JP6297356B2 - 建物の制震構造 - Google Patents
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Description
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、隙間は、スペーサにプレートの厚みよりも大きい長さで突設される凸部を、プレートを貫通してボルト及びナットの少なくとも一方側に当接させることで設定されることを特徴とするものである。
なお、「ボルト及びナットの少なくとも一方側に当接」とは、ボルト及びナットに直接当接させる場合は勿論、ワッシャーを介して間接的に当接させる場合も含む趣旨である。
請求項3に記載の発明は、請求項1の構成において、ボルト頭部とプレートとの間及びナットとプレートとの間の少なくとも一方にワッシャーを介装し、隙間は、ワッシャーにプレートの厚みよりも大きい長さで突設される凸部を、プレートを貫通してスペーサに当接させることで設定されることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2の構成において、ボルト頭部とプレートとの間及びナットとプレートとの間の少なくとも一方にワッシャーを介装し、凸部を、プレートとワッシャーとを合わせた厚みよりも大きい長さで突設してプレート及びワッシャーを貫通させることを特徴とするものである。
請求項2及び4に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、スペーサを利用した簡単な形状変更で隙間が容易に設定可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、ワッシャーを利用した簡単な形状変更で隙間が容易に設定可能となる。
図1は、建物の一例であるラック倉庫における水平構面の一部を示す説明図で、ラック倉庫1は、四方に位置する柱2,2・・間の短手方向を水平な梁材3,3・・で繋ぎ、長手方向をブラケット5.5・・を介して水平な桁材4,4・・で繋いだ軸組構造となっている。以後、このラック倉庫1においては、図1の左右を前後方向、上下を左右方向として説明する。
そして、地震等による加振時に前後方向へ変形すると、粘弾性ダンパー6では、スペーサ16の凸部17への長孔18の案内によって、回転変形が抑えられた第1プレート7と第2プレート8とが前後方向へ交互に移動し、粘弾性体9を前後方向にせん断変形させる。この粘弾性体9の変形によって振動エネルギーを吸収して減衰作用を生じさせる。
また、上記形態では、スペーサ16の下面にのみ凸部17を設けているが、図5,6に示すように、スペーサ16の上面にも、第2プレート8の厚みよりも大きい長さでリング状に突出する凸部17を同軸で設けて、第2プレート8に設けた長孔19を貫通させるようにしてもよい。この場合も図7のように粘弾性体9の左右にボルト12及びナット15、ワッシャー13,14、スペーサ16の組を二組以上設けることができる。
この粘弾性ダンパー6Aは、図9にも示すように、同じ大きさで矩形状の第1プレート20と第2プレート21とを用い、第1プレート20をフレーム面の中央側に、第2プレート21を梁材3側にそれぞれずらした状態で粘弾性体9を挟んで重合し、第2プレート21の端部を梁材3の上面にボルト止めする一方、第1プレート20の端部を一対のブレース11,11によって梁材3と桁材4との仕口部のブラケット5,5にそれぞれ接合したもので、粘弾性体9の左右両側には、先の形態と同様に、ワッシャー13,14を介して第1プレート20と第2プレート21とを連結するボルト12及びナット15が設けられて、両プレート20,21間にボルト12が貫通するスペーサ16がそれぞれ設けられている。
これにより、梁材3側のスペーサ16においては、第1プレート20とスペーサ16との間と、第1プレート20とワッシャー14との間に隙間Sがそれぞれ生じ(図10)、フレーム面中央側のスペーサ16においては、第2プレート21とスペーサ16との間と、第2プレート21とワッシャー13との間に隙間Sがそれぞれ生じるようになっている。
そして、地震等による加振時にラック倉庫1が変形すると、粘弾性ダンパー6Aでは、スペーサ16の凸部17への長孔22,23の案内によって、回転変形が抑えられた第1プレート20と第2プレート21とが前後方向へ交互に移動し、粘弾性体9を前後方向にせん断変形させる。この粘弾性体9の変形によって振動エネルギーを吸収して減衰作用を生じさせる。
従って、上記形態の制震構造においても、粘弾性ダンパー6Aがせん断方向にスムーズに相対変位でき、好適な制震機能を発揮できる。
また、図12,13に示すように、スペーサ16の上下両面に凸部17をそれぞれ設けることもできるし、上下両面に凸部17を設けたスペーサ16を採用した組を図14に示すように粘弾性体9の左右に二組以上設けることもできる。
また、図16(A)に示すように、スペーサを、長孔18(22)を貫通してワッシャー14に当接する中心筒部16Aと、その外側に外装されるリング部16Bとに分割することも考えられる。この場合、同図(B)に示すように中心筒部16Aを上側にも長くしてワッシャー13にも当接させ、上下両面で隙間を設定することもできる。この中心筒部とワッシャーとを一体形成することも可能である。
同様に、図17(B)は、図6に相当する形態において、ワッシャー13にも透孔25を設けて上方にも長く延ばした凸部17aを貫通させ、ボルト12の頭部に当接させた変更例である。これらの変更例では、ワッシャー13,14を樹脂で形成することができる。
このように、図17,18の変更例においても、スペーサを利用した簡単な形状変更で隙間が容易に設定可能となる。
その他、スペーサは、外周縁をR形状或いは面取形状とすることで、プレートに対する滑り抵抗を小さくすることも考えられる。
また、ラック倉庫の水平構面に対して粘弾性ダンパーを設けた構造となっているが、ラック倉庫以外の建物の水平構面であってもよいし、水平構面でなく垂直構面に本発明を適用することは勿論可能である。
但し、凸部はスペーサのみ或いはワッシャーのみに設ける場合に限らず、スペーサとワッシャーとの双方にそれぞれ設けることもできる。
Claims (4)
- 軸組内に、当該軸組のフレーム面と平行な一対のプレートと、そのプレート間に接着される粘弾性体とからなる粘弾性ダンパーを設けて、加振時の前記軸組の変形に伴い、前記一対のプレートを相反方向へ相対移動させ、前記粘弾性体をせん断変形させて減衰作用を生じさせる建物の制震構造であって、
前記一対のプレートにボルトを直交状に貫通させ、前記ボルトの先端にナットを螺合させて、前記一対のプレートの少なくとも一方における前記ボルトの貫通部分を、前記粘弾性体のせん断変形方向に沿った長孔とする一方、
前記ボルトに、前記一対のプレート間に位置するスペーサを外装して、前記スペーサと前記一対のプレートの少なくとも一方との間に、前記粘弾性体の未変形状態で前記スペーサと当該プレートとを非接触とする隙間を設定して、
前記ボルトを、前記一対のプレートの相対移動方向と直交する前記プレートの面方向で前記粘弾性体を挟んで対向配置される少なくとも2本としたことを特徴とする建物の制震構造。 - 前記隙間は、前記スペーサに前記プレートの厚みよりも大きい長さで突設される凸部を、前記プレートを貫通して前記ボルト及び前記ナットの少なくとも一方側に当接させることで設定されることを特徴とする請求項1に記載の建物の制震構造。
- 前記ボルト頭部と前記プレートとの間及び前記ナットと前記プレートとの間の少なくとも一方にワッシャーを介装し、前記隙間は、前記ワッシャーに前記プレートの厚みよりも大きい長さで突設される凸部を、前記プレートを貫通して前記スペーサに当接させることで設定されることを特徴とする請求項1に記載の建物の制震構造。
- 前記ボルト頭部と前記プレートとの間及び前記ナットと前記プレートとの間の少なくとも一方にワッシャーを介装し、前記凸部を、前記プレートと前記ワッシャーとを合わせた厚みよりも大きい長さで突設して前記プレート及び前記ワッシャーを貫通させることを特徴とする請求項2に記載の建物の制震構造。
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