JP3787227B2 - 眼鏡用累進焦点レンズ及びそれを用いた眼鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、眼鏡用累進焦点レンズ及びそれを用いた眼鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、老齢者は眼球の水晶体を調整する筋力が衰え易く、近距離の結像能力が減退し、これを補うため近視用眼鏡(老眼鏡)を用いる。しかし、近視専用の眼鏡は、必要のない場合に外すか、遠視用の眼鏡に掛け替えられる。この掛け替えの煩わしさを解消するため、単一の眼鏡を遠近両用に用いるための眼鏡用累進焦点レンズが提案されている。
【0003】
この眼鏡用累進焦点レンズは、一般的に、レンズの上側部に遠用領域を、下側部に近用領域を設け、遠用領域と近用領域の中間に中用領域として累進領域を設けている。さらに、詳述すると、眼鏡用累進焦点レンズ11Aは、図8に示すようにレンズ11Aの幾何中心O1を通る主注視線12の前記幾何中心O1よりも若干上方の遠用中心O2を通る第1水平線L1より上方の領域を球面又は球面に近い遠用領域13としている。又、前記主注視線12上の幾何中心O1よりも下方の近用中心O3を通る第2水平線L2より下方の領域を近用領域14とし、両線L1,L2の中間を累進領域15としている。この累進領域15は遠用度数から近用度数の曲率に漸次移行する非球面であるため、歪曲収差が生じて視線が垂直方向に移行する際、水平線が歪んで見えたり、視線を横方向に移行すると被視体の寸法比が変化したりする。この結果、累進領域を視線が通るときゆれが生じ不快感が生じる。又、前記累進領域15においては、歪曲収差に関連して非点収差が存在するので、被視体のボケを生じる。
【0004】
上記の問題を解消するため、従来、特公平1−5682号公報あるいは特開平3−230114号に示す累進焦点レンズが提案されている。
前者の累進焦点レンズは、図9に示すように、主注視線12を累進領域15及び近用領域14において、破線で示すように鼻側に変位している。又、この変位主注視線121から鼻側と耳側へ装用時の水平方向にそれぞれ15mm以内の領域に、前記主注視線121を境として装用時の水平方向にて対応する非点収差の分布を等非点収差曲線21,22で示すように左右非対称としている。さらに、近用領域14及び累進領域15での前記水平方向における耳側の非点収差の分布が前記水平方向における鼻側の非点収差の分布よりも緩慢な変化を有する屈折表面部分を設けている。
【0005】
一方、後者の累進焦点レンズは、図11に示すように、近用領域14及び累進領域15において主注視線12を左右非対称とし、かつ、近用領域14における耳側と鼻側との最大非点収差を等しくするとともに、図12,13に示すように、近用領域14及び累進領域15における耳側の垂直方向の歪曲収差δ1が鼻側の垂直方向の歪曲収差δ2よりも小さくなるよう曲率を耳側に対し鼻側が大きい非球面としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前者の累進焦点レンズは、眼鏡として使用した場合に、図10に示すように耳側の視線の移動角度θ1が鼻側の視線の移動角度θ2よりも大きいので、その移動角度の大きい耳側の非点収差の増加を緩慢にすることにより、耳側における視線移動の際の被視体のゆれを抑制しようとするものと考えられる。特公平1−5682号公報の明細書の記載によれば、両眼側方視に付随する頭部の回転を考慮し、より裸眼状態に近い快適な両眼側方視を可能ならしめたものである。しかしながら、近用領域14及び累進領域15においては実際には、左右の視線は静止している被視体23を見るとき、左右のレンズ11A,11Aの鼻側を最も利用することになる。近用視においては、顔の正面で特に両目の間に位置するものをよく見ることが重要である。右目よりも右方、左目よりも左方にある被視体を近用視するときは、顔を被視体に向けて見るのが自然である。よりはっきりと両眼視できるからである。特に、累進焦点レンズを使用する人は、近用部が遠用部より狭いので、近用視は顔の正面でする習慣になっている。さらに、実際の近用視では、主注視線よりも鼻側を頻繁に使用する。この理由は、主注視線の鼻側への変位が、明視の距離(約30cm程度)までの輻輳に対応したものだからである。実生活では、30cmよりも近い位置で屡々物を見る。従って、近用視においては、主注視線よりも鼻側の領域の非点収差と歪曲が小さい方が望ましい。しかし、前者のレンズでは特に近用視する際に、両レンズの鼻側での非点収差の増加が大きく、非視体23がボケ易いばかりでなく歪みも大きく、視線の移動によるゆれが大きくなるという問題があった。
【0007】
又、後者の累進焦点レンズは、前述したように耳側と鼻側で非点収差の最大値を等しく、かつ耳側の垂直方向の歪曲収差δ1よりも鼻側の同方向の歪曲収差δ2を大きくしているが、この理由は耳側の歪曲を小さくすることにより、首を左右に動かした場合、新しい映像は、耳側から視野に表れるので、耳側の歪みを優先して小さくすることにある。
【0008】
しかし、後者の累進焦点レンズにおいても、近用領域14及び累進領域15を使用して近くの被視体23を見るとき、左右のレンズ11A,11Aの鼻側の領域を利用するので、累進領域15において被視体23を見ている状態で、その視点よりも下方の累進領域15及び近用領域14から入ってくる被視体の映像に垂直方向の大きな歪みが生じ、特に重要な顔の正面の累進領域及び近用領域を見るときの歪曲による眼の疲れが大きくなるという問題があった。
【0009】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、鼻側において、被視体の映像のボケや歪みあるいは視線の移動の際のゆれ感を抑制して近距離の被視体を違和感なく見ることができる眼鏡用累進焦点レンズ及びそれを用いた眼鏡を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明においては、上記目的を達成するために、レンズの上側部に遠用領域を、下側部に近用領域を設け、遠用領域と近用領域の中間に累進領域を設け、主注視線が累進領域と近用領域で鼻側に変位する左右非対称となる眼鏡用累進焦点レンズにおいて、
前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、等非点収差曲線が前記主注視線を境に耳側と鼻側とで非対称であり、かつ主注視線から鼻側に向かっての非点収差の増加が、耳側に向かっての非点収差の増加に比較して緩慢であり、前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、前記主注視線を境に鼻側の歪曲収差が耳側の歪曲収差よりも小さくなるようにしている。
【0012】
請求項2記載の発明においては、請求項1において、鼻側の垂直方向の歪曲収差を耳側の垂直方向の歪曲収差よりも小さくしている。
請求項3記載の発明においては、請求項1において、累進領域の上側狭小域における鼻側の垂直方向の歪曲収差が耳側の垂直方向の歪曲収差よりも若干大きく、累進領域の下側大半域及び近用領域における鼻側の垂直方向の歪曲収差が耳側の垂直方向の歪曲収差よりも小さくしている。
【0013】
請求項4記載の発明においては、レンズの上側部に遠用領域を、下側部に近用領域を設け、遠用領域と近用領域の中間に累進領域を設け、主注視線が累進領域と近用領域で鼻側に変位する左右非対称となる眼鏡用累進焦点レンズにおいて、前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、等非点収差曲線が前記主注視線を境に耳側と鼻側とで対称であり、かつ前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、鼻側の歪曲収差が耳側の歪曲収差よりも小さくしている。
【0014】
請求項5記載の発明においては、請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡用累進焦点レンズを所定形状にカットして眼鏡用フレームに装着している。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態ではレンズ11の幾何中心O1を通る主注視線121の前記幾何中心O1よりも若干上方の遠用中心O2を通る第1水平線L1より上方の領域を球面又は球面に近い遠用領域13としている。又、前記主注視線121の前記幾何中心O1よりも下方の近用中心O3を通る第2水平線L2より下方の領域を近用領域14とし、両線L1,L2の中間を累進領域15としている。この累進領域15は遠用度数から近用度数の曲率に漸次移行する非球面である。
【0016】
前記主注視線121は累進領域15及び近用領域14において、鼻側に変位しており、左右非対称である。この非対称構造は被視体を見る際、累進領域15及び近用領域14において、左右の眼が互いに接近する輻輳を考慮して映像を見易くするためである。
【0017】
図1において多数の曲線は、非点収差が等しい等非点収差曲線である。この曲線から明らかなように、主注視線121を境として耳側と鼻側とで非点収差の分布が非対称であり、累進領域15と近用領域14において非対称性が顕著である。
【0018】
この実施形態では累進領域15と近用領域14を拡大した図2の鼻側の等非点収差曲線16a〜16f及び耳側の等非点収差曲線17a〜17gで示すように、累進領域15において主注視線121から鼻側に向かっての非点収差の増加が耳側に向かっての非点収差の増加に比べて緩慢である。すなわち、主注視線121から鼻側に向かって所定距離W1、つまり図7に示す眼鏡フレーム31に収容された鼻側有効累進領域W1において、図2に示すように等非点収差曲線16a〜16fは7本である。これに対し、主注視線121から耳側に向かって所定距離W2、つまり図7に示す眼鏡フレーム31に収容された耳側有効累進領域W2においては、図2に示すように等非点収差曲線17a〜17gは8本であり、鼻側の非点収差の増加が緩慢である。
【0019】
上述した鼻側の有効累進領域W1において非点収差の増加が緩慢な傾向は、図2に示すように近用領域14においても同じである。
又、図3は図1の累進焦点レンズ11を使用して被視体である方眼紙を見た場合の縦線と横線の歪曲映像を示す。図4は、図3において前述した鼻側及び耳側の有効累進領域W1,W2と対応する部分及びその直上部を部分的に拡大して示す。図4によれば、累進領域15の上側狭小域15aにおいては、鼻側の垂直方向の歪曲収差δ1a,δ2aが耳側の歪曲収差δ1b,δ2bよりも若干大きい。しかし、累進領域15の下側大半域15bにおいては、鼻側の垂直方向の歪曲収差δ3a,δ4aが耳側の歪曲収差δ3b,δ4bよりも小さい。又、この傾向は近用領域14においても同じであり鼻側の歪曲収差δ5aが耳側の歪曲収差δ5bよりも小さい。
【0020】
一方、累進領域15の鼻側における水平方向の歪曲収差ε1a,ε2a,ε3aは、主注視線121から鼻側に行くほど大きくなり、累進領域15の耳側における水平方向の歪曲収差ε1b,ε2b,ε3bは、主注視線121から耳側に行くほど大きくなる。つまり、累進領域15及び近用領域14における鼻側と耳側との水平方向の歪曲収差は、主注視線121付近において小さくなるように設定されている。このため、最もよく使用する主注視線121付近を通して見る被視体の水平方向の歪みが抑制される。
【0021】
図5は前記累進焦点レンズ11の垂直曲率を多数の等垂直曲率曲線で、図6は水平曲率を等水平曲率曲線で示す。
図5,図6に示す曲率曲線の具体的数値は、表1の通りである。
【0022】
表1の数値は、水平方向の曲率を示す。具体例として、幾何中心O1の水平座標X=0、垂直座標Y=0の位置で、4. 35カーブ(屈折率1. 523換算)
曲率半径は、0. 523/4. 35=0. 12023(m)
曲率は、1/0. 12023=8. 3174(1/m)
素材の屈折率として1. 6を、加入度数として2. 00dptを想定した。
【0023】
【表1】
又、前記のように構成した累進焦点レンズ11は、所定形状にカットされた後、図7に示すように、眼鏡用フレーム32のリング33,33に係合され、遠近両用の眼鏡31として用いられる。
【0024】
次に、前記のように構成した累進焦点レンズ11について、その作用効果を構成とともに説明する。
・ 前記実施形態では、鼻側の有効累進領域W1の非点収差の増加を耳側の有効累進領域W2の非点収差の増加よりも緩慢にしたので、視野正面の両眼視する領域、つまり鼻側の有効累進領域W1,W1において被視体の映像のボケを抑制することができる。
【0025】
・ 前記実施形態では、鼻側の有効累進領域W1内における非点収差の増加を緩慢にした分、有効累進領域W1外の鼻側のレンズ11の縁部分に大きな非点収差が表れる。しかし、その領域は眼鏡31のフレーム32のリング33,33への枠入れに際して、カットされるので、被視体を近用視する場合に殆ど問題はない。
【0026】
・ 前記実施形態では、前記累進領域15と近用領域14で、鼻側の垂直方向の歪曲収差δ3a〜δ5aが耳側の垂直方向の歪曲収差δ3b〜δ5bよりも小さくしたので、視野正面の両眼視する領域、つまり鼻側の有効領域W1,W1において被視体の映像の垂直方向の歪みを抑制することができる。
【0027】
・ 前記実施形態では、累進領域15の上側狭小域15aにおける鼻側の垂直方向の歪曲収差δ1a,δ2aが耳側の垂直方向の歪曲収差δ1b,δ2bよりも若干大きく、累進領域15の下側大半域15bにおける鼻側の垂直方向の歪曲収差δ3a〜δ5aが耳側の垂直方向の歪曲収差δ3b〜δ5bよりも小さい。このため、視野正面の両眼視する領域、つまり鼻側の有効累進領域W1,W1において被視体の映像の垂直方向の歪みを効率的に抑制することができる。すなわち、図4において、耳側の有効累進領域W1における歪曲収差δ1a〜δ5aの増加率を小さくでき、視線を有効累進領域15において上下動する際の被視体のゆれ感を抑制することができる。
【0028】
・ 前記実施形態では、近用領域14における鼻側の垂直方向の歪曲収差が耳側の垂直方向の歪曲収差よりも小さい。このため、視野正面の両眼視する領域、つまり鼻側の近用領域W1,W1において被視体の映像の垂直方向の歪みを抑制し、視線を上下動する際の被視体のゆれ感を抑制することができる。
【0029】
なお、この発明は前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図1において、最大非点収差が現れる箇所を鼻側においてさらに右側に移動した構成とすること。
【0030】
・ 前記実施形態では、図4に示すように、累進領域15において、垂直方向の歪曲収差を上側狭小域15aで鼻側が耳側よりも若干大きく、その下側大半域15bでは鼻側の垂直方向の歪曲収差を耳側よりも小さくしたが、これを全累進領域15において鼻側の垂直方向の歪曲収差が耳側の垂直方向の歪曲収差よりも小さくなるようにすること。
【0031】
・ 前記累進領域15と近用領域14の少なくとも一つの領域で、等非点収差曲線を前記主注視線121を境に耳側と鼻側とで対称とし、かつ前記累進領域15と近用領域14の少なくとも一つの領域で、鼻側の歪曲収差を耳側の歪曲収差よりも小さくすること。
【0032】
この実施形態は請求項2記載の発明の眼鏡用累進焦点レンズであって、前記累進領域15と近用領域14の少なくとも一つの領域で、鼻側の歪曲収差を耳側の歪曲収差よりも小さくしたので、視線を累進領域15と近用領域14の少なくとも一つの領域で、上下動する際の被視体のゆれ感を抑制することができる。
【0033】
・ 前記累進領域15と近用領域14の少なくとも一つの領域で、等非点収差曲線を前記主注視線121を境に耳側と鼻側とで非対称とし、かつ主注視線121から鼻側に向かっての非点収差の増加を、耳側に向かっての非点収差の増加に比較して緩慢とし、前記累進領域15と近用領域14の少なくとも一つの領域で、前記主注視線121を境に鼻側の歪曲収差と耳側の歪曲収差を対称とすること。
【0034】
この実施形態は請求項5記載の発明の眼鏡用累進焦点レンズであって、視野正面の両眼視する領域、つまり累進領域15と近用領域14の少なくとも一つの鼻側の有効累進領域W1,W1において被視体の映像のボケを抑制することができる。
【0035】
前述した実施形態から把握できる技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
(1)主注視線から耳側及び鼻側にそれぞれ15mmの領域内での非点収差の最大値は異なるものである眼鏡用累進焦点レンズ。
【0036】
(2)主注視線から耳側及び鼻側にそれぞれ15mmの領域外での非点収差の最大値は耳側よりも鼻側の方が大きいものである眼鏡用累進焦点レンズ。
【0037】
このレンズの場合には、眼鏡用レンズとして使用しない領域に非点収差の大きい領域を押し込めることができる。
(3)遠用領域の等非点収差曲線の分布は主注視線を境に非対称で、耳側の明視域が鼻側の明視域よりも広いことを特徴とする眼鏡用累進焦点レンズ。
【0038】
このレンズの場合には、耳側の明視域が鼻側の明視域より広いので、遠用領域において被視体を広範囲に見ることができる。
この明細書において、有効累進領域及び有効近用領域W1,W2とは、眼鏡のフレームのリング33,33に収容されたレンズ11から被視体を見ることができる領域を意味するが、リング33の形状は変化するので、有効近用領域W1,W2外のレンズがリング33に部分的に入る場合もある。従って、有効領域は実際に視線により被視体を見る場合に使用されるレンズを意味する。
【0039】
この明細書において、主注視線から鼻側に向かっての非点収差の増加が、耳側に向かっての非点収差の増加に比較して緩慢であるとは、有効累進領域及び有効近用領域W1,W2全体において緩慢である場合は勿論、領域W1,W2の主要部において緩慢である場合も含むものとする。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の累進焦点レンズの発明は、眼鏡として用いた場合に、鼻側において、被視体の映像のボケや視線の移動の際のゆれ感を抑制して近距離の被視体を違和感なく見ることができる。
【0042】
請求項2記載の累進焦点レンズの発明は、請求項1記載の発明の効果において、垂直方向の視線の移動の際のゆれ感を抑制することができる。
請求項3記載の累進焦点レンズの発明は、請求項1記載の発明の効果をさらに向上することができる。
【0043】
請求項4記載の累進焦点レンズの発明は、眼鏡として用いた場合に、鼻側において、被視体の映像のボケや視線の移動の際のゆれ感を抑制して近距離の被視体を違和感なく見ることができる。
【0044】
請求項5記載の眼鏡の発明は、鼻側において、被視体の映像のボケや歪みあるいは視線の移動の際のゆれ感を抑制して近距離の被視体を違和感なく見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化した累進焦点レンズの正面図。
【図2】 非点収差を示す累進焦点レンズの拡大部分正面図。
【図3】 累進焦点レンズの歪曲収差を示す正面図。
【図4】 歪曲収差の部分拡大正面図。
【図5】 垂直曲率を示す正面図。
【図6】 水平曲率を示す正面図。
【図7】 累進焦点レンズを用いた眼鏡の正面図。
【図8】 累進焦点レンズの遠用領域、累進領域及び近用領域を示す正面図。
【図9】 従来の累進焦点レンズの正面図。
【図10】 図9のレンズの使用状態を示す平面図。
【図11】 従来の累進焦点レンズの正面図。
【図12】 図11のレンズの歪曲収差を示す正面図。
【図13】 図12の歪曲収差の部分拡大正面図。
【符号の説明】
11…累進焦点レンズ、121…主注視線、13…遠用領域、14…近用領域、15…累進領域、16a〜16f…鼻側の等非点収差曲線、17a〜17g…耳側の等非点収差曲線、31…眼鏡、W1,W2…鼻側、耳側の有効累進(近用)領域、δ1a〜δ5a,δ1b〜δ5b…垂直方向の歪曲収差、ε1a,δ1b〜δ3a,δ3b…水平方向の歪曲収差。
Claims (5)
- レンズの上側部に遠用領域を、下側部に近用領域を設け、遠用領域と近用領域の中間に累進領域を設け、主注視線が累進領域と近用領域で鼻側に変位する左右非対称となる眼鏡用累進焦点レンズにおいて、
前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、等非点収差曲線が前記主注視線を境に耳側と鼻側とで非対称であり、かつ主注視線から鼻側に向かっての非点収差の増加が、耳側に向かっての非点収差の増加に比較して緩慢であり、前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、前記主注視線を境に鼻側の歪曲収差が耳側の歪曲収差よりも小さいことを特徴とする眼鏡用累進焦点レンズ。 - 請求項1において、鼻側の垂直方向の歪曲収差が耳側の垂直方向の歪曲収差よりも小さいことを特徴とする眼鏡用累進焦点レンズ。
- 請求項1において、累進領域の上側狭小域における鼻側の垂直方向の歪曲収差が耳側の垂直方向の歪曲収差よりも若干大きく、累進領域の下側大半域及び近用領域における鼻側の垂直方向の歪曲収差が耳側の垂直方向の歪曲収差よりも小さいことを特徴とする眼鏡用累進焦点レンズ。
- レンズの上側部に遠用領域を、下側部に近用領域を設け、遠用領域と近用領域の中間に累進領域を設け、主注視線が累進領域と近用領域で鼻側に変位する左右非対称となる眼鏡用累進焦点レンズにおいて、
前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、等非点収差曲線が前記主注視線を境に耳側と鼻側とで非対称であり、かつ主注視線から鼻側に向かっての非点収差の増加が、耳側に向かっての非点収差の増加に比較して緩慢であり、前記累進領域と近用領域の少なくとも一つの領域で、前記主注視線を境に鼻側の歪曲収差と耳側の歪曲収差が対称であることを特徴とする眼鏡用累進焦点レンズ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡用累進焦点レンズを所定形状にカットして眼鏡用フレームに装着したことを特徴とする眼鏡。
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