(ステップS162)された報告書の内容、つまり、作業員FOが実施した現在のチェックポイントの位置における点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿Aを確認する。図6に示した点検簿Aにおいては、設備=回転機M1に対して常に行う4つの点検項目のそれぞれに対応する点検結果のデータ領域Fv1内に入力(反映)されているそれぞれの計測値を確認する。ここで、管理者Mが、それぞれの計測値から、新たに行う必要がある点検作業(保守作業)があると判定したものとする。この場合、管理者Mは、ステップS180において点検サーバ装置20に備えた作業承認部205を操作し、設備=回転機M1に対して必要に応じて行う点検項目として設定されている点検項目=「油注入」の点検作業領域Fw1を、作業員FOに新たな保守作業として実施を指示する状態、例えば、灰色のグレーアウトを解除した状態に変更する。これにより、点検サーバ装置20は、ステップS181において、管理者Mによって変更された点検簿Aを、新たに保守作業の実施を指示することを表す情報が含まれた報告書の承認結果の情報として点検端末装置30に送信し、点検端末装置30は、ステップS182において、送信されてきた承認結果の情報を、作業員FOに提示する。
なお、管理者Mが再点検や新たな点検作業を指示する方法は、上述したように、対応する点検項目のグレーアウトを解除する方法の他に、再点検や新たな点検作業の内容を表す情報(例えば、文書など)やデータ(例えば、新たな点検簿など)で指示する方法であってもよい。
作業員FOは、点検端末装置30において報告書に対する承認結果として示された点検簿Aの点検作業領域Fw1の状態から、設備=回転機M1に対する点検項目=「油注入」が指示されたことを確認し、ステップS150において、回転機M1に油を注入する保守作業を実施する。そして、作業員FOは、ステップS151において、実施した点検作業(保守作業)の点検結果を入力する。例えば、図6に示した点検簿Aにおいては、点検作業領域Fw1内のデータ領域に示されたチェックボックスにチェックマークを入力する。そして、作業員FOは、ステップS160において、実施した点検作業(保守作業)の点検結果を入力した報告書の承認依頼を再度行う。
なお、作業員FOが、ステップS151において実施した点検作業(保守作業)の点検結果を入力する方法は、上述したようなチェックボックスにチェックマークを入力する方法に限定されるものではない。例えば、点検端末装置30に、撮影を行うカメラの機能(以下、「カメラ機能」という)を備えていることも考えられる。この場合、カメラ機能によって、点検作業(保守作業)を行う設備における作業対象箇所の前後の状態を、基準となる被写体と併せて撮影し、この画像を、点検作業(保守作業)を実施した結果として報告書に紐づけてもよい。この場合、点検サーバ装置20では、報告書に紐づけられている点検作業(保守作業)の前後の画像に写されている作業対象箇所の差分を画像認識することによって、点検作業(保守作業)を実施した結果を判定する構成にしてもよい。
例えば、点検作業(保守作業)の点検項目が「油注入」である場合、油を注入する前後の画像に対する画像認識によって、油を注入する箇所において油がしみ出している状態を認識し、油を注入した状態を判定してもよい。また、例えば、点検作業(保守作業)の点検項目が「ねじまし締め」である場合、ねじを締める前後の画像に対する画像認識によって、ねじ頭の工具穴の角度を認識し、まし締めするねじの回転状態(ねじを締めた状態)を判定してもよい。また、例えば、点検作業(保守作業)の点検項目が「腐食確認」である場合、対象箇所の現在の画像と、以前の点検作業(保守作業)において撮影された同じ対象箇所の画像とに対する画像認識によって、腐食箇所における腐食の広がりを認識し、腐食が進んでいる状態を判定してもよい。
このように、点検簿(報告書)には、計測機器41が計測した計測値以外の情報も紐づけることができる。つまり、点検簿(報告書)には、計測機器41や作業員FOが計測した計測値のように、設備が稼働している状態を値(数値)として表すことができる情報以外も紐づけることができ、点検作業の結果の判定に使用することができる。なお、点検作業(保守作業)の前後の画像に対する画像認識によって、点検作業(保守作業)の結果を数値化することができる場合には、数値化した値に基づいて点検作業(保守作業)の結果を判定してもよい。
図4に戻って、巡回点検システム1の処理シーケンスの続きを説明する。作業員FOは、ステップS182において点検端末装置30に表示された報告書に対する承認結果、実施した点検作業の結果が承認された場合には、現在のチェックポイントの位置における点検作業を終了する(ステップS190)。そして、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検ルートに基づいて次のチェックポイント(図3においては、点検ID=SGW03のチェックポイント)に移動して(出向いて)、移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において同様に点検作業を行う。つまり、作業員FOは、図4に示した巡回点検システム1におけるステップS120〜ステップS190の処理および作業(巡回点検における点検作業段階および承認段階の処理および作業)を、点検端末装置30に表示された点検ルートに示された全てのチェックポイントにおける点検作業が完了するまで繰り返す。
このような処理および作業の流れ(処理シーケンス)によって、巡回点検システム1では、作業員FOが点検端末装置30を携帯してプラント内に設置されたそれぞれのチェックポイントを順次移動し、管理者Mによる点検結果の承認を得ながら、一連の巡回点検の作業を行う。
ここで、作業員FOが巡回点検においてプラント内に設置されたチェックポイントを巡回する経路について説明する。図7は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行う際に移動する経路(作業員FOの移動経路)の一例を模式的に示した図である。図7の(a)には、巡回点検を開始する前に作業員FOが点検端末装置30によって取得した点検ルートの一例を示している。また、図7の(b)には、巡回点検システム1が構築されたプラントの地図と、プラント内に設置されているデータ収集機器40、つまり、チェックポイントの位置とを模式的に示している。なお、図7の(b)には、それぞれのデータ収集機器40が無線通信によって点検端末装置30との間でデータや情報の送受信を行うことができる通信可能範囲も模式的に示している。
上述したように、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検ルートに基づいてチェックポイントの通信可能範囲内に移動し、それぞれのチェックポイントの通信可能範囲内の位置において、点検作業を実施する。例えば、図7に示した一例において作業員FOは、図7の(a)に示した点検ルートに基づいて、SGW01、SGW03、SGW05、SGW06、SGW07、SGW09の順番に、それぞれのチェックポイントの通信可能範囲内の位置に移動する。図7の(b)には、このときの作業員FOの移動経路の一例として、移動経路R1を示している。
作業員FOは、それぞれのチェックポイントとして設置されたデータ収集機器40の通信可能範囲内に移動することによって、このデータ収集機器40に属する計測機器41の計測値を取得することができる。例えば、作業員FOが、点検ID=SGW01のチェックポイントとして設置されたデータ収集機器40aの通信可能範囲内に移動する(入る)ことによって、データ収集機器40aに属する計測機器41の計測値を取得することができる。また、例えば、作業員FOが、点検ID=SGW03のチェックポイントとして設置されたデータ収集機器40cの通信可能範囲内に移動する(入る)ことによって、データ収集機器40cに属する計測機器41の計測値を取得することができる。同様に、作業員FOが、点検ID=SGW05、SGW06、SGW07、SGW09のチェックポイントとして設置されたデータ収集機器40d〜データ収集機器40iの通信可能範囲内に移動する(入る)ことによって、それぞれのデータ収集機器40に属する計測機器41の計測値を取得することができる。つまり、作業員FOは、それぞれのデータ収集機器40の通信可能範囲内に移動するのみで、点検簿に示された点検リストの全ての点検項目に対応する計測値が入力(反映)され、データ収集機器40に属する設備に対する点検作業を終了することができる。
そして、作業員FOは、上述したように、それぞれのチェックポイントごとに報告書の承認を得る。これにより、巡回点検システム1が構築されたプラントでは、作業員FOが、例えば、図7の(b)に示した移動経路R1のように移動することによって、点検ルートに示されたチェックポイントに属するそれぞれの設備に対する一連の巡回点検の作業が終了することになる。
なお、図7に示した移動経路R1では、点検ID=SGW08のチェックポイントとして設置されたデータ収集機器40hの通信可能範囲内にも移動している(入っている)が、点検ID=SGW08のチェックポイントは、図7の(a)に示した点検ルートにチェックポイントとして含まれていない。このため、作業員FOは、データ収集機器40hに属する計測機器41の計測値を取得せず、報告書の承認も得ずに、次の点検ID=SGW09のチェックポイントとして設置されたデータ収集機器40iの通信可能範囲内に移動する。
なお、上述したように、それぞれのチェックポイントにおいて、データ収集機器40に属する計測機器41の計測値が取得されない設備に対しては、実際に設備のところに出向いて点検作業を行って、計測した計測値を入力することが必要である。つまり、計測機器41が予め設置されていない設備に対しては、作業員FOが図7の(b)に示したような移動経路R1を外れて点検対象の設備に出向き、作業員FOによる点検作業が必要である。このため、プラントによっては、必ずしも、作業員FOがデータ収集機器40の通信可能範囲内に移動するのみで全ての設備に対する点検作業を完了することができるとは限らない。しかし、プラントにおいて、設備の予め定められた位置に設置される計測機器41が増設され、点検簿に示された点検リストの全ての点検項目に対応する計測値が反映される状態となれば、再点検や保守作業などの作業の指示が出されたときを除いて、作業員FOが設備のところに実際に出向く必要がなくなるため、データ収集機器40の通信可能範囲内に移動するのみで全ての設備に対する点検作業を完了することができる。
次に、巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて、計測機器41が増設された場合に、点検簿に示された点検リストの点検項目に、増設された計測機器41を紐づける場合の処理および作業について説明する。図8は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて計測機器41を点検リストに紐づける一例を模式的に示した図である。図8の(a)には、チェックポイントとして設置されたデータ収集機器40の周辺の予め定めた範囲(エリア)に配置されている設備の予め定められた位置に、計測機器41dが増設された状態を示している。また、図8の(b)には、増設された計測機器41dを紐づける点検簿Aの点検項目を示している。
図8に示した計測機器41を点検リストに紐づける一例は、図5の(b)に示した点検簿Aにおいて、計測機器41が紐づけられていない設備=回転機M1の点検項目=「P2温度確認」に、新たに設置された計測機器41dを紐づける場合の一例である。計測機器41を点検リストに紐づける作業を行う作業員(以下の説明においては、この作業員も「作業員FO」であるものとする)は、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)内のデータ領域Fv1−4を指定(選択)することによって、データ収集機器40に属する増設された計測機器41dを、点検項目=「P2温度確認」に紐づけることができる。これにより、以降にデータ収集機器40が設置されたチェックポイントにおいて点検作業を行う作業員FOが携帯してきた点検端末装置30は、図4に示したステップS142における点検簿の更新の処理において、計測機器41dの計測値(P2温度)のデータを、点検項目=「P2温度確認」の点検結果として、データ領域Fv1−4の位置に記憶(反映)させる。これにより、設備=回転機M1における点検項目=「P2温度確認」も、作業員FOが実際の設備のところに出向いて計測する必要がない項目となる。
なお、計測機器41を点検リストに紐づける作業としては、データ収集機器40の通信可能範囲内の位置において行う場合と、実際に計測機器41が設置されている位置において行う場合とが考えられる。例えば、すでに計測機器41が増設されており、作業員FOが増設された計測機器41の情報をもっている(知っている)場合には、データ収集機器40の通信可能範囲内の位置において、計測機器41を点検リストに紐づける作業を行うことができる。また、例えば、計測機器41の設備への設置(増設)の作業をしているときに、実際に計測機器41を設置(増設)する位置において、計測機器41を点検リストに紐づける作業も同時に行うことができる。
<第1の紐づけ作業>
ここで、巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて、増設された計測機器41を点検リストに紐づける紐づけ作業を行う際の処理および作業について説明する。図9は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて計測機器41を点検リストに紐づける第1の紐づけ作業を行う際の処理および作業の流れを示したシーケンス図である。第1の紐づけ作業は、すでに計測機器41が増設されており、作業員FOが増設された計測機器41の情報(プラント内に設置された計測機器41に排他的に設定された名称や型番などの情報)をもっている(知っている)場合に、データ収集機器40の通信可能範囲内の位置において、増設された計測機器41を点検リストに紐づける作業である。
図9には、作業員FOが計測機器41を点検リストに紐づける第1の紐づけ作業を行う際に動作する、巡回点検システム1を構成する点検端末装置30、データ収集機器40、および点検サーバ装置20のそれぞれにおける処理の流れの一例を示している。なお、図9には、第1の紐づけ作業を行う作業員FOの作業、つまり、点検端末装置30に対する操作と、計測機器41が紐づけられた点検リスト(第1の紐づけ作業によって更新された点検簿)を確認して承認を行う管理者Mの作業、つまり、点検サーバ装置20に対する操作と、も併せて示している。なお、以下の説明においては、点検端末装置30に、第1の紐づけ作業を行う前の点検簿のデータなどがすでに記憶されているものとする。また、以下の説明においては、点検端末装置30は、点検サーバ装置20との間のデータや情報のやり取りを、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって行い、データ収集機器40との間のデータや情報のやり取りを、WiFi(登録商標)などの無線通信によって行うものとする。
まず、作業員FOは、増設された計測機器41を紐づける対象の点検簿が記憶されている点検端末装置30を携帯して、増設された計測機器41が属するデータ収集機器40が設置されたチェックポイントの通信可能範囲内に移動する。そして、作業員FOは、移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において、点検端末装置30を操作して、点検簿の提示を指示する。これにより、点検端末装置30は、記憶している点検簿(第1の紐づけ作業を行う前の点検簿)を作業員FOに提示する(ステップS210)。より具体的には、作業員FOは、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作して、点検簿の提示を指示する。これにより、制御部301は、記憶している点検簿のデータを読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力する。点検簿データ部303は、制御部301から出力された点検簿の読み出しの制御に応じて、記憶している点検簿のデータを、制御部301に出力する。そして、制御部301は、点検簿データ部303から出力された点検簿のデータと、この点検簿のデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。表示部305は、ステップS210において、制御部301から出力された点検簿のデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、点検簿(点検リスト)を作業員FOに提示する。
なお、点検端末装置30が、無線通信によってデータ収集機器40とデータや情報の送受信を行うことができる通信可能範囲内に入ったことを自動で判定する構成である場合には、作業員FOは、点検簿の提示を指示する操作を行わなくてもよい。この場合、点検端末装置30は、作業員FOが移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において、データや情報の送受信を行うことができるデータ収集機器40との無線通信を自動で開始し、ステップS210において、点検簿(点検リスト)を作業員FOに提示する。
その後、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)に、増設された計測機器41を紐づける第1の紐づけ作業を開始する。第1の紐づけ作業を開始すると、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)内の、計測機器41を紐づける対象の点検項目を選択する(ステップS220)。より具体的には、作業員FOは、ステップS220において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、点検簿に示された点検リスト内の計測機器41を紐づける対象の点検項目の領域を選択(指定)する。例えば、図8の(b)に示した点検簿A内の点検項目=「P2温度確認」の領域や、データ領域Fv1−4の領域を選択(指定)する。これにより、点検端末装置30は、ステップS220における作業員FOからの点検項目の選択に応じて、属している計測機器41のリスト(以下、「計測機器リスト」という)の送信の要求を、データ収集機器40に送信する(ステップS221)。より具体的には、制御部301は、ステップS221において、計測機器リストの送信を要求することを表す指示信号(制御信号)を機器通信部304に出力する。これにより、機器通信部304は、制御部301から出力された計測機器リストの送信を要求する指示信号に従って、計測機器リストの送信要求を、無線通信によってデータ収集機器40に送信する。
データ収集機器40は、無線通信によって送信されてきた計測機器リストの送信要求に応じて、自身に属している計測機器41のリストの情報(計測機器リスト)を、無線通信によって点検端末装置30に送信する(ステップS222)。ここで、データ収集機器40が無線通信によって点検端末装置30に送信する計測機器リストには、プラント内に設置された計測機器41に排他的に設定された名称や型番などの情報が示されている。また、計測機器リストには、計測機器41を識別するための識別情報である機器IDも含まれており、計測機器41に排他的に設定された名称や型番などの情報と紐づけられている。
点検端末装置30は、無線通信によって送信されてきたデータ収集機器40の計測機器リストを受信すると、受信した計測機器リストを作業員FOに提示する(ステップS223)。より具体的には、機器通信部304は、ステップS223において無線通信によって送信されてきたデータ収集機器40に属する計測機器41の計測機器リストを受信すると、受信した計測機器リストのデータを制御部301に出力する。これにより、制御部301は、機器通信部304から出力された計測機器リストのデータと、この計測機器リストのデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。表示部305は、ステップS223において、制御部301から出力された計測機器リストのデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、無線通信によってデータ収集機器40から送信されてきた計測機器リストを作業員FOに提示する。なお、点検端末装置30が作業員FOに提示する計測機器リストは、プラント内に設置された計測機器41に排他的に設定された名称や型番などの情報のみであってもよい。つまり、点検端末装置30は、データ収集機器40から送信されてきた計測機器リストにおいて紐づけられている機器IDを、作業員FOに提示しなくてもよい。
その後、作業員FOは、点検端末装置30に表示された計測機器リストを確認する(ステップS230)。より具体的には、作業員FOは、ステップS230において、ステップS220で選択した点検項目に紐づける計測機器41が含まれているか否か、つまり、点検簿(点検リスト)に紐づける増設された計測機器41がリストアップされているか否かを確認する。そして、作業員FOは、点検項目に紐づける計測機器41が含まれている場合には、計測機器リストにリストアップされている増設された計測機器41を選択する(ステップS240)。より具体的には、作業員FOは、ステップS240において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、計測機器リストに示された増設された計測機器41の領域を選択する。例えば、計測機器リストにおいて、図8の(a)に示した計測機器41dが示された領域を選択する。
点検端末装置30は、作業員FOによって選択された計測機器41を、点検簿データ部303に記憶している点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に紐づけて、点検簿データ部303に記憶している点検簿を更新させる(ステップS241)。より具体的には、制御部301は、ステップS240において選択された計測機器41に紐づけられている機器IDの情報と、ステップS220において選択された点検項目の情報と、点検簿に示された点検リスト内の点検項目に機器IDを紐づけて更新することを表す制御信号とを、点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301からの機器ID更新の制御に応じて、点検簿に示された点検リストにおいて制御部301から指定された点検項目の機器ID紐づけ領域に、制御部301から出力された機器IDの情報を記憶(更新)する。これにより、例えば、図8の(a)に示した計測機器41dが、図8の(b)に示した点検簿A内の点検項目=「P2温度確認」の機器ID紐づけ領域に記憶されて、点検簿Aが更新される。そして、以降にデータ収集機器40が設置されたチェックポイントにおいて点検作業を行った場合、作業員FOが携帯してきた点検端末装置30では、図4に示したステップS142における点検簿Aの更新の処理において、計測機器41dの計測値(P2温度)のデータを、点検項目=「P2温度確認」の点検結果として、データ領域Fv1−4の位置に記憶(反映)されるようになる。
点検端末装置30は、更新した点検簿を作業員FOに提示する(ステップS242)。より具体的には、制御部301は、更新した点検簿のデータを読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301から出力された点検簿の読み出しの制御に応じて、記憶している点検簿のデータを、制御部301に出力する。そして、制御部301は、点検簿データ部303から出力された点検簿のデータと、この点検簿のデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。表示部305は、ステップS242において、制御部301から出力された点検簿のデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、更新した点検簿(点検リスト)を作業員FOに提示する。
その後、作業員FOは、点検端末装置30に表示された更新した点検簿(点検リスト)に基づいて、点検簿に紐づけた計測機器41による点検作業を実施する(ステップS250)。そして、作業員FOは、実施した点検作業の点検結果を、更新した点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力する(ステップS251)。なお、作業員FOにおける紐づけた計測機器41による点検作業と、点検結果の入力との処理は、図4に示したステップS150およびステップS151と同様である。なお、ステップS250およびステップS251における作業員FOによる点検作業と、点検結果の入力との処理は、図4に示したステップS140〜ステップS143と同様に、点検端末装置30が、紐づけた計測機器41のデータ(計測値)の送信を要求して、計測機器41の計測値を更新した点検簿に反映させる処理であってもよい。
その後、作業員FOは、現在のチェックポイントの位置のデータ収集機器40に増設された計測機器41に対応する点検簿(点検リスト)内の点検項目の更新が全て終了したとき、更新した点検簿(点検リスト)の承認依頼を指示する(ステップS260)。より具体的には、作業員FOは、ステップS260において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、承認依頼の要求を指示する。これにより、点検端末装置30は、ステップS260における作業員FOからの承認依頼の要求指示に応じて、更新した点検簿と、紐づけたそれぞれの計測機器41による点検作業の点検結果と、この更新した点検簿に対する承認依頼の要求を、点検サーバ装置20に送信する(ステップS261)。より具体的には、制御部301は、ステップS261において、記憶している点検簿のデータを更新した点検簿として読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301から出力された更新した点検簿の読み出しの制御に応じて、記憶している点検簿のデータを、制御部301に出力する。この点検簿のデータには、紐づけた計測機器41による点検作業の点検結果が含まれている。そして、制御部301は、点検簿データ部303から出力された更新した点検簿のデータと、この更新した点検簿のデータに対する承認依頼を要求することを表す指示信号(制御信号)とをサーバ通信部302に出力する。これにより、サーバ通信部302は、制御部301から出力された承認依頼を要求する指示信号に従って、更新した点検簿のデータと承認依頼の要求とを、無線通信ネットワークを介して、点検サーバ装置20に備えたクライアント通信部202に送信する。
点検サーバ装置20は、無線通信ネットワークを介して送信されてきた承認依頼の要求に応じて、更新した点検簿と承認依頼とを管理者Mに提示する(ステップS262)。より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた更新した点検簿のデータと承認依頼の要求とを受信すると、更新した点検簿と、この更新した点検簿に対する承認依頼があったことを表す情報とを制御部201に出力する。これにより、制御部201は、クライアント通信部202から出力された更新した点検簿のデータと、この更新した点検簿のデータおよび承認依頼を表す情報を表示させることを指示する制御信号を表示部204に出力する。表示部204は、ステップS262において、制御部301から出力された更新した点検簿のデータおよび承認依頼の情報に応じた表示画面を生成して表示することによって、無線通信ネットワークを介して点検端末装置30から送信されてきた更新した点検簿を管理者Mに提示する。
その後、管理者Mは、点検サーバ装置20に表示された更新した点検簿と、この更新した点検簿に反映されている、紐づけた計測機器41による点検作業の点検結果とを確認する(ステップS270)。より具体的には、管理者Mは、ステップS270において、更新した点検簿に反映されている点検結果が、正しく紐づけられた計測機器41によって点検作業が行われた点検結果であるか否かを判定する。
そして、管理者Mは、点検サーバ装置20に表示された更新した点検簿と点検結果とに基づいて、更新した点検簿の承認依頼に対する承認結果を入力する(ステップS280)。より具体的には、管理者Mは、ステップS280において、点検サーバ装置20に備えた作業承認部205を操作して、更新した点検簿に対する承認結果を入力する。
点検サーバ装置20は、管理者Mが、ステップS280において、更新した点検簿を承認することを表す承認結果を入力した場合、点検データベース10に記憶(保存)している点検簿のデータを登録(更新)する(ステップS290)。より具体的には、制御部201は、クライアント通信部202から出力され、表示部204によって管理者Mに提示されている更新した点検簿のデータと、この更新した点検簿のデータを書き込むことを指示する制御信号をデータインターフェース部203に出力する。データインターフェース部203は、ステップS290において、制御部201から出力された更新した点検簿の書き込みの制御に応じて、制御部201から出力された更新した点検簿のデータを、点検データベース10に記憶(保存)させる。
なお、巡回点検システム1では、図4に示したステップS181およびステップS182と同様に、管理者Mによる更新した点検簿に対する承認結果を、作業員FOに提示する。これにより、作業員FOは、点検端末装置30に表示された更新した点検簿に対する承認結果を確認して、増設された計測機器41を点検リストに紐づける第1の紐づけ作業が完了したか否か、を確認することができる。ここで、作業員FOは、点検端末装置30に表示された更新した点検簿に対する承認結果が承認されないことを表している場合には、第1の紐づけ作業を再度行ってもよい。つまり、図9に示した第1の紐づけ作業(より具体的には、ステップS220〜ステップS260までの作業、および更新した点検簿に対する承認結果の確認)を繰り返してもよい。
このような処理および作業の流れ(処理シーケンス)によって、巡回点検システム1における第1の紐づけ作業では、作業員FOが点検端末装置30を携帯して、増設された計測機器41が属するデータ収集機器40が設置されたチェックポイントに出向いて点検簿を更新し、管理者Mによって更新した点検簿の承認を得て、最終的に点検簿を更新する。なお、巡回点検システム1における第1の紐づけ作業は、作業員FOが巡回点検のためにそれぞれのチェックポイントを巡回しているときにも行うことができる。
<第2の紐づけ作業>
次に、巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて、増設された計測機器41を点検リストに紐づける紐づけ作業を行う際の別の処理および作業について説明する。図10は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて計測機器41を点検リストに紐づける第2の紐づけ作業を行う際の処理および作業の流れを示したシーケンス図である。第2の紐づけ作業は、計測機器41の設備への設置(増設)の作業をしているときに、実際に計測機器41を設置(増設)する位置において、計測機器41を点検リストに紐づける作業も同時に行う場合の作業である。
図10には、図9に示した第1の紐づけ作業のシーケンス図と同様に、作業員FOが計測機器41を点検リストに紐づける第2の紐づけ作業を行う際に動作する、巡回点検システム1を構成する点検端末装置30、データ収集機器40、および点検サーバ装置20のそれぞれにおける処理の流れの一例を示している。なお、図10には、図9に示した第1の紐づけ作業のシーケンス図と同様に、第2の紐づけ作業を行う作業員FOの作業、つまり、点検端末装置30に対する操作と、計測機器41が紐づけられた点検リスト(第2の紐づけ作業によって更新された点検簿)を確認して承認を行う管理者Mの作業、つまり、点検サーバ装置20に対する操作と、も併せて示している。なお、以下の説明においては、図9に示した第1の紐づけ作業と同様に、点検端末装置30に、第2の紐づけ作業を行う前の点検簿のデータなどがすでに記憶されているものとする。また、以下の説明においては、図9に示した第1の紐づけ作業と同様に、点検端末装置30は、点検サーバ装置20との間のデータや情報のやり取りを、プラント内に構築された無線通信ネットワークによって行うものとする。
まず、作業員FOは、増設する計測機器41を紐づける対象の点検簿が記憶されている点検端末装置30を携帯して、計測機器41を設置(増設)する設備の位置に移動する。そして、作業員FOは、計測機器41を設置(増設)する。その後、作業員FOは、現在の位置、つまり、計測機器41を設置(増設)した位置において、点検端末装置30を操作して、点検簿の提示を指示する。これにより、点検端末装置30は、記憶している点検簿(第2の紐づけ作業を行う前の点検簿)を作業員FOに提示する(ステップS310)。なお、点検端末装置30が、ステップS310において、作業員FOの指示に応じて記憶している点検簿(第2の紐づけ作業を行う前の点検簿)を作業員FOに提示する処理は、図9に示した第1の紐づけ作業におけるステップS210の処理と同様である。従って、点検端末装置30が、WiFi(登録商標)などの無線通信によってデータ収集機器40との間でデータや情報の送受信を行うことができる通信可能範囲内に入ったことを自動で判定する構成である場合には、作業員FOが計測機器41を設置(増設)する位置に到着したときには、すでに自動で無線通信が開始されており、点検簿の提示を指示する操作を行わなくても、第2の紐づけ作業を行う前の点検簿(点検リスト)がすでに提示されている。
その後、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)に、現在の位置に設置(増設)した計測機器41を紐づける第2の紐づけ作業を開始する。第2の紐づけ作業を開始すると、作業員FOは、点検端末装置30に表示された点検簿(点検リスト)内の、増設した計測機器41を紐づける対象の点検項目を選択(指定)する(ステップS320)。なお、作業員FOが、ステップS320において、増設した計測機器41を紐づける対象の点検項目を選択(指定)する際に行う点検端末装置30の操作は、図9に示した第1の紐づけ作業におけるステップS320の操作と同様である。
そして、作業員FOは、点検端末装置30を操作して増設した計測機器41の情報の取得を指示する(ステップS330)。これにより、点検端末装置30は、ステップS330における作業員FOからの計測機器41の情報の取得指示に応じて、計測機器41から情報を取得する(ステップS331)。より具体的には、作業員FOは、ステップS330において、点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306を操作し、計測機器41の機器IDなどの情報の取得を指示する。ここで、計測機器41の機器IDは、例えば、計測機器41に備えたNFCタグなどの近距離無線通信タグから取得することができる。この場合、作業員FOは、ステップS330において、点検端末装置30に備えたNFCの近距離無線通信機能の実行を指示する。これにより、点検端末装置30は、ステップS331において、NFCの近距離無線通信機能によって、計測機器41に備えたNFCタグに登録された機器IDを取得する。また、計測機器41の機器IDは、例えば、計測機器41に貼付されたQR(Quick Response)コード(登録商標)などの2次元コードに登録された情報から取得することができる。この場合、作業員FOは、ステップS330において、点検端末装置30に備えたQRコード(登録商標)の読み取り機能の実行を指示する。これにより、点検端末装置30は、ステップS331において、QRコード(登録商標)の読み取り機能によって、計測機器41の機器IDを取得する。なお、点検端末装置30と計測機器41とを、例えば、USB(登録商標)などの有線インタフェースによって接続することによって、点検端末装置30が計測機器41の機器IDを取得してもよい。
点検端末装置30は、機器IDを取得した計測機器41を、点検簿データ部303に記憶している点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に紐づけて、点検簿データ部303に記憶している点検簿を更新させる(ステップS340)。より具体的には、制御部301は、ステップS331において増設した計測機器41から取得した機器IDの情報と、ステップS320において選択された点検項目の情報と、点検簿に示された点検リスト内の点検項目に機器IDを紐づけて更新することを表す制御信号とを、点検簿データ部303に出力する。これにより、点検簿データ部303は、制御部301からの機器ID更新の制御に応じて、点検簿に示された点検リストにおいて制御部301から指定された点検項目の機器ID紐づけ領域に、制御部301から出力された機器IDの情報を記憶(更新)する。これにより、図9に示した第1の紐づけ作業におけるステップS241の処理と同様に、例えば、図8の(a)に示した計測機器41dが、図8の(b)に示した点検簿A内の点検項目=「P2温度確認」の機器ID紐づけ領域に記憶されて、点検簿Aが更新される。そして、更新された点検簿Aは、以降の巡回点検において作業員FOが携帯してきた点検端末装置30がデータ収集機器40の通信可能範囲内に入ると、点検端末装置30において実行される図4に示したステップS142の点検簿Aの更新の処理において、計測機器41dの計測値(P2温度)のデータが、点検項目=「P2温度確認」の点検結果として、データ領域Fv1−4の位置に記憶(反映)されるようになる。
点検端末装置30は、更新した点検簿を作業員FOに提示する(ステップS341)。なお、点検端末装置30が、ステップS310において、更新した点検簿を作業員FOに提示する処理は、図9に示した第1の紐づけ作業におけるステップS242の処理と同様である。
その後、作業員FOは、点検端末装置30に表示された更新した点検簿(点検リスト)に基づいて、点検簿に紐づけた計測機器41による点検作業を実施して点検結果を点検項目に入力する。そして、作業員FOは、設備に対して計測機器41を全て設置(増設)し、更新した点検簿(点検リスト)に対して管理者Mから承認を得る。また、点検サーバ装置20は、更新した点検簿を管理者Mが承認すると、更新した点検簿のデータを、点検データベース10に記憶(保存)させる。これらの処理は、図9に示した第1の紐づけ作業と同様である。このため、図10に示した第2の紐づけ作業のシーケンス図においては、作業員FOによる更新した点検簿(点検リスト)に基づいた点検作業から、管理者Mに更新した点検簿(点検リスト)の承認を得るまでの処理や、点検サーバ装置20が更新した点検簿のデータを点検データベース10に記憶(保存)させる処理に対して、図9に示した第1の紐づけ作業のシーケンス図と同一のステップ番号を付与して示している。従って、図10に示した第2の紐づけ作業におけるステップS250〜ステップS290までの処理に関する詳細な説明は省略する。
このような処理および作業の流れ(処理シーケンス)によって、巡回点検システム1における第2の紐づけ作業では、作業員FOが設備に対して計測機器41の設置(増設)の作業を行う際に点検簿の更新も同時に行い、管理者Mによって更新した点検簿の承認を得て、最終的に点検簿を更新する。
上記に述べたように、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検端末装置30が点検サーバ装置20から点検簿を取得する。また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、データ収集機器40が、対応する計測機器41が計測した計測値を収集する。そして、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検端末装置30が、データ収集機器40が収集した計測機器41の計測値を取得して点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に反映させる。これにより、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検端末装置30を携帯してプラント内を巡回しながら巡回点検を行う作業員FOは、到着したチェックポイントにおいて、すでに計測機器41の計測値が反映された点検簿(点検リスト)を確認することができる。このことにより、第1の実施形態の巡回点検システム1では、作業員FOが、点検簿(点検リスト)に計測機器41の計測値が反映されていない点検作業のみを行うことができる。
また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検端末装置30が、計測機器41が計測した計測値や点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿を報告書として、点検サーバ装置20に出力(送信)する。また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検サーバ装置20が、点検端末装置30から出力(送信)された報告書を、例えば、事務所などに待機している管理者Mに提示する。つまり、第1の実施形態の巡回点検システム1では、作業員FOが、それぞれのチェックポイントに属する設備に対する点検作業の承認を得ながらプラント内を巡回して点検作業を行う。これにより、第1の実施形態の巡回点検システム1では、管理者Mが、作業員FOがいる現在の位置のチェックポイントに属する設備の点検結果をすぐに確認することができ、必要に応じて新たな点検作業の指示を行うことができる。また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、作業員FOは、行った点検作業の点検結果に対して管理者Mによる承認を得ることによって、現在の位置のチェックポイントにおいて行った点検作業の確実性を向上させることができる。また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、作業員FOは、行った点検作業の点検結果が管理者Mによって承認された後に次のチェックポイントの向かうことによって、一度点検作業を行った設備の場所に再度出向いて再点検を行うなど、点検作業に要する時間が長くなる要因を排除することができ、一連の巡回点検の作業を効率よく行うことができる。
また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検端末装置30が増設された計測機器41から機器IDを取得し、取得した機器IDを点検簿の点検項目に紐づけて、点検簿を更新する。これにより、第1の実施形態の巡回点検システム1では、以降の巡回点検において、増設された計測機器41の計測値が点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に反映させる。このことにより、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検簿(点検リスト)に計測機器41の計測値が反映されていない点検作業が少なくなり、点検簿の全ての点検項目に計測機器41が紐づけられた場合には、再点検や保守作業などの作業の指示が出されたときを除いて、作業員FOが実際に行わなければならない点検項目がなくなり、作業員FOがプラント内を巡回するのみで、一連の巡回点検が完了することができる。
また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検端末装置30が、更新した点検簿も点検サーバ装置20に出力(送信)することによって、管理者Mの承認を得る。これにより、第1の実施形態の巡回点検システム1では、更新した点検簿の確実性を向上させることができる。
なお、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検ルートの一例を図3の(b)や図7の(a)に示し、点検簿の一例を図5の(b)、図6、図8の(b)に示した。しかし、点検ルートや点検簿の形式は、上記に示した形式に限定されるものではない。ここで、点検ルートや点検簿の別の形式の一例について説明する。図11は、本第1の実施形態の巡回点検システム1が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行う点検ルートおよび点検リストの別の一例を模式的に示した図である。図11には、最初(1番目)のチェックポイントにおける点検作業が終了し、2番目のチェックポイントに出向いて点検作業を行う様子の一例を模式的に示している。
図11の(a)には、プラント内に設置されたチェックポイントを移動する順番が示された点検ルートの一例を示している。より具体的には、図11の(a)に示した点検ルートには、最初(1番目)に点検ID=SGW01のチェックポイントに出向き、2番目に点検ID=SGW03のチェックポイントに出向き、3番目(最後)に点検ID=SGW05のチェックポイントに出向くことが示され、それぞれのチェックポイントにおいて点検作業が終了したときにチェックマークが記載(付与)されるチェックボックスが示されている。さらに、図11の(a)に示した点検ルートでは、それぞれのチェックポイントにおいて点検作業を開始した時間が記載される「開始時間」と、点検作業を終了した時間が記載される「終了時間」との項目が設けられている。
図11の(a)に示した点検ルートでは、作業員FOによる最初(1番目)に点検ID=SGW01のチェックポイントの位置における点検作業が終了し、報告書が管理者Mによって承認されると、点検ID=SGW01のチェックポイントに対応するチェックボックスに、チェックマークCMが記載(付与)される。これにより、作業員FOは、現在のチェックポイント(点検ID=SGW01)の位置における点検作業が終了したため、点検端末装置30に表示された点検ルートに基づいて次のチェックポイント(図11の(a)においては、点検ID=SGW03のチェックポイント)に移動してもよいことを確認することができる。
また、図11の(a)に示した点検ルートでは、点検ID=SGW01のチェックポイントに対応する「開始時間」のデータ領域Fts1に点検作業を開始した時間が、点検ID=SGW01のチェックポイントに対応する「終了時間」のデータ領域Fte1に点検作業を終了した時間が、それぞれ記載(付与)される。ここで、データ領域Fts1に記載(付与)される時間としては、例えば、作業員FOが点検ID=SGW01のチェックポイントの通信可能範囲内に入った時間や、点検ID=SGW01のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において作業員FOが点検簿の取得を指示する操作(図4に示した巡回点検システム1におけるステップS130)を行った時間などが考えられる。また、データ領域Fte1に記載(付与)される時間としては、例えば、管理者Mが点検ID=SGW01のチェックポイントの報告書に対して承認(図4に示した巡回点検システム1におけるステップS180)した時間などが考えられる。
図11の(b)には、点検ID=SGW03のチェックポイントであるデータ収集機器40cに、計測機器41e、および計測機器41fの2つの計測機器41が属しており、データ収集機器40cが、各計測機器41の計測値を収集しているときの、点検ID=SGW03のチェックポイントに対応する点検簿である点検簿Bの一例を示している。図11の(b)に示した点検簿Bでは、点検対象の設備を示す「設備」、それぞれの設備に対して行う点検作業の示す「点検項目」、それぞれの設備に対して行った点検作業の結果を示す「結果」の項目が示されている。図11の(b)に示した点検簿Bでは、それぞれの点検項目の点検作業を終了した時間が記載される「終了時間」の項目が設けられている。
図11の(b)に示した点検簿Bでは、「終了時間」のデータ領域Fte2に、それぞれの点検項目の点検作業を終了した時間が、それぞれ記載(付与)される。図11の(b)に示した点検簿Bにおいて、設備=回転機M1に対して常に行う2つの点検項目(「P1振動確認」および「P1温度確認」)と、設備=回転機M2に対して常に行う1つの点検項目(「P1振動確認」)とは、データ収集機器40cが各計測機器41から収集した計測値が反映される。このため、データ領域Fte2において、設備に対して常に行う点検項目の終了時間としては、例えば、各計測機器41が計測を行った時間、データ収集機器40cが各計測機器41から計測値を収集した時間、点検端末装置30がデータ収集機器40cから送信されてきた各計測機器41の計測値のデータを対応する点検項目に入力(反映)した(図4に示した巡回点検システム1におけるステップS142)時間などが考えられる。
また、図11の(b)に示した点検簿Bにおいて、設備=回転機M1に対して必要に応じて行う3つの点検項目(「音確認」、「パイプの目視」、および「油注入」)は、管理者Mからの指示に応じて作業員FOが新たに実施する保守作業である。このため、データ領域Fte2において、設備に必要に応じて行う点検項目の終了時間としては、例えば、作業員が保守作業を終了して点検結果の項目にチェックマークCMを入力した時間や、管理者Mが保守作業の終了したことが示された報告書に対して承認(図4に示した巡回点検システム1におけるステップS180)した時間などが考えられる。
図11の(a)に示した点検ルートや、図11の(b)に示した点検簿Bのように、それぞれの項目に対して時間の情報を追加することによって、作業員FOが点検作業に要した時間や、それぞれのチェックポイントにおいて点検作業に要した時間などを把握することができ、把握した時間を、一連の巡回点検の作業に要する時間を短縮するための施策や、巡回点検の作業の改善に利用することができる。
なお、図11に示した点検ルートや点検簿の一例では、開始時間や終了時間の項目を追加した場合について示したが、時間の情報を追加する形式は、図11に示した形式に限定されるものではない。例えば、点検簿内のそれぞれの点検項目において、再点検を行った場合の時間の履歴や、承認依頼をした時間の履歴、承認結果を得た時間の履歴など、それぞれの段階における時間の履歴を記録することができるような形式にしてもよい。
また、第1の実施形態の巡回点検システム1では、図3の(b)や図7の(a)に示したように、プラント内に設置されたチェックポイントを移動する順番が示された点検ルートの一例を示した。しかし、点検ルートにおいて示す巡回する経路(ルート)の形式は、上記に示した形式に限定されるものではない。例えば、プラント内の地図上にそれぞれのチェックポイントを巡回する経路を示す点検ルートマップの形式としてもよい。そして、点検端末装置30に、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信して位置の情報を取得する機能(以下、「GPS機能」という)を備えている場合には、点検ルートマップに、GPS機能によって取得した点検端末装置30の現在の位置を示すようにしてもよい。
なお、点検ルートマップにおいて示す巡回する経路は、例えば、多くの作業を経験している(熟練した)作業員が、以前の巡回点検の作業においてプラント内のチェックポイントを巡回しているときにGPS機能によって取得した移動経路の情報に基づいて決定してもよい。このようにすることによって、まだ多くの作業を経験していない作業員であっても、点検ルートマップに従って巡回することによって、熟練した作業員と同様の経路で容易にチェックポイントを巡回することができ、より効率よく一連の巡回点検の作業を行うことができる。
なお、第1の実施形態の巡回点検システム1では、点検端末装置30と点検サーバ装置20とが、クライアント−サーバ型のシステムとして構成されている場合について説明した。しかし、上述したように、点検サーバ装置20は、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置であってもよい。つまり、上述したように、巡回点検システム1は、点検端末装置30と点検サーバ装置20とによるウェブアプリケーション型のシステムとして構成されてもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の巡回点検システム(以下、「巡回点検システム2」という)も、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、作業員FOがチェックポイントに出向いて点検作業を行い、点検作業の結果に対する管理者Mの承認を得ながらプラント内を巡回して、一連の巡回点検の作業を行う点検システムである。このため、巡回点検システム2を構成する構成要素には、図1に示した第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する構成要素と同様の構成要素も含んでいる。従って、以下の説明においては、第2の実施形態の巡回点検システム2において、第1の実施形態の巡回点検システム1の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、その構成要素に関する詳細な説明は省略する。
図12は、本発明の第2の実施形態における巡回点検システム2を構成する点検サーバ装置と点検端末装置との概略構成を示したブロック図である。図12に示したように、巡回点検システム2では、図1および図2に示した第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検サーバ装置20が点検サーバ装置21に代わり、点検端末装置30が点検端末装置31に代わっている。なお、図12においても、巡回点検システム2を構成する点検データベース10とデータ収集機器40とも併せて示している。なお、巡回点検システム2において、点検データベース10とデータ収集機器40とは、図1および図2に示した第1の実施形態の巡回点検システム1と同様である。
点検サーバ装置21は、制御部201と、クライアント通信部202と、データインターフェース部203と、表示部204と、作業承認部205と、点検簿データ部216と、作業承認依頼部217とを含んで構成される。また、点検端末装置31は、制御部301と、サーバ通信部302と、機器通信部304と、表示部315とを含んで構成される。
図12に示したように、巡回点検システム2では、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えていた点検簿データ部303および作業承認依頼部306を、点検簿データ部216および作業承認依頼部217として点検サーバ装置21に備えた構成である。言い換えれば、巡回点検システム2では、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えていた点検簿データ部303と作業承認依頼部306とが、点検サーバ装置21に移動した構成である。また、点検端末装置31では、表示部305が表示部315に代わっている。
なお、巡回点検システム2において、その他の構成要素は、図2に示した第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する対応する構成要素と同様である。従って、以下の説明においては、第2の実施形態の巡回点検システム2を構成する構成要素において、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付与して、それぞれの構成要素の機能に関する詳細な説明は省略し、点検端末装置30に備えていた構成要素が点検サーバ装置21に移動したことによって異なる動作についてのみを説明する。
まず、点検端末装置31において、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えた構成要素から代わった構成要素について説明する。
表示部315は、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えた表示部305と同様に、制御部301から出力されたデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、点検端末装置31を携帯している作業員FOに様々な情報を提示する。また、表示部315は、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えた作業承認依頼部306に代わって、作業員FOによる様々な操作を受け付ける。つまり、表示部315は、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えた表示部305と作業承認依頼部306との機能を備えている。点検端末装置31において表示部315は、例えば、文字や画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示デバイスと、押圧センサなどによって作業員FOによるタップやフリックなどの各種のタッチ操作を検出する検出デバイスとが組み合わされたタッチパネルとして構成されている。表示部315は、表示デバイス上に表示画面を表示すると共に、表示画面に対して作業員FOが行った操作を検出デバイスによって検出し、検出した操作を表す情報を、制御部301に出力する。例えば、表示部315は、作業員FOによる報告書の承認依頼を要求するタッチ操作を検出すると、報告書の承認依頼の要求がされたことを表す情報を制御部301に出力する。なお、表示部315は、表示デバイスと検出デバイスとが組み合わされたタッチパネルとしての構成に限定されるものではなく、例えば、表示デバイスと、ボタンやスイッチ類などの入力デバイスとによって構成されてもよい。
続いて、点検サーバ装置21において、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検サーバ装置20に追加された構成要素について説明する。
点検簿データ部216は、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えた点検簿データ部303と同様に、制御部201からの制御に応じて、制御部201から出力されたデータを記憶、または記憶しているデータを制御部201に出力するデータ記憶装置である。より具体的には、点検簿データ部216は、制御部201からのデータ書き込みの制御に応じて、制御部201から出力された点検ルートや、点検簿のデータを記憶する。また、点検簿データ部216は、制御部201からのデータ更新の制御に応じて、記憶している点検簿のデータに含まれる点検結果のデータ領域(点検簿に示された点検リストにおいて制御部201から指定された点検作業の項目の点検結果のデータ領域)に、点検端末装置31から送信され制御部201から出力された、計測機器41の計測値のデータや、作業員FOが実施した点検作業の点検結果のデータを記憶(更新)する。また、点検簿データ部216は、制御部201からのデータ読み出しの制御に応じて、記憶しているデータ(点検ルートのデータや点検簿のデータなど)を、制御部201に出力する。
なお、点検簿データ部216は、第1の実施形態の巡回点検システム1を構成する点検端末装置30に備えた点検簿データ部303と同様に、制御部201からの制御に応じて、制御部201から出力されたデータを一時的に記憶(保持)する、例えば、DRAMなどの構成であってもよい。
作業承認依頼部217は、点検簿データ部216に記憶している点検簿のデータを監視し、点検簿が報告書として承認依頼を受けられる状態であるか否かを判定する判定部である。作業承認依頼部217は、点検簿データ部216に記憶している点検簿のデータに含まれる全ての点検結果のデータ領域に、計測機器41の計測値のデータや点検作業の点検結果のデータが記憶(更新)された場合に、点検簿が報告書として承認依頼を受けられる状態であると判定する。作業承認依頼部217は、判定した点検簿の状態を表す通知信号を、制御部201に出力する。なお、点検サーバ装置21では、制御部201が、作業承認依頼部217から出力された通知信号が、点検簿が報告書として承認依頼を受けられる状態であることを表しており、点検端末装置31から、作業員FOによって報告書の承認依頼の要求がされたことを表す情報が送信されてきたときに、承認依頼があったものとして処理が行われる。
このような構成によって、巡回点検システム2では、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様の処理を、ウェブアプリケーション型のシステム構成で実現する。より具体的には、巡回点検システム2では、点検端末装置31が、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介した通信によって、点検サーバ装置21から送信されてきた点検簿を表示部315に表示する。また、巡回点検システム2でも、データ収集機器40が、対応する計測機器41が計測した計測値を収集する。そして、巡回点検システム2では、点検端末装置31が、データ収集機器40が収集した計測機器41の計測値を取得し、取得した計測機器41の計測値を、無線通信ネットワークを介して点検サーバ装置21に出力(送信)する。点検サーバ装置21は、点検端末装置31から出力(送信)された計測機器41の計測値を、点検簿データ部216に記憶している点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に反映させる。そして、点検サーバ装置21は、計測機器41の計測値が反映された点検簿を、無線通信ネットワークを介して点検端末装置31に出力(送信)する。点検端末装置31は、点検サーバ装置21から出力(送信)された点検簿を表示部315に表示することによって、計測機器41の計測値が反映された点検簿を、作業員FOに提示する。これにより、プラント内を巡回して巡回点検を行う作業員FOは、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、到着したチェックポイントにおいて、点検リストに計測値が反映されていない点検作業のみを行うことができる。
また、巡回点検システム2では、点検簿データ部216に記憶している、計測機器41が計測した計測値や点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿を報告書として、管理者Mに提示する。これにより、管理者Mは、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、作業員FOが点検作業を行っている現在のチェックポイントの位置の周辺に配置されている設備の点検結果をすぐに確認することができ、必要に応じて新たな点検作業の指示を行うことができる。また、巡回点検システム2においても、作業員FOが、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、行った点検作業の点検結果が管理者Mによって承認された後に、次のチェックポイントの向かうことによって、効率よく一連の巡回点検の作業を行うことができる。
次に、巡回点検システム2が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行う際の処理および作業について説明する。図13は、本第2の実施形態の巡回点検システム2が構築されたプラントにおいて巡回点検の点検作業を行う際の処理および作業の流れ(処理シーケンス)を示したシーケンス図である。図13には、図4に示した第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同様に、作業員FOが巡回点検の点検作業を行う際に動作する、巡回点検システム2を構成する点検端末装置31、データ収集機器40、および点検サーバ装置21のそれぞれにおける処理の流れの一例を示している。なお、図13にも、図4に示した第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同様に、巡回点検において点検作業を行う作業員FOの作業(点検端末装置31に対する操作)と、巡回点検の報告書(チェックポイントにおいて行った点検作業の点検結果)を確認して承認を行う管理者Mの作業(点検サーバ装置21に対する操作)とも併せて示している。
なお、以下の説明においても、点検データベース10に、点検ルートのデータ、および点検簿のデータなどがすでに記憶されているものとする。また、以下の説明においては、点検端末装置31は、点検サーバ装置21との間のデータや情報のやり取りを、公衆のインターネットによって行い、データ収集機器40との間のデータや情報のやり取りを、WiFi(登録商標)などの無線通信によって行うものとする。また、以下の説明においては、ウェブアプリケーション型の巡回点検システム2におけるサーバ装置として動作するサーバソフトウェア(例えば、点検ソフトウェア)が点検サーバ装置21において実行されており、ウェブアプリケーション型の巡回点検システム2におけるクライアント装置として動作するクライアントプログラム(例えば、点検アプリケーションプログラム)が点検端末装置31において実行されているものとする。ここで、巡回点検システム2において点検端末装置31が実行する点検アプリケーションとしては、例えば、ウェブブラウザ(Webブラウザ)によって点検サーバ装置21が実行している点検ソフトウェアと連携し、表示画面の表示や、表示画面に対して行った操作を受け付けるアプリケーションなどが考えられる。
なお、図13に示した巡回点検システム2における処理シーケンスには、図4に示した第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同様の処理や作業が含まれている。そして、図13においては、図4に示した第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同様の処理や作業に、同一のステップ番号を付与して示している。従って、図13に示した巡回点検システム2における処理シーケンスの説明では、第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同一のステップ番号を付与した処理や作業に関する詳細な説明は省略する。
まず、巡回点検における準備段階において、作業員FOは、巡回点検を開始する前に、点検端末装置31を操作して点検ルートの取得を指示する(ステップS110)。これにより、点検端末装置31は、ステップS110における作業員FOからの点検ルートの取得指示に応じて、点検ルートの送信の要求を、インターネットを介して、点検サーバ装置21に送信する(ステップS111)。
点検サーバ装置21は、インターネットを介して送信されてきた点検ルートの送信要求に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検ルートのデータを読み出して記憶する(ステップS412)。そして、点検サーバ装置21は、記憶した点検ルートを表す点検ルート画面のデータを点検端末装置31に送信する(ステップS413)。より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた点検ルートの送信要求を受信すると、ステップS412において、点検ルートが要求されたことを表す情報を制御部201に出力する。これにより、制御部201は、点検データベース10に記憶(保存)されている点検ルートのデータを読み出すことを指示する制御信号をデータインターフェース部203に出力する。データインターフェース部203は、制御部201から出力された点検ルートの読み出しの制御に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検ルートのデータを検索し、要求された点検ルートに合致するデータを、点検データベース10から読み出して制御部201に出力する。制御部201は、データインターフェース部203から出力された点検ルートのデータと、この点検ルートのデータを書き込むことを指示する制御信号を点検簿データ部216に出力する。点検簿データ部216は、制御部201から出力された点検ルートのデータの書き込みの制御に応じて、制御部201から出力された点検ルートのデータを記憶する。また、制御部201は、データインターフェース部203から出力された点検ルートを表す点検ルート画面のデータ(例えば、レイヤー)を、クライアント通信部202に出力する。これにより、クライアント通信部202は、ステップS413において、制御部201から出力された点検ルート画面のデータを、インターネットを介して、点検端末装置31に備えたサーバ通信部302に送信する。
点検端末装置31は、インターネットを介して送信されてきた点検ルート画面を作業員FOに提示する(ステップS414)。より具体的には、サーバ通信部302は、クライアント通信部202から送信されてきた点検ルート画面のデータを受信すると、受信した点検ルート画面のデータを制御部301に出力する。これにより、制御部301は、サーバ通信部302から出力された点検ルート画面のデータと、この点検ルート画面のデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。表示部305は、ステップS414において、制御部301から出力された点検ルート画面のデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、インターネットを介して点検サーバ装置21から送信されてきた点検ルート画面を作業員FOに提示する。これにより、作業員FOは、点検端末装置31に点検ルート画面が表示された状態で最初(1番目)のチェックポイントに移動する(出向く)ことができる。
その後、作業員FOが、点検端末装置31に表示された点検ルート画面に基づいてチェックポイントに移動する(ステップS120)。
そして、巡回点検における点検作業段階において、作業員FOは、移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において、点検端末装置31を操作して、点検簿の取得を指示する(ステップS430)。より具体的には、作業員FOは、ステップS430において、点検端末装置31に備えた表示部305の表示画面を操作(例えば、点検ルート画面上の「点検簿取得ボタン」をタップ)し、点検簿の取得を指示する。これにより、点検端末装置31は、ステップS430における作業員FOからの点検簿の取得指示に応じて、点検IDの送信の要求を、無線通信によってデータ収集機器40に送信する(ステップS131)。これにより、データ収集機器40は、無線通信によって送信されてきた点検IDの送信要求に応じて、自身の点検IDの情報を、無線通信によって点検端末装置31に送信する(ステップS132)。
なお、点検端末装置31が、無線通信によってデータ収集機器40とデータや情報の送受信を行うことができる通信可能範囲内に入ったことを自動で判定する構成である場合には、作業員FOは、ステップS430において点検簿の取得を指示する操作を行わなくてもよい。この場合、点検端末装置31は、作業員FOが移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において、データや情報の送受信を行うことができるデータ収集機器40との無線通信を自動で開始し、ステップS131において、点検IDの送信要求がデータ収集機器40に送信され、ステップS132において、データ収集機器40から、点検IDの情報が送信されてくる。
点検端末装置31は、無線通信によって送信されてきたデータ収集機器40の点検IDを受信すると、受信した点検IDに対応する点検簿の送信の要求を、インターネットを介して、点検サーバ装置21に送信する(ステップS133)。
点検サーバ装置21は、インターネットを介して送信されてきた点検簿の送信要求に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検簿のデータを読み出して記憶する(ステップS434)。より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた点検IDと点検簿の送信要求とを受信すると、ステップS434において、点検IDの情報と、点検簿が要求されたことを表す情報とを制御部201に出力する。これにより、制御部201は、点検データベース10に記憶(保存)されている点検IDに対応する点検簿のデータを読み出すことを指示する制御信号をデータインターフェース部203に出力する。データインターフェース部203は、制御部201から出力された点検簿の読み出しの制御に応じて、点検データベース10に記憶(保存)されている点検IDに対応する点検簿のデータを検索し、要求された点検簿に合致するデータを、点検データベース10から読み出して制御部201に出力する。制御部201は、データインターフェース部203から出力された点検簿のデータと、この点検簿のデータを書き込むことを指示する制御信号を点検簿データ部216に出力する。点検簿データ部216は、制御部201から出力された点検簿のデータの書き込みの制御に応じて、制御部201から出力された点検簿のデータを記憶する。
続いて、点検端末装置31は、対応する計測機器41のデータ(計測値)の送信の要求を、無線通信によってデータ収集機器40に送信する(ステップS140)。これにより、データ収集機器40は、無線通信によって送信されてきた計測機器41の計測値の送信要求に応じて、対応する各計測機器41の計測値のデータを、無線通信によって点検端末装置31に送信する(ステップS141)。
点検端末装置31は、無線通信によってデータ収集機器40から送信されてきた各計測機器41の計測値のデータを受信すると、受信した各計測機器41の計測値のデータを、インターネットを介して、点検サーバ装置21に送信する(ステップS442)。より具体的には、機器通信部304は、ステップS141において無線通信によって送信されてきたデータ収集機器40が対応する各計測機器41の計測値のデータを受信すると、受信した各計測機器41の計測値のデータを制御部301に出力する。これにより、制御部301は、ステップS442において、機器通信部304から出力された各計測機器41の計測値のデータと、この各計測機器41の計測値のデータを送信することを表す指示信号(制御信号)をサーバ通信部302に出力する。これにより、サーバ通信部302は、制御部301から出力された測定値のデータを送信する指示信号に従って、各計測機器41の計測値のデータを、インターネットを介して、点検サーバ装置21に備えたクライアント通信部202に送信する。
点検サーバ装置21は、インターネットを介して送信されてきた各計測機器41の計測値のデータを受信すると、受信した各計測機器41の計測値のデータを、点検簿データ部216に記憶している点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力(反映)して、点検簿データ部216に記憶している点検簿を更新させる(ステップS443)。より具体的には、クライアント通信部202は、ステップS442においてインターネットによって送信されてきたデータ収集機器40が対応する各計測機器41の計測値のデータを受信すると、受信した各計測機器41の計測値のデータを制御部201に出力する。これにより、制御部201は、ステップS443において、それぞれの計測機器41の計測値のデータと、この計測機器41の計測値のデータに対応する点検簿に示された点検リスト内の点検作業の項目における点検結果のデータ領域を更新することを表す制御信号とを、点検簿データ部216に出力する。これにより、点検簿データ部216は、制御部201からのデータ更新の制御に応じて、計測機器41の計測値のデータに紐づけられた、計測機器41を識別するための識別情報である機器IDに基づいて、点検簿に示された点検リストの対応する点検項目の点検結果のデータ領域に、制御部201から出力された計測機器41の計測値のデータを記憶(更新)する。
なお、ステップS443における点検簿の更新、つまり、点検端末装置31を介してデータ収集機器40から受信した各計測機器41の計測値のデータを点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力(反映)する処理を行った点検簿は、第1の実施形態の巡回点検システム1において、点検端末装置30が各計測機器41の計測値のデータを反映した点検簿と同様である。つまり、第1の実施形態の巡回点検システム1において図5を用いて模式的に示した一例と同様である。従って、ステップS443における点検簿の更新の処理の一例についての詳細な説明は省略する。
点検サーバ装置21は、記憶した点検簿を表す点検簿画面のデータを点検端末装置31に送信する(ステップS444)。より具体的には、制御部201は、計測機器41の計測値のデータを反映した点検簿のデータを読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部216に出力する。点検簿データ部216は、制御部201から出力された点検簿のデータの読み出しの制御に応じて、記憶している点検簿のデータを制御部201に出力する。制御部201は、点検簿データ部216から出力された点検簿を表す点検簿画面のデータ(例えば、レイヤー)を、クライアント通信部202に出力する。これにより、クライアント通信部202は、ステップS444において、制御部201から出力された点検簿画面のデータを、インターネットを介して、点検端末装置31に備えたサーバ通信部302に送信する。
点検端末装置31は、インターネットを介して送信されてきた点検簿画面を作業員FOに提示する(ステップS445)。より具体的には、サーバ通信部302は、クライアント通信部202から送信されてきた点検簿画面のデータを受信すると、受信した点検簿画面のデータを制御部301に出力する。これにより、制御部301は、サーバ通信部302から出力された点検簿画面のデータと、この点検簿画面のデータを表示させることを指示する制御信号を表示部305に出力する。表示部305は、ステップS445において、制御部301から出力された点検簿画面のデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、インターネットを介して点検サーバ装置21から送信されてきた点検簿画面を作業員FOに提示する。これにより、作業員FOは、点検端末装置31に表示された点検簿画面(点検簿:点検リスト)を確認して、現在のチェックポイントの位置において実施する必要がある点検作業を確認することができる。
その後、作業員FOは、点検端末装置31に表示された点検簿画面に基づいて、実施する必要がある点検作業を実施する(ステップS150)。そして、作業員FOは、実施した点検作業の点検結果を、点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力する(ステップS451)。より具体的には、作業員FOは、ステップS451において、点検端末装置31に備えた表示部305の表示画面を操作し、行った点検作業に対応する点検簿に示された点検リスト内の点検作業の項目の点検結果のデータ領域を選択(例えば、点検簿画面でデータ領域Fvをタップ)して、点検作業の点検結果を入力する。制御部301は、ステップS451において表示部305によって点検作業の点検結果が入力されると、ステップS442における処理と同様に、選択されたデータ領域を表す情報と、入力された点検結果のデータとを、インターネットを介して、点検サーバ装置21に送信する(ステップS452)。
点検サーバ装置21は、インターネットを介して送信されてきたデータ領域の情報と点検結果のデータとを受信すると、ステップS443における処理と同様に、受信した点検結果のデータを、点検簿データ部216に記憶している点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に入力(反映)して、点検簿データ部216に記憶している点検簿を更新させる(ステップS453)。より具体的には、クライアント通信部202は、ステップS452においてインターネットによって送信されてきたデータ領域を表す情報と点検結果のデータとを受信すると、受信したデータ領域を表す情報と点検結果のデータとを制御部201に出力する。これにより、制御部201は、ステップS453において、点検結果のデータと、このデータ領域を表す情報に対応する点検簿に示された点検リスト内の点検作業の項目における点検結果のデータ領域を更新することを表す制御信号とを、点検簿データ部216に出力する。これにより、点検簿データ部216は、制御部201からのデータ更新の制御に応じて、点検簿に示された点検リスト内のデータ領域の情報に表された点検項目の点検結果のデータ領域に、制御部201から出力された点検結果のデータを記憶(更新)する。そして、制御部301は、ステップS444における処理と同様に、更新した点検簿を表す点検簿画面のデータを、インターネットを介して点検端末装置31に送信する。これにより、点検端末装置31は、ステップS445における処理と同様に、インターネットを介して送信されてきた点検簿画面を作業員FOに提示する。
作業員FOは、点検端末装置31に表示された点検簿画面に基づいて、実施する必要がある全ての点検作業の実施、つまり、ステップS150およびステップS451の処理および作業を繰り返す。これにより、点検端末装置31に表示された点検簿画面内の全ての点検項目に、計測機器41の計測値のデータまたは作業員FOが実施した点検作業の点検結果のデータが反映される。なお、作業員FOは、ステップS445において提示された計測機器41の計測値のデータが反映された点検簿画面を確認した結果、現在のチェックポイントの位置において実施する必要がある点検作業がないことが確認された場合には、ステップS150およびステップS451の処理および作業を行う必要はない。
ここで、作業承認依頼部217は、ステップS443またはステップS453における点検簿内のデータ領域の記憶(更新)の処理によって、点検簿データ部216に記憶している点検簿のデータに含まれる全ての点検項目のデータ領域に、計測機器41の計測値のデータや点検結果のデータが記憶(更新)されたと判定すると、点検簿が報告書として承認依頼を受けられる状態であることを表す通知信号を、制御部201に出力する。
その後、巡回点検における承認段階において、作業員FOは、点検端末装置31に表示された点検簿画面の全ての点検項目に計測機器41の計測値のデータまたは作業員FOが実施した点検作業の点検結果のデータが反映されたとき、つまり、現在の位置のチェックポイントにおける点検作業を終了したとき、報告書の承認依頼を指示する(ステップS460)。より具体的には、作業員FOは、ステップS460において、点検端末装置31に備えた表示部305の表示画面を操作(例えば、点検簿画面上の「承認依頼ボタン」をタップ)し、承認依頼の要求を指示する。これにより、点検端末装置31は、ステップS460における作業員FOからの承認依頼の要求指示に応じて、報告書に対する承認依頼の要求を、点検サーバ装置21に送信する(ステップS461)。より具体的には、制御部301は、ステップS461において、報告書(点検簿)のデータに対する承認依頼を要求することを表す指示信号(制御信号)をサーバ通信部302に出力する。これにより、サーバ通信部302は、制御部301から出力された承認依頼を要求する指示信号に従って、報告書(点検簿)に対する承認依頼の要求を、インターネットを介して、点検サーバ装置21に備えたクライアント通信部202に送信する。
点検サーバ装置21は、インターネットを介して送信されてきた承認依頼の要求に応じて、報告書と承認依頼とを管理者Mに提示する(ステップS462)。より具体的には、クライアント通信部202は、サーバ通信部302から送信されてきた承認依頼の要求を受信すると、報告書に対する承認依頼があったことを表す情報とを制御部201に出力する。これにより、制御部201は、作業承認依頼部217から出力された通知信号が、点検簿が報告書として承認依頼を受けられる状態であることを表している場合、クライアント通信部202から出力された報告書に対する承認依頼があったことを表す情報に基づいて、記憶している点検簿のデータを報告書として読み出すことを指示する制御信号を点検簿データ部216に出力する。点検簿データ部216は、制御部201から出力された点検簿(報告書)の読み出しの制御に応じて、記憶している点検簿のデータを、制御部201に出力する。そして、制御部201は、点検簿データ部216から出力された報告書のデータと、この報告書のデータを書き込むことを指示する制御信号をデータインターフェース部203に出力する。データインターフェース部203は、制御部201から出力された報告書の書き込みの制御に応じて、制御部201から出力された報告書のデータを、点検データベース10に記憶(保存)させる。また、制御部201は、点検簿データ部216から出力された報告書のデータと、この報告書のデータおよび承認依頼を表す情報を表示させることを指示する制御信号を表示部204に出力する。表示部204は、ステップS462において、制御部201から出力された報告書のデータおよび承認依頼の情報に応じた表示画面を生成して表示することによって、点検簿データ部216に記憶している計測機器41の計測値のデータや点検結果のデータが反映された報告書を管理者Mに提示する。
その後、管理者Mは、点検サーバ装置21に表示された報告書の内容、つまり、作業員FOが実施した現在のチェックポイントの位置における点検作業の点検結果を確認する(ステップS170)。そして、管理者Mは、点検サーバ装置21に表示された報告書の内容に基づいて、報告書の承認依頼に対する承認結果を入力する(ステップS180)。これにより、点検サーバ装置21は、報告書の承認結果の情報を、インターネットを介して、点検端末装置31に送信する(ステップS181)。
点検端末装置31は、インターネットを介して送信されてきた承認結果の情報を、作業員FOに提示する(ステップS182)。これにより、作業員FOは、点検端末装置31に表示された報告書に対する承認結果を確認することができる。なお、作業員FOは、点検端末装置31に表示された報告書に対する承認結果した結果、実施した点検作業の結果が承認されなかった場合には、図4に示した第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同様に、巡回点検における点検作業段階の処理および作業と、巡回点検における承認段階の処理および作業を再び行う。つまり、作業員FOは、巡回点検システム2におけるステップS150〜ステップS182の処理および作業を繰り返す。
なお、報告書に対する承認結果に示される管理者Mからの再点検や新たな点検作業の指示の方法は、第1の実施形態の巡回点検システム1において再点検や新たな点検作業を指示する方法と同様である。つまり、第1の実施形態の巡回点検システム1において図6を用いて模式的に示した一例と同様である。従って、管理者Mが再点検や新たな点検作業を指示する方法の一例についての詳細な説明は省略する。
作業員FOは、ステップS182において点検端末装置31に表示された報告書に対する承認結果、実施した点検作業の結果が承認された場合には、現在のチェックポイントの位置における点検作業を終了する(ステップS190)。そして、作業員FOは、第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同様に、点検端末装置31に表示された点検ルート画面に基づいて次のチェックポイントに移動して(出向いて)、移動してきた現在のチェックポイントの通信可能範囲内の位置において同様に点検作業を行う。つまり、作業員FOは、図13に示した巡回点検システム2におけるステップS120〜ステップS190の処理および作業(巡回点検における点検作業段階および承認段階の処理および作業)を、点検端末装置31に表示された点検ルート画面に示された全てのチェックポイントにおける点検作業が完了するまで繰り返す。
このような処理および作業の流れ(処理シーケンス)によって、巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1における処理シーケンスと同様に、作業員FOが点検端末装置31を携帯してプラント内に設置されたそれぞれのチェックポイントを順次移動し、管理者Mによる点検結果の承認を得ながら、一連の巡回点検の作業を行う。
なお、巡回点検システム2が構築されたプラントにおいても、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、増設された計測機器41を点検簿に示された点検リストの点検項目に紐づけることができる。第1の実施形態の巡回点検システム1において図9に示した第1の紐づけ作業や、図10に示した第2の紐づけ作業における処理および作業の流れ(処理シーケンス)と同様に考えることができる。従って、巡回点検システム2において増設された計測機器41を点検簿に示された点検リストの点検項目に紐づける処理および作業の流れ(処理シーケンス)に関する詳細な説明は省略する。
上記に述べたように、第2の実施形態の巡回点検システム2では、点検端末装置31が、点検サーバ装置21から送信されてきた点検簿を表す点検簿画面を表示する。言い換えれば、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、点検端末装置31が、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、点検サーバ装置21から点検簿を取得する。また、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、データ収集機器40が、対応する計測機器41が計測した計測値を収集する。そして、第2の実施形態の巡回点検システム2では、点検端末装置31が、データ収集機器40が収集した計測機器41の計測値を取得して点検サーバ装置21に送信し、点検サーバ装置21が、点検端末装置31から送信された計測機器41の計測値を点検簿に示された点検リストの対応する点検項目に反映させて、計測機器41の計測値が反映された点検簿画面を点検端末装置31に送信する。これにより、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様の効果を得ることができる。より具体的には、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、点検端末装置31を携帯してプラント内を巡回しながら巡回点検を行う作業員FOは、到着したチェックポイントにおいて、すでに計測機器41の計測値が反映された点検簿画面、つまり、点検簿(点検リスト)を確認することができる。これにより、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、作業員FOが、点検簿(点検リスト)に計測機器41の計測値が反映されていない点検作業のみを行うことができる。
また、第2の実施形態の巡回点検システム2では、点検サーバ装置21が、点検端末装置31からの要求に応じて、計測機器41が計測した計測値や点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿を報告書として、例えば、事務所などに待機している管理者Mに提示する。そして、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、作業員FOが、それぞれのチェックポイントに属する設備に対する点検作業の承認を得ながらプラント内を巡回して点検作業を行う。これにより、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様の効果を得ることができる。より具体的には、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、管理者Mが、作業員FOがいる現在の位置のチェックポイントに属する設備の点検結果をすぐに確認することができ、必要に応じて新たな点検作業の指示を行うことができる。また、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、作業員FOは、行った点検作業の点検結果に対して管理者Mによる承認を得ることによって、現在の位置のチェックポイントにおいて行った点検作業の確実性を向上させることができる。また、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、作業員FOは、行った点検作業の点検結果が管理者Mによって承認された後に次のチェックポイントの向かうことによって、一度点検作業を行った設備の場所に再度出向いて再点検を行うなど、点検作業に要する時間が長くなる要因を排除することができ、一連の巡回点検の作業を効率よく行うことができる。
また、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、増設された計測機器41を点検簿の点検項目に紐づけて、点検簿を更新し、更新した点検簿に対して管理者Mの承認を得る。これにより、第2の実施形態の巡回点検システム2でも、第1の実施形態の巡回点検システム1と同様に、更新した点検簿の確実性を向上させることができ、点検簿の全ての点検項目に計測機器41が紐づけられた場合には、再点検や保守作業などの作業の指示が出されたときを除いて、作業員FOがプラント内を巡回するのみで、一連の巡回点検が完了することができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、巡回点検システムでは、プラント内に配置された設備に、設備の動作状態を計測する計測機器が設置され、プラント内の予め定められた位置にチェックポイントとして設置されたデータ収集機器が、周辺の予め定めた範囲(エリア)に配置されている設備に設置されている計測機器が計測した計測値を収集する。そして、本発明を実施するための形態では、プラント内を巡回してそれぞれの設備において点検作業を行う作業員が、点検ルートが表示された点検端末装置を携帯して、データ収集機器がデータや情報の送受信を行うことができる通信可能範囲内に出向くことによって、データ収集機器に対応する点検簿を点検サーバ装置から点検端末装置に取得する。このとき、本発明を実施するための形態では、データ収集機器が収集し、取得する点検簿に紐づけられている計測機器の計測値を、点検簿内の点検結果に反映する。これにより、本発明を実施するための形態では、点検端末装置にデータ収集機器に対応する点検簿を取得した段階で、点検簿(点検リスト)には、すでに計測機器の計測値が反映されている。これにより、本発明を実施するための形態では、作業員が、出向いたチェックポイントの位置のデータ収集機器に属している周辺の設備に対して、計測機器の計測値が反映されていない点検項目の点検作業のみを行うことができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、作業員が実際にそれぞれの設備のところに出向いて点検作業を行う必要がある点検項目を少なくすることができ、出向いたチェックポイント(データ収集機器)に属している設備に対して行う点検作業に要する時間を削減することができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、それぞれのチェックポイントごとに、チェックポイントに属している設備の点検結果を入力した点検簿を、報告書として点検サーバ装置に送信する。これにより、本発明を実施するための形態では、プラント内に配置されたそれぞれの設備の運用(稼働)を管理する管理者が、チェックポイントに属している設備の点検結果を早い段階で確認することができ、必要に応じて、設備に対する再点検や追加の点検作業を、チェックポイントの位置にいる作業員に指示することができる。また、本発明を実施するための形態では、作業員は、点検サーバ装置に送信した報告書に対する管理者の承認を得てから、次のチェックポイント(次のチェックポイントとして設置されたデータ収集機器の通信可能範囲)に移動する。つまり、本発明を実施するための形態では、作業員は、それぞれのチェックポイントごとに、点検結果に対する管理者の承認を得ながら(点検作業を確実に行いながら)、プラント内に設置されたチェックポイントを巡回する。言い換えれば、本発明を実施するための形態では、作業員が、いわゆる、ウォークラリーのようにチェックポイントを巡回する。これにより、本発明を実施するための形態では、それぞれのチェックポイントごとの点検作業の確実性を向上させ、点検作業に要する時間が長くなる要因を排除して、一連の巡回点検の作業を効率よく行うことができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、設備に設置する計測機器が増設された場合に、点検端末装置を使用して、増設した計測機器と対応する点検簿とを紐づけ、管理者の承認を得て点検簿を更新する。これにより、本発明を実施するための形態では、作業員が実際にそれぞれの設備のところに出向いて点検作業を行う必要がある点検項目を少なくすることができ、出向いたチェックポイント(データ収集機器)に属している設備に対して行う点検作業に要する時間をさらに削減することができる。例えば、プラント内に配置された全ての設備に計測機器が設置されるなどによって、点検簿の全ての点検項目に計測機器が紐づけられた場合には、再点検や保守作業などの管理者から指示された作業を除いて、作業員が実際に設備のところに出向いて行う点検作業がなくなり、最終的には、作業員がプラント内のチェックポイントとして設置されたデータ収集機器の通信可能範囲を巡回するのみで、一連の巡回点検が完了することができる。
なお、本発明を実施するための形態では、計測機器の計測値や作業員が実施した点検作業の点検結果が入力(反映)された点検簿(点検リスト)を報告書とし、管理者Mが、この報告書の内容を確認して、再点検を行う必要があるか否か、新たに行う必要がある点検作業があるか否か、点検作業の結果を承認するか否かを判定する、つまり、報告書に対する承認を行う場合について説明した。しかし、報告書に対する承認方法は、それぞれの実施形態に示した方法に限定されるものではない。例えば、点検サーバ装置に、報告書に示された点検リスト内の点検項目に対応する点検結果のデータ領域に入力(反映)された計測値を、予め定めた閾値に基づいて判定する自動判定機能を備えることによって、再点検を行う必要があるか否か、新たに行う必要がある点検作業があるか否か、点検作業の結果を承認するか否かを、自動で判定する構成にしてもよい。この場合、例えば、図6に示した報告書に対する承認結果の一例では、設備=回転機M1に対して常に行う4つの点検項目のそれぞれに対応する点検結果のデータ領域Fv1内に入力(反映)されているそれぞれの計測値を自動判定機能によって判定し、判定した結果に基づいて、点検項目=「油注入」の点検作業領域Fw1のグレーアウトを自動で解除する。これにより、報告書に対する承認を依頼してから、承認が得られるまでに要する時間を、より短縮することができる。
なお、点検サーバ装置に備える自動判定機能を、点検端末装置に備える構成にしてもよい。この場合、報告書に対する承認を依頼する時点で、より確実性の高い報告書を点検サーバ装置に送信することができ、再点検と承認依頼との切り返し回数を少なくして、より効率よく一連の巡回点検の作業を行うことができる。
なお、本発明を実施するための形態では、巡回点検システムが、設備が配置された領域として、プラントにおいて利用されている(構築されている)場合について説明した。しかし、本発明の巡回点検システムは、プラントへの利用に限定されるものではない。例えば、本発明の巡回点検システムの考え方は、建屋内のエレベータなどの巡回点検や、水道管の亀裂や漏水チェックなどの巡回点検にも利用することができる。
なお、例えば、図1、図2、または図12において示した点検サーバ装置20(点検サーバ装置21)や点検端末装置30(点検端末装置31)を構成する各構成要素による処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の巡回点検システムに係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。