JP6294466B2 - 累進屈折力レンズの設計方法および製造方法、ならびに累進屈折力レンズ製造システム - Google Patents

累進屈折力レンズの設計方法および製造方法、ならびに累進屈折力レンズ製造システム Download PDF

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Description

本発明は、累進屈折力レンズ、その設計方法および製造方法、ならびに累進屈折力レンズ製造システムに関する。
老視は、加齢により眼の調節力が衰え、近方に焦点が合いにくい状態である。この老視の症状を改善するために、老視用の眼鏡レンズとして、累進屈折力レンズが開発されてきた。累進屈折力レンズは用途(明視したい距離範囲)に応じて、遠近両用の常用タイプ、中近重視の室内用タイプ等が存在している。
たとえば、遠近両用の累進屈折力レンズにおいては、レンズの上方に遠方視のための領域(遠用部)と、レンズの下方に近方視のための領域(近用部)と、度数の異なる遠用部と近用部とを接続する累進部と、が設けられている。累進部においては、遠用部の度数から近用部の度数まで連続的に変化しており、遠方視と近方視との間で視線を移動する場合であっても、累進部を通じて見ることで、遠方視から近方視までの広い範囲において、違和感の少ない視線移動が可能となる。
このような累進屈折力レンズを設計する際には、まず、主注視線あるいは子午線と呼ばれるレンズの構成面(累進面)を決定するための基準となる線を決定し、その後、レンズを構成する面を最適化する。したがって、主注視線等により当該レンズの性能が左右されるため、主注視線等をどのように決定するかは非常に重要である。主注視線は、一般的に、レンズを眼鏡として装用した状態で、遠方視から近方視をする際(レンズの上方から下方に視線を移動させる際)に、視線が通過する頻度が最も高いレンズ上の位置に沿う線として定義される。また、子午線は、当該線上の各点における任意の断面方向の曲率が同じである線として定義され、通常、視線が通過する頻度が最も高い位置に配置される。したがって、主注視線等を決定する際には、レンズ上において、視線が最も通過する位置を算出する必要がある。レンズ上における一般的な主注視線を図1に示す。
図1では、円形状のレンズ1’の上方が、当該レンズ1’を装用した際に装用者の眼の上方に位置し、レンズ1’の下方が、装用者の眼の下方に位置し、レンズ1’の左側が装用者の鼻側に位置し、レンズ1’の右側が装用者の耳側に位置している。したがって、図示しないが、レンズ1’の上方が遠用部に相当し、レンズ1’の下方が近用部に相当し、レンズ1’の中心付近が累進部に相当する。
また、レンズには、目視では容易に視認できない隠しマークが形成されており、当該隠しマークに基づいて、レンズにおける所定の基準位置(遠用基準位置F、近用基準位置N、フィッティングポイントE等)が決定される。図1では、隠しマークHは、レンズ1’の中心を通る水平線上に2つ形成され、その中点がレンズ1’の中心と一致している。したがって、図1においては、隠しマークHから等距離にある点の集合が、レンズ1’の中心を通る鉛直線(Y軸)に一致する。そして、主注視線2’は、レンズ1’の上方から中心近傍までは、鉛直線に一致するように遠用基準位置FおよびフィッティングポイントEの近傍を通過し、そこから鼻側に変位して(内寄せして)、近用基準位置Nの近傍を通過しつつレンズ1’の下方まで延びている。
主注視線2’が鼻側に変位するのは、近方視する際に生じる眼の輻輳を考慮しているためである。近方に存在する物体を両眼で見る際には、遠方に存在する物体を見る場合よりも左右の眼球が鼻側(内側)に寄るため、視線も鼻側に寄る。これを眼の輻輳と呼ぶ。したがって、図1に示すように、近方に存在する物体を見るために主に使用されるレンズ1’の中心より下方では、主注視線2’が鼻側に変位している。
主注視線を決定する方法として、たとえば、特許文献1には、近方視する際に生じる眼の輻輳を考慮して子午線を決定することが記載されている。しかしながら、特許文献1では、処方された度数、対物距離を考慮していない。
また、特許文献2には、処方された度数によって、近方視する際に生じる眼の輻輳量が異なることに着目して主注視線を決定することが記載されているが、対物距離を考慮していない。
また、特許文献3には、度数、加入度、プリズム、PD(Pupillary Distance:瞳孔間距離)等の処方情報と、対物距離とを考慮して主注視線を決定することが記載されている。
特公昭62−47284号公報 米国特許第5784144号明細書 米国特許第6832834号明細書
特許文献3に記載の方法によれば、処方情報と、近方視する際の対物距離と、それに応じた眼の調節力とに起因する輻輳量が考慮された主注視線を決定することができる。このとき、想定する対物距離の物体を見るのに、レンズの加入屈折力だけでは足りない分を補う目的でのみ、眼の調節力が働くと考えられている。しかしながら、このように主注視線を決定し、累進屈折力レンズを設計した場合であっても、当該レンズを実際に装用した装用者が、レンズ設計時に想定した対物距離に存在する物体を、当該距離を見るのに適したレンズ位置を通じて見ているとは限らない。累進屈折力レンズを装用する装用者の眼に残存している調節力の量は上記の不足分を補った後も、更に近いものを見るのに必要な分の調節力が残っているケースが多いからである。
眼の調節力が発揮されることにより誘発される眼の輻輳は調節性輻輳と呼ばれている。具体例を挙げると、たとえば、対物距離が40cm(対物パワーが2.5D)である物体を見る場合、主注視線上において加入度数が2.0D(ディオプター)であるレンズ位置において、装用者が意識せずに調節力(0.5D)を発揮することで当該物体を明視できる。しかしながら、装用者が、能動的に装用者が持つ最大の調節力を発揮すれば、主注視線上において、加入度数が2.0Dであるレンズ位置においても、対物距離が40cmよりも小さい(対物パワーが2.5Dよりも大きい)位置にある物体を明視できる場合がある。
従来の方法では、眼の調節力は対物パワー(対物距離の逆数)とレンズ上の付加屈折力との差の分だけしか発揮されないとして、主注視線が決定されていた。このときの不足分を補填するための調節力は、意識せずに発揮され、近方視する際に最低必要な調節力であるため、これを仮に受動的調節力と呼ぶことにすると、上記の例では、受動的調節力は0.5Dである。受動的調節力は装用者の持っている最大の調節力を超えることはないので、従来の方法は、最大の調節力と受動的調節力との差の分を全く考慮していないことになる。この最大の調節力と最低必要調節力(受動的調節力)の差を調節余力と定義することにすると、従来の設計方法では、調節余力が全く考慮されていないので、装用者が持っている自分の調節力を能動的に使うことを全く想定していない。
装用者が調節余力を用いる場合、調節性輻輳により眼が更に輻輳して、従来の方法で設計上想定していた主注視線よりも内側(鼻側)に存在するレンズ位置を通じて見ることになる。通常、主注視線上に非点収差が最も少ない領域を配置しているため、実際に見る位置が、設計上想定する主注視線上から鼻側に寄ると(内寄せすると)、像のぼやけ、歪み等が生じてしまう。特に、中間視のための累進部や近方視のための近用部において、従来の設計で想定する以上の調節性輻輳が生じると、非点収差領域を通じて物体を見る可能性があり、像のぼやけ、歪み等がさらに大きくなることが考えられる。
本発明は、上記の状況を鑑みてなされ、近方視する際に受動的調節力を加味して生じる眼の輻輳だけでなく、眼の調節余力を使うことによって誘発される眼の輻輳も考慮して主注視線を決定することにより、装用者の実際の使用状況に柔軟に対応でき、個々の装用者に最適な累進屈折力レンズ、その製造方法および設計方法、ならびに累進屈折力レンズの製造システムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、装用者の眼の調節力の情報を少なくとも含むレンズ設計情報に基づき、眼の調節余力を使うことに起因する調節性輻輳が考慮された第1主注視線を算出する第1主注視線算出ステップと、
第1主注視線から、レンズの最終主注視線を決定する最終主注視線決定ステップと、を有することを特徴とする累進屈折力レンズの設計方法である。
上記の第1の態様において、レンズ設計情報に基づき、調節余力が考慮されていない第2主注視線を算出する第2主注視線算出ステップを有し、
第1主注視線と第2主注視線とから、前記最終主注視線を決定することが好ましい。
上記の第1の態様において、第2主注視線上の各点において、眼の調節余力の全てが発揮された場合に明視可能な対物距離の最小値を、第1対物距離として算出する第1対物距離算出ステップを有し、
第1主注視線算出ステップにおいて、第2主注視線を算出するために用いた第2対物距離の代わりに、第1対物距離を用いて第1主注視線を算出することが好ましい。
上記の第1の態様において、最終主注視線決定ステップにおいて、第1主注視線と第2主注視線とに対して重み付けを行い、第1主注視線と第2主注視線とを合成することにより、最終主注視線を決定することが好ましい。重み付けは、第2主注視線上におけるレンズの屈折力の変化に基づいて行うことがより好ましい。
上記の第1の態様において、第2主注視線上の各点において算出される第1対物距離のうち、第1対物距離の最小値が、レンズに設定される基準対物距離よりも小さい場合には、基準対物距離に一致するように、第1対物距離の最小値を調整することが好ましい。
本発明の第2の態様は、累進屈折力レンズを設計するためのレンズ設計情報に基づき、当該累進屈折力レンズの設計および製造を行う累進屈折力レンズの製造方法であって、
当該累進屈折力レンズの製造側に配置される製造側装置が、当該累進屈折力レンズの発注側に配置される発注側装置から送信されたレンズ設計情報を取得するレンズ設計情報取得工程と、
レンズ設計情報に基づき、上記の第1の態様のいずれかに記載の累進屈折力レンズの設計方法を用いて、当該累進屈折力レンズを設計するレンズ設計工程と、
レンズ設計工程において得られた設計データに基づき、累進屈折力レンズを製造するレンズ製造工程と、を有することを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法である。
上記の第2の態様において、製造側装置は、取得したレンズ設計情報に装用者の眼の調節力の情報が含まれていない場合には、レンズ設計情報に含まれる、眼の調節力の情報以外の情報から、眼の調節力を算出し、算出した眼の調節力とレンズ設計情報とに基づき、当該累進屈折力レンズを設計することが好ましい。
本発明の第3の態様は、累進屈折力レンズの発注側に配置される発注側装置と、当該累進屈折力レンズの製造側に配置される製造側装置と、が通信回線を通じて接続されている累進屈折力レンズの製造システムであって、
発注側装置は、累進屈折力レンズを設計するためのレンズ設計情報をデータとして送信するデータ送信手段を有し、
製造側装置は、コンピュータ部と、レンズ設計情報をデータとして取得するデータ取得手段と、を有し、
コンピュータ部は、データ取得手段により取得されたレンズ設計情報に基づき、装用者の眼の調節余力を使うことに起因する調節性輻輳が考慮された第1主注視線を算出する第1主注視線算出手段と、
第1主注視線から、レンズの最終主注視線を決定する最終主注視線決定手段と、を有することを特徴とする累進屈折力レンズ製造システムである。
上記の第3の態様において、コンピュータ部は、装用者の眼の調節力を算出する調節力算出手段を有し、
レンズ設計情報に眼の調節力の情報が含まれていない場合には、調節力算出手段は、レンズ設計情報に含まれる、眼の調節力の情報以外の情報から、眼の調節力を算出し、
算出した眼の調節力の情報とレンズ設計情報とに基づき算出される第1主注視線から最終主注視線を決定することが好ましい。
本発明の第4の態様は、レンズ上の所定の基準位置を決定するための2つの隠しマークが形成された累進屈折力レンズであって、
累進屈折力レンズの装用時に、前記2つの隠しマークを結ぶ線分の中点を通り、累進屈折力レンズの鉛直方向に延びる鉛直線を想定した場合、
鉛直線に対して、累進屈折力レンズの凸面および凹面上における主注視線の全体が鼻側に存在し、かつ主注視線と鉛直線とが共有点を有しておらず、主注視線の形状は直線状ではないことを特徴とする累進屈折力レンズである。
本発明の第5の態様は、レンズ上の所定の基準位置を決定するための2つの隠しマークが形成された累進屈折力レンズであって、
累進屈折力レンズの凸面上において、累進屈折力レンズに規定された遠用基準位置と近用基準位置とを結ぶ線分の中点を通り、2つの隠しマークを結ぶ線分に平行な直線T上における累進屈折力レンズの主注視線の内寄せ量が、直線T上における下記式1により算出される内寄せ量Iよりも大きく、主注視線の形状は直線状ではないことを特徴とする累進屈折力レンズである。
ただし、下記式1中、Wは目的距離の逆数、Hは片眼のPD、Vは累進屈折力レンズの後方頂点と眼球の回旋点との距離、Dは累進屈折力レンズの水平断面パワー、Cは累進屈折力レンズの中心肉厚、Kは下記式2で表されるパラメータである。

本発明の第6の態様は、レンズ上の所定の基準位置を決定するための2つの隠しマークが形成された累進屈折力レンズであって、
累進屈折力レンズの凹面上において、累進屈折力レンズに規定された遠用基準位置と近用基準位置とを結ぶ線分の中点を通り、2つの隠しマークを結ぶ線分に平行な直線T上における累進屈折力レンズの主注視線の内寄せ量が、直線T上における下記式3により算出される内寄せ量I’よりも大きく、主注視線の形状は直線状ではないことを特徴とする累進屈折力レンズ。
ただし、下記式3中、Wは目的距離の逆数、Hは片眼のPD、Vは累進屈折力レンズの後方頂点と眼球の回旋点との距離、Dは累進屈折力レンズの水平断面パワーである。
本発明によれば、従来のように処方情報、レイアウト情報、対物距離から想定されるモデルにおいて、眼の調節力は対物パワーとレンズ上の付加屈折力との差の分(すなわち、受動的調節力)だけ発揮される、と考えるだけでなく、装用者が持っている調節力が能動的に最大限使われることも考慮して主注視線を決定することにより、装用者の実際の使用状況に柔軟に対応でき、個々の装用者に最適な累進屈折力レンズ、その設計方法および製造方法、ならびに累進屈折力レンズの製造システムを提供することができる。
図1は、累進屈折力レンズの平面概略図である。 図2は、主注視線上における加入度数の変化率を示す図である。 図3は、近方視する際に生じる眼の輻輳を考慮して、レンズ上の主注視線位置を算出する方法を説明するための図である。 図4は、本実施形態に係る累進屈折力レンズ製造システムの概略構成図である。 図5は、本実施形態に係る累進屈折力レンズの設計方法のフローチャートである。 図6は、主注視線上における実施例1の対物パワーを示す図である。 図7は、本実施形態に係る累進屈折力レンズ(レンズA)の平面概略図である。 図8(a)は、本実施形態に係る累進屈折力レンズにおいて、当該累進屈折力レンズの主注視線の内寄せ量(X軸方向の変位量)と、近似式を用いて算出される主注視線の内寄せ量と、の関係を説明するための図である。図8(b)は、図8(a)におけるVIIIb部分の拡大図である。 図9は、近似式4を導出する過程を説明するための図である。 図10は、近似式4を導出する過程を説明するための図である。 図11は、近似式4を導出する過程を説明するための図である。 図12は、近似式4を導出する過程を説明するための図である。 図13は、本実施形態に係る累進屈折力レンズ(レンズB)の平面概略図である。 図14は、実施例1において算出される各主注視線のX軸方向における変位量を示す図である。 図15は、実施例1における重み関数としての加入度変化を用いた場合の図である。 図16は、実施例1において算出された最終主注視線を基に設計された累進屈折力レンズの透過非点収差分布図である。 図17は、実施例1において、図16におけるY=−7mmでの非点収差を示す図である。 図18は、主注視線上における実施例2の対物パワーを示す図である。 図19は、実施例2において算出される各主注視線のX軸方向における変位量を示す図である。 図20は、実施例2における重み関数としての加入度変化を用いた場合の図である。 図21は、実施例2において算出された最終主注視線を基に設計された累進屈折力レンズの透過非点収差分布図である。 図22は、実施例2において、図21におけるY=−7mmでの非点収差を示す図である。 図23は、実施例1および2において、第2主注視線と、近似式1を用いて算出される主注視線と、近似式3を用いて算出される主注視線と、のX軸方向における変位量を示す図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.主注視線と輻輳との関係
2.累進屈折力レンズ製造システムの構成
3.累進屈折力レンズの設計方法
3−1 レンズ設計情報
3−2 第2主注視線算出ステップ
3−3 第1対物距離算出ステップ
3−4 第1主注視線算出ステップ
3−5 最終主注視線決定ステップ
3−6 その他
4.累進屈折力レンズの製造方法
5.累進屈折力レンズ
5−1 レンズA
5−2 レンズB
6.本実施形態の効果
(1.主注視線と輻輳との関係)
本発明では、主注視線は、レンズを眼鏡として装用した状態で、遠方視から近方視をする際に、非点収差が最小に抑えられている位置を結ぶ線である。したがって、主注視線上の位置では、レンズを通じて見た像の歪みが最小限に抑制されている。そのため、本発明では、主注視線は、レンズ上において、視線が通過する頻度が最も高い位置に配置されていることが好ましい。
なお、主注視線と子午線とは厳密には異なるものの、同じ意味を示す用語として用いられることがほとんどであり、区別されない。しかしながら、本発明では、レンズ上において、視線が通過する位置に着目しているため、「主注視線」という用語を用いる。
図1に示すように、レンズ1’上の主注視線2’の位置は、レンズ1’の水平線上に形成されている2つの隠しマークHの中点を通る鉛直線(Y軸)からのレンズの水平線(X軸)方向の変位として表すことができる。図1では、鼻側を、X軸のプラス側とし、耳側を、X軸のマイナス側としている。
また、主注視線2’上では、度数(屈折力)が変化しており、隠しマークHを基準として、主注視線2’上には、遠用度数を測定するための基準位置である遠用基準位置Fと、近用度数を測定するための基準位置である近用基準位置Nと、が配置されている。また、正面視した際の瞳孔位置と一致する位置はフィッティングポイントEとされ、図1では、レンズの中心より上方のY軸上にある。
遠用基準位置Fにおける遠用度数(屈折力)と、近用基準位置Nにおける近用度数(屈折力)と、の差は、いわゆる加入度数として設定される。図2に主注視線上における加入度数の変化率を示す。図2では、遠方を見るための度数(屈折力)は0であり、主注視線上のY=+8mmの位置から、近方を見るための度数が加わり始め、Y=−14mmの位置において、処方された加入度数(加入度数の100%)が加わる。
このような主注視線は従来、処方情報とレイアウト情報と、そして物体距離の情報とから、ある特定の距離の物体を見る際に、レンズ上の付加屈折力では足りない分のみを眼の調節力が補うことを考慮して求められてきた。図3を用いて、従来技術においてレンズの凸面上の主注視線位置を求める方法を説明する。物体Oと眼球の中心Pとの距離を対物距離(mm)とすると、特許文献1では、線分OPとレンズとの交点Aを、レンズ上の主注視線の位置とし、その変位量は、点Aから眼球の中心Pを通る鉛直線に下ろした垂線の長さAA’となる。一方、特許文献2および3では、レンズの度数、プリズム作用等を考慮して、点Bをレンズ上の主注視線位置とし、その変位量は、点Bから眼球の中心Pを通る鉛直線に下ろした垂線の長さBB’となる。さらに、特許文献3では、対物距離を変化させて、図1に示すレンズの鉛直線方向(Y軸方向)の位置における度数等を考慮して変位量を算出し主注視線を決定している。
上述したように、累進屈折力レンズにおいては、上記のように決定した主注視線に基づき、遠方視のための遠用部、近方視のための近用部、遠方視と近方視との間の中間視のための累進部と、が形成される。しかしながら、設計上、レンズ領域が遠用部と近用部と累進部とに分けられるが、実際の累進屈折力レンズにおいてはその境界は曖昧である。また、設計時には、レンズ上の各位置において、対物距離が想定されているが、累進屈折力レンズを眼鏡として装用した時には、設計上対物距離が設定されているレンズ位置において、当該対物距離に存在する物体を見ているとは限らない。装用者が能動的に眼の調節力を用いる(調節余力を用いる)ことにより、対物距離が設定されているレンズ位置において、当該対物距離よりも近方に存在する物体を見ている可能性があるからである。
なお、調節力は、水晶体の厚みを変えてその屈折力を変化させる力なので、調節力の大きさを屈折力として表すことができる。また、図3に示すように、対物距離(mm)の逆数を対物パワー(単位はD:ディオプター)として表すと、対物パワーは、当該対物距離に存在する物体を、調節力を使わずに明視するためのレンズの加入屈折力に一致する。そのため、対物パワーを用いると、レンズ設計においては都合がよいため、本明細書では、必要に応じて、対物距離の代わりに対物パワーを用いる。
また、調節力が発揮された場合に眼球は外側に寄ることはほぼない。換言すれば、調節力は正のパワーを示し、負のパワーを示すことはない。したがって、主注視線を決定する際に、調節力は、主注視線を鼻側のみに変位させるように(非対称に)働く。したがって、調節力を考慮して主注視線を決定する際には、内寄せ量のみを考慮すればよい。
上述したように、装用者の眼の調節余力が発揮されると、調節性輻輳により眼がさらに輻輳する。すなわち従来の設計で想定した距離の物よりもさらに近い物を見ようとする場合には、装用者の眼は、従来の設計で想定する主注視線よりも更に内側(鼻側)に向くことになる。
たとえば、装用者が有している調節力を1.0D(ディオプター)とした場合、無限遠方(すなわち対物パワーが0D)に存在する物体を1mまで近づけても調節力を発揮することで明視することができる。仮に、対物距離が無限遠方に設定されているレンズ位置において、能動的に調節力の全てを発揮して、これが眼の輻輳として発現すると、眼球が鼻側に寄り、対物距離が1m(すなわち対物パワーが1.0D)の位置に存在する物体を、明視しようと思えばできることになる。このケースでは調節余力が1.0Dであり、最大の調節力そのものだと考えられる。
上記のような遠方視では、能動的に調節力を発揮して眼を輻輳させることはあまり考えられないが、特に中間視から近方視では、比較的近方に存在する物体を見るために、このような調節力は用いられやすいと考えられる。そうすると、調節余力が使われることを考慮していないレンズ(たとえば、特許文献1から3に記載の技術により設計されたレンズ)を眼鏡として装用した場合、設計上想定された対物距離が設定されているレンズ位置において、当該対物距離よりも近方に存在する物体を、能動的に調節力を用いて見る場合がある。すなわち、設計上想定していた以上に装用者が調節力を使って、これに起因する調節性輻輳が生じると、当該対物距離に存在する物体を見るためのレンズ上の位置が、主注視線からずれてしまう。このとき、中間視を行う際に用いられる累進部や近方視を行う際に用いられる近用部の幅(レンズの水平線方向(X軸方向)の長さ)は狭いため、主注視線からのずれ量が小さくても、当該位置が非点収差の大きい領域内となり、見ようとする物体の像がボヤケたり歪む可能性がある。
そこで、ある物体を見る際に調節余力を使うことに起因した輻輳が生じても、当該物体を見る際に視線が通過する頻度が高いレンズ位置が主注視線あるいはその近傍位置(すなわち非点収差が抑制された位置)となるように主注視線を決定すべく、本発明者は以下に示す累進屈折力レンズの設計方法を提案する。
(2.累進屈折力レンズ製造システムの構成)
まず、本実施形態に係る累進屈折力レンズの設計方法および製造方法において用いられる累進屈折力レンズ製造システムおよびその構成について説明する。
図4は本実施形態に係る累進屈折力レンズ製造システムの構成例を示す概略図である。
図4において、累進屈折力レンズ製造システム10は、発注側装置12と製造側装置13とを、通信回線14により相互に通信可能に接続した構成となっている。発注側装置12は、たとえば、眼鏡店に設置して使用されるものである。当該装置は、レンズを設計するために必要な情報(レンズ設計情報)を製造側装置13に送信するデータ送信手段21を備えている。また、当該装置は、遠用度数、近用度数、加入度数、プリズム作用、PD、眼の調節力等を測定する測定手段22を有していてもよい。また、これらの情報を発注側装置12に入力するための入力手段23を有していてもよい。製造側装置13は、たとえば、眼鏡レンズの製造工場などに設置して使用されるものであり、詳細は後述する。通信回線14は、たとえば、インターネット、専用回線などによって構成されるものである。
製造側装置13は、レンズ設計を行うための演算処理を担うコンピュータ部31を有しており、通信網14を介して発注側装置12から送信された情報を取得するデータ取得手段33により、レンズ設計情報がコンピュータ部31に送られる。コンピュータ部31は記憶手段34と接続されており、必要に応じて、レンズ設計に必要なデータや、設計後に得られるデータを記憶手段34に保存することができる。また、コンピュータ部31は入力手段35と接続されており、入力手段35を通じて、レンズ設計に必要な情報をコンピュータ部31に入力することができる。
コンピュータ部31は、データ取得手段33により取得されたレンズ設計情報に基づき、演算処理により主注視線を含むレンズの構成要素を決定し、レンズの設計を行う。本実施形態では、コンピュータ部31は、第2主注視線算出手段311、第1対物距離算出手段312、第1主注視線算出手段313および最終主注視線決定手段314を有している。各手段で行われる処理については後述する。
コンピュータ部31は、さらに調節力算出手段315を有している。調節力算出手段315は、発注側装置12から送信されるレンズ設計情報に、眼の調節力の情報が含まれていない場合に、レンズ設計情報に含まれるその他の情報、たとえば、加入度数、近業目的距離、年齢等に基づき、調節力を算出し、算出した調節力の情報を、取得したレンズ設計情報に含ませる。
また、コンピュータ部31は、加工部32とも接続されており、設計後に得られる設計データは加工部32に送られ、設計データに基づき、レンズ加工を行い、設計データが反映されたレンズを製造する。その後、検査等を経て良品と判断されたレンズが発注側の眼鏡店に納品される。レンズ加工としては、たとえば、レンズの光学面の研磨加工、枠入れのための玉型加工等が例示される。
(3.累進屈折力レンズの設計方法)
本実施形態に係る累進屈折力レンズの設計方法を、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
(3−1 レンズ設計情報:S1〜S3)
レンズ設計情報は、累進屈折力レンズを設計するために必要な情報である。レンズ設計時に利用されるレンズ設計情報には、少なくとも装用者の眼の調節力の情報が含まれている。その他、必要に応じて含まれる情報としては、たとえば、レンズの設計タイプ、レイアウト情報、遠用度数、近用度数、加入度数、プリズム、PD、遠用あるいは近業目的距離、装用者の年齢等が例示される。本実施形態では、装用者の眼の調節力の情報は、発注側装置12から送信された情報であってもよいし、コンピュータ部31が有する調節力算出手段315により算出された情報であってもよい。
なお、レンズ設計情報に含まれる眼の調節力の情報は、調節余力の情報であってもよいし、調節余力と受動的調節力との和である調節力の情報であってもよい。
図5に示すように、発注側装置12から取得したレンズ設計情報に、眼の調節力の情報が含まれている場合には、このレンズ設計情報を利用して、後述するステップを経て主注視線を決定する。一方、発注側装置12から取得したレンズ設計情報に、眼の調節力の情報が含まれていない場合には、上記の調節力算出手段315により眼の調節力を算出し、これをレンズ設計情報の1つとして利用し、主注視線を決定する。
(3−2 第2主注視線算出ステップ:S4)
本実施形態では、レンズ設計情報に基づき、まず、第2主注視線算出手段311が、第2主注視線を算出する(第2主注視線算出ステップS4)。第2主注視線算出ステップS4では、眼の調節余力を考慮せずに、第2主注視線を算出する。第2主注視線を算出する方法としては、公知の方法を用いればよい。具体的には、レンズ上の位置に応じた対物距離(第2対物距離)を設定し、光線追跡法を用いて、レンズの度数、加入度、プリズム、PD等と、第2対物距離と、を考慮して、レンズの倍率が算出され、レンズ設計情報に含まれる度数(遠用度数、近用度数、加入度数)の情報に基づき、第2対物距離に応じて主注視線上に度数が配分される。第2対物距離は、設計するレンズのタイプ、遠用度数、加入度数等に応じて、適宜決定すればよい。たとえば、遠近両用タイプでは、無限遠方から近業目的距離までを設定し、中近タイプでは、有限の遠用目的距離から近業目的距離までを設定すればよい。したがって、レンズ上の位置に応じて対物距離が変化するため、レンズ下方において第2対物距離が小さくなると、眼の輻輳に応じた内寄せ量が算出され、第2主注視線の形状が算出される。すなわち、第2主注視線は近方視において最低限必要な眼の調節力のみとそれに伴う輻輳を考慮した主注視線である。算出された第2注視線上で
は、所定の度数が設定されている。
(3−3 第1対物距離算出ステップ:S5)
第1対物距離算出ステップS5では、第1対物距離算出手段312が、得られた第2主注視線上の各点において、眼の調節余力を最大限使用した場合に、明視可能な対物距離の最小値を算出する。具体的には、第2主注視線算出ステップにおいて、第2主注視線上の各点上に設定された度数に、調節力の最大度数を加えた度数を想定し、この想定した度数を対物パワーとみなした場合に、当該対物パワーの逆数である対物距離を第1対物距離とすればよい。本ステップでは、調節力の度数が加わるため、第1対物距離は有限の値となる。
このとき、レンズに設定される基準対物距離に応じて、第1対物距離の最小値を調整してもよい。本実施形態では、調節余力を考慮せずにレンズに設定される対物距離のうち、その最小値を基準対物距離とする。基準対物距離の具体例としては、装用者の希望する近業目的距離、レンズ設計情報を考慮して想定される近業目的距離、加入度数と調節力との和から算出される距離等が例示される。これらの近業目的距離は第2対物距離の最小値と一致する。
第1対物距離の最小値を調整する具体例を、後述する実施例1を用いて説明する。図6では、近業目的距離が40cm(近用対物パワーが2.5D)である場合に、調節力が1.5D、加入度数が1.5Dとしている。加入度数が1.5Dであるレンズ位置において、装用者が調節力を最大限発揮する、すなわち、受動的調節力だけでなく調節余力も最大限発揮すると、対物パワーは1.5+1.5=3.0D(対物距離が33cm)となり、近業目的距離(40cm)よりも近方の位置で物体を明視することができる。
しかしながら、装用者が調節余力を最大限発揮するとは限らないし、装用者が希望する近業目的距離よりもさらに近い距離まで明視できるように設計することは、オーバースペックであり、装用者の希望を反映していない設計であるということもできる。そこで、本実施形態では、調節力を調整している。具体的には、第1対物距離の最小値が、近業目的距離よりも小さい場合には、当該最小値が、近業目的距離よりも大きくなるように調節力を調整する。換言すれば、第1対物距離の最小値を換算した対物パワーが、近業目的距離を換算した対物パワーを超えないように調節力を調整する。その際、調整は急激な変化が
ないようになめらかに行う。
上記の例では、加入度数は1.5Dのままで変化させずに、加入度と調節力との和で示される対物パワーが近用対物パワー(2.5D)と同じになるように、調節力を1.0Dとして、第1対物距離を調整する。
(3−4 第1主注視線算出ステップ:S6)
第1主注視線算出ステップS6では、第1主注視線算出手段313が、レンズ上の位置に応じて設定される対物距離を第1対物距離とする以外は、第2主注視線算出ステップと同様にして、主注視線を算出し、これを第1主注視線とする。第1対物距離は、眼の調節余力を最大限用い、当該調節余力が輻輳運動として発現した場合に明視できる対物距離の最小値として、算出されている。したがって、第1対物距離を用いて算出された第1主注視線は、眼の調節余力の全てを眼の輻輳量に転換した場合の主注視線となっている。
(3−5 最終主注視線決定ステップ:S7)
第1主注視線算出ステップS6において算出された第1主注視線を、レンズの最終主注視線としてもよい。しかしながら、第1主注視線は、調節余力を最大限発揮し、調節力の全てを眼の輻輳量に転換した場合の視線が通過する位置において非点収差が抑えられるように設定されている。したがって、この第1主注視線を用いてレンズを設計した場合、調節余力の全てを発揮することを前提としたレンズとなる。しかしながら、上述したように、遠方を見る際には、レンズの下方よりもレンズの上方がよく用いられ、近方を見る際には、レンズの上方よりもレンズの下方がよく用いられる。そのため、第1主注視線を最終主注視線とする場合には、対物距離に応じたレンズ上の領域の使用頻度が異なることが考慮されない。
そこで、最終主注視線決定ステップS7では、レンズ上の各領域が、どのような距離を見るために主として使用されているかを考慮して、第1主注視線から、最終的な主注視線を決定する。本実施形態では、最終主注視線決定手段314は、レンズの水平線方向(X軸方向)における最終的な主注視線の変位量(内寄せ量)が、当該方向における第1主注視線の変位量と第2主注視線の変位量との間になるように決定する。第2主注視線は、調節余力を考慮せずに算出された主注視線であり、調節余力が最大限考慮された第1主注視線と、第2主注視線と、の間に、調節余力を適宜発揮する装用者の実際の使用に則した主注視線が存在しているはずだからである。
具体的には、第1主注視線と第2主注視線とに対して、下記の式4を用いて重み付けを行い、第1主注視線と第2主注視線とを合成することにより、主注視線を決定する。
fin=W×(XACC−Xini)+Xini・・・式4
なお、Xfin:最終主注視線のX軸方向の変位量、W:重み関数、XACC:第1主注視線のX軸方向の変位量、Xini:第2主注視線のX軸方向の変位量である。
重み関数としては、対物距離に応じたレンズ領域の使用頻度を反映して設定されていればよいが、たとえば、主注視線上における加入度数の変化を重み関数としてもよい。レンズ上の領域において近方視が必要になるほど、加入度数は大きくなる。調節余力は、主として、中間あるいは近方に存在する物体を見る際に発揮されるため、加入度数の変化を重み関数とすることは好ましい。
以上のステップS1〜S7を経ることにより、レンズの背骨となるべき最終的な主注視線(最終主注視線)が決定される。この最終主注視線においては、眼の調節余力を使うことに起因する眼の輻輳運動が十分に考慮され、かつ当該主注視線上の各点において対物距離に応じたレンズ領域の使用頻度を考慮して、決定されている。
(3−6 その他)
最終主注視線決定ステップS7において、最終主注視線を決定した後は、当該主注視線に基づき、公知の方法を用いて、非球面補正、度数補正等を行って累進面を最適化すればよい。
以上より、眼の調節余力を考慮することにより、眼の調節機能に起因する眼の輻輳が最大限考慮された主注視線を有する累進屈折力レンズを設計することができる。このような累進屈折力レンズであれば、物体を見る際に、従来の設計で想定していた以上の調節性輻輳が生じた場合であっても、レンズ上を通過する視線の位置は、非点収差が最大限抑制されている主注視線あるいはその近傍になるため、当該物体を歪みなく明視することができる。
なお、装用者が、累進屈折力レンズを眼鏡として装用した場合、装用者の視線は、当該レンズの内面(凹面)と外面(凸面)との両方を通過する。したがって、累進屈折力レンズにおいては、レンズの内面と外面とにおいて、それぞれ主注視線が存在する。本実施形態では、上述した方法により、レンズの内面および外面の両方において主注視線を決定してもよいし、一方(たとえば凹面)における主注視線を上述した方法により決定してから、他方(たとえば凸面)における主注視線を他の方法より決定してもよい。具体的には、レンズ特性(屈折率、厚み、度数等)を考慮して、計算により決定してもよい。
(4.累進屈折力レンズの製造方法)
次に、本実施形態に係る累進屈折力レンズの製造方法について説明する。当該製造方法においても、上述した累進屈折力レンズ製造システム10が用いられる。また、累進屈折力レンズを設計する工程については、上述した設計方法を用いるので、説明を省略する。
まず、図4において、製造側装置13が、発注側装置12から累進屈折力レンズのレンズ設計情報を取得する(レンズ情報取得工程)。本実施形態では、取得したレンズ設計情報に装用者の眼の調節力の情報が含まれていれば、当該レンズ設計情報をコンピュータ部31に送り、上述したステップを経ることにより、累進屈折力レンズの設計を行い、設計データを得る。得られた設計データは製造側装置13の記憶手段34に保存される。得られた設計データは製造側装置13の記憶手段34に保存される。
一方、取得したレンズ設計情報に装用者の眼の調節力が含まれていない場合には、製造側装置13の調節力算出手段315により、レンズ設計情報に含まれる他の情報から調節力を算出すればよい。具体的には、加入度数から算出する方法、装用者の年齢と調節力との一般的な関係から算出する方法等が例示される。
加入度数から算出する方法は、たとえば、以下のような方法である。加入度数は累進屈折力レンズを設計する際に必要な情報であり、通常、眼鏡店等の発注側において算出される。眼鏡店では、装用者が希望する近業目的距離と、測定される眼の調節力と、から加入度数を算出する。調節力は以下のようにして測定される。まず、装用者が明視できる最大距離を遠点までの距離とし、明視できる最小距離を近点までの距離とする。次に、遠点までの距離の逆数と近点までの距離の逆数との差から、調節力がディオプター換算で求められる。そして、近業目的距離の逆数を取って、近業目的距離を、対物パワーに換算し、当該対物パワーと調節力とから、下記に示す式5により加入度数を算出する。
ADD=(1000/L)−a×ACC ・・・式5
式5中、ADDは加入度数[D]、Lは近業目的距離[mm]、ACCは調節力[D]、aは定数であり、1/2、2/3等が例示される。
したがって、加入度数と近業目的距離とがわかれば、上記の式5を変形することにより、調節力を逆算することができる。
また、装用者の年齢と調節力とに関する関係が知られているため、この関係から装用者の調節力を見積もってもよい。
上記のように、眼の調節力は、眼鏡店等の発注側において測定されていることが多いが、従来は、この眼の調節力の情報を、レンズを設計するための情報として利用することはなかった。本実施形態では、従来利用されていなかった情報を用いて、レンズを設計することで、装用者の実際の使用状況に則した累進屈折力レンズを提供することができる。
上記により算出された調節力の情報は、レンズ設計情報に含められ、これをコンピュータ部に送り、上述したステップを経ることにより、累進屈折力レンズの設計を行い、設計データを得る(レンズ設計工程)。得られた設計データは図4における製造側装置13の記憶手段34に保存される。
続いて、得られた設計データに基づき、累進屈折力レンズを製造する(レンズ製造工程)。具体的には、所定の光学特性を有する基材(セミフィニッシュレンズ)を準備する。当該基材を図4に示す製造側装置の加工部32に設置し、記憶手段34から送られた設計データを加工部32に入力し、設計データにおいて設定された屈折力の分布となるように、基材の加工を行う。
基材の加工は公知の方法により行えばよく、たとえば、基材の表面を研削装置を用いて研削し光学面を形成した後、研磨装置を用いて研磨を行う。その後、必要に応じて、コーティング等の表面処理および玉型加工を行い、累進屈折力レンズを製造する。
(5.累進屈折力レンズ)
上述した方法により、設計および製造される本実施形態に係る累進屈折力レンズは特徴的な構成を有しており、その具体例として、レンズAおよびレンズBについて説明する。
(5−1 レンズA)
図7に示すレンズA1aは、上述した設計方法により決定される主注視線(最終主注視線2a)を有する累進屈折力レンズである。当該最終主注視線2aは、調節余力に起因した調節性輻輳を考慮して決定されているため、最終主注視線2aが従来の主注視線2’よりも鼻側に位置している。また、主注視線の形状は直線ではない。具体的には、レンズの鉛直線(Y軸)方向において、特に、遠用基準位置Fと近用基準位置Nとの間で、最終主注視線2aが従来の主注視線2’よりも鼻側に位置していることがレンズAの特徴である。
主注視線は、厳密には、光線追跡法等を用いて決定されるが、レンズの特性、処方情報等に基づき、近似式を用いることによっても主注視線を求めることができる。しかも、近似式を用いて求められる主注視線と、光線追跡法を用いて求められる主注視線と、は、特に、遠用基準位置と近用基準位置との間において、レンズの水平線(X軸)方向における変位量(内寄せ量)がほぼ等しい傾向にある。
そこで、本実施形態では、レンズAの主注視線の形状の特徴を以下のように規定することができる。すなわち、レンズAの凸面上においては、レンズAに形成されている2つの隠しマークにより規定された遠用基準位置と近用基準位置とを結ぶ線分の中点を通り、かつ隠しマークを通る直線に平行な水平線上の主注視線の内寄せ量が、下記の近似式1により算出される内寄せ量Iよりも大きいことを特徴とする。
ただし、下記近似式1中、Wは目的距離の逆数、Hは片眼のPD、VはレンズAの後方頂点と眼球の回旋点との距離、Dはレンズの水平断面パワー、CはレンズAの中心肉厚である。

なお、Kは、以下の式で表される。
また、レンズの凹面においても、上記と同様に、レンズAの凹面上における主注視線の内寄せ量が、下記の近似式2により算出される内寄せ量I’よりも大きくなっている。
上記のレンズAの主注視線の内寄せ量と、近似式1または2により算出される内寄せ量IまたはI’と、の関係を、図8を用いて説明する。図8に示すレンズA(累進屈折力レンズ1a)では、レンズの鉛直線方向がY軸であり、レンズの水平線方向がX軸である。また、X軸方向のプラス側が耳側であり、マイナス側が鼻側である。
また、遠用基準位置Fと近用基準位置Nとは図8(a)に示す座標位置にある。ここで、遠用基準位置Fと近用基準位置Nとを結ぶ線分Sを想定し、その中点Mを通り、かつ2つの隠しマークを結ぶ線分(すなわちX軸)に平行な線分Tを想定する。図8(a)のVIIIb部分を拡大した図8(b)に示すように、レンズAの主注視線2a、すなわち、上述した方法により決定した最終主注視線と線分Tとの交点C1を求める。同様に、近似式により算出される主注視線2’と線分Tとの交点C2を求める。交点C2のX座標は内寄せ量IまたはI’と一致するので、交点C1のX座標は、交点C2のX座標よりも鼻側(マイナス側)にあり、その絶対値は、交点C2のX座標の絶対値よりも大きい。すなわち、図8に示すレンズAは、上述した規定を満足する。
なお、近似式としては、近似の程度によりいくつか考えられ、上記の近似式1または2よりも厳密な近似式3または4も用いることができる。凸面上での近似式3を下記に示す。

なお、KおよびEは、以下の式で表される。

また、凹面上での近似式4を下記に示す。

なお、KおよびEは上記式と同じである。
近似式1または2を用いた場合と、近似式3または4を用いた場合と、を比較すると、特に、遠用基準位置と近用基準位置との間では、算出される内寄せ量はほとんど変わらないので、近似式3または4を用いた場合であっても、上述した規定を満足する。
以下では、近似式4の導出過程について説明する。まず、近似式4を導出するために用いるパラメータを表1に示す。
まず、図9に示すように、主注視線位置を求めるための座標系を考える。この座標系の中心Oは、図示しない右眼球の回転中心であり、装用者の鼻側から耳側に向かう方向をX軸とし、X軸に直交しかつ装用者の下方から上方に向かう方向をY軸とし、X軸およびY軸に直交しかつ中心Oから装用者の後方に向かう方向をZ軸とする。装用者の前方は、Z軸のマイナス方向になるため、当該方向に、図示しないレンズを配置する。そうすると、当該レンズの凹面の頂点位置において、Z軸に対して垂直な面P1を想定することができる。
さらに、図9におけるYZ平面を示す図10に示すように、図9で配置されているレンズの凹面を球面P2として近似し、さらに当該レンズの前傾角をγ[rad]とすると、面P1からZ軸のマイナス方向にγ[rad]傾いた凹面の頂点位置における接平面P3を設定することができる。一方、眼球の上下方向の回旋角度をβ[rad]とすると、XZ平面をβ[rad]傾けた平面を設定することができる。これを内寄せ量を算出するための基準面Sとする。そうすると、図10に示すように、基準面Sにおける座標は、Z軸をβ[rad]傾けたZ’軸と、X軸に等しいX’軸と、を用いて規定することができる。
図11は、基準面S上におけるレンズ上の座標や物体の座標の位置関係を示す図である。図11では、点Qに物体が配置されており、右眼球の回転中心Oから物体の点Qまでの距離は、L+Vとして表される。ここで、Lは物体からレンズの凹面頂点までの距離であり、Vはレンズの凹面頂点から右眼球の回転中心Oまでの距離である。レンズのプリズム作用を考慮すると、点Qに存在する物体をレンズを通じて見る際には、右眼球は輻輳し、直線nの方向に視線が向く。直線nとレンズの凹面(ここでは凹面近似球面P2)との交点Pでは、レンズのプリズム作用により、視線の向きが、直線mの方向に曲げられ、物体に到達する。換言すれば、点Qに存在する物体を見る場合、眼球が輻輳して、視線が点Pを通過すれば当該物体を見ることができる。したがって、点Pは主注視線上にある点であり、点PのX’軸方向の座標の値が内寄せ量I’となる。
ここで、プレンティスの公式により、プリズム量をI’を用いて表わし、その振れ角をδとすると、tanδはプリズム量を用いて表すことができる。また、直線nの単位ベクトルaを考えると、直線mの単位ベクトルbは、単位ベクトルaをδだけ回転させたベクトルとして表すことができ、直線mの傾きを求めることができる。また、直線mは、点Pおよび点Qを通るので、I’は、上記の近似式4により表すことができる。
なお、図12に示すように、レンズの凸面上の内寄せ量Iは、レンズの肉厚を考慮してI’を補正することにより求められる。したがって、レンズの凸面上の内寄せ量Iは、レンズの中心肉厚を考慮した上記の近似式3を用いて表すことができる。
また、近似式3および4において、上下方向の眼球の回旋を考慮しない場合には、cosβ=1となり、レンズのカーブおよび傾きを考慮しない場合には、E=0となる。これらの値を近似式3および4に代入すると、近似式1および2が得られる。
(5−2 レンズB)
上述したレンズAでは、当該レンズAを用いて遠方視する場合も考慮している。これに対し、遠方視した際に明視できる対物距離の最大値を、無限遠方ではなく数m程度としたレンズを想定すると、当該レンズの上方を用いて遠方視を行う場合にも調節余力が発揮される余地がある。そうすると、レンズの上方から下方の全体に渡り、調節余力により起因する眼の輻輳を考慮したレンズBを考えることができる。このレンズBの主注視線を、図13に示す。
図13に示すレンズB(レンズ1b)における最終主注視線2bは、図13から明らかなように、2つの隠しマークHを結ぶ線分の中点を通る鉛直線(図13ではY軸)と、共有点を持たず、かつその形状は直線ではない。しかも、最終主注視線2b全体が、鉛直線よりも鼻側に変位している。このようなレンズは、レンズの上方から下方に渡り、調節余力を考慮しているため、無限遠方を見る必要がない中近タイプの室内用累進屈折力レンズとして好適である。
なお、従来の中近タイプの累進屈折力レンズにおいては、主注視線が鉛直線と共有点を有している。従来の中近タイプの累進屈折力レンズは、調節余力を考慮した主注視線を決定するという技術的思想に基づいておらず、主注視線と鉛直線とは共有点を有しているという前提に基づいて設計されているため、レンズBのような累進屈折力レンズは通常考えられないからである。換言すれば、レンズの背骨たる主注視線の全体を、鉛直線から鼻側にずらすという技術的思想は、調節余力を考慮して主注視線を決定することを前提としなければ到達しえないからである。
(6.本実施形態の効果)
従来使用されてきた累進屈折力レンズにおいては、近方視の際に必要な最低限の眼の輻輳(受動的調節力による輻輳)は考慮するものの、装用者の調節余力については、当該調節余力が発揮されないことを前提として、主注視線を決定している。しかしながら、累進屈折力レンズが必要な場合であっても、装用者の眼に残存している調節力は、受動的調節力よりも大きい。そのため、累進屈折力レンズを眼鏡として装用すると、特に中間視から近方視の範囲に存在する物体を見る際には、受動的調節力に加え、調節余力を発揮して、設計上想定するものよりも近いものを見る場合がある。このような場合、さらに調節性輻輳が生じ、累進屈折力レンズが設計上当該物体を見る際に視線が通過すると想定している位置(すなわち、主注視線上の位置)よりも、鼻側の(内寄せされた)位置で物体を見ることになる。そうすると、装用者が実際に物体を見ている位置は主注視線からずれた位置となるため、非点収差が大きくなり、物体が歪んで見える場合がある。
そこで、本実施形態では、調節余力に起因する輻輳を考慮して、主注視線を決定している。具体的には、調節余力が最大限発揮されることが考慮されている主注視線(第1主注視線)と、調節余力が考慮されていない主注視線(第2主注視線)と、をそれぞれ算出し、第1主注視線と第2主注視線との間に存在する最終的な主注視線(最終主注視線)を決定している。このように決定された主注視線を有するレンズを通じて見ることで、実際の視線が通過するレンズ位置を、主注視線あるいはその近傍とすることができる。したがって、明視したい距離範囲全体において、物体を明視することができ、装用時の快適さを向上させることができる。
また、本実施形態では、調節余力の全てが発揮された場合に明視可能な対物距離の最小値(第1対物距離)を算出し、この第1対物距離を用いて第1主注視線を算出している。このようにすることで、調節余力が適切に考慮された第1主注視線を算出することができる。
さらに、本実施形態では、対物距離に応じたレンズ領域の使用頻度を考慮して、最終主注視線を算出している。具体的には、第1主注視線と第2主注視線とに対し、対物距離に応じたレンズ領域の使用頻度を反映した重み付けを行い、第1主注視線と第2主注視線とを合成することにより、装用者の使用状況に則した最終主注視線を決定することができる。
本実施形態に係る方法により算出された主注視線を有する累進屈折力レンズにおいては、従来の累進屈折力レンズに比べて、レンズ上の特定の位置における内寄せ量が大きくなっているため、従来の設計で想定していたよりも大きな調節性輻輳が生じたとしても、当該レンズを通じて見る物体を歪みなく明視することができる。特に、調節余力を考慮することによりはじめて、中近タイプの累進屈折力レンズにおいて、主注視線の全体を鉛直線から鼻側に配置することができる。
さらに、本実施形態では、主注視線を決定するために用いる装用者の眼の調節力の情報が、発注側から送信される情報に含まれていない場合には、製造側で眼の調節力を算出し、これを利用して主注視線を決定している。したがって、発注側から、眼の調節力の情報を取得できない場合であっても、調節余力が考慮された主注視線を決定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
以下の実施例1および2においては、表2に示すレンズ設計情報に基づき、累進屈折力レンズを設計した。また、隠しマークは、レンズの中心を通る水平線上に2つ形成されている。
(実施例1)
表2に示す実施例1のレンズ設計情報に基づき、まず、公知の光線追跡法を用いて、調節余力を考慮していない対物距離(第2対物距離)を設定して、レンズの凸面上の主注視線(第2主注視線)を算出した。図6に第2主注視線上における対物パワー(対物距離の逆数)の変化を示し、図14に、2つの隠しマークを結ぶ線分の中点を通る鉛直線(Y軸)からの水平線方向(X軸方向)の変位量を示す。なお、図14において、X軸方向のマイナス側は鼻側であり、プラス側は耳側である。
また、上述した近似式1を用いて、調節余力を考慮せずに算出された主注視線を図14に示す。
続いて、第2主注視線上の各点において、調節余力を考慮して対物距離を計算して、第1対物距離を算出し、さらにこの第1対物距離に基づいて、第1主注視線を算出した。図6に第1主注視線上における第1対物距離の対物パワー(第1対物距離の逆数)の変化を示し、図14に、2つの隠しマークを結ぶ線分の中点を通る鉛直線(Y軸)からの水平線方向(X軸方向)の変位量を示す。
なお、表2に示すレンズ設計情報によれば、近用基準位置(Y=−14mm)における対物パワー(近用対物パワー)が2.5Dであるため、装用者は、近方においては、40cmの位置にある物体を明視できるレンズを希望していることになる。一方、近用基準位置におけるレンズの度数は加入度数と一致し、1.5Dであるため、このレンズ位置においては、装用者が1.0Dの調節力を発揮することを想定している。しかしながら、装用者が持つ最大の調節力は1.5Dであるため、想定した調節力(受動的調節力(1.0D))に加え、調節余力(0.5D)が最大限発揮されると(1.5D)、レンズの加入度数(1.5D)を加えて、最大3.0Dの対物パワー、すなわち、33cmの位置で明視することができる。上述したように、装用者の希望に沿って対物パワーを設定する場合、3.0Dの対物パワーは、装用者が希望する対物パワー(2.5D)よりも大きいため、オーバースペックとなる場合がある。そこで、本実施例では、調節力の発揮に起因する対物パワーとレンズの加入度数との和が、近用対物パワー以下となるように設定した。すなわち、本実施例では、調節余力を考慮した対物パワーの最大値が2.5Dとなるように調整した。調整は主注視線上における対物パワーの連続性が保たれるように行われる。具体的には対物パワーの1階微分までの連続性が保たれるように行った。
続いて、第1主注視線および第2主注視線から主注視線を決定するための重み関数として、図15に示す第2主注視線上における加入度数の変化率を用いた。この重み関数を用いて、第1主注視線と第2主注視線とを合成して最終主注視線を決定した。決定した最終主注視線は、図14に示すように、第1主注視線と第2主注視線との間に存在し、Y方向の遠用基準位置近傍までは、第2主注視線にほぼ一致し、遠用基準位置近傍から近用基準位置近傍までは、第2主注視線よりも、X方向のマイナス側(鼻側)に変位して、第1主注視線に近づいていく。そして、近用基準位置近傍から下方においては、第1主注視線にほぼ一致する。すなわち、中間視および近方視においてよく用いられるレンズ領域では、主注視線が鼻側に変位していることが確認できた。
また、近似式1を用いて算出された主注視線と、第2主注視線と、を比較すると、近用基準位置(Y=−14mm)近傍から下方において、一致しなくなる。しかしながら、遠用基準位置(Y=+8mm)と近用基準位置(Y=−14mm)とを結ぶ線分の中点を通り、2つの隠しマークを結ぶ線分と平行な線分T上においては、近似式1を用いて算出された主注視線と、第2主注視線と、はほぼ一致しており、遠用基準位置と近用基準位置との間では、近似式1の精度が十分高いことが確認できた。
さらに、線分T上において、最終主注視線のX軸方向の内寄せ量(鼻側への変位量)が、近似式1を用いて算出された主注視線および第2主注視線のX軸方向の内寄せ量よりも大きいことが確認できた。
続いて、実施例1の最終主注視線の形状を基にして累進屈折力レンズの設計を行い、当該レンズの透過非点収差分布を計算した。得られた透過非点収差分布を図16に示す。また、図17に、実施例1の最終主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズと、実施例1の調節余力が考慮されていない第2主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズと、について、Y=−7mmの位置における水平方向の非点収差の変化を示す。
図17より、第2主注視線、すなわち、調節余力が考慮されていない主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズよりも、調節余力が最大限使われることが考慮された実施例1の最終主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズの方が、非点収差が最小となる位置が鼻側にシフトしていることが確認できた。
したがって、実施例1の最終主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズによれば、装用者の実際の使い方に応じた視線位置の近傍に、主注視線を配置することができ、当該レンズを通じて見る物体に歪み等が生じない快適な遠方視から近方視を実現することができる。
(実施例2)
表2に示す実施例2のレンズ設計情報に基づき、まず、公知の光線追跡法を用いて、調節余力を考慮していない対物距離(第2対物距離)を設定して、レンズの凸面上の主注視線(第2主注視線)を算出した。図18に第2主注視線上における対物パワー(対物距離の逆数)の変化を示し、図19に、2つの隠しマークを結ぶ線分の中点を通る鉛直線(Y軸)からの水平線方向(X軸方向)の変位量を示す。なお、図19において、X軸方向のマイナス側は鼻側であり、プラス側は耳側である。
また、上述した近似式1を用いて、調節余力を考慮せずに算出された主注視線を図19に示す。
続いて、第2主注視線上の各点において、調節余力を考慮して対物距離を計算して、第1対物距離を算出し、さらにこの第1対物距離に基づいて、第1主注視線を算出した。図18に第1主注視線上における第1対物距離の対物パワー(第1対物距離の逆数)の変化を示し、図19に、2つの隠しマークを結ぶ線分の中点を通る鉛直線(Y軸)からの水平線方向(X軸方向)の変位量を示す。
なお、実施例2の累進屈折力レンズは、室内用であるため、遠用基準位置における対物パワーは0(対物距離が無限遠方)である必要はなく、1.0D(対物距離が1m)であればよい。そのため、予め、遠用度数を0.5D加えることにより、対物パワーに対して必要な調節力の半分をレンズで補うように処方されている。したがって、遠用基準位置におけるレンズの度数は、0.5Dであるため、このレンズ位置においては、装用者が0.5Dの調節力を発揮することを想定している。
一方、近用基準位置(Y=−17.5mm)における対物パワー(近用対物パワー)が2.5Dであるため、実施例1と同様に、装用者は、近方においては、40cmの位置で明視できるレンズを希望していることになる。
近用基準位置におけるレンズの度数は、遠用度数と加入度数との和に一致し、1.5Dであるため、このレンズ位置においては、装用者が1.0Dの調節力を発揮することを想定している。しかしながら、装用者が持つ最大の調節力は1.5Dであるため、実施例1と同様に、調節余力が最大限発揮されると、対物パワーが3.0Dとなる。そのため、実施例1と同様に、調節余力を考慮した対物パワーの最大値が2.5Dとなるように調整した。
続いて、第1主注視線および第2主注視線から最終主注視線を決定するための重み関数として、図20に示す第2主注視線上における加入度数の変化率を用いた。この重み関数を用いて、第1主注視線と第2主注視線とを合成して最終主注視線を決定した。決定した最終主注視線を図19に示す。
図19より、最終主注視線は、実施例1と同様に、第1主注視線と第2主注視線との間に存在し、Y軸方向のマイナス側になるにつれて、第2主注視線よりも、X軸方向のマイナス側(鼻側)に変位して、第1主注視線に近づいていく。そして、Y=−10mm近傍から下方においては、第1主注視線にほぼ一致する。すなわち、レンズ領域の全体において、最終主注視線が、2つの隠しマークを結ぶ線分の中点を通る鉛直線(Y軸)よりも鼻側に変位している(内寄せしている)ことが確認できた。これは、実施例2の累進屈折力レンズは室内用であり、遠方視を行う最大距離として、1m程度の距離しか想定していない。そうすると、レンズの全体において調節余力を発揮する可能性があるため、最終主注視線においても、レンズの上方から下方に渡り調節余力が使われることを考慮した形状となっている。
また、近似式1を用いて算出された主注視線と、第2主注視線と、を比較すると、遠用基準位置(Y=+14mm)近傍から上方と、Y=−5mmから下方において、一致しなくなる傾向にある。しかしながら、遠用基準位置(Y=+14mm)と近用基準位置(Y=−17.5mm)とを結ぶ線分の中点を通り、2つの隠しマークを結ぶ線分と平行な線分T上においては、近似式1を用いて算出された主注視線と、第2主注視線と、はほぼ一致しており、遠用基準位置と近用基準位置との間では、近似式1の精度が十分高いことが確認できた。
さらに、線分T上において、最終主注視線のX軸方向の内寄せ量(鼻側への変位量)が、近似式1を用いて算出された主注視線および第2主注視線のX軸方向の内寄せ量よりも大きいことが確認できた。
続いて、実施例2の最終主注視線の形状を基にして累進屈折力レンズの設計を行い、当該レンズの透過非点収差分布を計算した。得られた透過非点収差分布を図21に示す。また、図22に、実施例2の最終主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズと、実施例2の調節力が考慮されていない第2主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズと、について、Y=−7mmの位置における水平方向の非点収差の変化を示す。
図22より、第2主注視線、すなわち、調節余力が考慮されていない主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズよりも、調節余力が考慮された実施例2の最終主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズの方が、非点収差が最小となる位置が鼻側にシフトしていることが確認できた。
したがって、実施例2の最終主注視線の形状を基にして設計された累進屈折力レンズによれば、装用者の実際の使い方に応じた視線位置の近傍に、主注視線を配置することができ、当該レンズを通じて見る物体に歪み等が生じない快適な中間視から近方視を実現することができる。
また、第2主注視線と、近似式1を用いて算出された主注視線と、近似式3を用いて算出された主注視線と、を比較することにより、第2主注視線と、近似式1および3との誤差の程度を見積もった。実施例1および2において、近似式1を用いて算出された主注視線と、近似式3を用いて算出された主注視線と、第2主注視線と、を図23に示す。
図23より、近似式3を用いて算出された主注視線は、近似式1を用いて算出された主注視線よりも、第2主注視線と一致する傾向にあり、近似式3は近似式1よりも精度が高いことが確認できる。しかしながら、遠用基準位置と近用基準位置との中点近傍では、近似式1を用いた場合であっても、近似式3を用いた場合であっても、第2主注視線とほぼ一致し、精度が十分に高いことが確認できた。
1a、1b…累進屈折力レンズ
2a、2b…主注視線
10…累進屈折力レンズ製造システム
12…発注側装置
13…製造側装置

Claims (13)

  1. 装用者の眼の調節力の情報を少なくとも含むレンズ設計情報に基づき、眼の調節余力を使うことに起因する調節性輻輳が考慮された第1主注視線を算出する第1主注視線算出ステップと、
    前記第1主注視線から、レンズの最終主注視線を決定する最終主注視線決定ステップと、を有することを特徴とする累進屈折力レンズの設計方法。
  2. 前記レンズ設計情報に基づき、前記調節余力を使うことが考慮されていない第2主注視線を算出する第2主注視線算出ステップを有し、
    前記第1主注視線と前記第2主注視線とから、前記最終主注視線を決定することを特徴とする請求項1に記載の累進屈折力レンズの設計方法。
  3. 前記第2主注視線上の各点において、前記眼の調節余力の全てが発揮された場合に明視可能な対物距離の最小値を、第1対物距離として算出する第1対物距離算出ステップを有し、
    前記第1主注視線算出ステップにおいて、前記第2主注視線を算出するために用いた第2対物距離の代わりに、前記第1対物距離を用いて前記第1主注視線を算出することを特徴とする請求項2に記載の累進屈折力レンズの設計方法。
  4. 前記最終主注視線決定ステップにおいて、前記第1主注視線と前記第2主注視線とに対して重み付けを行い、前記第1主注視線と前記第2主注視線とを合成することにより、前記最終主注視線を決定することを特徴とする請求項2または3に記載の累進屈折力レンズの設計方法。
  5. 前記重み付けは、前記第2主注視線上におけるレンズの屈折力の変化に基づいて行うことを特徴とする請求項4に記載の累進屈折力レンズの設計方法。
  6. 前記第2主注視線上の各点において、前記眼の調節余力の全てが発揮された場合に明視可能な対物距離の最小値を、第1対物距離として算出する第1対物距離算出ステップを有し、
    前記第2主注視線上の各点において算出される前記第1対物距離のうち、当該第1対物距離の最小値が、レンズに設定される基準対物距離よりも小さい場合には、前記基準対物距離に一致するように、前記第1対物距離の最小値を調整することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の累進屈折力レンズの設計方法。
  7. 累進屈折力レンズを設計するためのレンズ設計情報に基づき、当該累進屈折力レンズの設計および製造を行う累進屈折力レンズの製造方法であって、
    当該累進屈折力レンズの製造側に配置される製造側装置が、当該累進屈折力レンズの発注側に配置される発注側装置から送信された前記レンズ設計情報を取得するレンズ設計情報取得工程と、
    前記レンズ設計情報に基づき、請求項1から6のいずれかに記載の累進屈折力レンズの設計方法を用いて、当該累進屈折力レンズを設計するレンズ設計工程と、
    前記レンズ設計工程において得られた設計データに基づき、前記累進屈折力レンズを製造するレンズ製造工程と、を有することを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。
  8. 前記製造側装置は、取得した前記レンズ設計情報に装用者の眼の調節力の情報が含まれていない場合には、前記レンズ設計情報に含まれる、前記眼の調節力の情報以外の情報から、前記眼の調節力を算出し、算出した前記眼の調節力と前記レンズ設計情報とに基づき、当該累進屈折力レンズを設計することを特徴とする請求項7に記載の累進屈折力レンズの製造方法。
  9. 累進屈折力レンズの発注側に配置される発注側装置と、当該累進屈折力レンズの製造側に配置される製造側装置と、が通信回線を通じて接続されている累進屈折力レンズの製造システムであって、
    前記発注側装置は、累進屈折力レンズを設計するためのレンズ設計情報をデータとして送信するデータ送信手段を有し、
    前記製造側装置は、コンピュータ部と、前記レンズ設計情報をデータとして取得するデータ取得手段と、を有し、
    前記コンピュータ部は、前記データ取得手段により取得された前記レンズ設計情報に基づき、装用者の眼の調節余力を使うことに起因する調節性輻輳が考慮された第1主注視線を算出する第1主注視線算出手段と、
    前記第1主注視線から、レンズの最終主注視線を決定する最終主注視線決定手段と、を有することを特徴とする累進屈折力レンズ製造システム。
  10. 前記コンピュータ部は、装用者の眼の調節力を算出する調節力算出手段を有し、
    前記レンズ設計情報に前記眼の調節力の情報が含まれていない場合には、前記調節力算出手段は、前記レンズ設計情報に含まれる、前記眼の調節力の情報以外の情報から、前記眼の調節力を算出し、
    算出した前記眼の調節力の情報と前記レンズ設計情報とに基づき算出される第1主注視線から前記最終主注視線を決定することを特徴とする請求項9に記載の累進屈折力レンズ製造システム。
  11. レンズ上の所定の基準位置を決定するための2つの隠しマークが形成された累進屈折力レンズの設計方法であって、
    前記累進屈折力レンズの凸面上において、前記累進屈折力レンズに規定された遠用基準位置と近用基準位置とを結ぶ線分の中点を通り、前記2つの隠しマークを結ぶ線分に平行な直線T上における前記累進屈折力レンズの主注視線の内寄せ量が、前記直線T上における下記式1により算出される内寄せ量Iよりも大きく、かつ前記主注視線の形状は直線状ではないように設計することを特徴とする累進屈折力レンズの設計方法
    ただし、下記式1中、Wは目的距離の逆数、Hは片眼のPD、Vは累進屈折力レンズの後方頂点と眼球の回旋点との距離、Dは累進屈折力レンズの水平断面パワー、Cは累進屈折力レンズの中心肉厚、Kは下記式2で表されるパラメータである。
  12. レンズ上の所定の基準位置を決定するための2つの隠しマークが形成された累進屈折力レンズの設計方法であって、
    前記累進屈折力レンズの凹面上において、前記累進屈折力レンズに規定された遠用基準位置と近用基準位置とを結ぶ線分の中点を通り、前記2つの隠しマークを結ぶ線分に平行な直線T上における前記累進屈折力レンズの主注視線の内寄せ量が、前記直線T上における下記式3により算出される内寄せ量I’よりも大きく、かつ前記主注視線の形状は直線状ではないように設計することを特徴とする累進屈折力レンズの設計方法
    ただし、下記式3中、Wは目的距離の逆数、Hは片眼のPD、Vは累進屈折力レンズの後方頂点と眼球の回旋点との距離、Dは累進屈折力レンズの水平断面パワーである。
  13. 累進屈折力レンズを設計するためのレンズ設計情報に基づき、当該累進屈折力レンズの設計および製造を行う累進屈折力レンズの製造方法であって、
    当該累進屈折力レンズの製造側に配置される製造側装置が、当該累進屈折力レンズの発注側に配置される発注側装置から送信された前記レンズ設計情報を取得するレンズ設計情報取得工程と、
    前記レンズ設計情報に基づき、請求項11または12に記載の累進屈折力レンズの設計方法を用いて、当該累進屈折力レンズを設計するレンズ設計工程と、
    前記レンズ設計工程において得られた設計データに基づき、前記累進屈折力レンズを製造するレンズ製造工程と、を有することを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。
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